JP2003294606A - 環境評価方式およびそれを用いた環境評価装置 - Google Patents

環境評価方式およびそれを用いた環境評価装置

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JP2003294606A
JP2003294606A JP2002133333A JP2002133333A JP2003294606A JP 2003294606 A JP2003294606 A JP 2003294606A JP 2002133333 A JP2002133333 A JP 2002133333A JP 2002133333 A JP2002133333 A JP 2002133333A JP 2003294606 A JP2003294606 A JP 2003294606A
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Masahiro Kitada
正弘 北田
Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
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  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】従来の環境評価装置の欠点を除去し、製品を構
成する材料側からより正確な環境評価をする装置を提供
することである。 【構成】本環境評価装置は1)環境中のガス成分と反応
する素子部分、2)素子の変化を検出し電気信号に変え
る部分、3)測定結果を記憶する部分を基本とし、特
に、検出素子として複数の金属薄膜を用いていることに
特徴がある。 【効果】短時間に環境評価を行え、高精度、高感度でし
かも安価な測定装置を提供することができる。本発明の
手法は製品などの構成体である材料の視点に立って環境
による影響を評価できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境中に含有する
ガスによる各種の製品および材料の劣化の評価、事前評
価、あるいは、劣化防止の技術に係り、特に、材料など
を保存する環境評価に有効な評価方式ならびに評価装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】地球環境の悪化、種々の環境の変化に伴
って、各種製品の腐食等による性能低下が激しくなって
いる。従来の製品に対する環境の評価は大きく分けて、
環境中のガス成分や濃度等の測定によるものと、環境中
に置かれた製品を構成するバルク材料の暴露試験で行わ
れていた。
【0003】前者のガス成分の測定では材料の劣化に種
々の因子が絡んでいるため、実際の劣化を正確に判断す
ることはできない。後者のバルク材料の暴露試験では、
酸化反応による重量の増加などを測定しているが、塵埃
の付着などの影響があり不正確になる。また、バルク材
料では試験片が大きくて重量があるため、重量増加の方
法では劣化初期の評価が困難である。
【0004】このように、環境の善し悪しの判定は直接
的には環境中のガス成分の測定などで評価できるが、各
種製品が実際にどれだけ腐食等で劣化するかは環境中の
ガス成分のほかに温度、湿度、天候、風速等のさまざま
な気候条件により影響によって著しく異なる。したがっ
て、ガス成分の測定結果はおおよその傾向を判断するだ
けに止まり、製品の劣化を直ちに判断することはできな
い。すなわち、製品側(材料側)からの評価が必要であ
る。
【0005】その場合、環境中のガス成分など環境の状
態が容易に測定でき、しかも、結果の処理から劣化予測
までが簡便に行える評価装置の開発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、製品側
から評価した従来法ではバルク材料の暴露試験などでお
およその判断をしてきたが、劣化を定量化するのは難し
く、測定データのばらつきや、試験時間が極めて長いた
めに環境の変化による不特定な要素が加わり、正しい評
価ができなかった。また、試料の前処理から分析、後処
理まで多大な時間が必要で、簡易な手法による製品の寿
命予測が困難であった。
【0007】そこで、本発明の目的は、複数のガス成分
をひとつの検出系により測定できる安価な環境評価装置
を提供することに有る。すなわち、従来の環境評価装置
の欠点を除去し、製品を構成する材料側からより正確で
かつ簡易な環境評価が行える方式ならびにそれを用いた
環境評価装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、環境中
の複数のガス成分を同時に検出するために各々のガスと
選択的に反応する素子を1枚の基板上に同時に形成した
複合型の検出素子を用いることにより実現できる。具体
的には、環境中の腐食性のガスと選択的に反応する材料
薄膜を1枚の基板上に少なくとも2種類以上同時に形成
し、各々の薄膜の物理あるいは化学的性質の経時変化を
検出する。このような素子を用いることにより、測定す
るガスの前処理をおこなうことなく、他のガスによる干
