JP2003280270A - トナー及びプロセスカートリッジ - Google Patents

トナー及びプロセスカートリッジ

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JP2003280270A JP2002085710A JP2002085710A JP2003280270A JP 2003280270 A JP2003280270 A JP 2003280270A JP 2002085710 A JP2002085710 A JP 2002085710A JP 2002085710 A JP2002085710 A JP 2002085710A JP 2003280270 A JP2003280270 A JP 2003280270A
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英人 飯田
Shuhei Moribe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現像耐久性、低温定着性、耐高温オフセット
性に優れ、現像担持体や感光体へのトナー融着、加圧ロ
ーラー汚染の問題を生じないトナーを提供することにあ
る。 【解決手段】 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有す
るトナーにおいて、該結着樹脂成分がポリエステル樹脂
であり、THF不溶分を5〜30質量%含有し、且つT
HF可溶分のGPC−MALLS分析における光散乱検
出器により得られる溶出容量と光散乱強度の関係におい
て、絶対分子量3.0×103〜3×104の溶出容量領
域にピーク(P1)、絶対分子量5.0×104〜6.
0×105の溶出容量領域にピーク又はショルダー(P
2)、絶対分子量2.0×106〜5.0×107の溶出
容量領域にピーク(P3)が、それぞれ存在することを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
印刷法、磁気記録法及びトナージェット法の如き画像形
成方法に用いられるトナー、及び該トナーを用いるプロ
セスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真法においては、一般には
光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静
電荷像を形成し、次いで該静電荷像をトナーを用いて現
像し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー画像を転写
した後、加熱,圧力,加熱加圧或いは溶剤蒸気により定
着し、トナー画像を得る。
【0003】上述の最終工程であるトナー画像を紙の如
きシートに定着する方法として、現在最も一般的な定着
方法は、加熱ローラーによる圧着加熱方式である。
【0004】この方法によれば、加熱ローラーの表面と
被定着シート上のトナー画像とが加圧下で接触するた
め、トナー画像を被定着シート上に融着する際の熱効率
が極めて良好であり、迅速に定着を行うことができる。
【0005】しかしながら、加熱ローラー表面とトナー
画像とが溶融状態で加圧下で接触する為に、トナー像の
一部が定着ローラー表面に付着・転移し、次の被定着シ
ートにこれが再転移してオフセット現象が生じ、被定着
シートを汚す、高温オフセットという問題がある。
【0006】また、装置の高速化や省エネ、ウエイト時
間の短縮に対応する為に、更には定着画像の折り曲げ、
粘着テープの画像からの剥がし等の厳しい定着画像への
要求が高まってきている。更なる低温定着性の向上が望
まれているが、低温定着性を改良しようとするとトナー
の機械的強度が弱くなりやすく、現像耐久性が低下し易
く、現像剤担持体へのトナーの付着(融着)、感光体へ
のトナー融着等の問題を起こし易くなる問題を抱えてい
る。
【0007】従って、低温定着性、耐高温オフセット性
に優れ、かつ、現像耐久性にも優れ、上記部材(現像剤
担持体、感光体)へのトナー付着(融着)が生じないト
ナーが必要とされている。
【0008】これまでに、低温時の定着性と高温時の耐
オフセット性を両立すべく、種々のトナーが提案されて
いる。特にポリエステル樹脂を用いたトナーの低温定着
性、耐高温オフセット性を向上させ、良好な現像性を得
るには、トナーのTHF可溶分の分子量を制御すること
が重要であり、数平均分子量や重量平均分子量、分子量
分布、分子量を分画して各分画分子量の質量割合を示す
などの試みがなされてきた。しかしこのような手法で
は、低温定着性と耐高温オフセット性の改良と優れた現
像性を両立させるには限界があり、これらの性能を大幅
に向上させることが難しかった。また、耐高温オフセッ
ト性を満足させる為に高分子量成分を含有させると、低
分子量成分と高分子量成分の混合性が悪くなり、現像性
や耐高温オフセット性に悪影響を及ぼし、更には現像担
持体へのトナーの付着(融着)、感光体へのトナー融着
等の問題を起こし易くなる問題を抱えていることが多か
った。
【0009】例えば、特開平3−188468号公報
に、トナー粒子中におけるバインダーとしてのポリエス
テル樹脂が、以下の(A)〜(C)の条件 (A)ポリエステル樹脂の酸価をAv、水酸基価をOH
vとしたとき、Avが20〜35(KOHmg/g)、
Av/OHv=1.0〜1.5の範囲にあること、
(B)テトラヒドロフラン不溶分が10%以下であるこ
と、(C)テトラヒドロフラン可溶分のゲル・パーミテ
ーション・クロマトグラフィー(GPC)による分子量
分布において、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mn
との比率がMw/Mn≧10であり、数平均分子量3,
000〜8,000の領域にピーク(低分子側ピーク)
を少なくとも1つ有し、数平均分子量100,000〜
600,000の領域にピークまたは肩(高分子側ピー
ク)を1つ有し、かつ、高分子側ピーク領域が5〜15
%存在すること、を満足しているトナーが提案されてい
る。しかし、このように低分子側と高分子側のピーク位
置や、Mw,Mnなどを制御しただけでは低温定着性と
耐高温オフセット性を大幅に改良することは難しい。ま
た、実施例に具体的に記載されているポリエステル樹脂
は、重量平均分子量の値が4万乃至8万と小さく、Mw
/Mnの値も13.3〜16.6と小さいことから、高
分子量側の成分が少なく、耐高温オフセット性が不十分
であり、さらなる改良が必要である。
【0010】特開平9−204071号公報では、低温
定着性や耐高温オフセット性を向上させる目的で、特定
の酸価と水酸基価を有するポリエステル樹脂を使用し、
トナーのテトラヒドロフラン可溶分のGPCによる分子
量分布において、重量平均分子量が10万以上、重量平
均分子量に対する数平均分子量の比(Mw/Mn)が3
5以上であり、低分子量、中分子量、高分子量の領域に
分子量を分画し、各分画分子量の成分を特定の割合で含
有するトナーが開示されている。これによれば、ある程
度低温定着性、耐高温オフセット性、現像耐久性を満足
するものが得られるが、各分画分子量の成分の割合を制
御するだけでは、低温定着性や高温オフセット性を大幅
に改良することは困難であり、特に、高分子量領域の成
分と低分子量領域の成分の混合性について考慮していな
い為、これまで以上に優れた性能を得るには改善の余地
がある。
【0011】特開平5−88403号公報では、重量平
均分子量10000〜200000、数平均分子量10
00〜10000であり、1×107以上の分子量域の
成分を5〜15質量%含有し、THF不溶分を含まない
バインダー樹脂を用いたトナーについて提案されてい
る。しかし、この樹脂の重量平均分子量は小さく、さら
に分子量1万に対して、分子量5万、10万、100万
のピーク高さの比が規定されておらず、クロマトグラム
の形状が制御されていない為、優れた低温定着性と耐高
温オフセット性を有し、且つ現像担持体へのトナーの付
着(融着)、感光体へのトナー融着等の問題を解決した
トナーを得るには不充分である。
【0012】特開2000−242042号公報では、
分子量10万と1万に相当する位置の相対強度の比が
0.1〜0.4であるポリエステル樹脂を用いたトナー
について開示されているが、分子量1万と10万の相対
強度比を設定するだけでは不十分であるうえに、この強
度比が0.1〜0.4の範囲では分子量1万に対して分
子量10万が多すぎ、低温定着性を改良しにくい。
【0013】特開平10−60104号公報や特開平1
0−69126号公報には、テトラヒドロフラン(TH
F)不溶分が5質量%以下であり、かつTHF可溶分の
1×106以上の超高分子量体の割合、1×105以上の
高分子量体の割合、1×10 4未満の領域の低分子量体
の割合と1×104以上1×105未満の中分子量体の割
合を規定したトナー用ポリエステル樹脂について開示さ
れている。しかし、このように各分画分子量の成分量を
規定するだけでは、定着性能を制御することが難しく、
特に分子量1万と5万、10万、100万のピーク高さ
の比については全く記載がく、さらには、低分子量体と
