JP2003302666A - テラヘルツ波発生装置とその同調方法 - Google Patents
テラヘルツ波発生装置とその同調方法Info
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Abstract
ヘルツ波パラメトリック発生器(is-TPG)の周波
数同調を実質的に自動で行うことができ、これによりシ
ード光波長を変える度に光軸調整する必要がなくなり、
テラヘルツ波周波数同調が極めて簡単、高速に行えるテ
ラヘルツ波発生装置とその同調方法を提供する。 【解決手段】 パラメトリック効果によってテラヘルツ
波発生が可能な非線形光学結晶1と、非線形光学結晶内
にポンプ光2を入射するポンプ光入射装置12と、ポン
プ光により発生するアイドラ光3の発生方向に可変周波
数のシード光5を光注入するシード光注入装置14とを
備える。シード光注入装置14は、シード光の非線形光
学結晶1への入射角θINが波長によらず所望の位相整合
条件に実質的に一致するように設定された角度分散補償
手段16を有する。
Description
装置とその同調方法に関する。
線あるいはサブミリ波の領域は、光波と電波の境界に位
置しており、光波と電波がそれぞれの領域で発展してき
たのとは対象的に、技術面及び応用面の両面で未開拓の
分野として取り残されていた。しかし、無線通信におけ
るこの周波数帯(1〜3THz)の有効利用や超高速通
信への対応、およびこの周波数帯の電磁波の特徴を生か
したイメージングやトモグラフィーによる環境計測、そ
して生物や医学への応用など、この領域は近年ますます
重要となってきている。以下、この周波数帯(1〜3T
Hz)の遠赤外線及びサブミリ波を「テラヘルツ波」と
呼ぶ。
理図である。この図において、1は非線形光学結晶(例
えばLiNbO3)、2はポンプ光(例えばYAGレー
ザー光)、3はアイドラ光、4はテラヘルツ波である。
光学結晶1にポンプ光2を一定方向に入射すると、誘導
ラマン効果(又はパラメトリック相互作用)により物質
の素励起波(ポラリトン)を介してアイドラ光3とテラ
ヘルツ波4が発生する。この場合、ポンプ光2
(ωp)、テラヘルツ波4(ωT)、アイドラ光3
(ωi)の間には、式(a)で示すエネルギー保存則と
式(b)で示す運動量保存則(位相整合条件)が成り立
つ。なお、式(b)はベクトルであり、ノンコリニアな
位相整合条件は、図1(A)の右上に示すように表現で
きる。ωp=ωT+ωi...(a)κp=κT+κi...
(b)このとき発生するアイドラ光3とテラヘルツ波4
は空間的な広がりを持ち、その出射角度に応じてそれら
の波長は連続的に変化する。このシングルパス配置にお
けるブロードなアイドラ光及びテラヘルツ波の発生をT
PG(THz−wave Paramatric Ge
neration)と呼ぶ。
1個のポンプ光子の消滅と、1個のアイドラ光子および
1個のシグナル光子の同時生成によって定義される。ア
イドラ光あるいはシグナル光が共振する場合、ポンプ光
強度が一定のしきい値を超えるとパラメトリック発振が
生じる。また、1個のポンプ光子の消滅と、1個のアイ
ドラ光子および1個のポラリトンの同時生成が誘導ラマ
ン散乱であり、広義のパラメトリック相互作用に含まれ
る。
形光学結晶1であるLiNbO3結晶へ、Z軸偏光を持
つ周波数ωρのポンプ光2を入射すると、パラメトリッ
ク波長変換により、ポンプ光2よりわずかに周波数の低
いアイドラ光3(周波数ωi)、ポンプ光とアイドラ光
の差周波数に一致するテラヘルツ波4(周波数ωT)が
発生する。また、アイドラ光、テラヘルツ波ビームの出
射方向は、ノンコリニア位相整合条件(角度θ、φ)に
よって与えられ、波長ごとにわずかに異なる角度を持
つ。
れる場合、アイドラ光3とテラヘルツ波4はパラメトリ
ックノイズから発生する自然放出光であるためスペクト
ル線幅は数百GHzに達し、きわめて広く、かつ発生し
たテラヘルツ波は非常に微弱であり、しかもその大部分
は、非線形光学結晶中を数百μm進む間に吸収されてし
まうという問題点があった。
点を解決した光注入型テラヘルツ波パラメトリック発生
器(is-TPG)の原理図である(特開2002−7
2269)。このis-TPGでは、ポンプ光2よりも
1〜3THz周波数が低く、スペクトル線幅の狭いシー
ド光5をアイドラ光発生の種としてLiNbO3結晶1
に注入し、ポンプ光2とアイドラ光3の差周波数である
テラヘルツ波のスペクトル線幅狭さく化を図っている。
-TPGの構成図である。この図においてポンプ光2の
光源は波長固定の単一周波数Nd:YAGレーザー、シ
ード光5の光源は波長可変半導体レーザーである。シー
ド光5は、反射鏡M1、M2で反射されポンプ光2とわ
ずかな角度(θIN)をつけてMgO:LiNbO3結晶
1に注入されている。
ば、第2レーザー装置を用いてポンプ光により発生する
アイドラ光3の発生方向にシード光5を光注入するの
で、パラメトリック相互作用のみで非線形光学結晶内に
