JP2003286311A - ビニルラクタム系重合体の製造方法 - Google Patents

ビニルラクタム系重合体の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬水に溶解した際に透明な溶液を与え、保存
安定性に優れたビニルラクタム系重合体の製造方法を提
供する。 【解決手段】 ビニルラクタム系単量体を必須成分とす
る重合性単量体を重合させた後に、有機酸を添加して残
存ビニルラクタム系単量体量を低減する工程を含むビニ
ルラクタム系重合体の製造方法において、有機酸とし
て、カルボキシル基の第1解離定数が3.0以下であ
り、かつカルシウム塩の20℃での水への溶解度が0.
1重量%以上である多価カルボン酸を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はビニルラクタム系重
合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、ビニルラク
タム系重合体中の残留ビニルラクタム系単量体低減化方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプ
ロラクタムなどのビニルラクタム系重合体は、生体適合
性、安全性、親水性等の長所、利点があることから、様
々な用途で利用されており、特にポリビニルピロリドン
はフィッケンチャー法によるK値約10〜100の幅広
い分子量の重合体が合成され、医薬品、化粧品、粘接着
剤、塗料、分散剤、インキ、電子部品等の種々の分野で
広く用いられている。
【0003】ところが、これらビニルラクタム系重合体
製品にはしばしば未重合のビニルラクタム系単量体が残
留することがある。残留する単量体の量は通常1%〜数
100ppmのレベルであるが、このような少量の残留単量体
でも 特に毒性の懸念および臭気の点で問題となり、近
年、特に医薬品、化粧品用途を中心に、残留単量体低減
の要望が増加しつつある。
【0004】ビニルラクタム系重合体から残留単量体を
除去する方法として、特公平7−59606号にはビニ
ルピロリドン重合体水溶液を吸着剤で処理する方法が提
案されている。しかしながら、このような方法は、高粘
度を有する重合体水溶液に対しては適用が困難であるば
かりでなく、使用した吸着材の再生や廃棄といった処理
が必要になり、コストアップの要因となっていた。
【0005】他方、ビニルラクタム系単量体は特に酸性
領域で加水分解しやすいという性質を利用して、ビニル
ラクタム系重合体水溶液に酸を添加し、残留単量体を低
減する方法が提案されている。たとえば、特表平7−5
03749号にはビニルラクタム系重合体水溶液に炭
酸、ギ酸、酢酸、リン酸、硫酸を添加して50〜150
℃で加熱する方法が記載されている。
【0006】このような方法では、炭酸、ギ酸、酢酸の
揮発性酸を用いた場合、反応温度を80℃以上とする
と、上記酸が揮発し、系外に逃げるかもしくは気相部に
移行してしまい、液中のpHを希望の値に保つことができ
ず、残留単量体を速やかに低減させることが困難であっ
た。一方、反応温度を80℃以下とすると酸の揮発は少
なくなるが、残留単量体を速やかに低減させることが困
難であった。また、重合体溶液を乾燥させる際にこれら
の酸が揮発し、所望のpH値の乾燥物が得られない場合が
あった。さらに、リン酸、硫酸等の無機酸を用いた場
合、得られた水溶液中あるいは乾燥した後の固体中の灰
分が増加するという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらの状況を鑑み、
特願2001−235831ではシュウ酸やコハク酸等
の多価カルボン酸を用いて残留単量体を低減する方法が
提案されている。しかしながら、シュウ酸等の一部の酸
はカルシウムやマグネシウムと塩を形成するが、この塩
は水に難溶である。すなわち、シュウ酸等の一部の酸を
ビニルラクタム系重合体の残留単量体の低減剤として使
用すると、得られるビニルラクタム系重合体を硬水に溶
解させた際に、濁りが生じるという問題があることが明
らかになった。また、コハク酸等の酸を用いた場合に
は、得られるビニルラクタム系重合体の保存安定性が悪
くなるといった問題があることが判明した。
【0008】すなわち、本発明の課題は、残留単量体を
速やかに低減することができ、しかも保存安定性が良
く、上記の欠点を持たない、ビニルラクタム系重合体の
製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意検討を行った結果、ビニルラクタム系単
量体を必須成分とする重合性単量体を重合させた後、有
機酸を添加して残存ビニルラクタム系単量体量を低減す
る工程を含むビニルラクタム系重合体の製造方法におい
て、特定の有機酸を用いるにより前記課題が解決される
ことを見出した。そして、本発明により得られるビニル
ラクタム系重合体は、カルシウムイオンやマグネシウム
イオンを多く含有するような硬水に溶解した際にも、透
明清澄な水溶液が得られるばかりでなく、保存時の分子
量の低下が抑制された、品質の安定したものである。
【0010】すなわち、本発明は、ビニルラクタム系単
量体を必須成分とする重合性単量体を重合させた後、有