高分子量体の混合性については考慮されていない為、低
温定着性と耐高温オフセット性、現像性を高度なレベル
でバランスをとることが出来ない。
【0014】特開平9−251216号公報には、1×
103以上8×103以下の領域に分子量の極大値を有
し、Mw/Mnが20以上200以下であり、樹脂全体
に占める分子量1×105以下の割合が80質量%以上
であり、3価以上の多価カルボン酸及び/又は3価以上
の多価アルコールを含有することを特徴とする電子写真
トナー用ポリエステル系樹脂について開示されている。
これによれば確かに非オフセット温度幅の広いトナーを
得る事ができ、定着性の改良はある程度改善されるが、
現像担持体へのトナーの付着(融着)、感光体へのトナ
ー融着等の問題に対しては、有効な解決手段を有してい
ないものである。
【0015】また、特開昭52−3304号公報,特開
昭52−3305号公報,特開昭57−52574号公
報,特開昭61−138259号公報,特開昭56−8
7051号公報,特開昭63−188158号公報,特
開昭63−113558号公報等にトナー中にワックス
類を含有する技術が開示されている。しかしながら、こ
れらワックスにより、耐オフセット性は改良されるが、
これらワックスはトナー中に均一に分散されにくく、遊
離あるいは偏在したワックスが繰り返し使用後に現像性
等に悪影響を与えやすく、未だ改良の余地がある。
【0016】一方、近年、消費電力を低減させる電子写
真装置の開発が望まれている。その達成手段としては様
々な方法がある。例えば、低温定着が可能なトナーを用
いることで定着器のヒーター温度を下げることができ、
その結果、消費電力が小さくなる。このような低温定着
トナーを設計するには、概して、バインダー熱特性,ワ
ックス熱特性等を改良してトナーの溶融粘弾性を制御
し、粘性を高くすることが行われている。しかしなが
ら、粘性の高いトナーはトナー弾性が低くなり、トナー
強度が低下し、感光体,各現像部材等をトナーで汚染し
うる恐れがある。特に、帯電手段として接触帯電を用い
る現像系ではトナー汚染が著しい。これは、感光体表面
に残留したトナーが帯電部材表面に付着し、フィルミン
グ現象が発生することに起因する。
【0017】更には、近年プリンターのコンパクト化、
簡易化等の要望、更に紙種の多様化が要望され、転写紙
中に含有される填料による定着部材が汚染し、そこにト
ナーが付着し、次いで加熱ローラー(フィルム)側から
トナー付着物が加圧ローラー側へ転移し、転写紙裏面を
汚す(加圧ローラー汚染)現象等の問題には不十分であ
ることが明らかとなってきた。
【0018】特開平9−6050号公報には、トナー結
着樹脂のTHF可溶分におけるGPCの分子量分布にお
ける5万以下を示す成分の光散乱法により測定される重
量平均分子量とGPCにより測定される重量平均分子量
の関係が開示されている。また、特開平9−14630
5号公報には、分子量2000〜100000の領域の
トナー結着樹脂における光散乱法により測定される重量
平均分子量と慣性半径の関係が開示されている。しかし
ながら、可溶分全領域の設計に踏み込んでいないことか
ら、低温定着性と耐高温オフセット性が高度なレベルで
バランスをとることが不十分である。
【0019】以上の種々の問題点をより良好に解決した
トナーが待望されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のごとき問題点を解決したトナーを提供することにあ
る。
【0021】すなわち、本発明の目的は、現像耐久性、
低温定着性、耐高温オフセット性に優れ、かつ、現像担
持体へのトナーの付着(融着)、感光体へのトナー融着
等の問題を解決し得るトナーを提供することにある。更
に本発明の目的は、加圧ローラー汚染の問題を生じない
トナーを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも結
着樹脂及び着色剤を含有するトナーにおいて、該結着樹
脂成分がポリエステル樹脂であり、THF不溶分を5〜
30質量%含有し、且つTHF可溶分のGPC−MAL
LS分析における光散乱検出器により得られる溶出容量
と光散乱強度の関係において、絶対分子量3.0×10
3〜3×104の溶出容量領域にピーク(P1)、絶対分
子量5.0×104〜6.0×105の溶出容量領域にピ
ーク又はショルダー(P2)、絶対分子量2.0×10
6〜5.0×107の溶出容量領域にピーク(P3)が、
それぞれ存在することを特徴とするトナーに関する。
【0023】また、本発明は、トナーを有する現像装置
と、像担持体、帯電部材、またはクリーニング部材から
なる群より選択される部材を少なくとも一つ有してお
り、画像形成装置に着脱自在のプロセスカートリッジで
あって、該トナーが上記構成のトナーであることを特徴
とするプロセスカートリッジに関する。
【0024】
【発明の実施の形態】ポリエステル樹脂の低分子量領域
の成分を多く含有させることで低温定着性が、高分子量
領域の成分を多く含ませることで耐高温オフセット性が
向上することは周知であり、従来の技術はこれらの成分
の割合を制御することで低温定着性と耐高温オフセット
性のバランスをとろうと試みられてきた。
【0025】特に高分子量領域においては、できるだけ
分子量の高い成分を少量含ませることが、低温定着性を
阻害せずに耐高温オフセット性を高められるので好まし
いが、分子量が大きく異なるポリエステル樹脂の成分を
均一に混合することは非常に難しく、分子量が非常に大
きい成分と低分子量成分をトナー中に均一に混合させる
ことは困難である。
【0026】その結果、トナー中で高分子量成分の偏析
や分離が起こり易く、現像性や耐高温オフセット性を悪
化させる原因となる。さらには、均一に混合されずに偏
析、分離してしまった高分子量成分には、ワックスや着
色剤などのトナー材料が入り込み難く、現像を悪化させ
る。
【0027】そこで本発明者らが検討したところ、ポリ
エステル樹脂で優れた低温定着性、耐高温オフセット
性、現像耐久性を得る為には、THF不溶分を5〜30
質量%含有し、且つTHF可溶分のGPC−MALLS
分析における光散乱検出器により得られる溶出容量と光
散乱強度の関係において、絶対分子量3.0×103
3×104の溶出容量領域にピーク(P1)、絶対分子
量5.0×104〜6.0×105の溶出容量領域にピー
ク又はショルダー(P2)、絶対分子量2.0×106
〜5.0×107の溶出容量領域にピーク(P3)が、
それぞれ存在することを特徴とするトナーにより達成可
能であることが見出された。
【0028】まず、本発明は、THF可溶分のGPC−
MALLS分析における光散乱検出器により得られる溶
出容量と光散乱強度の関係において、絶対分子量3.0
×103〜3×104の溶出容量領域にピーク(P1)、
絶対分子量5.0×104〜6.0×105の溶出容量領
域にピーク又はショルダー(P2)、絶対分子量2.0
×106〜5.0×107の溶出容量領域にピーク(P
3)が、それぞれ存在することを特徴としている。
【0029】GPCで測定される分子量分布は、分子サ
イズであり、強度はその存在量であるのに対し、GPC
−MALLS(分離手段としてGPCと多角度光散乱検
出器を結合し、絶対分子量及び分子の大きさ(貫性自乗
半径)を測定可能となる)であるで得られる光散乱強度
はその分子サイズにより強度が増加する。但し、GPC
−MALLS測定において溶出時間によりピークが存在
することは、その分子量にある分子の広がり(分子サイ
ズ)を持ったポリマーが個数分布を持って存在すること
を意味するものであり、本発明はこれを規定するもので
ある。
【0030】従来のGPC法では、測定する分子がカラ
ム内を通過する際、分子篩い効果を受け、分子サイズの
大きいものから順次溶出し、分子量が測定される。この
場合、分子量が等しい線状ポリマーと分岐ポリマーでは
前者の方が溶液中での分子サイズが大きいので早く溶出
することになる。したがって、GPC法で測定される分
岐ポリマーの分子量は真の分子量より小さく測定され
る。
【0031】一方、本発明の光散乱法では測定分子のR
ayleigh散乱を利用し、散乱光の強度に及ぼす光
の入射角と試料濃度の依存性を測定し、Zimm法、B
erry法等で解析することで線状ポリマー、分岐ポリ
マー全ての分子形態において真の分子量(絶対分子量)
が決定でき(本発明では、GPC−MALLS測定法に
より絶対分子量をZimm法により算出した。(後
述))、より高度な性能を示すトナー樹脂の分子設計が
可能となった。
【0032】本発明は、低分子領域における光散乱強度
ピークが、絶対分子量3.0×10 3〜3×104の溶出
容量領域に存在することにより、低温定着性が達成され
る。
【0033】低分子領域における光散乱強度ピーク(P
1)が、絶対分子量3.0×103未満の場合、耐ブロ
ッキング性能が悪化し、現像性、耐環境特性が悪化す
る。また、高分子量体との粘度差が生じ、樹脂の混合性
が悪化し、現像性、耐オフセット性が悪化する。一方、
ピーク(P1)が、絶対分子量3×104を超える場合
は、目標の低温定着性が損なわれる。
【0034】更に本発明は、光散乱強度ピーク或いはシ
ョルダー(P2)が、絶対分子量5.0×104〜6.
