JP2003291289A - 二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルム

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JP2003291289A
JP2003291289A JP2002098404A JP2002098404A JP2003291289A JP 2003291289 A JP2003291289 A JP 2003291289A JP 2002098404 A JP2002098404 A JP 2002098404A JP 2002098404 A JP2002098404 A JP 2002098404A JP 2003291289 A JP2003291289 A JP 2003291289A
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Ieyasu Kobayashi
家康 小林
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Teijin DuPont Films Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐ブロッキング性、巻き取り性および加工適
性に優れる二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそ
れを用いた磁気記録媒体。 【解決手段】 ポリエステルA層の片面に、ポリエステ
ルB層を積層したフィルムであり、(1)ポリエステル
A層のポリエステルB層と隣接していない表面の表面粗
さ(WRaA)が1〜10nmの範囲にあり、ポリエス
テルB層のポリエステルA層と隣接していない表面の表
面粗さ(WRaB)および10点平均粗さ(WRzB)
がそれぞれ5〜20nmおよび50〜300nmの範囲
にあり、(2)ポリエステルA層のポリエステルB層と
隣接していない表面および/またはポリエステルB層の
ポリエステルA層と隣接していない表面に、水分散性ポ
リエステル樹脂及びプライマー層が設けられたことを特
徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐ブロッキング
性、巻き取り性および加工適性に優れた二軸配向積層ポ
リエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体に
関する。さらに詳しくは、非磁性層にトラッキングサー
ボ信号を記録する層が設けられた特にリニア記録方式の
メタル塗布型磁気記録媒体としたときに高記録密度を実
現できる二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれ
を用いた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートフィルムに
代表される二軸配向ポリエステルフィルムは、優れた物
理的および化学的特性を有することから広い用途に用い
られ、特に磁気記録媒体のベースフィルムとして好適に
用いられている。
【0003】近年、磁気記録媒体においては高密度化、
高容量化が進められており、それに伴ってベースフィル
ムの更なる表面平坦化や厚みの薄膜化が要望されてい
る。特に最近開発された蒸着型磁気テープに匹敵する性
能を有する重層メタル方式の磁気テープでは、より一層
厳しいベースフィルムの表面平坦化が要求されている。
【0004】また、特にリニア記録方式の磁気記録テー
プとして用いる場合、上述の平坦面の平坦化とフィルム
の滑り性とを高度に両立させるほかに、粗面も平坦化さ
せることが要求されてきている。これは、トラック密度
が高くなるに連れて、トラックずれの対策が必要とな
り、粗面であるバックコート側にトラッキングサーボ信
号を記録してトラックの位置決め精度向上を図ることが
行われているからである。したがって、リニア記録方式
の磁気記録テープとして用いる場合、バックコート側の
粗面化も制約され、平坦面および粗面を平坦化させつつ
フィルムの滑り性を高度に発現させることも要求されて
きている。また上記、平坦化とあわせ、付着異物による
表面欠点を極力なくすとともに、耐久走行性が要求され
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
の従来技術の欠点を解消し、平坦面だけでなく、非磁性
層面も平坦化しつつ、巻き取り性や加工性に優れ、かつ
比較的小さい粗大突起も少ない、特に非磁性層にトラッ
キングサーボ信号を記録する層が設けられた特にリニア
記録方式のメタル塗布型磁気記録媒体としたときに優れ
た電磁変換特性と優れた耐久走行性を発現する二軸配向
積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録
媒体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、ポリエステルA層の片面に、炭素数が8個以
上の脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからな
る(部分ケン化)エステルワックスを0.001〜1重
量%含有するポリエステルB層を積層したフィルムであ
って、(1)ポリエステルA層のポリエステルB層と隣
接していない表面の表面粗さ(WRaA)が1〜10n
mの範囲にあり、ポリエステルB層のポリエステルA層
と隣接していない表面の表面粗さ(WRaB)および1
0点平均粗さ(WRzB)がそれぞれ5〜20nmおよ
び50〜300nmの範囲にあり、(2)ポリエステル
A層のポリエステルB層と隣接していない表面および/
またはポリエステルB層のポリエステルA層と隣接して
いない表面に、(A)全酸成分当り40〜90モル%の
2,6−ナフタレンジカルボン酸及び0.01モル%以
上0.5モル%未満のスルホン酸金属塩基含有化合物を
共重合した水分散性ポリエステル樹脂及び(B)ポリエ
チレンオキシド・モノアルキルエーテルを主成分とする
プライマー層が設けられ、かつ(3)縦方向のヤング率
(EMD)および横方向のヤング率(ETD)がそれぞ
れ6GPa以上および4GPa以上で、縦方向のヤング
率(EMD)が横方向のヤング率(ETD)と等しいか
それよりも大きいことを特徴とする二軸配向積層ポリエ
ステルフィルムによって達成される。
【0007】また、上述の二軸配向積層ポリエステルフ
ィルムの好ましい態様として、B層が平均粒径0.05
〜1.0μmの不活性粒子PB を、B層の重量を基準と
して、0.001〜1重量%含有する二軸配向積層ポリ
エステルフィルム、特に不活性粒子が、耐熱性高分子粒
子または不活性無機粒子である二軸配向積層ポリエステ
ルフィルムが提供され、より好ましいB層が不活性粒子
を含有する態様として、B層が平均粒径の異なる2種の
不活性粒子PB1およびPB2を、B層の重量を基準とし
て、それぞれ0.001〜0.5重量%および0.01
〜1重量%含有しており、PB1が平均粒径(DPB1
0.2〜1.0μmであり、PB2が平均粒径(DPB2
0.05〜0.5μmであり、そして、DPB1からDP
B2を差し引いた平均粒径の差(DPB1−DPB2)が0.
1〜0.6μmである二軸配向積層ポリエステルフィル
ム、特にPB1が耐熱性高分子粒子で、PB2が耐熱性高分
子粒子あるいは不活性無機粒子である二軸配向積層ポリ
エステルフィルム、または、B層が平均粒径の異なる不
活性粒子PB1、PB2およびPB3を、B層の重量を基準と
して、それぞれ0.001〜0.1重量%、0.01〜
0.5量%および0.01〜1.0量%含有し、PB1
平均粒径(DPB1)が0.4〜1.0μmで且つ粒径分
布の相対標準偏差0.5以下で、PB2が平均粒径(DP
B2)0.2〜0.5μmで且つ粒径分布の相対標準偏差
0.5以下で、PB3が平均粒径(DPB3)0.05〜
0.3μmで、DPB1からDPB2を差し引いた平均粒径
の差(DPB1−DPB2)が0.1〜0.5m、そして、
DPB2からDPB3を差し引いた平均粒径の差(DPB2
DPB3)が0.1〜0.4μmの範囲である二軸配向積
層ポリエステルフィルム、特にPB1およびPB2が耐熱性
高分子粒子で、PB3が耐熱性高分子粒子または不活性無
機粒子である二軸配向積層ポリエステルフィルムも提供
される。
【0008】さらにまた、本発明によれば、上述の二軸
配向積層ポリエステルフィルムの好ましい態様として、
ポリエステルA層が、平均粒径0.05〜0.5μmの
不活性粒子PA を、ポリエステルA層の重量を基準とし
て、0.001〜0.5重量%含有する二軸配向積層ポ
リエステルフィルム、特に不活性粒子が、耐熱性高分子
粒子または不活性無機粒子である二軸配向積層ポリエス
テルフィルムが提供され、より好ましいポリエステルA
層が不活性粒子を含有する態様として、ポリエステルA
層が平均粒径の異なる不活性粒子PA1およびPA2を、ポ
リエステルA層の重量を基準として、それぞれ0.00
1〜0.5重量%および0.01〜1重量%含有し、P
A1が平均粒径(DPA1)0.2〜0.5μmで且つ粒径
分布の相対標準偏差0.5以下で、PA2が平均粒径(D
A2)が0.05〜0.3μmで、DPA1からDPA2
差し引いた平均粒径の差(DPA1−DPA2)が0.1〜
0.4μmの範囲である二軸配向積層ポリエステルフィ
ルム、特にPA1が耐熱性高分子粒子で、PA2が耐熱性高
分子粒子あるいは不活性無機粒子である二軸配向積層ポ
リエステルフィルムも提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0010】<ポリエステル>本発明において、ポリエ
ステルA層およびポリエステルB層を形成するポリエス
テルは熱可塑性ポリエステルであるが、特に芳香族ポリ
エステルが好ましい。芳香族ポリエステルとしては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレー
ト、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4
−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを
例示することができる。これらのうち、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレートが好ましい。
【0011】これらのポリエステルは、ホモポリエステ
ルであっても、コポリエステルであっても良い。コポリ
エステルの場合、例えば、ポリエチレンテレフタレート
またはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レートの共重合成分としては例えばジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、テトラメチレングリコル、
ヘキサメチレングリコール、ネオベンチルグリコール、
ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール、p−キシリレングリコールなどの他のジオー
ル成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸(ただし、ポリエチレン−2,6−
ナフタレンジカルボキシレートの場合)、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸(ただし、ポリエチレンテレフタレ
ートの場合)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など
