JP2003295452A - 平版印刷版およびその製造方法 - Google Patents

平版印刷版およびその製造方法

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JP2003295452A
JP2003295452A JP2002097503A JP2002097503A JP2003295452A JP 2003295452 A JP2003295452 A JP 2003295452A JP 2002097503 A JP2002097503 A JP 2002097503A JP 2002097503 A JP2002097503 A JP 2002097503A JP 2003295452 A JP2003295452 A JP 2003295452A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】支持体への接着力に優れ、高い耐刷性を有する
平版印刷版および該平版印刷板の、生産効率の向上した
製造方法を提供する。 【解決手段】支持体上に少なくとも下塗り層、ハロゲン
化銀乳剤層、および物理現像核層有する銀錯体拡散転写
法を応用した平版印刷板において、銀画像を形成する側
に水系ウレタン樹脂を含有する平版印刷版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銀錯塩拡散転写法
を応用した平版印刷版に関し、特に支持体への接着力に
優れた平版印刷版、および該平版印刷板の生産効率の向
上した製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高い感度を有し、かつスペクトル増感で
きるハロゲン化銀乳剤を用いた印刷版は、既にいくつか
の形で実用化されている。そのうち銀画像をインキ受理
性にして利用するオフセット印刷版としては、米国特許
第3,721,559号、同第3,490,905、特
公昭48−30562号、米国特許第3,385,70
1号、同第3,814,603号、特公昭44−272
42号、特開昭53−21602号、米国特許第3,4
54,398号、同第3,764,323号、同第3,
099,209号、特開昭53−6903号などがあ
る。
【0003】これらは印刷版の製造方法としては、いく
つかのタイプに大別されるが、画像銀をインキ受理性に
する点に於いては共通するものである。平版印刷版は、
親油性のインキを受理する画線部分と親水性で水を受理
する非画線部分とから構成される。従って、通常の平版
印刷は水とインキの両方を版面に供給し、画線部分は着
色性のインキを、非画線部分は水を選択的に受け入れ、
該画線上のインキを例えば紙などの基質に転写させるこ
とによってなされる。
【0004】良好な印刷物を得るためには、画線部分と
非画線部分の表面の親油性及び親水性の差が十分に大き
いこと、また高い耐刷性能を得るためには、各部位が物
理的にも強固に接合されていることが重要である。
【0005】印刷諸特性の向上のため、非膨潤性のラテ
ックスを用いることは、特開平5−80519、同平5
−66564、同平5−80517、同平8−2627
24等で公知であり、特に同2000−275847で
は、多糖類との併用により、印刷時の膜剥がれが防止さ
れることが示されている。しかし、これらに記載のラテ
ックスとはスチレン・ブタジエン系ラテックス、アクリ
ロニトリル・ブタジエン系ラテックス、アクリレート系
ラテックスのようなビニル重合体水性分散物であり、特
に共存するゼラチン等の親水性ポリマーの相対量が少な
くなった場合、塗布の適した粘度等の液性が保ちにくく
なったり、さらに高分子被膜の可撓性が低下したり、皮
膜形成が困難になったりする問題があった。
【0006】一方、上記平版印刷版の一般的な製造方法
は、支持体上にハレーション防止を兼ねた下塗層とハロ
ゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥して後、一旦長尺ロール状
に巻取り、下塗り層とハロゲン化銀乳剤層のゼラチン皮
膜を印刷に耐えるに十分な皮膜強度にするために加温処
理を施して後、物理現像核層を塗布し乾燥するのが定法
となっている。
