JP2003302312A - エンジンの慣性モーメント測定方法 - Google Patents
エンジンの慣性モーメント測定方法Info
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Abstract
所定角加速度中におけるエンジンの機械的損失に基づく
トルク損失は考慮されてないため測定精度は悪いものと
なっていた。 【解決手段】 速度NiからNmにまで加速する所定時
間をn分割し、各分割毎のエンジンのトルク損失分を測
定記憶しておく。慣性モーメント測定時には角加速度中
における現在の検出トルク値から記憶値を減算して補正
値とし、角加速度をX,トルク検出補正値をYとして最
小二乗法で1次関数Y=AX+BとしたときのAを求
め、その絶対値をエンジンの慣性モーメントとする。
Description
におけるエンジンの慣性モーメントの測定方法に関する
ものである。
で、エンジン1とダイナモメータ2とをトルクメータ3
を介して回転軸4で連結し、エンジン側はスロットルア
クチェータ5によりスロットル開度が制御されるように
構成されている。この装置によって、ダイナモメータの
トルク制御・速度制御を実施しながらエンジンの耐久性
や燃費、排ガス計測等の性能試験およびECU(Electr
onic Control Unit)適合試験が行われる。なお、6は
エンジンの軸回転を検出する速度検出器である。上記の
ようなダイナモメータを使用してエンジンを試験する装
置においては、前もってエンジンの慣性モーメントを測
定し、その測定値を制御パラメータとして使用すること
が行われている。
な手順で行われている。 (1)エンジンの燃料流入を遮断し、エンジンの吸入空
気の抵抗を減らすためにエンジンのスロットルを全開に
する。 (2)回転軸4が或る一定の速度で回転している状態よ
り、ダイナモメータ2によって一定の角加速度αで加
速、又は減速する。この一定の加減速時に、その時のト
ルクTをトルクメータ3によって計測する。 (3)計測値をもとに、運動方程式T=JαよりJ=T
/αとしてJを求めて制御パラメータとしている。
て制御され、エンジン1は開度制御によって制御される
が、全ての運転において、エンジンの吸気ロスを極力減
らすために100%開度にされる。また、エンジンが点
火しないように燃料供給を遮断し、イグニッションはオ
フにされている。
されるエンジン1には、機械的な抵抗が存在している
が、従来の測定方法による計測値にはその抵抗による損
失分が考慮されてないため、算出されたエンジンの慣性
モーメント精度は決して高いものとはいえない。特に、
エンジン慣性モーメントの小さい小排気量エンジンの精
度は悪いものとなっていた。
性モーメントの測定を可能とした慣性モーメントの測定
方法を提供することにある。
ンとダイナモメータとを回転軸を介して直結し、このエ
ンジンを加減速運転しながらトルクメータおよび速度検
出器を介してエンジントルクと回転角加速度とを検出し
ながらエンジン試験を行うものにおいて、前記エンジン
の任意回速度時におけるエンジントルク損失分を予め検
出して記憶し、エンジン試験時における対応した前記任
意速度時で測定されたトルク値より、前記記憶された当
該相当時間におけるトルク損失分を減算してトルク検出
補正値とし、前記角加速度(rad/s2)をX,トル
ク検出補正値をYとし、最小二乗法で一次関数Y=AX
+Bとした場合のAの絶対値をエンジンの慣性モーメン
トとして測定することを特徴としたものである。
直線補間にて行い、トルク検出補正値の演算時のエンジ
ン回転数は、エンジンの慣性モーメント計測時の当該エ
ンジン回転数と最も近い上下の回転数で補正することを
特徴としたものである。
ータ収集は、各測定区間の開始時と終了時の所定時間は
それぞれ除外することを特徴としたものである。
もので、図9と同一部分には同一符号を付してその説明
を省略する。10はエンジンのトルク,速度を検出する
ための検出部で、試験に先立って或る加減速度α時にお
けるエンジンの損失分を前もって求める。そのために、
この検出部10は設定された最低回転数(アイドリング
回転数)Niから最高回転数Nmにまで到達する時間τ
を任意数nで分割し、各分割時点におけるエンジンのト
ルクを検出するためのサンプリング機能を有している。
11は記憶部で、検出部10によって検出された各分割
時点の検出値をこの記憶部において保存する。12は第
1の演算部でトルク検出補正値を演算する。13は第2
の演算部で慣性モーメントJを演算する。14は制御部
で、この制御部14はエンジンのモデル部や軸トルク制
御部などによって構成されている。15はコントローラ
で、このコントローラ15はダイナモメータ2が交流機
の場合にはインバータが用いられ、制御部14よりの信
号に基づいてダイナモメータ2を速度制御する。
検出状態を示したものである。この損失検出はエンジン
1の試験に先立って行われるもので、ダイナモメータ2
を介して制御されるエンジン1の軸回転数が、指定最低
回転数Niから最高回転数Nmまでの時間τをダイナモ
メータ2による速度制御よって加速するものとすると、
その間を任意数n(ここでは、n=20)で段階状に分
