JP2003278739A - クランクシャフト及びエンジン - Google Patents

クランクシャフト及びエンジン

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JP2003278739A JP2002082775A JP2002082775A JP2003278739A JP 2003278739 A JP2003278739 A JP 2003278739A JP 2002082775 A JP2002082775 A JP 2002082775A JP 2002082775 A JP2002082775 A JP 2002082775A JP 2003278739 A JP2003278739 A JP 2003278739A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】くさび効果を効果的に発生させることにより油
膜切れを生じさせないクランクシャフトを提供する。 【解決手段】主軸受により回転自在に軸支されたクラン
クジャーナル3と、コンロッド4の大端部が回転自在に
連結されたクランクピン1と、クランクジャーナル3と
クランクピン1とを連結するクランクアーム2とを有す
るクランクシャフトにおいて、クランクピン1は、断面
形状が非真円形であって、この断面形状と軸受5との間
の軸受隙間の最小位置が、クランクジャーナル3の回転
中心と軸受5の中心とを結ぶ軸線上にないことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クランクシャフト
及びこれを備えたエンジンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】エンジンに用いられるクランクシャフト
は、ピストンの往復運動をコンロッドを介して回転運動
に変えるためのものである。具体的には、まずピストン
の往復運動がコンロッドに伝達される。そして、コンロ
ッドの大端部に滑り軸受を介して連結されたクランクシ
ャフトのクランクピンがクランクジャーナルを中心に回
転することによりクランクシャフト全体が回転する。
【0003】ここで、一般に4ストロークエンジンは、
吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程の4工程
で1サイクルの作用を完了する。その際、クランクピン
に高荷重がかかる位置は各工程毎に異なる。例えば、圧
縮上死点では、爆発力によりクランクピンの上側(ピス
トン側)、すなわち図10におけるB点に高荷重がかか
る。また、吸気下死点および排気下死点でも、慣性力に
よりクランクピンの上側(ピストン側)、すなわち図1
0におけるB点に高荷重がかかる。吸気上死点の場合
は、慣性力によりクランクピンの下側(ピストンの反対
側)、すなわち図10におけるA点に高荷重がかかる。
【0004】このように、各工程により荷重がかかる位
置がクランクピンの上側(ピストン側)や下側(ピスト
ンの反対側)に変化する。これに伴ってクランクピンと
滑り軸受との間の軸受隙間に介在する油膜の厚さが変化
する。特に、吸気上死点におけるA点および吸気下死点
等におけるB点では、高荷重がかかることにより油膜切
れが生じるおそれがある。油膜切れが生じると、クラン
クピンとコンロッドの大端部の軸受との摩擦抵抗が増大
し、その結果パワーロスが増加することになる。このパ
ワーロスとは、クランクピンとコンロッドの大端部の軸
受の抵抗、すなわち流体損失である。より具体的には、
回転による流体抵抗であるせん断ロスと、軸心が振れる
ことにより生じる流体の圧縮によるロスであるスクイズ
ロスとの和である。一般に、パワーロスが小さい程、燃
費が良くなる。なお、コンロッドの大端部に取付けられ
た軸受およびクランクピンの断面形状は真円形状であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年の更なる燃費向上
の要請に伴い、クランクシャフトによるパワーロスの減
少が求められている。そこで、パワーロス増加の一因で
あるクランクピンとコンロッドの大端部に取付けられた
滑り軸受との間の油膜切れが生じないようにすることが
求められる。
【0006】そこで、本発明は、このような事情に鑑み
て為されたものであり、クランクピンとコンロッドの大
端部に取付けられた軸受との間の油膜切れを生じさせな
いクランクシャフトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者はこの
課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、
クランクピンの断面形状を非真円形状とすることを思い
つき、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明のクランクシャフトは、
クランクジャーナルと、クランクピンと、クランクアー
ムとからなる。そして、クランクピンは、断面形状が非
真円形であって、この断面形状と滑り軸受との間の軸受
隙間の最小位置が、クランクジャーナルの回転中心と滑
り軸受の中心とを結ぶ軸線上にないことを特徴とする。
なお、クランクピンは、コンロッド(滑り軸受)が固定
されたと仮定した場合、ほぼ滑り軸受の中心まわりに回
転する。ここで、クランクジャーナルは、主軸受により
回転自在に軸支されている。クランクピンは、コンロッ
ドの大端部が滑り軸受を介して回転自在に連結されてい
る。また、クランクアームは、クランクジャーナルとク
ランクピンとを連結するものである。
【0009】つまり、クランクピンの断面形状を非真円
形状とする。これにより、排気工程から吸気工程、そし
て圧縮工程と進むときに、コンロッドの大端部に取付け
られた軸受に高荷重がかかる位置とクランクピンの位相
を一致させることができる。その結果、適切な油膜厚さ
を得ることができる。
【0010】そして、クランクピンの断面形状と滑り軸
受との間の軸受隙間の最小位置(以下、最小隙間位置」
という)が、クランクジャーナルの回転中心と滑り軸受
の中心とを結ぶ軸線(以下、「中心軸線」という)上に
ある場合には、油膜切れが生じるおそれがある。なぜな
ら、上死点または下死点において、コンロッドの大端部
に取付けられた滑り軸受に高荷重がかかる位置と最小隙
間位置が一致することによるものである。つまり、クラ
ンクピンとコンロッドの大端部に取付けられた軸受との
間が最も狭い位置に高荷重がかかるためである。なお、
吸気上死点のときには、最小隙間位置がピストンの反対
側にあることになる。また、圧縮上死点、吸気下死点お
よび排気下死点のときには、最小隙間位置がピストン側
にあることになる。
【0011】従って、最小隙間位置が中心軸線上にない
ように、最小隙間位置の設定をすることで、油膜切れを
効果的に防止できる。その結果、パワーロスを減少させ
ることができる。
【0012】また、軸受隙間の最小位置(最小隙間位
置)と滑り軸受の中心とを結ぶ軸線と、クランクジャー
ナルの回転中心と滑り軸受の中心とを結ぶ軸線(中心軸
線)とのなす角は、クランクジャーナルの回転方向と反
対方向へ90度以下であると良い。
【0013】つまり、上死点または下死点のときに、最
小隙間位置がクランクジャーナルの回転方向に対して遅
れ側にあることになる。一例として、圧縮上死点の場合
について説明する。この場合、コンロッドの大端部に取
付けられた滑り軸受に高荷重がかかる位置はピストン側
である。そして、クランクピンが反時計回りに回転する
場合、最小隙間位置はピストン側から時計回り方向へ9
0度以内の位置にあることになる。ここで、高荷重がか
かる位置にある潤滑油にくさび効果が発生する。すなわ
ち、高荷重がかかる位置にくさび効果が発生して高圧と
なると共に、十分な軸受隙間、すなわち油膜厚さが確保
される。これにより、油膜切れを防止でき、パワーロス
が減少する。
【0014】また、軸受隙間の最小位置(最小隙間位
置)は、滑り軸受の中心に対してクランクジャーナルか
ら遠い側に位置すると良い。この場合には、圧縮上死点
にて効果的にくさび効果を発生させることができる。
【0015】また、軸受隙間の最小位置(最小隙間位
置)は、滑り軸受の中心に対してクランクジャーナルに
近い側に位置すると良い。この場合には、吸気上死点、
吸気下死点、排気下死点にて、効果的にくさび効果を発
生させることができる。特に、これらの位置の場合に
は、油膜切れが生じやすいため、油膜切れ防止に効果的
である。さらに、排気下死点から吸気上死点、さらには
吸気下死点へ進むときには、最小隙間位置は、高荷重が
かかる位置からある位相だけ遅れた位置に常に存在する
ことになる。このことにより、くさび効果を適切に得る
ことができる。
【0016】また、本発明のクランクシャフトのクラン
クピンは、断面形状がだ円形であって、断面形状のだ円