渉を抑制できるので、材料の観点にたって精度の高い環
境測定および評価を行うことができる。
【0009】環境評価装置は、少なくとも1)環境中の
ガス成分と反応させる複数の検出部分を有する検出素子
部分、2)素子の変化を検出し電気信号に変換する部
分、3)測定結果を記憶する部分の3つの部分から構成
される。これらに加えて、既知の標準的な条件で測定し
た特性の変化速度などを記憶する部分とこのデータと測
定したデータとを比較する部分とを設けても良い。これ
により定量的な環境評価や材料の寿命予測が行える。さ
らに、これら全体をパーソナルコンピュータで制御する
と特に使い勝手が良い。
【0010】ここで、検出素子には金属およびその合
金、あるいはその化合物を用い、これらを薄膜化して絶
縁物の基板上に形成した。1枚の基板上に検出したいガ
スと選択的に反応する素子をすべて並べて形成する。並
べる順序は特にない。そして、薄膜の有する物理的ある
いは/および化学的性質によって環境中のガス成分を検
知したり、寿命予測を行う。本発明の検出素子では、薄
膜の光反射率、光透過率、電気抵抗の内から選ばれる少
なくとも1種類の特性の経時変化を測定し、環境中のガ
ス成分の検出に用いる。
【0011】ところで、環境中の分析の対象となるガス
成分の濃度を求めるのに、測定対象の成分を一定濃度に
調整した標準ガスを用いて素子特性の変化速度をあらか
じめ測定しておき、その結果と実際の環境中において測
定した素子特性の変化速度とを比較することで、実環境
中における分析対象のガス成分の濃度やそのガスによる
材料の劣化速度を求めることができる。
【0012】環境中のガス成分による材料の劣化やガス
成分そのものを分析するのに、検出素子表面に対象ガス
を大気圧でかつ常温のもとで一定の流速で流すか、ある
いは、大気中に検出素子を放置して測定することが最も
好ましい。これは、再現性ある測定結果が得られるから
である。
【0013】検出素子における性質の変化を1つの検出
系を用いて順次あるいは一定の周期で繰り返し測定をお
こなうことが好ましい。これにより、複数のガス成分に
よる材料に及ぼす影響を単純な装置構成で同時に測定を
行うことができる。
【0014】測定手法は、検出素子の金属薄膜の光透過
率、光反射率、あるいは、電気抵抗のうちよりえらばれ
る少なくとも1種類の物理定数の変化を測定する方法を
用いる。透過率測定の場合には、測定光の波長領域で基
板は光学的に光を透過できることが必要である。反射率
あるいは透過率の測定には、金属等の薄膜の検出素子を
中心に、固定波長の発光素子と受光素子(光電変換素
子)の組合せからなるデバイスを利用する。電気抵抗変
化による環境評価においては、4端子法を用いて抵抗の
測定を行うことが最も好ましい。これらの測定は連続的
に行っても、また、一定の時間周期で行っても良い。
【0015】測定の指示はマイコンやパーソナルコンピ
ュータなどを用いて自動化することが最も好ましい。そ
して、測定したデータとそれに対応した時間を格納して
おき、必要に応じて解析を行う。具体的には、反射率、
透過率あるいは電気抵抗の経時変化から、単位時間当た
りの変化率を求める。この値を用いて、一定時間後の変
化を予測することができる。また、検出素子の分析や経
時変化の曲線から反応次数などの反応機構(劣化機構)
を解析できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
【実施の形態1】〔装置の構成と機能〕作製した環境評
価装置の基本部分は、図1に示すようにガス検出素子部
(1)、ガス導入部(2)、検出機構(3)、測定デー
タ蓄積部(4)、基準データ蓄積部(5)より構成され
る。パーソナルコンピュータ(6)などで各パーツを制
御したり、データのやり取りをするとより使い易い装置
になる。この例は、検出素子を組み込んだ装置を用いた
場合であるが、検出素子のみを評価する環境中に放置し
て、測定の時に装置を稼動させても良い。この場合は連
続測定ではなく、バッチ処理となる。
【0017】ガス検出素子部(1)は以下に述べる手順
で作製される。その概略図を図2に示す。まず、検出素
子には酸素や水の検出に対してはCu薄膜(21)を、
塩素イオンや水に対してはFe薄膜(22)を、硫黄化
合物および塩素イオンに対してAg薄膜(23)を、塵
埃に対してはステンレス鋼(SUS316、JTS規
格)(24)の薄膜をそれぞれ用いた。素子の作製は、
あらかじめ洗浄した光学的に平坦な平面を有する透明ガ
ラス基板(50mm×20mm×1mm厚)(25)上
にスパッタ法により各薄膜をφ10mmで100nm膜
厚に連続して形成した。
【0018】ガス成分の検出は、検出機構(3)におい
て光反射率の経時変化を測定することにより行った。用
いた装置の概略は図3に示すとおりである。光源(1
1)に630nmの半導体レーザーを用いた。この他
に、発光ダイオードなどを用いても良い。レンズを用い
て2mm直径の光スポットに成形した。光源を出た光は
ビームスプリッタI(12)により分離され、一方を光
検出器I(13)へ、もう一方を検出素子へ導入され
る。検出素子で反射した光は、ビームスプリッタII
(14)により分離され、検出器II(15)へ導入さ
