JP2001185155A - 鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池

Info

Publication number
JP2001185155A
JP2001185155A JP36939899A JP36939899A JP2001185155A JP 2001185155 A JP2001185155 A JP 2001185155A JP 36939899 A JP36939899 A JP 36939899A JP 36939899 A JP36939899 A JP 36939899A JP 2001185155 A JP2001185155 A JP 2001185155A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lead
current collector
positive electrode
electrode plate
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP36939899A
Other languages
English (en)
Inventor
Ichiro Mukoya
一郎 向谷
Takeo Sakamoto
剛生 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Corp
Original Assignee
Shin Kobe Electric Machinery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Kobe Electric Machinery Co Ltd filed Critical Shin Kobe Electric Machinery Co Ltd
Priority to JP36939899A priority Critical patent/JP2001185155A/ja
Publication of JP2001185155A publication Critical patent/JP2001185155A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 正極板の格子集電体に起こる問題点を解決
し、長寿命化を図れる鉛蓄電池を得る。 【解決手段】 正極板の格子集電体を、Caを0.070 〜
0.11質量%含み、且つSnを1.2 質量%以上含むPb-
Ca- Sn合金で形成する。この格子集電体は、(P
b,Sn)3 Caの連続析出物を有し且つ結晶粒界付近
にのみ鋸歯状のPb 3 Caの不連続析出を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉛蓄電池に関し、
特にその正極板の格子集電体の改良に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】密閉型鉛蓄電池(シール鉛蓄電池)は、
安価で信頼性が高いという特徴を有するため、無停電電
源装置用の電源として広く利用されている。これらの装
置に用いられる密閉型鉛蓄電池は、トリクル充電により
通常は充電状態で待機し、停電時に放電するものであ
る。この用途における密閉型鉛蓄電池の寿命に及ぼす主
な要因は、正極格子集電体の酸化腐食による抵抗の増
加、体積膨張による格子変形必要でによるショート或い
は活物質の剥離である。特に、高温環境下(40℃以上を
示し、とりわけ65℃以上では著しい。)では、格子腐食
変形によるショート並びに活物質剥離が起きやすい。
【0003】密閉型鉛蓄電池は、過充電中の水の電気分
解による減液を生じさせない機構になっており、補水の
必要がないことを特徴としている。格子集電体には、一
般的にPb- Ca合金或いはPb- Ca- Sn合金が使
用されている。密閉型鉛蓄電池の寿命特性を改善するに
は、格子集電体の耐蝕性の向上が必要で、特許第263
9751号公報に開示されているように、格子集電体を
形成する合金の組成であるCa,Sn等の添加量を最適
化し、耐蝕性の向上を図る試みがとられてきた。Pb-
Ca,Pb- Ca- Snの合金は結晶粒界が腐食し易い
場合と、伸び量が少ないものの粒界破断が発生し易い場
合があり、また60℃以上では著しい特性劣化が起こり易
い。
【0004】前者の結晶粒界が腐食し易い場合は、図1
に示すように、Pb3 Caの不連続析出により鋸歯状の
不定形で微細な結晶流が全面に存在しているため、非常
に腐食変形を起こし易く、特にSn/Caが12.5以下で
