JP2003304007A - 圧電素子およびその製造方法 - Google Patents

圧電素子およびその製造方法

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JP2003304007A
JP2003304007A JP2002107615A JP2002107615A JP2003304007A JP 2003304007 A JP2003304007 A JP 2003304007A JP 2002107615 A JP2002107615 A JP 2002107615A JP 2002107615 A JP2002107615 A JP 2002107615A JP 2003304007 A JP2003304007 A JP 2003304007A
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film
piezoelectric
electrode
electrode film
piezoelectric element
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JP2002107615A
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Kazuki Komaki
一樹 小牧
Yuji Murashima
祐二 村嶋
Masaya Nakatani
将也 中谷
Hirobumi Tajika
博文 多鹿
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高品質の圧電素子とこの圧電素子に用いられ
る圧電膜を品質良く形成するための圧電素子の製造方法
を提供することを目的とする。 【解決手段】 支持体4の上に第一の電極膜2、この第
一の電極膜2上に圧電膜1、この圧電膜1上に第二の電
極膜3を設けた圧電素子において、上記第一の電極膜2
の厚みを50nm以下とした圧電素子であり、第一の電
極膜2の結晶配向6がほぼ単一方位にできることから、
第一の電極膜2の上に良好な結晶性の圧電膜1が形成で
き圧電素子としての特性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種センサやアクチ
ュエータなど幅広いデバイスに使用される圧電素子およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ペロブスカイト型構造を有する誘
電体薄膜は、優れた強誘電性、圧電性、焦電性および電
気光学特性を示し、各種センサやアクチュエータなど幅
広いデバイスに有効な材料として注目されており、今後
その利用範囲は拡大していくと思われる。
【0003】誘電体薄膜の代表例として、ABO3構造
を示すPb(ZrxTi1-x)O3系薄膜は、高い圧電性
を有することから、圧電センサや圧電アクチュエータな
どの圧電素子の圧電膜として利用されている。圧電セン
サは、強誘電性の圧電効果を利用したものであり、強誘
電体は内部に自発分極を有しており、その表面に正およ
び負電荷を発生させる。大気中における定常状態では大
気中の分子が持つ電荷と結合して中性状態になっている
が、この圧電膜に外圧がかかると圧電膜から圧力量に応
じた電気信号を取り出すことができる。また圧電アクチ
ュエータも同様の原理を用いたもので、圧電膜に電圧を
印加するとその電圧に応じて圧電膜が伸縮し、伸縮方向
あるいはその方向に直行する方向に変位を生じさせるこ
とができる。
【0004】このような圧電素子は基本的に少なくとも
圧電膜とこの圧電膜の両面の電極とから構成される。
【0005】以下に代表的な圧電素子の基本構造につい
て図面を参照しながら説明する。
【0006】図4は代表的な圧電素子の構成を示す断面
図である。
【0007】圧電膜1は厚み方向に分極方向を持ち圧電
膜1の分極方向に直交する両面にそれぞれ第一の電極膜
2と第二の電極膜3が形成されている。そのうち第一の
電極膜2は圧電膜1の伸縮を伸縮方向と直交する方向に
変位方向を変換するための振動板の役目をあわせ持つ。
