JP4147044B2 - トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電印刷法、磁気記録法、及びトナージェット法の如き画像形成方法に用いられるトナー、及び該トナーを用いるプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでに、低温時の定着性と高温時の耐オフセット性を両立すべく、種々のトナーが提案されている。特にポリエステル樹脂を用いたトナーの低温定着性や耐高温オフセット性を向上させ、良好な現像性を得るには、トナーのTHF可溶分の分子量を制御することが重要であり、数平均分子量や重量平均分子量、分子量分布、分子量を分画して各分画分子量の質量割合を示すなどの試みがなされてきた。しかしこのような手法では、低温定着性と耐高温オフセット性の改良と優れた現像性を両立させるには限界があり、これらの性能を大幅に向上させることが難しかった。また、耐高温オフセット性を満足させる為にTHF不溶分(ゲル成分)の様な超高分子量成分を含有させると、低分子量成分との混合性が悪くなり、現像性や耐高温オフセット性に悪影響を及ぼすことが多かった。
【0003】
例えば、特開平3−188468号公報に、トナー粒子中におけるバインダーとしてのポリエステル樹脂が、以下の(A)〜(C)の条件
(A)ポリエステル樹脂の酸価をAv、水酸基価をOHvとしたとき、Avが20〜35(KOHmg/g)、Av/OHv=1.0〜1.5の範囲にあること、(B)テトラヒドロフラン不溶分が10%以下であること、(C)テトラヒドロフラン可溶分のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率がMw/Mn≧10であり、数平均分子量3,000〜8,000の領域にピーク(低分子側ピーク)を少なくとも1つ有し、数平均分子量100,000〜600,000の領域にピークまたは肩(高分子側ピーク)を1つ有し、かつ、高分子側ピーク領域が5〜15%存在すること、
を満足しているトナーが提案されている。しかし、このように低分子側と高分子側のピーク位置や、Mw,Mnなどを制御しただけでは低温定着性と耐高温オフセット性を大幅に改良することは難しい。また、実施例に具体的に記載されているポリエステル樹脂は、重量平均分子量の値が4万乃至8万と小さく、Mw/Mnの値も13.3〜16.6と小さいことから、高分子量側の成分が少なく、耐高温オフセット性が不十分であり、さらなる改良が必要である。
【0004】
特開平9−204071号公報では、低温定着性,耐高温オフセット性を向上させる目的で、特定の酸価と水酸基価を有するポリエステル樹脂を使用し、トナーのテトラヒドロフラン可溶分のGPCによる分子量分布において、重量平均分子量が10万以上、重量平均分子量に対する数平均分子量の比(Mw/Mn)が35以上であり、低分子量、中分子量、高分子量の領域に分子量を分画し、各分画分子量の成分を特定の割合で含有するトナーが開示されている。これによれば、ある程度低温定着性、耐高温オフセット性、現像耐久性を満足するものが得られるが、各分画分子量の成分の割合を制御するだけでは、低温定着性、耐高温オフセット性を大幅に改良することは困難であり、特に、ゲル成分の様な超高分子量領域の成分と低分子量領域の成分の混合性について考慮していない為、これまで以上に優れた性能を得るには改善の余地がある。
【0005】
特開平5−88403号公報では、重量平均分子量10000〜200000、数平均分子量1000〜10000であり、1×107以上の分子量域の成分を5〜15質量%含有し、THF不溶分を含まないバインダー樹脂を用いたトナーについて提案されている。しかし、この樹脂の重量平均分子量は小さく、さらに分子量1万に対して、分子量5万、10万、100万のピーク高さの比が規定されておらず、クロマトグラムの形状が制御されていない為、優れた低温定着性、耐高温オフセット性、現像耐久性を得るには不充分である。
【0006】
特開2000−162821,162822,187356,187357,242042号公報では、分子量100万と1万、10万と1万に相当する位置の相対強度の比を規定したポリエステル樹脂を用いたトナーについて開示されている。しかし、開示されているトナーの分子量10万と1万に相当する位置の相対強度の比は0.1〜0.4であり、この範囲では分子量1万に対して分子量10万が多すぎ、低温定着性を改良しにくい。
【0007】
特開2000−242042号公報では、分子量10万と1万に相当する位置の相対強度の比が0.1〜0.4であるポリエステル樹脂を用いたトナーについて開示されているが、分子量1万と10万の相対強度比を設定するだけでは不十分であるうえに、この強度比が0.1〜0.4の範囲では分子量1万に対して分子量10万が多すぎ、低温定着性を改良しにくい。
【0008】
特開平10−60104号公報や特開平10−69126号公報には、テトラヒドロフラン(THF)不溶分が5質量%以下であり、かつTHF可溶分の1×106以上の超高分子量体の割合、1×105以上の高分子量体の割合、1×104未満の領域の低分子量体の割合と1×104以上1×105未満の中分子量体の割合を規定したトナー用ポリエステル樹脂について開示されている。しかし、このように各分画分子量の成分量を規定するだけでは、定着性能を制御することが難しく、特に分子量1万と5万、10万、100万のピーク高さの比については全く記載が無く、さらには、低分子量体と高分子量体の混合性については考慮されていない為、低温定着性と耐高温オフセット性、現像性を高度なレベルでバランスをとることが出来ない。
【0009】
特開平9−251216号公報には、1×103以上8×103以下の領域に分子量の極大値を有し、Mw/Mnが20以上200以下であり、樹脂全体に占める分子量1×105以下の割合が80質量%以上であり、3価以上の多価カルボン酸及び/又は3価以上の多価アルコールを含有することを特徴とする電子写真トナー用ポリエステル系樹脂について開示されている。これによれば確かに非オフセット温度幅の広いトナーを得ることができるが、更なる低温定着性の改良のためには分子量1×105以下の割合を制御するだけでは不十分であり、分子量1万と5万、10万、100万のピーク高さの比を規定し、クロマトグラムの形状をコントロールすることが必要である。
【0010】
特開平9−251217号公報や特開平11−24312号公報には、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを使用したポリエステル樹脂を含有するトナーについて開示されている。しかし、該ポリエステル樹脂はテトラヒドロフラン不溶分を含まないことを特徴としているため、耐高温オフセット性や現像性を高いレベルで満足させることは難しい。
【0011】
特開平5−27478号公報には、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを使用したトナーバインダー用ポリエステル樹脂が開示されている。
【0012】
また、特開2000−242030号公報には、多価カルボン酸成分と多価ポリオール成分とからなるポリエステル樹脂で、多価ポリオール成分の少なくとも一部が3価以上のノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルであり、THF不溶分が0.1〜20質量%である樹脂を含むトナーに関して開示されている。
【0013】
これら発明によれば、確かに低温定着性や耐高温オフセット性は改良されるものの、THF可溶分の分子量分布について充分に考慮されていない為、トナー中にTHF不溶分を含有させた場合に充分な混合性が得られず、トナー中に空玉が存在して現像スジなどが発生しやすい。
【0014】
