JP2003301223A - 鋼材の熱処理方法及びそのプログラム - Google Patents
鋼材の熱処理方法及びそのプログラムInfo
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Abstract
一致させ、鋼材が目的の性質をもつような熱処理を行う
ことができる鋼材の熱処理方法及びそのプログラムを提
供する。 【解決手段】 各誘導加熱装置に供給予定の電力を含む
データから誘導加熱後における鋼材の表面温度と厚み方
向の内部温度とを推定する演算ステップと、熱処理中の
鋼材表面の最高温度が第1の目標温度以上となり、熱処
理中の鋼材厚み方向内部の所定位置の温度が第2の目標
温度以下となるかどうかを判定する判定ステップと、温
度条件に適合しない場合は、電力を修正して演算ステッ
プと判定ステップとを繰り返して実行する判定処理ステ
ップと、温度条件に適合する場合は、その演算に用いら
れた電力を各誘導加熱装置に供給する供給ステップとを
備えた鋼材の熱処理方法である。
Description
いて鋼材を熱処理する方法及びそのプログラムに関する
ものである。
材の硬度、靭性等の性質を向上させ、より強く粘り強い
鋼材を製造するため、焼き入れ、焼き戻し、焼きなまし
等さまざまな熱処理が行われている。これらの熱処理は
一般的に加熱過程と冷却過程に分けられるが、このうち
加熱過程では鋼材の成分に応じた変態点温度が基準とな
り、精度良く目標温度に加熱することが求められてい
る。例えば、焼入れの場合は変態点よりも高温に加熱
し、焼き戻しおよび焼きなましでは変態点に達しないよ
うに加熱を行わねばならない。
焼き戻しの熱処理を施された鋼材は、主に表面から冷却
を受けるため、表面の硬度が内部に比べて高くなりがち
である。このような板厚方向の硬度分布を持った鋼材
は、腐食環境に弱く、海洋や、石油、天然ガスのパイプ
ライン等に使用されると応力腐食割れを起こしやすいこ
とがわかっている。
電流が鋼材内部の表面に近いところを流れるため、主に
表面が加熱される。そこで、この性質を利用することに
よって、表層部を高温で加熱することにより軟化させ、
表層部と内部の硬度差を少なくする処理が行われてい
る。
法として、高周波の誘導加熱装置を用いて熱処理を行う
ことにより、鋼材の表面を主に加熱し、内部はあまり加
熱しない熱処理方法が提示されている(例えば、特許文
献1)。
開示された技術では、鋼材の加熱途中において誘導加熱
装置の周波数を変更するものであるため、周波数を切り
替える機構を装備するとなれば装置が高価となり、さら
に装置の構造が複雑なものとなってしまうという問題点
がある。また、鋼材を加熱するための投入電力の決定に
際しても、大気による抜熱、加熱装置の効率、鋼材の比
熱等を考慮することが精度良い温度制御を実現する上で
必要であるが、これらの諸量について定量的な取扱いが
されていないという問題点もある。
であって、鋼材の表面温度、内部温度を精度よく目標に
一致させ、鋼材が目的の性質をもつような熱処理を行う
ことができる鋼材の熱処理方法及びそのプログラムを提
供することを目的とする。
の本発明に係る第1の局面の熱処理方法は、各誘導加熱
装置に供給予定の電力を含むデータから誘導加熱後にお
ける鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する
演算ステップと、熱処理中の鋼材表面の最高温度が第1
の目標温度以上となり、熱処理中の鋼材厚み方向内部の
所定位置の温度が第2の目標温度以下となるかどうかを
判定する判定ステップと、温度条件に適合しない場合
は、電力を修正して演算ステップと判定ステップとを繰
り返して実行する判定処理ステップと、温度条件に適合
する場合は、その演算に用いられた電力を各誘導加熱装
置に供給する供給ステップと、を備えている。
は、鋼材の移送速度と各誘導加熱装置に供給予定の電力
とを含むデータから誘導加熱後における鋼材の表面温度
と厚み方向の内部温度とを推定する演算ステップと、熱
処理中の鋼材表面の最高温度が第1の目標温度以上とな
り、熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定位置の温度が第
2の目標温度以下となるかどうかを判定する判定ステッ
プと、温度条件に適合しない場合は、電力を修正して演
算ステップと判定ステップとを繰り返して実行する判定
処理ステップと、温度条件に適合する場合は、移送速度
を増加した新たな移送速度を用いて演算ステップ、判定
ステップ、判定処理ステップを温度条件に適合しなくな
るまで繰り返して実行し、温度条件に適合する最終の演
算に用いられた電力と移送速度を抽出する抽出ステップ
と、抽出された移送速度で鋼材を移送しつつ、抽出され
た電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給ステップ
と、を備えている。
は、各誘導加熱装置に供給予定の電力を含むデータから
誘導加熱後における鋼材の表面温度と厚み方向の内部温
度とを推定する演算ステップと、熱処理中の鋼材表面の
最高温度が第1の目標温度以上となり、熱処理中の鋼材
厚み方向内部の所定位置の温度が第2の目標温度以下と
なるかどうかを判定する判定ステップと、温度条件に適
合しない場合は、電力を修正して演算ステップと判定ス
テップとを繰り返して実行する判定処理ステップと、温
度条件に適合する場合は、その演算に用いられた電力に
