JP2003280668A - 透明防音壁 - Google Patents

透明防音壁

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JP2003280668A
JP2003280668A JP2002086058A JP2002086058A JP2003280668A JP 2003280668 A JP2003280668 A JP 2003280668A JP 2002086058 A JP2002086058 A JP 2002086058A JP 2002086058 A JP2002086058 A JP 2002086058A JP 2003280668 A JP2003280668 A JP 2003280668A
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weight
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chlorinated paraffin
transparent
chlorine
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JP2002086058A
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English (en)
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Akihisa Miura
明久 三浦
Hiroyuki Abe
裕幸 安部
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のものに比べて壁の厚みを増加すること
なく、防音性能を向上させることができ、したがって、
設置のための仕様変更も不要であり、しかも、製造が容
易で製造コストも少なくて済む透明防音壁を提供する。 【解決手段】 透明防音壁は、厚みが異なる2枚の透明
樹脂板と、損失正弦(tanδ)のピーク値が1.5以
上である有機高分子材料からなり両透明樹脂板間に挟ま
れた制振シート層とからなる。有機高分子材料は、塩素
系高分子材料でかつロジン系化合物を含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば道路や鉄道
などの防音壁として使用される透明防音壁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の透明防音壁としては、ポ
リカーボネートからなる透明板単体のものおよび2枚の
ポリカーボネートからなる透明板を接着層によって接合
したものが知られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記ポリカーボネート
を使用した防音壁は、材料そのものの重量則によって防
音性能が決定され、壁の厚みが5mmとされている従来
のものでは、目標とする性能を発現することができない
という問題があった。目標性能を得るために積層構造な
どとして壁の厚みを増加することは可能であるが、この
場合には、原料コストや組立コストが増加し、防音壁が
設置される道路のためのスペースが狭くなるという問題
があった。しかも、従来設置されている防音壁の厚みは
5mmとされているため、壁の厚みを増加すると、防音
壁の支持構造など周辺構造体の仕様の変更が必要となる
という問題もある。
【0004】本発明は、従来技術の上記諸問題に鑑み、
従来のポリカーボネート板からなる透明防音壁に比べ
て、透明性が同等でかつ優れた防音性能を有している透
明防音壁を提供することを目的とする。
【0005】また、本発明は、従来技術の上記諸問題に
鑑み、従来のものに比べて壁の厚みを増加することな
く、防音性能を向上させることができ、したがって、設
置のための仕様変更も不要であり、しかも、製造が容易
で製造コストも少なくて済む透明防音壁を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1による透明防音
壁は、厚みが異なる2枚の透明樹脂板と、損失正弦(t
anδ)のピーク値が1.5以上である有機高分子材料
からなり両透明樹脂板間に挟まれた制振シート層とで構
成されていることを特徴とするものである。
【0007】請求項2による透明防音壁は、請求項1記
載の透明防音壁において、有機高分子材料が、塩素含有
量20〜65重量%の塩素系高分子材料と、炭素数10
〜50で且つ塩素含有量30〜70重量%の少なくとも
1種の塩素化パラフィンとからなる樹脂組成物であるこ
とを特徴とするものである。
