JP2003297442A - 光電変換用酸化物半導体電極および色素増感型太陽電池 - Google Patents

光電変換用酸化物半導体電極および色素増感型太陽電池

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JP2003297442A JP2002093940A JP2002093940A JP2003297442A JP 2003297442 A JP2003297442 A JP 2003297442A JP 2002093940 A JP2002093940 A JP 2002093940A JP 2002093940 A JP2002093940 A JP 2002093940A JP 2003297442 A JP2003297442 A JP 2003297442A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂材料の基板の使用を可能とさせ、エネル
ギ−変換効率に優れ、さらには量産化に向けて環境等に
やさしい光電変換用酸化物半導体電極およびそれを用い
た色素増感型太陽電池を提供する。 【解決手段】 表面に色素が形成された光電変換用酸化
物半導体電極と、これと対をなす対向電極と、それらの
電極に接触する電荷移動層とを有する色素増感型太陽電
池であって、前記光電変換用酸化物半導体電極は、導電
性表面を有する樹脂基板と、導電性表面の上に形成され
た酸化物半導体膜と、この酸化物半導体膜の上に形成さ
れた有機色素を有し、前記酸化物半導体膜は、酸化物半
導体微粒子のゾルまたはスラリーをスプレー塗布して形
成されるとともに、当該酸化物半導体膜は、有機色素を
形成させる前の段階で、中和処理溶液との接触処理がな
されているように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電変換のために
用いられる光電変換用酸化物半導体電極、およびその電
極を用いた色素増感型太陽電池に関する。
【0002】
【従来技術】多孔質酸化チタン電極を用いることによ
り、アモルファスシリコン太陽電池に匹敵する性能を有
する色素増感型太陽電池が得られる旨の報告がグレッツ
ェルらによりすでになされている(J.Am.Chem.Soc.115
(1993)6382)。
【0003】さらに、酸化チタン以外にも、酸化ニオ
ブ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物
半導体、あるいはこれらの混合系などの様々な酸化物半
導体において光電変換能が発揮されることが報告されて
いる。
【0004】これら酸化物半導体電極の製法としては、
導電性基板の表面に、酸化物半導体微粒子のゾル液ある
いはスラリ−液などを塗布、成膜する方法が一般的に用
いられている。
【0005】酸化物半導体電極がその機能を充分に発揮
するためには、酸化物半導体粒子同士の強い結合、およ
び酸化物半導体微粒子と導電性基板表面との強い結合が
非常に重要となる。また、酸化物半導体膜を多孔質化し
てスポンジ状にすることにより、光電変換に関与する色
素吸着表面積を増やすこと、また、電荷移動層である電
解液の浸透性を向上させることも非常に重要である。
【0006】これら目的を達成するため、ポリエチレン
グリコ−ルなどの有機バインダ−成分を酸化物半導体微
粒子ゾル、スラリ−に適量添加して塗布液を作製し、こ
の塗布液を基板上に塗布し、しかる後、400℃以上の
高温で焼成することにより成膜する方法が一般的に用い
られている。
【0007】つまり、高温に加熱することによって酸化
物半導体粒子同士、および酸化物半導体微粒子と導電性
表面との結合性の強化、また、有機バインダ−成分の分
解蒸発によって酸化物半導体膜の多孔質化を達成するこ
とができる。
【0008】しかしながら、このような高温焼成では、
基板として樹脂材料を用いることが出来ないため用途が
限定されてしまうといった問題点があった。また、高温
焼成では使用するエネルギ−が大きく環境に対する点で
もマイナスの要素が多い。
【0009】このような問題点に鑑み、特開2001-
357896公報には、高温焼成に代わる処理方法とし
て、(i)400nm以下の紫外光を照射したり、(ii)5
0℃以上350℃未満で加熱したり、(iii)マイクロ波
を照射したりする等の各種処理方法が提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法を用いたのみでは、塗布液に必須成分として含有
されて有機バインダ−成分の除去は不十分となり、残留
した有機バインダ−成分が逆に電池特性を悪化させると
いう問題が生じる。例えば、有機バインダ−成分として
分子量20000のポリエチレングリコ−ルを用いた場
合、この熱分解温度は250〜300℃の範囲である。
そのため、この温度範囲で加熱処理を行えばポリエチレ
ングリコ−ルの分解蒸発は起こるものの、樹脂基板への
ダメ−ジが非常に大きくなってしまう。
【0011】また、紫外光の照射による光酸化反応分解
においても、含有される有機バインダ−成分を完全に分
解除去するには長時間の紫外光照射が必要であり、生産
性を考慮すると現実的であるとは言えない。
【0012】また、マイクロ波による加熱においても、
導電性表面(基板上に設置された透明電極など)への局
所的なマイクロ波の集中が起こり、スパ−クの発生、透
明電極のクラック発生、樹脂基板の損傷など多くの問題
が生じ得る。
【0013】また、これらの方法を組み合わせて処理す
ることも提案されているが、樹脂基板へのタメ−ジは依
然として大きく、酸化物半導体膜の作製方法自体の改善
が要望されている。
【0014】ところで、酸化物半導体膜の作製に用いら
れる上記ゾル液やスラリ−液中における酸化物半導体微
粒子の分散性は、作製された酸化物半導体電極の光電変
換特性に大きな影響を与える。より高いレベルに分散さ
れていればいるほど(凝集が抑えられていればいるほ
ど)、酸化物半導体微粒子表面の表面エネルギ−が大き
くなり、成膜した際、酸化物半導体微粒子間の結合性が
向上して光電変換特性が向上する。また、酸化物半導体
粒子の凝集を抑制することは光の散乱性を抑制すること
につながり、酸化物半導体膜内への光の浸透性を向上さ
せる点でも重要となる。
【0015】ゾル液やスラリ−液中の酸化物半導体微粒
子の分散性を高める方法として、酸もしくはアルカリを
添加させ、塗布液のpHを酸化物半導体微粒子の等電点
近傍のpHからなるべく遠ざける方法が一般的に用いら
れる。
【0016】しかしながら、このような酸もしくはアル
カリ添加の方法を用いた場合、塗布液の分散性の向上は
期待できるものの、その後の製造工程における製造条件
の設定次第では、光電変換特性の向上はさほどでなな
く、逆に光電変換特性を低下させるという現象が頻繁に
生じていた。
【0017】また、塗布膜を高温焼成する際に発生する
酸性ガスあるいはアルカリ性ガスは、焼成炉の腐食や、
環境、人体に対して悪影響を及ぼすおそれがあり、この
傾向は、特に、大量生産においては顕著な問題となり得
る。
【0018】このような実状のもとに本発明は創案され
たものであり、その目的は、いわゆる樹脂材料の基板の
使用を可能とさせ、エネルギ−変換効率に優れ、さらに
は量産化に向けて環境等にやさしい光電変換用酸化物半
導体電極およびそれを用いた色素増感型太陽電池を提供
することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】樹脂材料の基板を使用す