Ca0.07以上の場合に結晶粒界が腐食し易い問題点があ
った。また、Pb3 Caの不連続析出で時効硬化が発生
するが、不連続析出が過剰に起こり軟化(特に、クリー
プ特性劣化)と粒界腐食による伸びの増加を引き起こす
問題点があった。事実上、これを制御するのは難しい問
題点があった。
【0005】後者の伸び量が少ないものの粒界破断が発
生し易い場合は、図2に示すように、結晶粒が大きく、
粒界が直線的であり、しかもSnの濃縮が行なわれてい
る特徴があった。このような組織には、Sn/Ca13以
上、Ca0.08以下で粒界破断が発生し易いので、時効硬
化は(Pb,Sn)3 Caの連続析出に起因すること
と、結晶粒は粗大で粒界付近にSnが偏析している特徴
があった。この材料は、50℃以下で極めて良い特性を示
すが、65℃以上では粒界付近に偏析したSnがPb- S
n二次系の不連続析出を起こし、粒界脆化する問題点が
あり、これを防ぐのは極めて困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】鉛蓄電池の正極板の格
子集電体は、合金組成が同じであっても、耐蝕性が異な
ることが分かった。これは、鋳造時の条件や鋳造後の熱
処理条件により、格子集電体の金属組織形状が異なり、
それにより正極板の格子集電体の腐食の起こり易さが異
なってくることによるものである。
【0007】Pb- Ca合金,Pb- Ca- Sn合金が
トリクルあるいはサイクル中に格子腐蝕により正極板の
格子集電体が変形する原因は、α固溶体とβ固溶体の腐
蝕特性の差あるいはβ析出物の化学的特性にあることが
知られている。また、西川精一:“1977年ホフマン賞応
募論文の紹介”:鉛と亜鉛第86号(1978年1月)にある
ようにPb- Ca- Sn合金組成により耐蝕性が異なる
ことや、日本亜鉛需要研究会訳:第3回欧州鉛バッテリ
ー発表論文(その1):グリッド用合金の選定につい
て:鉛と亜鉛 第172 号(1993 3月)にあるようにP
b- Ca- Sn(Sn:0.25質量%〜2.0 質量%)合金
ではSnの粒界偏析及び粗大化のためにCaは0.10質量
%以上必要とされている。格子集電体の耐蝕性の一つで
ある腐蝕減量を向上させるためには、その合金組成を低
Ca,高Snとする必要があるが、日本亜鉛需要研究会
訳:第3回欧州鉛バッテリー発表論文(その1):グリ
ッド用合金の選定について:鉛と亜鉛 第172 号(1993
3月)にあるようにPb-Ca- Sn(Sn:0.25質
量%〜2.0 質量%)合金ではSnの粒界偏析及び粗大化
のの問題が知られている。密閉型鉛蓄電池のトリクルあ
るいはサイクル充放電試験の充電末期には過充電状態過
充電環境下にあるため、格子集電体の電解酸化により腐
蝕酸化状態におかれる。このときPb- Ca合金あるい
はSn含有量が少なく、Ca含有量が多いPb- Ca-
Sn合金は、β析出物とα固溶体の結晶界面(結晶粒
界)が選択酸化される。この酸化あるいは酸化物は金属
鉛に比して単位Pbあたり体積比率が鉛の1.3 〜2.0 と
大きい。この腐蝕生成物が層状に生成するとよい保護被
膜となるが、粒界に選択的に進行して粒界腐蝕を起こし
て腐蝕割合があっても格子集電体の伸びが著しい問題点
がみられる。また、先に述べたようにCaが少なく、S
nが多い合金では粗大な結晶粒からなる結晶組織とな
り、Snが結晶粒界に偏析するので、ディ ケリー
(D.Kelly)らによる「硫酸中のPb- Ca- S
n合金の腐蝕作用における組成と微細構成の影響」(Th
e influence of composition and microstructure on t
he corrosion behavior of Pb-Ca-Sn alloys in sulfur
ic acid )、電気化学協会誌(Journal of Electrochem
ical Society) 132 巻 2535頁(1985)に見られるよ
うに応力腐蝕を受けることが分かっている。特に、この
結晶粒が粗大で粒界にSnが偏析出した合金は高温環境
下(40℃以上、特に65℃以上)の充電中では、応力腐蝕
により格子集電体が破断し、ショートや活物質剥離によ
る早期寿命低下の問題点があることが分かった。
【0008】本発明の目的は、正極板の格子集電体に起
こる問題点を解決し、長寿命化を図ることができる鉛蓄
電池を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の鉛蓄電
池は、正極板の格子集電体がCaを0.070 〜0.11質量%
含み、且つSnを1.2 質量%以上含むPb- Ca- Sn