【0008】請求項3による透明防音壁は、請求項1記
載の透明防音壁において、有機高分子材料が、塩素含有
量20〜70重量%の塩素系高分子材料と、炭素数12
〜16で且つ塩素含有率30〜70重量%の第1塩素化
パラフィンおよび炭素数20〜50で且つ塩素含有率3
0〜70重量%の第2塩素化パラフィンの混合物(ただ
し第1塩素化パラフィンの割合が第2塩素化パラフィン
の割合より大きい)とからなる樹脂組成物であることを
特徴とするものである。
【0009】請求項4による透明防音壁は、請求項1に
記載の透明防音壁において、有機高分子材料が、塩素含
有量20〜70重量%の塩素系高分子材料と、炭素数1
2〜16で且つ塩素含有率30〜70重量%の第1塩素
化パラフィンおよび炭素数20〜50で且つ塩素含有率
30〜70重量%の第2塩素化パラフィンの混合物(た
だし第1塩素化パラフィンの割合が第2塩素化パラフィ
ンの割合より大きい)と、ロジン系化合物とからなる樹
脂組成物であることを特徴とするものである。
【0010】請求項5による透明防音壁は、請求項1か
ら4までに記載の透明防音壁において、少なくとも一方
の透明樹脂板の厚みが3mm以上であることを特徴とす
るものである。
【0011】請求項1による透明防音壁において、制振
シート用の有機高分子材料は、損失正弦(tanδ)の
ピーク値が1.5以上であるものであれば、特に限定さ
れないが、極性基を有する高分子材料が好ましい。この
ような高分子材料の例として、クロロプレンゴム、アク
リロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素系ゴム、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、クロ
ロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、塩
化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリ
デン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ハ
ロゲン化ポリマー、フッ素系ポリマー、臭素系ポリマ
ー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステ
ル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラ
ストマーなどが挙げられる。
【0012】有機高分子材料のハロゲン含有量は、少な
すぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬く
なりすぎて成形が難しくなるので、好ましくは20〜6
5重量%である。
【0013】有機高分子材料には必要に応じて可塑剤が
添加されてもよい。特に有機高分子材料が硬過ぎる場
合、可塑剤を添加するのが好ましい。可塑剤としては、
通常、塩化ビニル系樹脂に使用されるものが使用でき、
例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジエチル、フタ
ル酸ジイソノニル、テトラブロモフタル酸ジ−2−エチ
ルヘキシル等のフタル酸系可塑剤;トリクレジンホスフ
ェート、トリス(1,3−ジシクロ−2−プロピル)ホ
スフェート等のリン酸エステル系可塑剤;トリ−2−エ
チルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステ
ル系可塑剤;エポキシ系可塑剤;ポリエステル系可塑剤
などが挙げられる。植物油系の可塑剤も好ましい。塩素
化パラフィンのブリードアウトを抑制するには、フタル
酸系可塑剤が好ましい。これらは単独で用いても、2種
類以上組み合わせ用いてもよい。フタル酸系可塑剤以外
の可塑剤を用いる場合には、これにフタル酸系可塑剤と
併用するのが好ましい。
【0014】可塑剤の配合量は、有機高分子材料100
重量部に対し50〜200重量部、好ましくは60〜1
80重量部、より好ましくは100重量部以下である。
この範囲でブリードアウトが抑制でき、制振効果も発現
できる。
【0015】有機高分子材料には必要に応じて充填材が
添加されてもよい。特に、樹脂組成物にある程度の硬さ
を付与したいときは、充填材を添加するのがよい。充填
材としては、鉄粉、アルミニウム粉、銅粉等の金属粉;
マイカ、カオリン、モンモリロナイト、シリカ、炭酸カ
ルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
リン酸マグネシウム、結晶性炭素(グラファイト等)、
バーミキュライト等の無機質充填材などが例示される。