0×105の溶出容量領域に存在することが特徴であ
る。この領域に低分子領域ピーク(P1)より強度の低
いピーク或いはショルダーが存在することにより、高分
子量体と低分子量体との混合性を良化させ、より広いオ
フセット領域を達成できる。
【0035】光散乱強度ピーク或いはショルダー(P
2)が、5.0×104未満の場合、高分子量体との粘
度差が生じ、樹脂の混合性が悪化し、現像性、耐オフセ
ット性が悪化する。一方、光散乱強度ピーク或いはショ
ルダー(P2)が、6.0×105を超える場合、低温
定着性がより高度に達成できない。
【0036】更に本発明は、光散乱強度ピーク(P3)
が、絶対分子量2.0×106〜5.0×107の溶出容
量領域に存在させることにより、耐高温オフセット性を
より高度に達成可能としている。
【0037】光散乱強度ピーク(P3)が、2.0×1
6未満に存在する場合は、耐高温オフセット性が劣化
し、5.0×107を超える場合は、高分子量体との粘
度差が生じ、樹脂の混合性が悪化し、現像性、耐オフセ
ット性が悪化する。樹脂の混合性が悪化し、耐高温オフ
セット性が損なわれるのは、低分子量成分と高分子量成
分が各々別々に熱挙動を示すためである。
【0038】また、本発明は、トナー結着樹脂成分がT
HF不溶分を5〜30質量%(好ましくは10〜30質
量%)含有することを特徴とする。
【0039】トナー結着樹脂成分中のTHF不溶分が5
質量%未満の場合、耐高温オフセット性が損なわれ、T
HF不溶分が30質量%を超える場合、低温定着性が著
しく損なわれる。
【0040】更に本発明のより好ましい形態としては、
該結着樹脂成分のTHF可溶分のGPC−MALLS分
析における光散乱検出器により得られる溶出容量と光散
乱強度の関係における高分子領域に存在するピーク(P
3)における分子サイズ(慣性半径)が35nm以上2
00nm未満(より好ましくは50nm以上150nm
未満)であることが好ましい。
【0041】絶対分子量と分子サイズ(慣性半径)の関
係はその分子の広がりを示しており、他の分子量成分と
の絡み合い・混合性、即ちトナーとしての耐高温オフセ
ット性及び現像性に大きく関与していることが検討の結
果明らかとなった。
【0042】絶対分子量2.0×106〜5.0×107
の範囲で分子サイズ(慣性半径)が35nm未満の場
合、高分子のランダムコイルが密、架橋密度が高く、他
の分子量成分との絡み合い・混合性を著しく阻害し、ト
ナーとしての耐高温オフセット性及び現像性が劣化す
る。一方、分子サイズ(慣性半径)が200nm以上で
ある場合、分子はより直鎖状を示すものであり、より高
温では弾性に劣る構成となり本発明の目的の一つである
耐高温オフセット性が若干劣る構成となる。
【0043】本発明のトナーは、上記構成をとることに
より、定着加熱時の溶融速度が速く、特に高速機や軽圧
の定着機での低温定着性を大幅に改良することが可能に
なるとともに、トナーの機械的な強度も強くなるので、
良好な現像耐久性が得られる。更には、現像剤担持体へ
のトナーの付着(融着)、感光体へのトナー融着等の問
題を生じないトナーを得ることが可能となる。
【0044】さらには、該ポリエステルが三価以上の多
価カルボン酸と四価以上の多価アルコールを含有してい
ることがより好ましい。三価以上の多価カルボン酸や四
価以上の多価アルコールは、ポリエステルに架橋成分を
持たせる為に使われるが、両方を使用して架橋成分を生
成させることで、上記絶対分子量と分子サイズの関係を
達成しやすく、更には樹脂の酸価、水酸基価のバランス
を取りやすくなる。その結果、トナーの帯電を安定させ
やすくなり、現像性の環境依存性が少なくなる。
【0045】さらに、四価以上の多価アルコールがノボ
ラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルで
ある場合が、低温定着性を悪化させずに耐高温オフセッ
ト性を高めることができるため好ましい。ノボラック型
フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを用いて架
橋成分を生成させると、架橋点と架橋点の間が長くなり
(架橋点間分子量が大きくなり)、熱による分子運動が
起こり易い、フレキシブルな架橋体が生成されやすい
為、低分子量成分との混合性が非常に優れており、本発
明の高分子成分の絶対分子量と分子サイズの関係を達成
し易い。
【0046】更に本発明の好ましい形態として、トナー
中の結着樹脂が、酸価(Av)2乃至30mgKOH/
gであり、水酸基価(OHv)5乃至40mgKOH/
gであり、且つ酸価(Av)と水酸基価(OHv)比が 0.1≦Av/OHv≦1.0 を満足するポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0047】より好ましくは、結着樹脂が酸価(Av)
5乃至25mgKOH/gであり、水酸基価(OHv)
10乃至40mgKOH/gであり、且つ酸価(Av)
と水酸基価(OHv)比が 0.3≦Av/OHv≦1.0 を満足するポリエステル樹脂である。
【0048】酸価2mgKOH/g未満或いは水酸基価
が5mgKOH/g未満の場合、帯電の立ち上がり特性
が劣化し、逆に酸価30mgKOH/g或いは水酸基価
40mgKOH/gを超える場合、高湿環境特性が悪化
し易い。一方、酸価、水酸基価の量が多い場合、トナー
表面の水分吸着量が極端に増加し、トナー帯電保持に悪
影響を与え、更には定着時の耐静電オフセット性が劣る
原因となり易い。また、本発明の樹脂構成において、離
型剤を含有し、上記形態をとることにより、定着時のワ
ックスの染み出し速度を速くすることが可能となり、加
圧ローラー汚れ問題を極めて有効に可決し得る。
【0049】また、酸価(Av)と水酸基価(OHv)
の比が、1.0<Av/OHvの場合、チャージアップ
傾向が顕著となり、低温低湿下のカブリ抑制も悪化す
る。これは、水酸基よりも酸性基が一定割合を超えて増
加することにより、トナー帯電がチャージアップ傾向と
なるものと考えられる。
【0050】一方、Av/OHv<0.1の場合、立ち
上がり特性、高湿帯電性が劣化する。
【0051】本発明のより好ましい形態は、トナー中の
ポリエステル樹脂が酸価(Av)2乃至30mgKOH
/gであり、水酸基価(OHv)5乃至40mgKOH
/gであり、且つ酸価(Av)と水酸基価(OHv)比
が 0.1≦Av/OHv≦1.0 を満足することである。
【0052】更により好ましい形態は、該トナー中のポ
リエステル樹脂が酸価(Av)5乃至25mgKOH/
gであり、水酸基価(OHv)10乃至40mgKOH
/gであり、且つ酸価(Av)と水酸基価(OHv)比
が 0.3≦Av/OHv≦1.0(より好ましくは0.5
≦Av/OHv≦0.9) を満足することである。
【0053】更に好ましい形態としては、酸価と水酸基
価の和が 15≦Av+OHv≦70(より好ましくは30≦Av
+OHv≦60) を満足することが好ましい。
【0054】酸価と水酸基価の和が15未満の場合、帯
電量が低く、一方、70を超えると高温高湿下の放置特
性、及び定着時の耐静電オフセット性が悪化する傾向に
ある。
【0055】また、本発明の樹脂構成において、離型剤
を含有し、上記形態をとることにより、定着時のワック
スの染み出し速度を速くすること、及びトナー樹脂自体
の定着部材への付着性の制御が可能となり、加圧ローラ
ー汚れ問題を極めて有効に可決し得る。
【0056】本発明に用いられるポリエステル樹脂の組
成は以下の通りである。
【0057】2価のアルコール成分としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジ
オール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−
ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また
(A)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0058】
【化1】 (式中Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,y
はそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値
は0〜10である。)
【0059】また(B)式で示されるジオール類;
【0060】
【化2】
【0061】2価の酸成分としては、例えばフタル酸、
テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベン
ゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエス
テル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級
アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデ
シルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアル
キルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステ
ル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸
などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アル
キルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙
げられる。
【0062】また架橋成分として働く3価以上のアルコ
ール成分や3価以上の酸成分を単独で使用するか、もし
くは併用することが好ましい。
【0063】3価以上の多価アルコール成分としては、
例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロ
ール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジ
ペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、
1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタン
トリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオ
ール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,
3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0064】特に好ましい3価以上の多価アルコール成
分として、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキ
レンエーテルが挙げられる。
【0065】ノボラック型フェノール樹脂のオキシアル
キレンエーテルは、ノボラック型フェノール樹脂と分子
中1個のエポキシ環を有する化合物との反応物である。
【0066】ノボラック型フェノール樹脂としては、例
えばエンサイクロペディア・オブ・ポリマーサイエンス
・アンド・テクノロジー(インターサイエンス・パブリ
ッシャーズ)第10巻1頁のフェノリック・レジンズの
項に記載されるように、塩酸、リン酸、硫酸などの無機
酸又はパラトルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸
又は酢酸亜鉛などの金属塩を触媒としてフェノール類と
アルデヒド類からの重縮合により製造されるものが挙げ
られる。フェノール類としては、フェノールや炭素数1
〜35の炭化水素基及び/又はハロゲン基を1個以上置
換基として有する置換フェノールが挙げられる。置換フ
ェノールの具体例としては、クレゾール(オルソ体、メ
タ体もしくはパラ体)、エチルフェノール、ノニルフェ
ノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、ス
チレン化フェノール、イソプロペニルフェノール、3−
クロルフェノール、3−ブロムフェノール、3,5−キ
シレノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノ
ール、3,5−ジクロルフェノール、2,4−ジクロル
フェノール、3−クロル−5−メチルフェノ−ル、ジク
ロルキシレノール、ジブロムキシレノール、2,4,5
−トリクロルフェノール、6−フェニル−2−クロルフ
ェノール等が挙げられる。フェノール類は2種以上併用
してよい。これらの中ではフェノール及び炭化水素基で
置換された置換フェノールが好ましく、その中でも特に
フェノール、クレゾール、t−ブチルフェノールおよび
ノニルフェノールが好ましい。フェノールとクレゾール
は価格及びトナーの耐オフセット性を付与する点で好ま
しく、t−ブチルフェノール及びノニルフェノールに代
表される炭化水素基で置換された置換フェノールはトナ
ーの帯電量の温度依存性を小さくする点で好ましい。ア
ルデヒド類としては、ホルマリン(各種濃度のホルムア
ルデヒド溶液)、パラホルムアルデヒド、トリオキサ
ン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。ノボラ
ック型フェノール樹脂の数平均分子量は通常300〜8
000、好ましくは450〜3000、更に好ましくは
400〜2000である。
【0067】ノボラック型フェノール樹脂中の数平均の
フェノール類の核体数は通常3〜60、好ましくは3〜
20、更に好ましくは4〜15である。また軟化点(J
ISK2531;環球法)は、通常40〜180℃、好
ましくは40〜150℃、更に好ましくは50〜130
℃である。軟化点が40℃未満では常温でブロッキング
し取り扱いが困難となる。また軟化点が180℃を超え
るとポリエステル樹脂の製造過程でゲル化を引き起こし
好ましくない。
【0068】分子中1個のエポキシ環を有する化合物の
具体例としてはエチレンオキサイド(EO)、1,2−
プロピレンオキサイド(PO)、1,2−ブチレンオキ
サイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサ
イド、エピクロルヒドリン等を挙げることができる。ま
た炭素数1〜20の脂肪族1価アルコールもしくは1価
フェノールのグリシジルエーテルも使用できる。これら
の中ではEOおよび/またはPOが好ましい。ノボラッ
ク型フェノール樹脂1モルに対する、分子中1個のエポ
キシ環を有する化合物の付加モル数は通常1〜30モ
ル、好ましくは2〜15モル、更に好ましくは2.5〜
10モルであり、またノボラック型フェノール樹脂中の
フェノール性水酸基1個に対する分子中1個のエポキシ
環を有する化合物の平均付加モル数は通常0.1〜10
モル、好ましくは0.1〜4モル、更に好ましくは0.
2〜2モルである。
【0069】ノボラック型フェノール樹脂のオキシアル
キレンエーテルの数平均分子量は通常300〜1000
0、好ましくは350〜5000、更に好ましくは45
0〜3000である。数平均分子量が300未満ではト
ナーの耐オフセット性が充分でなく、10000を超え
るとポリエステル樹脂の製造過程でゲル化を引き起こし
て好ましくない。
【0070】ノボラック型フェノール樹脂のオキシアル
キレンエーテルの水酸基価(アルコール性及びフェノー
ル性水酸基の合計)は通常10〜550mgKOH/
g、好ましくは50〜500mgKOH/g、更に好ま
しくは100〜450mgKOH/gである。また、水
酸基価のうち、フェノール性水酸基価は通常0〜500
mgKOH/g、好ましくは0〜350mgKOH/
g、更に好ましくは5〜250mgKOH/gである。
【0071】ノボラック型フェノール樹脂のオキシアル
キレンエーテルの製法を例示すると、必要により触媒
(塩基性触媒又は酸性触媒)の存在下、ノボラック型フ
ェノール樹脂に分子中1個のエポキシ環を有する化合物
を付加反応させることにより得られる。反応温度は通常
20〜250℃、好ましくは70〜200℃であり、常
圧下、又は加圧下、更には減圧下においても行うことが
できる。また反応は溶媒(例えばキシレン、ジメチルホ
ルムアミドなど)あるいは他の2価アルコール類及び/
又は他の3価以上のアルコール類の存在下で行うことも
できる。
【0072】他の2価アルコール類としては、例えば
(1)エチレングリコール、1,2−プロピレングリコ
ール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオ−ル、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール等の炭素数2〜12のアルキレングリコール;
(2)ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等のアルキレンエ−テルグリコール類;(3)
1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフ
ェノールA等の炭素数6〜30の脂環式ジオール;およ
び(4)ビスフェノールA、ビスフェノールF,ビスフ
ェノールS等のビスフェノール類;並びに、(5)上記
ビスフェノール類のアルキレンオキシド(EO、PO、
ブチレンオキシド等)2〜8モル付加物を挙げることが
できる。
【0073】これらのうち(1)及び(5)が好まし
く、(5)が更に好ましい。上記(1)の中ではエチレ
ングリコールは反応速度を増大し、1,2−プロピレン
グリコール及びネオペンチルグリコールは低温定着性の
点で好ましい。また、上記(5)の中では、特にビスフ
ェノールAのEO及び/又はPO2〜4モル付加物がト
ナーに良好な耐オフセット性を与える点で好ましい。
【0074】他の3価以上のアルコール類の具体例とし
ては、(1)ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサン
テトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトー
ル、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペン
タントリオール、グリセロール、2−メチルプロパント
リオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオー
ル、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等
の炭素数3〜20の脂肪族多価アルコール;(2)1,
3,5−トリヒドロキシルメチルベンゼン等の炭素数6
〜20の芳香族多価アルコール;並びにこれらのアルキ
レンオキサイド付加物を挙げることができる。
【0075】これらの中では(1)の化合物が好まし
く、その中でも安価な点からグリセロール、トリメチロ
ールプロパン及びペンタエリスリトールが好ましい。
【0076】(B)中の(B1)、(B2)、(B3)
の構成割合は、それぞれ通常(B1)2〜100%、
(B2)0〜98%、(B3)0〜20%、好ましくは
(B1)4〜70%、(B2)30〜96%、(B3)
0〜10%、更に好ましくは(B1)4〜50%、(B
2)50〜96%、(B3)0〜5%である。
【0077】また、本発明における三価以上の多価カル
ボン酸成分としては、例えばピロメリット酸、1,2,
4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼント
リカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン
酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,
4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリ
カルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2
−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカル
ボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカ
ルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、
低級アルキルエステル;次式
【0078】
【化3】 (式中Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数
5〜30のアルキレン基又はアルケニレン基)で表わさ
れるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級ア
ルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が
挙げられる。なかでも、1,2,4−ベンゼントリカル
ボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸およびこ
れらの無水物、低級アルキルエステルが好ましい。
【0079】本発明に用いられるアルコール成分として
は40〜60mol%、好ましくは45〜55mol
%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは5
5〜45mol%であることが好ましい。また三価以上
の多価の成分は、全成分中の5〜60mol%であるこ
とが好ましい。
【0080】該ポリエステル樹脂は、通常一般に知られ
ている縮重合によって得られる。ポリエステル樹脂の重
合反応は通常触媒の存在下150〜300℃、好ましく
は170〜280℃程度の温度条件下で行われる。また
反応は常圧下、減圧下、もしくは加圧下で行うことがで
きるが、所定の反応率(例えば30〜90%程度)に到
達後は反応系を200mmHg以下、好ましくは25m
mHg以下、更に好ましくは10mmHg以下に減圧
し、反応を行うのが望ましい。
【0081】上記触媒としては、通常ポリエステル化に
用いられる触媒、例えばスズ、チタン、アンチモン、マ
ンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カル
シウム、ゲルマニウム等の金属;およびこれら金属含有
化合物(ジブチルスズオキサイド、オルソジブチルチタ
ネート、テトラブチルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸鉛、
酢酸コバルト、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモンな
ど)が挙げられる。反応物の性質(例えば酸価、軟化点
等)が所定の値に到達した時点、あるいは反応機の攪拌
トルクまたは攪拌動力が所定の値に到達した時点で反応
を停止させることによって本発明のポリエステル樹脂を
得ることができる。
【0082】本発明のトナーは、ワックス成分(離型
剤)を含有することが好ましい。
【0083】また本発明トナーは、その示差熱分析にお
ける吸熱ピークが60℃以上120℃以下(さらに好ま
しくは80℃以上110℃以下)に一つ以上あるワック
スを含有することが好ましい。ワックスの示差熱分析に
おける吸熱ピークが60℃以上120℃以下に無い場合
は、本発明の効果がより効果的に発揮されない。
【0084】本発明における上記分子量構成並びに粘弾
特性有する結着樹脂において、上記構成のワックスを組
み合わせることにより、より一層の定着性と耐久性の両
立が図られる。
【0085】示差熱分析における吸熱ピークが60℃以
上120℃以下に少なくともひとつあれば効果はあり、
さらに吸熱ピークが120℃を超えるところにあっても
構わない。
【0086】示差熱分析における吸熱ピークが60℃以
下(好ましくは70℃以下)に存在しないものが好まし
い。示差熱分析における吸熱ピークが60℃以下に存在
する場合は画像濃度が低くなる傾向がある。また、保存
性も不安定になる傾向にある。
【0087】示差熱分析における吸熱ピークを60℃以
上120℃以下に有する形態にする手段としては、トナ
ー中に示差熱分析における吸熱ピークを60℃以上12
0℃以下に有する化合物を内添させる方法が好ましい。
【0088】また、本発明の樹脂構成において、上記ワ
ックスを含有することにより、定着時のワックスの染み
出し速度を速くすることが可能となり、加圧ローラー汚
れ問題を極めて有効に解決し得る。
【0089】示差熱分析における吸熱ピークを60℃以
上120℃以下にひとつ以上有する物質としては、ワッ
クス類を挙げることができる。
【0090】パラフィンワックス、マイクロクリスタリ
ンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びそ
の誘導体、モンタンワックスびその誘導体、フィッシャ
ートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導
体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス
及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワッ
クス等、天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体に
は酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、
グラフト変性物を含む。高級脂肪族アルコール;ステア
リン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合
物、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びそ
の誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス等、示差熱
分析における吸熱ピークを60℃以上120℃以下に有
するものである。これらの中でも、示差熱分析における
吸熱ピークを60℃以上120℃以下に有する化合物
が、ポリオレフィンもしくはフィッシャートロプシュ法
による炭化水素ワックスもしくは石油系ワックスもしく
は高級アルコールである場合が本発明においては特に好
ましい。
【0091】また、これらのワックスを、プレス発汗
法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法
又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたも
のや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低
分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好
ましく用いられる。
【0092】上記のある化合物を用いた場合、”再転
写”防止効果及び耐オフセット性がさらに高くなる。こ
れらの化合物は比較的それ自身の極性が低くトナー母体
の帯電を安定させるものと考えられる。
【0093】またこれらの中でも、差熱分析における吸
熱ピークを60℃以上120℃以下に有する化合物がポ
リオレフィンもしくはフィッシャートロプシュ法による
炭化水素ワックスもしくは石油系ワックスもしくは高級
アルコールで、そのGPC測定での重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mw)の比(Mw/Mw)が1.
0〜2.0である場合、定着時のトナー表面へのワック
スの溶け出しがはやく、低温定着性や耐高温オフセット
性に効果を発揮し、本発明の目的を更に高度に達成しう
る。また、本発明の樹脂構成において、上記ワックスを
含有することにより、定着時のワックスの染み出し速度
を速くすることが可能となり、加圧ローラー汚れ問題を
極めて有効に可決し得る。
【0094】重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mw)の比(Mw/Mw)が1.0〜2.0である分
子量分布がかなりシャープな上記ワックスをトナー中に
含有させることにより、トナーの製造における溶融混練