形の長軸と滑り軸受との間の軸受隙間の最小位置が、ク
ランクジャーナルの回転中心と滑り軸受の中心とを結ぶ
軸線(中心軸線)上にないことを特徴とする。
【0017】断面形状をだ円とした場合にも、上述の非
真円形状の場合と同様の効果がある。すなわち、高荷重
がかかる位置に長軸がないので十分な油膜厚さが確保さ
れて油膜切れを起こすことがなく、さらにくさび効果に
より油膜切れを防止できる。その結果、パワーロスを減
少させることができる。これは、上述の非真円形状の最
小隙間位置が、だ円の長軸位置に相当するからである。
【0018】また、クランクピンの断面形状のだ円形の
長軸と、クランクジャーナルの回転中心と滑り軸受の中
心とを結ぶ軸線(中心軸線)とのなす角は、クランクジ
ャーナルの回転方向と反対方向へ90度以下であると良
い。
【0019】この場合も上述の非真円形状の場合と同様
の効果がある。すなわち、高荷重がかかる位置でくさび
効果がより効果的に働くので、油膜切れをより防止でき
る。その結果パワーロスを減少させることができる。
【0020】また、本発明のエンジンは、クランクジャ
ーナルとクランクピンとを有するクランクシャフトと、
コンロッドとを備えており、クランクピンは、断面形状
が非真円形であって、断面形状と滑り軸受との間の軸受
隙間の最小位置(最小隙間位置)が、クランクジャーナ
ルの回転中心と滑り軸受の中心とを結ぶ軸線(中心軸
線)上にないことを特徴とする。なお、クランクピンは
コンロッド(滑り軸受)が固定されたと仮定した場合、
ほぼ滑り軸受の中心まわりに回転する。ここで、クラン
クジャーナルと、クランクピンと、コンロッドとについ
ては、上述と同様である。
【0021】これにより、最小隙間位置が中心軸線上に
ないように最小隙間位置の設定をすることで、油膜切れ
を効果的に防止できる。その結果、パワーロスを減少さ
せることができる。
【0022】また、軸受隙間の最小位置と滑り軸受の中
心とを結ぶ軸線と、クランクジャーナルの回転中心と滑
り軸受の中心とを結ぶ軸線とのなす角は、クランクジャ
ーナルの回転方向と反対方向へ90度以下であること良
い。
【0023】これにより、油膜切れをより効果的に防止
でき、パワーロスをより減少させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、実施形態を挙げ、本発明を
より詳しく説明する。
【0025】一般に、クランクシャフトは、ピストンの
往復運動をコンロッドを介して回転運動に変えるための
ものである。そして、爆発工程でピストンが得た力を回
転力に変換して動力を発生し、他の工程(吸気工程、圧
縮工程、排気工程)では逆にピストンを動かして吸入、
圧縮、排気を行っている。このクランクシャフトは、ク
ランクジャーナルと、クランクピンと、クランクアーム
とからなる。クランクジャーナルは、クランクケースの
主軸受部でクランクシャフト自身を支えるものである。
クランクピンは、滑り軸受が取付けられたコンロッドの
大端部と連結されている。そして、クランクアームは、
クランクジャーナルとクランクピンを連結するものであ
る。また、本実施形態においては、4ストロークエンジ
ンの場合について説明する。一般に4ストロークエンジ
ンとは、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程
の4工程で1サイクルの作用を完了するエンジンであ
る。
【0026】(第1実施形態)次に、本発明の特徴的部
分であるクランクピンの断面部分を図1に示す。図1に
示すように、クランクピン1の断面形状はだ円形をして
いる。このクランクピン1にクランクアーム2を介して
クランクジャーナル3に連結されている。また、コンロ
ッド4の大端部の滑り軸受5(以下、単に「軸受」とい
う)の断面形状は真円である。そして、コンロッド4の
小端部がピストン6に連結されている。なお、図1は、
上死点における図である。
【0027】次に、クランクピン1の断面形状を変化さ
せた場合に、クランクピン1によるパワーロスについて
の解析を行った。まず、解析条件としてのクランクピン
1の断面形状は、図2に示す3種類である。すなわち、
直径40mmの真円のクランクピンaと、真円のクラン
クピンaの垂直方向に約10μm大きいだ円断面形状
(以下「ふくれだ円」という)のクランクピンbと、約
10μm小さいだ円断面形状(以下「つぶれだ円」とい
う)のクランクピンcである。なお、これらは上死点に
