JP2003293144A - 無電解めっき素材の前処理方法 - Google Patents
無電解めっき素材の前処理方法Info
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Abstract
素材とした場合に、付着強度に優れためっき被膜を形成
する。 【解決手段】成形品を酸又は有機溶剤にて処理した後
に、オゾンを含む溶液を接触させ、次いで陰イオン性界
面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方と
アルカリ成分とを含むアルカリ溶液で処理する。オゾン
処理前に酸又は有機溶剤にて処理することで、残留する
内部応力が大きな部位におけるめっき被膜の付着強度が
向上する。
Description
無電解めっき処理を施すにあたって、その成形品を前処
理する方法に関する。
方法として、無電解めっき処理が知られている。この無
電解めっきとは、溶液中の金属イオンを化学的に還元析
出させ、素材表面に金属被膜を形成する方法をいい、電
力によって電解析出させる電気めっきと異なり樹脂など
の絶縁体にも金属被膜を形成することができる。そのた
め、自動車部品、家電製品などの分野に用いられる樹脂
素材に金属光沢を付与する方法として、広く用いられて
いる。
されためっき被膜は、樹脂素材に対する付着強度が十分
でないという問題がある。そのため、先ず樹脂素材に対
して化学的エッチング処理を行って表面を粗面化し、そ
の後無電解めっき処理する工程が一般に行われている。
をオゾンガスで前処理し、その後無電解めっき処理する
方法が開示されている。同公報によれば、オゾンガスに
よって樹脂素材の不飽和結合が開裂して低分子化し、表
面に化学組成の異なる分子が混在することになって平滑
性が失われ粗面化する。したがって、無電解めっきによ
って形成された被膜が粗面にしっかり入りこみ容易に剥
離しなくなる、と記載されている。
によって形成された樹脂成形品には、成形時の歪みある
いは冷却時の歪みによって内部応力が残留している。そ
のため無電解めっき処理を行った後に、残留する内部応
力が大きい部位においてめっき被膜が剥離するという問
題があった。そして上記公報などに開示されている方法
などによって付着強度を向上させたとしても、この問題
を解決することは困難であった。
樹脂素材にガス状態のオゾンを接触させるだけでは樹脂
素材の表面が活性化されにくく、無電解めっき被膜が析
出しにくいという問題がある。また化学エッチングによ
って粗面化する方法では、クロム酸、硫酸などの毒劇物
を用いる必要があり、廃液処理などに問題がある。
ものであり、残留する内部応力が大きな樹脂成形品をめ
っき素材とした場合に、付着強度に優れためっき被膜を
形成することを目的とする。
明の前処理方法の特徴は、不飽和結合を有する樹脂から
形成された成形品に対して、酸又は有機溶剤にて処理す
る先処理工程と、オゾンを含む溶液を先処理工程後の成
形品に接触させるオゾン処理工程と、オゾン処理工程後
の成形品を陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活
性剤の少なくとも一方とアルカリ成分とを含むアルカリ
溶液で処理するアルカリ処理工程と、を行った後に無電
解めっき処理することにある。
する安定化処理工程をさらに行うことが望ましい。
理方法では、不飽和結合を有する樹脂から形成された成
形品を素材として用いている。不飽和結合とは C=C結
合、 C=N結合、C≡C結合などをいい、このような不飽和
結合をもつ樹脂としては、ABS樹脂、AS樹脂、PS
樹脂、AN樹脂、ポリエステル、ポリブタジエンなどを
用いることができる。
飽和結合を有する樹脂から形成された成形品を用いる。
この成形品の成形方法は特に制限されず、圧縮成形、押
出成形、ブロー成形、射出成形など各種成形方法を採用
できるが、本発明の前処理方法は成形品に残留する内部
応力が大きな射出成形で成形された成形品に特に好まし
く適用される。
れた溶融樹脂は型面に接する表面から冷却されるため
に、冷却時に表面と内部とに温度差が生じ、この温度差
