JP2002217463A - 圧電体素子およびその形成方法 - Google Patents

圧電体素子およびその形成方法

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JP2002217463A
JP2002217463A JP2001008488A JP2001008488A JP2002217463A JP 2002217463 A JP2002217463 A JP 2002217463A JP 2001008488 A JP2001008488 A JP 2001008488A JP 2001008488 A JP2001008488 A JP 2001008488A JP 2002217463 A JP2002217463 A JP 2002217463A
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Kazuki Komaki
一樹 小牧
Koji Nomura
幸治 野村
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電体素子において、欠陥の少ない高品質の
圧電体素子、および圧電体素子に用いられる圧電体薄膜
を品質良く形成するための薄膜形成方法を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 Pb、ZrおよびTiを含むペロブスカ
イト型の圧電体薄膜とその圧電体薄膜と振動板もしくは
振動板の効果をあわせ持った電極との間にZrを含まな
い酸化物薄膜を設けることからなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電体素子および
その形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ペロブスカイト型構造を有する誘
電体薄膜は、優れた強誘電性、圧電性、焦電性および電
気光学特性を示し、各種センサやアクチュエータなど幅
広いデバイスに有効な材料として注目されており、今後
その利用範囲は拡大していくと思われる。
【0003】誘電体薄膜の代表例として、ABO3構造
を示すPb(ZrxTi1-x)O3系薄膜は、高い圧電性
を有することから、圧電センサや圧電アクチュエータな
どの圧電体素子の圧電体薄膜として利用されている。圧
電センサは、強誘電性の圧電効果を利用したものであ
る。強誘電体は内部に自発分極を有しており、その表面
に正および負電荷を発生させる。大気中における定常状
態では大気中の分子が持つ電荷と結合して中性状態にな
っている。この圧電体に外圧がかかると圧電体から圧力
量に応じた電気信号を取り出すことが出来る。また、圧
電アクチュエータも同様の原理を用いたもので、圧電体
に電圧を印加するとその電圧に応じて圧電体が伸縮し、
伸縮方向あるいはその方向に直交する方向に変位を生じ
させることが出来る。
【0004】このような圧電体素子は基本的に少なくと
も圧電体と電極から構成される。以下に代表的な圧電体
素子の基本構造について図面を参照しながら説明する。
【0005】図5は従来の圧電体素子の構成を示す断面
図である。圧電体1は厚み方向に分極方向を持ち、圧電
体1の分極方向に直交する両表面に電極A2と電極B3
が構成される。そのうち一方の電極B3は圧電体1の伸
縮を伸縮方向と直交する方向に変位方向を変換するため
の振動板の役目をあわせ持つ。この2つの電極2,3で
挟まれた圧電体1は支持体4上に端部で固定されてい
る。支持体4と圧電体1の固定部は端部のみであり、圧
電体1直下の大部分は空洞5になっている。このような
構造の圧電体素子の両電極2,3間に電圧を印加すると
圧電体1が伸縮し、結果的に圧電体1の分極方向の変位
が得られる。このような圧電体素子の性能には圧電体1
自身の性能が寄与する部分が大きく、圧電体1の品質を
いかに向上させるかが重要となる。
【0006】また、圧電体1の品質はその形成方法にも
大きく影響される。以下に圧電体素子の形成方法につい
て図面を参照しながら説明する。
【0007】図6は従来の圧電体素子の圧電部の構成を
示す断面図である。基板6上に電極A2膜を形成し、そ
の直上に圧電体薄膜1を形成する。そしてその圧電体薄
膜1上に電極B3を形成し、さらに基板6を除去するこ
とによって圧電部が実現する。但し、実際には基板6除
去後に、圧電部のうち電極A2膜と圧電体薄膜1の一部
をウェットもしくはドライエッチングによって除去する
ことで電極B3の一部を露出する必要がある。この圧電
部を支持体4に貼り付けることで圧電体素子が出来る。
【0008】ここで、圧電体1および電極2,3の薄膜
の形成には一般的に高周波マグネトロンスパッタ装置が
用いられる。
【0009】図7は薄膜形成用のスパッタ装置の構成を
示す模式図である。図において、槽内には成膜したい材
料の組成で構成されたスパッタターゲット7を下部電極
(陰極)に、そして基板設置用の基板ホルダ8を上部電
極に有する。基板ホルダ8には基板面を下にして基板6
を支持してある。また、基板ホルダ8の内部には基板加
熱用のヒータ9を備えてある。さらに、槽内を排気する
ための排気ポンプ10、そして槽内へのガス供給用のア
ルゴンガスボンベ11および酸素ガスボンベ12を備え
て配管してある。
【0010】以上のように構成されたスパッタ装置を用
いた圧電体薄膜1の形成方法について、以下に説明す
る。ガラスやシリコン等の基板6を基板ホルダ8に取り
付け、排気ポンプ10によって槽内を10-5Pa程度に