おける断面形状である。
【0028】それぞれの断面形状のクランクピン1を4
ストロークエンジンに用いた場合のパワーロスを解析し
た結果を図3に示す。図3は、真円のクランクピンaの
パワーロスを「1」とした場合において、ふくれだ円の
クランクピンbおよびつぶれだ円のクランクピンcのパ
ワーロスを示す。図3から分かるように、ふくれだ円の
クランクピンbは真円のクランクピンaよりパワーロス
が大きくなっている。つぶれだ円のクランクピンcは真
円のクランクピンaよりパワーロスが小さくなってい
る。
【0029】次に、ふくれだ円のクランクピンbおよび
つぶれだ円のクランクピンcの傾斜角度を変更した場合
におけるパワーロスについて解析を行った。この傾斜角
度については図4を参照して説明する。上死点における
クランクジャーナル3の回転中心からクランクピン1の
回転中心を結ぶ軸線(中心軸線)を0度とする。そし
て、クランクピン1の回転中心に対するクランクピン1
の回転方向への角度を傾斜角度αとする。本解析では、
クランクピン1の傾斜角度αを0度から180度まで回
転させた場合について行った。この解析結果を図5に示
す。図5(a)はふくれだ円の場合であって、図5
(b)はつぶれだ円の場合である。図5(a)から明ら
かなように、ふくれだ円の場合は、傾斜角度αが約15
0度の位置を中心に真円のクランクピンに比べてパワー
ロスが減少している。また、図5(b)から明らかなよ
うに、つぶれだ円の場合は、傾斜角度αが約30度の位
置を中心に真円のクランクピンに比べてパワーロスが減
少している。
【0030】以上の解析結果より、だ円の長軸が、中心
軸線とのなす角がクランクピン1の回転方向と反対方向
へ90度以下の場合に、パワーロスが減少していること
が分かる。なお、図3に示す解析結果において、ふくれ
だ円の場合にパワーロスが増加しているが、これはだ円
の長軸と中心軸線とが一致している場合である。すなわ
ち、この場合には、高荷重がかかる位置とだ円の長軸の
位置とが一致していることになる。つまり、クランクピ
ン1とコンロッドの大端部に取付けられた軸受5との隙
間が最も少ない位置に高荷重がかかるためことによるも
のである。
【0031】次に、さらに図6を用いて考察してみる。
図6に示すように、クランクピン1の断面形状をだ円と
し、コンロッドの大端部に取付けられた軸受5を真円と
する。また、図6には、クランクピン1の断面形状と軸
受5との間の軸受隙間の最小位置(最小隙間位置)をR
として示している。
【0032】クランクジャーナル3が反時計まわりに回
転するエンジンの上死点において、クランクピン1の断
面形状のだ円の長軸と、中心軸線とのなす角βがクラン
クピン1の軸受5に対する回転方向と反対方向(以下、
単に「クランクピン1の回転方向」という)へ45度の
場合とする。この場合に、軸受5に対するクランクピン
1の回転方向を反時計まわりであるので、くさび効果に
より潤滑油が高圧となる領域は、領域xおよび領域yと
なる。
【0033】続いて、各工程毎に図7を参照して説明す
る。まず、吸気上死点の場合は、高荷重がかかる位置は
ピストンの反対側(A点)となる。そのため、領域yは
クランクピン1と軸受5により圧縮され、さらに高圧と
なる。A点ではクランクピン1と軸受5との間の軸受隙
間が十分に確保されているため、油膜切れを防止でき
る。
【0034】また、圧縮上死点の場合は、高荷重がかか
る位置はピストン側(B点)となる。そのため、領域x
はクランクピン1と軸受5により圧縮され、さらに高圧
となる。B点ではクランクピン1と軸受5との間の軸受
隙間が十分に確保されているため、油膜切れを防止でき
る。
【0035】また、吸気下死点および排気下死点の場合
は、高荷重がかかる位置はピストン側(A点)となる。
すなわち、図6に示す状態を半回転した場合であるの
で、領域yがピストン側となる。そのため、領域yはク
ランクピン1と軸受5により圧縮され、さらに高圧とな
る。A点ではクランクピン1と軸受5との間の軸受隙間
が十分に確保されているため、油膜切れを防止できる。
【0036】また、一般に、排気工程、吸気工程および
圧縮工程は特に油膜切れを生じやすいことは解析により
分かっている。そして、排気工程から吸気工程へ、さら
には圧縮工程へ進んでいく場合には、高荷重の位置がか
かる位置がピストン側とピストンの反対側に180度変
化することになる。この場合に、コンロッド4の大端部