は厚肉の部分ほど大きい。またABS樹脂などを用いて
高速射出成形した場合には、ブタジエン成分が不均一に
配向する場合がある。そのため得られる成形品には、局
部的に内部応力が残留する場合が多い。このような成形
品に無電解めっき処理を行ってめっき被膜を形成し、過
酷な冷熱サイクル試験を行うと、局部的にめっき被膜と
成形品との界面に発生する応力が増大し、内部応力が大
きな部分でめっき被膜が剥離するという現象がある。
剤にて処理する先処理工程を行っている。成形品を酸に
て処理することによって、残留する内部応力が大きな部
分の表面が主として粗面化されると考えられ、これによ
りめっき被膜の付着強度が向上して剥離を防止すること
ができる。また有機溶剤で処理することにより、成形品
の表面が溶解あるいは膨潤して表面の内部応力が消失す
ると考えられ、これによりめっき被膜の付着強度が向上
して剥離を防止することができる。
部応力が大きな部分の表面を選択的にエッチングする特
性があるものを用いることができ、クロム酸、塩酸、硝
酸、硫酸などの無機酸、蟻酸、酢酸、パラトルエンスル
ホン酸などの有機酸、あるいはリン酸などを用いること
ができる。強酸の場合には、残留する内部応力が小さな
部分でもエッチングされてしまうので、弱酸が特に好ま
しい。また強酸でも、低濃度の溶液であれば用いること
が可能である。中でも環境負荷が低い酢酸を用いること
が好ましい。
レー法など成形品に酸の水溶液を付着させて行うことが
できる。この場合、酸の濃度が高い方が好ましく、酢酸
の場合には氷酢酸を用いることが好ましい。酸による処
理条件として、処理時間は長いほど効果的であるが、氷
酢酸で処理する場合には数分で十分である。また処理温
度は高いほど効果的であるが、氷酢酸の場合には室温で
十分である。
成形品の表面を溶解又は膨潤させる有機溶剤を用いるこ
とができ、成形品の樹脂種によって適宜選択される。例
えばABS樹脂の場合には、アセトン,メチルエチルケ
トンなどのケトン類、酢酸エチル,アセト酢酸エチル,
酢酸ブチルなどのエステル類、メチレンクロライドなど
の塩素化炭化水素類などを用いることができる。中でも
環境負荷の低いアセトンが好ましい。有機溶剤の場合の
処理方法も、浸漬法,スプレー法などによって成形品に
有機溶剤を付着させて行うことができる。また処理時間
は長いほど効果的であるが、アセトンで処理する場合に
は数10秒で十分である。また処理温度は高いほど効果的
であるが、アセトンの場合には室温で十分である。
溶液に接触させるオゾン処理工程が行われる。このオゾ
ン処理工程では、溶液中のオゾンによる酸化によって成
形品表面の少なくとも一部の不飽和結合が切断され、オ
ゾニド、メチロール基あるいはカルボニル基などが生成
すると考えられる。残留する内部応力が大きな部分で
は、酸処理による粗面化によって表面積が大きくなって
いるため生成する官能基が多い。メチロール基、カルボ
ニル基などは金属原子と化学結合を形成し得る官能基で
あり、無電解めっき被膜と強く結合するため、成形品と
めっき被膜との付着強度が向上する。なお有機溶剤によ
って先処理工程を行う場合にも、オゾン処理工程より前
に行わないとオゾン処理を行う意味がない。
樹脂から形成された成形品をオゾンを含む溶液に接触さ
せる。接触の方法としては、成形品表面にオゾン溶液を
スプレーしてもよいし、成形品をオゾン溶液中に浸漬し
てもよい。浸漬による成形品へのオゾン溶液の接触は、
スプレーによる成形品へのオゾン溶液の接触に比べてオ
ゾン溶液からオゾンが離脱し難いため好ましい。
活性化に大きく影響を及ぼし、 10PPM程度から長時間の
処理にて活性化の効果が見られるが、 50PPM以上とすれ
ばその活性化の効果が飛躍的に高まるとともに、短時間
での処理も可能となる。
原理的には高いほど反応速度が大きくなるが、温度が高
くなるほど溶液中のオゾンの溶解度が低くなり、40℃を
超える温度において溶液中のオゾン濃度を 50PPM以上と
するには、処理雰囲気を大気圧以上に加圧する必要があ
り、装置が大がかりなものとなる。したがって処理温度
は、装置を大掛かりにしたくない場合には、室温程度で