これらは、単独で用いられても、2種類以上併用されて
もいい。充填材の量は、多すぎると樹脂組成物の制振性
が低下するので、有機高分子材料100重量部に対し
て、好ましくは300重量部以下である。
【0016】透明樹脂板は、例えば、ポリカーボネート
板とされるが、これに限定されるものではない。透明樹
脂板としては、ガラス;ポリカーボネート、ポリサルホ
ン等のビスフェノールA変性樹脂;ポリメタクリレート
に代表されるアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリ塩化
ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル等の塩素系樹脂;ポリス
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の
エステル系樹脂からなる板材、あるいは上述樹脂からな
る複合板材が好ましい。透明性が若干落ちてもよい場合
は、透明樹脂板は、ポリエチレンやポリプロピレン等の
ポリオレフィン樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のア
ミド樹脂;ウレタン樹脂;ジシクロペンタジエン、ノル
ボルネンなどの環状オレフィンの重合体樹脂;その他の
透明樹脂からなる板材、あるいは上述樹脂からなる複合
板材であってもよい。
【0017】透明樹脂板の表面には、紫外線反射膜など
の無機層が蒸着や塗工などによってコーティングされて
いてもよい。また、保護用シリコンコーティングの上に
酸化チタンのような、付着物を分解させる触媒層がコー
ティングされていてもよい。透明樹脂板はさらに表面保
護用のハードコート処理が施されていてもよい。
【0018】制振シート層の厚みは、透明樹脂板に対し
て好ましくは1/100以下、好ましくは100μm〜
10mmである。制振シート層の厚みが厚くなると振動
の吸収性能は大きくなるが、これが枠や支持体に設置さ
れる場合、強度が不足したり、材料費が上がる傾向があ
る。厚みが薄すぎると、振動吸収性が低下し遮音性が低
下する。
【0019】有機高分子材料からなる制振シートの作製
方法は、特に限定されず、例えば押出成形法、カレンダ
ー成形法、溶剤キャスト法等の一般的なシート成形方法
であってよい。得られたシートを所要サイズにカットし
て透明防音壁の構成に供する。
【0020】そして、制振シート層の両面に透明樹脂板
を設けるには、透明樹脂板と制振シートをプレスによっ
て貼り合わせてもよいし、2本の挟圧ロールを用いてこ
れらを貼り合わせてもよい。また、制振シート層とこれ
を挟む2相の透明樹脂層との3層構成のものを押し出し
てもよい。
【0021】この透明防音壁を設置するに際しては、厚
みの大きい方の透明樹脂板が防音すべき音源に近い方に
向けられる。2枚の透明樹脂板の各厚みは特に限定され
るものではないが、例えば2:1〜8:1程度とされ
る。
【0022】つぎに、請求項2の有機高分子材料におい
て、制振シート用の塩素系高分子材料は、請求項1の制
振シート用の有機高分子材料のうち塩素系のものであっ
てよく、例えば、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系
樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポ
リエチレン系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂等が挙げら
れる。
【0023】塩素系高分子材料の塩素含有量は、少なす
ぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬くな
りすぎて成形が難しくなるので、20〜65重量%とす
るのがよい。
【0024】請求項2の有機高分子材料において、塩素
化パラフィンは、炭素数が10〜50で、塩素含有率が
30〜70重量%であるものであれば、限定されず、液
状のものでも固体のものでもよい。塩素化パラフィン
は、単一物質からなるものでも、2以上の物質の混合物
でもよい。塩素化パラフィンは1種類で単独使用されて
も、2種類以上併用されてもよい。
【0025】塩素化パラフィンの炭素数は、小さすぎる
と塩素化パラフィンがブリードアウトしてしまい、大き
すぎると十分な制振性が発現しないため、好ましくは1
2〜50であり、塩素化パラフィンが1種類で使用され
る場合、好ましくは12〜20、より好ましくは12〜
16である。
【0026】塩素化パラフィンの塩素含有量は、少なす
ぎると、充分な制振性が発現せず、且つ、塩素化パラフ
ィンが塩素系高分子材料と相溶しにくくブリードアウト
