JP2003141712A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

積層ポリエステルフィルム

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JP2003141712A JP2001334436A JP2001334436A JP2003141712A JP 2003141712 A JP2003141712 A JP 2003141712A JP 2001334436 A JP2001334436 A JP 2001334436A JP 2001334436 A JP2001334436 A JP 2001334436A JP 2003141712 A JP2003141712 A JP 2003141712A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平滑性、加工適性に優れ、金属薄膜型磁気記
録媒体としたときに優れた電磁変換特性を奏する積層ポ
リエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 チタン元素を5〜30ppm含有し、ジ
エチレングリコール成分を0.1〜2.5重量%含有す
るポリエステルからなり、更に結晶化パラメータΔTc
mが70〜180℃の範囲にあるポリエステル層Aと、該
層Aの片面に表面の十点平均粗さ(WRzB)が30〜3
00nmであるポリエステル層Bを少なくとも一層積層
してなる積層ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層ポリエステルフ
ィルムに関し、更に詳しくは電磁変換特性、走行耐久性
に優れた磁気記録媒体、特にデジタル信号を記録・再生
する強磁性金属薄膜型磁気記録媒体、例えばビデオカセ
ットテープ、データストレージテープ等のベースフィル
ムとして有用な積層ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体の高密度記録化の進
歩はめざましく、例えば、強磁性金属薄膜を真空蒸着や
スパッタリングなどの物理沈着法またはメッキ法により
非磁性支持体上に形成させた磁気記録媒体の開発、実用
化が進められている。具体的には、Coの蒸着テープ
(特開昭54―147010号公報)、Co―Cr合金
からなる垂直磁気記録媒体(特開昭52―134706
号公報)が知られている。
【0003】従来の塗布型磁気記録媒体(磁性粉末を有
機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に塗布
してなる磁気記録媒体)は、記録密度が低く、記録波長
も長いために、磁性層の厚みが2μm程度以上と厚い。
これに対し、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体における金
属薄膜(磁性層)は、厚みが0.2μm以下と非常に薄
くなっている。
【0004】このため、非磁性支持体(ベースフィル
ム)の表面状態が磁性層の表面性に影響する程度は、金
属薄膜の方が遥かに大きい。すなわち、強磁性金属薄膜
型磁気記録媒体の場合、非磁性支持体の表面状態が、そ
のまま金属薄膜の表面凹凸として発現し、それが記録・
再生信号の雑音の原因となる。従って、非磁性支持体の
表面は、できるだけ平滑であることが望ましい。
【0005】一方、非磁性支持体の製膜、加工工程での
搬送、巻取り、巻出しといったハンドリングの観点から
は、フィルムが滑り性に優れることが好ましい。フィル
ム表面が平滑過ぎると、フィルムフィルム相互の滑り性
が悪化し、かつまた表面に傷が生じ易くなり、製品歩留
りの低下、ひいては製造コストの上昇をきたす。従っ
て、製造コストという観点では、非磁性支持体の表面
は、できるだけ粗いことが好ましい。
【0006】また、金属薄膜型磁気記録媒体の場合に
は、金属薄膜とベースフィルムとの密着性を良好にする
ため、通常、金属薄膜成形前にイオンボンバード処理と
呼ばれる、ベースフィルム表面をイオンにより活性化す
る処理を行なう。そして、金属薄膜成形時には、フィル
ム表面にかなり高温の熱がかかるので、ベースフィルム
が融解したり、機械特性などの物性が低下しないよう
に、フィルムの背面を冷却する。この背面冷却には、通
常、ドラム状冷却体にフィルムを巻き付ける方法が採用
されるが、その際、ドラム表面に金属薄膜が形成されな
いようにベースフィルムの両端をマスキングする。
【0007】従って、上記蒸着工程を通過したフィルム
ロールの両端部には、このマスキングによって金属薄膜
の形成されなかった部分が、イオンボンバード処理によ
って表面活性化された状態のままで、長手方向に連続的
に存在する。そして、この部分は、ロール状に巻き上げ
られた状態では、反対面側と高い力で接触することにな
り、ブロッキングを引き起しやすくなる。金属薄膜型磁
気記録媒体を製造する際には、金属薄膜を蒸着した後
に、バックコート層および必要に応じてトップコート層
を設けるが、これらの加工工程において上記ブロッキン
グが発生していると、ベースフィルムの切断やしわが発
生しやすくなり、収率が大幅に低下するという問題が生
じる。このブロッキングを防ぐためには、非磁性支持体
の表面は粗い方が好ましい。
【0008】このように、非磁性支持体の表面は、電磁
変換特性という観点からは平滑であることが要求され、
ハンドリング性、製造コスト、ブロッキング防止の観点
からは、粗いことが要求される。
【0009】上記のような相反する要求を満たすため、
2つの層からなり、一方の層の表面よりも他方の層の表
面を粗くした積層フィルム(例えば特公平1−2633
8号)が提案されている。しかし、この積層フィルム
は、粗面側の高い突起が平坦面側に転写したり、粗面側
に添加した大きな粒子による平坦面側への突き上げ効果
により、磁気記録媒体としたときの電磁変換特性が悪化
してしまうという問題を抱えている。
【0010】また、フィルム内部の触媒残渣(微粒子)
によって表面平滑性が低下するのを防止する方策とし
て、平滑な層の原料としてゲルマニウム化合物を重合触
媒とし、特定量のゲルマニウムとリンを含有するポリエ
ステルを使用した積層フィルム(例えば特開平12−1
5695号)が提案されている。ゲルマニウム化合物の
使用は微粒子形成を抑制する点では有利であるが、ポリ
エステル製造時の副生成物であるジエチレングリコール
を増加させ、フィルム製造時あるいは先述の金属薄膜加
工工程における熱安定性を悪化させ、該層の平滑性を低
下させてしまうという問題を抱えている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような従来技術の欠点を解消し、平滑性、走行性、耐ブ
ロッキング性、熱安定性、加工適性に優れ、金属蒸着薄
膜型磁気記録媒体としたときに優れた電磁変換特性、走
行耐久性を奏する積層ポリエステルフィルムを提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、前述の
通り、金属薄膜型磁気記録媒体を製造する際でも平坦性
を保持しうる支持体を得ることにあり、これまでは蒸着
工程における支持体の耐熱性の不足により、元々具備し
ていた平坦性が蒸着工程で損なわれていた。従来から、
DEG(ジエチレングリコール)の含有量を減らすほど
ポリエステルフイルムの耐熱性が向上することは広く知
られているが、一方、DEGの含有量を減らすと、フイ
ルムとしたときの結晶性が進み、かえってフィルム自体
の平坦性が低下することがあり、これらを両立する事は
非常に困難であった。そして、本発明者らは、DEGの
含有量を低く抑えつつ、フイルムの結晶性を特定の結晶
化パラメータΔTcmの範囲にすることで、耐熱性と平
坦性を両立しうる支持体が得られることを見出し、本発
明に到達した。
【0013】かくして本発明の目的は、本発明によれ
ば、ポリエステル層Aとその片面に積層されたポリエス
テル層Bとからなり、ポリエステル層Aを構成するポリ
エステルは、触媒残渣としてのチタン化合物をチタン元
素量で5〜30ppm重量比およびジエチレングリコー
ル成分を0.1〜2.5重量%含有し、かつ、結晶化パ
ラメータ(△Tcm)が以下の一般式(I)
【0014】
【数2】 70℃≦ΔTcm=Tm−Tc≦180℃ ・・・(I) (ここで、式(I)中の△Tcmは、ポリエステルの融
点(Tm)からポリエステルの溶融状態から降温した際
の結晶化温度(Tc)を差し引いた温度である。)を満
足し、ポリエステル層Bのポリエステル層Aと接してい
ない表面の十点平均粗さ(WRzB)は30〜300n
mの範囲にある積層ポリエステルフィルムによって達成
される。
【0015】また、本発明によれば、本発明の好ましい
態様として、本発明の積層ポリエステルフィルムに、ポ
リエステル層Bと接していないポリエステル層Aの表面
の中心平均粗さ(WRaA)が0.1〜2.5nmであ
ること、ポリエステル層Bが、触媒残渣としてのチタン
化合物をチタン元素量で5〜30ppm含有すること、
ポリエステル層Bが、平均粒径が50〜1000nmの
不活性粒子Bを0.001〜1重量%含有すること、ポ
リエステル層Bが、炭素数8個以上の脂肪族モノカルボ
ン酸および多価アルコールからなる(部分ケン化)エス
テルワックスを0.001〜1重量%含有すること、ポ
リエステル層Aが実質的に粒子を含有しないか、また
は、平均粒径30〜400nmの範囲でかつ不活性粒子
Bよりも平均粒径の小さい不活性粒子Aを0.001〜
0.2重量%含有すること、ポリエステル層Bと接して
いないポリエステル層Aの表面に皮膜層Cが積層されて
いること、皮膜層Cが、平均粒径10〜50nm、体積
形状係数0.1〜π/6の不活性粒子Cを0.5〜30
重量%含有すること、積層フィルム全体の厚さが2μm
以上8μm未満であること、ポリエステル層Aおよび層
Bを構成するポリエステルが、ポリエチレンテレフタレ
ートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートである
こと、および、積層ポリエステルフィルムのポリエステ
ル層A側の表面に磁性層を設けて、磁気記録媒体用の支
持体として用いることのいずれか少なくとも1つを具備
させた積層ポリエステルフィルムも提供される。
【0016】さらにまた、本発明によれば、前述の本発
明の積層ポリエステルフィルムと、積層ポリエステルフ