ることを前提とし、低温処理で良好なエネルギ−変換効
率が得られる酸化物半導体膜の形成に関して本発明者ら
が鋭意研究を行った結果、本発明に想到したのである。
【0020】すなわち、本発明は、導電性表面を有する
樹脂基板と、導電性表面の上に形成された酸化物半導体
膜と、この酸化物半導体膜の上に形成された有機色素を
有する光電変換用酸化物半導体電極であって、前記酸化
物半導体膜は、酸化物半導体微粒子のゾルまたはスラリ
ーをスプレー塗布して形成されるとともに、当該酸化物
半導体膜は、有機色素を形成させる前の段階で、中和処
理溶液との接触処理がなされているように構成される。
【0021】本発明は、表面に色素が形成された光電変
換用酸化物半導体電極と、これと対をなす対向電極と、
それらの電極に接触する電荷移動層とを有する色素増感
型太陽電池であって、前記光電変換用酸化物半導体電極
は、導電性表面を有する樹脂基板と、導電性表面の上に
形成された酸化物半導体膜と、この酸化物半導体膜の上
に形成された有機色素を有し、前記酸化物半導体膜は、
酸化物半導体微粒子のゾルまたはスラリーをスプレー塗
布して形成されるとともに、当該酸化物半導体膜は、有
機色素を形成させる前の段階で、中和処理溶液との接触
処理がなされているように構成される。
【0022】また、本発明における前記中和処理溶液
は、酸またはアルカリを含んでなるように構成される。
【0023】また、本発明における前記スプレー塗布さ
れる酸化物半導体微粒子のゾルまたはスラリーの中に
は、有機バインダ−成分が含有されていないように構成
される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の色素増感型太陽電
池の実施の形態について詳細に説明する。図1には、本
発明の色素増感型太陽電池の模式的構成例が示される。
図1に示されるように、本発明の色素増感型太陽電池1
は、2つの電極10,30が例えば電荷移動層5を介し
て対向配置された構成をなしている。2つの電極のうち
一方の電極10は、有機色素を備える光電変換用酸化物
半導体電極10であり、このものは、例えば、樹脂基板
20と、この上に形成された透明導電性膜22と、その
導電性膜22の表面に形成された酸化物半導体膜4と、
その酸化物半導体膜の表面に結合された有機色素膜7を
有して構成されている。
【0025】次いで、有機色素を備える光電変換用酸化
物半導体電極10について説明する。このものは上述の
ごとく、例えば、樹脂基板20と、この上に形成された
透明導電性膜22と、その導電性膜22の表面に形成さ
れた酸化物半導体膜4と、その酸化物半導体膜の表面に
結合された有機色素膜7を有して構成されている。
【0026】以下、個別の構成要件ごとに説明する。導電性表面を有する樹脂基板の構成 図1に示されるごとく、導電性表面を有する樹脂基板の
好適例として、シート状や可撓性のあるフィルム状の樹
脂基板20とこの樹脂基板20の表面に形成された導電
性膜22を備えてなる積層体構成が挙げられる。
【0027】樹脂基板20としては、テトラアセチルセ
ルロ−ス、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレン
テレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、シンジオ
クタチックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、
ポリカ−ボネ−ト、ポリアリレ−ト、ポリスルフォン、
ポリエステルスルフォン、ポリエ−テルイミド、環状ポ
リオレフィン等が挙げられる。樹脂基板20の厚さは特
に制限されないが、通常、0.05〜5mmである。こ
の樹脂基板20は、透明又は不透明であることが出来
る。導電性膜22としては、例えば、酸化インジウム、
酸化錫の導電性金属酸化物薄膜、金、銀、白金などの金
属薄膜、導電性高分子等が挙げられる。これらは通常、
スパッタ等の気相成膜法や液相メッキ法等で樹脂基板2
0の表面に形成すればよい。上記の例では、導電性を付
与するために樹脂基板20の上に導電性膜22を積層さ
せる構造を例示したが、樹脂基板20そのものを導電性
高分子としたり、樹脂の中に導電体微粒子を分散させて
導電性を付与するようにしてもよい。このような場合、
特に、図1に示される導電性膜22はなくてもよい。
【0028】酸化物半導体膜4の構成 本発明の酸化物半導体電極10における酸化物半導体膜
4を形成するには、まず、酸化物半導体微粒子を含む塗
布液が調製される。用いられる酸化物半導体微粒子は、
その1次粒子径が微細なほど好ましく、その1次粒子径
は、通常、1〜5000nm、好ましくは5〜50nm
とされる。
【0029】酸化物半導体微粒子としては、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化インジウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化バナジウ
ム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネ
シウム等が挙げられる。好ましくは、酸化チタン、酸化
亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブであり、最も好ましくは酸
化チタンである。また、これら酸化物半導体微粒子を複
合(混合、混晶、固溶体など)させて用いてもよく、例
えば、酸化亜鉛と酸化スズ、酸化チタンと酸化ニオブ等
の組み合わせ使用が例示できる。材料選定に際しては、
酸化物半導体膜4の表面に吸着された有機色素(有機色
素膜7)の励起準位から、酸化物半導体微粒子の伝導帯
準位への電子注入が効率よく起こりうる様に酸化物半導
体微粒子の種類を選択すればよい。
【0030】また、酸化物半導体粒子同士の結合性、お
よび酸化物半導体微粒子と樹脂基板20の導電性表面
(導電性膜22)間の結合性を強化させるため、酸化物
半導体微粒子前駆体を添加するのも好ましい態様であ
る。
【0031】酸化物半導体微粒子前駆体を共存させるこ
とは、物質の拡散・供給や、微粒子間結合に必要なエネ
ルギーの減少に効果的であり、酸化物半導体膜をより低
温で形成するのに好ましい。
【0032】酸化物半導体微粒子が金属酸化物である場
合、用いられ得る酸化物半導体微粒子前駆体として、金
属アルコキシド、金属ハロゲン化物、加水分解可能な基
を有する金属化合物等が挙げられる。
【0033】金属ハロゲン化物を用いた場合には、酸化
物半導体微粒子内にハロゲン原子が取り込まれることが
多く電池特性に悪影響を及ぼす可能性がある。そのた
め、特に、高温加熱が適用できない場合には金属アルコ
キシドを用いるのが好ましい。
【0034】また、上記の金属化合物の一部または全部
を加水分解したもの、その加水分解物を重合したもの、
あるいはそれらの混合物も前駆体として有効である。特
に、金属アルコキシドを、酸もしくはアルカリ条件下で
部分的に加水分解し、さらに部分的に重合した混合物
は、低温での反応性に富み、低温での結晶化も起こりや
すいために本発明での使用に好都合である。この場合、
好ましい酸としては、塩酸、硝酸等が挙げられるが、前
記残留ハロゲンの影響を考慮すると硝酸を用いるのが好
ましい。また、アルカリとしてはアンモニア、テトラア
ルキルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0035】添加され得る酸化物半導体微粒子前駆体の
混合比(添加量)は、酸化物半導体微粒子に対し、2〜
40wt%である。2wt%未満では添加した効果が現
れにくい。また、酸化物半導体微粒子前駆体が粒子化、
結晶化する過程においては体積収縮が起こる。そのた
め、40wt%を超えるような大量の添加では膜全体の
体積収縮が大きくなり、クラックの発生、それに伴う導
電性表面からの膜の剥離が起こり、電池特性が悪化する
おそれがある。
【0036】酸化物半導体微粒子を含む塗布液は、ゾル
またはスラリ−の形態で得ることができる。このような
形態において、使用される溶媒としては、水、有機溶
媒、水と有機溶媒との混合液などが挙げられる。有機溶
媒としては、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、
テルピネオ−ル等のアルコ−ル、メチルエチルケトン、
アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ジメチルホル
ムアミド、ピリジン等の塩基性溶媒等が挙げられる。溶
媒への酸化物半導体微粒子の分散性を高めるため、酸も
しくはアルカリを添加させて、塗布液のpHを酸化物半
導体微粒子の等電点近傍のpHからなるべく遠ざけるの
が好ましい。この際に好適に使用される酸としては、塩
酸、硫酸、硝酸等の鉱酸、ギ酸、酢酸、ベンゼンスルホ
ン酸等の有機酸が挙げられる。好適に使用されるアルカ
リ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
炭酸カルシウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類
金属塩基、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒ
ドロキシド等のアンモニウム塩基等が挙げられる。ま
た、塗布液中には必要に応じ、界面活性剤や粘度調整剤
を添加することができる。
【0037】このようにして調製された塗布液は、表面
に導電性が付与された樹脂基板20(導電性表面を有す
る樹脂基板20)上に塗布され、所定の処理がなされた
後に、酸化物半導体膜4が構成される。
【0038】本発明における酸化物半導体膜4は、多孔
質の膜質とすることが好ましい。その厚さは少なくとも
10nm以上、好ましくは500〜30000nmとさ
れる。さらに、酸化物半導体膜4は、その見かけ表面積
に対する実表面積の比を10以上、好ましくは100以
上とすることが望ましい。この比の上限は特に規制され
ないが、通常、1000〜2000である。
【0039】前述した見かけの表面積とは、通常の表面
積を意味し、例えば、その表面形状が長方形の場合に
は、(縦の長さ)×(横の長さ)で表される。前述した
実表面積とは、クリプトンガスの吸着量により求めたB
ET表面積を意味する。具体的測定には、BET表面積
測定装置(マイクロメリティクス社製、ASAP2000)を用
い、見かけ表面積1cm2の酸化物半導体膜(基板の上
に形成されている)に、液体窒素温度でクリプトンガス
を吸着させる方法が用いられる。この測定方法により得
られたクリプトンガス吸着量に基づいてBET表面積が
算出される。
【0040】このような多孔質構造膜は、その内部に微
細な細孔とその表面に微細凹凸を有するものである。酸
化物半導体膜4の厚さおよび見かけ表面積に対する実表
面積の比が前記範囲より小さくなると、その表面に有機
色素を単分子膜として吸着させたときに、その有機色素
単分子膜の表面積が小さくなり、光吸収効率の良い電極
を得ることが困難となる。
【0041】本発明において、導電性表面を有する樹脂
基板の上に酸化物半導体膜を形成させるには、酸化物半
導体微粒子を含む塗布液を、スプレ−法により塗布す
る。後述するように、高温処理することなく、理想的な
多孔質体の形成ができるからである。この際、酸化物半
導体微粒子を含む塗布液中には有機バインダ−成分を含
有させてはならない。高温加熱処理をすることが出来
ず、多孔質構造の形成に寄与する割合が低いばかりか、
残存する有機バインダー成分が特性劣化を助長させる傾
向にあるからである。
【0042】上述したようにスプレ−法による酸化物半
導体膜の形成は、酸化物半導体微粒子膜の多孔質化を実
現するのに最も好ましい。ノズルから噴霧された塗布液
が基板表面上に到達するまでに塗布液に含まれる溶媒の
一部あるいは全部が揮発することにより、酸化物半導体
微粒子の1次粒子から多次粒子への成長等が生じ、基板
表面上に形成された膜はスポンジ状の多孔質膜となる。
この場合、塗布液の溶媒の揮発性が重要となる。そのた
め、溶媒としてはメタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−
ル等の比較的沸点の低いアルコ−ルが好適に用いられ
る。
【0043】さらに、基板表面への塗れ性を向上させる
とともに、表面張力の調整や酸化物半導体微粒子の粒子
成長の度合いを調整する目的で、塗布液中にジメチルホ
ルムアミド、テルピネオ−ル等の高沸点溶媒や水等を添
加することも好ましい。
【0044】また、塗布液の溶媒の揮発性を制御する目
的で、スプレー塗布の対象となる樹脂基板20自体を加
熱しながら塗布を行うことも可能である。この場合の加
熱温度は用いる樹脂基板の耐熱温度にもよるが、60℃
以上300℃以下の温度で行うのが好ましく、特に、8
0℃以上150℃以下で行うのがより好ましい。
【0045】塗布液中の酸化物半導体微粒子濃度は、ス
プレー塗布における溶媒の蒸発等も考慮に入れて、2〜
10重量%の低濃度が好ましい。2重量%未満では、単
位時間当たりの塗布量が少なくなるため塗布時間が長く
掛かり、10重量%を超えると酸化物半導体微粒子の粒
子成長が起こりすぎて粒子サイズが必要以上に大きくな
り、膜内での粒子間の結合ポイントが減少することによ
り膜強度が弱くなるおそれがある。
【0046】酸化物半導体微粒子を光電変換素子の構成
要素として用いる場合、従来「焼成」により酸化物半導
体膜としての機能を発現させてきた。すなわち、酸化物
半導体微粒子を含む塗布液を、導電性表面を備える基板
に塗設した後、例えば、400℃以上の温度で高温加熱
することにより、酸化物半導体粒子同士の結合性、およ
び酸化物半導体微粒子と導電性表面との結合性を高める
ことで導電性を向上させ、電池特性の向上を図ってい
た。さらには、酸化物半導体微粒子の表面および微粒子
間に存在する有機バインダ−成分を分解蒸発させること
によって酸化物半導体膜4をより高度に多孔質化させ、
電解質などの電荷移動層5の充填が促進されることによ
って電池特性の向上を図っていた。
【0047】しかしながら本発明のごとく樹脂基板を用
いた場合には、上記高温焼成はできない。従って、焼成
温度が低く、有機バインダ−成分の分解が不十分となっ
た場合、酸化物半導体微粒子膜内にカ−ボンとして残留
することがあり、この残留カ−ボンは漏れ電流の原因と
なって電池特性を悪化させることが生じる。
【0048】本発明においては、スプレー塗布される酸
化物半導体微粒子ゾルまたはスラリ−の中には有機バイ
ンダ−成分が含有されておらず、当該酸化物半導体微粒
子ゾルまたはスラリ−を用いて酸化物半導体膜4を形成
するために高温加熱処理は必要とされない。しかしなが
ら、酸化物半導体粒子同士の結合性、および酸化物半導
