JP2003300235A - プラスチック光学素子及びその製造方法 - Google Patents

プラスチック光学素子及びその製造方法

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JP2003300235A
JP2003300235A JP2002108389A JP2002108389A JP2003300235A JP 2003300235 A JP2003300235 A JP 2003300235A JP 2002108389 A JP2002108389 A JP 2002108389A JP 2002108389 A JP2002108389 A JP 2002108389A JP 2003300235 A JP2003300235 A JP 2003300235A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低コストで屈折率分布が小さいプラスチック光
学素子を、低コストで、能率的に製造できる製造方法を
工夫すること。 【解決手段】所定のキャビティを画成する面に少なくと
も1つ以上の光学面を有し、充填される溶融樹脂のガラ
ス転移温度以下に加熱された成形用金型に、上記溶融樹
脂を射出充填し、樹脂冷却過程でプラスチック光学素子
の光学面以外の面から優先的に冷却する第1の工程と、
前記プラスチック光学素子が、少なくとも所定温度範囲
の下限値以下になるまで所定速度で徐冷する第2の工程
とを含むプラスチック光学素子の製造方法を前提とし
て、上記第1の工程で、前記プラスチック光学素子の光
学面以外の面のうち、少なくとも1つ以上の光学面と隣
接し略直交する面の中央部から優先的に冷却すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、レーザ方式のデジタ
ル複写機、レーザプリンター、又はファクシミリ装置の
光学走査系、ビデオカメラ等の光学機器等に適用される
プラスチック光学素子の製造方法に関するものであり、
内部の屈折率分布が均一で低いプラスチック光学素子を
能率的に製造することができるものである。
【0002】
【従来の技術】レンズ、プリズム等の光学素子について
は、高い形状精度で、内部に複屈折の少ないことが要求
されるため、従来はガラス製のものが主流であった。し
かし、近年、形状の自由度が高く、また生産性がよいこ
とからプラスチック製のものが増加してきている。この
理由は、低い複屈折特性の樹脂材料が開発されたこと
や、形状精度が良く低複屈折の成形品を製造可能にする
成形技術の向上によるものである。従来、光学素子に用
いられる樹脂材料としては、ポリカーボネート樹脂やア
クリル樹脂が主流であった。他方、ポリカーボネート樹
脂は複屈折が大きく、また、アクリル樹脂は吸水性が高
く、環境(湿度)変化に対して形状や屈折率が変化する
ため、その用途が限定されていた。しかし、近年、低吸
水性でかつ低い複屈折特性のポリカーボネイト系樹脂材
料が開発されたため、その用途が拡大している。このよ
うな樹脂材料として、例えば、日本ゼオン社製のゼオネ
ックス、JSR社製のアートン、三井化学社製のアペル
などがある。また、樹脂材料の改良のみならず成形技術
の方も、樹脂を低圧で充填し、金型全体もしくは入駒を
介して圧縮を加える射出圧縮成形法などが開発されたこ
とによって、形状精度が高く、低複屈折の成形品が得ら
れるようになってきた。以上のような理由から光学素子
のプラスチック化が一層進む傾向にある。
【0003】
【従来技術の問題点】上記のように、形状精度が高く低
い複屈折特性の光学素子が得られるようになったが、成
形加工後の光学素子内部には屈折率分布が残存する。こ
のため、特に高精度が要求される光学素子では、十分に
満足な光学性能は未だ得られないという問題がある。ま
た、内部屈折率は光学素子の表面に近いほど高く、中心
に近づくほど低くなり、光学素子が結像レンズの場合に
は、この屈折率分布が結像位置ずれを起こす原因となっ
ている。例えば、レーザプリンター等の走査レンズの場
合、特開平10−288749号公報に記載されている
ように、屈折率分布は被走査面上に集光すべきビームス
ポットが設計上の位置よりも光偏向器から遠ざかるよう
に作用し、その結果、被走査面上におけるビームスポッ
ト径が設計値よりも大きくなり、記録画像の品質低下の
原因になっている。
【0004】光学素子内部に上記屈折率分布が生じる原
因は、成形加工時の金型壁面近傍、すなわち樹脂外周部
分の温度低下(冷却)が急であるのに対して、樹脂中央
部分の温度低下は緩やかであることである。また、射出
充填時や保圧初期の高い圧力がかかった状態で、金型壁
近傍が急冷されて固体状態になるため、表面は密度が高
くなるが、しかし、中央部が冷却され固体状態になる時
には圧力が低下しているため低密度になる。その結果、
光学素子の表面は密度が高く、中心に近いほど密度が低
くなる。密度と屈折率には相関性があるため、光学素子
表面は屈折率が大きく、中央にいくほど屈折率が小さく
なり、このため屈折率分布が生じることになる。
【0005】上記のように、金型壁面近傍で樹脂が急激
に冷却されることが、上記屈折率分布が生じる主たる原
因であることが判明している。そこで、高温の金型に樹
