JP2003282452A - 熱処理装置および熱処理方法 - Google Patents

熱処理装置および熱処理方法

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JP2003282452A JP2002080934A JP2002080934A JP2003282452A JP 2003282452 A JP2003282452 A JP 2003282452A JP 2002080934 A JP2002080934 A JP 2002080934A JP 2002080934 A JP2002080934 A JP 2002080934A JP 2003282452 A JP2003282452 A JP 2003282452A
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一成 坂田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱処理炉から搬出された板状の被処理体を短
時間の内に高い効率で冷却でき、しかも異物粒子付着現
象の発生を抑止することのできる熱処理装置および被処
理体の熱処理方法を提供すること。 【解決手段】 熱処理装置は、熱処理炉と、この熱処理
炉から被処理体が搬出されるローディングエリアとを有
し、ローディングエリアには、水平に保持された板状の
被処理体に冷却風を供給する冷却風供給機構が設けら
れ、この冷却風供給機構は、被処理体の中心に向かって
異なる角度位置から指向性冷却風を供給する複数の指向
性冷却風供給口を有する。被処理体の熱処理方法は、こ
のような熱処理装置を用い、冷却風供給機構における前
面板からの層流冷却風と、指向性冷却風供給口からの指
向性冷却風を供給しながら、被処理体を熱処理炉から搬
出し、更に、層流冷却風と指向性冷却風とによる冷却工
程が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体ウエ
ハなどの板状の被処理体に対して、酸化、拡散、アニー
ルあるいはCVDなどの熱処理を行うために用いられる
熱処理装置および熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の製造においては、被処理体
である半導体ウエハに対して、例えば酸化、拡散、CV
D等の各種の熱処理が行われており、このような熱処理
を行う装置として、いわゆる縦型熱処理装置が広く利用
されている。
【0003】従来における縦型熱処理装置は、通常、装
置筐体内において、下方に開口を有する縦型の熱処理炉
が上方に配置されると共に、この熱処理炉の下方にロー
ディングエリアが形成され、このローディングエリアに
は、ボートエレベータおよびウエハボートに対して半導
体ウエハの移載を行うためのウエハ移載機構などが設け
られている。ここに、ボートエレベータは、適宜の昇降
駆動機構により上下方向に駆動されて、複数枚の半導体
ウエハを保持するウエハボートを上昇させて熱処理炉に
搬入(ロード)し、また熱処理炉から下降させて搬出
(アンロード)するための機構である。
【0004】このような熱処理装置においては、熱処理
炉で熱処理が施されたウエハボート上のウエハは、ロー
ディングエリアにおいて例えば60℃程度の低温となっ
た後でなければ、ウエハ移載機構による移載を開始する
ことはできない。これは、アンロードされたウエハが6
0℃を超えるような高温のままでカセットに挿入される
と、当該カセットから発生するガスにより、ウエハが悪
影響を受けるからである。
【0005】また、アンロードされた直後のウエハの温
度は例えば600℃程度の高温となっているのに対し、
ウエハ移載機構におけるフォークなどの移載器具の温度
はほとんど常温であるため、アンロードされた直後のウ
エハに移載器具を接触させると、ウエハにおける移載器
具との接触個所が局部的に強制的に冷却されることとな
り、ウエハに結晶欠陥が生ずることとなる。
【0006】従来、熱処理装置においては、アンロード
されたウエハの冷却は、ウエハボート上におけるウエハ
をそのままローディングエリア内に放置して放熱させる
ことにより行われており、ウエハの温度が移載に支障が
ない温度に低下するまでに相当に長い時間が必要であ
る。
【0007】一方、熱処理炉からアンロードされたウエ
ハを冷却するために、例えば、水冷式の冷却プレート上
にウエハを載置して冷却する方法が知られている。しか
しながら、このような方法によれば、ウエハを個々に冷
却する場合には、時間的効率が小さくて実際的でなく、
一方、ウエハボート上に積重されて保持された多数のウ
エハを一括して冷却する場合には、各ウエハの下方空間