【0007】加温なしで物理現像核を付与した印刷版で
は現像処理後に画像部位と非画像部位とのコントラスト
の低い製版物しか得られないこと、またインキ乗り、耐
刷性も貧弱なものしか得られなかった。その原因は必ず
しも明確ではないが物理現像核と接触する層、例えば乳
剤層への核のマイグレーション、あるいは乳剤層バイン
ダー、例えば乳剤層ゼラチンの核層へのマイグレーショ
ンが関係しているものと推定される。加温処理は明らか
に配合された硬膜剤による下塗層、乳剤層及びその表面
の硬膜を進行させ物理現像核のマイグレーションを防止
する効果があるし、またバインダーのマイグレーション
を防止することができる。その結果として金属光沢を有
し(良好なコントラストを達成し)、インキ乗りがよく
耐刷性の良い印刷版が可能となっている。
【0008】当業界において当該印刷版の製造方法では
下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層を塗布し乾燥後巻き取り
の状態で一定期間加温してから(硬膜処理)物理現像核
を塗布する方法が極く一般的に実施されている。通常4
0℃で5〜10日間の加温もしくはそれ以上の加温が施
されている。この加温処理は印刷版に必要な一定の品質
を保証するのに有効であるけれども、一方で生産のライ
ンを複雑にし生産のコストアップをもたらすばかりでな
く感度の安定性や、その他品質変動(例えば加温期間中
の温度、湿度の変動に起因する)の一因にもなってい
た。従って核塗布を含めた一貫した効率的な生産が可能
になれば、生産コストの大幅な削減はもとより、品質管
理が容易で品質変動の少ない安定な印刷版が実現でき
る。従って当該印刷版の製造方法として巻取り状態での
加温フリー化、更にはハロゲン化銀乳剤層と物理現像核
層のワンパスでの塗布生産方法が強く望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、支持体への接着力に優れ、かつ耐刷性の優れた平版
印刷板、および該平版印刷板の生産効率の向上した製造
方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の平版印刷板、およびその製造方法によって基本的に
達成された。(1)支持体上に少なくとも下塗り層、ハ
ロゲン化銀乳剤層、および物理現像核層有する銀錯体拡
散転写法を応用した平版印刷板において、銀画像を形成
する側に水系ウレタン樹脂を含有する平版印刷版。
(2)前記物理現像核層を塗布する前に、前記ハロゲン
化銀乳剤層が塗布された面を巻き取らずに加熱処理する
ことを特徴とする平版印刷版の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の一つの目的は、銀画像を形成する層の支持体へ
の接着を強固にし、耐刷性の優れた平版印刷板を得るこ
とである。また本発明の別の目的は、生産効率の向上を
図ることであり、長尺ロールでの加温処理のフリー化を
可能にすることである。本発明の平版印刷版の製造方法
の一つの好ましい態様は、支持体上に少なくとも下塗り
層とハロゲン化銀乳剤層の塗布液を同時にスライドコー
ティングにより積層塗布し乾燥し、巻き取ることなく物
理現像核層の塗布液を連続して塗布し乾燥するワンパス
塗布方式(タンデム方式)である。
【0012】本発明は、上記した製造方法を印刷性能を
低下させずに実現するものであり、その特徴とするとこ
ろは、銀画像を形成する側に水系ウレタン樹脂を含有す
ることにあり、さらに銀画像を形成する側の総親水性バ
インダー量を2g/m2以下にすることである。
【0013】本発明の平版印刷版の銀画像を形成する側
には、バインダーとして水系ウレタン樹脂を含有する。
水系ウレタン樹脂とは、一般には疎水性であるウレタン
樹脂を水系で使用できるようにしたもので、その水性化
の方法には自己乳化法と強制乳化法がある。自己乳化型
水性ウレタン樹脂には、たとえば分子中に何らかの形で
親水基を導入し、乳化剤を用いずに水中に安定に分散さ
れたいわゆるアイオノマー型水性ウレタン樹脂などがあ
る。強制乳化型水性ウレタン樹脂には、たとえば比較的
低分子量のポリウレタンプレポリマーを乳化剤を用いて
強制的に乳化分散し、これにポリアミンなどを加えて高
