JP4591176B2 - エンジンの慣性モーメント測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン試験装置を利用してエンジンの慣性モーメントを測定する装置に関するものである。
図5はエンジン試験装置の概略構成を示したもので、エンジン1とダイナモメータ(動力計)2とをトルクメータ3を介して回転軸4で連結し、エンジン側はスロットルアクチェータ5によりスロットル開度が制御されるように構成されている。この装置によって、ダイナモメータ2のトルク制御・速度制御を実施しながらエンジン1の耐久性や燃費、排ガス計測等の性能試験およびECU(Electronic Control Unit)適合試験が行われる。なお、6はエンジンの軸回転を検出する速度検出器である。
上記のようなダイナモメータを使用してエンジンを試験する装置においては、前もってエンジンの慣性モーメントを測定し、その測定値を制御パラメータとして使用することが行われている。その際の慣性モーメントの計測は次のような手順で行われている。
(1)エンジンの燃料流入を遮断し、エンジンの吸入空気の抵抗を減らすためにエンジンのスロットルを全開にする。
(2)回転軸4が或る一定の速度で回転している状態より、ダイナモメータ2によって一定加速度αで加速、又は減速する。この一定加減速時に、その時のトルクTをトルクメータ3によって計測する。
(3)計測値をもとに、運動方程式T=JegαよりJeg=T/αとしてエンジン慣性Jegを求める。
以上のような測定方法では、慣性モーメントが測定されるエンジン1には、機械的な抵抗が存在しているにもかかわらず、従来の測定方法による計測値にはその抵抗による損失分が考慮されてないため、算出されたエンジンの慣性モーメント精度は高いものとはいえない。特に、エンジン慣性モーメントの小さい小排気量エンジンの精度は悪いものとなる。
この課題を解決する計測方法を、本願出願人は既に提案している(例えば、特許文献1参照)。この方法は、測定対象であるエンジンは一般に回転数にほぼ比例した損失を持つため、回転数に依存した損失をあらかじめ測定し、その後、エンジンをある回転数からある回転数まで変化させ、そのときに要した加速トルクとエンジンの運動方程式{J(dω/dt)+C=T}から、エンジン慣性モーメントを推定する。ただし、Jはエンジンの慣性モーメント、ωは回転数、Cは損失、Tは加速トルクである。
特開2003−121307号公報
従来技術では、エンジンの損失をあらかじめ測定し、測定された損失トルクを考慮してエンジン慣性モーメントを推定するものであるが、エンジンベンチシステムの機械系構成によっては、エンジンを含めた機械系の損失が、回転数の定常値のみに依存するだけでなく、回転数の変化の履歴にも依存する場合がある。そのような場合、従来の手法では、回転数の定常値に依存した損失トルクのみの補正にとどまっているため、正確なエンジン慣性モーメントを推定することが困難となっている。
また、従来のエンジンの慣性モーメント測定方法では、エンジンをある回転数からある回転数に変化させる必要がある。このとき、機械系の共振破壊を防ぐために、該当機械系の危険速度(例えばエンジン脈動トルク周波数が機械系共振周波数と一致するような回転数)がエンジン慣性モーメント測定時の速度に入らないようにする必要がある。その場合、エンジン脈動トルクの周波数分布と機械系共振周波数の組み合わせによっては、エンジン速度変化幅を十分取れず、エンジンの慣性モーメント測定が正確に実施できないことも考えられる。
本発明の目的は、エンジン回転数変化の履歴に依存する損失の影響を受けることなく、さらにエンジン回転数を大きく変化させることなく、エンジンの慣性モーメントを精度よく測定できるエンジンの慣性モーメント測定装置を提供することにある。
本発明は、前記の課題を解決するため、エンジン回転数をほぼ一定の状態にしてダイナモメータのトルク指令値を加振させたときの軸トルクTtmおよびダイナモメータ回転数ωdyまたはエンジン回転数ωegのデータをある時間だけ収録し、このデータがもつ軸トルク変化に対する回転数変化からエンジン慣性モーメントを推定するようにしたもので、以下の装置を特徴とする。
(1)エンジンとダイナモメータとを回転軸を介して連結し、エンジンを出力制御できるエンジン制御部と、ダイナモメータをトルク制御できるダイナモメータ制御部とを備えてエンジンの試験を行う装置において、