アイドラ光3を発生させるよりも、強いアイドラ光を発
生することができる。これにより、この方向のアイドラ
光3の光強度が高まり、ノンコリニアな位相整合条件を
満たすテラヘルツ波4の強度も大幅に高まることが確認
されている。
ポンプ光2とシード光5の両方にレーザー光を用いてい
るので、発生するテラヘルツ波4の発生方向の指向性が
高まるばかりでなく、スペクトル幅も大幅に狭線化でき
ることが同様に確認されている。
ド光5の入射角θINが、ノンコリニア位相整合を満たす
ためシード光5の可変波長に応じて調整されなければな
らない。
いて、ポンプ光3の結晶への入射角θINをある範囲(例
えば1〜2.5°)で変えると、結晶中でのポンプ光と
アイドラ光のなす角が変化し、テラヘルツ波とアイドラ
光のなす角度も変化する。
40〜310μmの範囲で大きく変える場合にはLiN
bO3結晶入射面上の点Aでビームが最適な角度(例え
ば1〜2.5°)で交差するようにy軸ステージと鏡M
1を手動で微調整する必要がある。したがって、従来の
テラヘルツ波パラメトリック発生器はこの調整のため周
波数の同調に時間と手間がかかり、自動化や分光システ
ムへの組み込みが困難であるという問題点があった。
0.1°あるため、200GHz以下程度の狭い幅を調
整するのであれば入射角調整を必要とせず、シード光周
波数調整のみでテラヘルツ波の同調が可能である。
系を利用したテラヘルツ波発生装置の原理図である(特
願2001−187735、未公開)。このビーム偏向
素子6は、ポンプ光の入射角制御を高速に行うことがで
きる。同じビーム偏向素子と共焦点光学系をシード光に
応用すれば、シード光ビームの入射角調整を1枚の鏡で
行うことができる。しかし、このビーム偏向素子を用い
る場合でも、光注入を維持するためには常にシード光波
長を監視して光ビームスキャナ出射角を制御する必要が
あり、システムが複雑となる欠点があった。
創案されたものである。すなわち本発明の目的は、ノン
コリニア位相整合を用いる光注入型テラヘルツ波パラメ
トリック発生器(is-TPG)の周波数同調を実質的
に自動で行うことができ、これによりシード光波長を変
える度に光軸調整する必要がなくなり、テラヘルツ波周
波数同調が極めて簡単、高速に行えるテラヘルツ波発生
装置とその同調方法を提供することにある。
トリック効果によってテラヘルツ波発生が可能な非線形
光学結晶(1)と、該非線形光学結晶内にポンプ光
(2)を入射するポンプ光入射装置(12)と、ポンプ
光により発生するアイドラ光(3)の発生方向に可変周
波数のシード光(5)を光注入するシード光注入装置
(14)とを備え、該シード光注入装置(14)は、シ
ード光の非線形光学結晶(1)への入射角θINが波長に
よらず所望の位相整合条件に実質的に一致するように設
定された角度分散補償手段(16)を有する、ことを特
徴とするテラヘルツ波発生装置が提供される。
果によってテラヘルツ波発生が可能な非線形光学結晶
(1)内にポンプ光(2)を入射し、ノンコリニア位相
整合条件を満たす方向にアイドラ光(3)とテラヘルツ
波(4)を発生させるテラヘルツ波発生装置の同調方法
であって、前記アイドラ光の発生方向に可変周波数のシ
ード光(5)を光注入し、かつシード光の波長の相違に
よりその光路が分散する波長分散素子(17)と、分散
した光路の拡大又は縮小を行う分散拡縮素子(18)と
を組み合わせ、シード光の非線形光学結晶(1)への入
射角θINが波長によらず所望の位相整合条件に実質的に
一致するように角度分散補償手段(16)を構成する、
ことを特徴とするテラヘルツ波発生装置の同調方法が提
供される。
-TPGのシード光(5)の入射経路に非線形光学結晶
(1)の波長分散を補償する角度分散補償手段(16)
により、注入するシード光の入射角が波長によらず位相
整合条件に一致するので、シード光の波長を変える度に
光軸調整する必要がなくなり、テラヘルツ波周波数同調
が極めて簡単、高速に行える。
角度分散補償手段(16)は、シード光の波長の相違に
よりその光路が分散する波長分散素子(17)と、分散
した光路の拡大又は縮小を行う分散拡縮素子(18)と
からなる。
分散拡縮素子(18)により、後述する式(1)を満た
ことができ、周波数同調を実質的に自動で行うことがで
き、これによりシード光波長を変える度に光軸調整する
必要がなくなる。
格子、プリズム、又はこれらの組み合わせであり、前記
分散拡縮素子(18)は、レンズ、凹面鏡、放物面鏡又
はこれらの組み合わせである。
プリズム、又はこれらの組み合わせにより、シード光の
波長の相違によりその光路を分散することができる。ま
た、レンズ、凹面鏡、放物面鏡又はこれらの組み合わせ
により、分散した光路を所望の倍率で拡大又は縮小を行
うことができる。
1を通過した光ビームを前記非線形光学結晶の入射面内
に位置する第2焦点f2に集光する共焦点光学系(2
0)である。
距離f1の第1凸レンズ系(21a)と焦点距離f2の第
2凸レンズ系(21b)とからなり、第1凸レンズ系と