れる。検出器Iと検出器IIの差分検出器(16)によ
り差をとることで反射率変化を検出することができる。
ここで、材料の異なる検出素子の各々に光スポットを移
動させて、反射率をここに測定した。ここでは、作動検
出方式の例を示したが、この手法は高い精度で測定でき
るが、光学系が複雑であり、装置コストもかかる。そこ
で、光源から検出素子に光を照射し、反射してきた光を
受光素子で検出(光電変換)するものでも良い。いずれ
の手法を選択するかは、測定の精度や装置のコストなど
により決定すればよい。これらの手法は本発明の効果を
左右するものではない。
【0019】ガス導入部(2)により、ガス検出素子
(1)へ試料ガスを一定の条件で導入する。そのため
に、導入部の終端の吸引ポンプにより等速吸引を行い、
ガスを一定流量になるように調節する。ここで、ガス流
量を制御するのは、測定の精度ならびに再現性を確保す
るためである。
【0020】このようにして測定したデータは、反射率
と測定時間とをペアーで測定データ蓄積部(4)に格納
した。これにより、光反射率の時間変化率を計算により
求めることができる。
【0021】さらに、あらかじめ基準データ蓄積部
(5)には標準ガスを用いて測定した光反射率の時間変
化率が格納されている。これは、あらかじめ測定した濃
度既知の標準ガスによる検出素子の光反射率の経時変化
が格納されている。この値は、濃度を変化させて反射率
の経時変化を測定し、データベースとして基準データ蓄
積部(5)に格納しておく。ここで、中間の値をとった
場合は、補完法により濃度を求めればよい。
【0022】基準データ蓄積部(5)に格納されている
データは、測定対象となるガスの濃度を定量するための
ものである。測定対象となるガスを一定濃度含む空気を
ガス検出素子へ導入する。そして、一定時間ごとに光反
射率を測定し、光反射率の経時変化を測定しておく。測
定対象となるガスの濃度を変えて光反射率の時間変化率
を測定しておく。この値と、自分が測定したい環境にお
いて測定したデータとを比較することにより、環境中の
対象ガスの濃度を知ることができる。
【0023】〔実測例1−定性分析〕まず初めに、室外
環境(軒下など雨水が直接当らない場所)に検出素子を
放置して測定(材料の腐食性ガスによる劣化)した例に
ついて述べる。ガス導入部(2)により検出素子部
(1)に分析対象ガスを一定流量(流速一定でも良い)
で導入した。そのときの検出素子表面における反射率の
経時変化を測定した。その結果を図4にまとめて示す。
反射率は初期の値を100として、相対値により表し
た。それによると、反射率はFe薄膜を除いて時間の経
過とともに直線的に減少した。Fe膜については直線関
係が得られないが、一定の関係がある。それぞれの薄膜
における単位時間当たりの変化率を求めると、ステンレ
ス鋼膜が0.45%/day、Cu膜が0.60%/d
ay、Ag膜が0.90%/dayであった。
【0024】ここで、ステンレス鋼には腐食が発生せ
ず、膜表面が塵埃で覆われただけで、これを除去すると
スタート時点での反射率に戻った。このように、ステン
レス鋼膜には塵埃の影響を検討するのに好適である。も
ちろん、ステンレス鋼の環境における耐性の評価に用い
ても良い。次に、Ag膜の表面を分析するとClとS
が、そしてOが弱いピークとして検出された。ClやS
は大気中の硫黄酸化物や塩害の成分に起因する。また、
Cu膜表面からはOが検出され、他の元素は検出されな
かった。Oは大気中の酸素や水に起因する。このこと
は、Ag膜やCu膜など複数の検出素子を同時に用いる
ことにより、環境中における元素の反応に選択性をもた
せることができることを示している。
【0025】ここでは、検出素子に一定流量のガスを通
気した場合の例を示したが、素子のみを所望の場所に放
置し、適当な時間間隔で反射率などの特性を測定しても
良いことは言うまでもない。ここで、素子を置く環境と
は、材料を用いる環境に相当する。
【0026】〔実測例2−定量分析〕次に、対象ガス成
分の定量を行った。これは材料の評価ではなく、材料の
置かれた環境の評価である。材料が用いられる環境をあ
らかじめ知っておくことは、環境中での材料の劣化を考
慮する上で重要である。先の反射率の経時変化とそれを
解析した結果は測定データ蓄積部(4)に記録されてい
る。これと基準データ蓄積部(5)に記憶されているデ
ータとを用いて定量分析を行うことができる。それぞれ
の薄膜についてあらかじめ標準ガスを用いて測定した単
位時間当たりの反射率の変化率と比較した。Ag膜につ
いてはSO2を0.5ppm、1.0ppm、2.0p
pmと変化させて測定した変化率は、それぞれ0.38
%/day、0.85%/day、1.69%/day
であった。この値と先のAg膜における測定結果とを比
較すると、腐食ガス濃度はSO2換算で約1.1ppm
となる。また、Cu膜については、乾燥空気中での反射
率の変化が0.15%/day(室温)であり、空気を
加湿していくと、相対湿度で50%(50%RH)まで
は乾燥空気中と同じ変化であったものが、50%RHを
越えると反射率の変化が急激に大きくなった。60%R
Hで0.70%/day、70%RHで1.0%/da
y、80%RHで2.1%/day、90%RHで3.