以上の種々の問題点をより良好に解決したトナーが待望されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のごとき問題点を解決したトナーを提供することにある。
【0016】
すなわち、本発明の目的は、現像耐久性、ハーフトーン画像の低温定着性、耐高温オフセット性に優れ、定着巻きつきが発生せず、かつ、低分子量成分と高分子量成分の混合性に優れた現像スジの発生しないトナー、及びこのようなトナーを用いるプロセスカートリッジを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナーにおいて、
該結着樹脂はポリエステル樹脂を含有し、
該トナーはテトラヒドロフラン(THF)不溶分を結着樹脂基準で10〜40質量%含有し、
該トナーのTHF可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したクロマトグラムにおいて、分子量5000〜1万の領域にメインピークを有し、分子量5万におけるピーク高さと分子量1万におけるピーク高さの比が0.02〜0.2であり、分子量10万におけるピーク高さと分子量1万におけるピーク高さの比が0.01〜0.1であり、分子量100万におけるピーク高さと分子量1万におけるピーク高さの比が0.01〜0.1であり、重量平均分子量(Mw)が20万以上であることを特徴とするトナーに関する。
【0018】
更に本発明は、トナーを有する現像装置と、像担持体、帯電部材、またはクリーニング部材からなる群より選択される部材を少なくとも一つ有しており、画像形成装置に着脱自在のプロセスカートリッジであって、上記構成のトナーを用いることを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
ポリエステル樹脂の低分子量領域の成分を多く含有させることで低温定着性が、高分子量領域の成分を多く含ませることで耐高温オフセット性が向上することは周知であり、従来の技術はこれらの成分の割合を制御することで低温定着性と耐高温オフセット性のバランスをとろうと試みられてきた。
【0020】
高分子量成分においては、できるだけ分子量の高い成分を少量含ませることが低温定着性を阻害せずに耐高温オフセット性を高められるので好ましく、特にTHF不溶分のような超高分子量成分(ゲル成分)を含むものが定着巻きつきを改善する上で重要であるが、低分子量成分と超高分子量成分のように分子量が大きく異なるポリエステル樹脂の成分を均一に混合することは困難である。これは、超高分子量成分と低分子量成分を溶融混練によりトナー中に均一に混合させようとすると、両者の溶融状態での粘度差が非常に大きく、溶融粘度の低い低分子量成分と溶融粘度の高い高分子成分の分子間での絡み合いを作りにくいからである。
【0021】
その結果、トナー中でゲル成分の偏析や分離が起こり易く、また、ワックス成分や着色剤などのトナー材料の分散状態も悪化させやすいので、現像性や耐高温オフセット性、耐巻きつき性を悪化させる原因となる。さらには、溶融混練で均一に混合されずに偏析、分離してしまったゲル成分には、着色剤などのトナー材料が入り込みにくい。そのうえ、偏析、分離したゲル成分は機械的強度も高く粉砕されにくい為、トナー粒子よりも粒径が大きく、粒子中にトナー材料を含まない『空玉(からだま)』と呼ばれる樹脂粒子としてトナー中に存在してしまう可能性が高い。この空玉は、トナー材料を含まない為に、現像機内で現像されずに残って濃縮され、耐久後半に現像スジや画像濃度低下などの画像欠陥の原因となる。
【0022】
そこで本発明者らが検討したところ、定着巻きつきを起こさず、優れたハーフトーン定着性、耐高温オフセット性、現像耐久性を得て、さらに空玉を無くす為には、トナーのTHF不溶分量と、THF可溶分のGPCクロマトグラムの、特定分子量のピーク高さの比を制御することが必要であることを見出した。
【0023】
具体的には、トナー中にTHF不溶分を結着樹脂基準で10〜40質量%含有し、トナーのTHF可溶分をGPCにより測定したクロマトグラムにおいて、分子量5000〜1万の領域にメインピークを有し、分子量5万におけるピーク高さと分子量1万におけるピーク高さの比が0.02〜0.2であり、分子量10万におけるピーク高さと分子量1万におけるピーク高さの比が0.01〜0.1であり、分子量100万におけるピーク高さと分子量1万におけるピーク高さの比が0.01〜0.1であり、重量平均分子量(Mw)が20万以上であることが必要である。
【0024】
溶融粘度が大きく異なる分子量1万以下の低分子量成分と超高分子量成分であるTHF不溶分を均一に分散させるには、両者の中間の分子量である分子量100万、10万、5万の成分をつなぎ成分として含有させる必要があり、これら各分子量の成分を分子量1万の成分に対して一定の割合で含有させることで、低分子量成分とTHF不溶分の混合性が格段に向上することがわかった。この理由としては、分子量100万の成分は不溶分の溶融粘度に、分子量5万の成分は1万以下の成分の溶融粘度に近い粘度をそれぞれ有し、分子量10万の成分は100万や5万の成分の中間的な粘度を有する為、溶融粘度が大きく異なる分子量1万以下の低分子量成分と超高分子量成分であるTHF不溶分の溶融粘度の差を段階的に解消する働きをし、低分子量成分中に不溶分を均一に、安定した状態で分散させやすくする為と考えられる。しかしながら、分子量5万、10万の成分は低温低着性や耐高温オフセット性を改良する効果は少ないので、混合性を満足させる必要最低限の量を含有させることが必要であることも分かった。また、分子量100万の成分は多すぎると低温低着性を阻害するうえに、耐高温オフセット性の改良に対してもゲル成分の効果の方が支配的であるため、やはり必要最低限の量を含有させる必要がある。
【0025】
つまり、トナーのTHF可溶分としては分子量1万から5万にかけて急激にピーク高さが低くなり、しかもその低くなったピーク高さが高分子量領域まで大きく変化せずに、分子量100万以上の領域まで続くようなクロマトグラムをもつものが、THF不溶分との混合性に優れることが分かったのである。
【0026】
これはつまり、単純に分子量を分画し、各分画分子量の存在割合を規定するような従来の技術とは樹脂設計の思想が異なり、より精密な分子量分布の制御が必要であることを示している。
【0027】
従来技術において、THF可溶分の分子量を分画し、各分画分子量の存在割合を規定するのは、それにより低温低着性や耐高温オフセット性などのバランスを取る為に行われている。そのため、低分子量成分とTHF不溶分という超高分子量成分とをトナー中に均一に混合するという点において充分な性能を有しておらず、空玉による現像スジなどの問題が発生しやすい。
【0028】
分子量5万と1万のピーク高さの比や、分子量10万と1万のピーク高さの比を制御することは、低温定着性と混合性のバランスをとるうえで非常に重要である。分子量5万と1万のピーク高さの比が0.2より大きかったり、分子量10万と1万のピーク高さの比が0.1より大きかったりする場合、分子量10万以下の分子量分布がブロードであることを示している。そのため、トナーの溶融速度が遅くなり、低温定着性が悪化する。分子量5万と1万のピーク高さの比が0.02より小さかったり、分子量10万と1万のピーク高さの比が0.01より小さかったりする場合は、分子量10万以下の分子量分布がシャープであり、低温定着性には有利に働くが、高分子量成分と低分子量成分の溶融粘度差を解消する働きが小さくなるので、混合性が悪くなり、空玉が生じて現像スジが発生したり、耐高温オフセット性が悪化したり、現像性が悪化したりする。
【0029】
また、分子量100万と分子量1万におけるピーク高さの比は、耐高温オフセット性を確保しつつ、ゲル成分と低分子成分の混合性を高めるうえで重要な指標となる。