割し、分割された時刻毎に当該時刻の軸回転数と軸トル
クを速度検出器6とトルクメータ3を介してサンプリン
グして記憶部11に格納する。最高回転数Nmよりの減
速時は、一定の傾斜を持って指定最低回転数Niまで減
速される。
ので、各段階毎の軸回転数と軸トルクの検出は、速度指
令とその指令に追従する実速度との間には僅かでも遅れ
が生じているので、各信号のサンプリングは、速度が安
定した時点,例えば各段の平行部分の時間を5秒とする
と前半の2秒を非測定範囲として安定状態となるのを待
ち、計測は後半の3秒にて例えば100ms周期で行わ
れ、その平均値を当該段(当該回転数)におけるエンジ
ンの損失とし記憶部11に格納される。図4はその結果
におけるエンジン回転数とトルクとのイメージ例を示し
たものである。図中のNO.は図2における各分割段階
(回転数)を示したものである。なお、計測データをA
/Dコンバータを介して取得するは場合には、エリアジ
ングノイズを避けるためにカットオフ周波数が或る周波
数以下の低域通過フィルタを通してサンプリングする。
(1)〜(3)と同様の手順によって測定される。
転をしながらのデータ収集の状態例を示したもので、ア
イドル(指定最低)回転数Niと最高回転数Nm間にお
いて加速,減速の加速度を変えながらエンジン回転数を
制御し、その時の各区間におけるエンジンの軸トルクを
トルクメータ3によって検出する。検出部10は、計測
区間である加速1,減速1,加速2,減速2…の各区間
において計測を行うが、データ数を多くとるために例え
ば20ms周期にてサンプリングを行う。なお、その
際、NiからNmにおける各計測区間の開始時点と終了
時点のトルクは不安定であると考えられるので、図6で
示すように例えば各計測区間の開始時10%、終了時5
%の範囲は計測より除外される。
は第1の演算部12に出力され、この演算部12におい
て、先に記憶部11に記憶されているエンジンの損失計
測値Tmと今回入力された検出値Tnを基に式(1)に
よるトルク検出値の補正演算が行なわれる。
ンジン回転数毎の損失Tmをトルク検出値Tnから減じ
てトルク検出補正値とする。その補正方法は図7で示す
ように直線補間で行ない、S1及びS2は、今回の検出ト
ルクTnが検出されたエンジン回転数Snに最も近いサ
ンプリング時点のエンジン回転数の上と下の値が適用さ
れる。
ク検出値は第2の演算部13に出力されてエンジンの慣
性モーメントが求められる。図5で示す計測区間である
加速1,減速1,加速2,減速2…の各区間の角加速度
α(rad/s2)をXとし、そのときの当該加速,減
速時のトルク検出補正値Tn−Tm(Nm)をYとし、
最小二乗法で1次関数Y=AX+BとしたときのAを求
め、その絶対値をエンジンの慣性モーメントJとする。
なお、絶対値とすることは、トルクの方向がシステムに
よって異なることに基づくものである。図8が角加速度
αとトルク検出値Tn−Tmをプロットしたもので、直
線の方程式による傾Aがエンジンの慣性モーメントJと
なる。なお、最小二乗法による解法は(2)式による。
に出力されて例えば共振抑制手段用のパラメータとして
使用され、コントローラ15を介してダイナモメータ2
を制御する。
損失分に基づくトルク誤差分を考慮してエンジンの慣性
モーメントを算出したものであるから、その精度が向上
するものである。したがって、測定されたエンジンの慣
性モーメント値を用いて機械系の制御パラメータに適用
した場合、有効なる制御が可能となる。また、測定され
た慣性モーメントが高精度となることにより、その測定
値を機械系の共振抑制制御に適用する場合には、機械系
の破壊強度に対する入力信号レベルの上限値が高精度で
求まるため、機械系の破壊防止が可能となる等の効果を
有するものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 エンジンとダイナモメータとを回転軸を
介して直結し、このエンジンを加減速運転しながらトル
クメータおよび速度検出器を介してエンジントルクと回
転角加速度とを検出しながらエンジン試験を行うものに
おいて、前記エンジンの任意回速度時におけるエンジン
トルク損失分を予め検出して記憶し、エンジン試験時に
おける対応した前記任意速度時で測定されたトルク値よ
り、前記記憶された当該相当時間におけるトルク損失分
を減算してトルク検出補正値とし、前記角加速度(ra
d/s2)をX,トルク検出補正値をYとし、最小二乗
法で一次関数Y=AX+Bとした場合のAの絶対値をエ
ンジンの慣性モーメントとして測定することを特徴とし
たエンジンの慣性モーメント測定方法。 - 【請求項2】 前記トルク検出補正値は直線補間にて行
い、トルク検出補正値の演算時のエンジン回転数は、エ
ンジンの慣性モーメント計測時の当該エンジン回転数と
最も近い上下の回転数で補正することを特徴とした請求
項1記載のエンジンの慣性モーメント測定方法。 - 【請求項3】 前記エンジン試験時のデータ収集は、各
測定区間の開始時と終了時の所定時間はそれぞれ除外す
ることを特徴としたエンジンの慣性モーメント測定方
法。
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