機酸を添加して残存ビニルラクタム系単量体量を低減す
る工程を含むビニルラクタム系重合体の製造方法におい
て、該有機酸が多価カルボン酸で、該有機酸のカルボキ
シル基の第1解離定数が3.0以下で、かつそのカルシ
ウム塩の20℃での水への溶解度が0.1重量%以上で
あることを特徴とするビニルラクタム系重合体の製造方
法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の一形態に
ついて詳しく説明する。
【0012】本発明の製造方法においては、ビニルラク
タム系単量体を必須成分とする重合性単量体成分を重合
する工程を含む。
【0013】前記ビニルラクタム系単量体とは、下記一
般式(1);
【0014】
【化1】
【0015】(式中、Rは、水素原子またはメチル基を
表わす。mは、1〜3の整数を表わす。)で表わされる
化合物であり、たとえば、ビニルピロリドン、ビニルピ
ペリドン、ビニルカプロラクタム等が挙げられ、それら
の1種または2種以上を用いることができる。
【0016】前記のビニルラクタム系単量体のうち、汎
用性が高いことから、ビニルピロリドンが好ましい。
【0017】上記ビニルラクタム系単量体を必須成分と
する重合性単量体成分においては、ビニルラクタム系単
量体以外の単量体を含んでいてもいなくてもよいが、ビ
ニルラクタム系単量体の使用量としては、たとえば、単
量体成分全量に対して、1.0モル%以上であることが
好ましい。1.0モル%未満であると、得られるビニル
ラクタム系重合体が、ビニルラクタム構造に由来する種
々の特性を発現しないおそれがある。より好ましくは、
10モル%以上であり、さらに好ましくは、20モル%
以上である。
【0018】前記ビニルラクタム系単量体以外の重合性
単量体としては、ビニルラクタム系単量体と共重合可能
な重合性単量体であれば特に限定されず、たとえば以下
の1)〜13)の化合物の1種または2種以上を用いる
ことができる。
【0019】1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒ
ドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2)(メタ)アクリルアミドおよびN−メチル(メタ)
アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)
アクリルアミド誘導体類;3)ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリル酸エステル、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、2−ビニル
イミダゾール等の塩基性不飽和単量体およびその塩また
は第4級化物;4)ビニルホルムアミド、ビニルアセト
アミド、ビニルオキサゾリドン等のビニルアミド類;
5)(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フ
マル酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体およびその
塩;6)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸
無水物類;7)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビ
ニルエステル類;8)ビニルエチレンカーボネートおよ
びその誘導体;9)スチレンおよびその誘導体;10)
(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチルエステルお
よびその誘導体;11)ビニルスルホン酸およびその誘
導体;12)メチルビニルエーテル、エチルビニルエー
テル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;1
3)エチレン、プロピレン、オクテン、ブタジエン等の
オレフィン類;等が挙げられる。これらの中でも、前記
ビニルラクタム系単量体との共重合性等の点からは、上
記1)〜8)が好適である。
【0020】ビニルラクタム系重合体を得る重合反応に
おいては、後述の任意の溶媒を用いることができるし、
用いなくてもよい。該重合体中の残留ビニルラクタム系
単量体を低減する工程において用いる溶媒または分散媒
は、水を含有してなる水系溶媒である。前記水系溶媒中
には、水以外の溶媒が入っていてもよく、その種類につ
いては特に制限されないが、たとえば、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジエ
チレングリコール等のアルコール類;プロピレングリコ
ールモノメチルアセテート、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールの
エーテル(アセテート)類;ジメチルホルムアミド、N
−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブ
チル、γ―ブチロラクトン等のエステル類;ヘキサン、
オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂
環式飽和炭化水素類;シクロヘキセン等の脂環式不飽和
炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類;ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハ
ロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジオキサン、
テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキ
シド等のスルホン酸エステル類;ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート等の炭酸エステル類;エチレ
ンカーボネート、プロピレンカーボネート等の脂環式炭
酸エステル類;等が挙げられる。
【0021】これらのなかで特にエーテル(アセテー
ト)類およびアミド類が好ましく、アルコール類および
水のみでの使用がさらに好ましい。これらの溶媒は、単
独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
【0022】前記水系溶媒中の水の含有量については、
ビニルラクタム系単量体を含有する重合性単量体を重合
させた後に、反応液中に残存するビニルラクタム系単量
体を加水分解して低減できる量があれば特に制限される
ことはなく、好ましくは0.1重量%以上であり、さら
に好ましくは1.0重量%以上であり、最も好ましくは
10重量%以上である。
【0023】また、これらの溶媒は、重合体濃度が、好
ましくは1〜99重量%、さらに好ましくは5〜70重
量%、最も好ましくは10〜60重量%となるように用
いることが好ましい。前記水系溶媒中の水は、後述する
任意の重合方法での重合工程後、反応液に添加してもよ
いし、重合工程中から配合しておいてもよい。
【0024】本発明の製造方法における重合反応におい
て、従来公知の重合開始剤、具体的には、例えば、2,
2‘−アゾビスイソブチロニトリルや2,2−アゾビ
ス(ジメチルブチロニトリル)や2,2’−アゾビス
(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩等のアゾ化
合物、ベンゾイルパーオキシドや過酸化水素等の過酸化
物等のラジカル重合系開始剤;三フッ化ホウ素またはそ
の錯体、塩化鉄(II)、ジエチル塩化アルミニウム、ジ
エチル亜鉛、ヘテロポリ酸、活性白土等のカチオン重合
系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、
過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;アスコルビン酸と過
酸化水素、スルホキシル酸ナトリウムとt−ブチルヒド
ロパーオキシド、過硫酸塩と金属塩等の、酸化剤と還元
剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開
始剤;等を用いて行なうことができる。
【0025】重合反応における重合開始剤の濃度につい
ては、特に限定されないが、単量体成分に対して0.0
01〜10重量%が好ましく、0.005〜5重量%が
さらに好ましく、0.01〜3重量%が最も好ましい。
重合反応を行なう際には、重合開始剤の他に、適宜必要
に応じて任意の連鎖移動剤、pH調節剤、緩衝剤等を用
いることもできる。
【0026】重合反応は、従来公知の重合方法、例え
ば、バルク重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、沈殿
重合等任意の方法によって行なうことができる。
【0027】重合反応における反応温度は、反応原料等
の条件に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは0〜
250℃、さらに好ましくは20〜150℃、最も好ま
しくは40〜100℃である。
【0028】また、重合反応中の反応系内の圧力は、任
意の条件であって良いが、高温反応の場合は常圧または
加圧が、厳密な温度制御を必要とする場合には常圧が好
ましい。
【0029】本発明が適用されるビニルラクタム系重合
体のK値については時に限定されるものではないが、K
値が経時的に低下しやすい高分子量の重合体の製造に本
発明の製造方法を適用すると、より効果を発揮する。す
なわち、K値が50〜150の重合体に適用するのが好
ましく、K値が60〜120の重合体に適用するのがさ
らに好ましい。
【0030】本発明においては、前記の任意の方法によ
って得られる重合体に対して、重合反応液に直接、後述
の有機酸を添加してもよいし、重合体を前述の水系溶媒
に希釈・溶解したり、水を添加した後、有機酸を添加し
てもよい。以下、ビニルラクタム系単量体量を低減する
工程の反応系のことを反応液ということがある。
【0031】本発明において、ビニルラクタム系重合体
の反応液中に残留するビニルラクタム系単量体量を低減
するために使用する有機酸は、多価カルボン酸であり、
かつカルボキシル基の第1解離定数が3.0以下であ
り、かつカルシウム塩の20℃での水への溶解度が0.