ィルムのポリエステル層A側の表面に設けられた磁性層
とからなる磁気記録媒体,特に磁性層が強磁性金属薄膜
層である磁気記録媒体も提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の積層ポリエステルフィル
ムは、ポリエステル層Aの片面にポリエステル層Bを積
層した積層フィルムである。
【0018】前記ポリエステル層A、層Bをそれぞれ構
成するポリエステルA、Bは、芳香族ポリエステルが好
ましく挙げられ、同じ種類でも、異なる種類であっても
良い。
【0019】上記芳香族ポリエステルとしては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、
ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シ
クロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレート)などを例示することがで
きる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレートとポ
リエチレン−2,6−ナフタレートが好ましく、特によ
り薄膜化が行えることから、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレートが好ましい。
【0020】本発明で使用するポリエステルは、ホモポ
リエステルであっても、コポリエステルであっても良
い。コポリエステルの場合、例えば、ポリエチレンテレ
フタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレート
の共重合成分としては、ジエチレングリコール、プロピ
レングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチ
レングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、p−キシリレングリコールなどの他のジオール成
分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸(ただし、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレートの場合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸
(ただし、ポリエチレンテレフタレートの場合)、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸などの他のジカルボン酸
成分、p−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボ
ン酸成分などが挙げられる。これら共重合成分の量は、
本発明の効果を損なわない限り、20モル%以下、さら
には10モル%以下であることが好ましい。さらにトリ
メリット酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトールな
どの3官能以上の多官能化合物を共重合させることも出
来る。この場合、ポリマーが実質的に線状である量、例
えば2モル%以下で、共重合させるのが良い。
【0021】ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート以外の他のポリエステルの場
合の共重合成分についても、上記と同様に考えるとよ
い。
【0022】更に上記ポリエステルには本発明の効果を
損なわない程度であれば、顔料、染料、酸化防止剤、帯
電防止剤、光安定剤、遮光剤(例えばカーボンブラッ
ク、酸化チタン等)の如き添加剤を必要に応じて含有さ
せることができる。
【0023】本発明における積層ポリエステルフィルム
は、ポリエステル層Aとポリエステル層Bが同じポリエ
ステルからなるのが好ましいが、異なるポリエステルか
らなってもよい。例えば、ポリエステル層Aとポリエス
テル層Bが共にポリエチレンテレフタレート又はポリエ
チレン−2,6−ナフタレートからなる積層フィルムが
好ましいが、ポリエステル層A(又はポリエステル層
B)がポリエチレンテレフタレート、ポリエステル層B
(又はポリエステル層A)がポリエチレン−2,6−ナ
フタレートからなる積層フィルムであっても良い。
【0024】本発明におけるポリエステル層Aを構成す
るポリエステルAは、その製造過程で副生成したまたは
共重合成分として添加されたジエチレングリコール(以
下、DEGと称することがある。)成分の含有量が0.
1〜2.5重量%の範囲であることが必要であり、好ま
しいDEG成分の含有量は、0.2〜2.2重量%、特
に0.3〜2.0重量%の範囲である。DEG量が2.
5重量%を超えると、金属薄膜型磁気記録媒体を製造す
る際に、金属薄膜を蒸着する工程において、支持体とし
て用いる積層ポリエステルフィルムの耐熱性が不足して
しまい、十分な平坦性を得ることができなくなる。一
方、ポリエステルAに含有されるDEG量を0.1重量
%を未満にするには、ポリマーの生産性を著しく低下さ
せるような過度の負担が必要なため、好ましくない。
【0025】本発明で使用するポリエステル中のジエチ
レングリコール量を2.5重量%以下にするには、重合
触媒の選定、すなわち、ゲルマニウム化合物の代わりに
チタン化合物を使用すること、エステル交換反応を経由
して重縮合反応を行なうエステル交換法の場合、エステ
ル交換反応が終了してから重縮合反応の減圧開始までの
時間を例えば20分以内にすること、また、高温反応下
でのエチレングリコールの飛散速度を早めることが有効
である。
【0026】前記ポリエステル層Aを形成するポリエス
テルAはそれ自体公知の方法で製造することができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレートはテレフタル酸と
エチレングリコールとをエステル化反応またはジメチル
テレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換
反応せしめ、次いで反応生成物を重縮合せしめる方法で
製造することができる。また、上記の方法(溶融重合)
により得られたポリエステルは、必要に応じて固相状態
での重合方法(固相重合)により、さらに重合度の高い
ポリマーとすることができる。
【0027】ところで、本発明におけるポリエステル層
Aを形成するポリエステルAは、触媒として添加され
た、すなわち、触媒残渣としてのチタン化合物をチタン
元素(以下、Tiと称することがある。)で5〜30p
pm(重量比)含有することが必要である。ポリエステ
ルAに含有される触媒残渣としてのチタン元素(Ti)
量が5ppm以下であると、ポリエステルAの重縮合速
度が極端に低下してしまい、生産性の点で好ましくな
い。一方、触媒残渣としてのチタン元素(Ti)量が3
0ppmより多くなると、ポリエステルの熱安定性が低
下し、充分な強度のフィルムを得ることができなくな
る。
【0028】前記ポリエステルAに重合触媒としてチタ
ン化合物を含有させる方法としては、チタン化合物を単
独で使用しても良いし、チタン化合物(触媒)以外の他
の金属化合物(触媒)と併用しても良いし、また、チタ
ン化合物(触媒)単独で重合して得られるポリエステル
とチタン化合物(触媒)以外の金属化合物(触媒)で重
合して得られるポリエステルを適宜混合して、必要なチ
タン元素の含有量に調整しても良い。但し、他の金属化
合物(触媒)と併用したり他の金属化合物(触媒)で重
合されたポリエステルと混合したりする場合、ポリエス
テル層Aの平滑性を得るために、ポリエステル層Aを形
成するポリエステルAは触媒残渣としてのアンチモン化
合物をアンチモン元素量で高々5ppmしか含有しない
こと、および触媒残渣としてのゲルマニウム化合物をゲ
ルマニウム元素量で高々5ppmしか含有しないことが
好ましく、特に好ましいのはアンチモン化合物およびゲ
ルマニウム化合物を全く含有しないことである。
【0029】本発明で重合触媒として使用するチタン化
合物としては、有機チタン化合物が好ましく、例えば特
開平5−298670号に記載されているものを挙げる
ことができる。詳しくは、チタンのアルコラートや有機
酸塩、テトラアルキルチタネートと芳香族多価カルボン
酸又はその無水物との反応物等を例示でき、好ましい具
体例としてはチタンテトラブトキシド、チタンイソプロ
ポキシド、蓚酸チタン、酢酸チタン、安息香酸チタン、
トリメリット酸チタン、テトラブチルチタネートと無水
トリメリット酸との反応物等を挙げることができる。
【0030】本発明におけるポリエステル層Aを形成す
るポリエステルAは、下記式で定義される結晶化パラメ
ータ(以下、ΔTcmと称することがある。)を有する
ことが必要である。
【0031】
【数3】70℃≦ΔTcm≦180℃ ・・・(I) ここで、式(I)中の△Tcmは、ポリエステルの融点
(Tm)からポリエステルの溶融状態から降温した際の
結晶化温度(Tc)を差し引いた温度である。
【0032】上記式中のTmおよびTcは、DSC測定
用パンに10mgのサンプルを入れ、290℃加熱ステ
ージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パンを氷の上
に敷いたアルミ箔上で急冷固化し、Du Pont I
nstruments 910 DSCを用い、昇温速
度20℃/分で融点を測定せしめ、更に300℃の溶融
状態まで到達した後、10℃/分で降温し、結晶化温度
を測定する方法による。
【0033】結晶化パラメータ(ΔTcm)はポリエス
テル層Aの平滑性と密接な関係があり、180℃を超え
る場合は結晶化が製膜時の結晶化速度が微妙に速いため
に得られるポリエステル層Aの平滑性が劣り、磁気記録
媒体とした際に十分な電磁変換特性が得られない。他
方、△Tcmが70℃に満たない場合は、表面は十分に
平滑にできるが、薄膜化した際のフイルムとしては十分
な強度が得られない。
【0034】ΔTcmを70〜180℃の範囲に収める
には、重合触媒の選定、すなわちチタン触媒を用い、か
つ触媒残渣としてのチタン化合物をチタン元素量として
5〜30ppm以下になるようにすることと、触媒残渣
としてのアンチモン化合物をアンチモン元素量として高
々5ppmとすることが好ましく挙げられる。また、本
結晶化パラメータは、理由は明らかではないが二軸延伸