【0030】
分子量100万と分子量1万におけるピーク高さの比が0.1より大きい場合は、溶融粘度の高い成分の割合が多くなりすぎ、低温定着性が悪化する。分子量100万と分子量1万におけるピーク高さの比が0.01より小さいと、逆に溶融粘度の高い成分の割合が少なすぎてゲル成分と低分子量成分の混ざりが悪くなり、空玉が発生しやすくなったり、耐高温オフセット性や現像性が悪化したりする。
【0031】
メインピークのピークトップ分子量が5000より小さいと、定着時にトナーの溶融粘度が低くなりすぎ耐高温オフセット性が悪化する。また、トナーの機械的強度が弱くなり現像性が悪化する。メインピークのピークトップ分子量が1万より大きいと定着加熱時のトナーの溶融速度が遅くなり、低温定着性が悪化する。
【0032】
さらに、上記クロマトグラム形状を有しつつ、重量平均分子量(Mw)が20万(好ましくは50万)以上であることが重要である。THF可溶分のMwが20万以上であるということは、分子量が非常に大きくてTHFに可溶な成分を有していることを示す。このような成分はゲル成分の溶融粘度と非常に近い溶融粘度を持ち、また低分子成分との混合性にも優れる為、空玉を発生させにくくし、耐高温オフセット性や巻きつき性、さらには現像性をも向上させる。
【0033】
Mwが20万未満では耐高温オフセット性や巻きつき性、現像性が悪化する。
【0034】
本発明のトナーは、THF不溶分を結着樹脂基準で10〜40質量%含有することが重要である。トナーのTHF可溶分の分子量分布を上述のように制御した場合、THF不溶分のように巨大な分子であってもトナー中に均一に混合させることが可能となり、耐巻きつき性や耐高温オフセット性を高めることができるうえに、トナーの機械的な強度が増し、現像機内での負荷に強い、現像耐久性に優れたトナーを得られる。また、耐高温オフセット性が良くなることでさらに低分子量成分を増やすこともでき、より低温から高温まで定着可能な定着温度領域の広いトナーを得ることも可能になる。THF不溶分が10質量%より少ないと耐巻きつき性や耐高温オフセット性が悪化する。40質量%より多いと、低温定着性を阻害したり、トナー化時の混練の負荷が高くなりすぎて、その他の材料の分散が悪くなり、現像性を悪化させる。
【0035】
本発明のトナーは、THF可溶分をGPCにより測定したクロマトグラムにおいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、Mw/Mnが20以上(より好ましくは50以上)であることが好ましい。Mw/Mnが20より大きいことでゲル成分と低分子成分の混合性をさらに高めることが出来、耐巻きつき性や耐高温オフセット性、現像性を向上させる。
【0036】
本発明では、低分子量成分と高分子量成分の混合性をさらに改良する為に、z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比、Mz/Mwが30以上、より好ましくは50以上であることが望ましい。本発明では、THF可溶で、できるだけ分子量の高い成分を少量含ませることが混合性を良くするという観点で好ましく、その存在状態はMw/Mzで表現できる。Mz/Mwが30(好ましくは50)以上の場合に、より優れた低分子量成分とゲル成分の混合性が得られ、結果として良好な耐巻きつき性や耐高温オフセット性、現像耐久性を発揮し、空玉も減少する。
【0037】
さらに本発明では、トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて、分子量10万以下の領域の成分の分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であることが好ましい。分子量10万以下のMw/Mnを小さくし、低分子量領域の分子量分布をシャープにすることで、現像性を悪化させやすい超低分子量成分の比率を減らすことができ、より高い現像耐久性が得られる。また、現像性に悪影響がないので、低分子量成分をさらに増やして低温定着性を向上させることも可能になる。
【0038】
本発明で用いる結着樹脂は、メインピーク分子量が5000〜1万であり、THF不溶分を0乃至3質量%含有し、分子量10万以上の成分を0乃至5質量%含有する低分子量ポリエステル成分を含有していることが好ましい。このような低分子量ポリエステル成分を含有させることで、トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムの形状を制御しやすくなる。
【0039】
また、低温定着性を阻害しやすいTHF不溶分を3質量%以下、分子量10万より大きな成分を5質量%以下含有する低分子量ポリエステル成分を結着樹脂に含有させることで、低温定着性を改良することが可能となる。
【0040】
特に、該低分子量ポリエステルの分子量分布(Mw/Mn)を3.0以下とすると、結着樹脂に多量の低分子量ポリエステルを含有させても現像性を悪化させない為、高い現像耐久性を維持しながら低温定着性を大幅に改良できる。
【0041】
さらに、本発明で用いる結着樹脂は、THF不溶分を20〜60質量%含有する、架橋ポリエステルを含有することが、耐高温オフセット性を高めるという観点で好ましい。THF不溶分が20質量%より少ない場合には耐オフセット性や現像耐久性に問題を生じやすく、60質量%より多い時には低分子量成分との混合性が悪化して空玉が発生したり、他のトナー材料の分散が悪化して現像性が悪化する恐れがある。
【0042】
また、該架橋ポリエステル成分はTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて、分子量5000〜1万の領域にメインピークを有することが好ましい。メインピーク分子量を低分子量成分と近くすることで、低温低着性を阻害しにくくなるうえに、トナーのTHF可溶分の分子量10万以下の成分の分子量分布がシャープになり易い。
【0043】
さらには、該架橋ポリエステルが三価以上の多価カルボン酸と三価以上の多価アルコールを含有していることがより好ましい。三価以上の多価カルボン酸や多価アルコールは、ポリエステルに架橋成分を持たせる為に使われるが、両方を使用して架橋成分を生成させることで、樹脂の酸価、水酸基価のバランスを取りやすくなる。その結果、トナーの帯電を安定させやすくなり、現像耐久性が良好になる。
【0044】
さらに、三価以上の多価アルコールがノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルである場合が、低温定着性を悪化させずに耐高温オフセット性を高めることができるため好ましい。ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを用いて生成された架橋成分は、架橋点と架橋点の間が長くなり(架橋点間分子量が大きくなり)、熱による分子運動の起こり易いフレキシブルな架橋体が生成されやすい為、低分子量成分との混合性が非常に優れている。そのため、空玉を発生させにくく、耐高温オフセット性や現像耐久性も向上する。
【0045】
さらに本発明で用いる結着樹脂は、低分子量ポリエステル成分と架橋ポリエステル成分が90:10〜30:70の質量比率で混合されたものであることが好ましい。これよりも低分子量ポリエステルの比率が多くなると、耐高温オフセット性や現像耐久性が悪化する可能性があり、少なくなると低温定着性が悪化する可能性がある。この比率で混合された時に、上述のトナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムの形状を達成しやすく、優れた低温定着性と耐高温オフセット性、および現像耐久性を得られやすい。特に三価以上の多価アルコールとしてノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを用いた架橋ポリエステル成分を使用した場合、少量のTHF不溶分でも耐高温オフセット性を高められるので、低分子量成分の比率を多くすることが出来、耐高温オフセット性を維持しながら低温定着性をさらに改良できるので好ましい。
