JP2003306733A - 鉛蓄電池用鉛基合金及びこれを用いた鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池用鉛基合金及びこれを用いた鉛蓄電池

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JP2003306733A JP2002116593A JP2002116593A JP2003306733A JP 2003306733 A JP2003306733 A JP 2003306733A JP 2002116593 A JP2002116593 A JP 2002116593A JP 2002116593 A JP2002116593 A JP 2002116593A JP 2003306733 A JP2003306733 A JP 2003306733A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】この発明は、CaとBaの含有量を所定の範囲
とすることによって、耐食性と機械的強度の双方を有す
る鉛蓄電池用鉛基合金を得ようとしたもので、この合金
を鋳造法或いは圧延加工してエキスパンド加工するなど
により正極基板を製造し、これによって高温苛酷な条件
下でも安定して長期の使用に耐えることができる鉛蓄電
池を製造しようとするものである。 【解決手段】カルシウムが0.02重量%以上で0.0
5重量%未満、スズが0.4重量%以上で2.5重量%
以下、アルミニウムが0.005重量%以上で0.04
重量%以下、バリウムが0.002重量%以上で0.0
14重量%以下、残部が鉛と不可避成分からなる鉛蓄電
池用鉛基合金である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は鉛蓄電池用鉛基合金及
びこれを用いた鉛蓄電池に関し、極板格子に使用したと
きに優れた耐食性と機械的強度を同時に示すとともに、
重力鋳造、連続鋳造および圧延加工にも適する鉛蓄電池
用鉛基合金に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、自動車のエンジンルームは、装備
の増加と余分な空間を排除したデザインなどのために内
部の温度上昇は著しく、また電池は常に過充電状態に置
かれることとなるなどのため、自動車用鉛鉛電池は、鉛
蓄電池のなかでも最も苛酷な条件で使用されているとい
える。このために、電池の正極の格子腐食や格子のグロ
スと呼ばれる伸びによる変形が起こりやすく、早期に寿
命に至りその改善が強く求められている。その一方で、
利便性の観点からメンテナンスフリー化も強く求められ
ている。正極基板には、従来からCa0.06〜0.1
0重量%、Sn1.0〜2.0重量%、Al0.005
〜0.04重量%といった組成の合金が用いられてきた
が、耐食性の向上とグロス抑制に対しては十分な効果が
得られておらず、その寿命を改善するに至っていない。
【0003】この問題を解決するために、すでに幾つか
の提案がなされている。WO-97/30183 は、0.05〜
0.12重量%のCa、3重量%以下のSn、0.00
2〜0.04重量%のAl、0.02重量%以下のバリ
ウムを含む鉛基合金で、電池の寿命期間全体にわたって
機械的強度を維持することができるとしている。これと
同様に、Baを添加したものとして、USP 4,233,070
は、Ca,Sr,Baなどのアルカリ土類金属とSn,
Alからなる鉛基合金に、0.005〜0.05重量%
のMgを添加することで耐食性を損なわないで機械的強
度を向上することが記載されている。USP 4,358,518
は、0.03〜0.04重量%のCaと、0.15〜
0.4重量%のSrと、0.15〜0.9重量%のSn
と、0.025〜0.07重量%のバリウムを含む合金
で、機械的強度と耐食性の双方が向上するとしている。
さらに、USP 5,298,350 は、0.025〜0.06重量
%のCa、0.3〜0.7重量%のSn、0.015〜
0.045重量%のAgを含む鉛合金が高温下でも長寿
命であるとしている。以上のように、鉛蓄電池用鉛基合
金において、Baが強度向上に有効であることはすでに
上記米国特許で公知であり、またWO-97/30183はCaと