第一の電極膜2と第二の電極膜3で挟まれた圧電膜1は
支持体4と周縁部のみで固定されており、圧電膜1の下
の大部分は空洞5になっている。このような構造の圧電
素子に接する第一および第2の電極膜2,3に電圧を印
加すると圧電膜1が伸縮し、結果的に圧電膜1の分極方
向に変位が得られる。
【0008】このような圧電素子の性能は圧電膜1の性
能が大きく寄与しているため、圧電膜1の品質をいかに
向上させるかが重要である。また、圧電膜1の品質はそ
の形成方法にも大きく影響される。
【0009】以下に圧電素子の形成方法について図面を
参照しながら説明する。
【0010】図5は圧電素子を形成する際に用いる第一
および第二の電極膜2,3、圧電膜1の構成を示す断面
図である。
【0011】基板7の上に第一の電極膜2を形成し、そ
の第一の電極膜2の上に圧電膜1を形成し、そしてこの
圧電膜1の上に第二の電極膜3を形成する。但し、実際
にこれを圧電素子として用いる場合は圧電膜1の下の基
板7の一部を除去し、さらに第二の電極膜3と圧電膜1
の一部をウエットもしくはドライエッチングによって除
去し、第一の電極膜2の一部を露出する必要がある。
【0012】ここで、圧電膜1と第一および第二の電極
膜2,3の形成には一般的にスパッタ装置が用いられ
る。図3は薄膜形成用のスパッタ装置の構成を示す模式
図である。
【0013】槽21の内部には成膜したい材料の組成で
構成されたターゲット22を下部電極(以下、陰極:図
示せず)に、そして基板設置用の基板ホルダー23を上
部電極(図示せず)に配置する。
【0014】基板ホルダー23には成膜したい面をター
ゲット22に向けて基板7を支持して基板ホルダー23
の内部には基板加熱用の加熱ヒータ24を備えてある。
さらに槽21の内部を排気するための排気ポンプ25、
そして槽21の内部へのガス供給用のアルゴンガス26
のボンベおよび酸素ガス27のボンベを備えて配管して
ある。
【0015】以上のように構成されるスパッタ装置を用
いて、圧電膜1と第一および第二の電極膜2,3の製造
方法について、以下に説明する。
【0016】例えばガラスやシリコン等から成る基板7
を基板ホルダー23に取り付け、排気ポンプ25によっ
て槽21の内部を10-5Pa程度まで真空排気し、基板
7を加熱ヒータ24で所望の温度にまで加熱し、スパッ
タガスであるアルゴンガス26および酸素ガス27を導
入する。さらに高周波電源28によって高周波電力を陰
極に印加することでターゲット22からスパッタ粒子
(図示せず)が飛び出し、基板7に所望の薄膜が形成で
きる。
【0017】特性の良好な圧電素子を実現するために
は、高品質の圧電膜を用いることが重要であり、圧電膜
の組成や結晶性を精度よく制御する製造方法の開発が重
要である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】高い圧電特性を有する
ペロブスカイト型構造の誘電体薄膜は、形成方法や形成
条件によって圧電特性が大きく変化するため、安定して
優れた圧電特性を得ることが非常に困難であった。
【0019】本発明は前記従来の問題点を解決するもの
で、高品質の圧電素子とこの圧電素子に用いられる圧電
膜を品質良く形成するための圧電素子の製造方法を提供
することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、以下の構成を有するものである。
【0021】本発明の請求項1に記載の発明は、支持体
上に第一の電極膜、この第一の電極膜上に圧電膜、この
圧電膜上に第二の電極膜を設けた圧電素子において、上
記第一の電極膜の厚みを50nm以下とした圧電素子で
あり、結晶配向をほぼ単一にした第一の電極膜上に良好
な結晶性の圧電膜を形成することができ圧電素子として
の特性を向上させることができる。
【0022】請求項2に記載の発明は、支持体上に第一
の電極膜、この第一の電極膜上に圧電膜、この圧電膜上
に第二の電極膜を形成する圧電素子の製造方法におい
て、圧力が20mTorr以上のスパッタリングにより
上記第一の電極膜を形成する圧電素子の製造方法であ
り、結晶配向をほぼ単一にした第一の電極膜上に良好な