分子化させたプレポリマー乳化型水性ウレタン樹脂など
がある。本発明においては、容易に高分子の架橋構造体
の樹脂を得ることができるアイオノマー型水性ウレタン
樹脂が特に好ましい。
【0014】このような水系ウレタン樹脂は、大日本イ
ンキ化学工業株式会社より、ボンディック、ハイドラン
シリーズとして、第一工業製薬株式会社より、スーパー
フレックスシリーズとして、三洋化成工業株式会社より
パーマリンなどの名称で市販されており、容易に入手で
きる。
【0015】これらの水系ウレタン樹脂は、銀画像を形
成する側のいずれの層に用いてもかまわないが、少なく
とも下塗り層に含有させることが好ましい。また量とし
ては固形分量で0.5〜5g/m2、好ましくは1〜3g
/m2である。
【0016】本発明においては、親水性のバインダーを
銀画像を形成する側に含有させることができる。親水性
のバインダーとして具体的にはゼラチン、澱粉、デキス
トリン、アルブミン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキ
シエチルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロ
ース、ポリアクリルアミド、スチレン−無水マレイン酸
共重合体、ポリビニルメチルエーテル−無水マレイン酸
共重合体等の親水性高分子などがあげられる。
【0017】水系ウレタン樹脂は一般に、上記親水性バ
インダーとは広範な比率で混和しうるが、本発明の目的
の達成のためにはこれらの親水性バインダーの使用は最
低限にとどめるべきである。具体的には、ハロゲン化銀
乳剤層にはその乳剤熟成に必要なゼラチンを含むため
に、下塗り層においては1g/m2以下、あるいは実質上
含まないことがさらに好ましい。この結果、本発明の平
版印刷板においては、銀画像を形成する側の総親水性バ
インダー量は、2g/m2以下が好ましく、1g/m2以下
がさらに好ましい。
【0018】本発明の下塗り層には、ハレーション防止
の目的でカーボンブラック等の顔料や染料等を含む。ま
た耐刷力向上のために平均粒径2〜10ミクロンの固形
粉末(例えばシリカ粒子)を含み得る。さらに現像主
薬、カブリ防止剤等の写真用添加物も含むことができ
る。
【0019】高分子量を有する水系ウレタン樹脂は、通
常の乾燥のみで比較的強靱な皮膜を形成するが、耐水
性、耐薬品性、膜強度等の向上のため硬化剤を含有する
ことができる。硬化剤としては、メチル化メラミン樹
脂、エポキシ樹脂などがあげられる。また特開平5−8
0519等に記載のスチレン・ブタジエン系ラテック
ス、アクリレート系ラテックスなどのビニル重合体水性
分散物をあわせて用いることも好ましい。
【0020】ハロゲン化銀乳剤層は、例えば、塩化銀、
臭化銀、塩臭化銀、及びこれらにヨウ化銀を含むものか
らなる。ハロゲン化銀結晶は、ロジウム塩、イリジウム
塩、パラジウム塩、ルテニウム塩、ニッケル塩、白金塩
等の重金属塩を含んでいてもよく、添加量はハロゲン化
銀1モル当り10-8〜10-3モルである。ハロゲン化銀
の結晶形態に特に制限はなく、立方体ないし14面体粒
子、さらにはコアシェル型、平板状粒子でもよい。ハロ
ゲン化銀結晶は、単分散、多分散結晶であってもよく、
その平均粒径は0.2〜0.8ミクロンの範囲である。
好ましい例の一つとしては、ロジウム塩もしくはイリジ
ウム塩を含む、塩化銀が80モル%以上の単分散もしく
は多分散結晶がある。
【0021】ハロゲン化銀乳剤は、それが製造される時
又は塗布される時に種々な方法で増感することが出来
る。例えば、チオ硫酸ナトリウム、アルキルチオ尿素に
よって、又は金化合物、たとえばロダン金、塩化金によ
って、又はこれらの両者の併用など当該技術分野におい
て良く知られた方法で化学的に増感することが好まし
い。ハロゲン化銀乳剤は又、例えばシアニン、メロシア
ニン等の色素によってポジティブにもネガティブにも増
感又は減感され得る。その増感又は減感され得る波長域
に特に制限はない。従って、オルソ増感、パンクロ増
感、ヘリウム−ネオンレーザー用増感、アルゴンレーザ
ー用増感、LED用増感、半導体レーザー用増感もなし
得るし、明室用にUV増感、可視光減感もなし得る。
【0022】ハロゲン化銀乳剤層の銀量としては、0.