脂を射出充填した後、徐冷を行うことで成形品内部の温
度分布を小さくして、屈折率分布の小さいレンズを得る
方法がある。しかし、この成形法によれば成形サイクル
時間が非常に長くなるため、製造コストが高くなるとい
う欠点がある。更に、レンズ形状を厚くして(大きくし
て)、屈折率分布が小さい領域を使用する方法が提案さ
れている。例えば、特開平8−201717号公報(第
1従来例)に記載された光走査装置では、ビームの進行
方向厚さ(t)と、それと垂直方向の高さ(h)で、h
/t>2となるようにレンズ形状を規定している。これ
は、垂直方向の高さhを大きくすることで、ビームが透
過する領域において樹脂冷却時の温度分布を小さくし、
この限定された部分の屈折率分布が小さいことを利用し
て、結像位置のずれを小さくするものである。しかし、
この方法は、ビームが透過しない領域、つまり有効領域
外の部分が増加することになるので、樹脂使用量を増加
させ、また、厚肉形状の光学素子を形状精度良く成形す
るために成形サイクル時間(冷却時間)を長くする必要
がある。このため製造コストが高くなるという問題があ
る。また、レンズ形状が限定されるので、光学設計の自
由度が損なわれることにもなる。
【0006】また、屈折率分布を見込んだ光学設計を行
う方法として、特開平9−49976号公報(第2従来
例)に記載されているものがある。これは、結像レンズ
の屈折率分布による結像位置ずれ相当分を結像レンズの
形状変更で補正し、結像位置を回転多面鏡側にシフトさ
せることによって、被走査面上にビームを結像させる方
法である。この方法は、金型を製作し、その金型に合せ
た成形条件を決定し、成形された結像レンズの結像位置
を評価して、その評価結果に基づいて形状補正値を決定
するものである。このため、成形上の別の不具合で、成
形条件を変更することが必要になった場合には、補正値
を再度変更しなければならず、そのため、鏡面駒を再製
作する必要があった。また、多数個取りの金型を製作す
る場合には、キャビテイ毎に補正値を変える必要がある
ため、加工用のプログラムをキャビテイ数だけ作製する
必要がある。従って、試作回数が非常に多くなり、鏡面
駒製作回数が増加するので、コスト高になるという問題
がある。
【0007】また、レンズ側面から固化が進行するよう
に冷却してレンズ内部の複屈折を低減する方法として、
特開平9−193257号公報(第3従来例)に記載さ
れているものがある。この方法では、走査レンズの内部
の複屈折を低減させることはできるかもしれないが、冷
却時の温度分布が図1の走査レンズ1´の断面図に示す
ようになることから、レンズ内部の屈折率分布を低減さ
せることはできず、逆に屈折率分布を増大させてしまう
という問題がある。
【0008】また、アニール工程によって屈折率分布を
低減させる方法として、特開平11−77842号公報
(第4従来例)、あるいは特開2001−47524号
公報(第5従来例)に記載されたものがある。このもの
は、金型外で加熱し、所定範囲内の温度域で所定時間保
持し、次いで冷却するアニール工程を施すことで、光学
素子内部の屈折率分布を低減させる方法である。短時間
のアニール工程で一定レベルの屈折率分布を低減するこ
とが可能であり、効果がレンズ形状によって左右されな
いため、第1、第2従来例よりも有効な方法である。し
かし、これは屈折率分布を完全に取り除くことはでき
ず、より高精度な光学素子が必要で、屈折率分布を低減
したい場合に際してはその要求に十分応えることはでき
ない。
【0009】
【解決しようとする課題】この発明は、従来技術の上記
問題を解消し、低コストで屈折率分布が小さいプラスチ
ック光学素子を、低コストで、能率的に製造できる製造
方法を工夫することをその課題とするものである。
【0010】
【課題解決のために講じた手段】
【解決手段1】(請求項1に対応)上記課題解決のため
に講じた手段1は、所定のキャビティを画成する面に少
なくとも1つ以上の光学面を有し、充填される溶融樹脂
のガラス転移温度以下に加熱された成形用金型に、上記
溶融樹脂を射出充填し、樹脂冷却過程でプラスチック光
学素子の光学面以外の面から優先的に冷却する第1の工
程と、前記プラスチック光学素子が、少なくとも所定温
度範囲の下限値以下になるまで所定速度で徐冷する第2
の工程とを含むプラスチック光学素子の製造方法を前提
として、上記第1の工程で、前記プラスチック光学素子
の光学面以外の面のうち、少なくとも1つ以上の光学面
と隣接し略直交する面の中央部から優先的に冷却するこ
とである。
【0011】
【作用】上記金型温度(ガラス転移温度以下の所定温
度)以上の温度領域で屈折率分布が発生すると、この屈
折率分布は上記第2の工程を経て除去されずに残ってし
まうが、上記第1の工程で、走査レンズの光学面以外の
面(レンズ側面)の中央部から優先的に冷却することに
より、冷却過程での走査レンズ内部の温度分布は図4に
示すようになり、走査レンズの光線透過方向と直交する
方向の温度差が、従来のように、金型温度を均一にして
冷却した場合(図1の温度分布)よりも小さくなり、そ
の結果、屈折率分布が小さくなる。なお、第1の工程の
後に、金型から取り出して、室温まで冷却されるが、こ
の過程の、前記金型温度(ガラス転移温度以下の所定温
度)以下の温度領域でも屈折率分布は発生する。しか