合金で形成され、該格子集電体が(Pb,Sn)3 Ca
の連続析出物を有し且つ結晶粒界付近にのみ鋸歯状のP
3 Caの不連続析出を有することを特徴とする。
【0010】請求項2に記載の鉛蓄電池は、請求項1に
おいて、正極板の格子集電体を形成している正極格子合
金の平均粒子断面積が2mm2 〜0.02mm2 であること
を特徴とする。
【0011】請求項3に記載の鉛蓄電池は、請求項1ま
たは2において、正極板の格子集電体の結晶粒界と結晶
粒内に存在するSnの濃度比が0.8 〜1.2 であることを
特徴とする。
【0012】請求項4に記載の鉛蓄電池は、請求項1,
2または3において、正極板の格子集電体中にBiが10
ppm以上含まれていることを特徴とする。
【0013】請求項5に記載の鉛蓄電池は、請求項1,
2または3において、正極板の格子集電体の格子粒界中
にAgが1〜1000ppm以上含まれていることを特徴と
する。
【0014】請求項1に記載のように、正極板の格子集
電体のPb- Ca- Sn合金の結晶粒内に連続析出によ
り析出硬化させると共に粒界付近のみを鋸歯状のβ相即
ち不連続析出したPb3 Caを存在させることにより、
結晶粒を粒界脆化の原因であるPb- Snの不連続析出
を防ぐことができる。また、Snを多く固溶させ、耐蝕
性を高めると共に(Pb,Sn)3 Caからなるγ相を
連続析出させることにより、時効硬化による変形強度が
上昇し且つ耐蝕性が向上した。これと併せて、結晶粒界
付近にβ相の不連続析出を出現させることにより、結晶
粒界での滑りを防ぎ、なお一層腐食変形の少ない格子集
電体を得ると共に脆化の原因となるPb- Snの二次元
系の不連続析出を防ぐことができるので、理想的な結晶
粒となり、寿命特性の良好な鉛蓄電池を得ることができ
る。
【0015】また、請求項2に記載のように、正極格子
合金の平均粒子断面積を2mm2 〜0.02mm2 にする
と、腐食速度が遅く、破断の少ない格子集電体となり、
鉛蓄電池の寿命特性を延ばすことができる。
【0016】また、請求項3に記載のように、正極板の
格子集電体の結晶粒界と結晶粒内に存在するSnの濃度
比を0.8 〜1.2 にすることにより、Snの粒界偏析を防
止でき、耐蝕性が高くなって、安定性が高く寿命の長い
鉛蓄電池を得ることができる。
【0017】また、請求項4に記載のように、正極板の
格子集電体中にBiを10ppm以上含ませることによ
り、結晶粒界のβ相の不連続析出を結晶粒界付近に安定
して固定することができ、高温使用時の安定性を増加さ
せ、高温トリクル時の電池寿命を延ばすことができる。
【0018】さらに、請求項5に記載のように、正極板
の格子集電体の格子粒界中にAgを1〜1000ppm含ま
せることにより、粒界にAgを析出させることにより、
粒界が強化され、高温トリクル性能を長くすることがで
きる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明では、従来の正極板の格子
合金に対してCa,Sn量をある範囲に制御し、鋳造速
度と冷却速度のバランスより結晶粒内を連続析出により
再結晶速度の速いPb3 Caの不連続析出を防ぎ、結晶
粒界に濃化されたSnに起因する粒界脆化を引き起こす
Pb- Snの不連続析出をPb3 Caの不連続析出で防
ぐと共に粒界付近に不連続析出したPb3 Caで結晶粒
内及び結晶粒相互間の結合強度を高い組織とすることが
できた。それ故、従来より熱的に強く安定で、しかも電
池特性を満足する組織制御が可能となった。
【0020】本発明による正極板の格子集電体と従来手
法による正極板の格子集電体との耐蝕性並びにトリクル
充電中の鉛蓄電池の容量維持特性を比較した例を以下に
示す。
【0021】何れの実施の形態でも、負極板としてPb
-0.10 Ca-0.2Sn合金からなるW180 ×L400 ×D3.
5 (mm)の格子集電体に、金属鉛を25質量%含む一酸
化鉛を主成分とする酸化鉛(鉛粉)100 質量部に対して
硫酸バリウム2質量%、35質量%硫酸7.5 質量部及び変
成リグニンスルフォン酸ナトリウム塩及びフレオン系界
面活性剤を水にて連合したペーストを既化活物質換算で
580 g充填し、熟成・乾燥を経て未化成負極板とした。
この未化成負極板3枚と、ガラス繊維を主成分とする不
織布からなるリテーナと、以下に示したNo.1乃至N
o.35の未化成正極板W180 ×L400 ×D5.5 (mm)
(既化活物質換算1020g)2枚とを組み合わせて極板群
とし、これに27.8質量%硫酸1.6 kgを加え、12Aで60
時間化成して2V-120Ahの鉛蓄電池No.1〜No.
