JP2003290173A - 開放型ｍｒｉ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 開放構造の磁石を用いたMRI装置において、
被検者の検査部位を磁石の中心位置に正確に配置し、検
査の位置精度を向上する。 【解決手段】 上記目的を達成する本発明のMRI装置の
調整法は、被検体の置かれる空間に均一な静磁場を発生
する静磁場発生手段と、前記空間に被検体を搬入・搬出
する患者テーブルとを備え、前記被検体の断層画像を得
る磁気共鳴イメージング装置において、前記静磁場発生
手段は、前記空間の上下に配置された磁場発生源と、上
下の磁場発生源を所定の間隔を持って保持する少なくと
も１つの構造体と、前記空間の中心を示す複数のガイド
手段とを備え、前記ガイド手段の少なくとも１つは前記
均一磁場空間の中心を明示する。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明が属する技術分野】この発明は磁気共鳴イメージ
ング装置(以下、MRI装置という)に係わり、特に、被検
者に圧迫感を与えない開放型の磁石を採用し、かつ、被
検者の磁石内セッティングに好適な手段を有する開放型
MRI装置に関する。 【０００２】 【従来の技術】核磁気共鳴(NMR)現象を利用して人体の
断層像を得るMRI検査法は広く医療機関で利用されてい
る。このMRI検査法は正確に被検体の検査部位の内部構
造を反映する必要から、検査部位を含む空間に均一な磁
場強度を発生する磁石を必要としている。均一な磁場空
間は無限長のソレノイドコイル内で得られることから、
MRI装置に用いられる磁石の多くは細長い筒状の空芯ソ
レノイドコイルと磁場均一度を改善するシム機構が組み
込まれた構造となっている。 【０００３】細長い空間に被検者を配設する磁石構造の
MRI装置は被検者に対して圧迫感を与えるので閉所恐怖
症者や小児の検査に対して適当ではなかった。そこで、
側面に開口部を設けたり、磁石前面の被検者搬入部を広
くした磁石を採用したMRI装置が開発され近年普及して
いる。 【０００４】この開放型のMRI装置の磁石としては、開
放構造の作りやすさから比較的磁場強度が低い常電導磁
石や永久磁石が用いられている。これらの磁石は鉄ヨー
クによる磁気回路を構成しており、その開放型構造を支
持する構造物を構成すると共に、その時期的特性である
起磁力と漏洩磁場の向上の働きをしている。これらに関
する公知の技術として、特許第2759185号公報がある。 【０００５】一方で、検査部位の位置精度高めるため、
被検者の検査部位を正確に磁石の中心に配設する必要が
ある。磁石の中心で被検者の検査部位の位置合わせをす
ることは実質的に困難である。その理由は比較的狭い磁
石空間内で被検者の体を動かすことが困難なこと、また
磁石の周辺部に立つオペーレータからは磁石中心付近ま
で距離があること、磁石中心を検査部位が占めることに
なり磁石中心を特定できないことによる。そこで、磁石
の周辺位置に磁石の中心をガイドする投光機が複数取り
付けられ、この投光機のガイド光に合わせて被検者の検
査部位を合わせる。この合わせ作業後、磁石周辺位置と
磁石中心位置のオフセット距離を取除く移動過程を経て
被検者の検査部位を磁石中心に合わせている。 【０００６】 【発明が解決しようとする課題】開放構造の磁石を用い
たMRI装置の有用性が確立されるにつれ、被検者を磁石
に搬入するときに感ずる圧迫感を更に低減するためや、
検査中の小児の被検者を看護しやすいように磁石の前面
や側面の開口を出来るだけ広くした開放構造の磁石構造
が提案されている。この様に被検者の搬入口を大きくす
ることによって、磁石周辺に取り付けられていた投光機
の取り付け場所が制約され、最適な位置に取り付けられ
ない問題が生じた。これは磁石の前面位置で被検者の検
査部位と検出コイルをセットするオフセット位置合わせ
に対して、横方向からのガイド光を発する投光機を取り
付ける構造物が存在しないことや、あるいは投光機自体
で磁石の側面の開放空間を犠牲にしたくないとする配慮
もある。 【０００７】この問題の解決策の1つとして、投光機を
磁石が設置される部屋の壁面に取り付ける提案もなされ
ている。この場合は、磁石と部屋の相対位置を正確に測
定する作業が必要になることと、投光機と磁石の間にオ
ペレータが介在した場合にはガイド光が遮られ被検者の
目的部位に投影されない問題が生じた。 【０００８】本発明は上述の観点に鑑みてなされたもの
で、その目的は開放的な磁石構造でもその開放構造を阻
害することなく、被検体の検査部位の位置合わせに好適
な投光機の配置を行ない検査部位の位置精度を向上する
ことにある。 【０００９】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の開放型MRI装置は被検体の置かれる空間に均一な静
磁場を発生する開放型の磁石と、前記磁石の空間に被検