Baの特定組織が電池として必要な強度改善に有効であ
るとしている。
【0004】鉛蓄電池の格子基板は、蓄電池の製造工程
で変形を避けるために強度が必要であるが、それよりさ
らに問題となるのは、電池使用時に生成する腐食物によ
って生ずる伸び応力に起因する伸び変形のいわゆるグロ
スである。このグロスが起こると活物質との電気的な接
合を損ない、電池容量の低下や極板変形による短絡など
の重大な欠陥を引き起こす恐れがある。
【0005】格子基板の強度を改善すればグロスを低下
させることができるが、グロスは極板強度と極板の腐食
に基づく共同現象であるので、腐食を低減することがで
きない限り、基板の強度改善効果も限定的とならざるを
得ないものであった。しかしながら、上記のBaを含む
先行技術は、基板の強度と腐食の双方の改善を図る点で
はいずれも十分なものではなかった。また、Agを添加
するUSP 5,298,350も同様で、これによっても長寿命の
鉛蓄電地を得ることは困難であった。
【0006】以上のように、従来の合金は自動車などで
要求される高温苛酷な条件下で安定して長期間の使用に
耐えるには不十分であった。また、自動車の蓄電池にあ
っては、燃費や省資源から軽量化が強く求められている
が、これに応えて格子基板を薄くするには、耐食性と強
度の両方をより高いレベルで達成することが求められ
る。さらに、環境や燃費改善をさらに進めるために、自
動車電池は12Vから36Vへの昇圧化や、ハイブリッ
ド自動車(HEV)に適合できることが緊急の課題とな
っているが、これらの新しい用途では高温での大電流充
放電が必要条件であり、耐食性向上による長寿命がさら
に高度に必要とされている。大電流充放電特性を達成す
るように極板を薄くして表面積を高めると、耐食性やグ
ロスの問題は一層顕著になる。これらは自動車用蓄電池
のみならず、ITなどに多用されているバックアップ電
源用電池やエネルギー貯蔵用電池においても略同様であ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、CaとB
aの含有量を所定の範囲とすることによって、耐食性と
機械的強度の双方を有する鉛蓄電池用鉛基合金を得よう
としたもので、この合金を鋳造法或いは圧延加工してエ
キスパンド加工するなどにより正極基板を製造し、これ
によって高温苛酷な条件下でも安定して長期の使用に耐
えることができる鉛蓄電池を製造しようとするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、カルシウム
が0.02重量%以上で0.05重量%未満、スズが
0.4重量%以上で2.5重量%以下、アルミニウムが
0.005重量%以上で0.04重量%以下、バリウム
が0.002重量%以上で0.014重量%以下、残部
が鉛と不可避成分からなる鉛蓄電池用鉛基合金(請求項
1)、0.005重量%以上で0.07重量%以下の
銀、0.01重量%以上で0.10重量%以下のビスマ
ス、0.001重量%以上で0.05重量%以下のタリ
ウムの中から選ばれる少なくとも一種をさらに含む請求
項1記載の鉛蓄電池用鉛基合金(請求項2)および請求
項1または2に記載の鉛蓄電池用鉛基合金を、重力鋳造
法、連続鋳造法、圧延・加工法のいずれかによって製造
した基板を正極に用いた鉛蓄電池(請求項3)である。
【0009】
【発明の実施の態様】Ca、Sn、Alからなる鉛合金
にBaを添加することは、その機械的強度を向上する上
で有効なことは既に公知である。しかし、Baの添加は
耐食性を改善する効果が認められず、逆にある量を超え
てBaを添加すると耐食性が著しく低下する。これに対
して、本発明の合金では、理由は明らかでないが、Ca
とBaをある規制した範囲で添加すると、耐食性と機械
的強度の双方を向上させることが可能であることが見出
されたものである。
【0010】この発明は、カルシウムが0.02重量%
以上で0.05重量%未満、スズが0.4重量%以上で
2.5重量%以下、アルミニウムが0.005重量%以
上で0.04重量%以下、バリウムが0.002重量%
以上で0.014重量%以下、残部が鉛と不可避成分か
らなる鉛蓄電池用鉛基合金である。この発明でCaの添
加は機械的強度を高めるものである。Ca含有量が0.