1重量%以上である。多価カルボン酸とは、1分子内に
2つ以上のカルボキシル基を有してなるものである。カ
ルボキシル基の第1解離定数とは、多価カルボン酸中の
一番最初に解離するカルボキシル基の25℃での解離定
数である。カルシウム塩とは、前記有機酸と、有機酸の
カルボキシル基に対して0.5モルに相当するカルシウ
ムとからなる塩である。前記カルシウム塩の水への溶解
度は、水100gに対する、カルシウム塩の20℃にお
ける飽和溶解量(g)のことを指す。前記の条件を満た
す有機酸としては、マロン酸、エチルマロン酸、エチル
メチルマロン酸、エチルプロピルマロン酸等が挙げら
れ、中でもマロン酸が好ましい。
【0032】本発明において使用される有機酸の量につ
いて、特に制限はないが、反応液のpHが5以下になる
ように配合することが好ましく、pHが3〜4になるよ
うに配合することがさらに好ましい。具体的には、重合
反応前のビニルラクタム系単量体量に対し、100〜1
0000ppmが好ましく、500〜5000ppmが
さらに好ましい。
【0033】本発明の製造方法において、前記有機酸
は、ビニルラクタム系重合体の反応液中に残留するビニ
ルラクタム系単量体量を低減するために使用されるもの
である。有機酸を反応液に添加するタイミングについて
は特に制限されるものではないが、有機酸を添加する際
にビニルラクタム系単量体の転化率(重合率)が十分で
ないと、ビニルラクタム系単量体の加水分解物であるア
ルデヒドやラクタム量が多くなり、最終製品のビニルラ
クタム系重合体中に残留することがあるので好ましくな
い。
【0034】ビニルラクタム系単量体の転化率が98%
以上となった時点で、反応液に有機酸を添加するのが好
ましく、前記転化率が99.5%以上となった時点で添
加するのがさらに好ましい。
【0035】有機酸を添加する方法については特に制限
はなく、有機酸を直接反応液中に投入してもよいし、水
等の任意の溶媒に希釈溶解して添加してもよく、一括添
加または、分割添加や逐次添加等の任意の方法で行うこ
とができる。
【0036】有機酸を配合した後、より効率的に残留ビ
ニルラクタム系単量体を低減するには40℃以上で加熱
するのが好ましく、50℃〜100℃がさらに好まし
い。さらに攪拌しながら行うのがより好ましいが、室温
で静置させておいてもよく、任意の処置にて取り扱うこ
とができる。
【0037】前記有機酸を添加し、上記温度に保持する
時間は特に制限はないが、5分〜24時間が好ましく、
10分〜6時間がさらに好ましい。5分未満だと、残留
単量体低減の効果が不十分である場合があり、24時間
を超えると、重合体の分子量の低下が起こったり、着色
が起こる場合がある。
【0038】ビニルラクタム系重合体は、特に酸性領域
において、酸素の影響を受けて分子量が低下しやすくな
る。従って、有機酸を添加した後は、窒素ガス等を反応
装置内に循環させる等により、反応装置内の気相部の酸
素濃度を5%以下にしておくことが好ましく、重合工程
において反応系内を不活性ガス雰囲気に調整した後、引
き続いて前記の有機酸を添加してもよい。
【0039】残留単量体の低減処理後のビニルラクタム
系単量体量については特に限定はないが、最終製品のビ
ニルラクタム系重合体に対して100ppm以下とする
のが好ましく、10ppm以下とするのがさらに好まし
く、1ppm以下とするのが最も好ましい。
【0040】ビニルラクタム系単量体の低減処理後は、
任意の方法でpH調整することができる。反応液に任意
の塩基を添加することにより、pHを5以上とすること
が好ましく、6〜10とすることがさらに好ましく、7
〜9とするのが最も好ましい。前記の塩基の具体例とし
ては炭酸グアニジン、トリエタノールアミン、アジピン
酸ジヒドラジドが、pH調整が容易である、着色が少な
い、安定した品質のものが得られる等の理由で好まし
い。
【0041】上記の製造方法で得られるビニルラクタム