まで真空排気する。その後、基板6を基板加熱用のヒー
タ9で加熱し、スパッタガスであるアルゴン等を導入す
る。さらに、高周波電源13によって高周波を陰極であ
る下部電極に印加することでスパッタターゲット7から
スパッタ粒子が飛び出し、基板6に所望の薄膜が形成で
きる。
【0011】圧電体素子の性能を向上させるためには、
いかに品質良く圧電体薄膜を形成するかということが課
題となる。特に、緻密に結晶性良く薄膜を形成するため
には、圧電体薄膜の構造や形成方法によるところが大き
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】圧電体素子に用いられ
る圧電体薄膜中に存在する欠陥や低密度の部分は、圧電
体素子の品質および性能に大きく影響する。一般的にス
パッタによって形成した薄膜は柱状成長を生じやすいほ
か、異物の混入などによる欠陥が存在する。その他、圧
電体に用いるPb、ZrおよびTiを含んだペロブスカ
イト型酸化物薄膜などにおいては、Zrが膜中に取り込
まれにくく欠陥を作りやすい傾向にあるという課題を有
していた。
【0013】本発明は前記従来の問題点を解決するもの
で、欠陥の少ない高品質の圧電体素子、および圧電体素
子に用いられる圧電体薄膜を品質良く形成するための薄
膜形成方法を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明を達成するため
に本発明は、以下の構成を有するものである。
【0015】本発明の請求項1に記載の発明は、少なく
とも圧電体とその圧電体に電圧を印加するかもしくは圧
電体からの電荷を取り出すための電極とから構成され、
かつ圧電体の伸縮を増加あるいは圧電体の伸縮方向とは
別の方向に変位を生じさせるための振動板を設けるか一
方の電極が振動板の効果をあわせ持った圧電体素子にお
いて、少なくともPb、ZrおよびTiを含むペロブス
カイト型の圧電体薄膜とその圧電体薄膜と振動板もしく
は振動板の効果をあわせ持った電極との間にZrを含ま
ない酸化物薄膜を設けることからなるもので、圧電体の
欠陥を補償することで圧電体素子の品質を向上させるこ
とが出来るという作用を有するものである。
【0016】請求項2に記載の発明は、Pb、Zrおよ
びTiを含むペロブスカイト型の圧電体薄膜と振動板も
しくは振動板の効果をあわせ持った電極との間に設ける
Zrを含まない酸化物薄膜として、少なくともPbおよ
びTiからなる酸化物薄膜を用いることからなるもの
で、圧電体素子の品質を向上させることが出来るという
作用を有する。
【0017】請求項3に記載の発明は、Pb、Zrおよ
びTiを含むペロブスカイト型の圧電体薄膜と振動板も
しくは振動板の効果をあわせ持った電極との間に設ける
Zrを含まない酸化物薄膜として、少なくともTiを含
んだ酸化物薄膜を用いることからなるもので、圧電体素
子の品質を向上させることが出来るという作用を有す
る。
【0018】請求項4に記載の発明は、少なくとも圧電
体とその圧電体に電圧を印加するかもしくは圧電体から
の電荷を取り出すための電極とから構成され、かつ圧電
体の伸縮を増加あるいは圧電体の伸縮方向とは別の方向
に変位を生じさせるための振動板を設けるか一方の電極
が振動板の効果をあわせ持った圧電体素子において、少
なくともPb、ZrおよびTiを含むペロブスカイト型
の圧電体薄膜とその上のZrを含まない酸化物薄膜と、
さらにその上の少なくともPb、ZrおよびTiを含む
圧電体薄膜とからなる積層膜を圧電体に用いることから
なるもので、圧電体の欠陥を補償し、かつ柱状成長の連
続性を阻害することで圧電体素子の品質を向上させるこ
とが出来るという作用を有するものである。
【0019】請求項5に記載の発明は、Pb、Zrおよ
びTiを含むペロブスカイト型の圧電体薄膜上のZrを
含まない酸化物薄膜として、少なくともPbおよびTi
からなる酸化物薄膜を用いることからなるもので、圧電
体素子の品質を向上させることが出来るという作用を有
する。
【0020】請求項6に記載の発明は、Pb、Zrおよ
びTiを含むペロブスカイト型の圧電体薄膜上のZrを
含まない酸化物薄膜として、少なくともTiを含んだ酸
化物薄膜を用いることからなるもので、圧電体素子の品
質を向上させることが出来るという作用を有する。
【0021】請求項7に記載の発明は、Pb、Zrおよ
びTiを含むペロブスカイト型の圧電体薄膜上のZrを
含まない酸化物薄膜の膜厚を5〜200nmとするもの
で酸化物薄膜上の圧電体薄膜の結晶構造を劣化させるこ
となく圧電体素子の品質を向上させることが出来るとい
う作用を有する。
【0022】請求項8に記載の発明は、少なくともP
b、ZrおよびTiを含むペロブスカイト型の圧電体薄
膜を形成する工程において、第一の圧電体薄膜上に少な
くとも第二の圧電体薄膜を積層することからなるもの
で、第一の圧電体薄膜に存在する欠陥を第二の圧電体薄
膜で補償できるので、品質良く圧電体薄膜を形成できる
という作用を有するものである。
【0023】請求項9に記載の発明は、第一の圧電体薄
膜および第二の圧電体薄膜を形成する工程において、薄
膜を500℃以上に加熱することからなるもので、薄膜
が緻密に結晶性良く成長するので、品質良く圧電体薄膜
を形成できるという作用を有する。
【0024】請求項10に記載の発明は、第一の圧電体
薄膜形成後に薄膜を冷却し、その後さらに500℃以上
に加熱しながら第一の圧電体薄膜上に第二の圧電体薄膜
を形成することからなるもので、第一の圧電体薄膜に存
在する欠陥を第二の圧電体薄膜で起点を変えて補償でき