基づいて、鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱
装置の電力量の合計値が所定の値以下である電力条件に
適合するかどうかを判定する電力判定ステップと、電力
条件に適合する場合は、その演算に用いられた電力を各
誘導加熱装置に供給する供給ステップと、を備えてい
る。
は、鋼材の移送速度と各誘導加熱装置に供給予定の電力
とを含むデータから誘導加熱後における鋼材の表面温度
と厚み方向の内部温度とを推定する演算ステップと、熱
処理中の鋼材表面の最高温度が第1の目標温度以上とな
り、熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定位置の温度が第
2の目標温度以下となるかどうかを判定する判定ステッ
プと、温度条件に適合しない場合は、電力を修正して演
算ステップと判定ステップとを繰り返して実行する判定
処理ステップと、温度条件に適合する場合は、その演算
に用いられた電力に基づいて、鋼材の加熱に使用される
それぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値が所定の値以
下である電力条件に適合するかどうかを判定する電力判
定ステップと、電力条件に適合する場合は、移送速度を
増加した新たな移送速度を用いて演算ステップ、判定ス
テップ、判定処理ステップ、電力判定ステップを温度条
件に適合しなくなるまで繰り返して実行し、温度条件と
電力条件に適合する最終の演算に用いられた電力と移送
速度を抽出する抽出ステップと、その演算に用いられた
電力を各誘導加熱装置に供給する供給ステップと、を備
えている。
は、上記記載の発明である熱処理方法において、演算ス
テップは、誘導加熱装置内における鋼材の厚み方向の誘
導電流分布を求めて鋼材内部の発生熱量を算出し、誘導
加熱装置外における鋼材から大気への放散熱量を算出
し、発生熱量と放散熱量とを境界条件として鋼材の内部
への熱伝導を演算して鋼材の表面温度と厚み方向の内部
温度とを推定する。
は、誘導加熱装置に供給する電力U1,…UN、電力を
用いて表したそれぞれの誘導加熱装置出側の鋼材の鋼材
厚み方向内部の所定位置における内部温度F1,…F
N、電力を用いて表した加熱処理後の表面温度T、誘導
加熱装置の電力最小値Umin、誘導加熱装置の電力最
大値Umax、鋼材の表面温度目標値Tr、鋼材の鋼材
厚み方向内部の所定位置における温度上限値Trs、誘
導加熱装置の長さL1,…LN、鋼材の移送速度vとし
て、下記式で示される制約条件の下で、目標関数D D=U1×(L1/v)+U2×(L2/v)+…+U
N×(LN/v) を最小とする電力U1,…UNを制約条件付き非線形計
画法を用いて求める演算ステップと、求めた電力を前記
各誘導加熱装置に供給する供給ステップと、を備えたこ
とを特徴とする鋼材の熱処理方法。
ピュータに、各誘導加熱装置に供給予定の電力を含むデ
ータから誘導加熱後における鋼材の表面温度と厚み方向
の内部温度とを推定する演算手順、熱処理中の鋼材表面
の最高温度が第1の目標温度以上となり、熱処理中の鋼
材厚み方向内部の所定位置の温度が第2の目標温度以下
となるかどうかを判定する判定手順、温度条件に適合し
ない場合は、電力を修正して演算手順と判定手順とを繰
り返して実行する判定処理手順、温度条件に適合する場
合は、その演算に用いられた電力を各誘導加熱装置に供
給する供給手順、を実行させる。
ラムは、コンピュータに、鋼材の移送速度と各誘導加熱
装置に供給予定の電力とを含むデータから誘導加熱後に
おける鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定す
る演算手順、熱処理中の鋼材表面の最高温度が第1の目
標温度以上となり、熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定
位置の温度が第2の目標温度以下となるかどうかを判定
する判定手順、温度条件に適合しない場合は、電力を修
正して演算手順と判定手順とを繰り返して実行する判定
処理手順、温度条件に適合する場合は、移送速度を増加
した新たな移送速度を用いて演算手順、判定手順、判定
処理手順を温度条件に適合しなくなるまで繰り返して実
行し、温度条件に適合する最終の演算に用いられた電力
と移送速度を抽出する抽出手順、抽出された移送速度で
鋼材を移送しつつ、抽出された電力を各誘導加熱装置に
供給する供給手順、を実行させる。
ラムは、コンピュータに、各誘導加熱装置に供給予定の
電力を含むデータから誘導加熱後における鋼材の表面温
度と厚み方向の内部温度とを推定する演算手順、熱処理
中の鋼材表面の最高温度が第1の目標温度以上となり、
熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定位置の温度が第2の
目標温度以下となるかどうかを判定する判定手順、温度
条件に適合しない場合は、電力を修正して演算手順と判
定手順とを繰り返して実行する判定処理手順、温度条件
に適合する場合は、その演算に用いられた電力に基づい
て、鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の
電力量の合計値が所定の値以下である電力条件に適合す
るかどうかを判定する電力判定手順、電力条件に適合す
る場合は、その演算に用いられた電力を各誘導加熱装置
に供給する供給手順、を実行させる。