し、これは第2の工程で除去されるので問題はない。す
なわち、第2の工程で、室温まで冷却された走査レンズ
を図示しない温度制御手段を有する恒温槽に入れ、所定
温度範囲の任意の温度(例えば125℃)まで加熱し、
その温度で所定時間(例えば1時間)保持し、レンズ内
部まで均一に加熱する。これにより、成形後に室温まで
冷却された時に生じる屈折率分布を除去することができ
る。次に、所定温度範囲の下限値以下の温度(例えば1
00℃)まで徐冷することで、屈折率分布の再発生が低
減され、屈折率分布の少ない走査レンズが製作される。
【0012】
【実施態様1】(請求項2に対応)この実施態様1は、
上記解決手段について、そのプラスチック光学素子の光
学面以外の面から優先的に冷却する方法として、光学面
を形成する金型部材と光学面以外の面を形成する金型部
材とに温度差をつけるようにしたことである。
【0013】
【作用】金型の温度制御は容易、高精度に行えるので、
光学面を形成する金型部材と光学面以外の面を形成する
金型部材とに温度差を容易、高精度で与えることがで
き、この温度差によって、走査レンズの光線透過方向と
直交する方向の温度差を容易、高精度で低減することが
できる。
【0014】
【実施態様2】(請求項3に対応)この実施態様2は、
上記解決手段1又は実施態様1について、上記光学面以
外の面を形成する金型部材を強制的に冷却することによ
り、光学面を形成する金型部材と光学面以外の面を形成
する金型部材とに温度差をつけるようにしたことであ
る。
【0015】
【解決手段2】(請求項4に対応)上記課題解決のため
に講じた手段2は、所定のキャビティを画成する面に少
なくとも1つ以上の光学面を有し、充填される溶融樹脂
のガラス転移温度以下に加熱された成形用金型に、溶融
樹脂を射出充填し、樹脂冷却過程でプラスチック光学素
子の光学面以外の面から優先的に冷却する第1の工程
と、上記プラスチック光学素子が少なくとも所定温度範
囲内の下限値以下になるまで所定速度で徐冷する第2の
工程とを含むプラスチック光学素子の製造方法を前提と
して、溶融樹脂を充填して後、上記プラスチック光学素
子の光学面以外の面のうち、少なくとも1つ以上の光学
面と隣接し略直交する面の一部または全部に空隙を形成
し、金型に設けた通気開口から上記空隙に冷却流体を圧
入して、当該空隙と接する光学面以外の面の中央部から
優先的に冷却するようにしたことである。
【0016】
【作用】上記第1の工程で、上記溶融樹脂を充填して
後、金型の一部を後退させてプラスチック光学素子の光
学面と隣接し略直交する面の一部または全部に空隙を形
成し、当該空隙に冷却流体を圧入させることによって、
プラスチック光学素子の当該空隙に対向する面の冷却が
上記冷却流体で促進され、光学面を形成する金型部材と
光学面以外の面を形成する金型部材とに温度差がつけら
れる。そして、金型の温度低下によって、上記温度差を
ほぼ保持したままで、プラスチック光学素子全体が冷却
される。
【0017】
【実施態様3】(請求項5に対応)この実施態様1は、
上記解決手段2について、上記前記空隙に開口する通気
口から上記空隙に圧縮空気を流入させて、プラスチック
光学素子の光学面以外の面から優先的に冷却(空冷)す
るようにしたことである。
【0018】
【作用】光学面と隣接し略直交する面と金型との間に形
成される空隙に圧入される冷却流体が空気であるから、
上記空隙からの排気を、金型間の隙間から大気に流出さ
せることができる。したがって、冷却流体の排気のため
の特別の工夫を金型に設ける必要がないから、上記冷却
流体による冷却のために金型の構造が複雑になることは
ない。
【0019】
【実施態様4】(請求項6に対応)この実施態様4は、
上記解決手段1または解決手段2について、そのプラス
チック光学素子を所定温度範囲内の下限値以下まで徐冷
する第2の工程が、前記金型を冷却することにより金型
内で行われることである。
【0020】
【作用】第2の工程を成形金型を冷却して行うから、第
2の工程を行うための別途の手段が不要であり、第1の
工程終了後に金型からプラスチック光学素子を取り出す
必要がないから、第1の工程及び第2の工程におけるプ
ラスチック光学素子の冷却、加熱制御を能率的に行うこ
とができる。
【0021】
【実施態様5】(請求項7に対応)実施態様5は、上記
解決手段1又は解決手段2について、そのプラスチック
光学素子を所定温度範囲内の下限値以下まで徐冷する第
2の工程が、前記プラスチック光学素子を金型から取り
出した後に行われるようにしたことである。
【0022】
【作用】第2の工程を成形金型とは別途の装置で実行す
ることになるので、プラスチック光学素子の種類に応じ
て最適に制御された条件下で、上記解決手段1又は解決
手段2の第2の工程を行うことができ、その間も射出成
形から第1の工程までを成形金型で行えるので、金型の
作動サイクルが短縮され、生産性が向上する。
【0023】
【実施態様6】(請求項8に対応)実施態様6は、上記
解決手段1、解決手段2、実施態様4又は実施態様5に
ついて、その第2の工程の所定温度範囲を使用樹脂材料
のガラス転移温度以下、同ガラス転移温度よりも30℃
低い温度以上の範囲とすることである。
【0024】
【作用】屈折率分布が形成される温度域がその使用樹脂