【0046】
本発明では、上記比率で低分子量ポリエステル成分と架橋ポリエステル成分を混合して使用することが好ましいが、架橋ポリエステル成分に含まれるTHF不溶分をトナー化でできるだけ剪断せず、トナー中にTHF不溶分として残すような製法が好ましい。
【0047】
トナー化時の混練工程では不溶分が剪断されて低分子化してしまいやすいので、混練機の温調を高く設定して、架橋ポリエステル成分が熱により軟化した状態で混練することが好ましい。この際、混練軸の回転数を通常よりも高めに設定することで、溶融した架橋ポリエステル成分と低分子量ポリエステル成分の混合性をより高めることができる。特に、三価以上の多価アルコールとしてノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを用いた架橋点間分子量の大きい架橋成分は、熱による分子運動が起こりやすく、軟らかい架橋成分である為、トナー化時の混練の負荷でも分子切断されにくく、しかも低分子成分との混合性が良いので、空玉や耐高温オフセット性、現像性に有利に働く。
【0048】
本発明に用いられるポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
【0049】
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(A)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0050】
【化1】
(式中Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
【0051】
また(B)式で示されるジオール類;
【0052】
【化2】
【0053】
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0054】
また架橋成分として働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
【0055】
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0056】
特に好ましい3価以上の多価アルコール成分として、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルが挙げられる。
【0057】
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルは、ノボラック型フェノール樹脂と分子中1個のエポキシ環を有する化合物との反応物である。
【0058】
ノボラック型フェノール樹脂としては、例えばエンサイクロベディア・オブ・ポリマーサイエンス・アンド・テクノロジー(インターサイエンス・パブリッシャーズ)第10巻1頁のフエノリツク・レジンズの項に記載されるように、塩酸、リン酸、硫酸などの無機酸又はパラトルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸又は酢酸亜鉛などの金属塩を触媒としてフェノール類とアルデヒド類からの重縮合により製造されるものが挙げられる。フェノール類としては、フェノールや炭素数1〜35の炭化水素基及び/又はハロゲン基を1個以上置換基として有する置換フェノールが挙げられる。置換フェノールの具体例としては、クレゾール(オルソ体、メタ体もしくはパラ体)、エチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、スチレン化フェノール、イソプロペニルフェノール、3−クロルフェノール、3−ブロムフェノール、3,5−キシレノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−ジクロルフェノール、2,4−ジクロルフェノール、3−クロル−5−メチルフェノ−ル、ジクロルキシレノール、ジブロムキシレノール、2,4,5−トリクロルフェノール、6−フェニル−2−クロルフェノール等が挙げられる。フェノール類は2種以上併用してよい。これらの中ではフェノール及び炭化水素基で置換された置換フェノールが好ましく、その中でも特にフェノール、クレゾール、t−ブチルフェノールおよびノニルフェノールが好ましい。フェノールとクレゾールは価格及びトナーの耐オフセット性を付与する点で好ましく、t−ブチルフェノール及びノニルフェノールに代表される炭化水素基で置換された置換フェノールはトナーの帯電量の温度依存性を小さくする点で好ましい。アルデヒド類としては、ホルマリン(各種濃度のホルムアルデヒド溶液)、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。ノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量は通常300〜8000、好ましくは450〜3000、更に好ましくは400〜2000である。
【0059】
ノボラック型フェノール樹脂中の数平均のフェノール類の核体数は通常3〜60、好ましくは3〜20、更に好ましくは4〜15である。また軟化点(JISK2531;環球法)は、通常40〜180℃、好ましくは40〜150℃、更に好ましくは50〜130℃である。軟化点が40℃未満では常温でブロッキングし取り扱いが困難となる。また軟化点が180℃を超えるとポリエステル樹脂の製造過程でゲル化を引き起こし好ましくない。
【0060】
分子中1個のエポキシ環を有する化合物の具体例としてはエチレンオキサイド(EO)、1,2−プロピレンオキサイド(PO)、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等を挙げることができる。また炭素数1〜20の脂肪族1価アルコールもしくは1価フェノールのグリシジルエーテルも使用できる。これらの中ではEOおよび/またはPOが好ましい。ノボラック型フェノール樹脂1モルに対する、分子中1個のエポキシ環を有する化合物の付加モル数は通常1〜30モル、好ましくは2〜15モル、更に好ましくは2.5〜10モルであり、またノボラック型フェノール樹脂中のフェノール性水酸基1個に対する分子中1個のエポキシ環を有する化合物の平均付加モル数は通常0.1〜10モル、好ましくは0.1〜4モル、更に好ましくは0.2〜2モルである。
【0061】
本発明で特に好ましく用いられるノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの構造を例示する。
【0062】
【化3】
(式中Rはエチレンまたはプロピレン基であり、xは0以上の数で、y1〜y3は0以上の同一又は異なった数である。)
【0063】
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの数平均分子量は通常300〜10000、好ましくは350〜5000、更に好ましくは450〜3000である。数平均分子量が300未満ではトナーの耐オフセット性が充分でなく、10000を超えるとポリエステル樹脂の製造過程でゲル化を引き起こして好ましくない。
【0064】
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの水酸基価(アルコール性及びフェノール性水酸基の合計)は通常10〜550mgKOH/g、好ましくは50〜500mgKOH/g、更に好ましくは100〜450mgKOH/gである。また、水酸基価のうち、フェノール性水酸基価は通常0〜500mgKOH/g、好ましくは0〜350mgKOH/g、更に好ましくは5〜250mgKOH/gである。