ラムは、コンピュータに、鋼材の移送速度と各誘導加熱
装置に供給予定の電力とを含むデータから誘導加熱後に
おける鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定す
る演算手順、熱処理中の鋼材表面の最高温度が第1の目
標温度以上となり、熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定
位置の温度が第2の目標温度以下となるかどうかを判定
する判定手順、温度条件に適合しない場合は、電力を修
正して演算手順と判定手順とを繰り返して実行する判定
処理手順、温度条件に適合する場合は、その演算に用い
られた電力に基づいて、鋼材の加熱に使用されるそれぞ
れの誘導加熱装置の電力量の合計値が所定の値以下であ
る電力条件に適合するかどうかを判定する電力判定手
順、電力条件に適合する場合は、移送速度を増加した新
たな移送速度を用いて演算手順、判定手順、判定処理手
順、電力判定手順を温度条件に適合しなくなるまで繰り
返して実行し、温度条件と電力条件に適合する最終の演
算に用いられた電力と移送速度を抽出する抽出手順、そ
の演算に用いられた電力を各誘導加熱装置に供給する供
給手順、を実行させる。
ラムは、上記記載の発明である熱処理プログラムにおい
て、コンピュータに、誘導加熱装置内における鋼材の厚
み方向の誘導電流分布を求めて鋼材内部の発生熱量を算
出する手順、誘導加熱装置外における鋼材から大気への
放散熱量を算出する手順、発生熱量と放散熱量とを境界
条件として鋼材の内部への熱伝導を演算して鋼材の表面
温度と厚み方向の内部温度とを推定する手順、を実行さ
せる。
ラムは、コンピュータに、誘導加熱装置に供給する電力
U1,…UN、電力を用いて表したそれぞれの誘導加熱
装置出側の鋼材の鋼材厚み方向内部の所定位置における
内部温度F1,…FN、電力を用いて表した加熱処理後
の表面温度T、誘導加熱装置の電力最小値Umin、誘
導加熱装置の電力最大値Umax、鋼材の表面温度目標
値Tr、鋼材の鋼材厚み方向内部の所定位置における温
度上限値Trs、誘導加熱装置の長さL1,…LN、鋼
材の移送速度vとして、下記式で示される制約条件の下
で、目標関数D D=U1×(L1/v)+U2×(L2/v)+…+U
N×(LN/v) を最小とする電力U1,…UNを制約条件付き非線形計
画法を用いて求める演算手順、求めた電力を各誘導加熱
装置に供給する供給手順、を実行させる。
適用される熱処理設備の概略構成を示す側面図である。
設された複数の誘導加熱装置1、誘導加熱装置1の入り
口に備えられ、鋼材2の温度を検出する温度検出器3、
被加熱鋼材2を搬送するための搬送ローラ4、搬送ロー
ラ4の回転から鋼材の搬送速度を検出する速度検出器
5、温度検出器3で測定された温度と速度検出器5で測
定された速度とから、各誘導加熱装置1の供給電力量を
計算する制御装置6、制御装置6からの出力に基づいて
各誘導加熱装置1に供給する電力を制御する電力供給装
置7及び加熱後の鋼材2の温度を検出する誘導加熱装置
出側温度検出器9とで構成されている。
示しているが、本発明はこの形態に限定されず複数台設
けるものであっても良い。
の形態の熱処理方法について説明する。
記のように誘導電流は表面近傍に集中して流れるため、
主に表面が加熱され、鋼材内部は、表面からの熱伝達で
加熱される。そこで、誘導加熱装置1で加熱を行う場合
の鋼材内部の誘導電流分布を求める。鋼材内部の電流分
布は、浸透深さで表現される。これは周波数、比透磁率
で異なり、式(1)で表される。
周波数。
材内部まで流れるが、浸透深δが小さい場合には、誘導
電流が表面に集中するため加熱も表面に集中し、鋼材内
部は表面からの熱伝達により加熱されることになる。し
たがって、同じ電力を投入しても、浸透深さが異なれば
表面の加熱温度は変わってくることになる。そこで、式
(1)に基づいて浸透深さを求めて鋼材内部での電流密
度分布を決定し、この電流分布から誘導加熱装置1への
投入電力を決定する。
置における誘導電流I(z)の関係は式(2)で表され
る。αは定数である。
(3)で表される。
ことができる。
おける鋼材の温度変化を数式で表す。熱伝導方程式の差
分式から、式(4)〜(6)を得る。
を厚み方向に三分割した温度差分式は式(7)で表され
る。
熱伝達と、加熱装置から供給される熱量からなり、式
(8)で表される。
度をx0と仮定し、x0を中心に式(9)にあるxi,j 4の
項をテーラ展開の一次の項までを使用して線形近似す
る。1次までのテーラ展開は式(11)で表される。
側から掛けることにより、式(20)を得る。
なる。尚、この式でub=0とすると、大気による冷却過程
時の温度変化を表す式となる。
手前に設置した温度検出器3の位置から、誘導加熱装置
出側の温度検出器位置までの温度変化を表す式を作成す
る。
号を表す図である。
置から、誘導加熱装置1の出側の温度検出器位置までの
夫々の誘導加熱装置1の長さをli、誘導加熱装置同士
の間隔をsi、夫々の誘導加熱装置1への投入電力をu
iと表す。そして、鋼材2の誘導加熱装置入り側温度を
x0、誘導加熱装置出側温度をx* Nで表し、それぞれ
の誘導加熱装置前後の温度をxi、x’iと表す。
速度をvとして差分方程式での刻み数を求める。
くときの各位置の温度は式(26)で表される。
x1間の温度変化は、式(27)で表される。
結果の温度、即ち誘導加熱装置の出側温度x’1は、式
(28)で表される。