02重量%未満では機械的強度が不十分である。また、
Ca含有量を0.05重量%以上とすると耐食性を悪化
させる。
【0011】Caを0.02重量%以上で0.05重量
%未満とし、これに0.002〜0.014重量%のB
aを添加することで機械的強度を高めながら耐食性も向
上することができるものである。Caのより好ましい含
有量の範囲は0.03重量%以上で0.045重量%以
下である。Baの添加は機械的強度を高めるためであ
り、その含有量は0.002重量%以上0.014重量
%以下である。Ba含有量が0.002重量%未満では
強度向上の効果が不足し、0.014重量%を超えると
耐食性が急速に低下する。Baのより好ましい含有量の
範囲は0.002重量%以上で0.010重量%以下で
ある。
【0012】Caの含有量を0.02重量%以上で0.
05重量%未満、Baの含有量を0.002重量%以上
で0.014重量%以下とした本発明の合金は、耐食性
と機械的強度を向上させる効果の外に、この合金を適用
した電池の長寿命化を達成することができる。それは単
に合金の耐食性や機械的強度の向上によるものでなく、
本発明合金と活物質の界面が緻密化して、腐食層を介し
た格子と活物質との導電性が長期に維持されるなど新た
な効果が発現し、耐食性や機械的強度の評価以上に電池
としての長寿命化が達成されるものと考えられるもので
ある。
【0013】Snの添加は、合金の湯流れ性と機械的強
度を向上するとともに、電池とした場合に格子界面に溶
出したSnが腐食層にドープされ、半導体効果で導電性
を高める効果がある。Snの含有量は、0.4重量%以
上で2.5重量%以下とする。Snが0.4重量%未満
では上記の効果がいずれも不足し、また耐食性も低下す
る。また、Snが2.5重量%を超えると結晶が粗大化
し、見掛けの腐食以上に粒界腐食が進行する。Snのよ
り好ましい含有量は0.6重量%以上である。
【0014】Alの添加は、溶湯の酸化によるCaとB
aの損失を抑制するためで、その含有量は0.005重
量%以上、0.04重量%以下とする。Alが0.00
5重量%未満ではその効果が十分でなく、また0.04
重量%を超えるとAlがドロスとして析出し易くなる。
残部は、鉛および不可避の元素である。
【0015】請求項2の発明は、機械的強度をさらに高
めるために、請求項1の合金にさらに銀、ビスマスおよ
びタリウムの中の少なくとも一種を添加するものであ
る。これらを所定の範囲で含有すると高温でのクリープ
破断強度を向上させる効果がある。Agの添加は、機械
的強度、特に高温での耐クリープ性を著しく高めること
ができる。Agの含有量は0.005重量%以上で0.
07重量%以下とする。Agの含有量が0.005重量
%未満では特に効果はなく、また0.07重量%を超え
ると鋳造時にクラックが発生しやすくなる。Agのさら
に好ましい含有量は0.01重量%以上で0.05重量
%以下である。
【0016】Biの添加も、機械的強度を向上する効果
がある。その効果は上記Agよりは小さいが、Biが廉
価である点で経済性がある。Biの含有量は0.01重
量%以上で0.10重量%以下とする。Bi含有量が
0.01重量%未満では特に効果はなく、また0.10
重量%を超えると耐食性を損なう。Biのさらに好まし
い含有量は0.03重量%以上で0.05重量%以下で
ある。Tlの添加も機械的強度を向上する効果がある。
また廉価である点で経済性がある。Tlの含有量は0.
001重量%以上で0.05重量%以下とする。Tl含
有量が0.001重量%未満では特に効果はなく、また
0.05重量%を超えると耐食性を損なう。Tlのさら
に好ましい含有量の範囲は0.005重量%以上で0.