【0065】
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの製法を例示すると、必要により触媒(塩基性触媒又は酸性触媒)の存在下、ノボラック型フェノール樹脂に分子中1個のエポキシ環を有する化合物を付加反応させることにより得られる。反応温度は通常20〜250℃、好ましくは70〜200℃であり、常圧下、又は加圧下、更には減圧下においても行うことができる。また反応は溶媒(例えばキシレン、ジメチルホルムアミドなど)あるいは他の2価アルコール類及び/又は他の3価以上のアルコール類の存在下で行うこともできる。
【0066】
また、本発明における三価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;次式
【0067】
【化4】
(式中Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレン基)
で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。なかでも、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸およびこれらの無水物、低級アルキルエステルが好ましい。
【0068】
本発明に用いられるアルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。また三価以上の多価の成分は、全成分中の5〜60mol%であることが好ましい。
【0069】
該ポリエステル樹脂は通常一般に知られている縮重合によって得られる。ポリエステル樹脂の重合反応は通常触媒の存在下150〜300℃、好ましくは170〜280℃程度の温度条件下で行われる。また反応は常圧下、減圧下、もしくは加圧下で行うことができるが、所定の反応率(例えば30〜90%程度)に到達後は反応系を200mmHg以下、好ましくは25mmHg以下、更に好ましくは10mmHg以下に減圧し、反応を行うのが望ましい。
【0070】
上記触媒としては、通常ポリエステル化に用いられる触媒、例えばスズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;およびこれら金属含有化合物(ジブチルスズオキサイド、オルソジブチルチタネート、テトラブチルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸コバルト、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモンなど)が挙げられる。反応物の性質(例えば酸価、軟化点等)が所定の値に到達した時点、あるいは反応機の攪拌トルクまたは攪拌動力が所定の値に到達した時点で反応を停止させることによって本発明のポリエステル樹脂を得ることができる。
【0071】
本発明のトナーは、ワックス成分を含有してもよい。
【0072】
本発明で用いるワックスは、DSCで測定される昇温時の吸熱ピークにおいて最大吸熱ピークのピークトップ温度が70〜120℃(好ましくは90〜110℃)であることが良い。この温度範囲にピークトップ温度を有するワックスと上述のGPCクロマトグラムを有するトナーとの組み合わせが、定着時のトナー表面へのワックスの溶け出しがはやく、低温定着性や耐高温オフセット性に効果を発揮しやすいので好ましい。
【0073】
本発明に用いられるワックスには次のようなものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは更に長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0074】
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
【0075】
これらのワックスは、結着樹脂100質量部に対して1〜10質量部含有されていることが好ましく、特に、ポリエステル樹脂重合時にモノマーと一緒に反応槽に仕込むか、樹脂重合終了後、取り出し前の反応槽に温度がかかっている状態で添加して攪拌し、樹脂に分散させることが、樹脂中にワックスを均一に分散できるので好ましい。
【0076】
この際、特に好ましく用いられるワックスとして、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスが挙げられる。これらは、ポリエステル樹脂との反応性が小さいので、樹脂の重合を阻害したり、樹脂との反応によってワックスの効果が変化したりすることが少ない。
【0077】
さらに本発明のトナーは、磁性体を結着樹脂100質量部に対して30〜200質量部含有する、磁性トナーであることが好ましい。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。
【0078】
本発明に用いられる磁性体としては、マグネタイト,マグヘマイト,フェライト等の酸化鉄;鉄,コバルト,ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム,コバルト,銅,鉛,マグネシウム,マンガン,セレン,チタン,タングステン,バナジウムのような金属の合金及びその混合物が用いられ、その磁性体表面あるいは内部に非鉄元素を含有するものが好ましい。
【0079】
本発明に用いられる磁性体は、異種元素を含有するマグネタイト,マグヘマイト,フェライト等の磁性酸化鉄及びその混合物が好ましく用いられる。
【0080】
中でもリチウム,ベリリウム,ボロン,マグネシウム,アルミニウム,シリコン,リン,ゲルマニウム,チタン,ジルコニウム,錫,鉛,亜鉛,カルシウム,バリウム,スカンジウム,バナジウム,クロム,マンガン,コバルト,銅,ニッケル,ガリウム,カドミウム,インジウム,銀,パラジウム,金,水銀,白金,タングステン,モリブデン,ニオブ,オスミウム,ストロンチウム,イットリウム,テクネチウム,ルテニウム,ロジウム,ビスマスから選ばれる少なくとも一つ以上の元素を含有する磁性酸化鉄であることが好ましい。特にリチウム,ベリリウム,ボロン,マグネシウム,アルミニウム,シリコン,リン,ゲルマニウム,ジルコニウム,錫,第4周期の遷移金属元素が好ましい元素である。これらの元素は酸化鉄結晶格子の中に取り込まれても良いし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれても良いし、表面に酸化物あるいは水酸化物として存在しても良い。また、酸化物として含有されているのが好ましい形態である。
【0081】
また、場合により、本発明の磁性トナーに用いる磁性酸化鉄は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、チタネート、アミノシラン等で処理しても良い。
【0082】
本発明のトナーは、キャリアと併用して二成分現像剤として用いることができ、二成分現像方法に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものがすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物などの平均粒径20〜300μmの粒子が使用される。
【0083】
また、それらキャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂等の物質を付着または被覆させたもの等が好ましく使用される。
【0084】