十分である。
い。極性溶媒を含むことで溶液中のオゾンの活性を高め
ることができ、オゾン処理工程における処理時間を短縮
することが可能となる。この極性溶媒としては水が特に
好ましいが、アルコール系溶媒、N,N-ジメチルホルムア
ミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、N-メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド
などを単独であるいは水やアルコール系溶媒と混合して
用いることもできる。
いて、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤
の少なくとも一方とアルカリ成分とを含む溶液を成形品
と接触させるアルカリ処理工程を行う。
(B)に示すように、界面活性剤1は、オゾン処理工程
の成形品表面に表出する官能基にその疎水基が吸着する
と考えられる。またアルカリ成分は、成形品の表面を分
子レベルで溶解する機能をもち、成形品表面の脆化層を
除去して官能基をより多く表出させる。したがって、脆
化層の除去により表出した新たな官能基にも界面活性剤
1が吸着する。
る少なくとも一方の官能基に対して疎水基が吸着しやす
いものが用いられ、陰イオン性界面活性剤及び非イオン
性界面活性剤の少なくとも一方が用いられる。陽イオン
性界面活性剤及び中性界面活性剤では、めっき被膜が形
成できなかったり、効果の発現が困難となる。陰イオン
性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウ
リル硫酸カリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ステア
リル硫酸カリウムなどが例示される。また非イオン性界
面活性剤としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテ
ル、ポリエチレングリコールドデシルエーテルなどが例
示される。
子レベルで溶解して脆化層を除去できるものを用いるこ
とができ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
リチウムなどを用いることができる。
溶媒としては、極性溶媒を用いることが望ましく、水を
代表的に用いることができるが、場合によってはアルコ
ール系溶媒あるいは水−アルコール混合溶媒を用いても
よい。また溶液を成形品と接触させるには、成形品を溶
液中に浸漬する方法、成形品表面に溶液を塗布する方
法、成形品表面に溶液をスプレーする方法などで行うこ
とができる。
/Lの範囲とすることが好ましい。界面活性剤の濃度が
0.01g/Lより低いとめっき被膜の付着強度が低下し、
10g/Lより高くなると、成形品表面に界面活性剤が会
合状態となって余分な界面活性剤が不純物として残留す
るため、めっき被膜の付着強度が低下するようになる。
この場合には、処理後に成形品を水洗して余分な界面活
性剤を除去すればよい。
で12以上が望ましい。pH値が12未満であっても効果は得
られるが、表出する上記官能基が少なくなり、触媒金属
の付着性が低下してめっき被膜の形成が困難になる。
ないが、室温で1分以上とするのが好ましい。接触時間
が短すぎると、官能基に吸着する界面活性剤量が不足し
てめっき被膜の付着強度が低下する場合がある。しかし
接触時間が長くなり過ぎると、官能基が表出した層まで
溶解して無電解めっきが困難となる場合があるので、1
〜5分間程度で十分である。また温度は高い方が望まし
く、温度が高いほど接触時間を短縮することが可能であ
るが、室温〜60℃程度で十分である。
含む水溶液で処理した後に界面活性剤を吸着させてもよ
いが、界面活性剤を吸着させるまでの間に再び脆化層が
形成されてしまう場合があるので、陰イオン性界面活性
剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方とアルカ
リ成分とが共存する状態で行うことが望ましい。
リ成分を除去する工程を行ってもよい。界面活性剤は官