前記エンジン制御部によりエンジンの回転数をほぼ一定に制御した状態で、正規分布乱数信号を前記ダイナモメータ制御部のトルク指令としてダイナモメータの出力トルクを加振制御する手段と、
前記加振制御における前記回転軸に発生する軸トルクTtmおよびダイナモメータの回転数ωdyのデータを一定時間だけ収録する検出手段と、
前記データから、前記軸トルクTtmを入力、ダイナモメータ回転数ωdyを出力とする伝達関数を推定し、この伝達関数から角周波数ω[rad/s]に対するゲインgのゲイン特性(ω,g)を求め、このゲイン特性から装置がもつ反共振周波数よりも低い周波数領域のゲイン特性(ω,g)の組の各要素に対して、以下の演算式、
Figure 0004591176
の演算によってエンジン慣性モーメントJを求める演算手段と、
を備えたことを特徴とする。
(2)エンジンとダイナモメータとを回転軸を介して連結し、エンジンを出力制御できるエンジン制御部と、ダイナモメータをトルク制御できるダイナモメータ制御部とを備えてエンジンの試験を行う装置において、
前記エンジン制御部によりエンジンの回転数をほぼ一定に制御した状態で、装置がもつ反共振周波数よりも低い周波数領域で異なる振幅にした2種類の正弦波A、Bを前記ダイナモメータ制御部のトルク指令としてダイナモメータの出力トルクを加振制御する手段と、
前記加振制御における前記回転軸に発生する軸トルクおよびダイナモメータ回転数のデータを一定時間だけ収録する検出手段と、
前記データから、各角周波数ω[rad/s]について正弦波Aにおける軸トルクTtmAmpAとダイナモメータ角周波数ωdyAmpA、および正弦波Bにおける軸トルクTtmAmpBとダイナモメータ角周波数ωdyAmpBを計算し、これらから各角周波数ωに対するゲインg{=(ωdyAmpA−ωdyAmpB)/(TtmAmpA−TtmAmpB)}のゲイン特性(ω,g)の組を求め、これらゲイン特性(ω,g)の組の各要素に対して、以下の演算式、
Figure 0004591176
の演算によってエンジン慣性モーメントJを求める演算手段と、
を備えたことを特徴とする。
(3)エンジンとダイナモメータとを回転軸を介して連結し、エンジンを出力制御できるエンジン制御部と、ダイナモメータをトルク制御できるダイナモメータ制御部とを備えてエンジンの試験を行う装置において、
前記エンジン制御部によりエンジンの回転数をほぼ一定に制御した状態で、正規分布乱数信号を前記ダイナモメータ制御部のトルク指令としてダイナモメータの出力トルクを加振制御する手段と、
前記加振制御における前記回転軸に発生する軸トルクTtmおよびエンジン回転数ωegのデータを一定時間だけ収録する検出手段と、
前記データから、前記軸トルクTtmを入力、エンジン回転数ωegを出力とする伝達関数を推定し、この伝達関数から角周波数ω[rad/s]に対するゲインgのゲイン特性(ω,g)を求め、このゲイン特性の組の各要素に対して、以下の演算式、
Figure 0004591176
の演算によってエンジン慣性モーメントJを求める演算手段と、
を備えたことを特徴とする。
(4)エンジンとダイナモメータとを回転軸を介して連結し、エンジンを出力制御できるエンジン制御部と、ダイナモメータをトルク制御できるダイナモメータ制御部とを備えてエンジンの試験を行う装置において、
前記エンジン制御部によりエンジンの回転数をほぼ一定に制御した状態で、同じ周波数領域で異なる振幅にした2種類の正弦波A、Bを前記ダイナモメータ制御部のトルク指令としてダイナモメータの出力トルクを加振制御する手段と、
前記加振制御における前記回転軸に発生する軸トルクおよびエンジン回転数のデータを一定時間だけ収録する検出手段と、
前記データから、各角周波数ω[rad/s]について正弦波Aにおける軸トルクTtmAmpAとエンジン角周波数ωegAmpA、および正弦波Bにおける軸トルクTtmAmpBとエンジン角周波数ωegAmpBを計算し、これらから各角周波数ωに対するゲインg{=(ωegAmpA−ωegAmpB)/(TtmAmpA−TtmAmpB)}のゲイン特性(ω,g)の組を求め、これらゲイン特性(ω,g)の組の各要素に対して、以下の演算式、
Figure 0004591176
の演算によってエンジン慣性モーメントJを求める演算手段と、
を備えたことを特徴とする。