る。
目誘導加熱装置の出側温度計位置での鋼材2の温度分布
は以下のように表される。
u1、…、uNの一次式になる。
電力u1、…、uNにより、誘導加熱後の温度分布x1、
…、x*を計算で求めることができる。
おいて処理することによって実現することができる。図
3は、加熱電力から加熱後の鋼材温度分布を求める概略
の手順を示すフロー図である。
電力分布を式(3)により求める(T1)。そして、そ
の電力分布に基づいて誘導加熱装置1から供給される熱
量分布を式(8)、(10)により求める(T2)。ま
た、大気への放散熱量を式(14)により求める(T
3)。そして、これらの求めた結果を用いて、鋼材内部
の温度変化を求めるための式(21)、(22)、(2
3)で表される係数を算出する(T4)。
長さ、該装置間の間隔、鋼材の搬送速度を用い、誘導加
熱装置1が供給する電力から鋼材2の温度分布を求める
(T5)。この際、式(27)から式(30)を適用し
て鋼材2の温度分布を求めても良く、また式(32)を
適用して鋼材2の温度分布を求めても良い。
を行う方法、即ち鋼材2が目標とする温度分布となるよ
うな加熱電力を決定する手順について説明する。この手
順は、上記計算手順を備えた制御装置6内において処理
することによって実現することができる。
概略のフローを示す図である。
する(S1)。そして上記の計算手順(T1〜T4)に
従って誘導加熱装置出側の加熱温度分布x1、…、x*を
計算する(S2)。そして、各誘導加熱装置での加熱温
度と目標とする温度範囲である温度条件とを比較し、温
度条件を満たしているかどうかの判定を行う(S3)。
s)、その加熱電力を最終的な加熱電力として計算を終
了する。適合していない場合は(S4 No)、新たな
誘導加熱電力u1、…、uNを与えて温度計算のやり直し
を行う。
熱装置出側での目標温度分布x*を与えれば、それを実
現する電力u1、…、uNを求めることができる。尚、新し
い加熱電力u1、…、uNを与える方法は、線形計画法、非
線形計画法など一般的な方法を適用すれば良く、温度条
件が実現可能であるならば、有限回の計算で収束する。
加熱装置を用いた場合の内部温度を計算することが可能
である。したがって、熱処理ライン内の誘導加熱装置一
台毎に鋼材2の内部温度を求めることも、また誘導加熱
装置複数台毎に鋼材2の内部温度を求めることも可能と
なる。
度を目標表面温度以上に加熱し、加熱工程中における鋼
材の内部温度を目標内部温度以下になるように制御する
ことのできる電力設定値を定めることができる。
形態の熱処理方法について説明する。本実施形態では、
第1の実施形態で求める加熱電力が最小値になるように
処理を行う点に特徴がある。従って、それ以外の構成に
ついては第1の実施形態と同一であるため、詳細の説明
を省略する。
を求める電力演算処理の概略のフローを示す図である。
する(S11)。そして上記の計算手順(T1〜T4)
に従って誘導加熱装置出側の加熱温度分布x1、…、x*
を計算する(S12)。そして、各誘導加熱装置での加
熱温度と目標とする温度範囲である温度条件とを比較
し、温度条件を満たしているかどうかの判定を行う(S
13)。
新たな誘導加熱電力u1、…、uNを与えて温度計算のや
り直しを行う。温度条件に適合していれば(S14 Y
es)、各誘導加熱装置での消費電力量の和である合計
消費電力量を求め、合計消費電力量が最少になるかどう
かの判定を行う(S15)。すなわち、誘導加熱装置で
の合計消費電力量が最少になるような加熱電力を求め
る。合計消費電力量が所定量以下の条件に適合していな
い場合は(S16 No)、新たな誘導加熱電力を与え
て温度計算のやり直しを行う。合計消費電力量が所定量
以下の条件に適合していれば(S16 Yes)、その
加熱電力を最終的な加熱電力として計算を終了する。
る条件は式(33)で表される。
加熱工程中の任意の時点での鋼材の表面温度を目標表面
温度以上に加熱し、加熱工程中の任意の時点での内部温
度を目標内部温度以下になるように加熱する電力設定の
うち、最も消費電力の少ない加熱電力である。
法は、線形計画法、非線形計画法など一般的な方法で良
く、また遺伝子アルゴリズムなどの最適化手法を適用し
ても良い。
形態の熱処理方法について説明する。本実施形態では、
第2の実施形態で求める最適な加熱電力を逐次二次計画
法等の制約条件付き非線形計画法を用いて処理を行う点
に特徴がある。従って、それ以外の構成については第2
の実施形態と同一であるため、詳細の説明を省略する。
おける鋼材の加熱条件等を数式で表現する。
式(36)で表現される。
で表され、内部温度は加熱上限値であるため不等式で表
現されることとなる。ただし、式(34)は式(37)
のように範囲を指定することも可能である。
際の制約条件となる。さらに、誘導加熱装置の能力にも
制限があるので、この制約条件を式(38)、式(3
9)で表す。
において、条件中の温度TN、T1sは、第一の実施例の
温度式により、誘導加熱装置への投入電力u1、…、uNを
用いて表すことができる。すなわち、式(32)を用い
て、条件式(34)、(35)を加熱電力u1、…、uNで
表す。
式(40)で表される。
3)で表すことができる。
加熱電力u1、…、uNで表現されるため、最適化手法であ
る逐次二次計画法等の制約条件付き非線形計画法を適用
することができる。
る。
条件付き非線形計画法を用いて最適化を行うと、温度条
件を満たす、最少の加熱電力分布が求められる。すなわ