する恐れがあり、多すぎると、やはり塩素化パラフィン
が塩素系高分子材料と相溶しにくくブリードアウトする
恐れがあるので、30〜70重量%とするのがよい。塩
素化パラフィンの塩素含有量が塩素系高分子材料の塩素
含有量に近いほど、制振性が良くなるので、塩素系高分
子材料の塩素含有量に従って、塩素化パラフィンの塩素
含有量を決めればよい。
【0027】請求項2の有機高分子材料において、塩素
系高分子材料に対する塩素化パラフィンの量は、少なす
ぎると十分な制振性が得られず、多すぎると強度が小さ
くなって樹脂組成物が形態を保持しにくくなるため、塩
素系高分子材料100重量部に対して100〜350重
量部が好ましい。
【0028】請求項2の樹脂組成物には必要に応じて可
塑剤、充填材等が添加されてもよい。可塑剤、充填材の
例示および添加量は請求項1におけるものと同じであっ
てよい。
【0029】つぎに、請求項3の有機高分子材料におい
て、制振シート用の塩素系高分子材料は、請求項1の制
振シート用の有機高分子材料のうち塩素系のものであっ
てよく、例えば、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系
樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポ
リエチレン系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂等が挙げら
れる。
【0030】塩素系高分子材料の塩素含有量は、少なす
ぎると制振性が低下し、多すぎると制振シートが硬くな
りすぎて成形が難しくなるので、20〜70重量%とす
るのがよい。
【0031】請求項3の有機高分子材料において、塩素
化パラフィンは、炭素数12〜16で且つ塩素含有率3
0〜70重量%の第1塩素化パラフィンおよび炭素数2
0〜50で且つ塩素含有率30〜70重量%の第2塩素
化パラフィンの混合物である。このように炭素数が互い
に異なる2種の塩素化パラフィンを用いることにより、
損失正弦(tanδ)のピーク値をより上昇させ、すぐ
れた制振性を得ることができる。
【0032】この場合、第1塩素化パラフィンの割合を
第2塩素化パラフィンの割合より大きくすると、損失正
弦(tanδ)のピーク値をより上昇させるとともに長
期に亘って維持することができ、且つ、塩素化パラフィ
ンの制振シートからのブリードアウトを抑制させること
ができるので好ましい。
【0033】請求項3の有機高分子材料において、塩素
系高分子材料に対する塩素化パラフィン混合物の量は、
少なすぎると十分な制振性が得られず、多すぎると強度
が小さくなって樹脂組成物が形態を保持しにくくなるた
め、塩素系高分子材料100重量部に対して50〜30
0重量部が好ましい。
【0034】請求項3の樹脂組成物には必要に応じて可
塑剤、充填材等が添加されてもよい。可塑剤、充填材の
例示および添加量は請求項1におけるものと同じであっ
てよい。
【0035】つぎに、請求項4の有機高分子材料におい
て、制振シート用の塩素系高分子材料は、請求項3の制
振シート用の有機高分子材料にロジン系化合物をさらに
加えたものである。
【0036】請求項4の有機高分子材料で使用されるロ
ジン系化合物は、ロジン金属塩、ロジンエステル等であ
ってよい。ロジン系化合物の配合量は、通常、塩素含有
熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜20重量部が好
ましい。この配合量が1重量部未満であると、透明性の
向上効果が低く、20重量部を越えると、ロジン系化合
物が凝集しやすくなり、透明性が阻害される恐れがあ
る。光学特性のヘイズは5以下になると、散乱が小さ
く、景観を損なわないので好ましい。
【0037】請求項4の有機高分子材料で使用されるロ
ジン系化合物以外の材料は、請求項3におけるものと同
じであってよい。
【0038】請求項1から4までに記載の透明防音壁に
おいて、少なくとも一方の透明樹脂板の厚みが3mm以
上であることことが好ましい。他方の透明樹脂板の厚み
は、3mm以上であってももちろんよいが、壁の厚みを
薄くするために、3mm以下、より好ましくは、2.5
mm以下であることがより好ましい。
【0039】(作用)請求項1の発明による透明防音壁
は、2枚の透明樹脂板の間に、損失正弦(tanδ)の
ピーク値が1.5以上である有機高分子材料からなる制
振シート層が設けられているので、優れた制振性能を有
する制振シートが音を吸収し、高い防音性能を有する。
しかも、透明性にも優れており、道路等に設置される場
合に、車の乗員の視界を妨げないという利点も有してい
る。また、厚みの大きい方の透明樹脂板を防音すべき音