工程においてバインダー樹脂中の磁性体/荷電制御剤等
の分散の状態が本発明にとって、より好ましい状態にな
るためと考えている。
【0095】本発明に係わるワックスの分子量測定は以
下の測定条件で測定される。 装置;GPC−150C(ウオーターズ社) カラム;GMH−HT30cm、2連(東ソー社製) 温度;135℃ 溶媒;o−ジクロロベンゼン(0.1質量%アイオノー
ル添加) 流速;1.0ml/min. 試料;0.15質量%の試料を0.4ml注入
【0096】以上の条件で測定し、試料の分子量算出に
あたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した
分子量校正曲を使用する。さらに、Mark−Houw
ink粘度式から導き出される換算式ポリエチレン換算
することで算出される。
【0097】本発明のワックスの数平均分子量Mnは、
350以上2000以下(より好ましくは400以上1
000以下)であることが好ましく、本発明の構成の樹
脂中の分散性、耐オフセット性、低温定着性を満足し得
る。
【0098】これらのワックスは、結着樹脂100質量
部に対して1〜10質量部含有されていることが好まし
く、特に、ポリエステル樹脂重合時にモノマーと一緒に
反応槽に仕込むか、樹脂重合終了後、取り出し前の反応
槽に温度がかかっている状態で添加して攪拌し、樹脂に
添加させることが、樹脂中にワックスを均一に分散でき
るので好ましい。
【0099】この際、特に好ましく用いられるワックス
として、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、
フィッシャートロプシュワックス、高級アルコールワッ
クスが挙げられる。これらは、ポリエステル樹脂との反
応性が小さいので、樹脂の重合を阻害したり、樹脂との
反応によってワックスの効果が変化することが少ない。
【0100】さらに本発明のトナーは、磁性体を結着樹
脂100質量部に対して30〜200質量部含有する、
磁性トナーであることが好ましい。この場合、磁性体は
着色剤の役割をかねることもできる。
【0101】本発明に用いられる磁性体としては、マグ
ネタイト,マグヘマイト,フェライト等の酸化鉄;鉄,
コバルト,ニッケルのような金属あるいはこれらの金属
とアルミニウム,コバルト,銅,鉛,マグネシウム,マ
ンガン,セレン,チタン,タングステン,バナジウムの
ような金属の合金及びその混合物が用いられ、その磁性
体表面あるいは内部に非鉄元素を含有するものが好まし
い。
【0102】本発明に用いられる磁性体は、異種元素を
含有するマグネタイト,マグヘマイト,フェライト等の
磁性酸化鉄及びその混合物が好ましく用いられる。
【0103】中でもリチウム,ベリリウム,ボロン,マ
グネシウム,アルミニウム,シリコン,リン,ゲルマニ
ウム,チタン,ジルコニウム,錫,鉛,亜鉛,カルシウ
ム,バリウム,スカンジウム,バナジウム,クロム,マ
ンガン,コバルト,銅,ニッケル,ガリウム,カドミウ
ム,インジウム,銀,パラジウム,金,水銀,白金,タ
ングステン,モリブデン,ニオブ,オスミウム,ストロ
ンチウム,イットリウム,テクネチウム,ルテニウム,
ロジウム,ビスマスから選ばれる少なくとも一つ以上の
元素を含有する磁性酸化鉄であることが好ましい。特に
リチウム,ベリリウム,ボロン,マグネシウム,アルミ
ニウム,シリコン,リン,ゲルマニウム,ジルコニウ
ム,錫,第4周期の遷移金属元素が好ましい元素であ
る。これらの元素は酸化鉄結晶格子の中に取り込まれて
も良いし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれても良い
し、表面に酸化物あるいは水酸化物として存在しても良
い。また、酸化物として含有されているのが好ましい形
態である。
【0104】また、場合により、本発明の磁性トナーに
用いる磁性酸化鉄は、シランカップリング剤、チタンカ
ップリング剤、チタネート、アミノシラン等で処理して
も良い。
【0105】本発明のトナーは、キャリアと併用して二
成分現像剤として用いることができ、二成分現像方法に
用いる場合のキャリアとしては、従来知られているもの
がすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化また
は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロ
ム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物など
の平均粒径20〜300μmの粒子が使用される。
【0106】また、それらキャリア粒子の表面に、スチ
レン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ
素系樹脂、ポリエステル樹脂等の物質を付着または被覆
させたもの等が好ましく使用される。
【0107】本発明のトナーに使用し得る着色剤として
は、任意の適当な顔料又は染料があげられる。
【0108】トナーの着色剤としては、例えば顔料とし
てカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブ
ラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダ
ミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシア
ニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは
定着画像の光学濃度を維持するのに必要充分な量が用い
られ、樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好
ましくは0.2〜10質量部の添加量が良い。また同様
の目的で、更に染料が用いられる。例えばアゾ系染料、
アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染
料があり、樹脂100質量部に対し0.1〜20質量
部、好ましくは0.3〜10質量部の添加量が良い。
【0109】本発明のトナーには、荷電制御剤を含有さ
せることが好ましい。トナーを負荷電性に制御するもの
として下記物質がある。
【0110】例えば有機金属錯体、キレート化合物が有
効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯
体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボ
ン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシ
カルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金
属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノ
ール誘導体類などがある。
【0111】また、次に示した一般式(1)で表わされ
るアゾ系金属錯体が好ましい。
【0112】
【化4】 〔式中、Mは配位中心金属を表わし、Sc、Ti、V、
Cr、Co、Ni、Mn、Fe等があげられる。Arは
アリール基であり、フェニル基、ナフチル基などがあげ
られ、置換基を有してもよい。この場合の置換基として
は、ニトロ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アニリド
基および炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基な
どがある。X,X’、Y,Y’は−O−、−CO−、−
NH−、−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)で
ある。A+は水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウ
ム、脂肪族アンモニウムあるいはなしを示す。〕
【0113】特に、中心金属としてはFe又はCrが好
ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリ
ド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アル
カリ金属アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好まし
い。またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ま
しく用いられる。
【0114】あるいは、次の一般式(2)に示した塩基
性有機酸金属錯体も負帯電性を与えるものであり、本発
明に使用できる。
【0115】
【化5】
【0116】特に、中心金属としてはFe,Cr,S
i,Zn,Alが好ましく、置換基としてはアルキル
基、アニリド基、アリール基、ハロゲンが好ましく、カ
ウンターイオンは水素、アンモニウム、脂肪族アンモニ
ウムが好ましい。
【0117】そのうちでも、式(1)で表されるアゾ系
金属錯体がより好ましく、とりわけ、下記式(3)で表
されるアゾ系鉄錯体が最も好ましい。
【0118】
【化6】
【0119】次に、該錯体の具体例を示す。
【0120】
【化7】
【0121】
【化8】
【0122】トナーを正荷電性に制御するものとして下
記の物質がある。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による
変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロ
キシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモ
ニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム
塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニ
ウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染
料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りん
タングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステン
モリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フ
ェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸
の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオ
キサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオ
ルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオク
チルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなど
のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミ
ダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組合
せて用いることができる。これらの中でも、トリフェニ
ルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四
級アンモニウム塩が好ましく用いられる。また、一般式
(4)
【0123】
【化9】 〔式中、R1はH又はCH3を示し、R2及びR3は置換ま
たは未置換のアルキル基(好ましくは、C1〜C4)を
示す〕で表わされるモノマーの単重合体;前述したスチ
レン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如
き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として
用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、
結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有す
る。
【0124】特に下記一般式(5)で表わされる化合物
が本発明の構成においては好ましい。
【0125】
【化10】 [式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、各々互い
に同一でも異なっていてもよい水素原子、置換もしくは
未置換のアルキル基または、置換もしくは未置換のアリ
ール基を表し、R7、R8及びR9は、各々互いに同一で
も異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、アルコキシ基を表し、A-は、硫酸イオン、硝酸
イオン、ほう酸イオン、りん酸イオン、水酸イオン、有
機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機りん酸イオ
ン、カルボン酸イオン、有機ほう酸イオン又はテトラフ
ルオロボレートから選択される陰イオンを示す。]
【0126】電荷制御剤をトナーに含有させる方法とし
ては、トナー内部に添加する方法と外添する方法があ
る。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の
種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造
方法によって決定されるもので、一義的に限定されるも
のではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対し
て0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量
部の範囲で用いられる。
【0127】本発明のトナーに流動性向上剤を添加して
も良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することに