るので、品質良く圧電体薄膜を形成できるという作用を
有するものである。
【0025】請求項11に記載の発明は、第一の圧電体
薄膜形成後の冷却温度をその薄膜材料のキュリー点以下
にすることからなるもので、品質良く圧電体薄膜を形成
できるという作用を有する。
【0026】請求項12に記載の発明は、第一の圧電体
薄膜形成後に真空層内から薄膜を取り出し、その後再度
真空層内において第一の圧電体薄膜上に第二の圧電体薄
膜を形成することからなるもので、冷却過程のみを施し
た場合に比べて第一の圧電体薄膜に存在する欠陥を、よ
り成長の起点を変えて補償できるので、品質良く圧電体
薄膜を形成できるという作用を有するものである。
【0027】請求項13に記載の発明は、少なくともP
b、ZrおよびTiを含むペロブスカイト型の圧電体薄
膜を形成する工程において、第一の圧電体薄膜形成時の
堆積速度を10nm/min以下にすることからなるも
ので、第一の圧電体薄膜を高密度で形成できるという作
用を有するものである。
【0028】請求項14に記載の発明は、少なくともP
b、ZrおよびTiを含むペロブスカイト型の圧電体薄
膜を形成する工程において、第一の圧電体薄膜形成後に
第一の圧電体薄膜上にZrを含まない酸化物薄膜を形成
し、さらにその酸化物薄膜上に第二の圧電体薄膜を形成
することからなるもので、第一の圧電体薄膜に存在する
欠陥を第一の圧電体薄膜上の酸化物薄膜で補償できるの
で、品質良く圧電体薄膜を形成できるという作用を有す
るものである。
【0029】請求項15に記載の発明は、第一の圧電体
薄膜上に形成する酸化物薄膜に少なくともPbおよびT
iからなる酸化物薄膜を用いることからなるもので、品
質良く圧電体薄膜を形成できるという作用を有する。
【0030】請求項16に記載の発明は、第一の圧電体
薄膜上に形成する酸化物薄膜に少なくともTiを含んだ
酸化物薄膜を用いることからなるもので、品質良く圧電
体薄膜を形成できるという作用を有する。
【0031】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)以下、本発明の
実施の形態1における圧電体素子について図面を参照し
ながら説明する。
【0032】図1は本実施の形態1における圧電体素子
の断面図である。ここで従来の技術で説明した図と同一
構成要素は同一符号を付し、詳細な説明は省略する。本
実施の形態では、空洞5を設けた支持体4上に電極B
3、酸化物薄膜14、圧電体薄膜1、そして電極A2と
いった構成の圧電体素子を実現した。ここで、圧電体1
としてPbZr0.5Ti0.53薄膜、電極A2としてP
t薄膜、電極B3としてCr薄膜、さらにPbZr0.5
Ti0.53薄膜と振動板の機能を持つ電極B3との間に
酸化物薄膜14としてPbTiO3薄膜を設けた。そし
てこれらからなる圧電部をCr薄膜面を下にして、セラ
ミックの支持体4に固定してある。この時のそれぞれの
薄膜の膜厚はPbZr0.5Ti0.53薄膜を2μm、P
bTiO3薄膜を100nm、Pt薄膜を100nm、
そしてCr薄膜を500nmとした。
【0033】以上のように構成された圧電体素子の形成
方法は、MgO単結晶基板上にPt薄膜、PbZr0.5
Ti0.53薄膜、PbTiO3薄膜、Cr薄膜の順にス
パッタによって形成する。そして、MgO基板をウェッ
トエッチングによって除去し、さらにCr薄膜を除く積
層膜の外周部をウェットエッチングによって除去する。
その後、Cr面を下にしてセラミックの支持体に固定す
る。
【0034】以上のように形成した圧電体素子において
両電極2,3間に電圧を印加すると、圧電体1が伸縮
し、Crの振動板の効果により圧電体1の分極方法に変
位を生じる。ここで、従来はPbZr0.5Ti0.53
膜のみを圧電体に用いると、薄膜内部に欠陥を生じやす
かった。欠陥の発生理由についてはいくつか原因が考え
られる。まず上記薄膜はスパッタによって形成する場合
が多く、このようなスパッタ膜は柱状成長を生じること
から厚み方向にリークパスとなるような構造をつくりや
すいこと、そしてスパッタにかかわらず薄膜形成におけ
る全体的な問題として異物が膜中に混入して異物および
異物周辺の異常成長部分が欠陥となる場合などが課題の
大きなところと考える。また、PbZr0.5Ti0.53
薄膜をスパッタで形成する際、Zrが膜中に取り込まれ
にくいために、緻密で結晶性の良好なPbZr0.5Ti
0.53薄膜を実現するのが難しいことも欠陥発生の要因
の一つと考えられる。一方、PbTiO3薄膜を形成す
る際には、結晶成長を阻害するZr化合物の存在がな
く、比較的安定に緻密な薄膜が形成できる。本実施の形
態では、欠陥の原因と考えられる柱状成長構造、異物の
混入と異常成長、およびZr化合物による結晶成長の阻
害といった3つの要因のうちZr化合物による結晶成長
の阻害の要因を補償するもので、PbZr0.5Ti0.5
3薄膜上にZrを含まないPbTiO3薄膜を形成しその
積層膜を圧電体とすることによって、電極間のリーク電
流を減少させることが出来、高品質の圧電体素子が実現
した。
【0035】同様に、Zrを含まないTiの酸化物薄膜
をPbZr0.5Ti0.53薄膜と振動板の機能を持つ電
極B3との間に形成することによっても電極間のリーク
電流を減少させることが出来、高品質の圧電体素子が実
現した。このようにZrを含まない酸化物薄膜であれば
同様の効果が期待できる。但し、PbZr0.5Ti0.5
3薄膜との密着性や酸化物薄膜自体の欠陥密度などを考