体を搬入・搬出する患者テーブルとを備え、前記開放構
造の磁石は被検者の配置される空間の上下に配置され、
上下の磁石を接続する少なくとも1つからなる垂直の支
持構造体からなり、磁石に組み込まれる複数の投光機を
組合わせ、少なくとも1つの投光機は均一磁場の中心を
明示するように配置することで上記目的を達成した。 【００１０】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して詳述する。 【００１１】図1は本発明が適用されるオープン構造のM
RI装置の全体概要を示す図である。このMRI装置は、被
検者1が設置される空間に均一な磁場を発生する静磁場
発生磁石2と、この静磁場発生磁石2の内側に配置された
傾斜磁場コイル3と、さらにその内側に配置された高周
波コイル5と、被検者1から発生するNMR信号を検出する検
出コイル7とを備えている。被検者1を静磁場発生磁石2
の中心空間に配設する患者テーブル13を備えている。さ
らに上述の各コイルを駆動する電源やNMR信号の増幅器
や、それらの動作タイミングを制御するシーケンサ9(こ
れら電源とシーケンサ9は一体の筐体16に収納されてい
る)と装置の制御を行うと共にNMR信号を処理し画像化す
るコンピュータ10とで構成される。通常、静磁場発生磁
石2と各コイルと患者テーブル13は電磁波遮蔽効果の有
するシールド部屋14に設置され、外部やMRI装置のコン
ピューター10などが発生する電磁波ノイズが検出コイル
7に混入するのを防いでいる。このため各コイルを駆動
する電源やNMR信号の増幅器との接続(図では接続ケーブ
ルは描かれていない)はシールド部屋14の一部に組み込
まれたフィルター回路15を介して行われる。 【００１２】静磁場発生磁石2は、図示する実施形態で
は、上下一対の永久磁石からなり、これらは被検体1の
配設される空間に上下方向の均一な静磁場を発生する。
更に、これら一対の永久磁石2はそれぞれ鉄プレートを
外側に有し、上下鉄プレートを接続する支柱とからなる
鉄ヨークが組み合わされ磁気回路を構成している。例え
ば静磁場強度は0.4テスラで、 被検者の配設される空間
に均一な磁場を発生するように調整されている。本実施
例の静磁場発生磁石2は上下の永久磁石を支持する1本の
支柱から構成される。更に、磁石周囲と支柱の一箇所に
ガイド光を発する投光機25、28が取り付けられている。 【００１３】傾斜磁場コイル3は、互いに直交するｘ、
y、ｚの3軸方向に磁束密度を変化させるように巻かれた
3組のコイルからなり、それぞれ傾斜磁場電源4に接続さ
れている。シーケンサ9からの制御信号に従って傾斜磁
場電源4（ｘ軸4a、ｙ軸4b、z軸4c）を駆動して傾斜磁場
コイル3に流れる電流値を変化させることにより3軸から
なる傾斜磁場Gx、Gy、Gzを被検者1の配設空間の静磁場
に重畳するようになっている。この傾斜磁場は、被検者
1の検査部位から得られるNMR信号の空間的な分布を識別
するのに用いられる。この傾斜磁場コイル3は静磁場発
生磁石2の開放構造を阻害することが無いように一対か
らなる平板で構成され上下の磁石に組み込まれている。 【００１４】高周波コイル5は、高周波コイル5に高周波
電流を流すための高周波電力アンプ6に接続され、被検
者1の検査部位の原子核を共鳴励起するための高周波磁
場を発生する。原子核としては、通常、水素原子核が用
いられるため、高周波コイル5と高周波電力アンプ6は17
MHzにチューニングされている。高周波電力アンプ6もシ
ーケンサ9の制御信号で制御されている。更に、高周波
コイル5も静磁場発生磁石2の開放構造を阻害することが
無いように一対からなる平板で構成され傾斜磁場コイル
3の内側にそれぞれ組み込まれている。 【００１５】検出コイル7は高周波増幅器8に接続されて
おり、高周波増幅器8は検出コイル7で検出したNMR信号
を増幅・検波するとともに、コンピュータ10による処理
が可能なディジタル信号に変換する。高周波増幅器8も
シーケンサ9でその動作タイミングが制御されている。 【００１６】コンピュータ10はディジタル量に変換され
たNMR信号を用いて画像再構成等の演算を行うととも
に、シーケンサ9を介してMRI装置の各ユニットの動作を
定められたタイミングで制御する。コンピュータ10と処
理後のデータを表示するディスプレイ装置11と操作入力
する操作卓12とで演算処理系が構成される。 【００１７】図2は図1に示した静磁場発生磁石2と患者
テーブル13の外観を示した図である。図において、上部
21と下部22の容器内には永久磁石と磁気回路を構成する
鉄プレート(図では見えない)が納められている。上部21
の鉄プレートと下部22の鉄プレートと磁気回路を構成し
かつ上部21と下部22を構造的に支える継鉄(図では見え
ない)を組み込んだ支柱23より静磁場発生磁石2の外観が
構成されている。 【００１８】下部22の一部は直線の面24を有しており、