能基に強固に吸着しているので、水洗する程度では除去
されず吸着した状態が維持されることがわかっている。
したがって上記処理された成形品は、無電解めっき処理
までに時間が経過しても効果が失われることがない。
形品に上記オゾン処理工程のみを行うだけで、無電解め
っき被膜の付着強度が向上することがわかっている。し
かしながら無電解めっき処理した後の放置時間によって
めっき被膜の付着強度が変化し、放置時間が短いと付着
強度が低く、放置時間が長くなるにつれて付着強度が上
昇することが明らかとなった。そのため無電解めっき処
理したばかりの製品にあっては取り扱いに注意が必要と
なり、不注意に扱うとめっき被膜が剥離するという不具
合がある。
対して、成形品の表面を安定化する安定化処理工程を行
うことが望ましい。この安定化処理工程によって成形品
表面の不安定なオゾニドが分解されて、メチロール基あ
るいはカルボニル基などが生成すると考えられ、無電解
めっき処理直後からめっき被膜に高い付着強度が発現さ
れる。
後の成形品を還元剤又は酸化剤で処理する方法がある。
この処理は、成形品に還元剤又は酸化剤を接触させて行
う。還元処理は、オゾン処理後の成形品にチオ硫酸ナト
リウム、ヨウ化カリウム、硫化水素、亜硫酸ナトリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ヒドラジ
ン、ヒドロキシアミン化合物、水素などの還元性ガス、
などの還元剤を接触させることで行う。また酸化処理
は、オゾン処理工程後の成形品に過塩素酸ナトリウム、
過塩素酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウ
ム、過酸化水素水などの酸化剤を接触させることで行
う。還元剤又は酸化剤は、ガス状、溶液状、あるいは溶
融状として成形品に接触させればよく、その濃度には特
に制限がないが、濃度が高いほど処理時間が短くてす
む。また処理温度は常温でよいが、加温すれば処理時間
を短縮することができる。
は、オゾン処理工程後の成形品表面に液状又は溶液状の
還元剤又は酸化剤をスプレーしてもよいし、成形品を還
元剤又は酸化剤の溶液中に浸漬してもよい。また還元剤
又は酸化剤がガス状である場合には、還元剤又は酸化剤
の雰囲気中に成形品を配置すればよい。
処理工程を行った成形品を熱処理する方法がある。この
熱処理によって、オゾニドが分解するとともに樹脂中の
切断された高分子鎖が再結合されると考えられ、無電解
めっき処理の直後であってもめっき被膜には高い付着強
度が発現される。
後の成形品を加温する方法、赤外線を照射する方法、成
形品に火炎を照射する方法などがある。その雰囲気は大
気中でよいが、上記した還元剤含有雰囲気あるいは酸化
剤含有雰囲気で行うことも好ましい。また熱処理温度
は、成形品の変形を防ぐために熱変形温度未満とする。
熱処理温度の下限は特に制限されないが、処理時間を短
縮するために50℃以上とすることが望ましい。熱処理温
度が50℃未満であると、処理時間が5時間以上の長時間
となるため好ましくない。
処理工程を行った成形品を塩化ジルコニウムで処理する
方法がある。この処理方法では、塩化ジルコニムが触媒
として作用してオゾニドが分解するとともに、成形品表
面の不安定な官能基どうしが縮合することで切断された
高分子鎖が再結合されると考えられ、無電解めっき処理
の直後であってもめっき被膜には高い付着強度が発現さ
れる。
工程後の成形品に塩化ジルコニウム溶液を接触させるこ
とで行う。接触の方法としては、成形品表面に塩化ジル
コニウム溶液をスプレーしてもよいし、成形品を塩化ジ
ルコニウム溶液中に浸漬してもよい。また塩化ジルコニ
ウム溶液中の塩化ジルコニウムの濃度には特に制限がな
く、濃度が高いほど処理時間が短くてすむ。処理温度は
常温でよいが、加温すれば処理時間を短縮することがで
きる。塩化ジルコニウム溶液の溶媒は水でよく、アルコ
ールなどの有機溶媒を単独であるいは水と混合して用い
ることもできる。
ン処理工程後の成形品を活性水素で処理する方法があ
る。ここでいう活性水素とは、有機化合物中で炭素に直