慮して材料選定を行う必要がある。
【0036】(実施の形態2)以下、本発明の実施の形
態2における圧電体素子について図面を参照しながら説
明する。
【0037】図2は本実施の形態2における圧電体素子
の断面図である。ここで従来の技術で説明した図と同一
構成要素は同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0038】本実施の形態では、第一の圧電体薄膜15
と層間酸化物薄膜16および第二の圧電体薄膜17との
3層の積層膜を圧電体とし、さらに電極A2としてPt
薄膜、電極B3としてCr薄膜を設けた。このときの第
一、第二の圧電体薄膜15,17にはPbZr0.5Ti
0.53薄膜を、層間酸化物薄膜にはPbTiO3薄膜を
用いた。そしてこれらからなる圧電部をCr薄膜面を下
にして、セラミックの支持体4に固定した。また、膜厚
は第一および第二の圧電体であるPbZr0.5Ti0.5
3薄膜はそれぞれ1μm、PbTiO3薄膜を100n
m、Pt薄膜を100nm、そしてCr薄膜を500n
mとした。
【0039】以上のように構成された圧電体素子の形成
方法は、MgO単結晶基板上にPt薄膜、PbZr0.5
Ti0.53薄膜、PbTiO3薄膜、PbZr0.5Ti
0.53薄膜、Cr薄膜の順にスパッタによって形成す
る。そして、MgO基板をウェットエッチングによって
除去し、さらにCr薄膜を除く積層膜の外周部をウェッ
トエッチングによって除去する。その後、Cr面を下に
してセラミックの支持体に固定する。
【0040】以上のように形成した圧電体素子において
両電極2,3間に電圧を印加すると、圧電体1が伸縮
し、Crの振動板の効果により圧電体1の分極方法に変
位を生じる。ここで、圧電体であるPbZr0.5Ti0.5
3薄膜のみを圧電体に用いると、上述のように柱状成
長構造、異物の混入と異常成長、およびZr化合物によ
る結晶成長の阻害といった3つの要因により薄膜内部に
欠陥を生じやすかった。本実施の形態では第一の圧電体
薄膜15と第二の圧電体薄膜17の層間に酸化物薄膜1
6を設けることで第一の圧電体薄膜15の柱状構造を中
断させると共に、第一の圧電体薄膜15と第二の圧電体
薄膜17の柱状構造を分断した。また、層間の酸化物薄
膜16は第一の圧電体薄膜15中に存在する異物および
異常成長部の欠陥を被覆し、第二の圧電体薄膜17が第
一の圧電体薄膜の異常成長部分に影響されずに形成でき
る下地層にもなる。さらに、結晶成長を阻害するZr化
合物の存在がなく比較的安定に緻密な薄膜が形成できる
PbTiO3薄膜を層間酸化物薄膜16に用いること
で、電極間のリーク電流を減少させることが出来た。以
上のように、本実施の形態では、欠陥の原因と考えられ
る柱状成長構造、異物の混入と異常成長、およびZr化
合物による結晶成長の阻害といった3つの問題を補償
し、高品質の圧電体素子が実現した。
【0041】同様に、Zrを含まないTiの酸化物薄膜
等を層間酸化物薄膜として用いることによっても電極間
のリーク電流を減少させることが出来、高品質の圧電体
素子が実現した。
【0042】但し、第二の圧電体に用いたPbZr0.5
Ti0.53薄膜17を形成するにあたり、ペロブスカイ
ト構造の良好な結晶成長を実現するためには下地の材料
に制限がある。同様の結晶構造を持つPbTiO3系薄
膜、あるいはTiの酸化物を下地とする際には、第二の
圧電体薄膜17であるPbZr0.5Ti0.53薄膜は結
晶性良く形成できるが、結晶性を大きく劣化させないた
めには、層間酸化物薄膜16の厚みを200nm以下と
することが望ましい。但し、上記の欠陥を補償するため
には50nm以上の膜厚が必要となり、この範囲での膜
厚にすることで効果が増す。
【0043】(実施の形態3)以下、本発明の実施の形
態3における薄膜形成方法について図面を参照しながら
説明する。
【0044】図3は図6で説明したスパッタ装置を用い
て形成した本実施の形態3における圧電体薄膜の断面図
である。ここで、従来の技術で説明した図と同一構成要
素は同一符号を付し詳細な説明は省略する。
【0045】まず最初の工程として電極A2の形成を行
った。MgO基板6を基板ホルダ8に取り付け、排気ポ
ンプ10によって槽内を10-5Pa程度にまで排気す
る。その後、基板6を基板加熱ヒータ9で600℃にま
で加熱し、スパッタガスであるアルゴンガスを10sc
cm導入し、スパッタターゲット7に高周波電力350
Wを印加する。この際ターゲット材料には直径6インチ
厚み5mmのPt円板を用い、約30分間スパッタして
100nmのPt薄膜を形成した。次に第一の圧電体薄
膜15の形成を行う。PbZr0.5Ti0.53からなる
直径6インチ厚み5mmの円板をターゲット7として陰
極に装着したスパッタ装置を用いて、Ptを形成したM
gO基板6を基板ホルダ8に取り付け、排気ポンプ10
によって槽内を10-5Pa程度にまで排気する。その
後、基板6を基板加熱ヒータ9で600℃にまで加熱
し、スパッタガスであるアルゴンガスを10sccm、
酸素ガスを1sccm導入し、スパッタターゲット7に
高周波電力350Wを印加する。第一の圧電体薄膜15
は約1時間スパッタして1μmのPbZr0.5Ti0.5
3薄膜を形成した。次に、第二の圧電体薄膜17として
PbZr0.5Ti0.53薄膜を第一の圧電体薄膜15上
に形成する。第一の圧電体薄膜15と次の形成工程であ
る第二の圧電体薄膜17は同装置を用いるが、ここで、
第一の圧電体薄膜15成膜完了後にスパッタガスおよび
基板6を加熱していた加熱ヒータ9の出力を停止し、基