35を作成した。
【0022】なお、試験は65±2℃に設定された恒温槽
中で設定電圧2.23Vのトリクル試験を行ない、1か月後
に5時間率放電を行ない、寿命判定は定格容量の70%に
なった時点で判断した。
【0023】今回試験に供した合金は、大阪鉛錫製Ca
合金C100-27と新鉛G100 (Bi含有量2ppm)と純
錫(99.999%)を用いて調整した。また、必要に応じ
て、キシダ化学製純Bi、Ag(99.99 %)及びメーラ
ー社製純アルミナ(99.99 %,0.06μm)を添加して合
金を調整した。
【0024】実施の形態1 No.1の鉛蓄電池では、Ca0.09質量%- Sn1.0 質
量%になるように合金を調整し、550 ℃に調整された溶
湯を200 ±5℃に温調された金型に約30秒で鋳込み、約
20秒後に離型し、25±3℃の室温で1時間放置し、60℃
雰囲気中で16時間時効硬化し、正極板の格子集電体を得
た。
【0025】No.2の鉛蓄電池では、Ca0.07質量%
- Sn1.3 質量%になるように合金を調整し、550 ℃に
調整された溶湯を200 ±5℃に温調された金型に約30秒
で鋳込み、約20秒後に離型し、25±3℃の室温で1時間
放置し、60℃雰囲気中で16時間時効硬化し、正極板の格
子集電体を得た。
【0026】No.3の鉛蓄電池では、Ca0.07質量%
- Sn1.2 質量%になるように合金を調整し、550 ℃に
調整された溶湯を200 ±5℃に温調された金型に約30秒
で鋳込み、約20秒後に離型し、25±3℃の室温で1時間
放置し、60℃雰囲気中で16時間時効硬化し、正極板の格
子集電体を得た。
【0027】No.4の鉛蓄電池では、Ca0.09質量%
- Sn1.5 質量%になるように合金を調整し、550 ℃に
調整された溶湯を200 ±5℃に温調された金型に約30秒
で鋳込み、約20秒後に離型し、25±3℃の室温で1時間
放置し、60℃雰囲気中で16時間時効硬化し、正極板の格
子集電体を得た。
【0028】No.5の鉛蓄電池では、Ca0.10質量%
- Sn2.0 質量%になるように合金を調整し、550 ℃に
調整された溶湯を200 ±5℃に温調された金型に約30秒
で鋳込み、約20秒後に離型し、25±3℃の室温で1時間
放置し、60℃雰囲気中で16時間時効硬化し、正極板の格
子集電体を得た。
【0029】No.6の鉛蓄電池では、Ca0.11質量%
- Sn2.5 質量%になるように合金を調整し、550 ℃に
調整された溶湯を200 ±5℃に温調された金型に約30秒
で鋳込み、約20秒後に離型し、25±3℃の室温で1時間
放置し、60℃雰囲気中で16時間時効硬化し、正極板の格
子集電体を得た。
【0030】No.1〜No.6の正極板の格子集電体
の一部を樹脂埋めして、日本研紙製エメリペーパ及び丸
本工業製バフ上に純アルミナ粉末を分散させ、研磨を行
ない、酢酸−エタノール−過酸化水素−水からなるエッ
チング液中で15秒処理して組織観察を行なった次のよう
な結果が得られた。
【0031】No.1の鉛蓄電池の正極板の格子集電体
では、図1に示すように全面に鋸歯状のPb3 Caの不
連続析出が拡がった組織を呈していた。
【0032】No.2の鉛蓄電池の正極板の格子集電体
では、図2に示すように結晶粒が粗大で粒界が直線的な
組織を呈していた。
【0033】No.3〜No.6の鉛蓄電池の正極板の
格子集電体では、図3に示すように結晶粒が大きいが、
粒界付近のみにPb3 Caが析出して、この部分にのみ
鋸歯状の析出が見られる組織を呈していた。
【0034】上記No.1〜No.6の鉛蓄電池の正極
板の格子集電体に対して金属鉛を25質量%含む一酸化鉛
を主成分とする酸化鉛からなる鉛粉A:85質量部に対し
て当社名張工場製の鉛丹15質量部からなる鉛粉B:都合
全鉛粉100 質量部に対して35質量%硫酸15.7質量部、プ
ラスチック繊維0.15質量部を水に連合して得たペースト
を既化活物質換算で1020g充填した後、熟成,乾燥を経
てNo.1〜No.6の鉛蓄電池の未化成正極板を得
た。
【0035】これらNo.1〜No.6の鉛蓄電池の正
極板の格子集電体の組成と該No.1〜No.6の鉛蓄
電池の寿命を試験したところ、表1に示す結果が得られ
た。
【0036】
【表1】 この表1によれば、Caを0.070 〜0.11質量%含み、且
つSnを1.2 質量%以上含むNo.3〜No.6の鉛蓄