以上のとおり、本発明によれば、エンジン回転数をほぼ一定の状態にしてダイナモメータのトルク指令値を加振させたときの軸トルクTtmおよびダイナモメータ回転数ωdyまたはエンジン回転数ωegのデータをある時間だけ収録し、このデータがもつ軸トルク変化に対する回転数変化からエンジン慣性モーメントを推定するようにしたため、以下の効果がある。
(1)エンジン慣性モーメントの測定には、データ収録時はエンジン回転数がほぼ一定値になっており、エンジン回転数変化の履歴に依存するような損失があっても、その損失の影響を受けることがない。
(2)エンジン慣性モーメントの測定には、データ収録時はエンジン回転数がほぼ一定値になっており、計測対象機械装置の危険回転数などによりエンジン回転数を大きく変化させる事が困難な場合にもエンジン慣性モーメントが測定可能となる。
(3)従来のエンジン慣性モーメントの計測手法では、同時に機械系特性計測(共振特性計測など)を実施することは不可能だが、本発明では機械系特性計測結果を利用してエンジン慣性モーメント計測を行なっているため、エンジンベンチの試験準備作業を減らすことが可能となる。
(実施形態1)
図1に本実施形態における測定装置の構成を示す。なお、同図のエンジンベンチシステムでは、エンジン1とダイナモメータ2は結合シャフト4とトルクメータ(TM)3で連結され、トルクメータ3はダイナモメータ2側に設置されている例を示しているが、エンジンベンチシステムの構成によっては、トルクメータ3はエンジン1側に設置される場合もある。また、エンジン1とダイナモメータ2の連結も、結合シャフト4ではなく、クラッチ、変速機、プロペラシャフトなどを使用して連結される場合もある。
図1において、EG制御部11は、エンジン1の回転数がある指定された値NegRefになるように制御する。DY制御部12は、平均値TdyRefBase、標準偏差TdyRefStdの正規分布乱数を信号としてダイナモメータ2のトルク指令値を発生する。このトルク指令値によるトルク制御はダイナモメータがもつインバータ2Aの電流制御で行われる。検出部13は、軸トルクメータ3により軸トルクTtmを検出し、また、速度検出器としてのパルスピックアップ6の出力信号からダイナモメータ回転数ωdyを検出し、ある時間長(例えば30秒間)のデータを収録する。演算部14は、検出部13に収録された軸トルクTtm,ダイナモメータ回転数ωdyを基に以下に示す手順でエンジン慣性モーメントを推定する。
手順(1):ゲイン線図の算出
なんらかの手法を用いて軸トルクTtmを入力、ダイナモメータ回転数ωdyを出力とする伝達関数を推定する。なんらかの手法とは、例えば、軸トルクTtm,ダイナモメータ回転数ωdyをそれぞれフーリエ変換し、各周波数ごとの比を求めるなど、一般的な伝達関数推定手法でよい。また、求める伝達関数は、数式または、角周波数ω[rad/s]に対する周波数応答a+b*i(a,bは実数、iは虚数単位)の形式のどちらでも良い。
求めた伝達関数から、各角周波数ω[rad/s]に対する、ゲインgのゲイン特性を求める。求めたゲイン特性例を図2に示す。図2の特性Gが軸トルクTtmからダイナモメータ回転数ωdyへのゲイン特性(ω,g)のグラフである。
手順(2):反共振周波数の算出
一般に、エンジンベンチシステムは、結合シャフト4があるバネ特性を持つため、結合シャフトを境界にしてエンジン側慣性モーメントとダイナモメータ側慣性モーメントと結合シャフトのバネ特性により2慣性系以上の特性を持つ。そのとき、ダイナモメータトルクを加振して求めた軸トルクからダイナモメータ回転数への伝達関数は、反共振点と呼ばれるゲインが急激に減少する部分が出現することがある。図2のB部位の周波数が装置がもつ反共振周波数である。
この反共振周波数は、上記の手順(1)で求めた角周波数ωとゲインgに対して、ω*g(ωとgの積)が最小値になる時の角周波数ωを求め、この角周波数ωを反共振周波数ωARF[rad/s]として算出する。
手順(3):慣性モーメント推定領域の算出
上記の手順(1)で求めたゲイン特性(ω,g)のグラフから、ω<ωARF*K(Kは0.3程度、つまり傾きの変化が30%以内に納まる範囲)を満たす組を求める。この組の例は線A部分になる。なお、Kは適宜変更してもよい。
手順(4):慣性モーメントの推定
上記の手順(3)で求めたゲイン特性(ω,g)の組の各要素に対して、
Figure 0004591176
として求めたbの平均値bmを求め、
Figure 0004591176