のガラス転移温度と、「ガラス転移温度−30℃」の範
囲にあることが実験的に確認されたので、第2の工程の
所定温度範囲をこの範囲に設定することで、必要かつ十
分である。上記温度範囲の下限値が「ガラス転移温度よ
りも30℃低い温度」よりも低くても格別の効果がない
から、上記下限温度を上記範囲よりも低くすると、冷却
時間が無駄に長くなって、生産効率を低下させることに
なる。他方、「ガラス転移温度よりも30℃低い温度」
よりも高いと、屈折率分布が形成される可能性がある。
したがって、上記下限値を「ガラス転移温度よりも30
℃低い温度以上」とすることで、生産能率が低下するこ
とを可及的に回避しつつ、屈折率分布が形成されること
を可及的に回避することができる。
【0025】
【実施態様7】(請求項9に対応)実施態様7は、解決
手段1、解決手段2、実施態様4、実施態様5又は実施
態様6について、その第2の工程の所定温度範囲内の下
限値以下になるまでの冷却速度を毎分3℃以下にするこ
とである。
【0026】
【作用】上記の冷却速度が毎分3℃よりも高ければ高い
ほど、屈折率分布の再発生を低減する効果が低下する傾
向があり、毎分3℃以下であれば、第1の工程における
所定温度以下での温度領域における屈折率分布の再発生
を十分低減することができる。そして、毎分3℃以下で
は、低いほど徐冷時間が長くなるという不利益が顕著に
なる。したがって、上記冷却速度を毎分3℃以下とする
ことには、屈折率分布の再発生を十分低減しつつ、徐冷
時間を可及的に短くするという技術的意義がある。
【0027】
【実施態様8】(請求項10に対応)実施態様8は、解
決手段1、解決手段2又は実施態様4乃至実施態様7に
ついて、その上記所定温度範囲以下にあるプラスチック
光学素子を所定温度範囲内まで加熱してから、前記第2
の工程を行なうことである。
【0028】
【作用】室温まで冷却された走査レンズを所定温度範囲
の任意の温度(例えば125℃)まで加熱し、レンズ内
部まで均一に加熱することにより、成形後に室温まで冷
却された時に生じる屈折率分布を除去し、次いで所定温
度範囲の下限値以下の温度(例えば100℃)まで徐冷
することで、屈折率分布の再発生を低減し、屈折率分布
の少ない走査レンズを得ることができる。
【0029】
【実施態様10】(請求項11に対応)実施態様10
は、解決手段1、解決手段2又は実施態様4乃至実施態
様9について、そのプラスチック光学素子が、上記所定
温度範囲内に達してから冷却を開始するまでに、所定温
度範囲内で温度を保持する工程を設けることである。
【0030】
【作用】第2の工程によるアニーニング効果を高めて、
第1の工程の冷却時、すなわち、成形後に室温まで冷却
された時に生じる屈折率分布を確実に除去することがで
きる
【0031】
【実施の形態】次いで、図面を参照して実施例を説明す
る。図2にレーザプリンターに用いられる走査レンズ1
の実施例を示しいる。走査レンズ1の上面と下面が光学
面2であり、レーザプリンターに組込まれて、下面から
上面に向かってレーザビームが透過する。また、Y方向
のレンズ幅は8mmであり、その中央部の4mm幅の部
分が光線有効範囲であり、使用時にこの光線有効範囲を
レーザビームが透過する。この実施例の樹脂材料はガラ
ス転移温度138℃のシクロオレフィンポリマー(日本
ゼオン社製、商品名:ゼオネックス)である。
【0032】実施例1の走査レンズ1を成形する射出成
形用金型の概略の断面形状を図3に示している。この射
出成形用金型は、光学面を形成する一対の鏡面駒3と、
レンズ側面を形成する一対のキャビティ駒4で囲まれた
キャビティ5を有し、上記鏡面駒3にカートリッジヒー
ター6と熱電対7を設けてあり、カートリッジヒーター
6は金型外部の温度制御装置(図示略)によって熱電対
7で温度を計測しながら制御される。また、上記キャビ
ティ駒4には、冷却用媒体を流すための配管8が設けら
れており、この配管8に金型外部の金型温度調節装置
(図示略)が接続されている。更に、金型駒を組み込む
金型ベース9に、金型全体を加熱するためのカートリッ
ジヒーター10と熱電対11を設けてあり、カートリッ
ジヒーター10は金型外の温度制御装置(図示略)によ
って、熱電対11で温度を計測しながら制御される。
【0033】上記射出成形用金型を図示しない射出成形
機にセットして走査レンズ1を成形する。上記金型は使
用樹脂材料のガラス転移温度以下の所定温度、この例で
は135℃にカートリッジヒーター10で加熱されてお
り、この状態でキャビティ5に溶融樹脂を充填し、冷却
する。この時、冷却過程で走査レンズの光学面以外の面
(レンズ側面)から優先的に冷却されるように、カート
リッジヒーター6と配管8の冷却用媒体の温度をそれぞ
れ137℃、135℃にしてカートリッジヒーター6の
方が高温になるように調節している。この場合の走査レ
ンズの光学面と光学面以外の面(レンズ側面)との温度
差はほぼ1〜3℃の範囲内に制御される。そして固化す
るまで冷却してから走査レンズを金型から取り出し、室
温環境に放置して自然冷却する。
【0034】前記金型温度(ガラス転移温度以下の所定
温度)以上の温度領域で屈折率分布が発生すると、この
屈折率分布は、その後の第2の工程でも除去されずに残
ってしまうので、金型温度以上の温度領域で発生する屈