に冷却プレートを挿入することが必要であるため、装置
の構造の点でも、またコストの点でも、実際的でない。
【0008】また、複数枚のウエハをセットとして冷却
室に移動させて冷却する方法も考えられるが、同様にウ
エハボート上に積重されて保持された多数のウエハを一
括して冷却することができず、従って、ウエハの所期の
冷却を高い効率で行うことができない。
【0009】以上のような事情から、ローディングエリ
アに冷却風を供給することによってウエハを冷却する方
法が考えられる。しかしながら、そのような熱処理装置
においては、アンロードされたウエハについて所要の冷
却を達成するための時間が相当に短縮されるものの、所
期の冷却に要する時間がなお長く、しかも、冷却風の作
用により、ウエハの表面に不純物粒子(いわゆるパーテ
ィクル)が付着する現象(以下、「異物粒子付着現象」
という。)が生ずることが判明した。そして、この異物
粒子付着現象は、冷却風の風量を大きくすると一層顕著
となることから、十分に高い冷却効率を得るために冷却
風の風量を大きくすることができない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
熱処理装置においては、アンロードされたウエハの冷却
を短時間のうちに高い効率で実行することができず、ま
たウエハに異物粒子付着現象が生ずる、という問題点が
ある。
【0011】本発明は、以上のような問題点を解決する
ためになされたものであって、その目的は、熱処理炉か
らアンロードされた板状の被処理体を短時間の内に高い
効率で冷却することができ、しかも、異物粒子付着現象
の発生を抑止することのできる熱処理装置を提供するこ
とにある。本発明の他の目的は、熱処理炉からアンロー
ドされた板状の被処理体を短時間の内に高い効率で冷却
することができ、しかも、異物粒子付着現象の発生を抑
止することのできる熱処理方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の熱処理装置は、
板状の被処理体を熱処理する熱処理炉と、この熱処理炉
から被処理体が搬出されるローディングエリアとを有す
る熱処理装置において、ローディングエリアには、水平
方向に保持された被処理体に対して冷却風を供給する冷
却風供給機構が設けられており、当該冷却風供給機構
は、被処理体の周囲における互いに異なる角度位置から
当該被処理体の中心に向かって指向性冷却風を供給する
複数の指向性冷却風供給口を有することを特徴とする。
【0013】この熱処理装置においては、冷却風供給機
構において、被処理体の中心から見た複数の指向性冷却
風供給口の位置の角度方向が10〜180度の範囲で異
なることが好ましい。
【0014】また、冷却風供給機構は、被処理体の周辺
に配置された、水平方向前方に冷却風を吹き出す多数の
冷却風噴出孔が形成された、上下方向に延びる前面板を
備えており、指向性冷却風供給口が、前面板の両側に各
々上下方向に伸びるよう形成されていることが好まし
い。
【0015】更に、冷却風供給機構において、複数の指
向性冷却風供給口および前面板の冷却風噴出孔が共通の
冷却風供給源に接続されていることが好ましい。また、
冷却風供給機構の複数の指向性冷却風供給口に係る風路
に、各々、当該風路を閉じるシャッターが設けられてい
ることが好ましい。
【0016】また、冷却風供給機構は、ブロワと、この
ブロワよりの風が通過される清浄化フィルターとを備え
ていることが好ましい。更に、ローディングエリアには
排風路が設けられ、この排風路および通風路を介して循
環風路が構成されており、この循環風路の一部に流通風
を冷却する冷却器が設けられていることが好ましい。そ
して、排風路は、その少なくとも一部がローディングエ
リアの上部に設けられていることが好ましい。
【0017】また、ローディングエリアに露出する露出
面を有するローディングエリア内露出面部材が冷却水に
よる冷却機構を有することが好ましい。ここに、ローデ
ィングエリア内露出面部材は、ローディングエリアの壁
面の一部を形成する壁部材およびドア部材並びに熱処理
炉の炉口を開閉する炉口シャッターの少なくとも一つと
される。
【0018】本発明の熱処理方法は、ローディングエリ
アの上方に熱処理炉が設けられ、板状の被処理体をロー
ディングエリアから熱処理炉に搬入すると共に、熱処理
炉からローディングエリアに搬出する昇降機構を備えて
おり、ローディングエリアには、水平方向に保持された
被処理体に対して冷却風を供給する冷却風供給機構が設
けられており、当該冷却風供給機構は、被処理体の周辺
に配置された、水平方向前方に冷却風を吹き出す多数の
冷却風噴出孔が形成された、上下方向に延びる前面板