第2凸レンズ系は互いにその焦点距離の和f1+f2の間
隔を隔てて同軸上に位置し、これにより第1凸レンズ系
と第2凸レンズ系がその中間位置にそれぞれの焦点位置
を共有する。
倍率を、f1/f2倍に設定して、分散した光路の拡大又
は縮小を自由に行うことができる。
を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通
する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略す
る。
第1実施形態図である。この図に示すように、本発明の
テラヘルツ波発生装置10は、パラメトリック効果によ
ってテラヘルツ波発生が可能な非線形光学結晶1(好ま
しくは、LiNbO3結晶)と、非線形光学結晶内にポ
ンプ光2を入射するポンプ光入射装置12と、ポンプ光
により発生するアイドラ光の発生方向に可変周波数のシ
ード光5を光注入するシード光注入装置14とを備え
る。
周波数レーザー、例えばNd:YAGレーザーである。
ポンプ光2は、この例では反射鏡11で反射されて結晶
1に対し一定の角度で入射するように設定されている。
シード光注入装置14は、ポンプ光2より1〜3THz
程度周波数が低く、単一周波数を発振し、周波数可変で
ある光源ならば何でもよい。例えば、波長可変半導体レ
ーザー、波長可変光ファイバーレーザー、光パラメトリ
ック発振器等を用いることができる。
段16を有する。この角度分散補償手段16は、シード
光5の非線形光学結晶1への入射角θINが波長によらず
所望の位相整合条件に実質的に一致するように設定され
ている。
長の相違によりその光路が分散する波長分散素子17
と、分散した光路の拡大又は縮小を行う分散拡縮素子1
8とからなる。波長分散素子17は、この例では回折格
子であり、分散拡縮素子18は、この例では、第1焦点
f1を通過した光ビームを前記非線形光学結晶の入射面
内に位置する第2焦点f2に集光する共焦点光学系(2
0)である。
用い、アイドラ光の発生方向に可変周波数のシード光5
を光注入し、かつシード光の波長の相違によりその光路
が分散する波長分散素子17と、分散した光路の拡大又
は縮小を行う分散拡縮素子18とを組み合わせ、シード
光の非線形光学結晶1への入射角θINが波長によらず所
望の位相整合条件に実質的に一致するように角度分散補
償手段16を構成する。
-TPGのシード光5の入射経路に非線形光学結晶1の
波長分散を補償する角度分散補償手段16を用いて、注
入するシード光の入射角が波長によらず位相整合条件に
一致するよう構成するので、シード光の波長を変える度
に光軸調整する必要がなくなり、テラヘルツ波周波数同
調が極めて簡単、高速に行える。
8により、後述する式(1)を満たことができ、周波数
同調を実質的に自動で行うことができ、これによりシー
ド光波長を変える度に光軸調整する必要がなくなる。
角度分散を補償し波長によらず常に位相整合が満足され
る波長変換方法は、アクロマティック位相整合(Ach
romatic phase matchinng)と
呼ばれ、広帯域波長の同時位相整合を必要とする、超短
レーザーパルスの第2高調波発生や広帯域第2高調波発
生に応用されている。かかるアクロマティック位相整合
に関しては以下の文献に記載されている。 [1] "Automatic phase-matched frequency-doubling sy
stem for the 240-350-nm region", Appl. Opt., 18,
2, pp. 193−196(1979). [2] "Achromatic phase matching for second harmonic
generation of femtosecond pulses", IEEE J. Quantu
m Electron., 25, 12, pp. 2464−2468(1989). [3] "Achromatic phase matching for tunable second-
harmonic generation byuse of at grism", Opt. Let
t., 22, 16, pp. 1223−1225 (1997). 本発明は、上述したアクロマティック位相整合で用いら
れている光学系と同様な光学系をテラヘルツ波パラメト
リック発生器の角度分散補償に応用し、一切の光軸調整
なしにテラヘルツ波の広帯域周波数同調を可能にしたも
のである。
散補償が可能な光学系(角度分散補償手段16)は、
(1)波長ごとに光路の分散・収束を行う複数の波長分
散素子17(回折格子、プリズムなど)の組み合わせ、
と(2)光路の分散を行う波長分散素子と分散の拡大・
縮小を行う分散拡縮素子18(レンズ・反射鏡の組み合
わせ)によって構成できる。
分散の拡大・縮小を行う素子(分散拡縮素子18)とし
て凸レンズ系21a,21bを用いた構成例である。回
折格子17で回折された光は、波長λ1〜λ3ごとの異な