体微粒子と導電性表面との結合性をより高めるためには
ある程度の加熱処理を行うのが好ましく、上述のスプレ
ー塗布法で形成した酸化物半導体膜を60℃以上、特に
60〜300℃の範囲、さらには80〜150℃の範囲
で加熱処理することが好ましい。耐熱性樹脂を用いれ
ば、上記の温度範囲の中でより高い温度での処理が可能
となる。
【0049】また、このような加熱処理の他に、酸化物
半導体微粒子が吸収を持つ波長400nm以下の紫外光
を照射することでも上記結合性を向上させることが可能
である。この場合、照射する紫外光の積算光量は100
J/cm2以下とすることが好ましい。積算光量が10
0J/cm2を超える照射を行うと、樹脂基板へのダメ
−ジを増加させる傾向がある。また、上記加熱処理と紫
外光照射処理とを組み合わせた処理を行ってもよい。処
理を行う順番としてはどちらが先でも構わない。同時に
行ってもよい。
【0050】酸化物半導体微粒子を含む塗布液(酸化物
半導体微粒子ゾルまたはスラリ−)には、一般に、微粒
子の分散性を向上させることを目的として、酸やアルカ
リが添加されたり、あるいは酸化物半導体微粒子前駆体
由来の酸やアルカリが混在しており、このような酸やア
ルカリが酸化物半導体膜4中に一部残留する可能性が考
慮される。
【0051】酸化物半導体膜4中に酸が残留している場
合には、酸化物半導体微粒子の伝導帯準位が下がること
により、電池特性として開放電圧が低下してしまう傾向
がある。また、酸化物半導体膜4中にアルカリが残留し
ている場合には、酸化物半導体微粒子表面への有機色素
の吸着性が低下する傾向があるために、電池特性として
短絡電流が低下してしまう傾向がある。
【0052】本発明においては、このような酸化物半導
体膜4は、有機色素を吸着させる前の段階で、中和処理
溶液で処理されている。
【0053】すなわち、(1)酸化物半導体膜4中に酸
が残存している場合、酸化物半導体膜4内部に残留した
酸を除去するために、アルカリを含有する処理溶液に酸
化物半導体膜4を浸漬して膜内部で中和する処理が行わ
れる。その後、さらに中和した酸化物半導体膜4を、
水、アルコ−ル等の溶媒で洗浄することが好ましい。こ
のような処理により、酸化物半導体膜4内部に残留して
いた酸成分は実質的に除去される。
【0054】酸成分が実質的に除去されているか否か
は、ラマンスペクトルによるイオン種の定量、蛍光X線
によるイオン種の構成元素の定量等の分析手法を用いて
判断すればよい。
【0055】ここで用いるアルカリ成分としては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム等のア
ルカリ金属あるいはアルカリ土類金属塩基、アンモニ
ア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等のアン
モニウム塩基等が挙げられる。アルカリを含有する溶液
のアルカリ濃度としては、膜内部での中和反応に必要充
分な量があればよく、逆に過剰なアルカリは膜内部に取
り込まれ悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、アン
モニアのような弱アルカリをメタノ−ルやエタノ−ルの
ようなアルコ−ルと混合し、アルカリとしての解離度を
抑えた溶液を用いるのが好ましい。
【0056】(2)これとは反対に、酸化物半導体膜4
中にアルカリが残存している場合、酸化物半導体膜4内
部に残留したアルカリを除去するために、酸を含有する
処理溶液に酸化物半導体膜4を浸漬して膜内部で中和す
る処理が行われる。その後、さらに中和した酸化物半導
体膜4を、水、アルコ−ル等の溶媒で洗浄することが好
ましい。このような処理により、酸化物半導体膜4内部
に残留していたアルカリ成分は実質的に除去される。
【0057】アルカリ成分が実質的に除去されているか
否かは、ラマンスペクトルによるイオン種の定量、蛍光
X線によるイオン種の構成元素の定量等の分析手法を用
いて判断すればよい。
【0058】ここで用いる酸としては、塩酸、硫酸、硝
酸等の鉱酸、ギ酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸等の有機
酸が挙げられる。酸を含有する溶液の酸濃度としては、
膜内部での中和反応に必要充分な量があればよく、逆に
過剰な酸は膜内部に取り込まれ悪影響を及ぼす。そのた
め、酢酸のような弱酸をメタノ−ルやエタノ−ルのよう
なアルコ−ルと混合し、酸としての解離度を抑えた溶液
を用いるのが好ましい。
【0059】酸化物半導体膜4を酸もしくはアルカリを
含有する溶液に浸漬する工程は、上記の酸化物半導体膜
4の加熱処理、紫外光照射処理と組み合わせて行っても
よく、処理を行う順番は特に問わない。また、上記の酸
化物半導体膜4の加熱処理と酸もしくはアルカリを含有
する溶液に浸漬する工程を同時に行ってもよい。
【0060】有機色素膜7の構成 次いで、このようにして得られた基板上の酸化物半導体
膜4の表面に、有機色素を単分子として吸着させる。有
機色素としては、酸化物半導体膜4と化学的に結合する
ことができる色素が好ましく、分子内にカルボキシル
基、スルホン酸基、リン酸基、もしくは水酸基を有する
ものが好ましい。
【0061】具体的には、ビピリジルRu錯体、タ−ピリ
ジルRu錯体、フェナントロリンRu錯体、ビシンコニン酸
Ru錯体などのRu錯体、フタロシアニンRu錯体、エオシン
Y、ジブロモフルオレセイン、フルオレセイン、ロ−ダ
ミンB、ピロガロ−ル、ジクロロフルオレセイン、エリ
スロシンB、フルオレシン、マ−キュロクロム、シアニ
ン、メロシアニン等の有機色素が挙げられる。
【0062】酸化物半導体膜4の表面に、有機色素を単
分子として吸着させるには、有機色素を有機溶媒に溶解
させて形成した有機色素溶液中に、酸化物半導体膜4を
基板とともに浸漬させればよい。この場合、有機色素溶
液が、多孔質構造の膜である酸化物半導体膜4の内部深
くに進入することができるように、酸化物半導体膜4を
有機色素への浸漬に先立ち、減圧処理したり、加熱処理
して、酸化物半導体膜4中に含まれる気泡をあらかじめ
除去しておくことが好ましい。浸漬時間は30分〜24
時間程度とすればよい。有機色素の吸着を効率よく行う
ため、還流処理を行っても良い。また、浸漬処理は、必
要に応じ、複数回繰り返し行うこともできる。このよう
な浸漬処理を行った後、有機色素を吸着した酸化物半導
体膜4は、通常、常温〜80℃の温度条件下で乾燥させ
られる。
【0063】本発明においては、酸化物半導体膜4に吸
着される有機色素は、1種である必要はなく、必要によ
っては光吸収領域の異なる複数の有機色素を吸着させる
ことが出来る。これによって、光を効率よく利用するこ
とが出来る。複数の有機色素を膜に吸着させるには、複
数の有機色素を含む溶液中に酸化物半導体膜4を浸漬す
る方法や、有機色素溶液を複数種類、用意し、これらの
溶液に酸化物半導体膜4を順次浸漬する方法等が挙げら
れる。
【0064】有機色素を有機溶媒に溶解させた溶液にお
いて、その有機溶媒としては、有機色素を溶解しうるも
のであれば任意のものが使用可能である。このような溶
媒としては、例えば、メタノ−ル、エタノ−ル、アセト
ニトリル、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジクロ
ロメタン、トルエン等が挙げられる。溶液中の有機色素
の濃度は、溶液100ml中、1〜200mg、好まし