と、この前面板の両側に各々上下方向に伸びるよう形成
された、被処理体の周囲における互いに異なる角度位置
から当該被処理体の中心に向かって指向性冷却風を供給
する指向性冷却風供給口を有する熱処理装置を用い、熱
処理炉内に搬入されて熱処理された被処理体を、冷却風
供給機構における前面板の冷却風噴出孔および指向性冷
却風供給口から冷却風を供給しながら、熱処理炉から下
降させて搬出し、搬出された被処理体を前面板の冷却風
噴出孔および指向性冷却風供給口からの冷却風によって
冷却する冷却工程が行われることを特徴とする。
【0019】この熱処理方法においては、冷却工程に続
いて、冷却風供給機構の指向性冷却風供給口からの冷却
風の供給を停止して前面板の冷却風噴出孔からの冷却風
のみが継続して供給される後冷却工程が行われることが
好ましい。
【0020】また、この熱処理方法においては、被処理
体の搬出において、当該被処理体をその面内で自転させ
ながら熱処理炉から下降させ、更に冷却工程が終了する
までの間、当該被処理体をその面内で自転させることが
好ましい。
【0021】
【作用】本発明の熱処理装置によれば、ローディングエ
リアにアンロードされた高温の板状の被処理体に対し、
冷却風供給機構の指向性冷却風供給口から指向性冷却風
が供給されるので、基本的に、短時間の内に被処理体
を、それが複数であっても一括して冷却することができ
ると共に、複数の指向性冷却風供給口よりの指向性冷却
風の流れが被処理体の中心を含む中央領域において互い
に干渉することとなるため、各々の指向性冷却風の指向
性が相殺または緩和されることとなり、その結果、ロー
ディングエリアの壁面などで指向性冷却風がリバウンド
(反射)されることが防止され、被処理体に異物粒子が
運ばれることが防止され、被処理体における異物粒子付
着現象の発生が抑止される。
【0022】また、本発明の熱処理方法によれば、アン
ロードされた被処理体には、冷却風供給機構における前
面板の冷却風噴出孔からの冷却風と、指向性冷却風供給
口からの指向性冷却風が供給されるため、被処理体にお
ける異物粒子付着現象を伴うことなしに、当該被処理体
を、それが複数であっても一括して高い効率で冷却する
ことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に
ついて詳細に説明する。図1は、本発明の熱処理装置の
構成の一例を概略的に示す説明用断面図、図2は、図1
に示す熱処理装置のローディングエリアにおけるウエハ
ボート、熱処理炉および移載装置の状態を示す説明用斜
視図、図3は、図1の熱処理装置における冷却風供給機
構の説明用平面図、図4は、図1の熱処理装置における
冷却風供給機構の説明用正面図、図5は、図1の熱処理
装置における冷却風供給機構の指向性冷却風供給口とウ
エハとの関係を示す説明用平面図である。
【0024】図1に示されているように、この熱処理装
置10においては、装置筐体12の内部が隔壁13によ
って上下に分割されており、下部空間12Aにはローデ
ィングエリア16が形成されると共に、上部空間12B
内には、下面にローディングエリア16に通ずる開口に
よる炉口を有する熱処理炉14が配設されている。そし
て、熱処理炉14は、内部が熱処理空間とされる反応管
またはプロセスチューブ(図示せず)と、この反応管内
に配置されたウエハを所定の温度に加熱するヒータ(図
示せず)とを備えている。図1において、15は、熱処
理炉14の炉口を開閉する炉口シャッター、17はバッ
クドアであって、バックドア17は、閉じた状態におい
てローディングエリア16に内表面が露出されるドア部
材である。
【0025】図2にも示されているように、ローディン
グエリア16には、ボートエレベータ18によって上下
に昇降移動される載置台20が設けられており、この載
置台20上に、保温筒24を介してウエハボート22が
載置される。ここに、載置台20は、上昇されてウエハ
ボート22が熱処理炉14内に搬入された状態で、熱処
理炉14の下端の炉口を塞ぐ蓋として作用するものであ
る。ボートエレベータ18の昇降駆動機構部分は、例え
ばボールネジなどによって構成される。このボートエレ
ベータの昇降駆動機構部分は、ローディングエリア16
に隣接した領域であって、例えばボートエレベータカバ
ーによってローディングエリア16と区画された領域に
配設される。
【0026】ウエハボート22は通常石英製であって、
垂立する複数の支柱26を有し、これらの支柱26に形
成された凹溝による保持部により、複数のウエハWが、
各々が水平方向に伸びる状態で、かつ相互間に間隙を介
して、上下方向に積重された状態で保持される。
【0027】図2において、30は移載装置である。こ
の移載装置30は、回転軸31によって上下方向および