に取付けられた軸受に高荷重がかかる位置とクランクピ
ン1の断面形状のだ円の長軸の位相をほぼ一致させるこ
とができる。すなわち、だ円の長軸の位置が、高荷重が
かかる位置からある位相だけ遅れた位置に存在すること
になる。従って、くさび効果を適切に得ることができ
る。
【0037】(第2実施形態)次に、本発明の特徴的部
分であるクランクピンの断面部分を図8(a)(b)に
示す。図8に示すように、クランクピン1の断面形状は
つぶれだ円と真円とを組み合わせた非真円形をしてい
る。具体的には、図8(a)に示すクランクピン1の断
面形状は、図2におけるつぶれだ円cの上半分と真円a
の下半分とを組み合わせた形状である。図8(b)は、
図8(a)のクランクピン1をクランクピン1の回転方
向へ45度ずらしたものである。また、コンロッドの大
端部の軸受5の断面形状は真円である。なお、図8は、
上死点における図であり、クランクピン1は軸受5に対
して反時計まわりに回転する。
【0038】まず、図8(b)の場合について説明す
る。クランクピン1の断面形状のつぶれだ円c側の軸受
隙間の最小位置(最小隙間位置)Rは、真円a側とのつ
なぎ目である。クランクジャーナルから遠い側(上死点
にてピストン側)では、最小隙間位置Rと軸受5の中心
とを結ぶ軸線と、クランクジャーナル3の回転中心と軸
受5の中心とを結ぶ軸線(中心軸線)とのなす角βは、
クランクピン1の回転方向と反対方向へ45度である。
この場合には、B点における軸受隙間、すなわち油膜厚
さが十分に確保されると共に、くさび効果により領域x
が高圧となる。
【0039】すなわち、第1実施形態におけるクランク
ピン1の断面形状を一部変更したものに相当する。具体
的には、断面形状のつぶれだ円cの長軸と真円aの直径
とを一致させたものに相当する。このことより、図8
(a)における領域xに発生するくさび効果は、図6の
領域xに発生するくさび効果と同様の効果を有すること
になる。
【0040】つまり、圧縮上死点の場合には、高荷重が
かかる位置はピストン側となる。そのため、領域xはク
ランクピン1と軸受5により圧縮され、さらに高圧とな
る。B点では軸受隙間が十分に確保されたいるため、油
膜切れを防止できる。
【0041】(第3実施形態)第3実施形態について図
9に示す。図9(a)〜(d)はそれぞれ図8と同様
に、上死点における図であり、クランクピン1は軸受5
に対して反時計まわりに回転する。
【0042】図9に示すように、クランクピン1の断面
形状は、ふくれだ円と真円とを組み合わせた非真円形を
しておる。より具体的には、図2におけるふくれだ円b
の上半分と真円aの下半分とを組み合わせた形状であ
る。すなわち、クランクピン1の断面形状は、ふくれだ
円bの短軸と真円aの直径とを一致させた形状である。
そして、上死点において、図9(a)では、左側にふく
れだ円b、右側に真円aが位置している。また、図9
(c)では、左側に真円a、右側にふくれだ円bが位置
している。また、図9(b)は図9(a)のクランクピ
ン1がクランクピン1の回転方向に約30度進んだ位置
に位置している。また、図9(d)は図9(b)のクラ
ンクピン1がクランクピン1の回転方向に約30度遅れ
た位置に位置している。
【0043】つまり、図9(a)〜(d)に示すクラン
クピン1の断面形状では、圧縮上死点において高荷重が
かかるB点で軸受隙間、すなわち油膜厚さが従来(断面
形状が真円)と同程度に確保されると共に、くさび効果
により領域xが高圧となる。また、吸気上死点、吸気下
死点および排気下死点では、高荷重がかかるA点で軸受
隙間、すなわち油膜厚さが従来(断面形状が真円)と同
程度に確保されると共に、くさび効果により領域yが高
圧となる。
【0044】
【発明の効果】本発明のクランクシャフトによれば、軸
受隙間を十分に確保することができると共に、効果的に
くさび効果を発生させることができるため、油膜切れを
防止できる。その結果、パワーロスを減少させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クランクピンとコンロッドとピストンの配置を
示す図である。
【図2】クランクピンの断面形状を変化させる解析の解
析条件を示す図である。
【図3】解析結果を示す図である。
【図4】傾斜角度を説明する図である。
【図5】傾斜角度を変更した場合の解析結果を示す図で
ある。
【図6】上死点におけるクランクピンと軸受の位置関係