ち、加熱時の表面温度、内部温度の目標を、必要最低限
の投入電力で実現することができる。尚、この手順は上
記逐次二次計画法等の制約条件付き非線形計画法による
計算手順を備えた制御装置6内において処理することに
よって実現することができる。
す図である。
表面温度620℃、内部温度上限値400℃の時、上記
最適化方法で求めた加熱電力の時系列変化を図6の
(1)に示し、その電力を用いた場合の温度分布の時系
列変化を図6の(2)に示す。
材の温度分布を制御することができるため、誘導加熱装
置の出側位置である約12秒経過後における鋼材の表面
温度は目標表面温度以上となり、本熱処理中における鋼
材の内部温度は内部温度上限値以下に制御されており目
標を満たす温度分布が得られている。
度を所定の目標温度以上にまで加熱し、かつ鋼材の内部
温度が所定の上限温度以下に制御されるように熱処理さ
れた鋼材を製造することができる。
態の熱処理方法について説明する。第4の実施の形態で
は、加熱温度の条件を満たす加熱電力の内、熱処理に要
する時間が最も短くなるように搬送速度を定める点に特
徴がある。従って、それ以外の構成については上述の実
施の形態と同一であるため、詳細の説明を省略する。
法の概略の手順を示すフロー図である。尚、誘導加熱装
置群を複数回往復させて鋼材2を加熱する場合には、そ
のパスごとに搬送速度を設定することが可能である。従
って、搬送速度は式(42)で定義する。
こで、初期値V0は任意の値であっても良く、また実績
値に基づいて決定しても良い。
4、5に示す電力演算を行い加熱電力を求める(S2
1)。次に、この加熱条件で鋼材2の加熱後温度が制約
条件を充足するかどうかを調べる(S22)。この制約
条件は、図4のステップS3、図5のステップS13の
温度判定条件と同一であり、鋼材2の表面温度、内部温
度がそれぞれ所定温度範囲内にあるかどうかを調べるも
のである。
(S22 Yes)、電力演算が適正に実行されたこと
を意味しているため、搬送速度を速くした条件であって
も適切な電力量が求められる可能性があるため、搬送速
度を所定量だけ速くする(S23)。尚、搬送速度は所
定量でなく、所定割合で速くしても良く、また予め定め
た関数に基づいて搬送速度を増速しても良い。
力演算を行い(S24)、鋼材2の加熱後温度が制約条
件を充足するかどうかを調べる(S25)。制約条件を
充足する場合は(S25 Yes)、更にステップS2
3〜25を繰り返す。これによってより速い搬送速度を
設定することができる。
o)、後に説明する、搬送速度を減速するステップS2
6からの処理を実行するが、この処理に進まずに前回の
計算に用いた制約条件を充足する搬送速度を採用しても
良い。
定温度範囲にない場合は(S22No)、電力演算が正
しく行われなかったことを意味している。ここで、電力
演算が正しく行われない場合は、搬送速度が速すぎるた
めに鋼材2の温度が低くなっている場合である。何故な
らば、鋼材2の温度が高い場合は、電力量を低下させる
ことによって温度を下げることが可能なため、必ず電力
量を求めることができるからである。
不十分であるため、搬送速度を所定量だけ遅くする(S
26)。尚、搬送速度は所定量でなく、所定割合で遅く
しても良く、また予め定めた関係式または関数に基づい
て減速しても良い。
力演算を行い(S27)、鋼材2の加熱後温度が制約条
件を充足するかどうかを調べる(S28)。制約条件を
充足しない場合は(S28 No)、更にステップS2
6〜28を繰り返す。制約条件を充足する場合は(S2
8 Yes)、この搬送速度を採用する(S29)。
満たす電力の内、最も搬送速度の速い加熱条件を最終結
果として得ることができ、従って、最も処理時間が短く
なる熱処理条件を求めることができる。
ら収束演算を行ったが、複数の搬送速度値に基づいて電
力演算を行い、制約条件を満たす搬送速度の内、最速の
搬送速度を求めても良い。また、過去の搬送速度実績値
と鋼材2の諸元(例えば、厚み、幅等)の組合せに基づ
いて、加熱しようとする鋼材2の諸元に対応する搬送速
度を内分点法によって算出しても良い。
明を適用すれば、誘導加熱装置による鋼材内部の誘導電
流分布を推定して誘導加熱装置による投入電力を決定す
ることにより、鋼材の表面温度、内部温度を精度よく目
標に一致させ、鋼材を目的の性質になるような熱処理を
加えることができる。
消費電力を最少に抑えるような投入電力を求めることが
できる。
最適な投入電力を求めるための最適化問題の解を逐次二
次計画法等の制約条件付き非線形計画法によって求める
ことにより、効率よく精度のよい電力分布を求めること
ができる。
においても適用することができるため、鋼材の内部温度
を所望のパターンに従って制御することが可能となる。
度が向上し、安定した品質の鋼材を製造することができ
るとともに、熱処理の加熱過程の能率を飛躍的に向上す
ることができる。
は、上述の各実施の形態の加熱処理をできるだけ短い時
間で実現することができる。
材の表面温度、内部温度を精度よく目標に一致させ、鋼
材が目的の性質をもつように熱処理を行うことができ
る。
設備の概略構成を示す側面図。
図。
概略の手順を示すフロー図。
図。
概略のフローを示す図。
手順を示すフロー図。
4…搬送ローラ、5…速度検出器、 6…制御装置、
7…電力供給装置 9…誘導加熱装置出側温度検出器
Claims (12)
- 【請求項1】 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された