系重合体の水系溶液または水系分散体は、そのまま製品
とすることができるが、従来公知の任意の乾燥方法、す
なわちスプレー乾燥やドラム乾燥にて、フレーク状、シ
ート状、スティック状、粉体等の形状に加工してもよ
い。
【0042】さらに本発明においては、ビニルラクタム
系重合体に対し、必要に応じて、たとえば、加工安定
剤、可塑剤、分散剤、充填剤、老化防止剤、顔料、硬化
剤等の各種添加剤を含ませておいても良い。
【0043】
【発明の効果】本発明の方法によれば、比較的少量の有
機酸の添加でビニルラクタム系重合体に残存するビニル
ラクタム系単量体を低減でき、さらには硬水に溶解した
際にも透明清澄な溶液を与え、保存安定性に優れたビニ
ルラクタム系重合体を得ることができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明にかかる合成例および実施例に
ついて説明するが、本発明は該実施例により何ら制限さ
れるものではない。合成例および実施例のK値について
は、ビニルラクタム系重合体の1重量%水溶液を用いて
25℃で毛細管粘度計により相対粘度を測定する方法で
測定した粘度を、次のフィッケンチャーの式に当てはめ
て計算した。
【0045】K=(1.5 logηrel −1)/(0.15+0.00
3c)+(300clogηrel +(c+1.5clogη
rel1/2/(0.15c+0.003c ) ηrel : ビニルラクタム系重合体水溶液の水に対す
る相対粘度 c : ビニルラクタム系重合体水溶液中のビニルラク
タム系重合体濃度(%) 合成例1 攪拌翼を備えた攪拌機、モノマー供給槽、温度計、冷却
管および窒素ガス導入管を備えた2Lのフラスコに、水
1280gを入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながら、
フラスコ内温が70℃になるように加熱した。このフラ
スコ内に、ビニルピロリドン320gおよび2,2
アゾビス(ジメチルブチロニトリル)0.48gを2時
間かけて系内に供給し、重合させた。同温度で2時間加
熱した後、内温を90℃まで昇温し、さらに30分加熱
して重合を完了させ、ポリビニルピロリドン水溶液を得
た。得られたポリビニルピロリドン水溶液に含まれる未
反応のビニルピロリドン残存量は、供給した全ビニルピ
ロリドン量に対して600ppmであった。また、得ら
れたポリビニルピロリドン水溶液のK値は92であっ
た。
【0046】合成例2 合成例1において2,2−アゾビス(ジメチルブチロ
ニトリル)の代わりに2,2’−アゾビス(2−メチル
プロピオンアミジン)二塩酸塩0.48gを用いる以外
は合成例1と同様にして、ポリビニルピロリドン水溶液
を得た。得られたポリビニルピロリドン水溶液に含まれ
る未反応のビニルピロリドン残存量は、供給した全ビニ
ルピロリドン量に対して800ppmであった。また、
得られたポリビニルピロリドン水溶液のK値は94であ
った。
【0047】<実施例1>合成例1に引き続き、ポリビ
ニルピロリドン水溶液に、マロン酸(第1解離定数:
2.8、20℃におけるカルシウム塩の溶解度:0.3
6重量%)0.48gを水4.5gに溶解した水溶液を
加えた。得られたポリビニルピロリドン水溶液のpHは
3.7であった。90℃で2時間攪拌した後、含まれる
未反応のビニルピロリドン残存量は4ppmであった。
さらに炭酸グアニジン0.32gおよびトリエタノール
アミン0.85gを加え、30分間攪拌し、pH7.6
とした。冷却後、140℃でドラム乾燥し、粉砕してK
値が91のポリビニルピロリドンの粉末を得た。この粉
末を、カルシウムを1000ppm含有する硬水に5%
濃度で溶解したところ、溶液は透明であった。この粉末
を酸素濃度0.5%の容器中に密閉し、40℃で1ヶ月
保存した後のK値は90であった。
【0048】<実施例2>合成例2に引き続き、ポリビ
ニルピロリドン水溶液に、マロン酸0.64gを水5.