3〜1.5g/m2が適当で、より好ましくは0.5〜
1.0g/m2である。またハロゲン化銀乳剤層のバイン
ダーは主としてゼラチンによって構成されるが、水性ウ
レタン樹脂をハロゲン化銀乳剤層に含有させることは好
ましい。また下塗り層と同様に、ビニル重合体水性分散
物を含有させてもよいし、さらにゼラチンとは異なる親
水性バインダーを、銀画像を形成する側の総親水性バイ
ンダー量が2g以下となる範囲で併用することができる。
ハロゲン化銀乳剤層の総親水性バインダー量は、0.1
〜1.5g/m2程度が適当であり、好ましくは0.3〜
1.0g/m2の範囲である。
【0023】本発明の平版印刷版の、ゼラチンを含有し
ているハロゲン化銀乳剤層や、ゼラチンを含む場合の下
塗り層は、硬膜剤で硬化することが好ましい。ゼラチン
硬膜剤としては、例えばクロム明ばんのような無機化合
物、ホルマリン、グリオキザール、マレアルデヒド、グ
ルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレ
ン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,
3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒ
ド類、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリア
ジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロートリア
ジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニル
スルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクロイ
ルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレ
ンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合
物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々
の化合物の一種もしくは二種以上を用いることができ
る。
【0024】硬膜剤はすべての層に添加してもよいし、
いくつか、または一層にのみに添加することも可能であ
る。添加方法は塗布液製造時に添加したり、塗布時にイ
ンラインで添加することもできる。
【0025】ハロゲン化銀乳剤層の外表面上は銀錯塩拡
散転写法において受像層を構成するための物理現像核層
で被覆される。物理現像核としては銀、アンチモン、ビ
スマス、カドミウム、コバルト、鉛、ニッケル、パラジ
ウム、ロジウム、金、白金等の金属コロイド微粒子や、
これらの金属の硫化物、多硫化物、セレン化物、又はそ
れらの混合物、混晶であっても良い。さらに物理現像核
層には、親水性バインダーを0.5〜50mg/m2程度
含有させるのが好ましい。当該バインダーとしては澱
粉、ジアルデヒド澱粉、カルボキシメチルセルロース、
アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチ
ルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、特開昭53−
21602記載のビニルイミダゾールとアクリルアミド
の共重合体、同平8−211614記載のアクリルアミ
ドとグアニルチオ尿素類で置換されたメチルスルホンの
共重合体などが挙げられる。更にハイドロキノン、メチ
ルハイドロキノン、カテコール等の現像主薬や前記例示
の硬膜剤を含んでいてもよい。当該塗布液のpHは弱酸
性から酸性領域に設定される。具体的には1.6〜4.
0の範囲が妥当である。好ましくは1.6〜3.5の範
囲である。
【0026】下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、物理現像
核層等の各塗布層には、塗布助剤として、アニオン、カ
チオン、両性もしくは非イオン性界面活性剤のいくつか
を含んでいてもよいし、カブリ防止剤、マット剤、増粘
剤、帯電防止剤等を含むことが出来る。
【0027】下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層は順次積層
してもよいが、好ましくはスライドコーティングによっ
て同時重層塗布される。塗布された支持体は、まずチル
ゾーンに導入され塗布層がセットされ、続いて温度湿度
が管理された送風乾燥ゾーンで乾燥されるが、乾燥の前
半から中後半の過程では(固形分濃度が70〜75%に
なるまで:恒率乾燥域)乾燥時のウエブ表面温度(ハロ
ゲン化銀乳剤層が塗布された面の表面温度)が15℃以