本発明のトナーに使用し得る着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料があげられる。トナーの着色剤としては、例えば顔料としてカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは定着画像の光学濃度を維持するのに必要充分な量が用いられ、樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部の添加量が良い。また同様の目的で、更に染料が用いられる。例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜10質量部の添加量が良い。
【0085】
本発明のトナーには、荷電制御剤を含有させることが好ましい。トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
【0086】
例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0087】
また、次に示した一般式(1)で表わされるアゾ系金属錯体が好ましい。
【0088】
【化5】
〔式中、Mは配位中心金属を表わし、Sc、Ti、V、Cr、Co、Ni、Mn、Fe等があげられる。Arはアリール基であり、フェニル基、ナフチル基などがあげられ、置換基を有してもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アニリド基および炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基などがある。X,X’、Y,Y’は−O−、−CO−、−NH−、−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。A+は水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、脂肪族アンモニウムあるいはなしを示す。〕
【0089】
特に、中心金属としてはFe又はCrが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
【0090】
あるいは、次の一般式(2)に示した塩基性有機酸金属錯体も負帯電性を与えるものであり、本発明に使用できる。
【0091】
【化6】
【0092】
特に、中心金属としてはFe,Cr,Si,Zn,Alが好ましく、置換基としてはアルキル基、アニリド基、アリール基、ハロゲンが好ましく、カウンターイオンは水素、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。
【0093】
そのうちでも、式(1)で表されるアゾ系金属錯体がより好ましく、とりわけ、下記式(3)で表されるアゾ系鉄錯体が最も好ましい。
【0094】
【化7】
【0095】
次に、該錯体の具体例を示す。
【0096】
【化8】
【0097】
【化9】
【0098】
トナーを正荷電性に制御するものとして下記の物質がある。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。また、一般式(4)
【0099】
【化10】
〔式中、R1はH又はCH3を示し、R2及びR3は置換または未置換のアルキル基(好ましくは、C1〜C4)を示す〕
で表わされるモノマーの単重合体;前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
【0100】
特に下記一般式(5)で表わされる化合物が本発明の構成においては好ましい。
【0101】
【化11】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基または、置換もしくは未置換のアリール基を表し、R7、R8及びR9は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表し、A-は、硫酸イオン、硝酸イオン、ほう酸イオン、りん酸イオン、水酸イオン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機りん酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほう酸イオン又はテトラフルオロボレートから選択される陰イオンを示す。]
【0102】
電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0103】
本発明のトナーに流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ等があり、無機微粉末としては、酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等がある。
【0104】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0105】
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包合する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0106】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
【0107】
【0108】
更には、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
【0109】
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応或いは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0110】
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメトリジメチルクロロシラン、α−クロロエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。更に、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種或いは2種以上の混合物で用いられる。
【0111】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0112】
トナーを作製するには、結着樹脂を少なくとも含有する混合物が材料として用いられるが、必要に応じて磁性体やワックス、荷電制御剤、その他の添加剤等が用いられる。これらの材料をヘンシェルミキサー又はボールミルの如き混合機により十分混合してから、ロール、ニーダー及びエクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に、ワックスや磁性体を分散せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。本発明のトナーの製造方法は、状況に応じて以下の製造装置を用いることができる。
【0113】
トナー製造装置としては、例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)が挙げられ、分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラッシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボジェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
【0114】