る経路をとおり、波長ごとに異なる角度で結晶1に入射
される。回折格子17の出射角の波長依存性は、用いる
分散素子の分散特性θd(λ)に依存する。分散の大き
さは、単位波長あたりの角度変化dθd(λ)/dλで
表され、回折格子であれば溝の密度や回折角によって決
まる。したがって、設計、入手可能な回折格子の波長分
散特性は、必ずしもLiNbO3結晶のノンコリニア位
相整合角の波長分散特性θIN(λ)に一致するとは限ら
ない。しかし、回折角波長依存性の傾きdθd(λ)/
dλにある係数αを掛けてやれば、式(1)となり、回
折格子の分散を近似的にLiNbO3結晶の分散dθIN
(λ)/dλに一致させることが可能である。
f1、f2の組み合わせによって倍率を与えている。2枚
の凸レンズ通過後の角度分散の大きさは(f1/f2 )
×dθd(λ)/dλであり、どのような分散素子を用
いても適当なf1、f2選べば両者の分散特性をほぼ一致
させることが可能である。あとは、適当は波長(例えば
λ1)でシード光入射角をあわせてしまえば、すべての
波長の入射角が自動的に満たされるため、シード光波長
を変えても一切光軸調整は不要である。
で出射する光学素子ならば何でも良い。回折格子だけで
なくプリズムや回折格子とプリズムの組み合わせでも良
い。後段の分散を拡大・縮小する光学系(分散拡縮素子
18)は、たとえば、2枚以上の凸レンズ系や2枚以上
の凹面鏡または放物面鏡、凸レンズと凹面鏡・放物面鏡
の組み合わせなどを互いの焦点が共有されるように配置
された光学系を用いることができる。図5はプリズムと
凸レンズ系を用いた場合の構成例、図6(A)は、回折
格子と2枚の凹面鏡(第1凹面鏡22a、第2凹面鏡2
2b)を用いた場合の構成例である。
て、図6(B)に例示するように、波長可変レーザー内
部の波長分散素子を用いることもできる。例えば、典型
的なリットロウ型の半導体レーザー23は半導体レーザ
ー素子の他に回折格子17を有しており、回折格子17
の角度によって波長を選択できる。1次回折光を半導体
レーザーへの反射光、0次回折光(反射光)を外部出力
として利用する場合、波長を変えるために回折格子の角
度を変えると、同時に出射角が変化する。ここで得られ
る出射角の波長分散特性を後段の分散拡縮素子で調整し
てLiNbO3結晶に注入する。(発明の具体例)図4
のように回折格子と凸レンズ系の共焦点光学系を用いて
注入する場合について、計算と実験結果を示す。励起光
源は、波長1.064μm のNd:YAGレーザー、
シード光源は、波長1.067〜1.075μm を発
生する連続波の波長可変半導体レーザー、非線形光学結
晶はLiNbO3結晶を用いる。 (is-TPG位相整合角の波長依存性)まず、角度分
散補償手段の設計のためis-TPG位相整合角の波長
依存性を計算する。図1(A)(B)のように、ポンプ
光、アイドラ光、テラヘルツ波の周波数をそれぞれ、ω
p、ωi、ωT、波数ベクトルをそれぞれ、kp、ki、kT
とすると、is-TPGが発生する周波数は、エネルギ
ー保存則 ωp=ωi+ωT・・・(2) から、またLiNbO3結晶中でポンプ光とアイドラ光
の波数ベクトルがなす角θは、ノンコリニア位相整合条
件 kp=ki+kT・・・(3) から求められる。ωpは励起光周波数であり、一定であ
る。ωiはシード光の周波数によって変化する。テラヘ
ルツ波周波数はωT=ωp-ωiの関係から決まる。
4μmとした場合の、アイドラ波長とテラヘルツ波長の
関係を示している。アイドラ光とテラヘルツ波の周波数
の和が一定となるようωp=ωi+ωTに従って、テラヘ
ルツ波とアイドラ波長が同時に変化する。
それぞれ、kp、ki、kTとすれば、余弦定理により式
(4)と表される。
と、LiNbO3結晶外部の角度θINは、スネルの法則
により θIN=sin-1(nesinθ)・・・(5) で得られる。ここで、neはポンプ光、アイドラ光に対
するLiNbO3結晶の屈折率を表す。波数ベクトルの
大きさと周波数の関係は、テラヘルツ波、ポンプ光、ア
イドラ光に対する屈折率をnT、np、niを用いて kT=nTωT/c・・・(6) kp=npωp/c・・・(7) ki=niωi/c・・・(8) で表される。ωp、ωi、ωTは、シード光周波数が決ま
ればすべて与えられるので、それぞれの周波数に対する
LiNbO3結晶の屈折率nT、np、niを与えれば式
(4)によって位相整合角θを求めることができる。L
iNbO3結晶の屈折率は、波長依存性を持っており、
特にテラヘルツ波帯と光波帯で大きく異なる。テラヘル
ツ波帯の屈折率nTの波長依存性は式(9)の近似式で
与えられる[D.R.Bosomworth: Appl. Phys. Lett.,9, p.
330 (1966).]。
また温度300Kにおいて、各定数の値はωTO=220
cm-1、ε0=25.5、ε=4.64である。
率np、niの波長依存性はLiNbO3異常光に対する
光波帯屈折率neの近似式(10)で与えられる[H. V.