の他のジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸
などのオキシカルボン酸成分などが挙げられる。これら
の共重合成分の量は、20モル%以下、さらには10モ
ル%以下であることが好ましい。また、ポリエチレンテ
レフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレートを主たる成分とするコポリエステル
は、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3官能以上
の多官能化合物を共重合させてもよく、その共重合量
は、ポリマーが実質的に線状である量、例えば2モル%
以下が好ましい。なお、ポリエチレンテレフタレートま
たはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ートを主たる成分とするコポリエステルの共重合成分
は、これらを主たる成分としない他のコポリエステルに
も同様に考えて適用できる。
【0012】上記ポリエステルは、それ自体公知であ
り、かつそれ自体公知の方法で製造することができる。
上記ポリエステルとしては、O−クロロフェノール中の
溶液として35℃で測定した固有粘度が0.4〜0.9
dl/gのものが好ましく、0.5〜0.7dl/gの
ものがさらに好ましく、0.55〜0.65dl/gの
ものが特に好ましい。
【0013】<積層フィルム>本発明の二軸配向積層ポ
リエステルフィルムは、ポリエステルA層の片面にポリ
エステルB層が積層されたものである。そして、この二
軸配向積層ポリエステルフィルムを磁気記録媒体として
用いる場合、ポリエステルB層と隣接していないポリエ
ステルA層の表面は、磁気記録を行なうための磁性層が
設けられ、ポリエステルA層と隣接していないポリエス
テルB層の表面は主に磁気記録媒体の走行性を維持する
のに用いられ、その表面にバックコート層などが形成さ
れることもある。以下、説明の便宜上、ポリエステルB
層と隣接していないポリエステルA層の表面を平坦面、
ポリエステルA層と隣接していないポリエステルB層の
表面を走行面と称することがある。
【0014】また、本発明における二軸配向積層ポリエ
ステルフィルムは、全厚が好ましくは2〜10μm、よ
り好ましくは3〜7μm、特に好ましくは4〜6μmの
ものである。二軸配向積層ポリエステルフィルムのA層
とB層の厚み構成は、好ましくはB層の厚みが二軸配向
積層ポリエステルフィルムの全厚みの2/3以下、さら
に好ましくは1/2以下、特に好ましくは1/3以下で
ある。
【0015】<ポリエステルA層(A層)>本発明にお
けるポリエステルA層のポリエステルB層と隣接してい
ない側の表面(平坦面)は、その表面粗さ(WRaA)
が1〜10nmであることが必要であり、4〜8nm、
さらには5〜7nmの範囲にあることが好ましい。平坦
面の表面粗さ(WRaA)が1nm未満であると巻き取
り性や加工工程での搬送性が悪く、他方、10nmを超
えると電磁変換特性が低下する。
【0016】平坦面の表面粗さ(WRaA)を上記範囲
にするには、ポリエステルA層に不滑性粒子PA を含有
させることが好ましい。該不活性粒子PA の平均粒径
(DP A )は好ましくは0.05〜0.5μm、より好
ましく0.1〜0.4μm、更に好ましくは0.1〜
0.3μmである。また、かかる不活性粒子PA の含有
量は、A層の重量を基準として、好ましくは0.001
〜0.5重量%、より好ましくは0.01〜0.4重量
%、更に好ましくは0.05〜0.3重量%である。
【0017】前記不活性粒子PA の平均粒径が0.05
μm未満、または含有量が0.001重量%未満では滑
り性が不十分となりやすく、巻き取り性や加工工程での
搬送性が悪くなる場合がある。一方、平均粒径が0.5
μmを超えるか、または含有量が0.5重量%を超える
と、A層の表面が粗いものとなりやすく、電磁変換特性
を悪化させる場合がある。
【0018】本発明における好ましい不活性粒子P
A は、(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、架橋シリコ
ーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラ
ミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、
ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエス
テルなどの1種以上からなる粒子)、ならびに、(2)
金属酸化物(例えば、三二酸化アルミニウム、二酸化チ
タン、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸
化亜鉛、酸化ジルコニウムなど)、(3)金属の炭酸塩
(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、
(4)金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウムなど)、(5)炭素(例えば、カーボンブラッ
ク、グラファイト、ダイアモンドなど)および(6)粘
土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベントナイトな
ど)などの無機化合物からなる微粒子が挙げられる。こ
れらのうち、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレ
ン樹脂粒子、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子、ポ
リアミドイミド樹脂粒子、三二酸化アルミニウム(アル
ミナ)粒子、二酸化チタン粒子、二酸化ケイ素粒子、酸
化ジルコニウム粒子、合成炭酸カルシウム粒子、硫酸バ
リウム粒子、ダイアモンド粒子、およびカオリン粒子が
好ましい。さらに好ましくは、架橋シリコーン樹脂粒
子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、三二酸化アルミニウム
(アルミナ)粒子、二酸化チタン粒子、二酸化ケイ素粒
子、および炭酸カルシウム粒子である。なお、不活性粒
子PA は、1種に限らず、2種以上のものを混合して使
用してもよい。
【0019】不活性粒子PA が2種以上の粒子からな
り、それぞれの不活性粒子を平均粒径の大きなものか
ら、PA1、PA2、PA3、PA4、・・・とした場合、PA1
は前述の不活性粒子PA として例示した粒子を好ましく
採用でき、PA1よりも平均粒径の小さいPA2またはPA3
といった第2、第3の粒子(微細粒子)は、前述の不活
性粒子PA として例示した粒子のほかに、コロイダルシ
リカ、α、γ、δ、θなどの結晶形態を有するアルミナ
などの微粒子も好ましく用いることができる。
【0020】不活性粒子PA が平均粒径の異なる少なく
とも2種の不活性粒子PA1およびP A2を含有する場合、
不活性粒子PA1は、平均粒径が0.2〜0.5μmでそ
の粒径分布の相対標準偏差が0.5以下でA層の重量を
基準としたときの含有量が0.001〜0.5重量%の
範囲にあることが好ましく、不活性粒子PA1よりも平均
粒径の小さい不活性粒子PA2は、平均粒径が0.05〜
0.3μmでA層の重量を基準としたときの含有量が
0.01〜1.0重量%の範囲にあることが好ましく、
不活性粒子PA1の平均粒径(DPA1)からPA2の平均粒
径(DPA2)を差し引いた平均粒径の差(DPA1−DP
A2)が0.1〜0.4μmであることが好ましい。な
お、上記の2種の不活性粒子PA1およびPA2は、それら
の粒径分布曲線において、上記平均粒径の範囲内にそれ
ぞれ存在する明瞭に区別し得る2つの粒径のピークを示
すことで明瞭に区別される。
【0021】不活性粒子PA1の平均粒径が0.2μm未
満、またA層に対する添加量が0.001重量%未満で
あると、巻き取り性や加工工程での搬送性が悪くなりや
すい。他方、不活性粒子PA1の平均粒径が0.5μmを
超えたり、A層に対する不活性粒子PA1の添加量が0.
5重量%を超えると、電磁変換特性が低下しやすい。ま
た、不活性粒子PA2の平均粒径が0.05μm未満であ
るかA層に対する添加量が0.01重量%未満であると
巻き取り性や加工工程での搬送性が悪くなりやすく、他
方、不活性粒子PA2の平均粒径が0.3μmを超えるか
A層に対する添加量が1.0重量%を超えると、電磁変
換特性が低下しやすい。さらにまた、不活性粒子PA1
A2の平均粒径の差(DPA1−DPA2)が0.1μm未
満であると不活性粒子を2成分添加した効果が十分に発
揮されず、巻き取り性や加工工程での搬送性などの改善
効果が悪くなる。平均粒径の異なる2種の不活性粒子P
A1およびPA2は、それぞれ不活性粒子PA1が前記耐熱性
高分子で、不活性粒子PA2が前記耐熱性高分子あるいは
前記不活性無機粒子であることが好ましい。不活性粒子
A1の粒径の標準偏差は0.5以下であることが好まし
い。また、不活性粒子PA2が不活性架橋高分子粒子やシ
リカ粒子などフィルム中に単分散している粒子の場合、
不活性粒子PA2も粒径の標準偏差は0.5以下であるこ
とが好ましく、不活性粒子PA2がアルミナ粒子などフィ
ルム中に凝集状態で存在する粒子の場合、2次粒径の平
均粒径が0.05〜0.3μmの範囲にあることが好ま
しい。上記の2種の不活性粒子PA1およびPA2がこのよ
うな標準偏差をもつことで、これらの不活性粒子は粒径
分布曲線において、それぞれの平均粒径の範囲内に存在
する2つの粒径ピークが明瞭に区別し得るようになすこ
とができる。
【0022】なお、本発明におけるポリエステルA層
は、磁性層との接着性を損なわない範囲であれば、ポリ
エステルB層に添加する前記エステルワックスを含んで
いても良く、好ましいエステルワックスの添加量は、ポ
リエステルA層の重量を基準として、高々1重量%であ
る。
【0023】<ポリエステルB層(B層)>本発明にお
けるポリエステルB層は、ポリエステルA層と隣接して
いないその表面(走行面)が表面粗さ(WRaB)5〜
20nmの範囲にあるものである。好ましい走行面の表
面粗さ(WRaB)の範囲は5〜15nm、特に7〜1
2nmである。表面粗さWRaBが5nm未満である
と、エステルワックスを含有させても滑り性が不足し、
巻き取り性や加工工程でのハンドリング性が悪くなる。
他方、表面粗さWRaBが20nmを超えるとトラッキ
ングサーボ信号を塗工した際にエラーが発生しやすくな
る。特にトラッキングサーボ信号を走行面に塗工する場
合、走行面の表面粗さ(WRaB)は高々15nmであ
ることが好ましい。
【0024】また、本発明におけるポリエステルB層
は、走行面の10点平均粗さWRzBが50〜300n
m、好ましくは100〜250nm、特に好ましくは1
00〜200nmの範囲である。走行面の10点平均粗
さWRzBが50nm未満の場合、滑り性が不足して巻
き取り性や加工工程でのハンドリング性が悪くなる。一
方、走行面の10点平均粗さWRzBが300nmを超
えると、トラッキングサーボ信号を塗工した場合、エラ
ーが発生しやすくなる。特にトラッキングサーボ信号を
走行面に塗工する場合、走行面の10点平均粗さWRz
Bは高々250nmであることが好ましい。
【0025】走行面の表面粗さ(WRaB)および10
点平均粗さWRzBを上記範囲にするには、例えば、ポ
リエステルB層に、平均粒径が0.05〜1.0μmの
不活性粒子PB を、B層の重量を基準として、0.00
1〜1重量%含有させるのが好ましい。なお、ポリエス
テルB層に使用する不活性粒子PB は、前述のポリエス
テルA層に使用する不活性粒子PA として例示したもの
が好適に使用できる。不活性粒子PB の平均粒径が0.