折率分布を低減しておく必要がある。そこで、上記のよ
うに、第1の工程で、走査レンズの光学面以外の面(レ
ンズ側面)の中央部から優先的に冷却することにより、
冷却過程での走査レンズ内部の温度分布は、図4に示す
ように、走査レンズの光線透過方向と直交する方向の温
度差が、従来の金型温度を均一にして冷却した場合より
も小さくなり、その結果、屈折率分布が小さくなる。な
お、走査レンズを金型から取り出し、室温まで冷却され
る過程での温度領域、つまり、前記金型温度(ガラス転
移温度以下の所定温度)以下の温度領域でも屈折率分布
が発生するが、これは、次の第2の工程によって除去さ
れる。
【0035】室温まで冷却された走査レンズを図示しな
い温度制御手段を有する恒温槽に入れ、所定温度範囲の
任意の温度、この場合には125℃まで加熱し、その温
度で1時間保持してレンズ内部まで均一に加熱する。こ
れによって、成形後に室温まで冷却された時に生じる屈
折率分布が除去される。次いで、所定温度範囲の下限値
以下の温度、この場合には100℃まで毎分1℃の速度
で徐冷する。これによって、屈折率分布の再発生を低減
し、屈折率分布の少ない走査レンズが得られる。 この
方法によれば、従来の製造方法に比べて結像位置ずれが
少ない高品位な走査レンズが得られる。レーザプリンタ
ー用の走査レンズをこの方法で製作することにより、感
光体面上に集光すべきビームスポットが設計上の位置に
近くなり、その結果、書き込まれる記録画像の品質が向
上する。なお、成形金型で第2の工程を行うこともでき
るが、この場合もその温度制御を上記と同様に行えばよ
い。
【0036】ここで、上記の所定温度範囲は、ガラス転
移温度以下で、使用樹脂材料の「ガラス転移温度−30
℃」以上の範囲に設定することが重要である。これによ
って、実験結果から屈折率分布が形成される温度領域が
その使用樹脂のガラス転移温度とこれからマイナス30
℃の範囲にあることが確認されているので、不必要に低
い温度領域まで徐冷することなしに、可及的に短時間で
屈折率分布の少ない光学素子を製作することがきる。実
施例1で使用したZeonex樹脂のガラス転移温度は
約138℃であることから、この場合の所定温度範囲は
約108〜138℃である。使用樹脂材料は熱可塑性の
非晶性プラスチック材料であれば何れも使用可能であ
る。但し、樹脂材料によってガラス転移温度が異なるか
ら、上記所定温度範囲は使用する樹脂材料によって異な
ることになる。
【0037】また、前記金型内に配置した温度制御手段
として、実施例1に使用した棒状のカートリッジヒータ
ーの他、板状の発熱体、フィルム状の発熱体等、各種電
気ヒーターを使用することができる。また、前記恒温糟
でバッチ処理を行う代わりに、移動式コンベアに遠赤外
線加熱装置を配置し、上記移動式コンベアで走査レンズ
が移動するようにして、連続工程で徐冷を行うことがで
き、この場合も上記の場合と同様の効果が得られる。さ
らに、本発明に適用されるプラスチック光学素子は、図
1に示す走査レンズに限るものではなく、円形レンズ、
長尺レンズ等、種々な形状のプラスチック光学素子にも
適用可能である。
【0038】次に、実施例2について説明する。実施例
2における光学素子及び樹脂材料は、実施例1の走査レ
ンズ1と同じである。実施例2における射出成形用金型
の断面形状を図5に概略的に示している。この射出成形
用金型は、光学面を形成する一対の鏡面駒3とレンズ側
面を形成する一対のキャビティ駒4とで囲まれたキャビ
ティ5を有し、前記鏡面駒3にカートリッジヒーター6
と熱電対7を設けてあり、これらは金型外部の温度制御
装置(図示略)によって制御される。また、光学面以外
の面を形成する上記キャビティ駒4の一部に摺動自在な
可動駒12を設け、可動駒は油圧シリンダー13に連結
してあり、この油圧シリンダー13は金型外部の圧力制
御装置によって制御される。また、可動駒12には、当
該可動駒12が後退した時に樹脂との間に形成される空
隙に開口するように通気口(14)を設け、金型外の圧
縮気体制御装置(図示略)に連通させている。なお、上
記可動駒12の先端面はレンズ側面の中央に位置してお
り、その面積はレンズ側面の面積の約70%に相当して
いる。更に、金型ベース9に、金型全体を加熱するため
に、カートリッジヒーター10と熱電対11を設けてあ
り、このカートリッジヒーター10は金型外部の温度制
御装置(図示略)によって、熱電対11で温度を計測し
ながら制御される。
【0039】上記射出成形用金型を図示しない射出成形
機にセットし、走査レンズ1を成形する。金型は使用樹
脂材料のガラス転移温度(138℃)以下の所定温度、
この場合には135℃になるようにカートリッジヒータ
ー10で加熱してあり、また、溶融樹脂の冷却過程で走
査レンズのレンズ側面(光学面以外の面)から優先的に
冷却しやすくするために、カートリッジヒーター6の加
熱温度を137℃に設定してある。次いで、キャビティ
5に溶融樹脂を充填し、冷却する過程で、摺動自在な可
動駒12を後退させて、これを樹脂から離間させる。当
該可動駒12の先端面がキャビティ内樹脂から離間し
て、その間に空隙を形成されるが、このとき、上記微小
空隙に開口するように設けた通気口14から圧縮空気
(室温空気)を圧入して、走査レンズの上記微小空隙内
の気体に触れている部分を積極的に空冷する。なお、上