複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱する
鋼材の熱処理方法において、 前記各誘導加熱装置に供給予定の電力を含むデータから
誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内
部温度とを推定する演算ステップと、 熱処理中の鋼材表面の最高温度が第1の目標温度以上と
なり、熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定位置の温度が
第2の目標温度以下となるかどうかを判定する判定ステ
ップと前記温度条件に適合しない場合は、前記電力を修
正して前記演算ステップと前記判定ステップとを繰り返
して実行する判定処理ステップと、 前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた
電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給ステップと、
を備えたことを特徴とする鋼材の熱処理方法。 - 【請求項2】 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された
複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱する
鋼材の熱処理方法において、 前記鋼材の移送速度と前記各誘導加熱装置に供給予定の
電力とを含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の
表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する演算ステッ
プと、 熱処理中の鋼材表面の最高温度が第1の目標温度以上と
なり、熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定位置の温度が
第2の目標温度以下となるかどうかを判定する判定ステ
ップと前記温度条件に適合しない場合は、前記電力を修
正して前記演算ステップと前記判定ステップとを繰り返
して実行する判定処理ステップと、 前記温度条件に適合する場合は、前記移送速度を増加し
た新たな移送速度を用いて前記演算ステップ、判定ステ
ップ、判定処理ステップを前記温度条件に適合しなくな
るまで繰り返して実行し、前記温度条件に適合する最終
の演算に用いられた電力と移送速度を抽出する抽出ステ
ップと、 抽出された移送速度で前記鋼材を移送しつつ、抽出され
た電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給ステップ
と、を備えたことを特徴とする鋼材の熱処理方法。 - 【請求項3】 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された
複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱する
鋼材の熱処理方法において、 前記各誘導加熱装置に供給予定の電力を含むデータから
誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内
部温度とを推定する演算ステップと、 熱処理中の鋼材表面の最高温度が第1の目標温度以上と
なり、熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定位置の温度が
第2の目標温度以下となるかどうかを判定する判定ステ
ップと前記温度条件に適合しない場合は、前記電力を修
正して前記演算ステップと前記判定ステップとを繰り返
して実行する判定処理ステップと、 前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた
電力に基づいて、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれ
の誘導加熱装置の電力量の合計値が所定の値以下である
電力条件に適合するかどうかを判定する電力判定ステッ
プと、 前記電力条件に適合する場合は、その演算に用いられた
電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給ステップと、
を備えたことを特徴とする鋼材の熱処理方法。 - 【請求項4】 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された
複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱する
鋼材の熱処理方法において、 前記鋼材の移送速度と前記各誘導加熱装置に供給予定の
電力とを含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の
表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する演算ステッ
プと、 熱処理中の鋼材表面の最高温度が第1の目標温度以上と
なり、熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定位置の温度が
第2の目標温度以下となるかどうかを判定する判定ステ
ップと前記温度条件に適合しない場合は、前記電力を修