回転方向に移動可能な移載ヘッド32を有し、この移載
ヘッド32に進退自在にフォーク33が配設されてい
る。この移載装置30は、ローディングエリア16にお
いて、ウエハボート22と適宜のキャリアなどとの間で
ウエハWを移載するものである。ローディングエリア1
6には、実際上、当該移載装置30の外に、他の装置や
器具などが配置または配設され、更にそれらを覆うカバ
ーなどが設けられるが、図1および図2において、それ
らの記載は省略されている。
【0028】装置筐体12の下部空間12Aには、ロー
ディングエリア16の中央を向く状態で、ブロワ38を
備えた冷却風供給機構40が設けられている。図示の冷
却風供給機構40は、図3および図4に示されているよ
うに、全体が扁平の箱状の風路形成体内に例えばヘパ
(HEPA)フィルターよりなる清浄化フィルター43
が配設されると共に、この清浄化フィルター43の上流
側にブロワ38が配設されて構成されている。
【0029】この冷却風供給機構40は、ローディング
エリア16におけるウエハボート22上のウエハWの周
辺において、上下方向に垂立する前面板41を備えてお
り、この前面板41には、清浄化フィルター43を通過
した冷却風が水平方向前方に吹き出されるよう、多数の
冷却風噴出孔42が、当該前面板41の全面にわたって
形成されている。
【0030】この冷却風供給機構40には、更に、前面
板41の左右両側において、各々、前方(図3において
下方)に突出する突出風路部Fと、この突出風路部Fか
ら屈曲して互いに接近する内方(図3において左右に接
近する方向)に伸びる屈曲風路部Hとよりなる2つの指
向性風路形成部材44Aおよび44Bが設けられて冷却
風供給機構が構成されており、これら2つの指向性風路
形成部材44Aおよび44Bの先端、すなわち各々の屈
曲風路部Hの先端には、それぞれ、上下方向に伸びる指
向性冷却風供給口45Aおよび45Bが形成されてい
る。これらの指向性冷却風供給口45Aおよび45B
は、冷却風供給機構40の清浄化フィルター43の下流
側に連通されており、従ってこの清浄化フィルター43
を通過した冷却風が、当該屈曲風路部Hにより、その伸
びる方向に指向された水平方向の指向性冷却風として供
給される構成とされている。
【0031】冷却風供給機構40における前面板41の
冷却風噴出孔42が形成される領域の高さ、並びに、冷
却風供給機構を構成する指向性冷却風供給口45Aおよ
び45Bの高さは、ローディングエリア16にアンロー
ドされて搬出が完了した状態のウエハボート22におけ
るウエハ保持領域、すなわちウエハを保持するための保
持部が形成されている領域の全体をカバーすることので
きる高さであることが必要であり、好ましくは、ウエハ
ボート22のウエハ保持領域より上部の上方領域、並び
に、ウエハ保持領域より下部の下方領域をカバーするも
のであることが好ましい。
【0032】図5に示すように、これらの指向性冷却風
供給口45Aおよび45Bは、いずれも、屈曲風路部H
が屈曲する角度方向が、ローディングエリア16におい
てウエハボート22上に保持されているウエハWの中心
Xを向くよう指向された状態とされており、具体的に
は、各々の指向方向DAおよびDBがウエハWの中心X
においてなす角度θ、すなわちウエハWの中心Xから指
向性冷却風供給口45Aおよび45Bの角度位置の差、
すなわち指向方向角度差θが10〜180度の範囲にお
ける適宜の大きさとなる状態とされている。この指向方
向角度差θは、好ましくは30〜150度の範囲であ
り、60〜120度であることが更に好ましい。図示の
例における指向方向角度差θは90度である。
【0033】更に、装置筐体12の下部空間12Aにお
ける上部および冷却風供給機構40と対向する内壁面に
添った周壁部には、通気性のスクリーン壁部材48によ
り排風路50(図1参照。ただし、上部のスクリーン壁
部材は省略されている。)が形成されている。この排風
路50は、例えば下部空間12Aの底面に添って伸びる
通風路52を介して冷却風供給機構40のブロワ38に
連通されており、これにより、冷却風の循環風路が形成
されている。そして、この循環風路のブロワ38に至る
通風路52には、例えば水冷式の冷却器54が設けられ
ている。
【0034】冷却風供給機構40において、冷却風供給
源であるブロワ38により生ずる冷却風は、前面板41
の冷却風噴出孔42からの層流冷却風と、2つの指向性
冷却風供給口45Aおよび45Bからの指向性冷却風と
に分かれてローディングエリア16に供給される。この
ように、層流冷却風と指向性冷却風とは、共通の冷却風
供給源によるものとされている。そして、指向性冷却風
供給口45Aおよび45Bに通ずる分岐個所には、当該