結晶性の圧電膜が形成できることで安定して優れた圧電
素子を得ることができる。
【0023】請求項3に記載の発明は、支持体上に第一
の電極膜、この第一の電極膜上に圧電膜、この圧電膜上
に第二の電極膜を形成する圧電素子の製造方法におい
て、スパッタリングのターゲットに1.23W/cm2
以下の電力密度を印加して第一の電極膜を形成する圧電
素子の製造方法であり、結晶配向をほぼ単一にした第一
の電極膜上に良好な結晶性の圧電膜が形成できることで
安定して優れた圧電素子を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)以下、本発明の
実施の形態1における圧電素子の形成方法について、図
面を参照しながら説明する。
【0025】図1は本発明の実施の形態1における圧電
素子の構成を示す断面図である。
【0026】実施の形態1では、圧電膜としてPbZr
0.5Ti0.53膜(以下PZT膜と称す)、第一の電極
膜2として白金膜、さらに第二の電極膜3として白金膜
をそれぞれ形成した。4は支持体、5はこの支持体4に
設けた空洞である。
【0027】次に図2を用いて圧電素子の製造方法につ
いて説明する。
【0028】まず、第一の電極膜2の形成には従来の技
術で説明した図3のスパッタ装置を用いた。ここで、タ
ーゲット22には、電極材料の白金からなる4インチの
ターゲット22を用いて槽21の内部の陰極(図示せ
ず)に設置し、基板ホルダー23には基板7を設置し
た。このような装置において、まず排気ポンプ25によ
って槽21の内部を10-5Pa程度にまで真空排気し、
基板7を加熱ヒータ24で400℃にまで加熱し、さら
にスパッタガスであるアルゴンガス26を10sccm
の流量で導入した。この際のガス圧は5mTorrに調
節し、さらに高周波電源28によって150Wの高周波
電力を陰極に印加し、10分間のスパッタリングによっ
て基板7の上に白金膜を50nm形成した。
【0029】次に、第一の電極膜2の上に形成する圧電
膜1も同様の形態のスパッタ装置を用いた。ここで、タ
ーゲット22には、PZTからなる10インチのターゲ
ット22を用い、槽21の内部の陰極に設置し、そして
基板ホルダー23には予め上記方法で第一の電極2を形
成した基板7を設置し、排気ポンプ25によって槽21
の内部を10-5Pa程度にまで真空に排気し、基板7を
加熱ヒータ24で600℃にまで加熱し、さらにスパッ
タガスであるアルゴンガス26および酸素ガス27をそ
れぞれ10sccm,1sccmの流量で導入した。こ
の際のガス圧は2.0mTorrに調節した。さらに高
周波電源28によって1kWの高周波電力を陰極に印加
し、3時間のスパッタリングによって2.0μm厚みの
PZTの圧電膜1を形成した。
【0030】さらに、圧電膜1の上に形成する第二の電
極膜3も同様のスパッタ装置を用いて第一の電極2と同
様の方法によって20nm厚みの白金膜を形成した。
【0031】次にこのようにして製造された圧電素子に
ついて、さらに具体的に説明する。
【0032】圧電膜1は厚み方向に分極方向を持ち、圧
電膜1の分極方向に直交する両面に第一の電極膜2と第
二の電極膜3が形成され、一方の第一の電極膜2は圧電
膜1の伸縮を伸縮方向と直交する方向に変位方向を変換
するための振動板の役目をあわせ持つ。この第一および
第二の電極膜2,3で挟まれた圧電膜1は支持体4の周
縁部のみで固定されており、圧電膜1の下の大部分は空
洞5になっており、このような構造の圧電素子に対する
第一および第二の電極膜2,3に電圧を印加すると、圧
電膜1が伸縮し、結果的に圧電膜1の分極方向に変位が
得られる。
【0033】以上のように形成した圧電膜1としてのP
ZT膜の結晶性をX線回折装置によって評価した。PZ
T膜を圧電素子に用いる際、PZT膜の結晶配向6は
(001)方位に単一配向していることが望ましく、こ
こでの結晶性の比較はPZT膜の結晶配向6が(00
1)方位に配向していること、かつX線回折によって求
めた結晶配向6の(001)方位のピーク強度が高いこ
とを指標とした。上記方法で形成したPZT膜は結晶配