接結合しておらず、酸素原子あるいは窒素原子などに結
合している水素原子を意味する。したがって水酸基をも
つアルコール、イミノ基、アミノ基などをもつアミン、
アンモニアなどで成形品を処理することにより、オゾニ
ドが分解されてメチロール基あるいはカルボニル基など
が生成すると考えられ、無電解めっき処理の直後であっ
てもめっき被膜には高い付着強度が発現される。
処理工程後の成形品表面に活性水素をもつ液状又は溶液
状の化合物をスプレーしてもよいし、成形品をその化合
物中に浸漬してもよい。またその化合物がガス状である
場合には、その雰囲気中に成形品を配置すればよい。処
理温度は常温でよいが、加温すれば処理時間を短縮する
ことができる。
オゾン処理工程後の成形品をオゾニド分解触媒で処理す
る方法がある。オゾニド分解触媒によってオゾニドが分
解されて、メチロール基あるいはカルボニル基などが生
成すると考えられ、無電解めっき処理の直後であっても
めっき被膜には高い付着強度が発現される。
鉄、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム
などが例示される。またオゾニド分解触媒で処理するに
は、オゾン処理工程後の成形品にオゾニド分解触媒の溶
液を接触させることで行う。接触の方法としては、成形
品表面に触媒溶液をスプレーしてもよいし、成形品を触
媒溶液中に浸漬してもよい。また触媒溶液中のオゾニド
分解触媒の濃度には特に制限がなく、濃度が高いほど処
理時間が短くてすむ。処理温度は常温でよいが、加温す
れば処理時間を短縮することができる。オゾニド分解触
媒溶液の溶媒は水でよく、アルコールなどの有機溶媒を
単独であるいは水と混合して用いることもできる。
ら無電解めっき処理までの間に行うことができ、上記し
たアルカリ処理工程の後、あるいは無電解めっき処理時
に触媒を吸着させた後に安定化処理工程を行ってもよ
い。しかしアルカリ処理工程では成形品表面の官能基が
重要であるので、安定化処理工程の種類のうち官能基が
多く形成されると考えられる熱処理以外の処理は、アル
カリ処理工程より前に行うことが望ましい。
が吸着した成形品が先ず触媒と接触される。すると、図
1(C)に示すように、触媒2が上記官能基に吸着して
いる界面活性剤1の親水基に吸着すると考えられる。
対して、触媒を吸着・活性化し次いで無電解めっきする
無電解めっき処理を施すことにより、界面活性剤が官能
基から外れるとともにめっき金属が官能基と結合すると
考えられ、付着強度に優れためっき被膜を形成すること
ができ、残留する内部応力が大きい表面に特に付着強度
に優れためっき被膜を形成することができる。
っき処理に用いられる触媒を用いることができる。触媒
を成形品の表面に吸着させるには、触媒溶液を成形品の
表面に接触させればよく、上記した溶液の接触と同様に
行うことができる。また接触時間、温度などの条件も、
従来と同様でよい。また無電解めっき処理の条件、析出
させる金属種なども制限されず、従来の無電解めっき処
理と同様に行うことができる。無電解めっき処理の後に
は、必要に応じて従来と同様に通常の電気めっき処理が
行われ、成形品に金属光沢を付与することができる。
的に説明する。
から射出成形により形成された成形品(トヨタ自動車の
シンボルマーク)を用い、室温にて氷酢酸に3分間浸漬
する先処理工程を行った。この先処理工程後の成形品で
は、局部的に白化が発生して粗面化されており、その部
分は残留する内部応力が大きな部分であると認められ
た。
いて、100PPMのオゾンを含有するオゾン水溶液に室温で
30分間浸漬するオゾン処理工程を行った。
リウムを1g/L溶解した混合水溶液を60℃に加熱し、
そこへオゾン処理工程後の成形品を2分間浸漬して、陰
イオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を吸着
させるアルカリ処理工程を行った。
水洗・乾燥後、3N塩酸水溶液に塩化パラジウムを 0.1
重量%溶解するとともに塩化錫を5重量%溶解し50℃に
加熱された触媒溶液中に3分間浸漬し、次いでパラジウ
ムを活性化するために、1N塩酸水溶液に3分間浸漬し