くは10〜100mg程度とされる。
【0065】本発明の色素増感型太陽電池1は、前述し
たごとく表面に色素が吸着された光電変換用酸化物半導
体電極10と、これと対をなす対向電極30と、それら
の電極に接触する電荷移動層5とを有して構成される。
【0066】電荷移動層5の構成 電荷移動層5は、色素の酸化体に電子を補充する機能を
有する電荷輸送材料を含有する層である。本発明で用い
ることのできる代表的な電荷輸送材料の例としては、
(i)イオン輸送を行う材料、すなわち、酸化還元対のイ
オンが溶解した溶液(電解液)、酸化還元対の溶液をポ
リマーマトリクスのゲルに含浸したいわゆるゲル電解
質、酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質、さらに
は固体電解質が挙げられる。また、このようなイオンが
かかわる電荷輸送材料のほかに、(ii)固体中のキャリア
ー移動が電気伝導にかかわる材料、すなわち、電子輸送
材料や正孔(ホール)輸送材料、を用いることもでき
る。これらは、併用することができる。
【0067】電荷移動層5に電解液を使用する場合、電
解液は電解質、溶媒、および添加物から構成されること
が好ましい。電解質としてはI2とヨウ化物の組み合わ
せ(ヨウ化物としてはLiI、NaI、KI、CsI、
CaI2などの金属ヨウ化物や、テトラアルキルアンモ
ニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾ
リウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素
塩など)、Br2と臭化物の組み合わせ(臭化物として
はLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2
などの金属臭化物や、テトラアルキルアンモニウムブロ
マイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム
化合物の臭素塩など)、フェロシアン酸塩−フェリシア
ン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオン、コバルト
(II)-ビス[2,6-ビス(1´-ブチルベンズイミダゾ−
ル-2´-イル)ピリジン]などの金属錯体、ポリ硫化ナ
トリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドな
どのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キ
ノンなどを用いることができる。これらの電解質の中で
も、I2とLiI、I2とピリジニウムヨーダイド、イミ
ダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨ
ウ素塩を組み合わせた電解質が好ましい。なお、上述し
てきた電解質は混合して用いてもよい。好ましい電解質
濃度は0.1M以上15M以下であり、さらに好ましく
は0.2M以上10M以下である。また、電解質にヨウ
素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.0
1M以上0.5M以下である。
【0068】電解質に使用する溶媒は、粘度が低くイオ
ン易動度を向上したり、もしくは誘電率が高く有効キャ
リアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発
現できる化合物であることが望ましい。
【0069】このような溶媒としては、エチレンカーボ
ネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化
合物、3-メチル-2-オキサゾリジノンなどの複素環化
合物、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化
合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピ
レングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリ
コールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、メタノー
ル、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエー
テル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポ
リエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロ
ピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコー
ル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グ
リセリンなどの多価アルコール類、アセトニトリル、グ
ルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオ
ニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、ジメ
チルスルフォキシド、スルフォランなど非プロトン極性
物質、水などを用いることができる。また、tert-ブチ
ルピリジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基
性化合物を添加することもできる。塩基性化合物を添加
する場合の好ましい濃度範囲は0.05M以上2M以下
である。
【0070】溶融塩電解質は、光電変換効率と耐久性の
両立という観点から特に好ましい。溶融塩電解質として
は、例えば、WO95/18456号、特開平8-259543号、電気
化学,第65巻,11号,923頁(1997年)等に記載されて
いるピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウ
ム塩等の既知のヨウ素塩を含む電解質を挙げることがで
きる。これらの溶融塩は、単独で使用しても、2種以上
混合して使用してもよく、また、ヨウ素アニオンを他の
アニオンで置き換えた溶融塩と併用することもできる。
【0071】ヨウ素アニオンと置き換え可能なアニオン
としては、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-等)、N
SC-、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、(CF3SO2)
2-、(CF3CF2SO2)2-、CF3SO3 -、CF3
OO-、Ph4-、(CF3SO2)3 -等が好ましい例と
して挙げられる。また、LiIなど他のヨウ素塩を添加
することもできる。
【0072】上記溶融塩電解質は、常温で溶融状態であ
るものが好ましく、溶媒を用いない方が好ましい。前述
したような溶媒を添加しても構わないが、溶融塩の含有
量は電解質組成物全体に対して50質量%以上であるの
が好ましく、90質量%以上であるのが特に好ましい。
また、塩のうち、50質量%以上がヨウ素塩であること
が好ましい。電解質組成物にヨウ素を添加するのが好ま
しく、この場合、ヨウ素の含有量は、電解質組成物全体
に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.