Hobden and J. Warner: Phys. Lett. (1966).]。
[K]である。図7(b)は、ポンプ光の波長1.06
4μm、温度T=300Kとし、アイドラ波長に対する
位相整合角の変化を屈折率の近似式(9)(10)をも
とに計算した結果である。アイドラ波長が1.068μ
mから1.074μmまで変化すると位相整合θINは
0.9°〜2.6°まで、幅にして約1.7°変化す
る。シード光入射の光軸は、この図の波長と角度の関係
を満足するように角度分散補償手段16を構成する必要
がある。 (回折格子による角度分散)図8のような反射型回折格
子の格子間隔をd、入射波長λ、入射角α、回折β、回
折次数mとすると、それらは d(sin(β)+sin(α))=mλ・・・(11) の関係で結ばれる。入射角αを一定とすれば、1次回折
角(m=1)の波長依存性は、 β(λ)=sin-1(λ/d−sin(α))・・・(12) で求められる。また、1次回折角の分散の大きさは式
(11)より、 dβ/dλ=1/(dcosβ)・・・(13) によって与えられ、格子間隔dが小さく出射角βが90
度の近いほど分散が大きくなる。ただし、高い回折効率
を得ようとすると、使用できる回折格子の格子間隔や回
折角βは限定される。図9は、格子本数1200/mm
の回折格子の1次回折角を計算した結果である。入射角
α=41とした。入射波長が1.068μm〜1.07
4μmまで変化するとき、1次回折光の出射角は38.
72°〜39.25°まで幅にして0.53°変化す
る。この変化量は、LiNbO3結晶の位相整合角の変
化量(約1.7°)よりも小さい。 (共焦点光学系による角度分散の拡大・縮小)図10の
ように、1枚目レンズの焦点距離をf1、2枚目レンズ
の焦点距離をf2として焦点を共有するようにf1+f2
の間隔で配置する。rinを入射点、ro utを出射点とす
る光線行列を光エレクトロニクスの基礎(A.Yari
v著)に従って計算すると、その光線行列は式(14)
で表される。
位置、傾き、rout、rout'をそれぞれ出射点での光線
の位置、傾きとすると、それぞれ、式(15)と求めら
れる。
に角度変化を与えると、rout=ri n=0、rout'=-
(f1/f2)rin'が得られる。これはrout面の入射角
rout'が、rout=0の1点を中心に、rin面の出射角
のf1/f2倍で変化することを表している。また、r
out=-(f2/f1)rinは、rout面の像が-f2/f1倍
に拡大・縮小されることを意味しており、ビームのサイ
ズの拡大縮小を伴う。
LiNbO3結晶の位相整合角θINと格子数1200本
/mmの回折格子の1次回折光の角度分散を計算した結
果である。横軸はアイドラ光波長縦軸は波長1.07μ
mを中心とした角度変化を表している。回折角の計算
は、図8の入射角α=41°と仮定して計算した。
mmの回折格子の1次回折光の角度分散の大きさはLi
NbO3結晶の角度分散の約1/3であることがわか
る。の曲線は1200本/mmの回折格子の角度分散
の大きさを3倍に拡大した結果である。2つの曲線は、
アイドラ波長1.068μm〜1.074μmの範囲で
のずれは0.1°以下である。
実験から、角度許容幅は0.1°以上あることがわかっ
ているため、アイドラ光波長1.068μm〜1.07
4μmの全域が光注入の許容範囲に入る。図12は、1
200本/mmの回折格子を用いた場合の、LiNbO
3結晶の位相整合角とシード光入射角のずれを計算した
結果である。入射角αは41deg.と仮定した。各曲
線は、シード光入射角の調整を行う波長を表している。
角度許容幅は±0.1deg.あるため1070〜10
74nmのどの波長で光軸調整を行っても、全域で光注
入が可能であることを示している。図13は、位相整合
角θIN(λ)の波長依存性dθIN(λ)/dλと回折角
θ d(λ)の波長依存性(倍率3)3×dθ(λ)/d
λを計算した結果である。入射角αを40〜43度まで
1度ごとに計算した。回折格子への入射角を調整する
と、LiNbO3結晶の位相整合角の分散と回折格子の
分散が一致する波長(図12の曲線が極小となる波長)
を変えることができる。
ルツ波発生装置の構成図である。テラヘルツ波発生に使
用した非線形光学結晶は、MgO:LiNbO3結晶1
とLiNbO3結晶またはMgO:LiNbO3結晶1'
である。テラヘルツ発生の閾値を下げるため、2本のL
iNbO3結晶を直列に接続して用いた。前段の結晶と
して、長さ50mmのLiNbO3結晶(ノンドープ)
または、長さ73mmの5mol%MgO:LiNbO
3結晶を用いた。後段の結晶としては長さ73mm、幅
8mmの5mol%MgO:LiNbO3結晶を用い
た。励起光源12aはQスイッチNd:YAGレーザー
である。シード光源14aは、外部共振器型半導体レー
ザーである。シード光5は、ビームエクスパンダーでビ
ーム径を半値全幅で約3mmに拡大された後1200本