2%/dayの変化であった。このように、Cu膜では
酸素の作用に加えて、水分の効果が相乗効果となり、反
射率の変化が急激になったものと思われる。このよう
に、本発明を用いると環境を材料の側面から評価するこ
とができる。標準条件により測定した値と先のCu膜の
値とを比較すると、相対湿度が約55%であることがわ
かる。このように、材料サイドに立った評価ができると
ともに、本発明により材料が置かれた環境そのものもあ
わせて評価できることがわかる。
【0027】〔実測例3−腐食物質の解析〕実測例3で
用いた検出素子の表面に形成された反応層をエネルギー
分散型X線分析装置(EDX)により分析した。Cu膜
からはCuのほかに酸素が検出された。この薄膜を光電
子分光法(XPS)により分析したところ、Cuは1価
のCuと思われるケミカルシフトが観測され、X線回折
法(XRD)による測定からはCu以外に亜酸化銅の回
折ピークが観測された。銅薄膜の場合は亜酸化銅が形成
されていることがわかる。ここで、Cuと反応した酸素
は大気中の水や酸素に起因している。次に、Ag膜を同
様の手法により分析したところ、硫黄と塩素が検出され
た。EDX、XPSならびにXRDによる測定から、塩
化銀、ならびに硫化銀が生成していることがわかった。
この結果を用いて塩素と硫黄の定量を行うことにより、
Ag膜にける反射率の変化に寄与する塩素と硫黄との割
合がわかる。本実施例では、塩素:硫黄=3:1であ
り、海岸近くで測定したので塩害の影響で、塩素が多く
検出されたと考えられる。最後に、Fe膜を分析したと
ころ、塩素と酸素が検出された。Fe膜に現れた腐食の
形態は、CuやAgの薄膜に生じる均一腐食と異なり、
局部腐食が発生した。腐食が発生した部分を分析したと
ころ、塩素が検出された。オージェ電子分光法による面
分析から、孔食発生部には塩素が濃縮されており、ま
た、酸素は薄膜のほぼ全面に分布していることがわかっ
た。孔食は時間の経過とともに周囲へ広がっていく。ま
た、孔食の発生の中心には核となるものが存在し、これ
は成膜時の異物や不純物である。この他にも、応力分布
や格子欠陥などの不均一性はすべてその核になりうる。
このように、環境中に放置した検出素子(環境評価する
材料に相当)を分析することにより腐食のメカニズムを
知ることができ、材料サイドに立った環境評価を行うこ
とができる。
【0028】
【実施の形態2】本実施の形態では、検出素子の特性の
変化を薄膜の電気抵抗の変化として検出した場合であ
る。素子に用いた金属薄膜は表面から反応していき、形
成した反応生成物は元の金属より抵抗が増すので、見か
け上の抵抗が大きくなる。これを用いて、特性変化を検
出しようとするものである。用いた検出素子の構造を図
5に示す。表面を光学研摩した石英ガラスの基板(2
5)上にマスクを用いて4つの金属薄膜をスパッタリン
グ法により形成した。用いた金属薄膜は、Ag(2
3)、Cu(21)、Fe(22)、そして、ステンレ
ス鋼(24)の4種類で、膜厚はいずれも0.1μmで
ある。電気抵抗の測定には4端子法を用いた。1つの素
子は電流端子部(27)と電圧測定端子部(28)の2
つの部分からなる。この端子部は樹脂(26)により被
った。これは端子部の劣化による精度の低下を抑制する
ためである。電流端子部(27)から素子に一定電流を
通電し、電圧端子部(28)に発生する電圧を電圧計に
より測定した。特性の変化は電圧の変化により表した。
【0029】測定装置を屋外に設置した。上記の検出素
子にガス導入系により試料ガスを導入し、電圧の経時変
化を測定した。その結果を図6に示す。まず、ステンレ
ス鋼薄膜では50日以上測定したが、電圧の変化は観測
されなかった。このことから、ステンレス鋼膜は環境中
のガス成分とは反応しないことがわかる。また、Ag膜
では0.80mV/day、Cu膜では0.45mV/
day、Fe膜では1.20mV/dayの電圧の増加
がみられた。腐食の形態が異なっていても、電圧の変化
(電気抵抗の変化に相当)は放置時間に対して直線的で
あった。この測定結果から、腐食層の厚さが計算でき、
腐食速度を容易に求めることができる。このように、本