5〜5質量%であるのがより好ましい。
【0073】電解質は、ポリマー添加、オイルゲル化剤
添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反
応等の手法によりゲル化(固体化)させて使用すること
もできる。ポリマー添加によりゲル化させる場合は、ポ
リアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン等を好まし
く使用することができる。オイルゲル化剤添加によりゲ
ル化させる場合の好ましい化合物は分子構造中にアミド
構造を有する化合物である。また、ポリマーの架橋反応
により電解質をゲル化させる場合、架橋可能な反応性基
を含有するポリマーおよび架橋剤を併用することが望ま
しい。この場合、好ましい架橋可能な反応性基は、含窒
素複素環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、チア
ゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリ
ン環、ピペリジン環、ピペラジン環など)であり、好ま
しい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官
能以上の試薬(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン
化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロ
ライド、イソシアネートなど)である。
【0074】また、溶融塩などのイオン伝導性電解質の
替わりに、有機または無機あるいはこの両者を組み合わ
せた固体の正孔輸送材料を使用することができる。
【0075】本発明に適用可能な有機正孔輸送材料とし
ては、芳香族アミン類やトリフェニレン誘導体類を好ま
しく用いることができる。オリゴチオフェン化合物、ポ
リピロール、ポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ
(p-フェニレン)およびその誘導体、ポリ(p-フェニ
レンビニレン)およびその誘導体、ポリチエニレンビニ
レンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導
体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリトルイジンお
よびその誘導体等の導電性高分子を好ましく使用するこ
とができる。
【0076】無機正孔輸送材料としては、p型無機化合
物半導体を用いることができる。この目的のp型無機化
合物半導体は、バンドギャップが2eV以上であること
が好ましく、さらに2.5eV以上であることが好まし
い。また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャ
ルは色素の正孔を還元できる条件から、色素吸着電極の
イオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使
用する色素によってp型無機化合物半導体のイオン化ポ
テンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に
4.5eV以上5.5eV以下であることが好ましく、
さらに4.7eV以上5.3eV以下であることが好ま
しい。
【0077】好ましいp型無機化合物半導体は一価の銅
を含む化合物半導体である。具体的に、一価の銅を含む
化合物半導体の例としてはCuI、CuSCN、CuI
nSe2、Cu(In,Ga)Se2、CuGaSe2
Cu2O、CuS、CuGaS 2、CuInS2、CuA
lSe2などが挙げられる。このほかのp型無機化合物
半導体として、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi
23、MoO2、Cr2 3等を用いることができる。
【0078】電荷移動層の形成方法に関しては、例え
ば、以下の2通りの方法をもちいればよい。1つは光電
変換用酸化物半導体電極10と対極30を貼り合わせて
おき、その間隙に液状の電荷移動層5を挟み込む方法で
ある。もう1つは光電変換用酸化物半導体電極10上に
直接、電荷移動層5を付与する方法で、対極30はその
後に形成付与することになる。
【0079】前者の場合、電荷移動層5の挟み込み方法
として、浸漬、注入等による毛管現象を利用する常圧プ
ロセス、または常圧より低い圧力にして間隙の気相を液
相に置換する真空プロセスを利用できる。光電変換用酸
化物半導体電極10、電荷移動層5及び対極30の全体
を樹脂封止するか、ケ−ス内に収納してそれら全体を樹
脂封止する。
【0080】後者の場合、湿式の電荷移動層5において
は未乾燥のまま対極30を付与し、エッジ部の液漏洩防
止措置を施すことになる。またゲル電解質の場合には湿
式で塗布して重合等の方法により固体化する方法があ
り、その場合には乾燥、固定化した後に対極を付与する
こともできる。
【0081】固体電解質や固体の正孔(ホール)輸送材
料の場合には、真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処
理法を用いて電荷移動層5を形成し、その後、対極30
を付与することもできる。
【0082】有機正孔輸送材料は、真空蒸着法、キャス
ト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、
光電解重合法等の手法により電極内部に導入することが
できる。無機固体化合物の場合も、キャスト法、塗布
法、スピンコート法、浸漬法、電解メッキ法等の手法に
より電極内部に導入することができる。
【0083】対極30の構成 対極30は、導電性材料からなる対極導電層の単層構造
でもよいし、対極導電層と支持基板との組み合わせ構造
体から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導電
材としては、金属(例えば白金、金、銀、銅、ロジウ
ム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジ
ウム等)、炭素、または導電性金属酸化物(インジウム
−スズ複合酸化物、フッ素ドープ酸化スズ、等)が挙げ
られる。対極の好ましい支持基板としては、ガラスまた
はプラスチックが例示でき、これに導電剤を塗布または
蒸着して上記導電層が形成される。
【0084】光電変換用酸化物半導体電極10と対極3
0のいずれか一方または両方から光を照射してよいの
で、有機色素層に光が到達するためには、光電変換用酸
化物半導体電極10と対極30の少なくとも一方が実質
的に透明であれば良い。このような構造の電池は、その
光電変換用酸化物半導体電極10に太陽光または太陽光
と同等な可視光を当てると、光電変換用酸化物半導体電
極10とその対極30との間に電位差が生じ、両極1
0,30間に電流が流れるように作用する。
【0085】
【実施例】次に本発明の具体的な実施例を挙げて、本発