として求めたJをエンジン慣性モーメントとする。
(実施形態2)
本実施形態における測定装置構成は実施形態1と同じである。本実施形態では、図1において、EG制御部11は、エンジンの回転数がある指定された値NegRefになるように制御する。DY制御部12は、平均値TdyRefBase、振幅TdyRefAmp、周波数TdyRefFrqの正弦波のダイナモメータトルク指令値を発生する。検出部13は軸トルクメータ3により軸トルクTtmを検出し、また、パルスピックアップ6によりダイナモメータ回転数ωdyを検出し、ある時間長(例えば30秒間)のデータを収録する。
DY制御部12は以下に示す手順でダイナモメータトルク指令値を変化させ、演算部14は以下に示す手順でエンジン慣性モーメントを推定する。
手順(1):正弦波Aによる加振
ダイナモメータトルク指令の振幅をTdyRefAmp=Aにして、周波数TdyRefFrqをある範囲で設定し、各周波数でダイナモメータトルク指令値を正弦波で加振し、そのときの収録データを保存する。ただし、周波数指令値は反共振周波数の0.3倍程度より低い領域に設定する。
手順(2):正弦波Bによる加振
ダイナモメータトルク指令の振幅をTdyRefAmp=Bにして、手順(1)と同じ周波数の正弦波で加振し、そのときの収録データを保存する。
手順(3):加振された振幅の計算
上記の手順(1)のそれぞれ同じ周波数ω=TdyRefFrqでの軸トルクTtmAmpAとダイナモメータ角周波数ωdyAmpAを計算し、同様に、手順(2)のそれぞれ同じ周波数ω=TdyRefFrqでの軸トルクTtmAmpBとダイナモメータ角周波数ωdyAmpBを計算し、以下の演算、
g=(ωdyAmpA−ωdyAmpB)/(TtmAmpA−TtmAmpB)
でゲインgを求め、手順(1)、(2)の各角周波数に対して、ゲイン特性(ω,g)の組を求める。
手順(4):慣性モーメントの推定
上記の手順(3)で求めたゲイン特性(ω,g)の組の各要素に対して、
Figure 0004591176
として求めたbの平均値bmを求め、
Figure 0004591176
として求めたJをエンジン慣性モーメントとする。
本実施形態では、実施形態1に比べて、2種類のダイナモメータトルク加振振幅A,Bで加振し、その差分を利用することにより、エンジンがある特定の周波数のトルクを発生している場合においても精度よくエンジン慣性モーメント計測が可能となる。
(実施形態3)
図3に本実施形態における計測装置の構成を示す。なお、同図のエンジンベンチシステムでは、エンジン1とダイナモメータ2は結合シャフト4とトルクメータ3で連結され、トルクメータ3はダイナモメータ2側に設置されている例を示しているが、エンジンベンチシステムの構成によっては、トルクメータ3はエンジン1側に設置される場合もある。また、エンジン1とダイナモメータ2の連結も、結合シャフト4ではなく、クラッチ、変速機、プロペラシャフトなどを使用して連結される場合もある。
図3において、EG制御部11は、エンジン1の回転数がある指定された値NegRefになるように制御する。DY制御部12は、平均値TdyRefBase、標準偏差TdyRefStdの正規分布乱数を信号としてダイナモメータトルク指令値を発生する。検出部13は、軸トルクメータ3により軸トルクTtmを検出し、また、パルスピックアップ6によりエンジン回転数ωegを検出し、ある時間長(例えば30秒間)のデータを収録する。演算部14は、検出部13に収録された軸トルクTtm,エンジン回転数ωegに対して以下に示す手順でエンジン慣性モーメントを推定する。
手順(1):ゲイン線図の算出
なんらかの手法を用いて軸トルクTtmを入力、エンジン回転数ωegを出力とする伝達関数を推定する。なんらかの手法とは、例えば、軸トルクTtm,エンジン回転数ωegをそれぞれフーリエ変換し、各周波数ごとの比を求めるなど、一般的な伝達関数推定手法でよい。また、求める伝達関数は、数式、または、角周波数ω[rad/s]に対する周波数応答a+b*i(a,bは実数、iは虚数単位)の形式のどちらでも良い。
求めた伝達関数から、各角周波数ω[rad/s]に対する、ゲインgのゲイン特性を求める。求めたゲイン特性の例を図4に示す。図4の特性Gが手順(1)により求めた軸トルクTtmからエンジン回転数ωegへのゲイン特性(ω,g)のグラフである。