本発明のトナーを画像形成に用いる際、上述の如きトナーを有する現像装置と像担持体(感光ドラム等)、帯電部材、クリーニング部材などの構成要素のうち、複数のものを装置ユニットとして一体に結合してプロセスカートリッジを構成し、このプロセスカートリッジを装置本体に対して着脱可能に装着して使用するのも好ましい形態の一つである。例えば、帯電部材及び現像装置を感光ドラムとともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱可能な単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱可能に装着される構成にすることができる。
【0115】
トナーのTHF可溶分の分子量及び分子量分布、THF不溶分の含有量、ワックス成分のピークトップ温度の測定法は以下に示すとおりである。
【0116】
(1)トナーのTHF可溶分の分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0117】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。トナーをTHFに分散し溶解後、1晩静置した後、0.2μmフィルターで濾過し、その濾過を試料として用いる。試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整したトナーのTHF溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102,2.1×103,4×103,1.75×104,5.1×104,1.1×105,3.9×105,8.6×105,2×106,4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0118】
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのが良く、昭和電工社製のshodex KF−801,802,803,804,805,806,807の7連カラムの組合せが好ましい。
【0119】
(2)THF不溶分量
ポリエステル樹脂又はトナーを秤量し、円筒ろ紙(例えばNo.86Rサイズ28×10mm 東洋ろ紙社製)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてTHF200mlを用いて、16時間抽出する。このとき、THFの抽出サイクルが約4〜5分に1回になるような還流速度で抽出を行う。抽出終了後、円筒ろ紙を取り出し、秤量することによってポリエステル樹脂又はトナーの不溶分を得る。
【0120】
トナーが樹脂成分以外の磁性体又は顔料の如き、THF不溶分を含有している場合、円筒ろ紙に入れたトナーの質量をW1gとし、抽出されたTHF可溶樹脂成分の質量をW2gとし、トナーに含まれている樹脂成分以外のTHF不溶成分の質量をW3gとすると、トナー中の樹脂成分のTHF不溶分の含有量は下記式から求められる。
THF不溶分(質量%)=〔(w1−(w3+w2))/(w1−w3)〕×100
【0121】
ソックスレー抽出装置の一例を図1に示す。容器1に入っているTHF2はヒーター8で加熱され気化し、気化したTHFは管7を通って冷却器5に導かれる。冷却器5は、冷却水6で常時冷却されている。冷却器5で冷却されて液化したTHFは円筒ろ紙3を有する貯留部にたまり、THFの液面が中管4よりも高くなると、貯留部からTHFが容器1に排出される。円筒ろ紙に入っているトナーは循環するTHFによって抽出処理される。
【0122】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。
【0123】
[結着樹脂製造例]
これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、分子量10万以上の成分を含まない低分子量ポリエステル樹脂a(Tg56℃、ピーク分子量Mp=7200、THF不溶分0%、Mn=4300、Mw/Mn=1.5)を得た。
【0124】
これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、分子量10万以上の成分を2質量%含有する低分子量ポリエステル樹脂b(Tg57℃、ピーク分子量Mp=9600、THF不溶分0%、Mn=4800、Mw/Mn=3.7)を得た。
【0125】
これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、分子量10万以上の成分を8質量%含有する低分子量ポリエステル樹脂c(Tg58℃、ピーク分子量Mp=5400、THF不溶分0%、Mn=3900、Mw/Mn=6.8)を得た。
【0126】
これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、分子量10万以上の成分を含まない、低分子量ポリエステル樹脂d(Tg57℃、ピーク分子量Mp=13500、THF不溶分0%、Mn=5300、Mw/Mn=2.1)を得た。
【0127】
これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、高分子量ポリエステル樹脂e(Tg56℃、ピーク分子量Mp=7700、THF不溶分34質量%)を得た。
【0128】
これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、高分子量ポリエステル樹脂f(Tg58℃、ピーク分子量Mp=12100、THF不溶分41質量%)を得た。
【0129】
これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、高分子量ポリエステル樹脂g(Tg55℃、ピーク分子量Mp=9800、THF不溶分28質量%)を得た。
【0130】
・式(A)で表わされるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基でx+y=2.2) 70質量部これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、高分子量ポリエステル樹脂h(Tg57℃、ピーク分子量Mp=8100、THF不溶分64質量%)を得た。
【0131】
これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、高分子量ポリエステル樹脂i(Tg57℃、ピーク分子量Mp=13900、THF不溶分15質量%)を得た。
【0132】
<実施例1>
・低分子量ポリエステル樹脂a 60質量部
・高分子量ポリエステル樹脂e 40質量部
・磁性酸化鉄(球状、粒径0.2μm) 100質量部
・アゾ系鉄化合物(1) 2質量部
上記原材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、150℃、250rpmに設定した二軸混練押し出し機によって混練した。得られた混練物を冷却しカッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた粉砕機を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均径6.8μmの負帯電性磁性トナーを得た。
【0133】
このトナー100質量部に負帯電性疎水性シリカ1.0質量部をヘンシェルミキサーで外添混合しトナー1を得た。トナー1のTHF不溶分量及び可溶成分のGPC分子量分布の測定結果を図2に、解析結果を表2に示す。
【0134】
定着試験、巻きつき試験、現像耐久試験、空玉による現像スジの評価結果を表3に示す。
【0135】
[定着試験]