より、流動性が添加前後を比較すると増加し得るもので
ある。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフ
ウルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式
製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉
末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合
物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表
面処理を施した処理シリカ等があり、無機微粉末として
は、酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロ
ンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジ
ルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き
複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如
き炭酸塩化合物等がある。
【0128】好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハ
ロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であ
り、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称さ
れるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔
中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎とな
る反応式は次の様なものである。SiCl4+2H2+O
2→SiO2+4HCl
【0129】この製造工程において、塩化アルミニウム
又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハ
ロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金
属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカ
としてはそれらも包合する。その粒径は、平均の一次粒
径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好
ましく、特に好ましくは0.002〜0.2μmの範囲
内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0130】更には、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸
化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理
シリカ微粉体がより好ましい。
【0131】疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応
或いは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理
することによって付与される。好ましい方法としては、
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシ
リカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0132】有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチル
ジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラ
ン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロロシラ
ン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシ
ラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチ
ルクロロシラン、ブロモメトリジメチルクロロシラン、
α−クロロエチルトリクロロシラン、β−クロロエチル
トリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラ
ン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリ
ルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビ
ニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラ
ン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシ
シラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニル
テトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラ
メチルジシロキサン及び1分子当り2〜12個のシロキ
サン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛の
Siに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサ
ン等がある。更に、ジメチルシリコーンオイルの如きシ
リコーンオイルが挙げられる。これらは1種或いは2種
以上の混合物で用いられる。
【0133】流動性向上剤は、BET法で測定した窒素
吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは5
0m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー1
00質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、
好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0134】トナーを作製するには、結着樹脂、ワック
ス成分を少なくとも含有する混合物が材料として用いら
れるが、必要に応じて磁性体やその他の添加剤等が用い
られる。これらの材料をヘンシェルミキサー又はボール
ミルの如き混合機により十分混合してから、ロール、ニ
ーダー及びエクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶
融、捏和及び混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中
に、ワックスや磁性体を分散せしめ、冷却固化後、粉砕
及び分級を行ってトナーを得ることができる。本発明の
トナーの製造方法は、状況に応じて以下の製造装置を用
いることができる。
【0135】トナー製造装置としては、例えば混合機と
しては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパ
ーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所
社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイク
ロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピン
ミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マ
ツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニー
ダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Bus
s社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TE
X二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝
鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミ
ル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井
鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森
山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社
製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェット
ミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロ
ン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本
ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本
鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社
製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社
製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル
(ターボ工業社製);スーパーロータ(日清エンジニア
リング社製)が挙げられ、分級機としては、クラッシー
ル、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラ
ッシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシ
ファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセ
パレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレ
ータ(ホソカワミクロン社製);エルボジェット(日鉄
鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニュー
マチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社
製)が挙げられ、粗粒などをふるい分けるために用いら
れる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社
製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所
社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソ
ニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(タ
ーボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円
形振動篩い等が挙げられる。
【0136】本発明のトナーを画像形成に用いる際、上
述の如きトナーを有する現像装置と像担持体(感光ドラ
ム等)、帯電部材、クリーニング部材などの構成要素の
うち、複数のものを装置ユニットとして一体に結合して
プロセスカートリッジを構成し、このプロセスカートリ
ッジを装置本体に対して着脱可能に装着して使用するの
も好ましい形態の一つである。例えば、帯電部材及び現
像装置を感光ドラムとともに一体に支持してプロセスカ
ートリッジを形成し、装置本体に着脱可能な単一ユニッ
トとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱
可能に装着される構成にすることができる。
【0137】樹脂のTHF可溶分の分子量及び分子量分
布、THF不溶分の含有量、ワックス成分のピークトッ
プ温度および分子量、分子量分布の測定法は以下に示す
とおりである。
【0138】(1)樹脂のTHF可溶分の分子量の測定 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
よるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0139】40℃のヒートチャンバー中でカラムを安
定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテト
ラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。
樹脂をTHFに分散し溶解後、24時間静置した後、
0.2μmフィルターで濾過し、その濾過を試料として
用いる。試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整
した樹脂のTHF溶液を50〜200μl注入して測定
する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分
子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により
作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算
出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料として
は、例えば、Pressure Chemical C
o.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×1
2,2.1×103,4×103,1.75×104
5.1×104,1.1×105,3.9×105,8.