8gに溶解した水溶液を加えた。得られたポリビニルピ
ロリドン水溶液のpHは3.5であった。90℃で2時
間攪拌した後、含まれる未反応のビニルピロリドン残存
量は1ppmであった。さらに炭酸グアニジン0.32
gおよびトリエタノールアミン0.85gを加え、30
分間攪拌し、pH7.4とした。冷却後、140℃でド
ラム乾燥し、粉砕してK値が93のポリビニルピロリド
ンの粉末を得た。この粉末を、カルシウムを1000p
pm含有する硬水に5%濃度で溶解したところ、溶液は
透明であった。この粉末を酸素濃度0.5%の容器中に
密閉し、40℃で1ヶ月保存した後のK値は92であっ
た。
【0049】<比較例1>合成例1に引き続き、ポリビ
ニルピロリドン水溶液に、シュウ酸(第1解離定数:
1.3、20℃におけるカルシウム塩の溶解度:0.0
006重量%)0.48gを水4.5gに溶解した水溶
液を加えた。得られたポリビニルピロリドン水溶液のp
Hは3.4であった。90℃で2時間攪拌した後、含ま
れる未反応のビニルピロリドン残存量は3ppmであっ
た。さらに炭酸グアニジン0.32gおよびトリエタノ
ールアミン0.85gを加え、30分間攪拌し、pH
7.6とした。冷却後、140℃でドラム乾燥し、粉砕
してK値が91のポリビニルピロリドンの粉末を得た。
この粉末を、カルシウムを1000ppm含有する硬水
に5%濃度で溶解し、室温で24時間攪拌を続けたが、
溶液は白濁したままであった。この粉末を酸素濃度0.
5%の容器中に密閉し、40℃で1ヶ月保存した後のK
値は90であった。
【0050】<比較例2>合成例1に引き続き、ポリビ
ニルピロリドン水溶液に、コハク酸(第1解離定数:
4.2、20℃におけるカルシウム塩の溶解度:1.3
重量%)0.48gを水4.5gに溶解した水溶液を加
えた。得られたポリビニルピロリドン水溶液のpHは
4.3であった。90℃で2時間攪拌した後、含まれる
未反応のビニルピロリドン残存量は15ppmであっ
た。さらに炭酸グアニジン0.32gおよびトリエタノ
ールアミン0.85gを加え、30分間攪拌し、pH
8.1とした。冷却後、140℃でドラム乾燥し、粉砕
してK値が91のポリビニルピロリドンの粉末を得た。
この粉末を、カルシウムを1000ppm含有する硬水
に5%濃度で溶解したところ、溶液は透明であった。こ
の粉末を酸素濃度0.5%の容器中に密閉し、40℃で
1ヶ月保存すると、K値は88まで低下した。
【0051】<比較例3>合成例1に引き続き、ポリビ
ニルピロリドン水溶液に、ギ酸(解離定数:3.8、2
0℃におけるカルシウム塩の溶解度:16.7重量%)
0.48gを水4.5gに溶解した水溶液を加えた。得
られたポリビニルピロリドン水溶液のpHは3.6であ
った。90℃で2時間攪拌した後、含まれる未反応のビ
ニルピロリドン残存量は4ppmであった。さらに炭酸
グアニジン0.32gおよびトリエタノールアミン0.
85gを加え、30分間攪拌し、pH7.6とした。冷
却後、140℃でドラム乾燥し、粉砕してK値が90の
ポリビニルピロリドンの粉末を得た。この粉末を、カル
シウムを1000ppm含有する硬水に5%濃度で溶解
したところ、溶液は透明であった。この粉末を酸素濃度
0.5%の容器中に密閉し、40℃で1ヶ月保存する
と、K値は84まで低下した。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニルラクタム系単量体を必須成分とする
    重合性単量体を重合させた後、有機酸を添加して残存ビ
    ニルラクタム系単量体量を低減する工程を含むビニルラ
    クタム系重合体の製造方法において、該有機酸が多価カ
    ルボン酸で、該有機酸のカルボキシル基の第1解離定数
    が3.0以下で、かつそのカルシウム塩の20℃での水
    への溶解度が0.1重量%以上であることを特徴とする
    ビニルラクタム系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】有機酸がマロン酸である請求項1記載のビ
    ニルラクタム系重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】ビニルラクタム系単量体がビニルピロリド
    ンである請求項1または2記載のビニルラクタム系重合
    体の製造方法。
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