開始時のフイルム配向の出来方に影響されるため、二軸
配向フイルムを得る際の延伸時の予熱温度を通常より高
め、例えばTg℃〜Tg+10℃で行うこと、熱固定の
温度を通常より低め、例えば(Tg+60)〜(Tm−
20)℃で行うことなどが有効である。
【0035】本発明は、ポリエステル層Aの平滑性と密
接な関係がある結晶化パラメータΔTcmを70〜18
0℃の範囲とし、かつ、ポリエステル層AのDEG量を
低減することと組み合わせることによって、DEG量の
みを低減する場合に比べて、更にポリエステル層Aの耐
熱性を向上したものである。このメカニズムについて
は、まだよく分かっていないが、本発明の如くフイルム
支持体上に金属薄膜を蒸着するような工程における耐熱
性については、フイルム表面への熱負荷を如何に効率よ
く低減するかが重要であり、結晶化パラメータΔTcm
を本発明の範囲に収める事で蒸着されるフイルム表面の
高い平坦性が蒸着時の熱負荷を均一にし、ポリマー固有
の耐熱性(DEG量)と相まって従来にない効果を発現
したものと推定される。
【0036】本発明におけるポリエステル層Aは、実質
的に粒子を含有しないものでもよく、不活性粒子Aを含
有するものでもよい。ポリエステル層Aが実質的に粒子
を含有しない場合、磁気記録媒体としたとき優れた電磁
変換特性が得られ、電磁変換特性に悪影響を与えない範
囲の粒子を含有させると、走行耐久性の向上を図ること
ができる。
【0037】ポリエステル層Aに含有させる不活性粒子
(以下、不活性粒子Aと称することがある。)は、後述
する体積形状係数(f)が0.1〜π/6、さらには
0.2〜π/6、特に0.4〜π/6であることが好ま
しい。また、該不活性粒子Aの平均粒径(dA)は30
〜400nm、さらには40〜200nm、特に50〜
100nmであることが好ましい。この平均粒径(d
A)が30nm未満であると、フィルムの滑り性が不良
となることがあり、一方400nmを超えると、磁気記
録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるため、好
ましくない。
【0038】また、ポリエステル層Aに不活性粒子Aを
含有させる場合の含有量は、ポリエステル層Aに対し、
好ましくは0.001〜0.2重量%、さらに好ましく
は0.01〜0.1重量%、特に好ましくは0.02〜
0.06重量%である。この量が0.001重量%未満
であると、フィルムの滑り性向上効果が充分とは云え
ず、一方0.2重量%を超えると、磁気記録媒体の電磁
変換特性が不良となることがあるため、好ましくない。
【0039】好ましい不活性粒子Aとしては、例えば、
(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、架橋シリコーン樹
脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン−
ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイ
ミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルな
どからなる粒子)、(2)金属酸化物粒子(例えば、酸
化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素(シリ
カ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム
などからなる粒子)、(3)金属の炭酸塩粒子(例え
ば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどからなる粒
子)、(4)金属の硫酸塩粒子(例えば、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウムなどからなる粒子)、(5)炭素粒子
(例えば、カーボンブラック、グラファイト、ダイアモ
ンドなどからなる粒子)、および(6)粘土鉱物粒子
(例えば、カオリン、クレー、ベントナイトなどからな
る粒子)が挙げられる。これらのうち、架橋シリコーン
樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン−ホル
ムアルデヒド樹脂粒子、ポリアミドイミド樹脂粒子、酸
化アルミニウム(アルミナ)からなる粒子、二酸化チタ
ンからなる粒子、二酸化ケイ素からなる粒子、酸化ジル
コニウムからなる粒子、合成炭酸カルシウムからなる粒
子、硫酸バリウムからなる粒子、ダイアモンドからなる
粒子、またはカオリンからなる粒子が好ましい。さらに
好ましい不活性粒子Aは、架橋シリコーン樹脂粒子、架
橋ポリスチレン樹脂粒子、酸化アルミニウム(アルミ
ナ)からなる粒子、二酸化チタンからなる粒子、二酸化
ケイ素からなる粒子、または炭酸カルシウムからなる粒
子である。これら不活性粒子は1種または2種以上のも
のを混合して使用してもよい。
【0040】なお、前記不活性粒子Aとして平均粒径の
違う2種以上の粒子を用いる場合、小さい平均粒径の第
2、第3の粒子(微細粒子)として、例えばコロイダル
シリカや、α、γ、δ、θなどの結晶形態を有するアル
ミナなどの微粒子を用いるのが好ましい。また、不活性
粒子Aとして例示した粒子種のうち、平均粒径の小さい
微細粒子も、第2、第3の粒子(微細粒子)として用い
ることができる。
【0041】本発明で使用するポリエステル層Bを形成
するポリエステルBは、ポリエステルAと同様な方法で
製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタ
レートはテレフタル酸とエチレングリコールとをエステ
ル化反応またはジメチルテレフタレートとエチレングリ
コールとをエステル交換反応せしめ、次いで反応生成物
を重縮合せしめる方法で製造できる。また、上記の方法
(溶融重合)により得られたポリエステルは、必要に応
じて固相状態での重合方法(固相重合)により、さらに
重合度の高いポリマーとすることができる。
【0042】本発明で使用するポリエステルBは、その
製造の際に使用する触媒として、それ自体公知の触媒を
使用でき、溶融重合でのエステル交換触媒としてはマン
ガン、カルシウム、マグネシウムおよびチタンの酸化
物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩等を好ましく使用で
き、特に酢酸塩即ち、酢酸マンガン、酢酸カルシウム、
酢酸マグネシウム、酢酸チタンを好ましく使用できる。
これらの中でもチタン化合物が平滑性の観点から好まし
い。
【0043】また、重縮合触媒としては、アンチモン化
合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物を挙げること
ができ、これもチタン化合物が十分な平滑性を得られる
ことから特に好ましい。
【0044】前記アンチモン化合物としては、三酸化ア
ンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン等が好ま
しく挙げられる。
【0045】また、前記チタン化合物としては、有機チ
タン化合物が好ましく挙げられ、例えば特開平5−29
8670号に記載されているものを挙げることができ
る。更に説明すると、チタンのアルコラートや有機酸
塩、テトラアルキルチタネートと芳香族多価カルボン酸
又はその無水物との反応物等を例示でき、好ましい具体
例としてチタンテトラブトキシド、チタンイソプロポキ
シド、蓚酸チタン、酢酸チタン、安息香酸チタン、トリ
メリット酸チタン、テトラブチルチタネートと無水トリ
メリット酸との反応物等を挙げることができる。但し、
ポリエステルBにおいても、後述する不活性粒子Bとの
親和性を保ち、磁気記録媒体としたときの電磁変換特性
を保持するため、触媒としてチタン化合物をチタン元素
量で5〜30ppm含有させたものがもっとも好まし
い。
【0046】さらにまた、前記ゲルマニウム化合物とし
ては、例えば特許2792068号に記載されているも
のを挙げることができる。更に説明すると、(イ)無定
形酸化ゲルマニウム、(ロ)結晶性ゲルマニウム、
(ハ)酸化ゲルマニウムをアルカリ金属又はアルカリ土
類金属もしくはそれらの化合物の存在下にグリコールに
溶解した溶液、および(ニ)酸化ゲルマニウムを水に溶
解し、これにグリコールを加え水を留去して調整した酸
化ゲルマニウムのグリコール溶液、等を挙げることがで
きる。
【0047】ところで、ポリエステルBは熱安定性を維
持するために、従来ポリエステルの製造工程で添加され
るリン化合物を含有することが好ましい。このリン化合
物は特に限定されないが、正リン酸、亜リン酸、トリメ
チルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ-n-
ブチルホスフェートが好ましく挙げられる。
【0048】本発明におけるポリエステル層Bは、ポリ
エステル層Aと接していない表面の十点平均粗さ(WR
zB)が30〜300nmの範囲にあることが必要であ
る。好ましい十点平均粗さ(WRzB)は40〜250
nm、特に50〜200nmである。このWRzBが3
0nm未満では、ハンドリング性が悪く、十分な生産性
をあげることができず、かつまた、ブロッキング改良効
果も不十分となる。一方、WRzBが300nmを超え
ると、反対側の磁性層を設ける側の面への突起の形状転
写が大きくなり、電磁変換特性が損なわれる。また、該
ポリエステル層Bの表面粗さ(WRaB)は2〜10n
mであることが必要なハンドリング性および耐ブロッキ
ング性を維持しつつ反対側の磁性層を設ける側の面への
突起の形状転写を抑えて優れた電磁変換特性を得られる
ことから好ましい。さらに後述する積層ポリエステルフ
ィルムのポリエステル層A側の表面、すなわち、ポリエ
ステル層Bの反対側の表面粗さ(WRaA)に比べて、
表面粗さ(WRaB)が2nm以上大きいことが、ハン
ドリング性および耐ブロッキング性と電磁変換特性とを
より高いレベルで具備させることができるので好まし
い。
【0049】ポリエステル層Bに上述の表面特性を付与
させるには、平均粒径(dB)は50〜1,000n
m、より100〜800nm、さらに150〜700n
m、特に200〜600nmの不活性粒子(以下、不活
性粒子Bと称することがある。)を、ポリエステル層B
の重量を基準として、0.001〜1重量%、より0.