/mmの回折格子で反射・回折され、1次回折光がLi
NbO3結晶1に注入される。回折格子17の1次回折
光への回折効率は約60%で、シード光源14aの出力
50mWのうち23〜30mWを注入に用いた。回折格
子の反射点から600mmの位置に焦点距離600mm
のレンズ(L1)、さらにL1から800mmの位置に
焦点距離200mmのレンズ(L2)を配置した。L1
とL2は、焦点を共有しており、3:1のテレスコープ
となっている。回折格子の1次回折光の角度分散は3倍
に拡大される。ビーム径は1/3に縮小される。 (シード光入射角変化)図15は、シード光波長を変え
た際の入射角変化を観測した結果である。波長1.07
μmで最大の光注入効果が得られるように光軸を調整し
た後、シード光波長を変え、シード光の入射角が計算ど
おりに変化しているかを確認した。1.068μmから
1.073μmまで約1nmおきにシード光の位置を観
測し、シード光波長1.073μmでも入射角のずれは
0.1°以下であることを確認した。 (アイドラ光ビームプロフィール)図16は、結晶1へ
の入射面から約80cmの位置で観測した、シード光と
アイドラ光の波長依存性を示す図である。この図におい
て、右側がテラヘルツ波野発生方向である。一番上の写
真は、シード光5を注入しないアイドラ光3のビームプ
ロファイルである。広い角度分布を持っており、アイド
ラ光のスペクトル線幅が広いことを意味している。シー
ド光の波長と角度を位相整合条件に合わせてLiNbO
3結晶1に注入すると、シード光波長1070.500
nm〜1072.100nmの写真のようにアイドラ光
波長がシード光波長に引き込まれ、空間プロファイルが
1点に収束する。ただし、テラヘルツ波、アイドラ光の
出力が最大となるようにシード光ビームの光軸調整を行
うと、アイドラ光ビームはシード光と平行で空間的に数
mmずれた位置に発生する。シード光5とアイドラ光3
は平行であるため、位相整合角が一致していることがわ
かる。なおシード光波長を変える間、反射鏡の調整は一
切行っていない。従って回折格子17の効果で自動的に
シード光入射角が変化し、広い波長範囲でスペクトル線
幅狭さく化が行われていることが確認された。 (テラヘルツ波出力)図17は、テラヘルツ波出力の周
波数依存性を回折格子を用いて注入した場合と入射角固
定の反射鏡で注入した場合に分けて測定し比較した結果
である。横軸はテラヘルツ波周波数、縦軸はテラヘルツ
波出力エネルギーを表す。白四角、黒丸はそれぞれ、反
射率約60%の反射鏡を用いて入射角固定のまま注入し
た場合と1200本/mmの回折格子で注入した場合の
出力波長依存性を示す。反射率約60%の鏡を用いたた
め注入光パワーは、30mWであった。回折格子を通常
の反射鏡に置き換えた場合、波長が変わってもシード光
入射角が変化しないため、光注入の効率が急激に低下す
る。周波数1.7THzでテラヘルツ波出力が最大とな
るように調整した。1.7THzでの出力エネルギーは
0.7nJ/pulseであったが、シード光周波数を
100GHz変えただけで出力は10分の1以下に低下
した。出力がピーク値の10分の1に低下する周波数帯
域で同調可能範囲を定義すると、その値は半値全幅にし
て150GHzであった。すでに報告されている実験結
果では、シード光波長を一定として入射角を変えた場
合、入射角の許容幅は±0.1°であることが観測され
ている。その許容幅から、見積もられる周波数帯域は〜
200GHzであり、今回得られた周波数帯域に近い。
このことからも、入射角を固定した場合の周波数帯域は
シード光入射角のずれによって制限されていることがわ
かる。一方、回折格子でシード光を注入する際にはシー
ド光波長1071nmでテラヘルツ波出力が最大になる
ように入射角を最適に合わせた状態で固定した。波長依
存性を測定するときには全く光軸調整を行わなかった。
図17より、周波数0.6〜2.6THzの範囲で連続
的に光注入が行われていることが確認された。最大出力
は、周波数1.45THz付近で得られ、約0.8nJ
/pulseであった。出力がピーク値の10分の1に
低下する周波数帯域を固定入射角の場合と比較すると約
950GHzであり、同調可能な帯域幅は6倍以上に拡
大した。
波数帯域を制限しているのは、LiNbO3結晶の利
得、励起強度、吸収損失に依存した増幅利得の周波数特
性であり、シード光入射角のずれによる帯域幅の制限で
はない。注入効果が維持される周波数帯域で比較する
と、回折格子による注入法は固定入射角よりも20倍以
上広帯域である。
とを確認するため、光軸調整を行った波長から離れた波
長1072nmでシード光入射角を再調整してみたが、
テラヘルツ波の出力増加は観測できなかった。したがっ
て、回折格子とレンズ光学系を用いた場合わずかに残る
位相整合角と入射角のずれは、is-TPGの光注入効
率には問題にならないことが確認された。図18は、テ