05μm未満であるか、添加量が0.001重量%未満
であると、走行面の表面粗さ(WRaB)および10点
平均粗さWRzBを上記範囲にすることが難しく、滑り
性が不足して巻き取り性や加工工程でのハンドリング性
が悪くなりやすい。他方、不活性粒子PB の平均粒径が
1.0μmを超えるか添加量が1重量%を超えると、や
はり走行面の表面粗さ(WRaB)および10点平均粗
さWRzBを上記範囲にすることが難しく、トラッキン
グサーボ信号を塗工した場合、エラーが発生しやすくな
る。
【0026】ところで、不活性粒子PB は、1種に限ら
ず、2種以上のものを混合して使用してもよく、不活性
粒子の成分数が多いほど平坦易滑性が得やすいことか
ら、むしろ、1種よりは2種、2種よりは3種の平均粒
径が異なる不活性粒子を併用するのが好ましい。なお、
平均粒径が異なる不活性粒子を3種以上併用してもよい
が、その場合の平坦易滑性を向上させる効果は3種の平
均粒径が異なる不活性粒子を併用したものとさほど変わ
らない。なお、説明の便宜上、不活性粒子PB が2種以
上の粒子からなる場合、それぞれの不活性粒子を平均粒
径の大きなものから、PB1、PB2、PB3、PB4、・・・
と、以下称する。
【0027】本発明におけるB層の好ましい不活性粒子
の含有状態について、以下説明する。まず、不活性粒子
B が平均粒径の異なる2種の不活性粒子PB1およびP
B2を含有する場合、不活性粒子PB1は平均粒径が0.2
〜1.0μmでその粒径分布の相対標準偏差が0.5以
下で添加量が、B層の重量を基準として、0.001〜
0.5重量%の範囲にあるものが好ましく、不活性粒子
B2は平均粒径が0.05〜0.5μmで添加量が、B
層の重量を基準として、0.01〜1重量%の範囲にあ
るものが好ましく、不活性粒子PB1の平均粒径(D
B1)からPB2の平均粒径(DPB2)を差し引いた平均
粒径の差(DPB1−DPB2)は0.1〜0.6μmの範
囲であるのが好ましい。また、平均粒径の異なる2種の
不活性粒子P B1およびPB2は、それぞれ不活性粒子PB1
が前記耐熱性高分子で、不活性粒子P B2が前記耐熱性高
分子あるいは前記不活性無機粒子であることが好まし
い。
【0028】上記の2種の不活性粒子PB1およびP
B2は、それらの粒径分布曲線において、上記平均粒径の
範囲内にそれぞれ存在する明瞭に区別し得る2つの粒径
のピークを示すことで明瞭に区別される。ここで不活性
粒子PB1の粒径の標準偏差は0.5以下であることが好
ましい。また、不活性粒子PB2が不活性架橋高分子粒子
やシリカ粒子などフィルム中に単分散している粒子の場
合、不活性粒子PB2も粒径の標準偏差は0.5以下であ
ることが好ましく、不活性粒子PB2がアルミナ粒子など
フィルム中に凝集状態で存在する粒子の場合、2次粒径
の平均粒径が0.05〜0.5μmの範囲にあることが
好ましい。上記の2種の不活性粒子PB1およびPB2がこ
のような標準偏差をもつことで、これらの不活性粒子は
粒径分布曲線において、それぞれの平均粒径の範囲内に
存在する2つの粒径ピークが明瞭に区別し得るようにな
すことができる。
【0029】不活性粒子が2成分の場合、平均粒径が上
記範囲未満であるか、添加量が上記範囲未満であると、
滑り性が不足し、巻き取り性や加工工程でのハンドリン
グ性が悪くなり、他方、平均粒径が上記範囲を超えるか
添加量が上記範囲を超えるとトラッキングサーボ信号を
塗工した場合、エラーが発生しやすくなり、また、平均
粒径の差が上記範囲未満だと、3成分を添加による効果
が発現され難い。
【0030】つぎに、不活性粒子PB が平均粒径の異
なる3種の不活性粒子PB1、PB2およびPB3を含有する
場合、不活性粒子PB1は平均粒径が0.4〜1.0μm
でその粒径分布の相対標準偏差が0.5以下で添加量
が、B層の重量を基準として、0.001〜0.1重量
%の範囲にあるものが好ましく、不活性粒子PB2は平均
粒径が0.2〜0.5μmでその粒径分布の相対標準偏
差が0.5以下で添加量が、B層の重量を基準として、
0.01〜0.5量%の範囲にあるものが好ましく、不
活性粒子PB3は平均粒径が0.05〜0.3μmで添加
量が、B層の重量を基準として、0.01〜1量%の範
囲にあるものが好ましく、不活性粒子PB1の平均粒径
(DPB1)からPB2の平均粒径(DPB2)を差し引いた
平均粒径の差(DPB1−DPB2)は0.1〜0.5mの
範囲であるのが好ましく、また、不活性粒子PB2の平均
粒径(DPB2)からPB3の平均粒径(DPB3)を差し引
いた平均粒径の差(DPB2−DPB3)は0.1〜0.4
μmの範囲であるのが好ましい。また、不活性粒子
B1、PB2およびPB3は、不活性粒子PB1およびPB2
耐熱性高分子粒子、PB3が耐熱性高分子粒子あるいは不
活性無機粒子であるのが好ましい。
【0031】上記の3種の不活性粒子PB1、PB2および
B3は、それらの粒径分布曲線において、上記平均粒径
の範囲内にそれぞれ存在する明瞭に区別し得る2つの粒
径のピークを示すことで明瞭に区別される。ここで不活
性粒子PB1およびPB2の粒径の標準偏差は0.5以下で
あることが好ましい。また、不活性粒子PB3が不活性架
橋高分子粒子やシリカ粒子などフィルム中に単分散して
いる粒子の場合、不活性粒子PB3も粒径の標準偏差は
0.5以下であることが好ましく、不活性粒子P B3がア
ルミナ粒子などフィルム中に凝集状態で存在する粒子の
場合、2次粒径の平均粒径が0.05〜0.3μmの範
囲にあることが好ましい。上記の3種の不活性粒子
B1、PB2およびPB3がこのような標準偏差をもつこと
で、これらの不活性粒子は粒径分布曲線において、それ
ぞれの平均粒径の範囲内に存在する2つの粒径ピークが
明瞭に区別し得るようになすことができる。
【0032】不活性粒子が3成分の場合、平均粒径が上
記範囲未満であるか、添加量が上記範囲未満であると、
滑り性が不足し、巻き取り性や加工工程でのハンドリン
グ性が悪くなり、他方、平均粒径が上記範囲を超えるか
添加量が上記範囲を超えるとトラッキングサーボ信号を
塗工した場合、エラーが発生しやすくなり、また、平均
粒径の差が上記範囲未満だと、3成分を添加による効果
が発現され難い。
【0033】<エステルワックス>本発明の二軸配向積
層ポリエステルフィルムのポリエステルB層は、炭素数
が8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価アルコー
ルからなる(部分ケン化)エステルワックスを0.00
1〜1重量%含有する。ここで、(部分ケン化)エステ
ルワックスとは、エステルワックスと部分ケン化エステ
ルワックスとを包含するものである。
【0034】まず、エステルワックスを構成する脂肪族
モノカルボン酸は、炭素数が8個以上であることが必要
であり、その上限は高々34個であることが好ましい。
この脂肪族モノカルボン酸の炭素数が8個未満である
と、得られたエステルワックスの耐熱性が不十分で、ポ
リエステルB層に分散させる際の加熱条件で、脂肪族モ
ノカルボン酸が容易に分解されてしまう。このような脂
肪族モノカルボン酸としては、例えばペラルゴン酸、カ
プリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、
ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタ
デシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、
ペヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、
メリシン酸、ヘントリアコンタン酸、ペトロセリン酸、
オレイン酸、エルカ酸、リノール酸およびこれらを含む
酸の混合物などが挙げられる。
【0035】次に、エステルワックスを構成するアルコ
ール成分は、水酸基を2個以上有する多価アルコールで
あり、耐熱性の観点から、水酸基を3個以上有する多価
アルコールが好ましい。このアルコール成分として、モ
ノアルコールを用いたのでは、生成したエステルワック
スの耐熱性が不足する。前記水酸基を2個有する多価ア
ルコールとしては、エチレングリコール、プロピレング
リコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタ
ンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカ
ンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、ポリエチレングリコールなどを好ましく例示す
ることができる。また水酸基を3個以上有する多価アル
コールとしては、グリセリン、エリスリット、トレイッ
ト、ペンタエリスリット、アラビット、キシリット、タ
リット、ソルビット、マンニットなどを好ましく例示す
ることができる。
【0036】そして、上記の脂肪族モノカルボン酸およ
び多価アルコールから得られるエステルワックスは、多
価アルコールの水酸基の数にもよるが、モノエステル、
ジエステル、トリエステルなどがあり、耐熱性の観点か
ら、モノエステルよりもジエステルが、ジエステルより
もトリエステルが好ましい。好ましいエステルワックス
としては、具体的にはソルビタントリステアレート、ペ
ンタエリスリットトリペヘネート、ペンタエリスリトー
ルジステアレート、グリセリントリステアレート、グリ
セリントリパルミテートおよびポリオキシエチレンジス