記空隙に圧入された空気は、可動駒12とキャビティ駒
4との摺動面の微小隙間から外へ流出する。また、レン
ズ面の温度137℃に対してレンズ側面の温度が135
℃になるように上記冷却空気の圧入量を調整して、この
温度差を保ちながら第1の工程の冷却を行う。
【0040】上記のようにして走査レンズをその光学面
以外の面の中央部から優先的に冷却させ(レンズ面の温
度低下に対してレンズ側面の中央部の温度低下を先行さ
せること)、所定温度まで冷却させた後、固化した走査
レンズを金型から取り出し、室温に放置して自然冷却す
る。次いで、実施例1で説明した第2の工程を同様の条
件で行う。この方法により、第1の工程の冷却過程で走
査レンズの光学面以外の面(レンズ側面)から優先的に
冷却することができ、実施例1と同様の効果が得られ、
屈折率分布が少なく、結像位置ずれの少ない走査レンズ
が得られる。
【0041】
【比較例】次に、比較例について説明する。この比較例
の光学素子及び樹脂材料は実施例1、実施例2の走査レ
ンズ1と同じものである。比較例の射出成形用金型の断
面形状を図6に概略的に示している。この金型は、光学
面を形成する一対の鏡面駒3とレンズ側面を形成する一
対のキャビティ駒4とによって囲まれたキャビティ5を
有し、その金型ベース9に金型全体を加熱するために、
カートリッジヒーター10と熱電対11を設けてある。
カートリッジヒーター10は金型外部の温度制御装置
(図示略)によって、熱電対11により温度を計測しな
がら制御される。
【0042】上記射出成形用金型を図示しない射出成形
機にセットし、走査レンズ1を成形する。金型は使用樹
脂材料のガラス転移温度(138℃)以下の所定温度、
この場合には135℃になるようにカートリッジヒータ
ー10で加熱しておき、キャビティ5に溶融樹脂を充填
し、冷却する。次いで、固化した走査レンズを金型から
取り出し、室温に放置して自然冷却する。次いで、実施
例1と同様の条件で第2の工程を行う。実施例1、実施
例2及び比較例で得られた走査レンズについて、屈折率
分布を測定したところ、表1に示す結果が得られた。本
発明の方法により走査レンズの屈折率分布が低減される
ことが、表1から明らかである。 この屈折率分布測定は、特開平8−122210号公報
の方法を用い、図2に示す走査レンズ1のレーザビーム
が透過する方向(Z方向)に被検波を入射して、レンズ
中央部(X方向の中心)の屈折率分布を測定した。ここ
で、レンズ幅方向(Y方向)のレーザビームが透過する
光線有効範囲(幅4mmの中央部の範囲)内における屈
折率のPV値(最大値−最小値)を屈折率分布と定義し
ている。
【0043】
【発明の効果】1.請求項1乃至請求項3に係る発明の
効果 光学面と光学面以外の面を備えているプラスチック光学
素子について、射出後の冷却時に、一つ以上の光学面と
隣接する略直交する光学面以外の面の中央部から優先的
に所定温度範囲の下限値まで冷却することにより、可及
的に効率よくプラスチック光学素子の屈折率分布を大幅
に低減することができ、しかも、射出後の冷却工程を可
及的に短時間で行うことができる。したがって、屈折率
分布が大幅に低減されたプラスチック光学素子を、能率
的に製造することができる。
【0044】2.請求項4乃至請求項5に係る発明の効
果 光学面と光学面以外の面を備えているプラスチック光学
素子について、射出後の冷却時に、一つ以上の光学面と
隣接する略直交する光学面以外の面の中央部から優先的
に所定温度範囲の下限値まで冷却するについて、光学面
以外の面の中央部と金型の間に空隙を形成し、当該空隙
に冷却流体を圧入して、冷却流体で冷却するから、冷却
流体の温度とその圧入流量を調整することによって、そ
の冷却効果を最適値に簡単容易に制御することができ、
プラスチック光学素子の屈折率分布を短時間で効果的に
低減することができる。
【0045】3.請求項6に係る発明の効果 請求項6に係る発明は、上記プラスチック光学素子を所
定温度範囲内の下限値以下まで徐冷する第2の工程を、
上記金型を冷却することにより当該金型内で行うもので
あるから、第1の工程から第2の工程への移行が可及的
に速やかになされ、また、第2の工程を短時間で行うこ
とができ、また、第1の工程と第2の工程とが一回の射
出成形単位のバッチでなされるので、請求項1、請求項
4に係る発明等のこの発明によるプラスチック光学素子
の生産能率が高められ、その品質の均一化が図られる。
【0046】4.請求項7に係る発明の効果 請求項7に係る発明は、上記プラスチック光学素子を、
所定温度範囲内の下限値以下まで徐却する第2の工程
を、前記プラスチック光学素子を金型から取り出した後
に行うものであるから、成形金型とは別途の第2の工程
処理装置が必要であるが、単位時間当たりの各成形金型
の射出成形動作回数が大きく、また、専用の処理装置
で、請求項1、請求項4に係る発明等のこの発明の第2
の工程が実行されるので、プラスチック光学素子の種類
に応じた最適の第2の工程を容易、確実に実行すること
ができる。
【0047】5.請求項8に係る発明の効果 請求項8に係る発明は、上記第2の工程の所定温度範囲
を、使用樹脂材料のガラス転移温度以下で、同ガラス転
移温度よりも30℃低い温度以上の範囲にしたものであ
るから、請求項1、請求項4、請求項6又は請求項7の