ラヘルツ波出力の波長依存性を回折格子を用いて注入し
た場合と入射角固定の反射鏡で注入した場合に分けて測
定し、比較した別の結果である。横軸はシード光波長、
縦軸はテラヘルツ波を検出するSiボロメータのピーク
電圧で、それぞれ黒丸が回折格子で注入した場合、白丸
は入射角固定でシード光波長を変化した場合の出力波長
依存性を示す。回折格子でシード光を注入する際、波長
1071nmでテラヘルツ波出力が最大になるように入
射角を最適に合わせた状態で固定してから波長依存性を
測定した。この図より、300μm〜137μm(周波
数1〜2.2THz)の範囲で連続的に光注入が行われ
ていることを確認した。得られたテラヘルツ波出力は、
結晶の利得、励起強度、吸収損失に依存した典型的な特
性であり、シード光入射角のずれの影響は見られない。
光軸調整を行った1071nmから離れた波長で、シー
ド光入射角を再調整してもテラヘルツ波の出力増加は得
られなかったことから、理想的な入射角からのわずかな
ずれによる光注入効率の低下は問題にならないレベルで
あることを確認した。一方、白丸は入射角固定でシード
光波長を変化した場合の、テラヘルツ出力変化を測定し
た結果である。回折格子を反射率約60%の反射鏡に置
き換えて、波長が変わっても入射角が変化しないように
シード光の入射光軸を設定した。シード光波長107
0.3nmでテラヘルツ波出力が最大となるように調整
してから、シード光波長を変えて波長依存性を測定し
た。テラヘルツ波出力の変化が少ない波長帶にもかかわ
らず、シード光波長を変えると急激にテラヘルツ波出力
が低下することがわかる。出力が半分に低下する周波数
帯域は130GHzであり、シード光入射角の許容幅±
0.1°から見積もられる周波数帯域(〜200GH
z)に近いことから、明らかにシード光入射角のずれが
出力低下の原因である。
格子と凸レンズ系を使用した角度分散補償手段によって
連続的な同調範囲が拡大できることが確認された。 (波長測定)図19は、スキャニングファブリ・ペロー
干渉計を用いて測定したテラヘルツ波長である。シード
光波長はそれぞれ(a)1071.680nm、(b)
1070.060nm、(c)1068.960nmの
場合である。(a)〜(c)測定の際に入射角の調整は
一切行っていない。スキャニング・ファブリペロー干渉
計のミラー間隔は100μm以下にまで近接された状態
から1μmステップで拡大された。テラヘルツ波パラメ
トリック発生器は、光注入を行わない場合、周波数帯域
約500GHzを持つ白色光を発生する。スキャニング
・ファブリペロー干渉計のFSRはすぐに500GHz
以下となるためスペクトル線幅を上回り、干渉パターン
がすぐに見えなくなる。シード光を角度を合わせて注入
すると、発生スペクトルが注入波長に引き込まれるた
め、単色的なテラヘルツ波が発生する。シード光注入に
より、アイドラ光のスペクトル線幅はフーリエ変換限界
に達していると考えられる。テラヘルツ波のスペクトル
線幅は、エネルギー保存則によりポンプ光のスペクトル
線幅に一致する。本実験で用いたNd:YAGレーザー
は光注入が行われていないものであり、その典型的なス
ペクトル線幅は50GHzである。スキャニング・ファ
ブリペロー干渉計で測定されたテラヘルツ波のスペクト
ル線幅が約50GHzであることから、どの波長でも光
注入がかかっていることがわかる。また、図19(a)
の周波数は約1.85THz、(c)の周波数は1.2
THzである。周波数の開きは600GHz以上あり、
従来の光注入法ではシード光の光軸調整なしに連続的な
周波数同調は不可能である。 (吸収スペクトル計測への応用例)図20は、回折格子
注入型のテラヘルツ波パラメトリック発生器を用いて行
った、水蒸気の吸収スペクトル測定結果である。図20
(a)〜(c)は、それぞれテラヘルツ波周波数(a)
1.41THz、(b)1.60THz、(c)1.9
2THz付近に存在する水蒸気の吸収スペクトルを観測
した結果である。測定サンプルである水蒸気は、気温2
2℃、湿度43%の大気を10Pa以下の圧力で、長さ
50cmのパイプに封入したものである。図20
(a)、(b)は、常温動作のDTGS検出器を2台用
いて、参照光、信号光の2チャンネル測定を行って得ら
れた結果である。縦軸は、信号光出力を参照光出力で規
格化し、透過率で表されている。(c)はSiボロメー
タを用いた信号光のみの1チャンネル測定の結果であ
る。縦軸は検出器の出力電圧で表されている。1.92
THz付近には、2本の吸収線が隣接して存在し、周波
数の校正に利用できる。水蒸気の圧力は十分に減圧され
ているため、観測されたスペクトル幅は、光源のスペク
トル幅を表しているものと考えられる。吸収スペクトル
の幅は約100MHzであり、is-TPGのスペクト
ル幅は約100MHzであることがわかる。また、図2
0(a)〜(c)の測定に際して、シード光軸の再調整
は不要であった。たとえば(a)と(c)では500G