発明を用いることにより、材料の側にたった評価が可能
であり、逆に、材料の特性変化から環境そのものの評価
も行える。さらに、実施の形態1で示した反射率測定と
併用することにより、表面の変化と内部の変化が同時に
測定できるなど材料評価にとって有効である。反射率の
変化は薄膜の表面での現象に相当し、電気抵抗の変化は
はく膜全体の変化を表しているからである。
【0030】
【実施の形態3】本実施の形態では検出素子の光透過率
の変化により材料の環境評価を行った場合である。用い
た検出素子の構造は、実施の形態1と同様の構造で、そ
の概略を図2に示す。形成した薄膜はステンレス鋼、C
u、Ag、Feの各薄膜である。また、透過率の測定に
用いた装置の概略を図7に示す。光源として680nm
の半導体レーザーを使用し、光の検出にはフォトダイオ
ードを用いた。
【0031】検出素子は、単独で屋外に置き適当な時間
ごとに先の装置により、透過率を測定した。測定結果を
図8に示す。ここでは、初期の透過率を基準にした相対
値で表した。透過率の測定はAg、Cu、Fe、ステン
レス鋼と順次行った。測定の順序は特にない。ステンレ
ス鋼では透過率の変化はみられなかった。また、その他
の金属は、ある一定時間まで一定の透過率であったもの
が、この時間を過ぎると時間の経過に対してリニヤに透
過率が増大した。透過率が変化し始めるまでの時間と透
過率の時間変化率が検出素子に用いた材料によって異な
っていることがわかる。この値を測定することにより、
材料の環境中における挙動を評価できる。
【0032】
【実施の形態4】本実施の形態では、検出素子として均
一組成の材料を用いるのではなく、組成勾配を設けた場
合である。ここでは、一例としてCuとAgとを用い
た。素子の作製には二元同時スパッタ法を用いた。この
手法により組成勾配を有する薄膜を作製するには、ター
ゲット−基板間の距離、スパッタの投入電力、DCある
いはRFといったスパッタの方式、ターゲットの電極構
造、放電ガス圧力などさまざまな因子が関与してくるの
で、この点を考慮する必要が有る。素子の概略を示す模
式図を図9に示す。組成勾配を有する金属薄膜(29)
は洗浄した表面を光学研摩したガラス基板(25)上に
形成した。サイズは縦6mm、横が25mm、膜厚が
0.1μmである。この薄膜の組成を分析したところ、
図9の下に示すようにほぼ直線関係が得られた。
【0033】上記により作製した素子を環境中に放置し
た。適当な時間ごとに光反射率の経時変化を測定した。
光源として680nmの半導体レーザーを使用し、光の
検出にはフォトダイオードを用いた。また、図9の下図
の▲印で示す組成を求めた5ヶ所について測定した。得
られた結果を図10に示す。それによると、合金の組成
により反射率の経時変化が異なっていることがわかる。
このように、組成勾配を設けた二元合金薄膜を用いるこ
とにより、さまざまな組成の合金の環境に対する耐性の
評価を同時に行うことができる。ここでは、光の透過率
の変化により環境評価を行った例を示したが、光反射率
の変化により評価を行っても良いことは言うまでもな
い。
【0034】
【発明の効果】上述の実施の形態で明らかなように、薄
膜材料と環境成分との反応を利用して、短時間に材料の
環境評価を行え、高精度、高感度でしかも安価な評価装
置を提供することができる。本発明の手法は製品などの
構成体である材料の視点に立って環境による影響を評価
できる。さらに、計測も連続的に行える。一般のガス成
分の測定に比較し簡便で、材料の反応を時間で積分した
状態で結果がでる特徴がある。また、反応した薄膜は長
時間保存ができるので、必要な分析等に利用することが
できる。地球環境が悪化している状況で、各種材料の環
境評価に非常に役立つ分析装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】環境評価装置の構成を示す図。
【図2】検出素子の構造を示す模式図。
【図3】検出素子部および検出部の概略を示す図。
【図4】金属薄膜の反射率の経時変化を示す図。
【図5】検出素子の構造を示す模式図。
【図6】金属薄膜の電気抵抗を一定電流のもとで測定し