指向性冷却風供給口45Aおよび45Bに通ずる風路の
各々を閉じるシャッター(図示せず)が設けられてお
り、これにより、各指向性冷却風供給口45Aおよび4
5Bよりの指向性冷却風の供給を停止することができる
構成とされている。
【0035】以上のような構成の熱処理装置において
は、図2に示されているように、ローディングエリア1
6において、移載装置30により、適宜の数のウエハW
がウエハボート22に移載されて保持され、このウエハ
Wがウエハボート22と共にボートエレベータ18によ
り上昇されて熱処理炉14内に搬入され、この熱処理炉
14において、ウエハWに対して所期の熱処理が施され
る。
【0036】熱処理が完了すると、ボートエレベータ1
8が下降され、これによってウエハボート22と共にウ
エハWが搬出されるが、このウエハWの搬出の開始に先
立ってブロワ38が駆動されて冷却風供給機構40が作
動状態とされる。なお、冷却器54は常に動作状態とさ
れている。
【0037】このブロワ38によって生ずる風は、冷却
風供給機構40の前面板41の冷却風噴出孔42からの
冷却風がウエハWに向かって層流冷却風として水平方向
前方に吹き出されると共に、前面板41の両側部におけ
る2つの指向性風路形成部材44Aおよび44Bの指向
性冷却風供給口45Aおよび45Bからの冷却風が、指
向性冷却風としてウエハWの中心Xに向かって吹き出さ
れる。
【0038】このように、前面板41よりウエハWに向
かって吹き出されて供給される層流冷却風と、ウエハW
の中心Xに向かって吹き出される2つの指向性冷却風供
給口45Aおよび45Bからの指向性冷却風とにより、
熱処理炉14から搬出される間において、更にローディ
ングエリア16にアンロードされた状態において、ウエ
ハWが冷却される。
【0039】すなわち、上記のようにローディングエリ
ア16に吹き出された冷却風は、ウエハWの表面を流過
して当該ウエハWを冷却し、その後、スクリーン壁部材
48を介して排風路50に入り、通風路52を介してブ
ロワ38に循環されるが、この循環風路の通風路52を
通過するときに冷却器54により冷却され、これにより
得られる低温の冷却風が、ブロワ38により、再び、冷
却風供給機構40からの冷却風としてウエハWに供給さ
れる。
【0040】以上のような冷却風供給状態において、熱
処理炉14からウエハボート22と共にウエハWが下降
されて搬出されるが、このとき、ウエハボート22が自
転するよう回転されながら下降されることが好ましく、
これにより、ウエハWの冷却を高い均一性で行うことが
できる。
【0041】そして、ウエハボート22の搬出が完了し
た後、ローディングエリア16におけるウエハWに対し
て、例えば一定の時間だけ、上記の層流冷却風および指
向性冷却風の両方による冷却状態が維持されて、ウエハ
Wの冷却工程が行われる。更に、この冷却工程の後、指
向性冷却風供給口45Aおよび45Bに係るシャッター
が閉じられ、その後は、前面板41の冷却風噴出孔42
から吹き出される層流冷却風のみが供給される後冷却工
程が行われることが好ましい。以上の冷却工程および必
要に応じて行われる後冷却工程により、ウエハWが所定
の温度、例えば移載装置のフォークが接触しても不都合
が生じない温度(例えば60℃)に低下させられる。
【0042】また、ローディングエリア16に係る排風
路は、上記のように、下部空間12Aにおける上部に設
けられていることが好ましく、そのような構成によれ
ば、熱処理炉14から搬出されたウエハボート22およ
びウエハの熱によって高温の上昇気流が生ずるところ、
そのような高温の空気を高い効率で排出させることがで
きるからである。
【0043】而して、上記の構成による熱処理装置にお
いては、ローディングエリア16にアンロードされたウ
エハボート22上のウエハWに対して、冷却風供給機構
40の前面板41からの層流冷却風による冷却に加え
て、2つの指向性冷却風供給口45Aおよび45Bから
の指向性冷却風による冷却が行われるため、ウエハWは
高い効率で冷却されることとなり、その結果、ウエハが
複数である場合にも一括して、きわめて短時間のうちに
高い効率の冷却を行うことができる。
【0044】しかも、指向性冷却風は、2つの指向性冷
却風供給口45Aおよび45Bにより、ウエハWの周辺
における互いに異なる角度位置から当該被処理体の中心
に向かって供給されているので、これらの2つの指向性
冷却風の流れは、ウエハWの中央領域において互いに干
渉して各々の指向性が相殺され、あるいは大きく緩和さ
れるようになる。
【0045】その結果、指向性冷却風の風量が多く、あ
るいは風速が大きい状態とされた場合にも、当該冷却風
が周囲の壁の内面や、その他の物体に衝突してリバンウ