05重量%以下である。なお、本発明合金では工業的に
不可避な又は有害でない不純物を含むことが許される。
【0017】この発明の合金は、従来の鉛合金と比較し
てCa含有量が少ないために、鋳造直後は柔らかく変形
し易い。これを改善するには、基板を鋳造後に水冷また
は冷風により速やかに冷却すればよく、これによって基
板の取扱い中の変形を防止することが可能となる。ま
た、その後これを加熱処理して時効硬化させることによ
り、電池製造工程でのペースト充填工程で強い剪断応力
を加えられても変形することがないようにすることがで
きる。ここでの処理は基板を80〜150℃で0.5〜
10時間加熱するもので、短時間で適度の強度にするこ
とができる。なお、さらに好ましい加熱処理は90〜1
20℃で1〜5時間の加熱である。
【0018】この合金は、重力鋳造法、連続鋳造法など
によって、直接格子基板を製造することができるととも
に、圧延・加工法によって板状体としたものをエキスパ
ンド加工して格子状として基板を製造することができ
る。次いで、これに活物質を充填して極板とし、これに
電槽、セパレータ、電解液を組み合わせて電池とする。
なお、負極基板は、常法によってPb、Pb−Sn、P
b−Ca−Sn−Al合金が使用される。また、ストラ
ップと極柱にはPb−Sn合金、端子にはPb−Sb系
合金などが使用される。
【0019】(試験例) [高温腐食試験]本発明の合金の耐食性を測定して、そ
の鉛蓄電池用鉛基合金としての適性を評価した。試験に
供したサンプルは、いずれも鉛蓄電池用鋳造格子として
作製したものの一部を切り出して作製した。このサンプ
ルを比重1.280(20℃)、温度60℃の希硫酸中
で720時間、1350mV(vs.HgO/Hg
)の定電位で陽極酸化させ、その後サンプルの単位
面積当たりの腐食量を測定することで評価した。この結
果を図1.図2.図3に示した。
【0020】図1は、Ca添加量と腐食量の関係を示し
たものである。Baを含む合金は、これを含まない合金
と比較して腐食量は多い傾向が認められるが、Baの添
加は強度向上のためには有効である。Baを含む合金に
あって、Ca量が0.06重量%と0.04重量%の間
に大きな腐食量の変曲点があり、Ca量が0.05重量
%未満の0.048重量%以下で急速に腐食が低減して
いる。特に、0.045重量%以下ではより高い腐食抑
制効果が認められ、また、0.04重量%から0.02
重量%の間では腐食は緩やかに減少することが認められ
る。これらはBaを含まない合金では見られない特異の
現象であることが分かる。
【0021】図2は、Sn添加量と腐食量の関係を示し
たものである。図2に示すようように、Snは0.4重
量%未満では腐食量が増加する。また、図3は、Ba添
加量と腐食量の関係を示したものである。Baは0.0
10重量%以上で徐々に腐食量が増加し、0.014重
量%を超えると腐食量は急激に増加する。なお、図示は
していないが、Ag、Bi、Tlの添加は、Agで0.
005〜0.07重量%、Biで0.01〜0.10重
量%、Tlで0.001〜0.05重量%の範囲で含有
した場合、これを含有しない場合と比較して腐食量が大
きく増加することはなかった。また、上記を二種以上組
み合わせて添加した場合も同様であった。
【0022】[高温クリープ試験]この試験のサンプル
も上記試験と同様に、いずれも鉛蓄電池用鋳造格子とし
て作製しものの一部を切り出して作製した。このサンプ
ルを100℃で1時間熱処理を行って時効硬化した後一
たん冷却し、これを試験装置にセットして16.5MP
aの荷重をかけた後100℃に昇温し、破断するまでの
時間を測定した。この結果を図4ないし図9に示した。
【0023】まず、図4はBa量の変化とクリープ破断
時間の関係を示したものである。同図に示すように、公
知例で述べられているように0.02重量%以下のBa
の添加量で機械的特性が向上するといった特別な現象は
認められず、Ba添加量を0.025重量%から0.0
04重量%まで減らすに従い、わずかに破断時間は短く
なり、0.002重量%以下になると急に破断時間は短
くなるといった一般的に予想される状態を示している。
図5は、Ca添加量とクリープ判断時間の関係を示した
ものである。Baを含まない合金は、これを含む合金と
比較して全体的に破断時間は短い。特に、Ca量が0.