なお、実施形態1、2のようにダイナモメータトルクを加振して求めた軸トルクからダイナモメータ回転数への伝達関数は反共振周波数が出現するが、ダイナモメータトルクを加振して求めた軸トルクからエンジン回転数への伝達関数には反共振周波数が出現しないため、反共振周波数の推定は不要になる。
手順(2):慣性モーメント推定領域の算出
上記の手順(1)で求めたゲイン特性(ω,g)のグラフから、ω<Fsmpl*K(Fsmplは検出部のサンプリング周波数、Kは0.1程度、つまり、傾きの変化が10%以内に納まる範囲)を満たすゲイン特性(ω,g)の組を求める。なお、Kは適宜変更してもよい。
手順(3):慣性モーメントの推定
上記の手順(2)で求めたゲイン特性(ω,g)の組の各要素に対して、
Figure 0004591176
として求めたbの平均値bmを求め、
Figure 0004591176
として求めたJをエンジン慣性モーメントとする。
(実施形態4)
本実施形態における計測装置の構成は実施形態3と同じである。本実施形態では、図3のEG制御部11は、エンジンの回転数がある指定された値NegRefになるように制御する。DY制御部12は、平均値TdyRefBase、振幅TdyRefAmp、周波数TdyRefFrqの正弦波のダイナモメータトルク指令値を発生する。検出部13は軸トルクメータ3により軸トルクTtmを検出し、また、パルスピックアップ6によりエンジン回転数ωegを検出し、ある時間長(例えば30秒間)のデータを収録する。
DY制御部12は以下に示す手順でダイナモメータトルク指令値を変化させ、演算部14は以下に示す手順でエンジン慣性モーメントを推定する。
手順(1):正弦波Aによる加振
ダイナモメータトルク指令の振幅をTdyRefAmp=Aにして、周波数TdyRefFrqをある範囲で設定し、各角周波数でダイナモメータトルク指令値を加振し、そのときの収録データを保存する。ただし、周波数指令値は反共振周波数の0.3倍程度より低い領域に設定する。
手順(2):正弦波Bによる加振
ダイナモメータトルク指令の振幅をTdyRefAmp=B(≠A)にして、上記の手順(1)と同じ周波数で加振し、そのときの収録データを保存する。
手順(3):加振された振幅の計算
上記の手順(1)のそれぞれ同じ周波数ω=TdyRefFrqでの軸トルクTtmAmpAとエンジン角周波数ωegAmpAを計算し、同様に、上記の手順(2)のそれぞれ同じ周波数ω=TdyRefFrqでの軸トルクTtmAmpBとエンジン角周波数ωegAmpBを計算し、以下の演算、
g=(ωegAmpA−ωegAmpB)/(TtmAmpA−TtmAmpB)
でゲインgを求め、上記の手順(1)、(2)の各周波数に対して、ゲイン特性(ω,g)の組を求める。
手順(4):慣性モーメントの推定
上記の手順(3)で求めたゲイン特性(ω,g)の組の各要素に対して、
Figure 0004591176
として求めたbの平均値bmを求め、
Figure 0004591176
として求めたJをエンジン慣性モーメントとする。
本実施形態では、実施形態3に比べて、2種類のダイナモメータトルク加振振幅A,Bで加振し、その差分を利用することにより、エンジンがある特定の周波数のトルクを発生している場合においても精度よくエンジン慣性モーメント計測が可能となる。
本発明の実施形態1、2における慣性モーメント測定装置の構成図。 本発明の実施形態1、2におけるゲイン特性例。 本発明の実施形態3、4における慣性モーメント測定装置の構成図。 本発明の実施形態3、4におけるゲイン特性例。 エンジン試験装置の構成図。
符号の説明
1 エンジン
2 ダイナモメータ(動力計)
2A インバータ
3 トルクメータ
4 結合シャフト
5 スロットルアクチェータ
6 速度検出器
11 EG制御部
12 DY制御部
13 検出部
14 演算部

Claims (4)

  1. エンジンとダイナモメータとを回転軸を介して連結し、エンジンを出力制御できるエンジン制御部と、ダイナモメータをトルク制御できるダイナモメータ制御部とを備えてエンジンの試験を行う装置において、
    前記エンジン制御部によりエンジンの回転数をほぼ一定に制御した状態で、正規分布乱数信号を前記ダイナモメータ制御部のトルク指令としてダイナモメータの出力トルクを加振制御する手段と、
    前記加振制御における前記回転軸に発生する軸トルクTtmおよびダイナモメータの回転数ωdyのデータを一定時間だけ収録する検出手段と、