電池が、他の鉛蓄電池より電池寿命が長くなることが分
かった。即ち、No.3〜No.6が本発明品で、N
o.1とNo.2が比較例である。
【0037】実施の形態2 No.5の鉛蓄電池の正極板の格子集電体で調整した合
金を、550 ℃に調整された溶湯にそのままあるいは必要
に応じてAl23 を添加して200 ±5℃に温調された
金型に約30秒で鋳込み、約20秒後に離型し、15℃−50リ
ットルの水槽中で約30秒間急冷し、その後25±3℃の室
温で1時間放置し、表2に示した雰囲気中で熱処理し、
No.7〜No.15の鉛蓄電池の正極板の格子集電体
を得た。
【0038】これらNo.7〜No.15の鉛蓄電池の
格子集電体を構成する正極格子合金の結晶粒子断面積及
び該No.7〜No.15の鉛蓄電池の寿命を試験した
ところ、表1に示す結果が得られた。
【0039】
【表2】 この表2によれば、No.8〜No.14に示す鉛蓄電
池のように、正極格子合金の平均粒子断面積を2mm2
〜0.02mm2 にすると、他の鉛蓄電池より電池寿命をさ
らに長くすることができることが分かった。
【0040】実施の形態3 No.5の鉛蓄電池の正極板の格子集電体で調整した合
金を、表3の条件で金型に鋳込み、約20秒後に離型し、
25±3℃の室温で1時間放置し、60℃の雰囲気中で16時
間時効硬化し、No.16〜No.20の鉛蓄電池の正
極板の格子集電体を得た。なお、粒界及び粒内のSnは
X線マイクロアナライザー(明石製作所製:ALPHA-30W
)により分析した。
【0041】これらNo.16〜No.20の鉛蓄電池
の正極板の格子集電体の結晶粒界と結晶粒内のSn濃度
比及び該No.16〜No.20の鉛蓄電池の寿命を試
験したところ、表3に示す結果が得られた。
【0042】
【表3】 この表3によれば、No.17〜No.19に示す鉛蓄
電池のように、正極板の格子集電体の結晶粒界と結晶粒
内のSn濃度比を0.8 〜1.2 にすることにより、Snの
粒界偏析を防止でき、耐蝕性が高くなって、他の鉛蓄電
池より安定性が高く寿命の長い鉛蓄電池を得ることがで
きることが分かった。
【0043】実施の形態4 No.21の鉛蓄電池では、No.3の鉛蓄電池の正極
板の格子集電体で調整した合金にBiを10ppm添加し
て合金を調整し、550 ℃に調整された溶湯を200 ±5℃
に温調された金型に約30秒で鋳込み、約20秒後に離型
し、25±3℃の室温で1時間放置し、60℃の雰囲気中で
16時間時効硬化して正極板の格子集電体を得た。同様
に、No.22〜No.24の鉛蓄電池では、それぞれ
No.4〜No.6の鉛蓄電池の正極板の格子集電体で
得た合金にBiを10ppm添加して、同様な方法で正極
板の格子集電体を得た。No.25の鉛蓄電池ではCa
0.11質量%- Sn2.5 質量%- 20ppmBi合金を、N
o.26の鉛蓄電池ではCa0.11質量%- Sn2.5 質量
%- 50ppmBi合金を、それぞれ550 ℃に調整された
溶湯を200 ±5℃に温調された金型に約30秒で鋳込み、
約20秒後に離型し、25±3℃の室温で1時間放置し、60
℃の雰囲気中で16時間時効硬化して正極板の格子集電体
を得た。No.25の鉛蓄電池で得た合金を用いて、N
o.17〜No.19と同様の方法で格子集電体を作成
し、No.27〜No.29の鉛蓄電池の正極板の格子
集電体を得た。
【0044】かくして得られた鉛蓄電池の寿命試験結果
を表4に示す。
【0045】
【表4】 この表4によれば、No.21〜No.29に示す鉛蓄
電池のように、正極板の格子集電体中にBiを10ppm
以上含ませることにより、結晶粒界のβ相の不連続析出
を結晶粒界付近に安定して固定することができ、高温使
用時の安定性を増加させることができ、他の鉛蓄電池に
比べて高温トリクル時の電池寿命を延ばすことができる
ことが分かった。
【0046】実施の形態5 No.31〜No.33の鉛蓄電池では、No.3の鉛
蓄電池の正極板の格子集電体で得た合金にAgを5,10
0 ,1000ppm添加して合金を調整し、550 ℃に調整さ
れた溶湯を200 ±5℃に温調された金型に約30秒で鋳込
み、約20秒後に離型し、25±3℃の室温で1時間放置
し、60℃の雰囲気中で16時間時効硬化して正極板の格子
集電体を得た。No.32の鉛蓄電池の正極板の格子集
電体で得た合金を、No.17〜No.19と同様の方
法で正極板の格子集電体を作成し、No.34〜No.