テアレートなどを例示することができる。
【0037】上記脂肪族モノカルボン酸および多価アル
コールからなる部分ケン化エステルワックスは、炭素数
が8個以上の高級脂肪酸を多価アルコールで部分エステ
ル化したのち、2価以上の金属水酸化物でケン化するこ
とにより得られる。具体的には、モンタン酸ジオールエ
ステルを水酸化カルシウムでケン化した、ワックスE・
ワックスOP、ワックスO、ワックスOM、ワックスF
L(全て、ヘキスト(株)社製商品名)などが挙げられ
る。もちろん、これらの(部分ケン化)エステルワック
スは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用し
てもよい。
【0038】本発明において、ポリエステルB層に含有
させる前記(部分ケン化)エステルワックスの量は、B
層の重量を基準として0.001〜1重量%であること
が必要であり、好ましくは0.01〜0.5重量%、さ
らに好ましくは0.05〜0.3重量%、特に好ましく
は0.1〜0.2重量%である。(部分ケン化)エステ
ルワックスの含有量が、0.001重量%未満である
と、巻き取り性の改良効果が得られない。一方、1重量
%を超えると、加工工程で過度に滑りやすくなって、反
ってハンドリング性が劣るという問題や、B層の表面に
ブリードアウトによって多量に発現したエステルワック
スが、ロール上に巻き上げたときにB層の表面と接する
A層の表面に転写し、A層の表面にメタルプライマー層
などの磁性層を設ける際にとA層の表面とメタルプライ
マー層との接着性を低下させたりする。
【0039】<易滑または易接層>本発明における二軸
配向積層ポリエステルフィルムのポリエステルフィルム
の少なくとも片面に接着性向上のため、プライマー層を
設ける。
【0040】本発明において、ポリエステルフィルムの
少なくとも片面に設けるプライマー層は、(A)全カル
ボン酸成分当り40〜90モル%の2,6−ナフタレン
ジカルボン酸及び0.01モル%以上0.5モル%未満
のスルホン酸金属塩基含有化合物を共重合した水分散性
ポリエステル樹脂、及び(B)ポリエチレンオキシド・
モノアルキルエーテルを主成分とするプライマー層であ
る。
【0041】前記水分散性ポリエステル樹脂は、2,6
−ナフタレンジカルボン酸が全酸成分当り40〜90モ
ル%、及びスルホン酸金属塩基含有化合物が全ジカルボ
ン酸成分当り0.01モル%以上0.5モル%未満の割
合で共重合されている。
【0042】2,6−ナフタレンジカルボン酸が全酸成
分当り40モル%未満であると、フィルムの粘着性が増
大するので好ましくなく、一方90モル%を超えると水
分散性ポリエステル樹脂を水分散化する工程において該
水分散性ポリエステル樹脂が親水性溶媒に溶解しにくく
なり、水分散化が困難となるため好ましくない。
【0043】スルホン酸金属塩基含有化合物が全ジカル
ボン酸成分当り0.01モル%未満であると、水分散性
ポリエステル樹脂の水分散性や塗液の安定性が非常に悪
くなり、一方0.5モル%以上であるとフィルムの帯電
性が強くなり、本発明の目的を達成することができない
ので好ましくない。スルホン酸金属塩含有化合物の共重
合割合は、0.04〜0.1モル%が好ましい。
【0044】このスルホン酸金属塩基含有化合物として
は、スルホン酸塩基(例えばNaスルホネート、Liス
ルホネート、Kスルホネート、アンモニウムスルホネー
ト、ポリアルキルホスフィンスルホネート等)を有する
ジカルボン酸、例えば5−Naスルホイソフタル酸、5
−Kスルホイソフタル酸、5−Naスルホテレフタル
酸、5−Kスルホテレフタル酸等を好ましく挙げること
ができる。
【0045】前記水分散性ポリエステル樹脂を構成する
共重合ポリエステルの酸成分としては、前述の割合の
2,6−ナフタレンジカルボン酸及びスルホン酸金属塩
基を有する化合物の他、以下の芳香族ジカルボン酸を使
用することができる。すなわち、テレフタル酸、イソフ
タル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4′−ジフェ
ニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸等を挙げること
ができる。これらの中、イソフタル酸が好ましい。
【0046】また、水分散性ポリエステル樹脂を構成す
るグリコール成分としては、エ本発明のプライマー層を
形成するポリエチチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールAのアル
キレンオキシド付加物等を例示することができる。これ
らは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても
よい。
【0047】本発明のプライマー層を形成するポリエチ
レンオキシド・モノアルキルエーテルは下記式(1)で
表わされるエーテル化合物である。
【0048】
【化1】RO−(C24O)q−H ……(1) 式(1)中、Rはアルキル基を表わし、qは3〜15の
数を表わす。該アルキル基としては炭素数8〜18の一
級または二級アルキル基が好ましく、具体例としてオク
チル基、ラウリル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、
ステアリル基等が好ましく挙げられる。上記式(1)に
おいて、アルキル基は親油性付与成分として作用し、
【0049】
【化2】−(C24O)q−H は親水性付与成分として作用する。すなわち、アルキル
基の分子量にもよるが、通常エチレンオキシドの付加重
合度が小さいもの(換言すると、qが小さいもの)は親
油性が強く、一方この付加重合度が大きいもの(換言す
ると、qが大きいもの)は親水性の強いものとなる。両
特性のバランスにおいて、Rは炭素数12〜14のアル
キル基、qは5〜9であることが特に好ましい。
【0050】本発明において、(A)水分散性ポリエス
テル樹脂と(B)ポリエチレンオキシド・モノアルキル
エーテルの重量比(A/B)は95/5〜70/30、
さらには90/10〜75/25であることが好まし
い。水分散性ポリエステル樹脂の割合が95重量%を超
えると塗工性不良となり、一方70重量%未満になると
接着性が不良及び粘着性が増大する。またポリエチレン
オキシド・モノアルキルエーテルが30重量%を超える
と、接着性、耐ブロッキング性の低下や粘着性の増大が
見られ、一方5重量%未満になると塗工性不良となる。
また、プライマー層の軟化点は、粘着性の点から100
℃より高いことが好ましい。
【0051】かかるプライマー層を設けたポリエステル
フィルムは、その粘着性が30g以上、300g以下で
あることが好ましい。本発明において、粘着性は後述の
方法により測定される。粘着性が300gを超えると、
製造工程内で浮遊異物が付着しやすくなるので好ましく
ない。一方、粘着性が30g以下であると、プライマー
層の塗工性が低下することがある。かかる粘着性は、4
0g〜250gが好ましい。
【0052】本発明におけるプライマー層を形成するた
めのプライマー塗液の調製方法は、まず水分散性ポリエ
ステル樹脂の水分散体を調製した後、これにポリエチレ
ンオキシド・モノアルキルエーテルを添加する方法が好
ましく例示できる。水分散性ポリエステル樹脂の水分散
体の調製方法は、例えば以下の方法で実施することがで
きる。
【0053】水分散性ポリエステル樹脂を、20℃で1
リットルの水に対する溶解度が20g以上でかつ沸点が
100℃以下、さらに100℃以下で水と共沸する親水
性の有機溶媒に溶解する。この親水性の有機溶媒として
は、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、メチ
ルエチルケトン等を例示することができる。次いで、水
分散性ポリエステル樹脂を溶解した親水性の有機溶媒
に、撹拌下好ましくは加温高速撹拌下で水を添加し、青
白色から乳白色の分散体とする。また、撹拌下の水に水
分散性ポリエステル樹脂を溶解した親水性の有機溶媒を
添加する方法によっても青白色から乳白色の分散体とす
ることもできる。さらに、得られた分散体を常圧又は減
圧下で蒸留し親水性の有機溶媒を留去すると目的のポリ
エステル水分散体が得られる。水分散性ポリエステル樹
脂を水と共沸する親水性の有機溶媒に溶解した場合に
は、該有機溶媒留去時に水が共沸するので、水の減量分
を考慮し、水を多めに使用することが好ましい。加え
て、蒸留後の固形分濃度が40重量%を超えると、水に
分散する水分散性ポリエステル樹脂の微粒子の再凝集が
起こりやすくなり、水分散体の安定性が低下するため、
蒸留後の固形分濃度は40重量%以下とすることが好ま
しい。一方、固形分濃度の下限は特にないが、固形分濃
度が低すぎると塗工後の乾燥に要する時間が長くなるた
め、0.1重量%以上とするのが好ましい。前記水分散
性ポリエステル樹脂の平均粒径は、1μm以下であるこ
とが好ましく、特に0.8μm以下であることが好まし
い。
【0054】本発明におけるプライマー層の形成は、ポ
リエステルフィルムの製膜工程で一軸延伸後塗布し、二
軸延伸時に乾燥して形成するインライン塗布方式または
二軸配向フィルムに塗布するオフライン塗布方式のどち
らでもよい。好ましいプライマー層の形成は、塗膜形成
の観点からインライン塗布方式である。また、塗布方法
は特に限定されず、例えばロールコート法、ダイコート
法などで塗布すればよい。
【0055】なお、塗布する際の塗液は、特に水性塗液
の場合、固形分濃度は0.2〜8重量%、さらには0.