プラスチック光学素子の製造方法による、プラスチック
光学素子の屈折率分布の解消を、可及的に短時間で行う
ことができる。
【0048】6.請求項9に係る発明の効果 請求項9に係る発明は、上記第2の工程の所定温度範囲
の下限値以下になるまでの冷却速度を、毎分3℃以下に
したことによって、第2の工程の所定温度範囲の下限値
以下に冷却されるまでの間の屈折率分布の再発生を可及
的に抑制しつつ、請求項1、請求項4又は請求項6乃至
請求項8のプラスチック光学素子の製造方法における第
2の工程を迅速に行うことができ、したがって、その生
産能率が向上する。
【0049】7.請求項10に係る発明の効果 請求項10に係る発明は、上記所定温度範囲以下にある
プラスチック光学素子を所定温度範囲内まで加熱してか
ら、前記第2の工程を行なうものであるから、第1の工
程における上記所定温度以下の温度領域で発生するする
屈折率分布が、第2の工程での所定温度範囲までの再加
熱によって確実に解消される。したがって、請求項1、
請求項4、請求項6乃至請求項9に係る発明のプラスチ
ック光学素子の製造方法によるプラスチック光学素子製
品の屈折率分布の解消を、一層高度、かつ確実なものに
することができる。
【0050】8.請求項11に係る発明の効果 請求項11に係る発明は、上記プラスチック光学素子が
前記所定温度範囲内に達してから冷却を開始するまで
に、所定温度範囲内で温度を保持する工程を設けるもの
であるから、第2の工程により、室温まで冷却した時に
発生する光学素子内部の屈折率分布を除去できる。した
がって、請求項1、請求項4又は請求項6乃至請求項1
0のプラスチック光学素子の製造方法によるプラスチッ
ク光学素子の屈折率分布の解消を、一層高度、確実にす
ることができる。
【0051】9.請求項12に係る発明の効果 請求項12に係る発明は、請求項1乃至請求項11のプ
ラスチック光学素子の製造方法で製造され、プラスチッ
ク光学素子の光線通過方向と直交する任意の方向で、プ
ラスチック光学素子内部の屈折率分布が低減されている
プラスチック光学素子であるから、プラスチック光学素
子内部の屈折率分布が低く、結像位置ずれの少ない高品
位な光学素子である。
【0052】10.請求項13に係る発明の効果 請求項13に係る発明は、熱可塑性の非晶性プラスチッ
ク材料から形成されている請求項12のプラスチック光
学素子であるから、低コストで結像位置ずれの少ない高
品位な光学素子である。
【0053】11.請求項14に係る発明の効果 請求項14に係る発明は、光源からの光を走査対象物に
対して走査する光走査系を含む光学システムであって、
上記光走査系が、光源からの光を所定の角度範囲内で偏
向する偏向手段と、当該偏向手段から前記走査対象物に
至る上記光の光路上に配置されている請求項12のプラ
スチック光学素子を含む光学系とを有する光学システム
であるから、結像位置ずれの少ない高品位な光学システ
ムを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、従来技術による走査用プラスチック光学レ
ンズの内部温度分を模式的に示す、上記プラスチック光
学レンズの断面図である。
【図2】は、走査用プラスチック光学レンズの斜視図で
ある。
【図3】は、実施例1の、走査用プラスチック光学レン
ズの射出成形用金型の断面図である。
【図4】は、実施例1の製造方法による走査用プラスチ
ック光学レンズの内部温度分を模式的に示す、上記プラ
スチック光学レンズの断面図である。
【図5】は、実施例2の、走査用プラスチック光学レン
ズの射出成形用金型の断面図である。
【図6】は、比較例の、走査用プラスチック光学レンズ
の射出成形用金型の断面図である。
【符号の説明】
1:走査レンズ 2:光学面 3:鏡面駒 4:キャビティ駒 5:キャビティ 6:カートリッジヒーター 7:熱電対 8:配管 9:金型ベース 10:カートリッジヒーター 11:熱電対 12:可動駒 13:油圧シリンダー 14:通気口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F202 AA28 AG19 AH73 AH74 AK02 AR06 AR08 CA11 CB01 CN05 CN12 CN30 4F206 AA28 AG19 AH73 AH74 AK02 AR06 AR08 JA07 JN44 JW15

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定のキャビティを画成する面に少なくと
    も1つ以上の光学面を有し、充填される溶融樹脂のガラ
    ス転移温度以下に加熱された成形用金型に、上記溶融樹
    脂を射出充填し、樹脂冷却過程でプラスチック光学素子
    の光学面以外の面から優先的に冷却する第1の工程と、
    前記プラスチック光学素子が少なくとも所定温度範囲内
    の下限値以下になるまで所定速度で徐冷する第2の工程
    とを含むプラスチック光学素子の製造方法において、 上記第1の工程で、前記プラスチック光学素子の光学面
    以外の面のうち、少なくとも1つ以上の光学面と隣接し
    略直交する面の中央部から優先的に冷却することを特徴
    とするプラスチック光学素子の製造方法。