向6の(001)方位に配向しており、かつこのピーク
強度は240kcpsと非常に良好な結晶性を示した。
このときのXRD回折装置の測定条件は管電流30m
A、管電圧30kVである。
【0034】一方、図5に示す従来技術では第一の電極
膜2を形成する際に実施の形態1と同様の加熱温度、ア
ルゴンガス26の流量、ガス圧、ターゲット22への印
加電力としながら成膜時間を40分として200nm厚
みの白金膜を形成し、その白金膜上に上記と同様の方法
によって圧電膜1であるPZT膜、そして第二の電極膜
3である白金膜を形成していた。この結果、得られたP
ZT膜の結晶配向6の少しは、(001)方位に配向し
ているものの、ピーク強度は100kcpsと低かっ
た。
【0035】実施の形態1における第一の電極膜2であ
る白金膜の厚みを200nmから50nmと低減し、そ
の上にPZT膜を形成することによって、著しくPZT
膜の結晶性を良化できることが確認できた。
【0036】従来の技術で説明した加熱温度、アルゴン
ガス26の流量、ガス圧、さらに印加する電力といった
スパッタ条件下で基板7の上に第一の電極膜2である白
金膜を形成した場合、この白金膜の結晶配向6は(11
1)方位が優先配向となる。本実施の形態1では、PZ
T膜の結晶配向6を(001)方位に配向させる目的が
あり、この白金膜の結晶配向6の(111)方位はこれ
を阻害する結晶配向6となる。実際白金膜の結晶配向6
の(111)方位に形成したPZT膜の結晶配向6は
(111)方位に優先配向しやすいことが確認できた。
【0037】一方、白金膜の膜厚が増加するとともに結
晶配向6が(001)方位あるいは(001)方位や
(111)方位などの他方位が混在したランダムな結晶
配向6から(111)方位の単一配向に移行していくこ
とが推測される。これらのことから、本実施の形態1で
は、第一の電極膜2の膜厚を50nm以下とし、第一の
電極膜2の結晶配向6の(111)方位を低減すること
で、その上に形成した圧電膜1の結晶配向6の(00
1)方位を向上させることができたものであると考え
る。
【0038】また、第一の電極2の厚みに関しては上記
の実施の形態1では50nmと200nmの場合の比較
について説明したが、厚みが50nm以下の第一の電極
膜2の上に形成したPZT膜の結晶性で著しく良化傾向
があることが確認できた。
【0039】以上のように、圧電素子の性能を左右する
圧電膜1は第一の電極膜2によるところが大きく、実施
の形態1において、第一の電極膜2の膜厚を50nm以
下にして結晶配向6をほぼ単一方向にできたことで良好
な結晶性の圧電膜1が形成でき、これにより、圧電素子
としての特性を向上させることができるという効果が得
られた。
【0040】(実施の形態2)以下、本発明の実施の形
態2における圧電素子の製造方法について、図面を参照
しながら説明する。
【0041】図2は本実施の形態2における第一および
第二の電極膜2,3、圧電膜1の構成を示す断面図であ
る。
【0042】まず、第一の電極膜2は従来の技術で説明
した図3のスパッタ装置を用いて形成した。ここで、タ
ーゲット22には、電極材料の白金からなる4インチの
ターゲット22を用い、槽21の内部の陰極に設置し
た。そして基板ホルダー23には基板7を設置し、排気
ポンプ25によって槽内10-5Pa程度にまで真空に排
気し、基板7を加熱ヒータ24で400℃にまで加熱
し、さらにスパッタガスであるアルゴンガス26を10
sccmの流量で導入した。この際のガス圧は25mT
orrに調節し、さらに高周波電源28によって150
Wの高周波電力を陰極に印加し、40分間のスパッタリ
ングによって基板7の上に白金膜を200nm形成し
た。
【0043】次に、第一の電極膜2の上の圧電膜1の形
成も同様の形態のスパッタ装置を用いた。ここで、ター
ゲット22には、PZTからなる10インチのターゲッ
ト22を用い、槽21の内部の下部電極(陰極)に設置
し、基板ホルダー23には予め上記の方法で第一の電極
膜2を形成した基板7を設置し、排気ポンプ25によっ
て槽21の内部を10-5Pa程度にまで真空に排気し、
基板7を加熱ヒータ24で600℃にまで加熱し、さら