3〜6重量%、特に0.5〜4重量%であることが好ま
しい。また、水性塗液の場合には、本発明の効果を妨げ
ない範囲で、他の成分、例えば上記以外の界面活性剤、
安定剤、分散剤、紫外線吸収剤または増粘剤などを添加
することができる。
【0056】<ヤング率>本発明における二軸配向積層
ポリエステルフィルムは、縦方向のヤング率が6GPa
以上であることが必要であり、好ましくは7GPa以
上、特に好ましくは7.5GPa以上である。縦方向の
ヤング率が6GPa未満であると、磁気テープの縦方向
強度が弱くなり、記録・再生時に縦方向に強い力がかか
ると、幅方向の収縮が大きくなり、リニア記録方式の磁
気テープの場合、トラックずれが大きくなり、記録・再
生のエラーが発生する。また、フィルム横方向のヤング
率は4GPa以上であることが必要であり、特に好まし
く5GPa以上である。横方向のヤング率が4GPa未
満であると、リニア記録方式の磁気テープとした場合、
温湿度変化時の幅方向の寸法変化が大きくなり、トラッ
クずれによる記録・再生のエラーが発生する。さらに、
リニア記録方式の磁気テープ用として供する場合、縦方
向の伸びを少なくする点から、縦方向のヤング率が横方
向のヤング率より大きいことを要する。縦方向のヤング
率が横方向のヤング率未満だと、縦方向のヤング率が低
くなり、縦方向に張力が掛かった場合、縦方向に伸びや
すく、横方向に収縮しやすくなり、好ましくない。ま
た、縦方向のヤング率が高く、かつ横方向のヤング率を
縦方向のそれよりも高くしようとした場合、製膜工程で
延伸応力が高くなり、フィルム切断が多発し、生産困難
となる。ここで、本発明における縦方向とはフィルムの
製膜方向を意味し、横方向とはフィルムの製膜方向およ
びフィルムの厚み方向に直交する方向を意味する。ま
た、フィルムの縦方向は長手方向、フィルムの横方向は
幅方向と称することがある。
【0057】本発明の二軸配向積層ポリエステルフィル
ムは、縦方向のヤング率と横方向のヤング率の和が10
〜20GPa、更には12〜16GPaであることが好
ましい。縦方向のヤング率と横方向のヤング率の和が1
0GPa未満であると、磁気テープの強度が弱くなり、
テープが容易に破断し、また温湿度変化時の寸法変化が
大きくなり、トラックずれによる記録・再生のエラーが
発生し、満足し得る高密度磁気媒体が得られない場合が
ある。一方、縦方向のヤング率と横方向のヤング率の和
が20GPaを超えると、フィルム製膜時の延伸倍率が
過度に高くなり、フィルム破断が多発して製品歩留りが
悪化する場合がある。
【0058】<二軸配向積層ポリエステルフィルムの製
膜法>不活性粒子PA を含有させたポリエステルAと
(部分ケン化)エステルワックスおよび不活性粒子PB
を含有するポリエステルBを、それぞれ高精度ろ過した
のち、押出し口金内または口金より上流の位置で、溶融
状態にて積層複合(一般に、前者はマルチマニホールド
方式、後者はフィードブロック方式と称する)し、次い
で口金より融点(Tm)〜(Tm+70)℃の温度(た
だし、Tmはポリエステルの融点)でフィルム状に共押
出したのち、10〜70℃の冷却ロールで急冷固化して
未延伸積層フィルムを得る。その後、該未延伸積層フィ
ルムを常法に従い、縦方向に(Tg−10)〜(Tg+
70)℃の温度(ただし、Tgはポリエステルのガラス
転移温度)で2〜7倍の倍率、好ましくは4〜6倍の倍
率で延伸し、次いで横方向に(Tg)〜(Tg+70)
℃の温度で3〜6倍の倍率、好ましくは3.5〜5.5
倍の倍率で延伸する。さらに、必要に応じて、縦方向お
よび/または横方向に再度延伸してもよい。すなわち、
2段、3段、4段あるいは多段の延伸を行なうとよい。
好ましい全延伸倍率(縦方向の全延伸倍率×横方向の全
延伸倍率)は、15〜30倍、さらに20〜30倍の範
囲である。また、縦方向のヤング率(EMD)≧横方向
のヤング率(ETD)が得やすいことから、縦方向の延
伸倍率は横方向の延伸倍率以上であることが好ましい。
【0059】このフィルムを、さらに、(Tg+70)
〜(Tm−10)℃の温度、例えばポリエチレンテレフ
タレートフィルムの場合180〜250℃の温度で熱固
定結晶化することによって、優れた寸法安定性が付与さ
れる。また、熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
【0060】なお、ポリエステルフィルムの製造の際、
ポリエステルA層またはポリエステルB層は、必要に応
じて、上記不活性粒子やエステルワックス以外の添加
剤、例えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの体積抵抗率
調整剤などを含有させることができる。特に、不活性粒
子を含有させる場合は、以下の(イ)、(ロ)または両
方によって測定された平均粒径およびその粒径分布の相
対標準偏差が、前述の範囲内に存在するものを含有させ
るのが好ましい。
【0061】(イ)平均粒径が60nm以上の不活性粒
子の場合、株式会社島津製作所製「CP−50型セント
リヒューグルパーテイクルサイズアナライザー(Cen
trifugal Particle Size An
alyzer)」を用いて測定する。得られる遠心沈降
曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算
曲線から、50マスパーセントに相当する粒径「等価球
直径」を読み取り、この値を上記平均粒径(nm)とす
る(「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975
年、頁242〜247)とともに、積算曲線から標準偏
差を求める。
【0062】(ロ)平均粒径が60nm以上の不活性粒
子の場合、光散乱紙を用いて測定する。すなわち、ニコ
ンインストゥルメント株式会社(Nicomp Ins
truments Inc.)製の商品名「NICOM
P MODEL270 SUBMICRON PART
ICLE SIZER」により求められる全粒子の50
%の点にある粒子の「等価球直径」をもって、平均粒径
(nm)とするとともに、相対標準偏差も併せて求め
る。
【0063】<磁気記録媒体>本発明の二軸配向積層ポ
リエステルフィルムは、A層の表面に、鉄または鉄を主
成分とする針状微細磁性粉(メタル粉)をポリ塩化ビニ
ル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのバインダー
に均一に分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましくは
0.1〜1μmとなるように塗布し、さらに必要によ
り、B層の表面にバックコート層を設けることにより、
特に短波長領域での出力、S/N,C/Nなどの電磁変
換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない
高密度記録用メタル塗布型磁気記録媒体とすることがで
きる。また、必要に応じてバックコート層にトラッキン
グサーボ信号を記録することにより、トラックずれの少
ない磁気記録媒体とすることもできる。また、A層の表
面に、上記メタル粉含有磁性層の下地層として微細な酸
化チタン粒子などを含有する非磁性層を磁性層と同様の
有機バインダー中に分散し、塗設することもできる。こ
のメタル塗布型磁気記録媒体は、高密度磁気記録媒体、
特にLTO、DLT、Super−DLT等のリニア記
録方式の磁気テープに極めて有効である。
【0064】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに説明す
る。尚、本発明における種々の物性値及び特性は、以下
のようにして測定されたものであり、かつ定義される。
【0065】(1)ヤング率 フィルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャ
ック間100mmにして引張速度10mm/分、チャー
ト速度500mm/分でインストロンタイプの万能引張
試験装にて引張り、得られる荷重−伸び曲線の立ち上が
り部の接線よりヤング率を計算する。
【0066】(2)表面粗さ(WRa、WRz) WYKO社製非接触式三次元粗さ計(NT−2000)
を用いて測定倍率25倍、測定面積246.6μm×1
87.5μm(0.0462mm2 )の条件にて、測定
数(n)10点で測定を行ない、該粗さ計に内蔵された
表面解析ソフトにより、中心面平均粗さ(WRa)、お
よび10点平均粗さ(WRz)を求める。なお、中心面
平均粗さ(WRa)は以下の一般式によって計算され
る。
【0067】
【数1】
【0068】ここで、上記一般式中のZjkは、測定方
向(測定長:246.6μm)および測定方向に直交す
る方向(測定長:187.5μm)をそれぞれm分割、
n分割したときの各方向のj番目、k番目の位置におけ
る2次元粗さチャート上の高さである。
【0069】また、10点平均粗さ(WRz)は、ピー
ク(HP)の高い方から5点と谷(Hv)の低い方から
5点をとり、以下の一般式によって計算される平均値で
ある。
【0070】
【数2】
【0071】(3)粒子の平均粒径 (3−1)フィルム中の粒子の平均粒径 フィルム表面層のポリエステルをプラズマ低温灰化処理
法(例えば、ヤマト科学製、PR−503)で除去し、
粒子を露出させる。処理条件は、ポリエステルは灰化さ
れるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。これ
をSEM(走査型電子顕微鏡)にて1万倍程度の倍率で
粒子を観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃
淡)をイメージアナライザー(例えば、ケンブリッジイ
ンストルメント製、QTM900)に結び付け、観察箇
所を変えて少なくとも5,000個の粒子の面積円相当
径(Di)を求める。この結果から粒子の粒径分布曲線
を作成し、各ピークの個数割合(各ピークの領域は分布
曲線の谷部を境界として決める。)を算出する。次い
で、各ピークの領域にある粒子の粒径と個数の測定結果
から次式で表される数平均値を求め、これを粒子の平均
粒径(DA)とする。フィルム中に凝集状態で存在する
粒子(例えばアルミナ粒子)の場合は、凝集状態での粒
径(2次粒径)を測定し平均粒径(DA)を求める。な
お、粒子種の同定は、SEM−XMA、ICPによる金
属元素の定量分析などを使用して行なうことができる。
【0072】
【数3】
【0073】(3−2)粒子の平均粒径の相対標準偏差 上記(3−1)で測定した各ピーク領域の各粒子の個数
(n)と面積円相当径(Di)から、相対標準偏差を次
式により求める。
【0074】なお、本発明において、フィルム中に存在
する不活性粒子は、粒径分布がシャープであることが好
ましい。すなわち、不活性粒子が、不活性架橋高分子粒
子やシリカ粒子などフィルム中に単分散している粒子の
場合、粒度分布の相対標準偏差は0.5以下が好まし