    前記データから、前記軸トルクTtmを入力、ダイナモメータ回転数ωdyを出力とする伝達関数を推定し、この伝達関数から角周波数ω[rad/s]に対するゲインgのゲイン特性(ω,g)を求め、このゲイン特性から装置がもつ反共振周波数よりも低い周波数領域のゲイン特性(ω,g)の組の各要素に対して、以下の演算式、
    Figure 0004591176
    の演算によってエンジン慣性モーメントJを求める演算手段と、
    を備えたことを特徴とするエンジンの慣性モーメント測定装置。
  2. エンジンとダイナモメータとを回転軸を介して連結し、エンジンを出力制御できるエンジン制御部と、ダイナモメータをトルク制御できるダイナモメータ制御部とを備えてエンジンの試験を行う装置において、
    前記エンジン制御部によりエンジンの回転数をほぼ一定に制御した状態で、装置がもつ反共振周波数よりも低い周波数領域で異なる振幅にした2種類の正弦波A、Bを前記ダイナモメータ制御部のトルク指令としてダイナモメータの出力トルクを加振制御する手段と、
    前記加振制御における前記回転軸に発生する軸トルクおよびダイナモメータ回転数のデータを一定時間だけ収録する検出手段と、
    前記データから、各角周波数ω[rad/s]について正弦波Aにおける軸トルクTtmAmpAとダイナモメータ角周波数ωdyAmpA、および正弦波Bにおける軸トルクTtmAmpBとダイナモメータ角周波数ωdyAmpBを計算し、これらから各角周波数ωに対するゲインg{=(ωdyAmpA−ωdyAmpB)/(TtmAmpA−TtmAmpB)}のゲイン特性(ω,g)の組を求め、これらゲイン特性(ω,g)の組の各要素に対して、以下の演算式、
    Figure 0004591176
    の演算によってエンジン慣性モーメントJを求める演算手段と、
    を備えたことを特徴とするエンジンの慣性モーメント測定装置。
  3. エンジンとダイナモメータとを回転軸を介して連結し、エンジンを出力制御できるエンジン制御部と、ダイナモメータをトルク制御できるダイナモメータ制御部とを備えてエンジンの試験を行う装置において、
    前記エンジン制御部によりエンジンの回転数をほぼ一定に制御した状態で、正規分布乱数信号を前記ダイナモメータ制御部のトルク指令としてダイナモメータの出力トルクを加振制御する手段と、
    前記加振制御における前記回転軸に発生する軸トルクTtmおよびエンジン回転数ωegのデータを一定時間だけ収録する検出手段と、
    前記データから、前記軸トルクTtmを入力、エンジン回転数ωegを出力とする伝達関数を推定し、この伝達関数から角周波数ω[rad/s]に対するゲインgのゲイン特性(ω,g)を求め、このゲイン特性の組の各要素に対して、以下の演算式、
    Figure 0004591176
    の演算によってエンジン慣性モーメントJを求める演算手段と、
    を備えたことを特徴とするエンジンの慣性モーメント測定装置。
  4. エンジンとダイナモメータとを回転軸を介して連結し、エンジンを出力制御できるエンジン制御部と、ダイナモメータをトルク制御できるダイナモメータ制御部とを備えてエンジンの試験を行う装置において、
    前記エンジン制御部によりエンジンの回転数をほぼ一定に制御した状態で、同じ周波数領域で異なる振幅にした2種類の正弦波A、Bを前記ダイナモメータ制御部のトルク指令としてダイナモメータの出力トルクを加振制御する手段と、
    前記加振制御における前記回転軸に発生する軸トルクおよびエンジン回転数のデータを一定時間だけ収録する検出手段と、
    前記データから、各角周波数ω[rad/s]について正弦波Aにおける軸トルクTtmAmpAとエンジン角周波数ωegAmpA、および正弦波Bにおける軸トルクTtmAmpBとエンジン角周波数ωegAmpBを計算し、これらから各角周波数ωに対するゲインg{=(ωegAmpA−ωegAmpB)/(TtmAmpA−TtmAmpB)}のゲイン特性(ω,g)の組を求め、これらゲイン特性(ω,g)の組の各要素に対して、以下の演算式、
    Figure 0004591176
    の演算によってエンジン慣性モーメントJを求める演算手段と、
    を備えたことを特徴とするエンジンの慣性モーメント測定装置。
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