源に近い方に向けることにより、2枚の透明樹脂板の厚
みが同じであるものに比べて、壁の全厚が同じのままで
防音性能を向上することができる。
【0040】また、請求項2の発明による透明防音壁で
は、有機高分子材料として、塩素含有量20〜65重量
%の塩素系高分子材料と、炭素数10〜50で且つ塩素
含有量30〜70重量%の少なくとも1種の塩素化パラ
フィンとからなる樹脂組成物を用いると、一層優れた防
音性能を有する透明防音壁が得られる。
【0041】さらに、請求項3の発明による透明防音壁
では、有機高分子材料として、塩素含有量20〜70重
量%の塩素系高分子材料と、炭素数12〜16で且つ塩
素含有率30〜70重量%の第1塩素化パラフィンおよ
び炭素数20〜50で且つ塩素含有率30〜70重量%
の第2塩素化パラフィンの混合物(ただし第1塩素化パ
ラフィンの割合が第2塩素化パラフィンの割合より大き
い)とからなる樹脂組成物を用いるので、損失正弦(t
anδ)のピーク値をより上昇させるとともに長期に亘
って維持することができ、且つ、塩素化パラフィンの制
振シートからのブリードアウトを抑制させることができ
る。
【0042】また、請求項4の発明による透明防音壁で
は、有機高分子材料として、ロジン系化合物を含んでい
るので、防音性能を維持しかつその透明性を向上させる
ことができる。
【0043】請求項1〜4の透明防音壁は、これを製造
するに際して、製膜も複雑な組立工程も必要としないの
で、成形のためのコストも従来とは差がなく、経済面で
も優れている。また、ポリカーボネートだけからなる透
明防音壁に比べ、壁の厚みを同じに保って、その防音性
能を改良することができるため、既設の透明防音壁を防
音効果を向上させたものに交換する場合や既存の構造体
を使用して新たに透明防音壁を設置する場合、設置のた
めの仕様変更が不要であり、設置工事を容易にかつ簡単
に行うことができる。
【0044】請求項5に記載の透明防音壁は、少なくと
も一方の透明樹脂板の厚みが3mm以上であるので、3
mm以上の厚みを有する透明樹脂板を防音すべき音源に
近い方に向けることにより、優れた防音性能を得ること
ができる。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明を実施例に基づいてさらに
詳しく説明する。
【0046】実施例1 塩素化ポリエチレン(昭和電工社製、商品名「エラスレ
ン402NA」、塩素含有量40重量%)100重量部
と、塩素化パラフィン(旭電化社製、品番「E50
0」、塩素含有量50重量%、平均炭素数14、炭素数
12〜16=99重量%)150重量部と、塩素化パラ
フィン(旭電化社製、品番「A430」、塩素含有量4
3重量%、平均炭素数25)50重量部とを90℃でロ
ール練り機により混練し、得られた混練物を120℃で
プレスして厚さ0.4mmの制振シートを得た。
【0047】次に、この制振シートを2枚のポリカーボ
ネート板で挟み、得られたサンドイッチ物を真空バッグ
に入れた。ポリカーボネート板の厚みは、一方を4m
m、他方を0.6mmとした。その後このサンドイッチ
物を温度140℃、圧力10mmHgの条件で30分間
真空プレスして、1枚分の大きさが70cm×180c
mの透明防音壁用積層プレートを作製した。
【0048】実施例2 実施例1の制振シートにさらにロジン系化合物を加えた
制振シートを作製した。すなわち、塩素化ポリエチレン
(昭和電工社製、商品名「エラスレン402NA」、塩
素含有量40重量%)100重量部と、塩素化パラフィ
ン(旭電化社製、品番「E500」、塩素含有量50重
量%、平均炭素数14、炭素数12〜16=99重量
%)150重量部と、塩素化パラフィン(旭電化社製、
品番「A430」、塩素含有量43重量%、平均炭素数
25)50重量部と、ロジンエステル(荒川化学社製、
品番「KE656」)5重量部とを90℃でロール練り
機により混練し、得られた混練物を120℃でプレスし
て厚さ0.4mmの制振シートを得た。そして、この制
振シートを2枚のポリカーボネート板で挟み、得られた
サンドイッチ物を真空バッグに入れた。ポリカーボネー
ト板の厚みは、一方を4mm、他方を0.6mmとし
た。その後このサンドイッチ物を温度140℃、圧力1
0mmHgの条件で30分間真空プレスして、1枚分の
大きさが70cm×180cmの透明防音壁用積層プレ
ートを作製した。
【0049】比較例1 実施例1と同様の方法により、透明樹脂板の厚みが2枚
とも同じ透明防音壁用積層シートを作製した。各部材の
厚みについては、制振シート層を1mm、各ポリカーボ
ネート板の厚みを2mmとした。
【0050】比較例2 従来技術であるポリカーボネート板だけからなる厚み5