く、より0.4以下が好ましく、特に0.3以下が好ま
しい。また、不活性粒子が、アルミナ粒子などフィルム
中に凝集状態で分散している粒子の場合、凝集状態での
粒径(2次粒径)の平均値が0.05〜0.5μmの範
囲、特に0.05〜0.3μmの範囲にあることが好ま
しい。
【0075】
【数4】
【0076】(4)粒子の含有量 (4−1)各層中の粒子の総含有量 積層ポリエステルフィルムからポリエステルA層および
ポリエステルB層をそれぞれ100g程度削り取ってサ
ンプリングし、ポリエステルは溶解し粒子は溶解させな
い溶媒を選択して、サンプルを溶解した後、粒子をポリ
エステルから遠心分離し、サンプル重量に対する粒子の
比率(重量%)をもって各層中の粒子総含有量とする。
【0077】(4−2)各層中の無機粒子の総含有量 積層ポリエステルフィルム中に無機粒子が存在する場合
は、ポリエステルA層およびポリエステルB層をそれぞ
れ100g程度削り取ってサンプリングし、これを白金
ルツボ中にて1,000℃の炉の中で3時間以上燃焼さ
せ、次いでルツボ中の燃焼物をテレフタル酸(粉体)と
混合し、50gの錠型のプレートを作成する。このプレ
ートを波長分散型蛍光X線を用いて各元素のカウント値
をあらかじめ作成してある元素毎の検量線より換算し各
層中の無機粒子の総含有量を決定する。蛍光X線を測定
する際のX線管はCr管が好ましくRh管で測定しても
良い。X線出力は4KWと設定し分光結晶は測定する元
素ごとに変更する。材質の異なる無機粒子が複数種類存
在する場合は、この測定により各材質の無機粒子の含有
量を決定する。
【0078】(4−3)各層中の各種粒子の含有量(無
機粒子が存在しない場合) 層中に無機粒子が存在しない場合は、前記(5−1)に
より求めたピークを構成する各粒子の個数割合と平均粒
径と粒子の密度から各ピーク領域に存在する粒子の割合
を算出し、これと前記(6−1)で求めた各層中の粒子
の総含有量とから、各ピーク領域に存在する粒子の含有
量(重量%)を求める。
【0079】なお、代表的な耐熱性高分子粒子の密度は
以下の通りである。 架橋シリコーン樹脂の密度:1.35g/cm3 架橋ポリスチレン樹脂の密度:1.05g/cm3 架橋アクリル樹脂の密度:1.20g/cm3
【0080】なお、樹脂の密度は、(4−1)の方法で
ポリエステルから遠心分離した粒子をさらに分別し、例
えば、ピクノメーターにより「微粒子ハンドブック:朝
倉書店、1991年版、150頁」に記載の方法で測定
することができる。
【0081】(4−4)各層中の各種粒子の含有量(無
機粒子が存在する場合) 層中に無機粒子が存在する場合は、前記(4−1)で求
めた各層中の粒子の総含有量と前記(4−2)で求めた
各層中の無機粒子の総含有量とから層中の耐熱性高分子
粒子と無機粒子の含有量をそれぞれ算出し、耐熱性高分
子粒子の含有量は上記(4−3)の方法で、無機粒子の
含有量は前記(4−2)の方法で、それぞれ含有量(重
量%)を求める。
【0082】(5)フィルム中のエステルワックスの含
有量 (5−1)ポリエチレンテレフタレートフィルム(PE
T)の場合 フィルムサンプル30mgをCF3 COOD(重水素化
トリフルオロ酢酸):CDC13(重水素化クロロホル
ム)=1:1の混合溶媒0.5mlに溶かし、600M
Hz−1H−NMRで1024回積算測定し、テレフタ
ル酸ユニット由来のピーク積分値を100とした時の、
ワックス由来のピーク積分値(例:本願記載のソルビタ
ントリステアレートの場合、化学シフト値2.5ppm
近傍に検出されるピーク積分値)をあらかじめ測定した
検量線の式に代入し、ワックスの量を求めた。なお、積
層フィルムについては、後述の(7)項に記載した方法
にて積層フィルムの層厚みを測定し、全厚みに対するワ
ックスを含有した層の厚みから、厚み換算し、ワックス
量を求めた。また、積層フィルムの層厚みの測定が困難
なサンプルについては、ワックスを含有した層のフィル
ムを削りとり、上記方法にてワックス量を直接求めた。
【0083】(5−2)ポリエチレン−2,6−ナフタ
レートフィルム(PEN)の場合 フィルムサンプル30mgをCF3 COOD(重水素化
トリフルオロ酢酸):CDC13(重水素化クロロホル
ム)=1:1の混合溶媒0.5mlに溶かし、600M
Hz−1H−NMRで1024回積算測定し、2,6−
ナフタレンジカルボン酸ユニット芳香環プロトン由来の
ピーク積分値を100とした時のワックス由来のピーク
の積分値(例:本願記載のソルビタントリステアレート
の場合、化学シフト値2.5ppm近傍に検出されるピ
ーク積分値)をあらかじめ測定した検量線の式代入し、
ワックスの量を求めた。なお、積層フィルムについて
は、後述の(7)項に記載した方法にて積層フィルムの
層厚みを測定し、全厚みに対するワックスを含有した層
の厚みから、厚み換算し、ワックス量を求めた。また、
積層フィルムの層厚みの測定が困難なサンプルについて
は、ワックスを含有した層のフィルムを削りとり、上記
方法にてワックス量を直接求めた。
【0084】(6)ポリエステルA層およびB層ならび
に積層フィルム全体の厚み フィルム全体の厚みはマイクロメータにてランダムに1
0点測定し、その平均値を用いる。ポリエステルB層の
層厚は、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用い
て、被覆層を除いた表層から深さ5,000nmの範囲
のフィルム中の粒子の内最も高濃度の粒子に起因する金
属元素(M+ )とポリエステルの炭化水素(C+ )の濃
度比(M+ /C+ )を粒子濃度とし、表面から深さ5,
000nmまで厚さ方向の分析を行なう。表層では表面
という界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかる
につれて粒子濃度は高くなる。本発明の場合、粒子濃度
は一旦安定値1になったのち、上昇して安定値2になる
場合と、単調に減少する場合とがある。この分布曲線を
もとに、前者の場合は、(安定値1+安定値2)/2の
粒子濃度を与える深さをもって、また後者の場合は粒子
濃度が安定値1の1/2になる深さ(この深さは安定値
1を与える深さよりも深い)をもって、B層の厚み(μ
m)とする。
【0085】なお、B層の測定は、二次イオン質量分析
装置(SIMS)(パーキン・エルマー株式会社(PE
RKINELMER INC.)製、「6300」)に
よって、一次イオン種:O2 + 、一次イオン加速電圧:
12KV、一次イオン電流:200nA、ラスター領
域:400μm、分析領域:ゲート30%、測定真空
度:6.0×10-9TorrおよびE−GUNN:0.
5KV−3.0Aの条件で行なわれた。また、表層から
5,000nmの範囲に最も多く存在する粒子がシリコ
ーン樹脂以外の有機高分子粒子の場合、SIMSでは測
定が難しいので、表面からエッチングしながらFT−I
R(フーリエトランスフォーム赤外分光法)、粒子によ
ってはXPS(X線光電分光法)などで上記同様の濃度
分布曲線を測定し、層厚(μm)を求める。
【0086】ポリエステルA層の層厚みは、前述の全厚
みより塗膜層およびB層の層厚を引き算して求める。
【0087】(7)巻き取り性 スリット時の巻き取り条件を最適化したのち、幅100
0mm×6,000mのサイズで、30ロールを速度1
50m/分でスリットし、スリット後のフィルム表面
に、ブツ状、突起やシワのないロールを良品として、以
下の基準にて巻き取り性を評価する。 ○:良品ロールの本数25以上 ×;良品ロールの本数24本以下
【0088】(8)縦荷重下の幅寸法変化 温度22℃、湿度60%の雰囲気下において、1/2イ
ンチ幅にスリットしたフィルム(この時、1/2インチ
にスリットしたフィルムの長手方向=フィルム縦方向)
を図1に示す測定装置にセットする。ここで、1/2イ
ンチにスリットしたサンプル(1)は、キーエンス製レ
ーザー外径測定器(本体:3100型、センサー:30
60型)(2)および(3)にて外径が測定できるよう
にするため、あらかじめ表面にスパッタによって金を蒸
着しておき、この状態でフィルムの片側(もう一方は固
定)に20g、80g、160g、240gの重り
(4)をつけ、そのときのフィルムの幅を検出器(2)
および(3)にて測定し、各荷重における収縮率(pp
m)を次式により求める。
【0089】
【数5】
【0090】上式によって得られた各荷重(g)におけ
る収縮率データ(ppm)から、荷重に対する収縮率
(ppm/g)を算出する。尚、測定はn=10行な
い、その平均値を求め、下記基準にて評価した。 ◎:8(ppm/g)未満 ○:8(ppm/g)以上〜10(ppm/g)未満 ×:10(ppm/g)以上
【0091】(9)磁気テープの製造および電磁変換特
性 二軸配向積層ポリエステルフィルムのA層の表面に、針
状鉄粒子を含む磁性塗料を0.5μm厚さになるように
塗布し、直流磁場中で処理する。B層の表面にはバック
コートを施す。これをテープ状にスリットし、電磁変換
特性をメディアロジック社製 ML4500B、QIC
用システムを用いて測定する。なお、評価は、実施例1
サンプルのS/Nを0dBとし、下記基準にて相対評価
する。 ◎:+1dB以上 ○:−1dB以上+1dB未満 ×:−1dB未満
【0092】(10)ドロップアウト 脱着式メディア評価装置(メディアスコープ社製:MS
4500)を使用して磁気テープのドロップアウトを測
定する。計測は全長を4トラック行い、再生信号の減衰
が50%以上、長さが4ビット以上のドロップアウトの
個数を求め、1トラックあたりの個数に換算して、下記
判定等級で表した。使用するドライブはDLTタイプの
ものである。 [判定等級] ◎:0〜10個/トラック ○:11〜100個/トラック ×:101個/トラック以上
【0093】(11)接着性 ポリエステルフィルム(プライマー層表面)に下記評価
用塗料をマイヤーバーで乾燥後の厚さが約4μmになる
ように塗布し、100℃で3分間乾燥した。その後60
℃で24時間エージングし、次いでスコッチテープN
o.600(3M社製)幅12.7mm、長さ15cm
を気泡の入らないように粘着し、この上をJIS C2
701(1975)記載の手動式荷重ロールでならし、
密着させ、テープ幅に切り出した。これの180度剥離
したときの剥離強度を測定し下記の基準で評価した。 ○:50g以上 △:30g以上50g未満 ×:30g未満 (評価用塗料) 固形分換算で ウレタン樹脂 ニッポラン2304(日本ポリウレタン製) 25重量部 塩ビ・酢ビ樹脂 エスレックA(積水化学製) 50重量部 分散剤 レシオンP(理研ビタミン製) 1重量部 磁性剤 CTX−860(戸田化学製) 500重量部 をメチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン混
合溶剤に溶解し、40%液にし、サンドグラインダーで
2時間分散した。その後架橋剤のコロネートL25重量
部(固形分換算)を添加し、よく撹拌して評価用塗料
(磁性塗料)を得た。