明をさらに詳細に説明する。
【0086】〔実施例1〕酸化チタンゾル液の調製 チタンイソプロポキシドを以下のように加水分解するこ
とにより、酸化チタンゾル液を調整した。
【0087】125mlのチタンイソプロポキシドを、
0.1M硝酸水溶液750mlに攪拌しながら添加し
た。これを80℃で8時間激しく攪拌した。得られた液
体をテフロン(登録商標)製の圧力容器内で230℃、
16時間オ−トクレ−ブ処理した。沈殿物を含むゾル液
を攪拌により再懸濁させた。吸引濾過により、再懸濁し
なかった沈殿物を除き、エバポレ−タ−で酸化チタン濃
度が11wt%になるまでゾル液を濃縮した。基板への
塗れ性を高めるため、Triton X-100を1滴添加した。
【0088】次に、以下の要領で、酸化チタン微粒子前
駆体としてチタンアルコキシド誘導体を上記ゾル液に添
加した。
【0089】上記ゾル液を乾燥窒素中で攪拌しながら、
ジ−iso−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チ
タンとメタノ−ルの80:20混合液を少しづつ添加し
た。添加終了後、1時間攪拌した。なお、ジ−iso−プ
ロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタンの添加量
は6.8g(酸化チタン微粒子重量に対し20重量%)
とした。さらに、酸化チタン微粒子濃度が2重量%とな
るようにメタノールで希釈し、スプレー塗布に好適な濃
度とした。
【0090】光電変換用酸化物半導体電極10の作製 上記のように調整した酸化チタンゾル液を用いて、以下
の要領で光電変換用酸化物半導体電極10(酸化チタン
電極)を作製した。
【0091】縦2.0cm、横1.5cm、厚さ0.1
mmの可撓性のある導電性ポリカーボネ−トフィルム樹
脂基板(ポリカーボネ−トフィルム基材の表面に導電性
膜としてITOをスパッタ成膜(厚さ600nm程度)
したもので、シ−ト抵抗は30Ω/□)の導電膜面側
に、縦0.5cm、横0.5cmの四角穴を設けた厚さ
70μmのマスキングテ−プを貼り、当該四角穴に向け
て、酸化チタンゾル液をスプレー塗布した。塗布後、マ
スキングテ−プを剥がし、電気炉を用いて100℃で3
0分間加熱した。昇温速度は2℃/minとした。
【0092】次いで、このような酸化物半導体膜を、中
和処理溶液で処理した。すなわち、アルカリ溶液として
2wt%のアンモニア水/メタノ−ル希釈溶液を用意し
て、この溶液中に酸化物半導体膜を30分浸漬し、取り
出し後メタノ−ルで洗浄し、80℃で10分間乾燥させ
た。しかる後、ラマンスペクトル測定により、酸化チタ
ンゾル由来の酸成分(硝酸イオン成分、1040〜10
50cm-1)が上記アルカリ溶液浸漬処理によって完全
に除去されていることを確認した。なお、酸化物半導体
膜である酸化チタン膜の膜厚は、約6μmであった。
【0093】次いで、このものを、増感色素として
(4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジン)ル
テニウム(II)ジイソチアネ−トを3×10−4M濃度
で添加した無水エタノ−ル溶液20mlに浸漬し、12
時間放置した。
【0094】放置後、酸化チタン電極を取り出し無水ア
セトニトリルで洗浄した。基板上の酸化チタン膜は吸着
されたルテニウム色素により深紅色となった(光電変換
用酸化物半導体電極10サンプルの作製)。
【0095】色素増感型太陽電池の作製 上記の光電変換用酸化物半導体電極(酸化チタン電極)
を用いて、以下の要領で色素増感型太陽電池の作製を行
った。
【0096】すなわち、縦0.5cm、横0.5cmの
四角穴を設けた縦1.5cm、横1.5cm、厚さ70
μmのスペ−サ−を、四角穴の部分と電極の酸化チタン
膜の部分とが一致するように酸化チタン電極上に置くと
ともに、電極上に密着させた。
【0097】四角穴の部分に、電解液を乗せ、その上に
対極30を置き、その周囲をエポキシ樹脂で封止して電
池を作製した。
【0098】電解液としては、テトラプロピルアンモニ
ウムヨウジド(0.4M)とヨウ素(0.04M)を含
むエチレンカ−ボネ−トと、アセトニトリルとの混合液
(容量混合比=80/20)を用いた。対極としては、
白金を100nmの厚さで蒸着した導電性ガラスを用い
た。AM1.5(1000W/m2)のソ−ラ−シミュ
レ−タ−を用いて、開放電圧(Voc)、光電流密度(J
sc)、形状因子(FF)、変換効率(η)の測定を行い
電池特性評価とした。開放電圧(Voc)とは、太陽電池
セル・モジュールの出力端子を開放したときの両端子間
の電圧を表している。光電流密度(Jsc)とは、太陽電
池セル・モジュールの出力端子を短絡させたときの両端
子間に流れる電流(1cm2当たり)を表している。形
状因子(FF)は、最大出力Pmaxを開放電圧(Voc)
と光電流密度(Jsc)の積で除した値(FF=Pmax/
Voc・Jsc)をいい、太陽電池としての電流電圧特性曲
線の特性を表すパラメータである。これらの結果を下記
表1に示した。
【0099】〔比較例1〕当該比較例1においては、上
記実施例1で実施した酸化物半導体膜のアルカリ溶液浸
漬処理を行わなかった。それ以外は、上記実施例1と同
様にして、酸化チタン電極、太陽電池の作製および電池
の評価を行った。評価結果は下記表1に示した。
【0100】〔実施例2〕上記実施例1において、酸化
チタンゾル液をスプレー塗布した後、電気炉を用いて行
った100℃、30分間の加熱処理を、下記に示すよう
な紫外線照射処理に変えた。すなわち、実施例1と同様
に酸化チタンゾル液をスプレ−塗布した後、マスキング
テ−プを剥がし、酸化チタン膜面側から、波長400n
m以下(波長220〜380nm)、強度30mW/c
2の紫外線を15分間照射した(積算光量は27J/
cm2)。この変更以外は、上記実施例1と同様の要領
(もちろん、酸化物半導体膜のアルカリ溶液浸漬処理も
含む)で、実施例2の光電変換用酸化物半導体電極(酸
化チタン電極)、および色素増感型太陽電池の作製を行
った。太陽電池の評価は、上記実施例1と同様の要領で
行った。評価結果を下記表1に示した。
【0101】〔比較例2〕当該比較例2においては、上
記実施例2で実施した酸化物半導体膜のアルカリ溶液浸
漬処理を行わなかった。それ以外は、上記実施例2と同
様にして、酸化チタン電極、太陽電池の作製および電池
の評価を行った。評価結果を下記表1に示した。
【0102】〔実施例3〕上記実施例1における100
℃、30分間の加熱処理に、上記実施例2における紫外
線照射処理を加えた。すなわち、酸化チタンゾル液をス
プレー塗布した後、電気炉を用いて100℃、30分間
の加熱処理を行ない、次いで、酸化チタン膜面側から、
波長400nm以下(波長220〜380nm)、強度
30mW/cm2の紫外線を15分間照射した(積算光
量は27J/cm2)。この変更以外は、上記実施例1
と同様の要領(もちろん、酸化物半導体膜のアルカリ溶
液浸漬処理も含む)で、実施例3の光電変換用酸化物半
導体電極(酸化チタン電極)、および色素増感型太陽電