キヤノン製レーザービームプリンタ:LASER SHOT LBP−950の定着器を取り出し、定着装置の定着温度を任意に設定できるようにし、プロセススピードを160mm/secとなるようにした外部定着器を用いた。この定着器は、上ローラー表層にゴムなどの弾性層を持たないハードローラーと呼ばれる定着器構成であり、定着のニップを長くしにくいために、特にハーフトーンの低温定着性について厳しい評価ができる。この外部定着器を110〜240℃の温度範囲で5℃おきに温調し、それぞれの温度で普通紙(75g/m2)紙を用いたハーフトーン(600dpi、横線ライン画像の1ドット2スペース)未定着画像の定着を行い、得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着温度とした。この温度が低いほど低温定着性に優れたトナーである。
【0136】
耐高温オフセット性については、上記定着試験で未定着画像としてベタ黒画像(紙上のトナー現像量を0.6mg/cm2に設定)を用い、画像上のオフセット現象による汚れを目視で確認し、発生した温度を耐高温オフセット性とした。
この温度が高いほど高温オフセット性に優れたトナーである。
【0137】
[耐巻きつき性]
キヤノン製カラーレーザービームプリンタ:COLOR LASER SHOT LBP−2160の定着器を取り出し、定着装置の定着温度を200℃に設定し、プロセススピードを50mm/secとなるようにした外部定着器を用いた。この定着器は、上ローラー表層にゴム層を持つソフトローラーと呼ばれる定着器構成であり、特にトナーの定着巻きつき性について厳しい評価ができる。ベタ黒未定着画像(紙上のトナー現像量を0.8mg/cm2に設定)を通紙して評価した。
A(優) :加熱ローラーへの巻き付きは発生しない。
B(普通):加熱ローラーに少し転写紙が巻き付くように排出される。
C(悪い):加熱ローラに転写紙が巻き付く。
【0138】
[現像耐久試験]
市販のレーザービームプリンタLaserJet 4000(A4、16枚/分:Hewlett Packard社製)を用いて、A4サイズの画像面積率5%の原稿でA4サイズの75g/m2の転写紙に常温常湿(23℃,50% RH)環境で5000枚の画出し試験を行ない、試験後のベタ黒画像の画像濃度の測定を行った。画像濃度はマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して反射濃度の測定を行い、5点平均で算出した。
【0139】
また、トナー中の空玉による現像スジの影響を評価する為、5000枚の画出し試験後に600dpiで1ドット2スペースの横線パターンのハーフトーン画像の出力を行ない、画像から以下のような基準で評価した。
A(優) :スジは発生しない。
B(普通):画像上に5本未満の軽微な現像スジがある。
C(悪い):画像上に5本以上の現像スジがある。
【0140】
<実施例2〜7及び比較例1〜2>
表1に示した樹脂構成にする以外は実施例1と同様にして、トナー2〜9を得た。
【0141】
評価結果を表3に示す。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
【表3】
【0145】
【発明の効果】
本発明によれば、現像耐久性、ハーフトーン画像の低温定着性、耐高温オフセット性に優れ、定着巻きつきが発生せず、かつ、低分子量成分とゲル成分のような超高分子量成分の混合性に優れた現像スジの発生しないトナーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ソックスレー抽出に使用する抽出装置の概略的説明図である。
【図2】実施例1で得られたトナー1のTHF可溶分のGPCチャートを示す。
Claims (14)
- 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナーにおいて、
該結着樹脂はポリエステル樹脂を含有し、
該トナーはテトラヒドロフラン(THF)不溶分を結着樹脂基準で10〜40質量%含有し、
該トナーのTHF可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したクロマトグラムにおいて、分子量5000〜1万の領域にメインピークを有し、分子量5万におけるピーク高さと分子量1万におけるピーク高さの比が0.02〜0.2であり、分子量10万におけるピーク高さと分子量1万におけるピーク高さの比が0.01〜0.1であり、分子量100万におけるピーク高さと分子量1万におけるピーク高さの比が0.01〜0.1であり、重量平均分子量(Mw)が20万以上であることを特徴とするトナー。 - 該トナーのTHF可溶分をGPCにより測定したクロマトグラムにおいて、重量平均分子量(Mw)が50万以上であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 該トナーのTHF可溶分をGPCにより測定したクロマトグラムにおいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、Mw/Mnが20以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
- 該トナーのTHF可溶分をGPCにより測定したクロマトグラムにおいて、z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比、Mz/Mwが30以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーのTHF可溶分をGPCにより測定したクロマトグラムにおいて、z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比、Mz/Mwが50以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて、分子量10万以下の領域の成分の分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
- 該結着樹脂は、メインピーク分子量が5000〜1万であり、0乃至3質量%のTHF不溶分を有し、分子量10万以上の成分を0乃至5質量%有する低分子量ポリエステル成分を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
- 該低分子量ポリエステル成分のMw/Mnが3.0以下であることを特徴とする請求項7に記載のトナー。
- 該結着樹脂は、THF不溶分を20〜60質量%含有する、架橋ポリエステル成分を含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
- 該架橋ポリエステル成分は、THF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて、分子量5000〜1万の領域にメインピークを有することを特徴とする請求項9に記載のトナー。
- 該架橋ポリエステル成分が三価以上の多価カルボン酸と三価以上の多価アルコールを含有していることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のトナー。
- 該三価以上の多価アルコールがノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルであることを特徴とする請求項11に記載のトナー。
- 該結着樹脂は、低分子量ポリエステル成分と架橋ポリエステル成分が90:10〜30:70の質量比率で混合されたものであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーは、磁性体を結着樹脂100質量部に対して30〜200質量部含有する、磁性トナーであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のトナー。
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