ドする程度が小さくなり、そのために、そのような冷却
風の流れによって生ずるウエハWにおける異物粒子付着
現象を確実に抑止することができる。従って、弊害を伴
わずに、多量の冷却風あるいは高い風速の冷却風を指向
性冷却風として供給することができる。
【0046】これに対し、指向性冷却風供給口よりの指
向性冷却風が単一の方向にのみ指向されて供給された場
合には、その影響によって、ウエハWの表面に流れる気
流すなわち風に多数の異物粒子が含有されるようにな
り、その結果、ウエハWにおいて異物粒子付着現象が生
ずるようになる。
【0047】〔実験例〕図1〜図5に示されている構成
に従って構成された、冷却風供給機構(40)を備えて
なる熱処理装置(10)により、ウエハの熱処理実験を
行った。冷却風供給機構は、前面板(41)における冷
却風噴出孔(42)の開口率が40%、指向性冷却風供
給口(45Aおよび45B)に係る角度位置の差の角度
θが90度、ブロワ(38)容量が10m3 /分のもの
であり、冷却工程では、冷却風噴出孔からは約0.3m
/秒の風速の層流冷却風が供給され、指向性冷却風供給
口からは約4m/秒の風速の指向性冷却風が供給され
た。
【0048】そして、ウエハボート22のウエハ保持領
域に直径300mmのウエハW36枚を保持させ、この
ウエハWをウエハボート22と共に熱処理炉14に搬入
して温度1000℃に加熱する熱処理を行った。その
後、冷却風供給機構を駆動させて層流冷却風および指向
性冷却風が共に供給されている状態において、ウエハボ
ートを回転数2rpmで自転させながら下降させて搬出
し、搬出が完了した後も、ローディングエリア(16)
においてそのまま層流冷却風および指向性冷却風による
冷却工程を行った。なお、この搬出が開始されてから完
了するまでの時間は、約1分間であった。
【0049】更に、搬出の開始から3分間が経過した時
点において、2つの指向性冷却風供給口に係るシャッタ
ーを両方共閉じて指向性冷却風の供給を停止して層流冷
却風のみを供給することにより、後冷却工程を行った。
【0050】以上の実験の過程において、ウエハの温度
を測定したところ、熱処理炉から搬出された直後の温度
は600℃であり、すべてのウエハの温度が60℃に低
下するまでに要した時間は、約3分間であった。そし
て、ウエハボートの冷却風供給機構の前面板とは反対側
であって、ウエハボートのウエハ保持領域の中央におけ
る空間に含有される単位容積当たりの異物粒子の数(こ
れを「浮遊異物粒子数」という。)を測定したところ0
個/立方フィートであり、すべてのウエハにおいて異物
粒子付着現象の発生は認められなかった。
【0051】〔比較実験例1〕冷却工程の当初から2つ
の指向性冷却風供給口に係るシャッターを両方とも閉じ
て指向性冷却風の供給を行わずに、層流冷却風のみによ
る冷却を行ったこと以外は上記の実験例と同様にして行
った比較実験では、ウエハの温度が60℃に低下するま
での所要時間は、約8分間であった。そして、浮遊異物
粒子数を測定したところ0個/立方フィートであり、す
べてのウエハにおいて異物粒子付着現象の発生は認めら
れなかった。
【0052】〔比較実験例2〕2つの指向性冷却風供給
口による指向性冷却風の供給に代えて、一方の指向性冷
却風供給口に係るシャッターを閉じて1つの指向性冷却
風供給口のみによる指向性冷却風の供給を行ったこと以
外は上記の実験例と同様にして行った比較実験では、ウ
エハの温度が60℃に低下するまでの所要時間は約6分
間であり、しかも、浮遊異物粒子数を測定したところ2
60個/立方フィートであった。この異物粒子は、ロー
ディングエリア内に配置されていた物体から移動したも
のと認められるものであった。
【0053】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明における各種の条件は実際の要求に応じて
適宜設定し、あるいは選定することができる。例えば、
冷却風として供給されるガスは、特定のものに限定され
ず、空気、窒素ガスなどを用いることができる。また、
本発明においては、種々の変更を加えることができる。
例えば、指向性冷却風供給口の数は、2つに限られるも
のではなく、それ以上であってもよい。
【0054】更に、本発明においては、ローディングエ
リアの空間に露出する露出面を有するローディングエリ
ア内露出面部材に冷却水が流通される冷却機構が設けら
れることが好ましい。ここに、ローディングエリア内露
出面部材の具体的なものは、例えば、ローディングエリ
アの壁面の一部を形成する壁部材、同じくドア部材、ロ
ーディングエリアに開口する熱処理炉の炉口を開閉する
炉口シャッター、その他であり、冷却機構は、これらの
ローディングエリア内露出面部材の少なくとも一つまた