下、より好ましくは13.5℃以下で乾燥することが好
ましい。さらに物理現像核層を塗布する前に加熱処理を
行い、下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層の架橋を促進させ
ることは好ましい。この加熱は、乾燥により固形分濃度
70〜75%以上に濃縮された段階以後(減率乾燥域)
で実施される。この加熱処理には局所温風処理、ヒート
ロール接触処理、赤外線過熱処理、遠赤外線加熱処理、
マイクロ波加熱処理などの方法が採用できる。この加熱
は、塗布面の表面温度T(℃)、加熱時間d(秒)が、
下記の条件で行われることが好ましい。 T≧60、20≦(T−25)×d≦50
【0028】物理現像核層を塗布した後に、塗布された
面を加熱処理することはさらに好ましい。加熱方法は、
前述の物理現像核層を塗布する前の加熱処理と同じであ
っても良いし異なっても良い。加熱条件も自由に選ぶこ
とができるが、物理現像核層を塗布する前の加熱処理条
件で行うことが最も好ましい。
【0029】特にポリエチレンテレフタレート支持体な
どの熱可塑性の樹脂フィルムを用いる場合、加熱処理中
に加熱処理する側と支持体を挟んで反対側の表面温度を
管理することは好ましい。この場合、表面温度は樹脂フ
ィルムの軟化点より10℃以上、好ましくは15℃以上
低いことが好ましい。この裏面の冷却は、加熱処理時、
あるいはその直前に、冷風を送風する、冷却ロールに接
触させるなどの方法によることができる。
【0030】下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層が塗布され
たウエブには物理現像核層の塗布液が塗布される。当該
塗布液のウエット塗布量は15g/m2以下が好ましい。
塗布方法としてはディップコーティング、スライドコー
ティング、スロットダイコーティング、バーコーティン
グ、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、
グラビアコーティング、スプレーコーティングなどによ
り連続的に塗布してよい。乾燥の温度は特に制限は無
く、30〜60℃の温風で乾燥される。物理現像核層を
塗布する後の加熱処理は、塗布前の加熱処理と同様、物
理現像核層の減率乾燥域以降で実施される。
【0031】本発明の平版印刷版に画像形成するための
現像処理液には、アルカリ性物質(例えば水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナ
トリウム等)、保恒剤としての亜硫酸塩、ハロゲン化銀
溶剤(例えばチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、環状イミ
ド、2−メルカプト安息香酸、アミン等)、増粘剤(例
えばヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース等)、カブリ防止剤(例えば臭化カリウム、特
開昭47−26201に記載の化合物等)、現像剤(例
えばハイドロキノン類、カテコール、1−フェニル−3
−ピラゾリドン等)、現像調整剤(例えばポリオキシア
ルキレン化合物、オニウム化合物等)を含むことが出来
る。さらに現像処理液には、米国特許第3,776,7
28号に記載の如き表面銀層のインキ乗りを良くする化
合物等を使用することが出来る。
【0032】本発明の方法で製造される平版印刷版の現
像後の表面銀層は、任意の公知の表面処理剤でインキ受
容性に変換ないしは受容性を増強せしめ得る。このよう
な処理液としては、例えば特公昭48−29723、米
国特許第3,721,559号等に記載されている。印
刷方法、あるいは使用する不感脂化液、給湿液等は普通
に良く知られた方法によることが出来る。
【0033】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】実施例1 支持体として厚さ175ミクロンの易接着下引き済みポ
リエチレンテレフタレートフィルムを用意した。この支
持体の一方の面に、導電性カーボンブラック(SD10
M、大日本インキ製)2g/m2、ゼラチン1.5g/m2
を含む裏塗り第1層、平均粒子サイズ3.5ミクロンの
シリカ粒子を0.1g/m2、ゼラチン1g/m2含有する
裏塗り第2層を設けた。引き続き支持体の該裏塗り層と
は反対の面に、下記の下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、
及び物理現像核層をタンデム方式で塗布した。尚、下記
の部とは、重量部を表す。