005〜0.8重量%、さらに0.01〜0.6重量
%、特に0.01〜0.2重量%の範囲で含有させるこ
とが好ましい。
【0050】上記不活性粒子Bの平均粒径が50nm未
満または含有量が0.001重量%未満であると、フィ
ルムの巻取り性、耐ブロッキング性が不良となりやす
い。一方、平均粒径が1,000nmを超えるか、また
は含有量が1重量%を超えると、反対面への突起の形状
転写や、層Aの下からの突起の突き上げによって電磁変
換特性を悪化させやすい。また、不活性粒子Bは、ポリ
エステル層Aが不活性粒子Aを含有する場合、該不活性
粒子Aよりも平均粒径が大きいことが好ましい。不活性
粒子Bの平均粒径が不活性粒子Aよりも小さい場合、フ
ィルム製造工程及び金属薄膜成形工程でのブロッキング
等の問題が生じやすい。
【0051】好ましい不活性粒子Bとしては、上記不活
性粒子Aと同様の粒子が挙げられ、不活性粒子Aと同様
1種または2種以上のものを混合して使用してもよい。
また、ポリエステル層Bは、不活性粒子B以外に該不活
性粒子Bよりも平均粒径が小さい、第2、第3の粒子
(微細粒子)を含有してもよい。この微細粒子の平均粒
径は、好ましくは5〜450nm、さらに好ましくは1
0〜400nm、特に好ましくは30〜350nmであ
る。また、第2、第3の粒子(微細粒子)の含有量は、
層Bに対し、好ましくは0.005〜1重量%、さらに
好ましくは0.01〜0.7重量%、特に好ましくは
0.02〜0.5重量%である。
【0052】本発明におけるポリエステル層Bは、さら
に、炭素数8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価
アルコールからなる(部分ケン化)エステルワックスを
0.001〜1重量%含有するのが好ましい。ここで、
(部分ケン化)エステルワックスとは、エステルワック
スと部分ケン化エステルワックスとを包含するものであ
る。
【0053】上記脂肪族モノカルボン酸の炭素数は8個
以上、好ましくは8〜34個である。この炭素数が8個
未満であると、得られた(部分ケン化)エステルワック
スの耐熱性が不充分で、ポリエステルに分散させる際の
加熱条件で、該(部分ケン化)エステルワックスが容易
に分解されてしまうため、不適切である。
【0054】炭素数8個以上の脂肪族モノカルボン酸と
しては、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラ
ウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル
酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノ
ナデカン酸、アラキン酸、ペヘン酸、リグノセリン酸、
セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ヘントリアコン
タン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノ
ール酸およびこれらを含む混合物などが挙げられる。
【0055】上記(部分ケン化)エステルワックスのア
ルコール成分は、水酸基を2個以上有する多価アルコー
ルである。さらに耐熱性の観点から、水酸基を3個以上
有する多価アルコールであることが好ましい。モノアル
コールを用いたのでは、生成した(部分ケン化)エステ
ルワックスの耐熱性が不足する。
【0056】上記水酸基を2個有する多価アルコールと
しては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジ
オール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジ
オール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコールなどが好ましく挙げられ
る。水酸基を3個以上有する多価アルコールとしては、
例えばグリセリン、エリスリット、トレイット、ペンタ
エリスリット、アラビット、キシリット、タリット、ソ
ルビット、マンニットなどが好ましく挙げられる。
【0057】上記脂肪族モノカルボン酸および多価アル
コールから得られるエステルワックスとしては、多価ア
ルコールの水酸基の数にもよるが、モノエステル、ジエ
ステル、トリエステルなどが挙げられる。これらの中、
耐熱性の観点から、モノエステルよりもジエステルが、
ジエステルよりもトリエステルが好ましい。好ましいエ
ステルワックスとしては、具体的にはソルビタントリス
テアレート、ペンタエリスリットトリペヘネート、グリ
セリントリパルミテート、ポリオキシエチレンジステア
レートなどが挙げられる。
【0058】上記脂肪族モノカルボン酸および多価アル
コールからなる部分ケン化エステルワックスは、多価ア
ルコールを炭素数8個以上の脂肪族モノカルボン酸で部
分エステル化したのち、2価以上の金属水酸化物でケン
化することにより得られる。具体的には、例えばモンタ
ン酸ジオールエステルを水酸化カルシウムでケン化し
た、ワックスE、ワックスOP、ワックスO、ワックス
OM、ワックスFL(全て、ヘキスト(株)社製商品
名)などが挙げられる。かかる(部分ケン化)エステル
ワックスは1種単独で使用してもよいし、2種以上を使
用してもよい。
【0059】上記(部分ケン化)エステルワックスの層
Bへの添加量は、0.001〜1重量%、好ましくは
0.003〜0.5重量%、さらに好ましくは0.00
5〜0.5重量%、特に好ましくは0.01〜0.3重
量%含有する。この(部分ケン化)エステルワックスの
添加量が0.001重量%未満であると、フィルム巻取
り性の向上が不十分であり、ブロッキング改良効果も得
られない。一方、1重量%を超えると、フィルム製造工
程で、ロール上に巻き上げたときに接する反対側の面
に、ブリードアウトによってワックス成分が多量に転写
され、そのため、例えば金属蒸着層とベースフィルムの
接着性を妨げるなどの弊害を生じる。
【0060】本発明における積層ポリエステルフィルム
は、磁気テープとした場合の諸特性向上のため、磁性層
を設ける側の面、すなわち、ポリエステル層Aの、ポリ
エステル層Bと接していない表面に、皮膜層Cを設ける
ことが好ましい。
【0061】前記皮膜層Cは、平均粒径10〜50n
m、体積形状係数0.1〜π/6の不活性粒子(以下、
不活性粒子Cと称することがある。)Cを0.5〜30
重量%含有していることが好ましい。
【0062】前記皮膜層Cを形成する樹脂としては、例
えば水性ポリエステル樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポ
リウレタン樹脂などが好ましく挙げられ、特に水性ポリ
エステル樹脂が好ましい。
【0063】この水性ポリエステル樹脂としては、酸成
分が、例えばイソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、
セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5−ス
ルホイソフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸
カリウム、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメリッ
ト酸モノカリウム塩、p−ヒドロキシ安息香酸などの多
価カルボン酸の1種以上よりなり、グリコール成分が、
例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、p−キシリレングリコール、ジメチロールプロパ
ン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物など
の多価ヒドロキシ化合物の1種以上より主としてなるポ
リエステル樹脂が好ましく用いられる。また、ポリエス