6×105,2×106,4.48×106のものを用
い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用
いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器
を用いる。
【0140】カラムとしては、103〜2×106の分子
量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲ
ルカラムを複数組合せるのが良く、昭和電工社製のsh
odex KF−801,802,803,804,8
05,806,807の7連カラムの組合せが好まし
い。
【0141】(2)THF不溶分量 ポリエステル樹脂又はトナーを秤量し、円筒ろ紙(例え
ばNo.86Rサイズ28×10mm 東洋ろ紙社製)
に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてTH
F200mlを用いて、16時間抽出する。このとき、
THFの抽出サイクルが約4〜5分に1回になるような
還流速度で抽出を行う。抽出終了後、円筒ろ紙を取り出
し、秤量することによってポリエステル樹脂又はトナー
の不溶分を得る。
【0142】トナーが樹脂成分以外の磁性体又は顔料の
如き、THF不溶分を含有している場合、円筒ろ紙に入
れたトナーの質量をW1gとし、抽出されたTHF可溶
樹脂成分の質量をW2gとし、トナーに含まれている樹
脂成分以外のTHF不溶成分の質量をW3gとすると、
トナー中の樹脂成分のTHF不溶分の含有量は下記式か
ら求められる。 THF不溶分(質量%)=〔(w1−(w3+w2))
/(w1−w3)〕×100
【0143】ソックスレー抽出装置の一例を図3に示
す。容器1に入っているTHF2はヒーター8で加熱さ
れ気化し、気化したTHFは管7を通って冷却器5に導
かれる。冷却器5は、冷却水6で常時冷却されている。
冷却器5で冷却されて液化したTHFは円筒ろ紙3を有
する貯留部にたまり、THFの液面が中管4よりも高く
なると、貯留部からTHFが容器1に排出される。円筒
ろ紙に入っているトナーは循環するTHFによって抽出
処理される。
【0144】(3)GCP−MALLS測定 トナー0.2g又は樹脂0.1gをTHF20mlに分
散し溶解後、24時間静置した後、0.2μmフィルタ
ーで濾過し、その濾過を試料として用いる。トナーが樹
脂成分以外の磁性体又は顔料が存在する場合は、前処理
として除去作業を行い資料に供する。
【0145】[分析条件] 分離カラム:Shodex KF−807+KF−80
6M+KF−806M カラム温度:40℃ 移動相溶媒:THF 移動相流速:1.0ml/min. 資料濃度 :約0.5% 注入量 :400μl 検出器1 :多角度光散乱検出器 Wyatt DAW
N EOS 検出器2 :示差屈折率検出器 Shodex RI−
71
【0146】[測定理論] (LS)=(dn/dc)2×C×Mw×KLS (1) (LS);検出器の測定電圧値(v) (dn/dc);試料1gあたりの屈折率の増分(ml
/g) C ;濃度(g/ml) KLS ;測定電圧と散乱強度(還元レイリー比)の係
数(装置定数) (dn/dc)は本発明はポリエステルの文献値から
0.111ml/gとした。
【0147】GPC−MALLSでは、GPCカラムの
分子篩いにより分子サイズで分離され、Mw(絶対分子
量)とC(濃度)が刻々変化し溶出されてくるため別途
濃度検出器をMALLSと組み合わせ測定する必要があ
る。その信号強度を濃度Cに換算し分子量Mwを求め
る。本発明では、濃度検出器として示差屈折率検出器
(RI)を使用し、RI検出器の信号強度(RI)を濃
度Cに換算し用いる。 (RI)=(dn/dc)×C×KRI (2) KRI;測定電圧と屈折率の係数(RI定数 ポリスチ
レン標準にて校正) 分子サイズ(慣性半径)はDebye Plotにより
算出した。
【0148】(4)ワックスの吸熱ピークトップ温度 示差熱分析測定装置(DSC測定装置;DSC−7(パ
ーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−
82に準じて測定する。
【0149】測定試料は5〜20mg、好ましくは10
mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リ
ファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲
30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温
常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度40〜10
0℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られ
る。このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラ
インの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけ
るガラス転移温度Tgとする。
【0150】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明をより具体的
に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではな
い。
【0151】 [結着樹脂製造例] (ポリエステル樹脂製造例1) ・テレフタル酸 26質量部 ・無水トリメリット酸 2質量部 ・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y= 2.2) 62質量部 ・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:エチレン基でx+y=2) 10質量部 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.35質
量部添加し、230℃で縮合重合して、分子量10万以
上の成分を含まない低分子量ポリエステル樹脂a(Tg
58℃、重量平均分子量Mw=7200、THF不溶分
0質量%、酸価(Av)=13mgKOH/g、水酸基
価(OHv)=29mgKOH/g)を得た。
【0152】 (ポリエステル樹脂製造例2) ・フマル酸 34.6質量部 ・テレフタル酸 10.0質量部 ・無水トリメリット酸 4質量部 ・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y= 2.2) 73質量部 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量
部添加し、225〜240℃で縮合重合して、分子量1
0万以上の成分を含まない低分子量ポリエステル樹脂b
(Tg58℃、重量平均分子量Mw=9400、THF
不溶分0質量%、酸価(Av)=25mgKOH/g、
水酸基価(OHv)=30mgKOH/g)を得た。
【0153】 (ポリエステル樹脂製造例3) ・テレフタル酸 30質量部 ・無水トリメリット酸 1質量部 ・重合脂肪酸 4質量部 ・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y= 2.2) 71質量部 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量
部添加し、220℃で縮合重合して、分子量10万以上
の成分を3質量%含む、低分子量ポリエステル樹脂c
(Tg60℃、重量平均分子量Mw=13500、TH
F不溶分0質量%、酸価(Av)=15.1mgKOH
/g、水酸基価(OHv)=27.7mgKOH/g)
を得た。
【0154】 (ポリエステル樹脂製造例4) ・テレフタル酸 18質量部 ・イソフタル酸 2.5質量部 ・無水トリメリット酸 7質量部 ・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y= 2.2) 70質量部 ・ノボラック型フェノール樹脂(核体数約5.6)の5.6モルEO付加物 2質量部 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.45質
量部添加し、225℃で縮合重合して、高分子量ポリエ
ステル樹脂d(Tg56℃、重量平均分子量Mw=24
000、THF不溶分42質量%、酸価(Av)=22
mgKOH/g、水酸基価(OHv)=30mgKOH
/g)を得た。
【0155】 (ポリエステル樹脂製造例5) ・テレフタル酸 20質量部 ・イソフタル酸 2質量部 ・無水トリメリット酸 9質量部 ・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y= 2.2) 72質量部 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量
部添加し、220〜235℃で縮合重合して、高分子量
ポリエステル樹脂e(Tg61℃、重量平均分子量Mw
=130000、THF不溶分39質量%、酸価(A
v)=24mgKOH/g、水酸基価(OHv)=35
mgKOH/g)を得た。
【0156】 (ポリエステル樹脂製造例6) ・テレフタル酸 26質量部 ・イソフタル酸 2質量部 ・無水トリメリット酸 4質量部 ・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y= 2.2) 67質量部 ・ノボラック型フェノール樹脂(核体数約4.6)の4.6モルEO付加物 5質量部 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量
部添加し、220℃で縮合重合して、高分子量ポリエス
テル樹脂f(Tg58℃、重量平均分子量Mw=101
000、THF不溶分20質量%、酸価(Av)=19
mgKOH/g、水酸基価(OHv)=28mgKOH
/g)を得た。
【0157】 (ポリエステル樹脂製造例7) ・フマル酸 19質量部 ・無水トリメリット酸 15質量部 ・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y= 2.2) 26質量部 ・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:エチレン基でx+y=2) 36質量部 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.55質
量部添加し、220℃で縮合重合して、高分子量ポリエ
ステル樹脂g(Tg55℃、重量平均分子量Mw=17
6000、THF不溶分14質量%、酸価(Av)=3
0.5mgKOH/g、水酸基価(OHv)=30mg
KOH/g)を得た。
【0158】 [樹脂溶融ブレンド物の製造例 1] ・低分子ポリエステル樹脂a 55質量部 ・高分子ポリエステル樹脂d 45質量部 ・ポリエチレンワックス(DSCメインピーク106.3℃、Mw/Mn=1. 3) 4質量部 上記材料をヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)
で予備混合し、溶融混練機 PMC30(池貝鉄工所社
製)にて回転数200rpm、混練樹脂温度100℃の
条件で溶融ブレンドを行いブレンド樹脂Aを得た。
【0159】[樹脂溶融ブレンド物の製造例2〜9]樹
脂溶融ブレンド物の製造例1のブレンド樹脂Aと同様に
表2に示すポリエステル樹脂及びブレンド比並びに樹脂
ブレンド条件によってブレンド樹脂B〜Iを得た(表−
2参照)。
【0160】 <実施例1> ・ブレンド樹脂A 100質量部 ・磁性酸化鉄(球状 0.2μm) 90質量部 ・アゾ鉄化合物(1) 2質量部 上記化合物を、145℃に加熱された二軸エクストルー
ダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗
粉砕し、ジェットミル(日本ニューマチック工業社製)
を用いて機械式粉砕させ、得られた微粉砕物をコアンダ
効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジ
ェット分級機)で、超微粉および粗粉を厳密に分級除去
して分級粉(トナー粒子)1を得た。
【0161】このトナー粒子のGPC−MALLSにお
ける溶出容量と光散乱検出器による光散乱強度の関係を
図1に、光散乱強度ピークの出現する絶対分子量の結果
及びトナー粒子中の樹脂酸価、水酸基価を表3に示す。
【0162】図1のチャートに示されるようにGPC−
MALLSにおける溶出容量と光散乱検出器による光散
乱強度の関係は、本発明の規定する各絶対分子量領域に
ピークを有している。各溶出容量値におけるピークにお
いて、その絶対分子量は図中矢印で示す値をとる。
【0163】 ・分級粉1 100質量部 ・疎水性シリカ 1.2質量部 疎水性シリカはジメチルシリコーンオイルとヘキサメチ
ルジシラザンで疎水化処理された、BET150m2
g,メタノールウエッタビリティ69%の疎水性シリカ
を使用。以下の実施例、比較例において、疎水性シリカ
はこの材料を指す。
【0164】上記材料をヘンシェルミキサーで外添混合
しトナー1を得た。トナーの重量平均径は6.2μmで
あった。
【0165】得られたトナーを用い下記に示す試験を行
った。各試験結果を表4に示す。
【0166】(1)定着性試験 市販の電子写真装置レーザービームプリンターLBP−
430(キヤノン社製)の改造機(プロセススピード6
5mm/sec)を用いて、温度15℃,湿度10%環
境下でXx4024紙にベタ黒画像を作成した。この画
像を2つ折り曲げ、温度のかかっていないLBP−43
0外部定着器を通過させた。更に画像を広げ逆方向に折
り曲げ同様に外部定着器を通過させた。折り曲げ試験の
前後で折り曲げ線の中心を4.9kPaの荷重をかけた
シルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度
低下率を測定した。
【0167】(2)加圧ローラー汚れ 市販の電子写真装置レーザービームプリンターLBP−
930(キヤノン社製)を用いて、定着器内部部材への
トナー汚染の程度を評価した。耐久環境は温度15℃,
湿度10%、2枚/5分のモードで15000枚耐久画
像を流した時の紙へのトナー塊排出状態や、定着器内
部、定着ローラー・加圧ローラーのトナー付着の様子を
観察した。この時使用した定着器は、ローラーに対する
トナーの付着の度合いを観察するため、加圧ローラーに
接しているクリーニングローラーを外した状態で使用し
た。尚、紙は、炭酸カルシウムを多く含有する紙として
IGEPA(continental)を使用した。
【0168】加圧コンタミの評価法として、耐久後にト
ナーが加圧ローラー・定着ローラーにどれだけ付着して
いるか、また、紙に排出されるトナーの塊がどの程度
か、この両方のレベルを総合して加圧ローラーコンタミ
レベルを決定した。 A:非常に良好(未発生) B:良好 (紙裏面に1枚のみ1〜数点の汚れ有
り、2枚目からの裏汚れなし、加圧ローラー・定着ロー
ラーには付着無し) C:実用可 (連続して通紙した紙裏面に数枚に1〜
数点の汚れ有り、5枚目以降の裏汚れなし、加圧ローラ
ー・定着ローラーには付着無し) D:実用不可 (連続して通紙した紙裏面に数枚に1〜
数点の汚れ有り、加圧ローラー・定着ローラーには付着
物が観察される) 長期にわたって使用した場合でも加圧コンタミが発生し
ない合格レベルを、ランクC以上が実用上の問題のない
レベルである。
【0169】(3)耐久濃度推移及びカブリ 上記加圧ローラー試験において2000枚ごとに画像サ
ンプルをとり、マクベス濃度計RD 981型(マクベ
ス社製)でSPIフィルターを使用して反射濃度測定を
行い、5mm角の画像を測定し画像濃度とした。更に、
ベタ白画像サンプルを同耐久枚数でサンプリングし、カ
ブリを測定した。カブリは反射濃度計(リフレクトメー
ター モデル TC−6DS 東京電色社製)を用いて
測定し、ベタ白部反射濃度の最悪値から、画像形成前の
転写材の反射平均濃度を引いたものをカブリ量とした。
【0170】(5)スリーブ汚れ トナーを市販の電子写真装置レーザービームプリンター
LBP−930(キヤノン社製)を用いて、耐久環境
温度32℃,湿度80%、間欠で15000枚4ドット
176スペースの横ライン画像耐久を行った。尚、現像
ブレードの当接圧を通常19.6N/m(20g/c
m)の1.5倍としたものに改造し使用した。プリント
アウト試験終了後、現像スリーブ表面への残留トナーの
固着の様子とプリントアウト画像への影響を目視で評価
した。 A:非常に良好(未発生) B:良好 (1〜3個の微小な固着があるが、画像
への影響がない) C:実用可 (3個〜6個の微小な固着があるが、画
像への影響がない) D:実用不可 (固着が多く、画像ムラを生じる)
【0171】(6)ドラムの汚れ 上記(5)の画像耐久において感光体ドラム表面の傷や
残留トナーの固着の発生状況とプリントアウト画像への
影響を目視で評価した。 A:非常に良好(固着や傷が未発生) B:良好(1〜2個の微小な傷の発生が見られるが、画
像への影響はない) C:実用可(3〜6個傷がありが、画像への影響がな
い) D:実用不可(傷が多く、傷を基点とした固着が発生
し、縦スジ状の画像欠陥を生じる)
【0172】<実施例2〜6、比較例1〜3>実施例1
と同様に、樹脂Aを樹脂B〜I(表2及び3参照)に変
更して、実施例2〜6、比較例1〜3のトナーを作製
し、評価した結果を表4に示した。
【0173】尚、図2に比較例1のトナーのGPC−M
ALLSにおける溶出容量と光散乱検出器による光散乱
強度の関係を示す。
【0174】
【表1】
【0175】
【表2】
【0176】
【表3】
【0177】
【表4】
【0178】
【発明の効果】本発明によれば、現像耐久性、低温定着
性、耐高温オフセット性に優れ、現像剤担持体や感光体
へのトナー融着、加圧ローラー汚染を良好に抑制するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のトナーのGPC−MALLSにおけ
る溶出容量と光散乱検出器による光散乱強度の関係を示
す。
【図2】比較例1のGPC−MALLSにおける溶出容
量と光散乱検出器による光散乱強度の関係を示す。
【図3】ソックスレー抽出装置の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 吉寛 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山崎 克久 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 飯田 英人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 森部 修平 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 谷川 博英 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AA02 AA06 CA08 CA13 CA14 CA17 EA06 EA07 EA10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有す
    るトナーにおいて、該結着樹脂成分がポリエステル樹脂
    であり、THF不溶分を5〜30質量%含有し、且つT
    HF可溶分のGPC−MALLS分析における光散乱検
    出器により得られる溶出容量と光散乱強度の関係におい
    て、 絶対分子量3.0×103〜3×104の溶出容量領域に
    ピーク(P1)、 絶対分子量5.0×104〜6.0×105の溶出容量領
    域にピーク又はショルダー(P2)、 絶対分子量2.0×106〜5.0×107の溶出容量領
    域にピーク(P3)が、それぞれ存在することを特徴と
    するトナー。
  2. 【請求項2】 該結着樹脂成分のTHF可溶分のGPC
    −MALLS分析における光散乱検出器により得られる
    溶出容量と光散乱強度の関係におけるピーク(P3)が
    示す分子サイズ(慣性半径)が35nm以上200nm
    未満であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 【請求項3】 該結着樹脂成分のTHF可溶分のGPC
    −MALLS分析における光散乱検出器により得られる
    溶出容量と光散乱強度の関係におけるピーク(P3)が
    示す分子サイズ(慣性半径)が50nm以上150nm
    未満であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  4. 【請求項4】 該トナーはTHF不溶分を結着樹脂換算
    で10〜30質量%含有することを特徴とする請求項1
    乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 【請求項5】 該ポリエステル樹脂が三価以上の多価カ
    ルボン酸と四価以上の多価アルコールを含有しているこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナ
    ー。
  6. 【請求項6】 該四価以上の多価アルコールがノボラッ
    ク型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルである
    ことを特徴とする請求項5に記載のトナー。
  7. 【請求項7】 該トナーは、磁性体を結着樹脂100質
    量部に対して30〜200質量部含有する磁性トナーで
    あることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載
    のトナー。
  8. 【請求項8】 該トナー中の結着樹脂が、酸価(Av)
    2乃至30mgKOH/gであり、水酸基価(OHv)
    5乃至40mgKOH/gであり、且つ酸価(Av)と
    水酸基価(OHv)比が 0.1≦Av/OHv≦1.0 を満足するポリエステル樹脂を有することを特徴とする
    請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
  9. 【請求項9】 該トナーは、ワックスを含有し、該ワッ
    クスのDSC吸熱メインピークが60〜120℃の範囲
    にあり、該ワックスの重量平均分子量Mwと数平均分子
    量Mnの比Mw/Mnが1.0〜2.0であることを特
    徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
  10. 【請求項10】 該トナーが低分子量ポリエチレンワッ
    クス、パラフィンワックス、フィシャートロプシュワッ
    クス、高級アルコールワックスのいずれかを少なくとも
    含有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに
    記載のトナー。
  11. 【請求項11】 トナーを有する現像装置と、像担持
    体、帯電部材、またはクリーニング部材からなる群より
    選択される部材を少なくとも一つ有しており、画像形成
    装置に着脱自在のプロセスカートリッジであって、 該トナーが、請求項1乃至10のいずれかに記載のトナ
    ーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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