を示す図である。
【図7】4ストロークエンジンの各工程におけるクラン
クピンの位置を示す図である。
【図8】クランクピンの断面形状を示す図である。
【図9】クランクピンの断面形状を示す図である。
【図10】従来のクランクピンを示す図である。
【符号の説明】
1 ・・・ クランクピン 2 ・・・ クランクアーム 3 ・・・ クランクジャーナル 4 ・・・ コンロッド 5 ・・・ 軸受 6 ・・・ ピストン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊東 直樹 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 Fターム(参考) 3J011 AA07 BA02 CA04 JA02 KA02 MA02 NA01 3J033 AA02 AA05 CA02 GA01 GA11 GA12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主軸受により回転自在に軸支されたクラン
    クジャーナルと、コンロッドの大端部が滑り軸受を介し
    て回転自在に連結されたクランクピンと、該クランクジ
    ャーナルと該クランクピンとを連結するクランクアーム
    とを有するクランクシャフトにおいて、 前記クランクピンは、 断面形状が非真円形であって、 前記断面形状と前記滑り軸受との間の軸受隙間の最小位
    置が、前記クランクジャーナルの回転中心と前記滑り軸
    受の中心とを結ぶ軸線上にないことを特徴とするクラン
    クシャフト。
  2. 【請求項2】前記軸受隙間の最小位置と前記滑り軸受の
    中心とを結ぶ軸線と、前記クランクジャーナルの回転中
    心と前記滑り軸受の中心とを結ぶ軸線とのなす角は、前
    記クランクジャーナルの回転方向と反対方向へ90度以
    下であることを特徴とする請求項1記載のクランクシャ
    フト。
  3. 【請求項3】前記軸受隙間の最小位置は、前記滑り軸受
    の中心に対して前記クランクジャーナルから遠い側に位
    置することを特徴とする請求項2記載のクランクシャフ
    ト。
  4. 【請求項4】前記軸受隙間の最小位置は、前記滑り軸受
    の中心に対して前記クランクジャーナルに近い側に位置
    することを特徴とする請求項2記載のクランクシャフ
    ト。
  5. 【請求項5】主軸受により回転自在に軸支されたクラン
    クジャーナルと、コンロッドの大端部が滑り軸受を介し
    て回転自在に連結されたクランクピンと、該クランクジ
    ャーナルと該クランクピンとを連結するクランクアーム
    とを有するクランクシャフトにおいて、 前記クランクピンは、 断面形状がだ円形であって、 前記断面形状のだ円形の長軸と前記滑り軸受との間の軸
    受隙間の最小位置が、前記クランクジャーナルの回転中
    心と前記滑り軸受の中心とを結ぶ軸線上にないことを特
    徴とするクランクシャフト。
  6. 【請求項6】前記断面形状のだ円形の長軸と、前記クラ
    ンクジャーナルの回転中心と前記軸受隙間の中心とを結
    ぶ軸線とのなす角は、前記クランクジャーナルの回転方
    向と反対方向へ90度以下であることを特徴とする請求
    項5記載のクランクシャフト。
  7. 【請求項7】主軸受により回転自在に軸支されたクラン
    クジャーナルと、該クランクジャーナルにクランクアー
    ムを介して連結されたクランクピンとを有するクランク
    シャフトと、 該クランクピンに滑り軸受を介して回転自在に連結され
    たコンロッドと、を備えたエンジンにおいて、 前記クランクピンは、 断面形状が非真円形であって、 前記断面形状と前記滑り軸受との間の軸受隙間の最小位
    置が、前記クランクジャーナルの回転中心と前記滑り軸
    受の中心とを結ぶ軸線上にないことを特徴とするエンジ
    ン。
  8. 【請求項8】前記軸受隙間の最小位置と前記滑り軸受の
    中心とを結ぶ軸線と、前記クランクジャーナルの回転中
    心と前記滑り軸受の中心とを結ぶ軸線とのなす角は、前
    記クランクジャーナルの回転方向と反対方向へ90度以
    下であることを特徴とする請求項7記載のエンジン。
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