テル鎖にアクリル重合体鎖を結合させたグラフトポリマ
ーまたはブロックコポリマー、あるいは2種のポリマー
がミクロな粒子内で特定の物理的構成(IPN(相互侵
入高分子網目)型、コアシェル型など)を形成したアク
リル変性ポリエステル樹脂であってもよい。この水性ポ
リエステル樹脂としては、水に溶解、乳化、微分散する
タイプを自由に用いることができるが、水に乳化、微分
散するタイプのものが好ましい。また、これらは親水性
を付与するため、分子内に例えばスルホン酸塩基、カル
ボン酸塩基、ポリエーテル単位などが導入されていても
よい。
【0064】前記皮膜層Cに含有される不活性粒子Cと
しては、特に限定されないが、塗液中で沈降しにくい、
比較的低比重のものが好ましい。例えば、架橋シリコー
ン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、メラミン−ホル
ムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド
イミド樹脂、架橋ポリエステル、全芳香族ポリエステル
などの有機粒子、二酸化ケイ素(シリカ)、炭酸カルシ
ウムなどからなる粒子が好ましく挙げられる。なかで
も、架橋シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリ
カ粒子、コアシェル型有機粒子(コア:架橋ポリスチレ
ン、シェル:ポリメチルメタクリレートの粒子など)が
特に好ましく挙げられる。
【0065】前記不活性粒子Cの平均粒径(dC)は1
0〜50nm、好ましくは12〜45nm、さらに好ま
しくは15〜40nmである。この平均粒径が10nm
未満であると、フィルムの滑り性が不良となることがあ
り、一方、50nmを超えると、磁気記録媒体の電磁変
換特性が不良となることがあるため好ましくない。
【0066】前記不活性粒子Cの形状は後述の体積形状
係数(f)が0.1〜π/6、好ましくは0.2〜π/
6、さらに好ましくは0.4〜π/6であるものであ
る。
【0067】なお、体積形状係数(f)がπ/6である
粒子の形状は、球(真球)である。すなわち、体積形状
係数(f)が0.4〜π/6のものは、実質的に球ない
しは真球、ラグビーボールのような楕円球を含むもので
あり、不活性粒子Cとして好ましい。体積形状係数
(f)が0.1未満の粒子、例えば薄片状の粒子では、
走行耐久性が低下してしまうので好ましくない。
【0068】前記不活性粒子Cの含有量は、皮膜層C
(塗液の固形分)に対し、0.5〜30重量%、好まし
くは2〜20重量%、さらに好ましくは3〜10重量%
である。この含有量が0.5重量%未満であると、フィ
ルムの滑り性が不良となることがあり、一方、30重量
%を超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良とな
ることがあるため、好ましくない。
【0069】本発明における積層ポリエステルフィルム
は、ポリエステル層Aのポリエステル層Bと接しない側
の表面(皮膜層Cを設ける場合は皮膜層Cの表面)の表
面粗さ(WRaA)が0.1〜2.5nm、好ましくは
0.2〜2.2nm、さらに好ましくは0.3〜1.8
nm、特に好ましくは0.4〜1.5nmである。この
WRaAが0.1nm未満であると、滑り性が悪くフィ
ルムの製造が極めて困難であり、一方WRaAが2.5
nmを超えると、高密度化に対応した電磁変換特性が悪
化するので好ましくない。
【0070】この表面粗さ(WRaA)は、ポリエステ
ル層Aを形成するポリエステルAにチタン元素を5〜3
0ppmの範囲で含有すること、および、皮膜層Cに含
有させる不活性粒子Cの粒径と量、および/またはポリ
エステル層Aに含有させる不活性粒子Aの粒径と量によ
って調整することができる。
【0071】本発明における積層ポリエステルフィルム
の全厚みは、2μm以上8μm未満、好ましくは2.5
〜7.5μmである。ポリエステル層Aとポリエステル
層Bの厚み構成は、好ましくはポリエステル層Bの厚み
が積層フィルムの全厚みの1/50〜1/2、さらに好
ましくは1/30〜1/3、特に好ましくは1/20〜
1/4である。皮膜層Cの厚みは、通常1〜100n
m、好ましくは2〜50nm、さらに好ましくは3〜1
0nm、特に好ましくは3〜8nmである。
【0072】本発明における積層ポリエステルフィルム
は、従来から知られている、または当業界に蓄積されて
いる方法に準じて製造することができる。そのうち、ポ
リエステル層Aとポリエステル層Bとの積層構造は、共
押出し法により製造するのが好ましく、皮膜層Cの積層
は塗布法により行うのが好ましい。
【0073】例えば、二軸配向ポリエステルフィルムで
説明すると、押出し口金内または口金以前(一般に、前
者はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック
方式と呼ぶ)で、上記(部分ケン化)エステルワックス
及び不活性粒子Bを微分散、含有させたポリエステルB
と、必要に応じて不活性粒子Aを含有させたポリエステ
ルAとを、それぞれさらに高精度ろ過したのち、溶融状
態にて積層複合し、上記好適な厚み比の積層構造とな
し、次いで口金より融点(Tm)〜(Tm+70)℃の
温度(ただし、Tm:ポリエステルの融点)でフィルム
状に共押出ししたのち、40〜90℃の冷却ロールで急
冷固化し、未延伸積層フィルムを得る。その後、上記未
延伸積層フィルムを常法に従い、一軸方向(縦方向また
は横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度
(ただし、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で
2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜7.5
倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向とは直角方向
(一段目延伸が縦方向の場合には、二段目延伸は横方向
となる)に(Tg−10℃)〜(Tg+10℃)の温度
でフイルムを予熱後、(Tg+15)〜(Tg+70)
℃の温度で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.
0〜7.5倍の倍率で延伸する。さらに、必要に応じ
て、縦方向および/または横方向に再度延伸してもよ
い。すなわち、2段、3段、4段あるいは多段の延伸を
行うとよい。全延伸倍率としては、通常9倍以上、好ま
しくは10〜35倍、さらに好ましくは12〜30倍で
ある。
【0074】さらに、前記二軸配向フィルムは(Tg+
60)〜(Tm−10)℃の温度、例えば、ポリエチレ
ンテレフタレートフィルムの場合、170〜250℃で
熱固定結晶化することによって、優れた寸法安定性が付
与される。その際、熱固定時間は1〜60秒が好まし
い。
【0075】なお、積層ポリエステルフィルムの製造に
際し、ポリエステルA、Bに所望により上記不活性粒子
以外の添加剤、例えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの
固有抵抗調整剤などを添加含有させることができる。
【0076】本発明におけるポリエステル層Aへの皮膜
層Cの積層は、水性塗液を塗布する方法で行うのが好ま
しい。
【0077】塗布は最終延伸処理を施す以前のポリエス
テル層Aの表面に行い、塗布後にはフィルムを少なくと
も一軸方向に延伸するのが好ましい。この延伸の前ない
し途中で皮膜は乾燥される。その中で、塗布は、未延伸
積層フィルムまたは縦(一軸)延伸積層フィルム、特に
縦(一軸)延伸積層フィルムに行うのが好ましい。塗布
方法としては特に限定されないが、例えば、ロールコー
ト法、ダイコート法などが挙げられる。
【0078】前記塗液、特に水性塗液の固形分濃度は、
0.2〜8重量%、さらに0.3〜6重量%、特に0.