【0094】(12)粘着性 スライドグラスにプライマー層が上面(プローブに接触
する側)になるようにサンプルを貼り、タッキング試験
機(モデルTAC2、株式会社レスカ製)に装着し、下
記条件にて測定を行い、プローブを引き離す時に生じる
荷重の最大値(g)を粘着性とした。 (測定条件) 押し込み速度:30mm/min 引き上げ速度:600mm/min 停止荷重 :400g 停止時間 :10秒 プレート温度:105℃ プローブ温度:115℃
【0095】(13)帯電性 ポリエステルフィルム(10μm×500mm×300
0m)を23℃×75%RHの雰囲気下で150m/m
inのスピードで巻き返し、そのロールの剥離帯電量を
ヒューグルエレクトロニクス(株)製のディジタル式試
験電気測定器Model−203を用いて測定し下記の
基準で評価した。 ○:2.5kv未満 △:2.5以上5.0kv未満 ×:5.0kv以上
【0096】(14)塗工性評価 プライマー用塗液をフィルムにコートする際、コートフ
ィルムの塗布面を観察して均一に塗布されているか目視
判断し下記の基準で評価した。 ○:斑、筋が見られない △:わずかに斑、筋が見られる ×:斑、筋の発生が非常に多く見られる
【0097】(15)塗液安定性 プライマー塗液を60℃×3日保管し沈殿物が無いか観
察し下記の基準で評価した。 ○:沈殿物が見られない △:沈殿物がわずかに見られる ×:沈殿物が非常に多く見られる
【0098】(16)ポリエステルの融点(Tm) ポリエステルの融点測定は、DSC装置(デュポン社製
Thermal Analyst 2000型 示差
熱量計)を用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求
める方法による。なおサンプル量は約10mgとする。
【0099】(17)ポリエステルのガラス転移温度
(Tg) 試料10mgをDSC装置(デュポン社製 Therm
al Analyst2000型 示差熱量計)にセッ
トし、300℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中
で急冷する。この急冷試料を20℃/分で昇温させ、ガ
ラス転移温度を測定する。
【0100】[実施例1]架橋シリコーン樹脂粒子(平
均粒径:0.3μm、粒径分布の相対標準偏差:0.1
5)を0.06重量%、アルミナ粒子(平均粒径:0.
1μm、粒径分布の相対標準偏差:0.15)を0.0
6重量%含有したA層用ポリエチレンテレフタレート
(35℃でO−クロロフェノール溶媒中における固有粘
度:0.6dl/g)のペレットと、架橋ポリスチレン
樹脂粒子(平均粒径:0.6μm、粒径分布の相対標準
偏差:0.15)を0.01重量%、架橋アクリル樹脂
粒子(平均粒径:0.3μm、粒径分布の相対標準偏
差:0.15)を0.15重量%、アルミナ粒子(平均
粒径:0.1μm)を0.15重量%、および(部分ケ
ン化)エステルワックスを0.15重量%含有したB層
用ポリエチレンテレフタレート(35℃、O−クロロフ
ェノール溶液での固有粘度:0.6)のペレットとを1
70℃で3時間乾燥した後、2台の押出機ホッパーに供
給し、溶融温度300℃で溶融し、マルチマニホールド
型共押出ダイを用いてA層の片側にB層を積層させ、表
面仕上げ0.3S程度、表面温度25℃のキャスティン
グドラム上に押出し、積層未延伸フィルムを得た。な
お、層厚み構成は2台の押出機の吐出量にて調整した。
【0101】このようにして得られた未延伸フィルムを
75℃にて予熱し、更に低速、高速のロール間で14m
m上方より830℃の表面温度のIRヒーターにて加熱
して2.25倍に延伸し、急冷した後、ポリエステルA
層側の面に2,6−ナフタレンジカルボン酸成分(45
モル%)、イソフタル酸成分(54.95モル%)、5
−Naスルホイソフタル酸成分(0.05モル%)/エ
チレングリコール成分(70モル%)、ビスフェノール
Aのプロピレンオキサイド4モル付加体成分(30モル
%)の水分散性ポリエステル樹脂(数平均分子量:約2
3500)90wt%、ポリエチレンオキシド・モノア
ルキルエーテル(数平均分子量:約500、アルキル
基:炭素数12〜14の混合アルキル基)10wt%か
らなる組成物の2wt%の水性液をロールコーターで塗
布した。続いてステンターに供給し、110℃にて横方
向に3.8倍延伸した。さらに引き続いて110℃にて
予熱し、低速、高速のロール間で2.6倍に縦方向に延
伸し、更にステンターに供給し、210℃で10秒間熱
固定し、全厚み6.0μm、B層厚み1.5μmの二軸
配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィル
ムのヤング率は、縦方向8.0GPa、横方向5.0G
Paであった。
【0102】一方、下記に示す組成物をボールミルに入
れ、16時間混練して分散させた後、イソシアネート化
合物(バイエル社製のデスモジュールL)5重量部を加
え、1時間高速剪断による分散処理を施して磁性塗料と
した。
【0103】[磁性塗料の組成:] 針状Fe粒子 100重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 15重量部 (積水化学製 エスレック7A) 熱可塑性ポリウレタン樹脂 5重量部 酸化クロム 5重量部 カーボンブラック 5重量部 レシチン 2重量部 脂肪酸エステル 1重量部 トルエン 50重量部 メチルエチルケトン 50重量部 シクロヘキサノン 50重量部
【0104】この磁性塗料を上述の積層二軸配向フィル
ムの片面(A層面)に塗布厚さ0.5μmとなるように
塗布し、次いで2500ガウスの直流磁場中で配向処理
を行ない、100℃で加熱乾燥後、スーパーカレンダー
処理(線圧200kg/cm、温度80℃)を行ない、
巻き取った。この巻き取ったロールを55℃のオーブン
中に3日間放置した。
【0105】さらに下記組成のバックコート層塗料を、
積層二軸配向フィルムの他の面(B層面)に、塗布厚さ
1μmとなるように塗布し、乾燥させ、裁断し、磁気テ
ープを得た。
【0106】[バックコート層塗料の組成:] カーボンブラック 100重量部 熱可塑性ポリウレタン樹脂 60重量部 イソシアネート化合物 18重量部 (日本ポリウレタン工業社製 コロネートL) シリコーンオイル 0.5重量部 メチルエチルケトン 250重量部 トルエン 50重量部 得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれ
を用いた磁気テープの特性を表2に示す。表2から明ら
かなようにいずれの特性も良好であった。
【0107】[実施例2]ポリエステルとしてポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(35
℃、O−クロロフェノール溶液での固有粘度:0.6d
l/g)を用い、各層に含有させる不活性粒子の種類、
平均粒径、添加量および(部分ケン化)エステルワック
スの種類および添加量を表1に示すとおり変更した。こ
のA層用およびB層用ポリマーを、それぞれ170℃で
6時間乾燥後、実施例1と同様にして、各層厚みを調整
しながら、未延伸積層ポリエステルフィルムを得た。そ
して、得られた積層未延伸フィルムを予熱し、さらに低
速・高速のロール問でフィルム温度135℃にて5.4
倍に延伸し、急冷し、縦延伸フィルムを得た後、ポリエ
ステルA層側の面に2,6−ナフタレンジカルボン酸成
分(45モル%)、イソフタル酸成分(54.8モル
%)、5−Naスルホイソフタル酸成分(0.2モル
%)/エチレングリコール成分(70モル%)、ビスフ
ェノールAのプロピレンオキサイド4モル付加体成分
(30モル%)の水分散性ポリエステル樹脂(数平均分
子量:約23500)85wt%、ポリエチレンオキシ
ド・モノアルキルエーテル(数平均分子量:約500、
アルキル基:炭素数12〜14の混合アルキル基)15
wt%からなる組成物の2wt%の水性液をロールコー
ターで塗布した。続いてステンターに供給し、155℃
にて横方向に4.9倍に延伸した。得られた二軸延伸フ
ィルムを、200℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み
6.0μm、B層厚み3.3μmの二軸配向積層ポリエ
ステルフィルムを得た。また、磁気テープの作成は実施
例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層
ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気テープの
特性を表2に示す。表2から明らかなようにいずれの特
性も良好であった。
【0108】[実施例3]ポリエステルとしてポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(35
℃、O−クロロフェノール溶液での固有粘度:0.6d
l/g)を用い、各層に含有させる不活性粒子の種類、
平均粒径、添加量および(部分ケン化)エステルワック
スの種類および添加量を表1に示すとおり変更した。こ
のA層用およびB層用ポリマーを、それぞれ170℃で
6時間乾燥後、実施例1と同様にして、各層厚みを調整
しながら、未延伸積層ポリエステルフィルムを得た。そ
して、得られた積層未延伸フィルムを予熱し、さらに低
速・高速のロール問でフィルム温度135℃にて5.8
倍に延伸し、急冷し、縦延伸フィルムを得た後、ポリエ
ステルA層側の面に2,6−ナフタレンジカルボン酸成
分(60モル%)、イソフタル酸成分(39.95モル
%)、5−Naスルホイソフタル酸成分(0.05モル
%)/エチレングリコール成分(70モル%)、ビスフ
ェノールAのプロピレンオキサイド4モル付加体成分
(30モル%)の水分散性ポリエステル樹脂(数平均分
子量:約23500)90wt%、ポリエチレンオキシ
ド・モノアルキルエーテル(数平均分子量:約500、
アルキル基:炭素数12〜14の混合アルキル基)10
wt%からなる組成物の2wt%の水性液をロールコー
ターで塗布した。続いてステンターに供給し、155℃
にて横方向に5.2倍に延伸した。得られた二軸延伸フ
ィルムを、200℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み
6.0μm、B層厚み1.5μmの二軸配向積層ポリエ
ステルフィルムを得た。また、磁気テープの作成は実施
例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層
ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気テープの
特性を表2に示す。表2から明らかなようにいずれの特
性も良好であった。
【0109】[比較例1〜6]ポリエステルとしてポリ
エチレンテレフタレート(35℃でO−クロロフェノー
ル溶媒中における固有粘度:0.6dl/g)を用い、
各層に含有させる不活性粒子および(部分ケン化)エス