36の鉛蓄電池の正極板の格子集電体とした。
【0047】上述のNo.31〜No.35の鉛蓄電池
の正極板の格子集電体に対して、金属鉛を25質量%含む
一酸化鉛を主成分とする酸化鉛からなる鉛粉A:85質量
部に対して当社名張工場製の鉛丹15質量部からなる鉛粉
B:都合全鉛粉100 質量部に対して35質量%硫酸15.7質
量部、プラスチック繊維0.15質量部を水に連合して得た
ペーストを既化活物質換算で1020g充填した後、熟成,
乾燥を経てNo.1〜No.6の鉛蓄電池の未化成正極
板を得た。
【0048】かくして得られた鉛蓄電池の寿命試験結果
を表5に示す。
【0049】
【表5】 この表5によれば、No.31〜No.36に示す鉛蓄
電池のように、正極板の格子集電体の格子粒界中にAg
を1〜1000ppm含ませることにより、粒界にAgを析
出させることができて、粒界が強化され、他の鉛蓄電池
に比べて高温トリクル性能を長くすることができること
が分かった。
【0050】
【発明の効果】本発明に係る請求項1に記載の鉛蓄電池
では、正極板の格子集電体のPb- Ca- Sn合金の結
晶粒内に連続析出により析出硬化させると共に粒界付近
のみを鋸歯状のβ相即ち不連続析出したPb3 Caを存
在させることにより、結晶粒を粒界脆化の原因であるP
b- Snの不連続析出を防ぐことができる。また、Sn
を多く固溶させ、耐蝕性を高めると共に(Pb,Sn)
3 Caからなるγ相を連続析出させることにより、時効
硬化による変形強度が上昇し且つ耐蝕性を向上させるこ
とができる。これと併せて、結晶粒界付近にβ相の不連
続析出を出現させることにより、結晶粒界での滑りを防
ぎ、なお一層腐食変形の少ない正極板の格子集電体を得
ると共に脆化の原因となるPb- Snの二次元系の不連
続析出を防ぐことができるので、理想的な結晶粒とな
り、寿命特性の良好な鉛蓄電池を得ることができる。
【0051】また、請求項2に記載の発明では、正極格
子合金の平均粒子断面積を2mm2〜0.02mm2 にして
いるので、腐食速度が遅く、破断の少ない格子集電体と
なり、鉛蓄電池の寿命特性を延ばすことができる。
【0052】また、請求項3に記載の発明では、正極板
の格子集電体の結晶粒界と結晶粒内に存在するSnの濃
度比を0.8 〜1.2 にしたので、Snの粒界偏析を防止で
き、耐蝕性が高くなって、安定性が高く寿命の長い鉛蓄
電池を得ることができる。
【0053】また、請求項4に記載の発明では、正極板
の格子集電体中にBiを10ppm以上含ませているの
で、結晶粒界のβ相の不連続析出を結晶粒界付近に安定
して固定することができ、高温使用時の安定性を増加さ
せ、高温トリクル時の電池寿命を延ばすことができる。
【0054】さらに、請求項5に記載の発明では、正極
板の格子集電体の格子粒界中にAgを1〜1000ppm含
ませたので、粒界にAgを析出させることができて、粒
界が強化され、高温トリクル性能を長くすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】No.1の鉛蓄電池の正極板の格子集電体の金
属組織を示す図面代用顕微鏡写真である。
【図2】No.2の鉛蓄電池の正極板の格子集電体の金
属組織を示す図面代用顕微鏡写真である。
【図3】No.3〜No.6の鉛蓄電池の正極板の格子
集電体の金属組織を示す図面代用顕微鏡写真である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極板の格子集電体がCaを0.070 〜0.