た。これにより触媒が吸着した成形品を得た。
き浴中に成形品を浸漬し、10分間Ni−Pめっき被膜を析
出させた。析出したNi−Pめっき被膜の厚さは 0.5μm
である。続いて硫酸銅系Cu電気めっき浴にて、Ni−Pめ
っき被膜の表面に銅めっき被膜を20μm析出させた。
い、先処理工程を行わなかったこと以外は実施例1と同
様に前処理を行い、同様に触媒吸着・活性化後に無電解
めっき被膜を形成し、さらにNi−Pめっき被膜と銅めっ
き被膜を形成した。
れためっき被膜をもつ成形品に対して、−30℃で2時間
保持し80℃で2時間保持するのを1サイクルとする冷熱
サイクル試験をそれぞれ5サイクル行い、それぞれ外観
を目視で判定した。
形品では局部的にめっき被膜に膨れが発生し、その部位
は実施例1の先処理工程後に発生した白化部位と一致し
ていた。つまり残留する内部応力が大きな部位において
めっき被膜に膨れが発生し、その部分の付着性が不足し
ている。しかし実施例1の方法で処理された成形品で
は、めっき被膜の膨れは認められず、残留する内部応力
が大きな部位においてもめっき被膜の付着性に優れてい
る。これは、成形品を氷酢酸に浸漬する先処理工程を行
った効果であることが明らかである。
から射出成形により形成された樹脂板を用意した。射出
速度を変化させ、射出速度の遅い順に表1に示すNo.1〜
No.5の5種類の樹脂板を用意した。
間浸漬し、5分間大気中で乾燥する先処理工程を行っ
た。そして実施例1と同様にオゾン処理工程及びアルカ
リ処理工程を行い、同様に触媒吸着・活性化後に無電解
めっき被膜を形成し、さらにNi−Pめっき被膜 0.5μm
と銅めっき被膜 100μmを形成した。
込みを1cm幅で入れ、銅めっき被膜の析出時から7日後
に、引張り試験機にてめっき被膜の付着強度を測定し
た。結果を表1に示す。
の5種類の樹脂板を用い、先処理工程を行わなかったこ
と以外は実施例2と同様に前処理を行い、同様に触媒吸
着・活性化後に無電解めっき被膜を形成し、さらに同様
にNi−Pめっき被膜と銅めっき被膜を形成した。そして
実施例2と同様にめっき被膜の付着強度を測定し、結果
を表1に示す。
漬する先処理工程を行わない場合には、射出速度が大き
い(同一容積に対し射出時間が短い)ものほど付着強度
が小さく、つまり残留する内部応力が大きいほど付着強
度が小さくその値も実施例2より小さい。しかし実施例
2では射出速度に関わらず高い付着強度が発現され、こ
れは樹脂板をアセトンに浸漬する先処理工程を行ったこ
とに起因していることが明らかである。
処理方法によれば、残留する内部応力が大きな成形品を
素材として高い付着強度を有するめっき被膜を形成する
ことができ、不良率を大きく低減することができる。
剤の少なくとも一方とアルカリ成分とを含む溶液で処理
した場合の推定される作用を示す説明図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 不飽和結合を有する樹脂から形成された
成形品に対して、酸又は有機溶剤にて処理する先処理工
程と、オゾンを含む溶液を該先処理工程後の該成形品に
接触させるオゾン処理工程と、該オゾン処理工程後の該
成形品を陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性
剤の少なくとも一方とアルカリ成分とを含むアルカリ溶
液で処理するアルカリ処理工程と、を行った後に無電解
めっき処理することを特徴とする無電解めっき素材の前
処理方法。 - 【請求項2】 前記オゾン処理工程後の前記成形品の表
面を安定化する安定化処理工程をさらに行う請求項1に
記載の無電解めっき素材の前処理方法。
Priority Applications (1)
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JP2002101391A JP3891871B2 (ja) | 2002-04-03 | 2002-04-03 | 無電解めっき素材の前処理方法 |
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