テルワックスの種類、平均粒径、添加量、および水分散
性ポリエステルの量、界面活性剤の量、ヤング率を表1
に示すとおり変更する以外は実施例1と同様にして、二
軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁
気テープを得た。得られた二軸配向積層ポリエステルフ
ィルムおよびそれを用いた磁気テープの特性を表2に示
す。表2から明らかなように比較例1〜6については、
いずれかの特性が不満足であった。
【0110】[比較例7]縦延伸後、水分散性ポリエス
テルを塗布しなかった以外は実施例1と同様にして、二
軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁
気テープを得た。これらの特性を表2に示す。表2から
明らかなように接着性が不満足であった。
【0111】[比較例8]ポリエステルB層にワックス
を含有しない以外は実施例1と同様にして、二軸配向積
層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気テープ
を得た。これらの特性を表2に示す。表2から明らかな
ように巻き取り性が不満足であった。
【0112】
【表1】
【0113】表1のフィルム構成ポリエステル欄で、P
ETはポリエチレンテレフタレートであることを、PE
Nはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ートであることを、表1の水分散液ポリエステル酸成分
の欄で、NDCAは2,6−ナフタレンジカルボン酸、
IAはイソフタル酸、SIAはスルホイソフタル酸であ
ることを夫々示す。
【0114】また、表1の不活性粒子の粒子種欄で架橋
ポリスチは架橋ポリスチレン樹脂粒子であることを、ワ
ックス種類欄でAはソルビタントリステアレート、Bは
モンタン酸ジオールエステルを水酸化カルシウムでけん
化したものであることを示す。
【0115】
【表2】
【0116】
【発明の効果】本発明によれば、平坦面だけでなく、非
磁性層面も平坦化しつつ、巻き取り性や加工性に優れ、
かつ比較的小さい粗大突起も少ない、特に非磁性層にト
ラッキングサーボ信号を記録する層が設けられた特にリ
ニア記録方式のメタル塗布型磁気記録媒体としたときに
優れた電磁変換特性と優れた耐久走行性を発現する積層
二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦荷重下の幅寸法変化を測定する装置の概略図
である。
【符号の説明】
1 測定サンプル 2 光センサー発光部(キーエンス株式会社製 LS−
3036) 3 光センサー受光部(キーエンス株式会社製 LS−
3036) 4 荷重 5 フリーロール 6 ガラス板 7 計測器(キーエンス株式会社製 LS−3100) 8 アナログデジタル変換機 9 パーソナルコンピューター 10 レーザー光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA01A AA01B AK01A AK01B AK41A AK41B BA04 BA07 BA10C BA10D DD07A DD07B DE01A DE01B EJ05A EJ05B EJ65C EJ65D GB90 JL00 YY00A YY00B 5D006 CB01 CB05 CB07 CB08 FA02 FA05 FA09

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルA層の片面に、炭素数が8
    個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールか
    らなる(部分ケン化)エステルワックスを0.001〜
    1重量%含有するポリエステルB層を積層したフィルム
    であって、(1)ポリエステルA層のポリエステルB層
    と隣接していない表面の表面粗さ(WRaA)が1〜1
    0nmの範囲にあり、ポリエステルB層のポリエステル
    A層と隣接していない表面の表面粗さ(WRaB)およ
    び10点平均粗さ(WRzB)がそれぞれ5〜20nm
    および50〜300nmの範囲にあり、(2)ポリエス
    テルA層のポリエステルB層と隣接していない表面およ
    び/またはポリエステルB層のポリエステルA層と隣接
    していない表面に、(A)全酸成分当り40〜90モル
    %の2,6−ナフタレンジカルボン酸及び0.01モル
    %以上0.5モル%未満のスルホン酸金属塩基含有化合
    物を共重合した水分散性ポリエステル樹脂及び(B)ポ
    リエチレンオキシド・モノアルキルエーテルを主成分と
    するプライマー層が設けられ、かつ(3)縦方向のヤン
    グ率(EMD)および横方向のヤング率(ETD)がそ
    れぞれ6GPa以上および4GPa以上で、縦方向のヤ
    ング率(EMD)が横方向のヤング率(ETD)と等し
    いかそれよりも大きいことを特徴とする二軸配向積層ポ
    リエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 ポリエステルB層が平均粒径0.05〜
    1.0μmの不活性粒子PB を0.001〜1重量%含
    有する請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィル
    ム。
  3. 【請求項3】 ポリエステルB層が平均粒径の異なる2
    種の不活性粒子PB1、PB2をそれぞれ0.001〜0.
    5重量%および0.01〜1重量%含有し、PB1の平均
    粒径が0.2〜1.0μmで且つ粒径分布の相対標準偏
    差0.5以下であり、PB2の平均粒径が0.05〜0.
    5μmであり、不活性粒子PB1、PB2の平均粒径の差が
    0.1〜0.6μmである請求項1記載の二軸配向積層
    ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 PB1が架橋高分子粒子であり、PB2が架
    橋高分子粒子あるいは不活性無機粒子である請求項3記
    載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステルB層が平均粒径の異なる3
    種の不活性粒子PB1、PB2およびPB3をそれぞれ0.0
    01〜0.1重量%、0.01〜0.5量%および0.
    01〜1.0量%含有し、PB1の平均粒径が0.4〜
    1.0μmで且つ粒径分布の相対標準偏差0.5以下、
    B2の平均粒径が0.2〜0.5μmで且つ粒径分布の
    相対標準偏差0.5以下、PB3の平均粒径が0.05〜
    0.3μmであり、不活性粒子PB1トPB2の平均粒径の
    差が0.05〜0.3μm、不活性粒子PB2、PB3の平
    均粒径の差が0.1〜0.4μmの範囲である請求項2
    記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 PB1、PB2が架橋高分子粒子であり、P
    B3が架橋高分子粒子または不活性無機粒子である請求項
    5記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 ポリエステルA層が不活性滑剤を実質的
    に含有しない請求項1記載の二軸配向積層ポリエステル
    フィルム。
  8. 【請求項8】 ポリエステルA層が平均粒径0.05〜
    0.5μmの不活性粒子PA を0.001〜0.5重量
    %含有する請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフ
    ィルム。
  9. 【請求項9】 ポリエステルA層が平均粒径の異なる2
    種の不活性粒子PA1およびPA2をそれぞれ0.001〜
    0.5重量%および0.01〜1重量%含有し、PA1
    平均粒径が0.2〜0.5μmで且つ粒径分布の相対標
    準偏差0.5以下であり、PA2が平均粒径0.05〜
    0.3μmであり、不活性粒子PA1、PA 2の平均粒径の
    差が0.1〜0.4μmである請求項1記載の二軸配向
    積層ポリエステルフィルム。
  10. 【請求項10】 PA1が架橋高分子粒子であり、PA2
    架橋高分子粒子あるいは不活性無機粒子である請求項1
    記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  11. 【請求項11】 磁気記録媒体用である請求項1記載の
    二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  12. 【請求項12】 ディジタル記録方式の磁気記録媒体用
    である請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィル
    ム。
  13. 【請求項13】 リニア記録方式の磁気記録媒体用であ
    る請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  14. 【請求項14】 塗布型磁気記録媒体用である請求項1
    記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  15. 【請求項15】 強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用であ
    る請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005190529A (ja) * 2003-12-25 2005-07-14 Mitsubishi Polyester Film Copp 高密度dvd光透過保護層の工程紙用ポリエステルフィルム
CN102288474A (zh) * 2010-06-17 2011-12-21 四川大学 低位竖向直读式杨氏模量仪制作法
JP2012119040A (ja) * 2010-12-02 2012-06-21 Teijin Dupont Films Japan Ltd 二軸配向積層フィルムおよびそれを用いたデータストレージ
JP2017165063A (ja) * 2016-03-18 2017-09-21 東レ株式会社 二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体
JP2020203489A (ja) * 2020-08-26 2020-12-24 東レ株式会社 二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体

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