    11質量%含み、且つSnを1.2 質量%以上含むPb- C
    a- Sn合金で形成され、該格子集電体が(Pb,S
    n)3 Caの連続析出物を有し且つ結晶粒界付近にのみ
    鋸歯状のPb3 Caの不連続析出を有することを特徴と
    する鉛蓄電池。
  2. 【請求項2】 正極板の前記格子集電体を形成している
    正極格子合金の平均粒子断面積が2mm2 〜0.02mm2
    であることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 【請求項3】 正極板の前記格子集電体の結晶粒界と結
    晶粒内に存在するSnの濃度比が0.8 〜1.2 であること
    を特徴とする請求項1または2に記載の鉛蓄電池。
  4. 【請求項4】 正極板の前記格子集電体中にBiが10p
    pm以上含まれていることを特徴とする請求項1,2ま
    たは3に記載の鉛蓄電池。
  5. 【請求項5】 正極板の前記格子集電体の格子粒界中に
    Agが1〜1000ppm含まれていることを特徴とする請
    求項1,2または3に記載の鉛蓄電池。
JP36939899A 1999-12-27 1999-12-27 鉛蓄電池 Abandoned JP2001185155A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36939899A JP2001185155A (ja) 1999-12-27 1999-12-27 鉛蓄電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36939899A JP2001185155A (ja) 1999-12-27 1999-12-27 鉛蓄電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001185155A true JP2001185155A (ja) 2001-07-06

Family

ID=18494322

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36939899A Abandoned JP2001185155A (ja) 1999-12-27 1999-12-27 鉛蓄電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001185155A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005093305A (ja) * 2003-09-19 2005-04-07 Furukawa Battery Co Ltd:The 鉛蓄電池用電極基板
US7678496B2 (en) * 2004-08-26 2010-03-16 Shin-Kobe Electric Machinery Co., Ltd. Current collector of lead-acid storage battery, and lead-acid storage battery

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005093305A (ja) * 2003-09-19 2005-04-07 Furukawa Battery Co Ltd:The 鉛蓄電池用電極基板
US7678496B2 (en) * 2004-08-26 2010-03-16 Shin-Kobe Electric Machinery Co., Ltd. Current collector of lead-acid storage battery, and lead-acid storage battery

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20050221191A1 (en) Lead alloy and lead storage battery using it
JP4613550B2 (ja) 鉛蓄電池集電体及び鉛蓄電池
JP3555877B2 (ja) 電池グリッド用合金
AU2003227501B2 (en) Lead-based alloy for lead-acid battery, substrate for lead-acid battery and lead-acid battery
JP4160856B2 (ja) 鉛蓄電池用鉛基合金及びこれを用いた鉛蓄電池
JP3987370B2 (ja) 鉛蓄電池用正極板及びこれを用いた鉛蓄電池
JP4646572B2 (ja) 密閉型鉛蓄電池用正極板および前記正極板を用いた密閉型鉛蓄電池
JP4274873B2 (ja) 鉛蓄電池用基板およびそれを用いた鉛蓄電池
JP2002175798A (ja) 密閉型鉛蓄電池
US2694628A (en) Grid metal alloy
JP2001185155A (ja) 鉛蓄電池
JP2000513140A (ja) 鉛蓄電池セル及び陽極プレート及びこれらで使用する合金
JP3099328B2 (ja) 鉛蓄電池
JP4093749B2 (ja) 鉛蓄電池用鉛基合金
JPS6127066A (ja) 鉛蓄電池用格子体及びその製造法
JP2004200028A (ja) 鉛蓄電池極板格子の製造方法
JP4248446B2 (ja) 鉛蓄電池用鉛基合金および前記鉛基合金を正極基板に用いた鉛蓄電池
JP4503358B2 (ja) 鉛蓄電池
KR20070069495A (ko) 납축전지용 그리드 합금
JP2002134116A (ja) 鉛蓄電池用鉛基合金
Misra Electrochemical principles as applied to grid corrosion in lead-acid batteries
JP3036235B2 (ja) 鉛蓄電池のエキスパンド格子体
JP2000021413A (ja) 鉛蓄電池用正極格子体
JP2003178806A (ja) 鉛蓄電池の充電制御方法
JPS63141263A (ja) 蓄電池用鉛基合金

Legal Events

Date Code Title Description
A762 Written abandonment of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762

Effective date: 20050106

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050121