は全部に設けられることが好ましい。
【0055】ローディングエリア内露出面部材に冷却機
構が設けられることにより、当該ローディングエリア内
露出面部材自体が冷却されてローディングエリア内のガ
スが冷却される結果、当該ローディングエリアにおける
ウエハを高い効率で冷却することができる。
【0056】本発明の熱処理方法において、一度に熱処
理されるウエハが複数であることも必要ではなく、ウエ
ハを1枚のみ熱処理する場合にも、本発明の方法を適用
することができる。また、本発明が適用される被処理体
は、半導体ウエハに限定されるものではなく、例えばガ
ラスウエハやセラミックウエハなどであってもよい。
【0057】
【発明の効果】本発明の熱処理装置によれば、ローディ
ングエリアにアンロードされた高温のウエハに対し、冷
却風供給機構からは、前面板の冷却風噴出孔からの冷却
風に加えて、指向性冷却風供給口からの指向性冷却風が
供給されるので、基本的に、短時間の内にウエハを、そ
れが複数であっても一括して冷却することができると共
に、複数の指向性冷却風供給口よりの指向性冷却風の流
れがウエハの中心を含む中央領域において互いに干渉す
ることとなるため、各々の指向性冷却風の指向性が相殺
または緩和されることとなり、その結果、ローディング
エリアの壁面などで指向性冷却風がリバウンド(反射)
されることが防止され、ウエハに異物粒子が運ばれて生
ずる異物粒子付着現象の発生が抑止される。
【0058】また、本発明の熱処理方法によれば、アン
ロードされたウエハは、冷却風供給機構における前面板
の冷却風噴出孔からの冷却風と、指向性冷却風供給口か
らの指向性冷却風とによって冷却されるため、異物粒子
付着現象を伴うことなしに、ウエハを、それが複数であ
っても一括して高い効率で冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱処理装置の構成の一例を概略的に示
す説明用断面図である。
【図2】図1に示す熱処理装置のローディングエリアに
おけるウエハボート、熱処理炉および移載装置の状態を
示す説明用斜視図である。
【図3】図1の熱処理装置における冷却風供給機構の説
明用平面図である。
【図4】図1の熱処理装置における冷却風供給機構の説
明用正面図である。
【図5】図1の熱処理装置における冷却風供給機構の指
向性冷却風供給口とウエハとの関係を示す説明用平面図
である。
【符号の説明】
10 熱処理装置 12 装置筐体 12A 下部空間 12B 上部空間 13 隔壁 14 熱処理炉 15 炉口シャッター 16 ローディングエリア 17 バックドア 18 ボートエレベータ 20 載置台 22 ウエハボート 24 保温筒 26 支柱 W ウエハ 30 移載装置 31 回転軸 32 移載ヘッド 33 移載フォーク 38 ブロワ 40 冷却風供給機構 41 前面板 42 冷却風噴出孔 F 突出風路部 H 屈曲風路部 43 清浄化フィルター 44A,44B 指向性風路形成部材 45A,45B 指向性冷却風供給口 48 スクリーン壁部材 50 排風路 52 通風路 54 冷却器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/68 H01L 21/68 A (72)発明者 棚橋 隆司 東京都港区赤坂5丁目3番6号 TBS放 送センター 東京エレクトロン株式会社内 (72)発明者 門部 雅人 東京都港区赤坂5丁目3番6号 TBS放 送センター 東京エレクトロン株式会社内 Fターム(参考) 4K030 CA04 CA12 GA07 GA13 KA04 KA05 KA12 KA26 5F031 CA02 FA01 FA12 GA37 MA28 MA30 NA02 NA03 NA16 PA26 5F045 BB15 DP19 EB02 EE20 EF20 EG09 EJ02 EM10 EN04

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状の被処理体を熱処理する熱処理炉
    と、この熱処理炉から被処理体が搬出されるローディン
    グエリアとを有する熱処理装置において、 ローディングエリアには、水平方向に保持された被処理
    体に対して冷却風を供給する冷却風供給機構が設けられ
    ており、 当該冷却風供給機構は、被処理体の周囲における互いに
    異なる角度位置から当該被処理体の中心に向かって指向
    性冷却風を供給する複数の指向性冷却風供給口を有する
    ことを特徴とする熱処理装置。
  2. 【請求項2】 冷却風供給機構において、被処理体の中
    心から見た複数の指向性冷却風供給口の位置の角度方向
    が10〜180度の範囲で異なることを特徴とする請求