板6および形成した薄膜を室温にまで自然冷却する。そ
して、再度、基板6を基板加熱ヒータ9で600℃にま
で加熱し、スパッタガスであるアルゴンガスを10sc
cm、酸素ガスを1sccm導入し、スパッタターゲッ
ト7に高周波電力350Wを印加する。第二の圧電体薄
膜17であるPbZr0.5Ti0 .53は約1時間スパッ
タして1μmのPbZr0.5Ti0.53薄膜を形成し
た。さらに、第二の圧電体薄膜17上に電極B3を電極
A2と同様の方法によって形成した。但し、この時のス
パッタターゲット7にはCrからなる直径6インチ厚み
5mmの円板を用い、約60分間スパッタして500n
mのCr薄膜を形成した。
【0046】このように形成した積層膜の構成は、基板
6上に100nm厚みの電極A2、1μm厚みの第一の
圧電体薄膜15、1μm厚みの第二の圧電体薄膜17、
そして500nm厚みの電極B3からなる。ここで、電
圧の印加によって伸縮する圧電体には第一および第二の
圧電体薄膜、伸縮の増加および伸縮方向と別の方向への
変位の変換のための振動板には電極B3がその役割を果
たす。
【0047】ここで、PbZr0.5Ti0.53薄膜から
なる単層の薄膜のみを圧電体とすると、薄膜内部に欠陥
を生じやすかった。欠陥の発生理由についてはいくつか
原因が考えられる。まず、スパッタによって形成したP
bZr0.5Ti0.53薄膜は柱状成長を生じることから
厚み方向にリークパスとなるような構造をつくりやすい
こと、そしてスパッタにかかわらず薄膜形成における全
体的な問題として異物が膜中に混入して異物および異物
周辺の異常成長部分が欠陥となること、さらには、Pb
Zr0.5Ti0.53薄膜をスパッタで形成する際、Zr
が膜中に取り込まれにくいために、緻密で結晶性の良好
なPbZr0.5Ti0.53薄膜を実現するのが難しいこ
とが欠陥発生の要因の一つである。
【0048】本実施の形態では、圧電体を単層の薄膜と
せずに、二層以上の積層膜を形成することに特徴をも
つ。特に、600℃以上に加熱したまま連続に成膜する
のではなく、第一の圧電体薄膜15と第二の圧電体薄膜
17の形成工程間に基板を冷却することにより、第一の
圧電体薄膜15の柱状構造を中断させると共に、第一の
圧電体薄膜15と第二の圧電体薄膜17の柱状構造を分
断した。また、第一の圧電体薄膜15中に存在する異物
および異常成長部の欠陥を厚み方向に継続することな
く、第二の圧電体薄膜17を形成できることにもなっ
た。以上のように、本実施の形態では、欠陥の原因と考
えられる柱状成長構造、異物の混入と異常成長、および
Zr化合物による結晶成長の阻害のうち、柱状構造、そ
して異物の混入とそれによる異常成長といった2つの問
題を補償し、高品質の圧電体薄膜を形成する手法が実現
した。
【0049】ペロブスカイト構造をもつPbZr0.5
0.53薄膜などは、通常、キュリー点以上で膜の形成
を行う。その温度ではPbZr0.5Ti0.53薄膜の結
晶構造は立方晶をなすが、キュリー点以下では正方晶と
なり、冷却過程で相転移を生じる。例えば柱状成長など
の結晶構造に変化を与えたい場合、このような構造変化
を利用すると効果が大きく、本実施の形態における第一
の圧電体薄膜15と第二の圧電体薄膜17との形成工程
間の基板6の冷却もその材料が持つキュリー点以下にす
ることが望ましい。
【0050】また、第一の圧電体薄膜15と第二の圧電
体薄膜17との形成工程間の冷却時に、冷却のみでなく
真空槽内から一度基板を取り出し再度基板ホルダ8に設
置しなおす工程を導入することで、第二の圧電体薄膜1
7の成長起点がより第一の圧電体薄膜15の構造状態に
影響されにくくなり、柱状構造、そして異物の混入とそ
れによる異常成長といった2つの問題の補償効果が大き
くなる形成方法である。
【0051】(実施の形態4)以下、本発明の実施の形
態4における薄膜形成方法について図面を参照しながら
説明する。
【0052】本実施の形態は実施の形態3で説明した図
3の圧電体薄膜の断面図を用いて説明する。ここで、従
来の技術で説明した図と同一構成要素は同一符号を付し
詳細な説明は省略する。
【0053】本実施の形態では、第一の圧電体薄膜15
を形成する工程において、第一の圧電体薄膜15である
PbZr0.5Ti0.53薄膜の堆積速度を10nm/m
in以下とした。
【0054】以下にその形成方法について説明する。ま
ず電極A2としてPt薄膜の形成を行う最初の工程は実
施の形態3と同様にした。次に第一の圧電体薄膜15の
形成を行う。PbZr0.5Ti0.53からなる直径6イ
ンチ厚み5mmの円板をターゲット7として陰極に装着
したスパッタ装置を用いて、Ptを形成したMgO基板
6を基板ホルダ8に取り付け、排気ポンプ10によって
槽内を10-5Pa程度にまで排気する。その後、基板6
を基板加熱ヒータ9で600℃にまで加熱し、スパッタ
ガスであるアルゴンガスを10sccm、酸素ガスを1
sccm導入し、スパッタターゲット7に高周波電力2
80Wを印加する。第一の圧電体薄膜15は約30分間
スパッタして250nmのPbZr0.5Ti0.53薄膜
を形成した。次に、第二の圧電体薄膜17としてPbZ
0.5Ti0.53薄膜を第一の圧電体薄膜15上に形成
する。第一の圧電体薄膜15と次の形成工程である第二
の圧電体薄膜17の形成は同装置を用いて連続して行
い、第二の圧電体薄膜17は高周波電力を350Wとし
て約1時間45分スパッタして1.75μmのPbZr
0.5Ti0.53薄膜を形成した。さらに、第二の圧電体