池の作製を行った。太陽電池の評価は、上記実施例1と
同様の要領で行った。評価結果を下記表1に示した。
【0103】〔比較例3〕当該比較例3においては、上
記実施例3で実施した酸化物半導体膜のアルカリ溶液浸
漬処理を行わなかった。それ以外は、上記実施例3と同
様にして、酸化チタン電極、太陽電池の作製および電池
の評価を行った。評価結果を下記表1に示した。
【0104】〔比較例4〕当該比較例4においては、酸
化チタン膜の形成を上記実施例1のスプレー法からスキ
ージ法に変えた。すなわち、縦2.0cm、横1.5c
m、厚さ0.1mmの可撓性のある導電性ポリカーボネ
−トフィルム樹脂基板(ポリカーボネ−トフィルム基材
の表面に導電性膜としてITOをスパッタ成膜(厚さ6
00nm程度)したもので、シ−ト抵抗は30Ω/□)
の導電膜面側に、縦0.5cm、横0.5cmの四角穴
を設けた厚さ70μmのマスキングテ−プを貼り、当該
四角穴の端部に前記酸化チタンゾル液をピペットで添加
した後、このゾル液を縁が平らなガラス板を用いて引き
延ばすことにより(スキージにより)基板上に広げた。
このように広げた膜を空気中で30分間乾燥し、乾燥後
マスキングテ−プを剥がし取った。次に、電気炉を用い
て100℃で30分間加熱した。昇温速度は2℃/mi
nとした。
【0105】この変更以外は、上記実施例1と同様の要
領(もちろん、酸化物半導体膜のアルカリ溶液浸漬処理
も含む)で、比較例4の光電変換用酸化物半導体電極
(酸化チタン電極)、および色素増感型太陽電池の作製
を行った。太陽電池の評価は、上記実施例1と同様の要
領で行った。評価結果を下記表1に示した。
【0106】〔参考例1〕当該参考例1においては、上
記実施例1で用いた酸化チタンゾル液に有機バインダ−
成分を含有させた。すなわち、実施例1で用いた酸化チ
タンゾル液に分子量20000のポリエチレングリコ−
ルを6.8g(酸化チタン微粒子重量に対し20重量
%)添加した後、酸化チタン微粒子濃度が2重量%とな
るようメタノ−ルで希釈した。それ以外は、上記実施例
1と同様にして、酸化チタン電極、太陽電池の作製およ
び電池の評価を行った。評価結果を下記表1に示した。
【0107】
【表1】
【0108】表1に示される実施例1と比較例1との対
比結果、実施例2と比較例2との対比結果、および実施
例3と比較例3との対比結果、ならびに実施例1と比較
例4との対比結果より、本発明の実施例サンプルは、各
比較例サンプルと比べて格段と高い光電変換効率が得ら
れることが確認できた。
【0109】
【発明の効果】上記の結果より本発明の効果は明らかで
ある。すなわち、本発明は、表面に色素が形成された光
電変換用酸化物半導体電極と、これと対をなす対向電極
と、それらの電極に接触する電荷移動層とを有する色素
増感型太陽電池であって、前記光電変換用酸化物半導体
電極は、導電性表面を有する樹脂基板と、導電性表面の
上に形成された酸化物半導体膜と、この酸化物半導体膜
の上に形成された有機色素を有し、前記酸化物半導体膜
は、酸化物半導体微粒子のゾルまたはスラリーをスプレ
ー塗布して形成されるとともに、当該酸化物半導体膜
は、有機色素を形成させる前の段階で、中和処理溶液と
の接触処理がなされているように構成されているので、
樹脂基板を用いて酸化物半導体膜の低温処理しか行なわ
れなくとも、エネルギ−変換効率の格段の向上が発現す
る。また、樹脂基板を用いることにより、電池の軽量
化、低コスト化も図られる。さらには量産化に向けて環
境や人体に及ぼす悪影響を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色素増感型太陽電池の模式的構成例を
示した図面である。
【符号の説明】
1…色素増感型太陽電池 4…酸化物半導体膜 5…電荷移動層 7…有機色素膜 10…光電変換用酸化物半導体電極 20…基板 22…透明導電性層 30…対向電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新海 正博 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 土岐 元幸 京都府京都市下京区中堂寺南町17 株式会 社関西新技術研究所内 (72)発明者 羽山 秀和 京都府京都市下京区中堂寺南町17 株式会 社関西新技術研究所内 (72)発明者 樋口 章二 京都府京都市下京区中堂寺南町17 株式会 社関西新技術研究所内 (72)発明者 福井 照美 京都府京都市下京区中堂寺南町17 株式会 社関西新技術研究所内 Fターム(参考) 5F051 AA07 AA14 BA11 BA14 CB13 CB14 CB15 CB30 FA04 FA06 GA03 5H032 AA06 AS06 AS16 BB07 EE02 EE04 EE16 EE18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性表面を有する樹脂基板と、導電性
    表面の上に形成された酸化物半導体膜と、この酸化物半
    導体膜の上に形成された有機色素を有する光電変換用酸
    化物半導体電極であって、 前記酸化物半導体膜は、酸化物半導体微粒子のゾルまた
    はスラリーをスプレー塗布して形成されるとともに、当
    該酸化物半導体膜は、有機色素を形成させる前の段階
    で、中和処理溶液との接触処理がなされていることを特
    徴とする光電変換用酸化物半導体電極。
  2. 【請求項2】 前記中和処理溶液は、酸またはアルカリ
    を含んでなる請求項1に記載の光電変換用酸化物半導体
    電極。
  3. 【請求項3】 前記スプレー塗布される酸化物半導体微
    粒子のゾルまたはスラリーの中には、有機バインダ−成
    分が含有されていない請求項1または請求項2に記載の
    光電変換用酸化物半導体電極。
  4. 【請求項4】 表面に色素が形成された光電変換用酸化
    物半導体電極と、これと対をなす対向電極と、それらの
    電極に接触する電荷移動層とを有する色素増感型太陽電
    池であって、 前記光電変換用酸化物半導体電極は、導電性表面を有す
    る樹脂基板と、導電性表面の上に形成された酸化物半導
    体膜と、この酸化物半導体膜の上に形成された有機色素
    を有し、 前記酸化物半導体膜は、酸化物半導体微粒子のゾルまた
    はスラリーをスプレー塗布して形成されるとともに、当
    該酸化物半導体膜は、有機色素を形成させる前の段階
    で、中和処理溶液との接触処理がなされていることを特
    徴とする色素増感型太陽電池。
  5. 【請求項5】 前記中和処理溶液は、酸またはアルカリ
    を含んでなる請求項4に記載の色素増感型太陽電池。
  6. 【請求項6】 前記スプレー塗布される酸化物半導体微
    粒子のゾルまたはスラリーの中には、有機バインダ−成
    分が含有されていない請求項4または請求項5に記載の
    色素増感型太陽電池。
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