06重量%を下回ると破断時間は急に短くなることが分
かる。一方、Baを含む合金は、Ca量の減少に対して
破断時間の顕著な低下は認められない。
【0024】図6は、Agの添加とクリープ破断時間の
関係を示したものである。図6から明らかなように、A
gの添加は合金のクリープ特性を著しく向上することが
分かる。この傾向はCa添加量を若干変化させても変わ
らなかった。なお、Ag添加による腐食量は、本発明の
範囲であれば、これを添加しない場合と比較して特に増
加することはなかった。図7は、Biの添加とクリープ
破断時間の関係を示したものである。Bi添加の場合は
Ag添加ほどではないが改善が認められ、またこの場合
はAgよりも安価である。図8はBiを添加した場合
で、Snの添加量とクリープ破断時間との関係を示した
ものである。同図に示すように、Biを添加した場合に
もSnの含有は0.4重量%以上で改善効果が認められ
る。図9は、Tl添加とクリープ破断時間の関係を示し
たものである。Tl添加の効果もAgほどではないが、
0.001重量%程度の少量の添加でもその改善効果が
認められることが分かる。
【0025】
【実施例】(実施例1〜7、比較例1〜5)表1の組成
の合金を用いてブックモールドによる鋳造式基板を製造
した。鋳造は毎分15枚の速度で行った。この基板は、
従来のCa量の多い基板と比較して柔らかく変形しやす
ため、鋳造直後に冷風を吹き付けて冷却してから裁断機
で所定の大きさに裁断した。その後、この基板を100
℃で1時間熱処理を施し時効硬化させた。これに公知の
方法で正極ペーストを充填したが、この工程で基板の変
形は観察されず、従来のCa量の多い基板と同様に充填
することができた。次に、これを40℃、湿度95%の
雰囲気で24時間熟成し、その後乾燥して正極未化成板
とした。この正極未化成板と活物質の界面には、Ca量
の多い従来合金よりも薄く緻密な腐食層が生成している
ことが観察された。また、極板格子と活物質の密着性は
従来の合金の場合と同様で、ハンドリングにおいても活
物質の脱落は起こらなかった。これを公知な方法で製造
した負極未化成板と、ポリエチレンセパレータを介して
組み合わせ、さらに比重1.200の希硫酸を加えて電
槽化成を行い、D23サイズ、5時間率容量が40Ah
の液式電池を製造した。ここで化成後の正極板の格子と
活物質界面を観察したところ、本発明の合金はやはり薄
く緻密な腐食層が形成されていた。この傾向は、その後
の行った寿命試験の途中、及び該試験の終了後でも同様
であった。この電池について、JIS D 5301に定めた軽負
荷試験の温度を40℃から75℃に上げた加速試験によ
って寿命を評価した。その結果を表1に示した。
【0026】なお、比較例として、Ca含有量が本発明
範囲から逸脱しているもの、Baが添加されていないも
のを用いて、実施例と同様にして電池を製造して実施例
と同様に試験を行った。
【0027】
【表1】
【0028】表1から明らかなように、実施例の合金を
用いた電池は、いずれも5000回以上の寿命サイクル
数で、高温で過充電が繰返す状況におかれても長寿命で
あることがわかる。これに対し、比較例のものは350
0〜2000回であった。
【0029】(実施例8〜9、比較例6〜7)表2の合
金組成の鋳造塊を圧延加工して厚さ0.9mmの合金板を
製造し、エキスパンド加工を行ってエキスパンド式基板
を製造しこれを用いてシール式電池を製造した。即ち、
実施例1と同様にして基板に正極ペーストを充填し、温
度40℃、湿度95%の雰囲気で24時間熟成し、その
後乾燥して正極未化成板とした。これに公知の方法で製
造した負極未化成板と微細なガラス繊維からなるリテー
ナマットセパレータを組み合わせ、さらに比重1.20
0の希硫酸を加えて電槽化成を行い、D26サイズ、5
時間率容器が20Ahの36Vシール式電池を製造し
た。この電池は、ハイブリッド車での使用パターンを模