Hz以上離れており、従来の注入法では光軸調整が不可
欠であった。回折格子を用いた光注入法では、シード光
の周波数調整のみ行えば十分であり、連続的に広い周波
数範囲の吸収スペクトルを観測できる。なお、本発明は
上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で種々変更できることは勿論である。
素子と共焦点光学系による入射角の拡大・圧縮作用を合
わせ、ノンコリニア型光パラメトリック発生器へ注入す
るシード光波長と入射角の関係を常に最適に保つ光注入
手段を提案した。
と3:1テレスコープにより、近似的にLiNbO3結
晶のノンコリニア位相整合条件を満足できることを示
し、実験的に連続的な周波数同調を確認した。本発明を
用いることにより機械的制御を全く必要としないきわめ
て簡便な光注入型テラヘルツ波パラメトリック発生器を
構成できる。従って、本発明のテラヘルツ波発生装置と
その同調方法は、ノンコリニア位相整合を用いる光注入
型テラヘルツ波パラメトリック発生器(is-TPG)
の周波数同調を実質的に自動で行うことができ、これに
よりシード光波長を変える度に光軸調整する必要がなく
なり、テラヘルツ波周波数同調が極めて簡単、高速に行
える等の優れた効果を有する。
る
である。
図である。
図である。
図である。
アイドラ波長に対する位相整合角の関係(B)を示す図
である。
子の1次回折光の角度分散の計算例である。
射角のずれの計算例である。
IN(λ)/dλと回折角θd(λ)の波長依存性(倍率
3)3×dθ(λ)/dλの計算例である。
置の構成図である。
結果である。
である。
である。
ある。
て測定したテラヘルツ波長である。
ク発生器を用いて行った、水蒸気の吸収スペクトル測定
結果である。
4 テラヘルツ波、5 シード光、6 ビーム偏向器、
10 テラヘルツ波発生装置、12 ポンプ光入射装
置、14 シード光注入装置、16 角度分散補償手
段、17 波長分散素子(回折格子、プリズム)、18
分散拡縮素子、20 共焦点光学系、21a 第1凸
レンズ系、21b 第2凸レンズ系、22a 第1凹面
鏡、22b 第1凹面鏡、23 半導体レーザー
Claims (6)
- 【請求項1】 パラメトリック効果によってテラヘルツ
波発生が可能な非線形光学結晶(1)と、該非線形光学
結晶内にポンプ光(2)を入射するポンプ光入射装置
(12)と、ポンプ光により発生するアイドラ光(3)
の発生方向に可変周波数のシード光(5)を光注入する
シード光注入装置(14)とを備え、 該シード光注入装置(14)は、シード光の非線形光学
結晶(1)への入射角θINが波長によらず所望の位相整
合条件に実質的に一致するように設定された角度分散補
償手段(16)を有する、ことを特徴とするテラヘルツ
波発生装置。 - 【請求項2】 前記角度分散補償手段(16)は、シー
ド光の波長の相違によりその光路が分散する波長分散素
子(17)と、分散した光路の拡大又は縮小を行う分散
拡縮素子(18)とからなる、ことを特徴とする請求項
1に記載のテラヘルツ波発生装置。 - 【請求項3】 前記波長分散素子(17)は、回折格
子、プリズム、又はこれらの組み合わせであり、前記分
散拡縮素子(18)は、レンズ、凹面鏡、放物面鏡又は
これらの組み合わせである、ことを特徴とする請求項1
に記載のテラヘルツ波発生装置。 - 【請求項4】 前記分散拡縮素子(18)は、第1焦点
f1を通過した光ビームを前記非線形光学結晶の入射面
内に位置する第2焦点f2に集光する共焦点光学系(2
0)である、ことを特徴とする請求項1に記載のテラヘ
ルツ波発生装置。 - 【請求項5】 前記共焦点光学系(20)は、焦点距離
f1の第1凸レンズ系(21a)と焦点距離f2の第2凸
レンズ系(21b)とからなり、第1凸レンズ系と第2
凸レンズ系は互いにその焦点距離の和f1+f2の間隔を
隔てて同軸上に位置し、これにより第1凸レンズ系と第
2凸レンズ系がその中間位置にそれぞれの焦点位置を共
有する、ことを特徴とする請求項4に記載のテラヘルツ
波発生装置。 - 【請求項6】 パラメトリック効果によってテラヘルツ
波発生が可能な非線形光学結晶(1)内にポンプ光
(2)を入射し、ノンコリニア位相整合条件を満たす方
向にアイドラ光(3)とテラヘルツ波(4)を発生させ
るテラヘルツ波発生装置の同調方法であって、 前記アイドラ光の発生方向に可変周波数のシード光
(5)を光注入し、 かつシード光の波長の相違によりその光路が分散する波
長分散素子(17)と、分散した光路の拡大又は縮小を
行う分散拡縮素子(18)とを組み合わせ、シード光の
非線形光学結晶(1)への入射角θINが波長によらず所
望の位相整合条件に実質的に一致するように角度分散補
償手段(16)を構成する、ことを特徴とするテラヘル
ツ波発生装置の同調方法。
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