mmの透明防音壁用プレートを作製した。
【0051】性能評価試験 上記の実施例および比較例のプレートを複数枚使用し、
長さ約10m、高さ2.1mの音響透過損失測定用透明
防音壁を作製し、この透明防音壁に対し、下記の項目に
ついて性能評価を行った。
【0052】a.防音性能 防音透明壁から1.5m離れた位置で音響透過損失を測
定した。測定は、精密騒音計(RION社製、型式「N
A−29」)を用い、音源側の音量を80dBとした。
この測定結果を表1に「遮音性能」として示す。
【0053】b.透明性 光学特性JIS K7105及びK7361等にに準拠
して透明性を測定した。測定装置は、村上色彩技術研究
所製変角全光線透過率計HG−200を使用した。この
測定結果を表1に「透明性」としてヘイズ値で示した。
【0054】なお、表1において、PCはポリカーボネ
ート板を、SSは制振シートを、TLは音響透過損失を
それぞれ示し、○は比較例2に比べて良好なことを、◎
は比較例2に比べて特に良好なことをそれぞれ示してい
る。
【0055】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1及び実施例2で作製
した透明防音壁は、いずれも全厚が同じ比較例1及び比
較例2に比べて良好な遮音性を示している。また、実施
例2のものは、特に優れた透明性を示している。
【0056】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、優れた遮音性
及び透明性を有しており、しかも、壁の全厚が同じのま
まで防音性能を向上させことができる。
【0057】請求項2の発明によれば、一層優れた防音
性能を有する透明防音壁が得られる。
【0058】請求項3の発明によれば、損失正弦(ta
nδ)のピーク値をより上昇させるとともに長期に亘っ
て維持することができ、且つ、塩素化パラフィンの制振
シートからのブリードアウトを抑制させることができ
る。
【0059】請求項4の発明によれば、防音性能は同じ
でその透明性を向上させることができ、視界を確保した
い種々の場所での使用が可能となる。
【0060】請求項5の発明によれば、優れた防音性能
を確保することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚みが異なる2枚の透明樹脂板と、損失
    正弦(tanδ)のピーク値が1.5以上である有機高
    分子材料からなり両透明樹脂板間に挟まれた制振シート
    層とで構成されていることを特徴とする透明防音壁。
  2. 【請求項2】 有機高分子材料が、塩素含有量20〜6
    5重量%の塩素系高分子材料と、炭素数10〜50で且
    つ塩素含有量30〜70重量%の少なくとも1種の塩素
    化パラフィンとからなる樹脂組成物であることを特徴と
    する請求項1記載の透明防音壁。
  3. 【請求項3】 有機高分子材料が、塩素含有量20〜7
    0重量%の塩素系高分子材料と、炭素数12〜16で且
    つ塩素含有率30〜70重量%の第1塩素化パラフィン
    および炭素数20〜50で且つ塩素含有率30〜70重
    量%の第2塩素化パラフィンの混合物(ただし第1塩素
    化パラフィンの割合が第2塩素化パラフィンの割合より
    大きい)とからなる樹脂組成物であることを特徴とする
    請求項1記載の透明防音壁。
  4. 【請求項4】 有機高分子材料が、塩素含有量20〜7
    0重量%の塩素系高分子材料と、炭素数12〜16で且
    つ塩素含有率30〜70重量%の第1塩素化パラフィン
    および炭素数20〜50で且つ塩素含有率30〜70重
    量%の第2塩素化パラフィンの混合物(ただし第1塩素
    化パラフィンの割合が第2塩素化パラフィンの割合より
    大きい)と、ロジン系化合物とからなる樹脂組成物であ
    ることを特徴とする請求項1記載の透明防音壁。
  5. 【請求項5】 厚みが大きい方の透明樹脂板の厚みが3
    mm以上であることを特徴とする請求項1から4までに
    記載の透明防音壁。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014167120A (ja) * 2014-04-02 2014-09-11 Mitsubishi Chemicals Corp 遮音部材
JP2016047930A (ja) * 2015-10-26 2016-04-07 三菱化学株式会社 遮音部材

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