5〜4重量%であることが好ましい。そして、水性塗液
には、本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分、例え
ば他の界面活性剤、安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、増
粘剤などを添加することができる。
【0079】本発明においては、磁気記録媒体としての
ヘッドタッチ、走行耐久性をはじめとする各種性能を向
上させ、同時に薄膜化を達成するには、積層フィルムの
ヤング率を、縦方向および横方向でそれぞれ、通常45
00N/mm2以上および6000N/mm2以上、好ま
しくは4800N/mm2以上および6800N/mm2
以上、さらに好ましくは5500N/mm2以上および
8000N/mm2以上、特に好ましくは5500N/
mm2以上および10,000N/mm2以上とする。
【0080】また、ポリエステル層A、Bの結晶化度
は、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合
は30〜50%、ポリエチレン−2,6−ナフタレート
の場合は28〜38%であることが望ましい。いずれも
下限を下回ると、熱収縮率が大きくなるし、一方上限を
上回るとフィルムの耐摩耗性が悪化し、ロールやガイド
ピン表面と摺動した場合に白粉が生じやすくなる。
【0081】本発明によれば、ポリエステル層Aの片面
にポリエステル層Bが積層されてなる積層ポリエステル
フィルム、および、ポリエステル層Aのポリエステル層
Bと接していない表面に皮膜層Cが積層されている積層
ポリエステルフィルムのそれぞれをベースフィルムとす
る磁気記録媒体が同様に提供される。
【0082】本発明の積層ポリエステルフィルムから磁
気記録媒体を製造する実施態様は、下記のとおりであ
る。
【0083】本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポ
リエステル層A、好ましくは皮膜層Cの表面に、真空蒸
着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法に
より、鉄、コバルト、ニッケル、クロムまたはこれらを
主成分とする合金もしくは酸化物よりなる強磁性金属薄
膜層を形成する磁気記録媒体用ポリエステルフィルムと
して特に有用である。金属薄膜層の厚さは100〜30
0nmであるものが好ましい。
【0084】また、前記磁気記録媒体用ポリエステルフ
ィルムは更に強磁性金属薄膜層の表面に、目的、用途、
必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)な
どの保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、
さらに必要により、ポリエステル層Bの表面に、公知の
方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長
領域での出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性に優
れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録
用蒸着型磁気記録媒体として使用することが好ましい。
この蒸着型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用Hi
8、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレ
コーダー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV用磁気
テープ媒体として極めて有用であり、特にデジタルビデ
オテープ用途に使用すると優れた結果を得ることがで
き、好適である。またデータストレージテープ用途にし
ても優れた結果を得ることができ、好適である。
【0085】本発明における磁気記録媒体は、ポリエス
テル層Bの表面に固体微粒子及び結合剤からなり、必要
に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することにより
形成されるバックコート層を設けてもよい。固体微粒
子、結合剤、添加剤は公知のものを使用でき、特に限定
されないが、バックコート層の厚さは0.3〜1.5μ
mであることが好ましい。
【0086】また、本発明の積層ポリエステルフィルム
は、ポリエステル層A、好ましくは皮膜層Cの表面に、
鉄または鉄を主成分とする針状微細磁性粉(メタル粉)
をポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体な
どのバインダーに均一に分散し、磁性層厚みが1μm以
下、好ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し、さ
らに必要により、ポリエステル層Bの磁性層とは反対側
の表面に、公知の方法でバックコート層を設けることに
より、特に短波長領域での出力、S/N、C/Nなどの
電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの
少ない高密度記録用メタル塗布型磁気記録媒体とするこ
ともできる。また、必要に応じてポリエステル層Aまた
は皮膜層Cの表面に、上記メタル粉含有磁性層の下地層
として微細な酸化チタン粒子などを含有する非磁性層を
磁性層と同様の有機バインダー中に分散し、塗設するこ
ともできる。このメタル塗布型磁気記録媒体は、アナロ
グ信号記録用8ミリビデオ、Hi8、βカムSP、W−
VHS、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセッ
トレコーダー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV、
ディジタルβカム、D2、D3、SXなど用磁気テープ
媒体として極めて有用である。
【0087】本発明の積層ポリエステルフィルムは、ま
た、ポリエステル層A、好ましくは皮膜層Cの表面に、
酸化鉄または酸化クロムなどの針状微細磁性粉、または
バリウムフェライトなどの板状微細磁性粉をポリ塩化ビ
ニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのバインダ
ーに均一に分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましく
は0.1〜1μmとなるように塗布し、さらに必要によ
り、ポリエステル層Bの磁性層とは反対側の表面に、公
知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短
波長領域での出力、S/N、C/N等の電磁変換特性に
優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記
録用酸化物塗布型磁気記録媒体とすることもできる。ま
た、必要に応じて、ポリエステル層Aまたは皮膜層Cの
表面に、上記酸化物粉末含有磁性層の下地層として微細
な酸化チタン粒子などを含有する非磁性層を磁性層と同
様の有機バインダー中に分散し、塗設することもでき
る。この酸化物塗布型磁気記録媒体は、ディジタル信号
記録用データストリーマー用QICなどの高密度記録用
酸化物塗布型磁気記録媒体として有用である。
【0088】上述のW−VHSはアナログのHDTV信
号記録用VTRであり、またDVCはディジタルのHD
TV信号記録用として適用可能なものである。それゆ
え、本発明の積層ポリエステルフィルムは、これらHD
TV対応VTR用磁気記録媒体に極めて有用なベースフ
ィルムと言うことができる。
【0089】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例により限定される
ものではない。なお、実施例および比較例における
「部」および「%」は、特に断らない限り重量部および
重量%である。また、本発明における物性値および特性
は、それぞれ下記の方法で測定し、かつ定義されるもの
である。 (1)Tm(融点)およびTc(降温結晶化温度) ポリエステル層AからポリエステルAを削り出し、DS
C測定用パンに10mgのサンプルを入れ、290℃加
熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パンを
氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化し、Du Pon
t Instruments 910 DSCを用い、
昇温速度20℃/分で融点を測定せしめ、更に300℃
の溶融状態まで到達した後、10℃/分で降温し、結晶
化温度を測定する方法による。
【0090】(2)ジエチレングリコール量 ポリエステル層AからポリエステルAを削り出し、CD
Cl3/CF3COOD混合溶媒にて溶解し、1H−NM
Rにて測定する。
【0091】(3)チタン元素量 ポリエステル層Aまたはポリエステル層Bからポリエス
テルAまたはポリエステルBを削り出し、硝酸と硫酸の
1:1混合液によって湿式分解した後、高周波プラズマ
発光分光分析装置(ジャーレルアッシュ製 Atom Comp S
eries 800)を用いてチタン元素量を定量する。
【0092】(4)粒子の平均粒径(I)(平均粒径:
60nm以上) 株式会社島津製作所製「CP−50型セントリヒューグ
ル パーティクル サイズ アナライザー(Centrifuga
l Particle Size Analyzer)」を用いて測定した。得ら
れる遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存
在量との積算曲線から、50マスパーセントに相当する
粒径「等価球直径」を読み取り、この値を上記平均粒径
(nm)とする(「粒度測定技術」日刊工業新聞社発
行、1975年、頁242〜247)。
【0093】(5)粒子の平均粒径(II)(平均粒径:
60nm未満) 小突起を形成する平均粒径60nm未満の粒子は、光散
乱法を用いて測定する。詳しくは、ニコンプインストゥ
ルメント株式会社(Nicomp Instruments Inc.)製の商
品名「NICOMP MODEL 270 SUBMICRON PARTICLE SIZER」
により求められる全粒子の50%の点にある粒子の「等
価球直径」をもって、平均粒径(nm)とする。
【0094】(6)体積形状係数(f) 走査型電子顕微鏡により、用いたサイズに応じた倍率に
て各粒子の写真を撮影し、画像解析処理装置ルーゼック
ス500(日本レギュレーター社製)を用い、投影面最
大径を粒子の平均粒径(D)(μm)として求め、また
粒子の体積(V)(μm3)を算出し、下式(I)により
計算する。
【0095】
【数4】f=V/D3 ・・・・・(I)
【0096】(7)ポリエステル層A、Bの厚み、およ
びフィルム全体の厚み フィルム全体の厚みはマイクロメーターにてランダムに
10点測定し、その平均値を用いる。ポリエステル層
A、Bの層厚については、薄いポリエステル層の層厚み
を下記に述べる方法にて測定し、厚いポリエステル層の
層厚みは、全厚みより皮膜層および薄いポリエステル層
の層厚を引き算して求める。すなわち、二次イオン質量
分析装置(SIMS)を用いて、被覆層を除いた表層か
ら深さ5,000nmの範囲のフィルム中の粒子の内最
も高濃度の粒子に起因する金属元素(M+)とポリエス
テルの炭化水素(C+)の濃度比(M+/C+)を粒子濃
度とし、表面から深さ5,000nmまで厚さ方向の分
析を行う。表層では表面という界面のために粒子濃度は
低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。
本発明の場合、粒子濃度は一旦安定値1になったのち、
上昇して安定値2になる場合と、単調に減少する場合と
がある。この分布曲線をもとに、前者の場合は、(安定
値1+安定値2)/2の粒子濃度を与える深さをもっ
て、また後者の場合は粒子濃度が安定値1の1/2にな
る深さ(この深さは安定値1を与える深さよりも深い)
をもって、薄いポリエステル層の厚み(μm)とする。
測定条件は、以下のとおりである。
【0097】(a)測定装置 二次イオン質量分析装置(SIMS);パーキン・エルマー