た電圧の経時変化で表した図。
【図7】金属薄膜の光透過率の変化を測定する装置の概
略を示す図。
【図8】金属薄膜の透過率の経時変化を示す図。
【図9】組成勾配を有する金属薄膜を用いた検出素子の
構造を示す模式図。
【図10】組成勾配を有する金属薄膜を用いた検出素子
により測定した反射率の経時変化を示す図。
【符号の説明】
1…ガス検出素子 2…ガス導入部 3…検出部 4…測定データ蓄積部 5…基準データ蓄積部 6…情報処理系(電気回路) 7…ガス検出系 8…パーソナルコンピュータ(情報処理装置) 11…光源 12…ビームスプリッタI 13…光検出器I 14…ビームスプリッタII 15…光検出器II 16…差分検出器 17…検出窓 18…試料ガス 21…Cu薄膜 22…Fe薄膜 23…Ag薄膜 24…ステンレス鋼薄膜 25…ガラス基板 26…樹脂 27…電流端子部 28…電圧端子部 29…組成勾配を有する金属薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G050 AA01 BA05 EA06 EB02 EB07 2G054 AA01 AA04 AB06 CA08 CA10 CA11 CA30 CD04 EA04 EA05 EB01 EB12 FA12 FA17 FA18 FA21 FA32 FA33 GA05 GE06 JA01 JA02 2G059 AA01 BB01 EE02 FF04 GG01 GG02 HH02 HH06 JJ22 KK01 KK03 MM01 MM05 MM10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属あるいはその合金、あるいはその化合
    物からなる2種類以上の異なる材料からなる薄膜を一枚
    の絶縁物基板上に順次形成し、各々の薄膜が異なる物理
    的あるいは/および化学的性質を有し、該薄膜の有する
    物理的あるいは/および化学的性質の違いを用いて複数
    の環境中のガス成分を検知する検出素子を構成し、該素
    子の材料の物理的あるいは/および化学的特性の変化を
    検出することにより環境評価を行ったことを特徴とする
    環境評価方式およびそれを用いた環境評価装置。
  2. 【請求項2】2種類以上の金属からなり、該金属の薄膜
    を一枚の絶縁物基板上に形成するのに、2次元的、ある
    いは、3次元的に濃度勾配(組成勾配)を設けた検出素
    子を用いたことを特徴とする環境評価方式およびそれを
    用いた環境評価装置。
  3. 【請求項3】請求項1および請求項2に記載の環境中の
    ガス成分を検知する素子における金属あるいはその合
    金、あるいはその化合物からなる薄膜の物理的あるいは
    /および化学的特性の変化が、薄膜の光反射率、光透過
    率、電気抵抗の内から選ばれる少なくとも1種類の特性
    の変化により環境中の複数のガス成分を1つの素子によ
    り同時に検知したことを特徴とする環境評価方式および
    環境評価装置。
  4. 【請求項4】環境中の測定対象のガス成分を一定濃度に
    調整した標準ガスを用いて素子特性の変化速度をあらか
    じめ測定しておき、その結果と実際の環境中において測
    定した素子特性の変化速度とを比較することで、実環境
    中における分析対象のガス成分の濃度あるいは/および
    金属の寿命を求めたことを特徴とする環境評価方式およ
    び環境評価装置。
  5. 【請求項5】環境中のガス成分を分析するのに、検出素
    子表面に対象ガスを大気圧でかつ常温のもとで一定の流
    速で大気を流すか、あるいは、大気中に素子を放置した
    ことを特徴とする環境評価方式および環境評価装置。
  6. 【請求項6】請求項1から請求項3に記載の素子におけ
    る性質の変化を1つの検出系により順次あるいは一定の
    周期で繰り返し測定をおこなったことを特徴とする環境
    評価方式および環境評価装置。
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