【0035】 <下塗り層塗布液> ゼラチン 表1に記載の量 水性ウレタン樹脂 表1に記載の量(固形分換算) (大日本インキ化学製、ハイドランHW−950) シリカ微粒子 2.5部 (富士シリシア化学株式会社製SY445;平均粒径3.5ミクロン) カーボンブラック分散液(固形分32重量%) 2部 スチレン−ブタジエンラテックス 5部(固形分換算) (日本エーアンドエル株式会社製、POL752A) ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.1部 水で全量を100部に合わす。ウエット塗布量は40g
/m2である。
【0036】 <ハロゲン化銀乳剤層塗布液> 赤感性高感度塩化銀乳剤(銀換算) 6部 (銀/ゼラチン質量比=1/1.2) 1−フェニル−3−ピラゾリドン 0.1部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.15部 N−メチロールエチレン尿素 0.6部 水性ウレタン樹脂 表1に記載の量(固形分換算) (大日本インキ化学製、ハイドランAP−40) 全量を100部に合わす。ウエット塗布量は12g/m2
である。この場合ハロゲン化銀乳剤層に含まれる銀量は
0.72g/m2、ゼラチン量は0.9g/m2である。
【0037】 <硫化パラジウムゾルの調製> A液 塩化パラジウム 5g 12N塩酸 40ml 蒸留水 1000ml B液 硫化ナトリウム 8.6g 蒸留水 1000ml A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交
換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを
得た。
【0038】 <物理現像核層塗布液> 上記硫化パラジウムゾル 10部 ハイドロキノン 6部 1−フェニル−3−ピラゾリドン 0.4部 親水性高分子 0.05部 (アクリルアミド/ビニルイミダゾール(97/3)共重合体 ;平均分子量10万) ドデシル硫酸ナトリウム 0.02部 ホルマリン(37重量%水溶液) 1部 全量を100部に調整する。ウエット塗布量は10g/
m2である。
【0039】上記下塗り層塗布液とハロゲン化銀乳剤層
塗布液をスライドコーティング法により同時重層塗布し
乾燥したのち、巻き取らずにファウンテン/エアドクタ
法で物理現像核層塗布液をタンデム塗布し40℃の温風
で乾燥した。
【0040】
【表1】 ──────────────────────────────────── 試料番号 ゼラチン 水性ウレタン樹脂(部) 総親水性 (部) 下塗り層中 乳剤層中 バインダー量(g/m2) ──────────────────────────────────── 1 5 0 0 2.9 比較例 2 0 3 0 0.9 本発明 3 0 5 0 0.9 本発明 4 0 5 3 0.9 本発明 5 0 5 6 0.9 本発明 6 1 5 3 1.3 本発明 7 2 5 3 1.7 本発明 8 3 5 3 2.1 本発明 9 5 5 3 2.9 本発明 ────────────────────────────────────
【0041】表1に従い作成された試料は、40℃1日
間加温処理した後、下記の方法で接着性の試験、印刷試
験を行った。
【0042】<接着試験>塗布面にカッターナイフで1
cm角の格子状のキズを入れ、3N水酸化ナトリウム水
溶液中あるいはジメチルホルムアミド(DMF)中に3
0℃10分間浸漬したのち、水を含ませた脱脂綿で表面
を強く擦ることで塗膜の接着性を評価した。塗膜の剥離
が生じた場合は×、一部剥離した場合は△、剥離が全く
認められなかった場合を○とした。
【0043】<印刷試験>上記のようにして作製したサ
ンプルをイメージセッター(大日本スクリーン製造
(株)製SD−P2600)で像様露光、現像処理して
印刷版を作製した。現像処理はオンラインプロセッサー
で、下記の銀錯塩拡散転写現像液により30℃で20秒
間行った。
【0044】 <現像液> 水 700ml 水酸化カリウム 20g 無水亜硫酸ナトリウム 50g 2−メルカプト安息香酸 1.5g 2−メチルアミノエタノール 15g 水を加えて1000mlとする。
【0045】上記の現像処理後、下記に示すような安定
液(中和液)に25℃で10秒間浸漬し、そして乾燥し
た。 <安定液> リン酸 1.2g 第一リン酸ナトリウム 25g エチレングリコール 5g モノエタノールアミン 5g pH=6.0に調整し、水で1000mlとする。
【0046】上記のようにして作製した印刷版につい
て、耐刷性を評価した。印刷には印刷機としてリョービ
3200CD(リョービ社製オフセット印刷機の商
標)、インキとしてABdick3−1012(商
標)、及び下記の不感脂化液(印刷直前に版面に塗布)
と給湿液を用いた。インキ乗りは、不感脂化液を塗布し
印刷を開始して、10枚目の印刷物の濃度を観察し5段
階評価したものである。5が最も優れ、3が実用ぎりぎ