した試験を60℃の加速条件で行い、寿命を評価した。
結果を表2に示した。
【0030】なお、比較例として、Ca含有量が本発明
範囲から逸脱しているもの、Baが添加されていないも
のを用いて、実施例と同様にして電池を製造して実施例
と同様に試験を行った。
【0031】
【表2】
【0032】表2から明らかなように、実施例の合金を
用いた電池は、いずれも80,000回以上の寿命サイ
クル数で、高温で過充電が繰返す状況におかれても長寿
命であることがわかる。これに対し、比較例のものは3
5,000〜45,000回であった。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明の合金を鉛蓄電池
用基板に適用すれば長寿命で軽量化した鉛蓄電池とする
ことができるので、自動車やITなど産業用途の電池を
大きく改善することができる。また、36Vへの昇圧化
やハイブリッド自動車またはUPS(無停電電源装置)
などで、大電流充放電特性を達成することができるの
で、鉛蓄電池の用途拡大に大きく貢献するものである。
また、本発明の合金は耐食性、強度に優れているので、
正極格子以外の格子及びストラップや端子などの鉛蓄電
池部材にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉛基合金におけるCa含有量と合金の腐食量の
関係を示した線図。
【図2】鉛基合金におけるSn含有量と合金の腐食量の
関係を示した線図。
【図3】鉛基合金におけるBa含有量と合金の腐食量の
関係を示した線図。
【図4】鉛基合金におけるBa含有量と合金のクリープ
断時間の関係を示した線図。
【図5】鉛基合金におけるCa含有量と合金のクリープ
断時間の関係を示した線図。
【図6】鉛基合金におけるAg含有量と合金のクリープ
断時間の関係を示した線図。
【図7】鉛基合金におけるBi含有量と合金のクリープ
断時間の関係を示した線図。
【図8】鉛基合金におけるSn含有量と合金のクリープ
断時間の関係を示した線図。
【図9】鉛基合金におけるTl含有量と合金のクリープ
断時間の関係を示した線図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 根兵 靖之 福島県いわき市常磐下船尾町杭出作23−6 古河電池株式会社いわき事業所内 (72)発明者 森 豊 東京都中央区日本橋本町一丁目6番1号 東邦亜鉛株式会社内 (72)発明者 平城 智博 東京都中央区日本橋本町一丁目6番1号 東邦亜鉛株式会社内 Fターム(参考) 5H017 AA01 AS01 AS10 BB02 EE02 HH01 5H028 AA05 BB04 EE01 FF04 HH01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウムが0.02重量%以上で0.
    05重量%未満、スズが0.4重量%以上で2.5重量
    %以下、アルミニウムが0.005重量%以上で0.0
    4重量%以下、バリウムが0.002重量%以上で0.
    014重量%以下、残部が鉛と不可避成分からなる鉛蓄
    電池用鉛基合金。
  2. 【請求項2】 0.005重量%以上で0.07重量%
    以下の銀、0.01重量%以上で0.10重量%以下の
    ビスマス、0.001%重量以上で0.05重量%以下
    のタリウムの中から選ばれる少なくとも一種をさらに含
    む請求項1記載の鉛蓄電池用鉛基合金。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の鉛蓄電池用鉛
    基合金を、重力鋳造法、連続鋳造法、圧延・加工法のい
    ずれかによって製造した基板を正極に用いた鉛蓄電池。
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