薄膜17上に電極B3としてCr薄膜を実施の形態3と
同様に形成した。
【0055】このように形成した積層膜の構成は、基板
6上に100nm厚みの電極A2、250nm厚みの第
一の圧電体薄膜15、1.75μm厚みの第二の圧電体
薄膜17、そして500nm厚みの電極B3からなる。
ここで、電圧の印加によって伸縮する圧電体には第一お
よび第二の圧電体薄膜、伸縮の増加および伸縮方向と別
の方向への変位の変換のための振動板には電極B3がそ
の役割を果たす。
【0056】スパッタによる薄膜形成のモデルは、スパ
ッタターゲット7から飛び出すスパッタ粒子が基板6上
に堆積すると共に、粒子が基板6上で加熱によって受け
る熱エネルギーやスパッタされるときの運動エネルギー
によって安定な状態に配列することで薄膜の形成が行わ
れるものである。従って、スパッタエネルギーが大きい
ほど高速に薄膜堆積が行われることになる。一般的に高
速で形成した薄膜は低速で形成した薄膜に比べて、より
柱状成長を生じ欠陥の多い薄膜になる。本実施の形態に
おける圧電体のPbZr0.5Ti0.53薄膜についても
同様で、低堆積速度で形成した方が高品質の薄膜を形成
するためには望ましい。スパッタ粒子のエネルギーに影
響を及ぼすパラメータとしていくつかのスパッタ条件が
存在するが、膜の堆積速度を低下させるためには高周波
電力を小さくすることで実現する。本実施の形態では第
一の圧電体薄膜15の形成工程において高周波電力を2
80Wとして8.3nm/minの堆積速度でPbZr
0.5Ti0.53薄膜を250nm形成した。しかしなが
ら低堆積速度で薄膜を形成することによって膜密度の向
上が望める一方、堆積速度が低くなると所望の厚みの薄
膜を形成するために要する時間が増加することが問題と
なる。例えば、実施の形態3で形成したPbZr0.5
0.53薄膜の成膜条件である高周波電力が350Wで
あると堆積速度は16.9nm/minとなり約2時間
で2μm厚みの圧電体を形成できるが、8.3nm/m
inの堆積速度であれば約4時間の時間を要することに
なる。従って本実施の形態では、第一の圧電体薄膜15
を10nm/min以下の低堆積速度で形成し、その上
に第二の圧電体薄膜17を10nm/min以上の高堆
積速度で形成した。ここで、第一および第二の圧電体薄
膜の総膜厚が同じ場合、第一の圧電体薄膜15の厚みが
薄いほど、第一および第二の圧電体薄膜を形成するため
の総時間が減少する。但し、膜の緻密度を向上させるた
めに低堆積速度で形成する第一の圧電体薄膜15の厚み
は、充分に緻密な膜構造となり得るだけの厚みは必要で
あり、本実施の形態では第一の圧電体薄膜15の厚みを
250nmとした。また上述のように、第二の圧電体薄
膜17の厚みは1.75μmとした。この形成方法によ
り第一の圧電体薄膜15と第二の圧電体薄膜17の形成
にかかる総時間は2時間15分となり、16.7nm/
minの高堆積速度で2μmの圧電体薄膜を形成するた
めに必要な時間とほぼ同じ時間で達成できた。さらに、
第一の圧電体薄膜15の膜質を緻密化させることによっ
て、第一の圧電体薄膜15と第二の圧電体薄膜17から
なる圧電体のリーク電流を低減できた。以上のように本
実施の形態では、第一の圧電体薄膜15を10nm/m
in以下の低堆積速度で形成し、さらにその上に第二の
圧電体薄膜17を高堆積速度で形成することにより、高
堆積速度で連続に薄膜を形成する場合に比べて総形成時
間を大きく延長することなく、圧電体薄膜を高品質に形
成できる方法が実現した。
【0057】(実施の形態5)以下、本発明の実施の形
態5における薄膜形成方法について図面を参照しながら
説明する。
【0058】図4は本実施の形態で用いた薄膜形成用の
スパッタ装置の構成を示す模式図である。ここで、従来
の技術で説明した図と同一構成要素は同一符号を付し詳
細な説明は省略する。
【0059】図において、槽内には成膜したい材料の組
成で構成された2種類のスパッタターゲット7および1
8をそれぞれ下部電極(陰極)に、そして基板設置用の
基板ホルダ8を上部電極に有する。基板ホルダ8には基
板面を下にして基板6を支持してある。また、基板ホル
ダ8の内部には基板加熱用のヒータ9を備えてある。さ
らに、槽内を排気するための排気ポンプ10、そして槽
内へのガス供給用のアルゴンガスボンベ11および酸素
ガスボンベ12を備えて配管してある。
【0060】以上のようなスパッタ装置をスパッタ装置
2とし、図6で説明したスパッタ装置をスパッタ装置1
とする。本実施の形態では、まずスパッタ装置1を用い
て、実施の形態3および4と同様に電極A2の形成を行
った。そしてスパッタ装置2において、第一の圧電体薄
膜15としてPbZr0.5Ti0.53薄膜の形成を行
う。この際スパッタ装置2のターゲットA7にはPbZ
0.5Ti0.53からなる直径6インチ厚み5mmの円
板を用い、ターゲットB18にはPbTiO3からなる
同寸法の円板をそれぞれ陰極に装着した。そして、Pt
を形成したMgO基板6を基板ホルダ8に取り付け、排
気ポンプ10によって槽内を10-5Pa程度にまで排気
する。その後、基板6を基板加熱ヒータ9で600℃に
まで加熱し、スパッタガスであるアルゴンガスを10s
ccm、酸素ガスを1sccm導入し、スパッタターゲ
ットA7に高周波電力350Wを印加する。第一の圧電
体薄膜15であるPbZr0.5Ti0.53薄膜は約1時
間スパッタして1μm形成した。次に連続して基板6を
基板加熱ヒータ9で600℃にまで加熱し、かつスパッ
タガスであるアルゴンガスを10sccm、酸素ガスを