りのレベルである。耐刷力は、銀画像部の欠落による画
像飛びが生じて印刷に供せなくなった時の印刷枚数で評
価した。接着試験および印刷試験の結果を表2に示す。
【0047】 <不感脂化液> 水 600ml イソプロピルアルコール 400ml エチレングリコール 50g 3−メルカプト−4−アセトアミド−5−n−ヘプチル −1,2,4−トリアゾール 1g
【0048】 <給湿液> オルトリン酸 10g 硝酸ニッケル 5g 亜硝酸ナトリウム 5g エチレングリコ−ル 100g コロイダルシリカ(20%) 28g 水を加えて2000mlとする。
【0049】
【表2】 ──────────────────────────────────── 試料番号 接着試験 インキ 耐刷力 アルカリ DMF 乗り ──────────────────────────────────── 1 × ○ 2 1000枚以下 比較例 2 △ △ 4 5000枚 本発明 3 ○ △ 4 6000枚 本発明 4 ○ ○ 5 8000枚 本発明 5 ○ ○ 5 8000枚 本発明 6 ○ ○ 5 7000枚 本発明 7 ○ ○ 4 6000枚 本発明 8 ○ ○ 3 5000枚 本発明 9 △ ○ 3 4000枚 本発明 10 △ ○ 4 7000枚 参考例 ────────────────────────────────────
【0050】表2中、試料10は試料1と同じ構成で、
下塗り層塗布液とハロゲン化銀乳剤層塗布液を塗布、乾
燥し、40℃7日間加温したのち物理現像核層塗布液
を、塗布する点のみ異なる試料である。表2より明らか
なように、本発明の平版印刷板は、皮膜がアルカリ、有
機溶剤にさらされても強い支持体との接着力を保持し、
特に総親水性バインダー量が2g/m2以下である2〜7
の試料において、接着力、耐刷力の向上が顕著である。
さらに生産性の高いタンデム塗工方式においても、試料
11のような従来の製造方法と同等レベルのインキ乗
り、耐刷性を有することがわかる。
【0051】実施例2 実施例1と同一の構成でタンデム塗布した。但し以下に
示したような条件で、ヒートロールによるウェブの物理
現像核層塗布前の加熱を行った。 <条件1> ヒートロール直後の塗布面の表面温度:75℃、加熱時
間0.8秒 <条件2> ヒートロール直後の塗布面の表面温度:95℃、加熱時
間0.6秒 このようにして得られた試料について実施例1と同様の
耐刷性の試験を行った。ヒートロールによる加熱による
耐刷性の向上を表3にまとめた。
【0052】
【表3】 ──────────────────────────────────── 試料番号 耐刷力 条件1 条件2 ──────────────────────────────────── 1 2000枚 2000枚 比較例 2 8000枚 9000枚 本発明 3 10000枚以上 10000枚以上 本発明 4 10000枚以上 10000枚以上 本発明 5 10000枚以上 10000枚以上 本発明 6 10000枚以上 10000枚以上 本発明 7 9000枚 10000枚以上 本発明 8 6000枚 7000枚 本発明 9 4000枚 6000枚 本発明 ────────────────────────────────────
【0053】表3より明らかなように、本発明の平版印
刷版は、物理現像核層塗布前の加熱により耐刷性が向上
し、特に総親水性バインダー量が2g/m2以下である2
〜7の試料において顕著である。
【0054】
【発明の効果】上記結果から明らかなように、本発明の
平版印刷板およびその製造方法により、生産性が大幅に
向上した、ロール加温不要のタンデム塗布により、支持
体への接着性に優れ、高い耐刷性能を有する平版印刷版
を得ることが可能となった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも下塗り層、ハロゲ
    ン化銀乳剤層、および物理現像核層を有する銀錯体拡散
    転写法を応用した平版印刷板において、銀画像を形成す
    る側に水系0000ウレタン樹脂を含有することを特徴とす
    る平版印刷版。
  2. 【請求項2】 銀画像を形成する側の総親水性バインダ
    ー量が2g/m2以下であることを特徴とする請求項1に
    記載の平版印刷版。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の平版印刷版の
    製造方法において、前記物理現像核層を塗布する前に、
    前記ハロゲン化銀乳剤層が塗布された面を巻き取らずに
    加熱処理することを特徴とする平版印刷版の製造方法。
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