にスパッタガスでアルゴンガス26および酸素ガス27
をそれぞれ10sccm,1sccmの流量で導入し
た。この際のガス圧は2.0mTorrに調節し、さら
に高周波電源28によって1kWの高周波電力を陰極に
印加し、3時間のスパッタリングによって2.0μm厚
みのPZT膜を形成した。
【0044】さらに、圧電膜1上の第二の電極膜3の形
成も同様のスパッタ装置を用いて第一の電極膜2と同様
の方法によって20nm厚みのPt膜を形成した。
【0045】以上のように形成したPZT膜の結晶性を
X線回折装置によって評価した。
【0046】PZT膜を圧電素子として用いる際、PZ
T膜の結晶配向6は(001)方位に単一配向している
ことが望ましく、ここでの結晶性の比較は、PZT膜の
結晶方位6が(001)方位に配向していること、かつ
X線回折によって求めた(001)方位のピーク強度が
高いことを指標とした。
【0047】上記方法で形成したPZT膜の結晶配向6
は(001)方位に配向しており、かつこのピーク強度
は170kcpsと良好な結晶性を示した。このときの
XRD回折装置の測定条件は管電流30mA、管電圧3
0kVである。
【0048】一方、図5に示す従来の技術では上記の製
造方法のうち第一の電極膜2を形成する際に実施の形態
2と同様の加熱温度、アルゴンガス26の流量、ターゲ
ットへの印加電力、さらに同様の膜厚としながら、ガス
圧を5mTorrとして白金膜を形成し、その白金膜の
上に上記と同様の方法によって圧電膜1であるPZT
膜、そして第二の電極膜3である白金膜を形成してい
た。その結果、得られたPZT膜の結晶配向6の少し
は、(001)方位に配向しているものの、ピーク強度
は100kcpsと低かった。
【0049】従って、第一の電極膜2を形成する際のガ
ス圧を5mTorrから25mTorrと増加し、その
上にPZT膜を形成することによって、PZT膜の結晶
性を良化できることが確認できた。
【0050】上記実施の形態1で説明したように、実施
の形態2においても白金膜上にPZT膜の結晶配向6を
(001)方位に配向させる目的があり、白金膜の(1
11)方位はこれを阻害する結晶配向6となる。白金膜
の結晶構造は立方晶であり、この膜を形成した際の優先
配行は(111)方位となりやすいが、白金膜を形成す
る際に限られたスパッタ条件下で(111)方位から
(100)方位に優先配向が変わる。実施の形態2で
は、ガス圧の増加とともに白金膜の(111)方位が低
下し、逆に(100)方位が強まる傾向があり、これに
伴ってその上のPZT膜の結晶配向6の(001)方位
を強めることができたと考える。
【0051】また、第一の電極膜2を形成する際のガス
圧に関しては上記の実施の形態2では5mTorrと2
5mTorrとの比較について説明したが、20mTo
rr以上の圧力下で形成した第一の電極膜2上に形成し
たPZT膜の結晶性で良化傾向があることが確認できて
いる。
【0052】さらに、本実施の形態2で説明した製造方
法による圧電膜1と第一および第2の電極膜2,3を用
いて形成した圧電素子は、従来の方法による圧電膜1と
第一および第二の電極膜2,3を用いて形成した圧電素
子に比べて良好な圧電特性を示すことも確認した。
【0053】以上のように、圧電素子の性能を左右する
圧電膜1は第一の電極膜2によるところが大きく、圧力
が20mTorr以上のスパッタリングにより第一の電
極膜2を形成することで結晶配向6をほぼ単一にでき、
さらにこの第一の電極膜2上に良好な結晶性の圧電膜が
形成できることで安定して優れた圧電素子を得ることが
できる。
【0054】(実施の形態3)以下、本発明の実施の形
態3における圧電素子の形成方法について、図面を参照
しながら説明する。
【0055】図1は本発明の実施の形態3における第一
および第二の電極膜2,3、圧電膜1の構成を示す断面
図である。
【0056】まず、第一の電極膜2は従来の技術で説明
した図3のスパッタ装置を用いて形成した。ここで、タ
ーゲット22には、電極材料の白金からなる4インチの
ターゲット22を用い、槽21の内部の陰極に設置し、
基板ホルダー23には基板7を設置した。このような装