1sccm導入したまま、スパッタターゲットB18に
高周波電力350Wを印加して層間酸化物薄膜16であ
るPbTiO3薄膜を約6分間スパッタして100nm
形成した。さらに、第二の圧電体薄膜17としてPbZ
0.5Ti0.53薄膜を層間酸化物薄膜16であるPb
TiO3薄膜上に形成する。第一の圧電体薄膜15と層
間酸化物薄膜16、そして第二の圧電体薄膜17の形成
工程では同装置を用いるが、ここで、第一の圧電体薄膜
15および層間酸化物薄膜16の成膜完了後に次の薄膜
形成の工程に移る際、スパッタガスおよび基板6を加熱
していた加熱ヒータ9の出力は停止せず、連続して薄膜
を積層させる。そして、第二の圧電体薄膜17上に電極
B3を実施の形態3および4と同様の方法によって形成
した。但し、この時のスパッタ装置1におけるスパッタ
ターゲット7にはCrからなる直径6インチ厚み5mm
の円板を用い、約60分間スパッタして500nmのC
r薄膜を形成した。
【0061】このように形成した積層膜の構成は、基板
6上に100nm厚みのPt薄膜、1μm厚みのPbZ
0.5Ti0.53薄膜、100nm厚みのPbTiO3
膜、1μm厚みのPbZr0.5Ti0.53薄膜、そして
500nm厚みのCrからなる。ここで、電圧の印加に
よって伸縮する圧電体には第一の圧電体薄膜15、層間
酸化物薄膜16および第二の圧電体薄膜17、伸縮の増
加および伸縮方向と別の方向への変位の変換のための振
動板には電極B3がその役割を果たす。
【0062】ここで、PbZr0.5Ti0.53薄膜から
なる単層の薄膜のみを圧電体とすると、薄膜内部に欠陥
を生じやすかった。欠陥の発生理由は上述のように、ス
パッタによって生じる柱状成長構造、異物の膜中への混
入とそれによる異常成長、そしてZr化合物による結晶
成長の阻害が考えられる。
【0063】本実施の形態では、圧電体を単層の薄膜と
せずに、二層以上の積層膜を形成することと2つの圧電
体薄膜の層間にZrを含まない酸化物薄膜を形成すると
ころに特徴をもつ。特に、層間酸化物薄膜16は第一の
圧電体薄膜15の柱状構造を中断させると共に、第一の
圧電体薄膜15と第二の圧電体薄膜17の柱状構造を分
断した。また、第一の圧電体薄膜15中に存在する異物
および異常成長部の欠陥を厚み方向に継続することな
く、第二の圧電体薄膜17を形成できることに効果を発
している。また、層間酸化物薄膜16に緻密な結晶性良
いPbTiO3薄膜を用いることにより、欠陥の原因と
考えられる柱状成長構造、異物の混入と異常成長、およ
びZr化合物による結晶成長の阻害の3つの問題を補償
し、高品質の圧電体薄膜を形成する手法が実現した。
【0064】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
少なくとも圧電体とその圧電体に電圧を印加するかもし
くは圧電体からの電荷を取り出すための電極とから構成
され、かつ圧電体の伸縮を増加あるいは圧電体の伸縮方
向とは別の方向に変位を生じさせるための振動板を設け
るか一方の電極が振動板の効果をあわせ持った圧電体素
子において、少なくともPb、ZrおよびTiを含むペ
ロブスカイト型の圧電体薄膜とその圧電体薄膜と振動板
もしくは振動板の効果をあわせ持った電極との間にZr
を含まない酸化物薄膜を設けることによって、圧電体の
欠陥を補償することが出来るので圧電体素子の品質を向
上させることが出来る。
【0065】また、少なくとも圧電体とその圧電体に電
圧を印加するかもしくは圧電体からの電荷を取り出すた
めの電極とから構成され、かつ圧電体の伸縮を増加ある
いは圧電体の伸縮方向とは別の方向に変位を生じさせる
ための振動板を設けるか一方の電極が振動板の効果をあ
わせ持った圧電体素子において、少なくともPb、Zr
およびTiを含むペロブスカイト型の圧電体薄膜とその
上のZrを含まない酸化物薄膜と、さらにその上の少な
くともPb、ZrおよびTiを含む圧電体薄膜とからな
る積層膜を圧電体に用いることによって、圧電体の欠陥
を補償し、かつ柱状成長の連続性を阻害することが出来
るので圧電体素子の品質を向上させることが出来る。
【0066】そして、少なくともPb、ZrおよびTi
を含むペロブスカイト型の圧電体薄膜を形成する工程に
おいて、圧電体を第一の圧電体薄膜と第二の圧電体薄膜
の積層膜で構成し、第一の圧電体薄膜形成後に薄膜を冷
却し、その後さらに500℃以上に加熱しながら第一の
圧電体薄膜上に第二の圧電体薄膜を形成することによっ
て、第一の圧電体薄膜に存在する欠陥を第二の圧電体薄
膜で補償出来るので、品質良く圧電体薄膜を形成出来
る。
【0067】また、少なくともPb、ZrおよびTiを
含むペロブスカイト型の圧電体薄膜を形成する工程にお
いて、圧電体を第一の圧電体薄膜と第二の圧電体薄膜の
積層膜で構成し、第一の誘電体薄膜時の堆積速度を10
nm/min以下にすることによって、第一の圧電体薄
膜を高密度で形成出来るので、品質良く圧電体薄膜を形
成出来る。
【0068】さらに本発明によれば、少なくともPb、
ZrおよびTiを含むペロブスカイト型の圧電体薄膜を
形成する工程において、第一の圧電体薄膜形成後に第一
の圧電体薄膜上にZrを含まない酸化物薄膜を形成し、
さらにその酸化物薄膜上に第二の圧電体薄膜を形成する
ことによって、第一の圧電体薄膜に存在する欠陥を第一
の圧電体薄膜上の酸化物薄膜で補償出来るので、品質良
く圧電体薄膜を形成出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における断面図