正して前記演算ステップと前記判定ステップとを繰り返
して実行する判定処理ステップと、 前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた
電力に基づいて、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれ
の誘導加熱装置の電力量の合計値が所定の値以下である
電力条件に適合するかどうかを判定する電力判定ステッ
プと、 前記電力条件に適合する場合は、前記移送速度を増加し
た新たな移送速度を用いて前記演算ステップ、判定ステ
ップ、判定処理ステップ、電力判定ステップを前記温度
条件に適合しなくなるまで繰り返して実行し、前記温度
条件と前記電力条件に適合する最終の演算に用いられた
電力と移送速度を抽出する抽出ステップと、その演算に
用いられた電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給ス
テップと、を備えたことを特徴とする鋼材の熱処理方
法。 - 【請求項5】 前記演算ステップは、 前記誘導加熱装置内における前記鋼材の厚み方向の誘導
電流分布を求めて前記鋼材内部の発生熱量を算出し、 前記誘導加熱装置外における前記鋼材から大気への放散
熱量を算出し、 前記発生熱量と前記放散熱量とを境界条件として前記鋼
材の内部への熱伝導を演算して前記鋼材の表面温度と厚
み方向の内部温度とを推定することを特徴とする請求項
1乃至4の内いずれか1の請求項に記載の鋼材の熱処理
方法。 - 【請求項6】 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された
複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱する
鋼材の熱処理方法において、 前記誘導加熱装置に供給する電力U1,…UN、前記電
力を用いて表したそれぞれの誘導加熱装置出側の鋼材の
鋼材厚み方向内部の所定位置における内部温度F1,…
FN、前記電力を用いて表した加熱処理後の表面温度
T、誘導加熱装置の電力最小値Umin、誘導加熱装置
の電力最大値Umax、鋼材の表面温度目標値Tr、鋼
材の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度上限値T
rs、前記誘導加熱装置の長さL1,…LN、鋼材の移
送速度vとして、 下記式で示される制約条件の下で、目標関数D D=U1×(L1/v)+U2×(L2/v)+…+U
N×(LN/v) を最小とする電力U1,…UNを制約条件付き非線形計
画法を用いて求める演算ステップと、 求めた電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給ステッ
プと、を備えたことを特徴とする鋼材の熱処理方法。 T −Tr ≧0、 Trs − Fi ≧0 ここで、i: 1〜N Ui − Umin ≧0 ここで、i: 1〜N Ui − Umax ≦0 ここで、i: 1〜N - 【請求項7】 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された
複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱する
ための鋼材の熱処理プログラムにおいて、 コンピュータに、 前記各誘導加熱装置に供給予定の電力を含むデータから
誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内
部温度とを推定する演算手順、 熱処理中の鋼材表面の最高温度が第1の目標温度以上と
なり、熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定位置の温度が
第2の目標温度以下となるかどうかを判定する判定手
順、 前記温度条件に適合しない場合は、前記電力を修正して
前記演算手順と前記判定手順とを繰り返して実行する判
定処理手順、 前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた
電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給手順、を実行
させるためのプログラム。 - 【請求項8】 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された
複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱する
ための鋼材の熱処理プログラムにおいて、コンピュータ
に、 前記鋼材の移送速度と前記各誘導加熱装置に供給予定の
電力とを含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の
表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する演算手順、 熱処理中の鋼材表面の最高温度が第1の目標温度以上と
なり、熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定位置の温度が
第2の目標温度以下となるかどうかを判定する判定手
順、 前記温度条件に適合しない場合は、前記電力を修正して
前記演算手順と前記判定手順とを繰り返して実行する判
定処理手順、 前記温度条件に適合する場合は、前記移送速度を増加し