置において、まず排気ポンプ25によって槽21の内部
を、10-5Pa程度にまで真空に排気し、基板7を加熱
ヒータ24で400℃にまで加熱し、さらにスパッタガ
スであるアルゴンガス26を10sccmの流量で導入
した。この際のガス圧は5mTorrに調節し、さらに
高周波電源28によって90Wの高周波電力を陰極に印
加し、80分間のスパッタリングによって基板7の上に
白金膜を200nm形成した。
【0057】次に、第一の電極膜2の圧電膜1の形成も
同様の形態のスパッタ装置を用いた。ここで、ターゲッ
ト22には、PZTからなる10インチのターゲット2
2を用い、槽21の内部の陰極に設置し、そして基板ホ
ルダー23には予め上記の方法によって第一の電極膜2
を形成した基板7を設置した。このような装置におい
て、まず排気ポンプ25によって槽21の内部を10-5
Pa程度にまで真空に排気し、基板7を加熱ヒータ24
で600℃にまで加熱し、さらにスパッタガスであるア
ルゴンガス26および酸素ガス27をそれぞれ10sc
cm,1sccmの流量で導入した。この際のガス圧は
2.0mTorrに調節した。さらに高周波電源28に
よって1kWの高周波を陰極に印加し、3時間のスパッ
タリングによって2.0μm厚みのPZT膜を形成し
た。
【0058】さらに、圧電膜1上への第二の電極膜3の
形成には同様のスパッタ装置を用いて第一の電極膜2と
同様の方法によって20nm厚みの白金膜を形成した。
【0059】以上のように形成したPZT膜の結晶性を
X線回折装置によって評価した。
【0060】PZT膜を圧電素子として用いる際、PZ
T膜の結晶配向6は(001)方位に単一配向している
ことが望ましく、ここでの結晶性の比較は、PZT膜が
(001)方位に配向していること、かつX線回折によ
って求めた(001)方位のピーク強度が高いことを指
標とした。上記方法で形成したPZT膜は(001)の
方位に配向しており、かつこのピーク強度は200kc
psと良好な結晶性を示した。このときのXRD回折装
置の測定条件は管電流30mA、管電圧は30kVであ
る。
【0061】一方、従来技術では上記の製造方法のうち
第一の電極膜2を形成する際に、実施の形態3と同様の
加熱温度、アルゴンガス26の流量、ガス圧、さらに同
様の膜厚としながら印加電力を150Wとして膜を形成
し、その上に上記と同様の方法によって圧電膜1である
PZT膜、そして第二の電極膜3である白金膜を形成し
ていた。その結果、得られたPZT膜の結晶配向6の少
しは、(001)方位に配向しているものの、ピーク強
度は150kcpsであった。
【0062】従って、第一の電極膜2を形成する際の印
加電力を150Wから90Wと低減し、その上にPZT
膜を形成することによって、PZT膜の結晶性を良化で
きることが確認できた。
【0063】上記実施の形態1で説明したように、白金
膜上にPZT膜の結晶配向6を(001)方位に配向さ
せる目的があり、白金膜の(111)方位はこれを阻害
する結晶配向6となる。白金膜の結晶構造は立方晶であ
り、この膜を形成した際の優先的な結晶配向6は(11
1)方位となりやすいが、白金膜を形成する際に限られ
たスパッタ条件下で(111)方位から(100)方位
に優先配向が変わる。実施の形態3では、ターゲットに
印加する電力の低減を行うことで白金スパッタ粒子の堆
積速度が低下し、これによって白金膜の(111)方位
が低下し、逆に(100)方位が強まったと考える。こ
れに伴ってその白金膜上のPZT膜の結晶配向6の(0
01)方位を強めることができた。
【0064】本実施の形態3ではターゲットに印加する
電力を低減する手段をとったが、実際にはこれによって
白金膜形成時の堆積速度をコントロールすることが目的
であり、実際にはターゲット22の径によって適用され
る印加電力は変わる。従ってターゲット22に印加する
電力の電力密度に変換することが妥当であり、実施の形
態3における電力密度は1.11W/cm2となる。
【0065】第一の電極膜2を形成する際のターゲット
22に印加する電力密度に関しては、実施の形態3では
1.11W/cm2と1.85W/cm2との比較につい