【図2】本発明の実施の形態2における圧電体素子の断
面図
【図3】本発明の実施の形態3における圧電体素子の断
面図
【図4】本発明の実施の形態5におけるスパッタ装置の
模式図
【図5】従来の圧電体素子の断面図
【図6】同要部である圧電部の構成を示す断面図
【図7】同スパッタ装置の模式図
【符号の説明】
1 圧電体 2 電極A 3 電極B 4 支持体 5 空洞 14 酸化物薄膜

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも圧電体とこの圧電体に電圧を
    印加するかもしくは圧電体からの電荷を取り出すための
    電極とから構成され、かつ前記圧電体の伸縮を増加ある
    いは圧電体の伸縮方向とは別の方向に変位を生じさせる
    ための振動板を設けるか一方の電極が振動板の効果をあ
    わせ持った圧電体素子において、少なくともPb、Zr
    およびTiを含むペロブスカイト型の圧電体薄膜とその
    圧電体薄膜と振動板もしくは振動板の効果をあわせ持っ
    た電極との間にZrを含まない酸化物薄膜を設けた圧電
    体素子。
  2. 【請求項2】 Pb、ZrおよびTiを含むペロブスカ
    イト型の圧電体薄膜と振動板もしくは振動板の効果をあ
    わせ持った電極との間に設けるZrを含まない酸化物薄
    膜として、少なくともPbおよびTiからなる酸化物薄
    膜を用いた請求項1記載の圧電体素子。
  3. 【請求項3】 Pb、ZrおよびTiを含むペロブスカ
    イト型の圧電体薄膜と振動板もしくは振動板の効果をあ
    わせ持った電極との間に設けるZrを含まない酸化物薄
    膜として、少なくともTiを含んだ酸化物薄膜を用いた
    請求項1記載の圧電体素子。
  4. 【請求項4】 少なくとも圧電体とその圧電体に電圧を
    印加するかもしくは圧電体からの電荷を取り出すための
    電極とから構成され、かつ圧電体の伸縮を増加あるいは
    圧電体の伸縮方向とは別の方向に変位を生じさせるため
    の振動板を設けるか一方の電極が振動板の効果をあわせ
    持った圧電体素子において、少なくともPb、Zrおよ
    びTiを含むペロブスカイト型の圧電体薄膜とその上の
    Zrを含まない酸化物薄膜と、さらにその上の少なくと
    もPb、ZrおよびTiを含む圧電体薄膜とからなる積
    層膜を圧電体に用いた圧電体素子。
  5. 【請求項5】 Pb、ZrおよびTiを含むペロブスカ
    イト型の圧電体薄膜上のZrを含まない酸化物薄膜とし
    て、少なくともPbおよびTiからなる酸化物薄膜を用
    いた請求項4記載の圧電体素子。
  6. 【請求項6】 Pb、ZrおよびTiを含むペロブスカ
    イト型の圧電体薄膜上のZrを含まない酸化物薄膜とし
    て、少なくともTiを含んだ酸化物薄膜を用いた請求項
    4記載の圧電体素子。
  7. 【請求項7】 Pb、ZrおよびTiを含むペロブスカ
    イト型の圧電体薄膜上のZrを含まない酸化物薄膜の膜
    厚を5〜200nmとした請求項4記載の圧電体素子。
  8. 【請求項8】 少なくともPb、ZrおよびTiを含む
    ペロブスカイト型の圧電体薄膜を形成する工程におい
    て、第一の圧電体薄膜上に少なくとも第二の圧電体薄膜
    を積層することからなる圧電体素子の形成方法。
  9. 【請求項9】 第一の圧電体薄膜および第二の圧電体薄
    膜を形成する工程において、薄膜を500℃以上に加熱
    することからなる請求項8記載の圧電体素子の形成方
    法。
  10. 【請求項10】 第一の圧電体薄膜形成後に薄膜を冷却
    し、その後さらに500℃以上に加熱しながら第一の圧
    電体薄膜上に第二の圧電体薄膜を形成することからなる
    請求項8記載の圧電体素子の形成方法。
  11. 【請求項11】 第一の圧電体薄膜形成後の冷却温度を
    その薄膜材料のキュリー点以下にすることからなる請求
    項8記載の圧電体素子の形成方法。
  12. 【請求項12】 第一の圧電体薄膜形成後に真空層内か
    ら薄膜を取り出し、その後再度真空層内において第一の
    圧電体薄膜上に第二の圧電体薄膜を形成することからな
    る請求項8記載の圧電体素子の形成方法。
  13. 【請求項13】 少なくともPb、ZrおよびTiを含
    むペロブスカイト型の圧電体薄膜を形成する工程におい
    て、第一の圧電体薄膜形成時の堆積速度を10nm/m
    in以下にすることからなる請求項8記載の圧電体素子
    の形成方法。
  14. 【請求項14】 少なくともPb、ZrおよびTiを含
    むペロブスカイト型の圧電体薄膜を形成する工程におい
    て、第一の圧電体薄膜形成後に第一の圧電体薄膜上にZ
    rを含まない酸化物薄膜を形成し、さらにその酸化物薄
    膜上に第二の圧電体薄膜を形成することからなる圧電体
    素子の形成方法。
  15. 【請求項15】 第一の圧電体薄膜上に形成する酸化物
    薄膜に少なくともPbおよびTiからなる酸化物薄膜を
    用いた請求項14記載の圧電体素子の形成方法。
  16. 【請求項16】 第一の圧電体薄膜上に形成する酸化物
    薄膜に少なくともTiを含んだ酸化物薄膜を用いた請求
    項14記載の圧電体素子の形成方法。
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