  2. 【請求項2】上記のプラスチック光学素子の光学面以外
    の面から優先的に冷却する方法として、光学面を形成す
    る金型部材と光学面以外の面を形成する金型部材とに温
    度差をつけることを特徴とする請求項1のプラスチック
    光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】上記の光学面以外の面を形成する金型部材
    を強制的に冷却することにより、光学面を形成する金型
    部材と光学面以外の面を形成する金型部材とに温度差を
    つけることを特徴とする請求項1又は請求項2のプラス
    チック光学素子の製造方法。
  4. 【請求項4】所定のキャビティを画成する面に少なくと
    も1つ以上の光学面を有し、充填される溶融樹脂のガラ
    ス転移温度以下に加熱された成形用金型に、溶融樹脂を
    射出充填し、樹脂冷却過程でプラスチック光学素子の光
    学面以外の面から優先的に冷却する第1の工程と、上記
    プラスチック光学素子が少なくとも所定温度範囲内の下
    限値以下になるまで所定速度で徐冷する第2の工程とを
    含むプラスチック光学素子の製造方法において、 上記溶融樹脂を充填して後、上記のプラスチック光学素
    子の光学面以外の面のうち、少なくとも1つ以上の光学
    面と隣接し略直交する面の一部または全部に空隙を形成
    し、金型に設けた通気口から冷却流体を上記空隙に圧入
    して、当該空隙と接する光学面以外の面の中央部から優
    先的に冷却することを特徴とするプラスチック光学素子
    の製造方法。
  5. 【請求項5】上記金型に設けた通気口から上記空隙に圧
    入する冷却流体が空気であり、圧縮空気を上記空隙に流
    入させることにより、プラスチック光学素子の光学面以
    外の面から優先的に冷却することを特徴とする請求項4
    のプラスチック光学素子の製造方法。
  6. 【請求項6】上記プラスチック光学素子を所定温度範囲
    内の下限値以下まで徐冷する第2の工程が、上記金型を
    冷却することにより金型内で行われることを特徴とする
    請求項1又は請求項4のプラスチック光学素子の製造方
    法。
  7. 【請求項7】上記プラスチック光学素子を所定温度範囲
    内の下限値以下まで徐冷する第2の工程が、前記プラス
    チック光学素子を金型から取出した後に行われることを
    特徴とする請求項1又は請求項4のプラスチック光学素
    子の製造方法。
  8. 【請求項8】上記第2の工程の所定温度範囲が、使用樹
    脂材料のガラス転移温度以下で、同ガラス転移温度より
    も30℃低い温度以上の範囲であることを特徴とする請
    求項1、請求項4、請求項6又は請求項7のプラスチッ
    ク光学素子の製造方法。
  9. 【請求項9】上記第2の工程の所定温度範囲の下限値以
    下になるまでの冷却速度が、毎分3℃以下であることを
    特徴とする請求項1、請求項4又は請求項6乃至請求項
    8のプラスチック光学素子の製造方法。
  10. 【請求項10】上記所定温度範囲以下にあるプラスチッ
    ク光学素子を所定温度範囲内まで加熱してから、上記第
    2の工程を行なうことを特徴とする請求項1、請求項4
    又は請求項6乃至請求項9のプラスチック光学素子の製
    造方法。
  11. 【請求項11】上記プラスチック光学素子が前記所定温
    度範囲内に達してから冷却を開始するまでに、所定温度
    範囲内で温度を保持する工程を設けることを特徴とする
    請求項1、請求項4又は請求項6乃至請求項1のプラス
    チック光学素子の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項1乃至請求項11のプラスチック
    光学素子の製造方法で製造され、プラスチック光学素子
    の光線通過方向と直交する任意の方向で、プラスチック
    光学素子内部の屈折率分布が低減されていることを特徴
    とするプラスチック光学素子。
  13. 【請求項13】熱可塑性の非晶性プラスチック材料から
    形成されていることを特徴とする請求項12のプラスチ
    ック光学素子。
  14. 【請求項14】光源からの光を走査対象物に対して走査
    する光走査系を含む光学システムであって、上記光走査
    系が、光源からの光を所定の角度範囲内で偏向する偏向
    手段と、当該偏向手段から前記走査対象物に至る上記光
    の光路上に配置されている請求項12のプラスチック光
    学素子を含む光学系とを有することを特徴とする光学シ
    ステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111168934A (zh) * 2018-09-20 2020-05-19 兄弟工业株式会社 扫描透镜的制造方法、模具和模具的制造方法
JP2020185742A (ja) * 2019-05-16 2020-11-19 三井化学株式会社 光学部品の製造方法

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