た新たな移送速度を用いて前記演算手順、判定手順、判
定処理手順を前記温度条件に適合しなくなるまで繰り返
して実行し、前記温度条件に適合する最終の演算に用い
られた電力と移送速度を抽出する抽出手順、 抽出された移送速度で前記鋼材を移送しつつ、抽出され
た電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給手順、を実
行させるためのプログラム。 - 【請求項9】 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された
複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱する
ための鋼材の熱処理プログラムにおいて、コンピュータ
に、 前記各誘導加熱装置に供給予定の電力を含むデータから
誘導加熱後における前記鋼材の表面温度と厚み方向の内
部温度とを推定する演算手順、 熱処理中の鋼材表面の最高温度が第1の目標温度以上と
なり、熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定位置の温度が
第2の目標温度以下となるかどうかを判定する判定手
順、 前記温度条件に適合しない場合は、前記電力を修正して
前記演算手順と前記判定手順とを繰り返して実行する判
定処理手順、 前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた
電力に基づいて、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれ
の誘導加熱装置の電力量の合計値が所定の値以下である
電力条件に適合するかどうかを判定する電力判定手順、 前記電力条件に適合する場合は、その演算に用いられた
電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給手順、を実行
させるためのプログラム。 - 【請求項10】 熱処理ラインに適宜の間隔で配設され
た複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱す
るための鋼材の熱処理プログラムにおいて、コンピュー
タに、 前記鋼材の移送速度と前記各誘導加熱装置に供給予定の
電力とを含むデータから誘導加熱後における前記鋼材の
表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する演算手順、 熱処理中の鋼材表面の最高温度が第1の目標温度以上と
なり、熱処理中の鋼材厚み方向内部の所定位置の温度が
第2の目標温度以下となるかどうかを判定する判定手
順、 前記温度条件に適合しない場合は、前記電力を修正して
前記演算手順と前記判定手順とを繰り返して実行する判
定処理手順、 前記温度条件に適合する場合は、その演算に用いられた
電力に基づいて、前記鋼材の加熱に使用されるそれぞれ
の誘導加熱装置の電力量の合計値が所定の値以下である
電力条件に適合するかどうかを判定する電力判定手順、 前記電力条件に適合する場合は、前記移送速度を増加し
た新たな移送速度を用いて前記演算手順、判定手順、判
定処理手順、電力判定手順を前記温度条件に適合しなく
なるまで繰り返して実行し、前記温度条件と前記電力条
件に適合する最終の演算に用いられた電力と移送速度を
抽出する抽出手順、その演算に用いられた電力を前記各
誘導加熱装置に供給する供給手順、を実行させるための
プログラム。 - 【請求項11】 前記演算手順は、 コンピュータに、 前記誘導加熱装置内における前記鋼材の厚み方向の誘導
電流分布を求めて前記鋼材内部の発生熱量を算出する手
順、 前記誘導加熱装置外における前記鋼材から大気への放散
熱量を算出する手順、 前記発生熱量と前記放散熱量とを境界条件として前記鋼
材の内部への熱伝導を演算して前記鋼材の表面温度と厚
み方向の内部温度とを推定する手順、を実行させるため
の請求項7乃至10の内いずれか1の請求項に記載の鋼
材の熱処理プログラム。 - 【請求項12】 熱処理ラインに適宜の間隔で配設され
た複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱す
るための鋼材の熱処理プログラムにおいて、コンピュー
タに、 前記誘導加熱装置に供給する電力U1,…UN、前記電
力を用いて表したそれぞれの誘導加熱装置出側の鋼材の
鋼材厚み方向内部の所定位置における内部温度F1,…
FN、前記電力を用いて表した加熱処理後の表面温度
T、誘導加熱装置の電力最小値Umin、誘導加熱装置
の電力最大値Umax、鋼材の表面温度目標値Tr、鋼
材の鋼材厚み方向内部の所定位置における温度上限値T
rs、前記誘導加熱装置の長さL1,…LN、鋼材の移
送速度vとして、 下記式で示される制約条件の下で、目標関数D D=U1×(L1/v)+U2×(L2/v)+…+U
N×(LN/v) を最小とする電力U1,…UNを制約条件付き非線形計
画法を用いて求める演算手順、 求めた電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給手順、
を実行させるためのプログラム。 T −Tr ≧0、 Trs − Fi ≧0 ここで、i: 1〜N Ui − Umin ≧0 ここで、i: 1〜N Ui − Umax ≦0 ここで、i: 1〜N
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