    項1に記載の熱処理装置。
  3. 【請求項3】 冷却風供給機構は、被処理体の周辺に配
    置された、水平方向前方に冷却風を吹き出す多数の冷却
    風噴出孔が形成された、上下方向に延びる前面板を備え
    ており、 指向性冷却風供給口が、前面板の両側に各々上下方向に
    伸びるよう形成されていることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2に記載の熱処理装置。
  4. 【請求項4】 冷却風供給機構において、複数の指向性
    冷却風供給口および前面板の冷却風噴出孔が共通の冷却
    風供給源に接続されていることを特徴とする請求項1〜
    請求項3のいずれかに記載の熱処理装置。
  5. 【請求項5】 冷却風供給機構の複数の指向性冷却風供
    給口に係る風路に、各々、当該風路を閉じるシャッター
    が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4
    のいずれかに記載の熱処理装置。
  6. 【請求項6】 冷却風供給機構は、ブロワと、このブロ
    ワよりの風が通過される清浄化フィルターとを備えてい
    ることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記
    載の熱処理装置。
  7. 【請求項7】 ローディングエリアには排風路が設けら
    れ、この排風路および通風路を介して循環風路が構成さ
    れており、この循環風路の一部に流通風を冷却する冷却
    器が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項
    6のいずれかに記載の熱処理装置。
  8. 【請求項8】 排風路は、その少なくとも一部がローデ
    ィングエリアの上部に設けられていることを特徴とする
    請求項1〜請求項7のいずれかに記載の熱処理装置。
  9. 【請求項9】 ローディングエリアに露出する露出面を
    有するローディングエリア内露出面部材が冷却水による
    冷却機構を有することを特徴とする請求項1〜請求項8
    のいずれかに記載の熱処理装置。
  10. 【請求項10】 ローディングエリア内露出面部材が、
    ローディングエリアの壁面の一部を形成する壁部材およ
    びドア部材並びに熱処理炉の炉口を開閉する炉口シャッ
    ターの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1
    〜請求項9のいずれかに記載の熱処理装置。
  11. 【請求項11】 ローディングエリアの上方に熱処理炉
    が設けられ、板状の被処理体をローディングエリアから
    熱処理炉に搬入すると共に、熱処理炉からローディング
    エリアに搬出する昇降機構を備えており、 ローディングエリアには、水平方向に保持された被処理
    体に対して冷却風を供給する冷却風供給機構が設けられ
    ており、 当該冷却風供給機構は、被処理体の周辺に配置された、
    水平方向前方に冷却風を吹き出す多数の冷却風噴出孔が
    形成された、上下方向に延びる前面板と、この前面板の
    両側に各々上下方向に伸びるよう形成された、被処理体
    の周囲における互いに異なる角度位置から当該被処理体
    の中心に向かって指向性冷却風を供給する指向性冷却風
    供給口を有する熱処理装置を用い、 熱処理炉内に搬入されて熱処理された被処理体を、冷却
    風供給機構における前面板の冷却風噴出孔および指向性
    冷却風供給口から冷却風を供給しながら、熱処理炉から
    下降させて搬出し、搬出された被処理体を前面板の冷却
    風噴出孔および指向性冷却風供給口からの冷却風によっ
    て冷却する冷却工程が行われることを特徴とする熱処理
    方法。
  12. 【請求項12】 冷却工程に続いて、冷却風供給機構の
    指向性冷却風供給口からの冷却風の供給を停止して前面
    板の冷却風噴出孔からの冷却風のみが継続して供給され
    る後冷却工程が行われることを特徴とする請求項11に
    記載の熱処理方法。
  13. 【請求項13】 被処理体の搬出において、当該被処理
    体をその面内で自転させながら熱処理炉から下降させ、
    更に冷却工程が終了するまでの間、当該被処理体をその
    面内で自転させることを特徴とする請求項11または請
    求項12に記載の熱処理方法。
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