株式会社 (PERKIN ELMER INC.)製、「6300」 (b)測定条件 一次イオン種:O2+ 一次イオン加速電圧:12KV 一次イオン電流:200nA ラスター領域:400μm□ 分析領域:ゲート30% 測定真空度:6.0×10-9Torr E−GUNN:0.5KV−3.0A なお、表層から5,000nmの範囲に最も多く存在す
る粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子粒子の場合は
SIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしなが
らFT−IR(フーリエトランスフォーム赤外分光
法)、粒子によってはXPS(X線光電分光法)などで
上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚(μm)を求め
る。
【0098】(8)皮膜層Cの厚み フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロ
トームにて約600オングストロームの厚みの超薄切片
(フィルムの流れ方向に平行に切断する)を作成した。
この試料を透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製:
H−800型)にて観察し、皮膜層Cの境界面を探して
皮膜層の厚み(nm)を求める。
【0099】(9)表面粗さ WRa WYKO株式会社製の非接触三次元粗さ計、商品名「TOPO−
3D」を用いて、測定倍率40倍、測定面積242μm×
239μm(0.058mm2)の条件にて測定を行
い、表面粗さのプロフィル(オリジナルデータ)を得
た。上記粗さ計内蔵ソフトによる表面解析により、下式
によって定義される中心面平均粗さ(WRa)を得る。
【0100】
【数5】
【0101】また、Zjkは、測定方向(242μm)、
それと直行する方向(239μm)を、それぞれM分
割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置に
おける三次元粗さチャート上の高さである。
【0102】 十点平均粗さWRz 上述のと同じ測定器を用い、同じ条件で測定して得ら
れたデーターから、同粗さ計内臓のソフトによる表面解
析により、ピーク(Hp)の高い方から5点と谷(H
v)の低い方から5点をとった平均値を求めWRzとす
る。
【0103】
【数6】
【0104】(10)ヤング率 東洋ボールドウィン株式会社製の引っ張り試験機、商品
名「テンシロン」を用いて、温度20℃、湿度50%に
調節された室内において、長さ300nm、幅12.7
mmの試料フィルムを10%/分のひずみ速度で引っ張
り、引っ張り応力−ひずみ曲線の初めの直線部分を用い
て下式(II)によって計算する。
【0105】
【数7】E=Δσ/Δε ・・・・・(II) ここで、Eはヤング率、Δσは直線上の2点間の元の平
均断面積による応力差、Δεは同じ2点間のひずみ差で
ある。
【0106】(11)巻き取り性 スリット時の巻き取り条件を最適化したのち、幅600
mm×12,000mのサイズで、30ロールを速度1
00m/分でスリットし、スリット後のフィルム表面
に、ブツ状、突起やシワのないロールを良品として、以
下の基準にて巻き取り性を評価する。 ◎:良品ロールの本数28本以上 ○:良品ロールの本数25〜27本 ×:良品ロールの本数24本以下
【0107】(12)磁気テープの製造および特性(表
面欠点異常および電磁変換特性)評価積層ポリエステル
フィルムの皮膜層Cの表面に、真空蒸着法により、コバ
ルト100%の強磁性薄膜を0.2μmの厚みになるよ
うに2層(各層厚約0.1μm)形成する。
【0108】コバルト蒸着したフイルム表面(10000c
2)を目視でチェックし、蒸着時の耐熱性不良による
表面欠点異常(膨らみ、へこみ、蒸着抜け等)もしくは
穴明き等がないか評価する。(耐熱性評価) ◎ :蒸着後ロールに表面欠点異常が一つも見られない ○:蒸着後ロールに表面欠点異常が1〜2個認められる △ :蒸着後ロールに表面欠点異常が3〜10個認められる × :蒸着後ロールに表面欠点異常が10個以上認められ
るか、穴明きがある 形成した強磁性薄膜の表面にダイヤモンドライクカーボ
ン(DLC)膜、さらに含フッ素カルボン酸系潤滑層を
順次設け、さらにポリエステル層Aの表面に、公知の方
法でバックコート層を設ける。その後、8mm幅にスリ
ットし、市販の8mmビデオカセットにローディングす
る。次いで、下記の市販の機器を用いてテープの特性
(C/N)を測定する。
【0109】(a)使用機器:8mmビデオテープレコ
ーダー(ソニー株式会社製、商品名「EDV−600
0」)およびノイズメーター(株式会社シバソク製) (b)測定方法:記録波長0.5μm(周波数約7.4
MHz)の信号を記録し、その再生信号の6.4MHz
と7.4MHzの値の比をそのテープのC/Nとし、市
販8mmビデオ用蒸着テープのC/Nを0dBとし、相
対値で評価する。
【0110】(13)(部分ケン化)エステルワックス 炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価ア
ルコールからなる(部分ケン化)エステルワックスとし
てソルビタントリステアレート(融点55℃)を使用す
る。
【0111】[実施例1]2,6ナフタレンジカルボン
酸ジメチル100部とエチレングリコール70部の混合
物に、エステル交換触媒としてエチレングリコール2.
5部中で無水トリメリット酸0.8部とテトラブチルチ
タネート0.65部を反応せしめた液(チタン含有率は
11重量%)0.011部を添加し、内温を150℃か
ら徐々に上げながらエステル交換反応を行った。エステ
ル交換反応が95%となった時点で、安定剤として亜リ
ン酸を0.01部添加し、充分撹拌した後、さらに滑剤
(不活性粒子A)として平均粒径60nmの球状シリカ
(体積形状係数0.5)を0.03%(ポリマーに対
し)添加して充分撹拌した後、次いで反応生成物を重合
反応器に移し、高温真空下(最終内温295℃)にて重
縮合を行い、固有粘度0.60のポリエステルA用のポ
リエチレンナフタレート(樹脂A1)を得た。樹脂A1
のDEG量は1.5重量%であった。なお、さらに、上
記と同様の方法で、エステル交換反応を行い、エステル
交換反応が95%となった時点で、安定剤として亜リン
酸を0.01部添加し、充分撹拌した後、三酸化アンチ
モンを0.038部添加した。系内に混入した水を充分
留出させた後、滑剤(不活性粒子B)として、平均粒径
300nmのシリコーン樹脂粒子および平均粒径100
nmのθ型アルミナを、樹脂中にそれぞれ0.05%お
よび0.2%添加して充分撹拌した後、次いで反応生成
物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温295
℃)にて重縮合を行い、固有粘度0.60のポリエチレ
ンナフタレートを得た。なお、エステル交換反応終了
後、真空反応開始までの時間は15分間で、このポリマ
ー中のチタン元素残存量は10ppmであった。
【0112】得られたポリエチレンナフタレート99.
7%に、炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸およ
び多価アルコールからなる(部分ケン化)エステルワッ
クスとしてソルビタントリステアレート(融点55℃)
の粉末0.15%をまぶし、ベント付き二軸ルーダーに
て練り込み、固有粘度0.59のポリエステル層B用の
ポリエチレンナフタレート(樹脂B1)を得た。なお、
エステル交換反応終了後、真空反応開始までの時間は1
5分間であった。
【0113】得られた樹脂A1、樹脂B1を、それぞれ
170℃で6時間乾燥後、2台の押し出し機に供給し、
溶融温度280〜300℃にて溶融し、平均目開き11
μmの鋼線フィルターで高精度ろ過したのち、マルチマ
ニホールド型共押出しダイを用いて、層Aの片面に層B
を積層させ、急冷して厚さ89μmの未延伸積層ポリエ
ステルフィルムを得た。
【0114】得られた未延伸フィルムを予熱し、さらに
低速・高速のロール間でフィルム温度135℃にて3.
6倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで
縦延伸フィルムの層A側に下記に示す組成(固形分換
算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)をキスコート
法により乾燥後の皮膜層Cの厚みが8nmとなるように
塗布した。
【0115】塗液の固形分組成(皮膜層C用) ・バインダー:アクリル変性ポリエステル(高松油脂株
式会社製IN−170−6)60% ・不活性粒子C:コアシェルフィラー(コア:架橋ポリ
スチレン、シェル:ポリメチルメタクリレート、平均粒
径:30nm、体積形状係数:0.45、製造:ジェイ
エスアール株式会社、商品名:「SX8721」)7% ・界面活性剤X:ノニオンNS−208.5(日本油脂
株式会社製)3% ・界面活性剤Y:ノニオンNS−240(日本油脂株式
会社製)30% 続いてステンターに供給し、120℃でフイルムを予熱
後、155℃にて横方向に5.7倍に延伸した。得られ
た二軸延伸フィルムを、200℃の熱風で4秒間熱固定
し、全厚み4.4μm、層Bの厚み0.6μmの積層二
軸配向ポリエステルフィルムを得た。ポリエステル層A
のΔTcmは144℃であった。このフィルムのポリエ
ステル層A、Bの厚みについては、2台の押し出し機の
吐出量により調整した。このフィルムの塗膜層C側の表
面から測定した表面粗さWRaは、1.3nm、このフ
ィルムのヤング率は縦方向5500N/mm2、横方向
10,500N/mm2であった。この積層フィルムの
その他の特性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜
蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0116】[実施例2]樹脂A1を製造する際にチタ
ン元素残存量が20ppmになるようにチタン系触媒量
を増加させ、滑剤(不活性粒子A)を含有させない以外
は実施例1と同様に樹脂A2を得た。この樹脂A2のD
EG量は1.8重量%であった。そして、ポリエステル
層Aを構成するポリエステルAをこの樹脂A2に変更し
た以外は実施例1と同様にして、積層二軸配向ポリエス
テルフィルムを得た。ポリエステル層AのΔTcmは1
42℃であった。得られたフィルムの特性およびそのフ
ィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表
1に示す。
【0117】[実施例3]ポリエステル層Aを構成する
ポリエステルとして、不活性粒子を含有させなかった樹
脂A1(以下、樹脂A3と称する。)を用い、ポリエス
テル層Bに含有させる触媒の種類、不活性粒子Bの種
類、平均粒径、添加量を表1に示すとおり変更した樹脂
(以下、樹脂B3と称する。)を用いる以外は、実施例
1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得ら
れたフィルムの特性、およびそのフィルムを用いた強磁
性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0118】[実施例4]ポリエステル層Aおよびポリ
エステル層Bを構成するポリエステルAおよびBの原料
として用いた2,6−ナフタレンジカルボン酸メチルを
ジメチルテレフタレートに同モル量になるように変更し
た以外は、実施例3と同様にしてポリエステル層Aおよ
びB用のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと
称することがある。)樹脂(ポリエステル層A用:樹脂
A4、ポリエステル層B用:樹脂B4)を得た。固有粘
度は樹脂A4、B4共に0.60であった。また樹脂A
4のDEG量は1.5重量%であった。
【0119】この樹脂A4、B4を、得られた樹脂A
1、樹脂B1を、それぞれ170℃で3時間乾燥後、2
台の押し出し機に供給し、溶融温度280〜300℃に
て溶融し、平均目開き11μmの鋼線フィルターで高精
度ろ過したのち、マルチマニホールド型共押出しダイを
用いて、層Aの片面に層Bを積層させ、急冷して厚さ8
9μmの未延伸積層ポリエステルフィルムを得た。
【0120】得られた未延伸フィルムを予熱し、さらに
低速・高速のロール間でフィルム温度100℃にて3.
3倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで
縦延伸フィルムの層A側に不活性粒子Cをアクリルフィ
ラー(平均粒径30nm、体積形状係数0.40、日本
触媒株式会社製、商品名「エポスター」)に変更した以
外は実施例1と同じ組成の水性塗液(全固形分濃度1.
0%)を実施例1と同様に塗布した。
【0121】続いてステンターに供給し、80℃でフイ
ルムを予熱後、110℃にて横方向に4.2倍に延伸し
た。得られた二軸延伸フィルムを、220℃の熱風で4
秒間熱固定し、全厚み6.4μmで、ポリエステル層B
の厚み1.0μmの積層二軸配向ポリエステルフィルム
を得た。ポリエステル層AのΔTcmは95℃であっ
た。このフィルムのポリエステル層A、Bの厚みについ
ては、2台の押し出し機の吐出量により調整した。この
フィルムの皮膜層C側の表面から測定した表面粗さWR
aは1.6nm、このフィルムのヤング率は縦方向50
00N/mm2、横方向7000N/mm2であった。こ
の積層フィルムのその他の特性、およびこのフィルムを
用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示
す。
【0122】[比較例1]ポリエステル層Aを形成する
樹脂Aにアンチモン元素が30ppm含有されている以
外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを
得た。得られたフィルムは金属薄膜蒸着工程で層Aの平
滑性が低下し、磁気テープにしたときの十分な電磁変換
特性を得ることができなかった。その他の特性およびこ
のフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性
を表1に示す。
【0123】[比較例2]ポリエステル層Aを形成する
樹脂Aのチタン触媒量を残存量が35ppmになるよう
に調整した以外は実施例1と同様にして積層ポリエステ
ルフィルムを得た。得られたフィルムは金属薄膜蒸着工
程で層Aの平滑性が低下し、磁気テープにしたときの十
分な電磁変換特性を得ることができなかった。その他の
特性およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気
テープの特性を表1に示す。
【0124】[比較例3]ポリエステル層Aを形成する
樹脂Aを重合する際に、エステル交換反応終了後、真空
反応開始までの時間を40分間にした結果、DEG量
3.0重量%の樹脂A5を得た。固有粘度は0.60で
あった。それ以外は、実施例1と同様にして積層ポリエ
ステルフイルムを得た。ΔTcmは135℃であった。
得られたフイルムは金属薄膜蒸着工程で耐熱性がやや不
足し、表面異常欠点が2個発生した。また、磁気テープ
にしたときの十分な電磁変換特性を得る事ができなかっ
た。その他の特性およびフイルムを用いた強磁性薄膜蒸
着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0125】[比較例4]ポリエステル層Aを形成する
樹脂Aのチタン触媒量を残存量が30ppmになるよう
に調整し、更に二軸延伸フイルムの熱固定温度を220
℃に変更した以外は、実施例4と同様にして積層ポリエ
ステルフイルムを得た。ΔTcmは185℃であった。
得られたフィルムは金属薄膜蒸着工程で層Aの平坦性が
低下し、磁気テープにした際、十分な電磁変換特性を得
ることができなかった。その他の特性、およびこのフィ
ルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1
に示す[比較例5]ポリエステル層Bに含有させる不活
性粒子Bの種類、平均粒径、添加量を表1に示すように
した以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフ
ィルムを得た。得られたフィルムは、層Bからブリード
アウトしたオリゴマーが反対面へ転写することは問題な
く良好であったが、層B側の突起の反対面への形状転写
の程度が強く、磁気テープにした際、十分な電磁変換特
性を得ることができなかった。その他の特性、およびこ
のフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性
を表1に示す。
【0126】
【表1】
【0127】ここで、表1中の、PENはポリエチレン
ー2,6−ナフタレート(ポリエチレンー2,6−ナフ
タレンジカルボキシレート)、PETはポリエチレンテ
レフタレート、Tiはチタン化合物、Sbはアンチモン
化合物を示す。
【0128】表1から明らかなように、本発明の積層ポ
リエステルフィルムは、耐熱性が良好なために片面が非
常に平坦で、反対面からの突起の脱落物転写も少なく、
優れた電磁変換特性を示すとともに、巻き取り性が極め
て良好である。一方、本発明の要件を満たさないもの
は、これらの特性を同時に満足できない。
【0129】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性、加工適性に優
れ、特に電磁変換特性に優れた金属薄膜型磁気記録媒体
に有用な積層ポリエステルフィルムを提供することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 67/00 C08L 101:00 101:00) (72)発明者 室岡 博文 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人デュポンフィルム株式会社相模原研究セ ンター内 Fターム(参考) 4F100 AB12A AJ11B AK41A AK41B BA02 DB01B DD07B GB41 JA11A JG00 JK15 JL01 4J002 BC032 BG002 CC182 CF001 CF002 CF031 CF061 CF081 CL062 CM042 CP032 DA016 DA026 DA036 DE076 DE096 DE106 DE136 DE146 DE236 DG046 DJ016 DJ036 EH047 FD012 FD016 FD207 GF00 GS01 5D006 CB01 CB06 CB07 CB08

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル層Aとその片面に積層され
    たポリエステル層Bからなり、ポリエステル層Aを構成
    するポリエステルは、触媒残渣としてのチタン化合物を
    チタン元素量で5〜30ppmおよびジエチレングリコ
    ール成分を0.1〜2.5重量%含有し、かつ、結晶化
    パラメータ(△Tcm)が以下の一般式(I)を満足
    し、ポリエステル層Aと接していないポリエステル層B
    の表面の十点平均粗さ(WRzB)は30〜300nm
    の範囲にあることを特徴とする積層ポリエステルフィル
    ム。 【数1】70℃≦ΔTcm≦180℃ ・・・(I) (ここで、式(I)中の△Tcmは、ポリエステルの融
    点(Tm)からポリエステルの溶融状態から降温した際
    の結晶化温度(Tc)を差し引いた温度である。)
  2. 【請求項2】 ポリエステル層Bと接していないポリエ
    ステル層Aの表面の中心平均粗さ(WRaA)が0.1
    〜2.5nmである請求項1に記載の積層ポリエステル
    フイルム。
  3. 【請求項3】 ポリエステル層Bが、触媒残渣としての
    チタン化合物をチタン元素量で5〜30ppm含有する
    請求項1記載の積層ポリエステルフイルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステル層Bが、平均粒径50〜1
    000nmの不活性粒子Bを0.001〜1重量%含有
    する請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステル層Bが、炭素数8個以上の
    脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなる
    (部分ケン化)エステルワックスを0.001〜1重量
    %含有する請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 ポリエステル層Aが実質的に粒子を含有
    しないか、または、平均粒径30〜400nmの範囲で
    かつ不活性粒子Bよりも平均粒径の小さい不活性粒子A
    を0.001〜0.2重量%含有する請求項2記載の積
    層ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 ポリエステル層Aのポリエステル層Bと
    接していない表面に皮膜層Cが積層されている請求項1
    〜6のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
  8. 【請求項8】 皮膜層Cが、平均粒径10〜50nm、
    体積形状係数0.1〜π/6の不活性粒子Cを0.5〜
    30重量%含有する請求項7に記載の積層ポリエステル
    フィルム。
  9. 【請求項9】 厚さが2μm以上8μm未満である請求
    項1〜8のいずれかに記載の積層ポリエステルフィル
    ム。
  10. 【請求項10】 ポリエステル層Aおよび層Bを構成す
    るポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートまたは
    ポリエチレン−2,6−ナフタレートである請求項1〜
    9のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
  11. 【請求項11】 積層ポリエステルフィルムのポリエス
    テル層A側の表面に磁性層を設けて、磁気記録媒体の支
    持体として用いる請求項1〜10のいずれかに記載の積
    層ポリエステルフィルム。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれかに記載され
    た積層ポリエステルフィルムと、積層ポリエステルフィ
    ルムのポリエステル層A側の表面に設けられた磁性層と
    からなることを特徴とする磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 磁性層が強磁性金属薄膜層である請求
    項12に記載の磁気記録媒体。
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