て説明したが、1.23W/cm2以下の電力密度で形
成した第一の電極膜2の上に形成したPZT膜の結晶性
で良化傾向があることが確認できている。
【0066】さらに、実施の形態3で説明した製造方法
による圧電膜1と第一および第二の電極膜2,3を用い
て形成した圧電素子は、従来方法による圧電膜1と第一
および第二の電極膜2,3を用いて形成した圧電素子に
比べて良好な圧電特性を示すことも確認した。
【0067】以上のように、圧電素子の性能を左右する
圧電膜1は第一の電極膜2によるところが大きく、スパ
ッタリングのターゲットに1.23W/cm2以下の電
力密度を印加して第一の電極膜2を形成することで結晶
配向6をほぼ単一にでき、さらにこの第一の電極膜上に
良好な結晶性の圧電膜が形成できることで安定して優れ
た圧電素子を得ることができる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
支持体上に第一の電極膜、この第一の電極膜上に圧電
膜、この圧電膜上に第二の電極膜を設けた圧電素子にお
いて、上記第一の電極膜の厚みを50nm以下としたも
のであり、第一の電極膜の結晶配向がほぼ単一方位にで
きることから、良好な結晶性の圧電膜が形成でき、これ
によって圧電素子としての特性を向上させることができ
るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1,3における圧電素子の
構成を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態1,2,3における電極膜
および圧電膜の製造方法を示す断面図
【図3】電極膜および圧電膜の形成に用いるスパッタ装
置の構成を示す模式図
【図4】従来の圧電素子の構成を示す断面図
【図5】従来の電極膜および圧電膜の構成を示す断面図
【符号の説明】
1 圧電膜 2 第一の電極膜 3 第二の電極膜 4 支持体 5 空洞 6 結晶配向 7 基板 21 槽 22 ターゲット 23 基板ホルダー 24 加熱ヒータ 25 排気ポンプ 26 アルゴンガス 27 酸素ガス 28 高周波電源
フロントページの続き (72)発明者 中谷 将也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 多鹿 博文 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4K029 BA50 BB02 BC00 BD00 BD03 CA05 DC05 EA03 EA09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に第一の電極膜、この第一の電
    極膜上に圧電膜、この圧電膜上に第二の電極膜を設けた
    圧電素子において、上記第一の電極膜の厚みを50nm
    以下とした圧電素子。
  2. 【請求項2】 支持体上に第一の電極膜、この第一の電
    極膜上に圧電膜、この圧電膜上に第二の電極膜を形成す
    る圧電素子の製造方法において、圧力が20mTorr
    以上のスパッタリングにより上記第一の電極膜を形成す
    る圧電素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 支持体上に第一の電極膜、この第一の電
    極膜上に圧電膜、この圧電膜上に第二の電極膜を形成す
    る圧電素子の製造方法において、スパッタリングのター
    ゲットに1.23W/cm2以下の電力密度を印加して
    上記第一の電極膜を形成する圧電素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008075641A1 (ja) * 2006-12-20 2008-06-26 Ulvac, Inc. 多層膜形成方法及び多層膜形成装置
JPWO2008075641A1 (ja) * 2006-12-20 2010-04-08 株式会社アルバック 多層膜形成方法及び多層膜形成装置

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