この面24に対して患者テーブル13が組合わされる。面24
の対向する上部21の位置にはレーザー投光機25が取り付
けられている。投光機25のレーザー光は十字26のスリッ
トで患者テーブル13の天板27の端部に投影される。一
方、支柱23の磁石中心に面する位置にレーザー投光器28
が取り付けられている。レーザー投光器28のスリット光
(図では描かれていない)は磁石空間の中心を通る水平面
と一致するように支柱23の中心に取り付けられ、調整が
なされている。 【００１９】図3aは図2の静磁場発生磁石2と患者テーブ
ル13を側面から見た図面である。レーザー投光機25の光
の十字交叉点31は静磁場発生磁石2の空間中心32から例
えば65cmオフセットした患者テーブル3側の位置を示
す。即ち、レーザー投光機25の1つのスリット光は面33
を通過し、他方のスリット光は面34を通過する。点31に
検出コイルや被検者の検査部位がおかれると(図3bでは
平面35で示した)、点31の位置でスリット光36とスリッ
ト光37が交叉し、この交叉する点31が静磁場発生磁石2
の空間中心32から65cmの距離を隔てた点であることが解
かる。ここで、スリット光の面33や面34はある広がりを
もって投影されるようになっている。この広がりによ
り、面33の投影線を利用して被検者の体軸の曲がりを、
面34の投影線を利用して被検者の左右の位置バランスを
矯正することが出来る。この矯正により、MRI検査の画
像が正確な位置を示すと共に診断精度を高めることにな
る。特に、マルチスライス撮影法で同時に複数枚の画像
を取得するときや、脊椎に沿った画像を取得するときの
検査精度の向上には極めて有効な手段となる。 【００２０】次に図4aは図3aの静磁場発生磁石2のA‐A'
断面を示した図を示す。支柱23の磁石に面した曲面41に
取り付けられたレーザー投光機28のスリット光は図の斜
線で示される面42であり、点31と点32を通過する。点31
に検出コイルや被検者の検査部位がおかれると(図3bで
は患者テーブルに垂直面43で示した)、点31を通ってス
リット光44が表示される。このスリット光44は静磁場発
生磁石2の空間中心32を通る水平面に一致している。か
つ、スリット光44は静磁場発生磁石2の空間内に存在す
るので、オペーレータや看護者によってスリット光が遮
られることない。 【００２１】ここで、被検者1を患者テーブル13の天板2
7上でセットし、その検査部位に好適な検出コイルを取
り付ける。この状態で2つのレーザー投光機25、28を動
作させると、レーザーの赤色のスリット光のラインは検
出コイルの表面に投影される。図5にこの状態の頭部コ
イルの表面に投影されるレーザー光を示した。図によれ
ば三次元的に、即ち、前後左右上下の中止が検出コイル
の表面に表示される。ここで、検査の中心部位がレーザ
ー光の交差する点に合うように患者テーブル13の天板27
を移動させることで被検者の検査部位が磁石の空間の中
心に配設される。 【００２２】本実施例に拠れば、最少のレーザー投光機
の数量(本実施例では2個)にて三次元の位置を示すこと
ができる。更に、レーザー投光機と検出コイルを含む検
査目的部位の間に介在するものが一切なく、オペレータ
や看護者の位置に関係なく検査部位の中心位置をレーザ
ー光が投影することになり、これらの人の影になること
がない。更には、被験者を磁石の中心に搬入するとき
も、常に被験者の検査部位をレーザー光の少なくとも一
つが投影し続けるので、被験者の動き等による位置ずれ
などをチェックすることができる。 【００２３】 【発明の効果】本発明によれば、開放型の磁石構造でも
被検者の検査部位の位置あわせに精度高く行なうことが
できる効果がある。

【図面の簡単な説明】 【図1】本発明が適用されるMRI装置の全体構成を示す
図。 【図2】本発明が適用されるMRI装置に用いられる静磁場
発生磁石と患者テーブルの外観図。 【図3】レーザー投光機の説明図。 【図4】レーザー投光機の説明図。 【図5】頭部検出コイルによる位置合わせの説明図。 【符号の説明】 1……被検体 2……静磁場発生磁石 3……傾斜磁場コイル 5……高周波コイル 13……患者テーブル 25, 28……レーザー投光機

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 被検体の置かれる空間に均一な静磁場を
   発生する静磁場発生手段と、前記空間に被検体を搬入・
   搬出する搬送手段とを備え、前記被検体の断層画像を得
   る磁気共鳴イメージング装置において、前記静磁場発生
   手段は、前記空間の上下に配置された磁場発生源と、上
   下の磁場発生源を所定の間隔を持って保持する少なくと
   も１つの構造体と、前記空間の中心を示す複数のガイド
   手段とを備え、前記ガイド手段の少なくとも１つは前記
   均一磁場空間の中心を明示することを特徴とする開放型
   ＭＲＩ装置。