JP2003277342A - ポリエステルマクロモノマーおよびその製造方法 - Google Patents

ポリエステルマクロモノマーおよびその製造方法

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拓也 前田
Minoru Kashiwagi
實 栢木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエステル樹脂廃棄物の再利用を可能と
し、工業的に利用できるポリエステルマクロモノマーを
提供すること。 【解決手段】 次の式(1)の構造を有するポリエステ
ルマクロモノマーであって: 【化1】 ここで、nは、1〜50の整数であり、Xは、重合可能
な官能基または水素(ただし、両末端に同時に水素が付
加される場合を除く)であり、R1は、グリコール残基
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルマク
ロモノマーおよびその製造方法に関する。さらに、本発
明は、ポリエステル樹脂廃棄物の再利用を可能とし、特
に、ポリエステル樹脂廃棄物を化学的に処理して工業的
に価値のある原料を得る方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】従来、製造されているポリエステルマク
ロモノマーとしては、ポリエステル部分がフタル酸とグ
リコールの縮合物、アジピン酸等脂肪族の二塩基酸とグ
リコールの縮合物、またはカプロラクトンの開環重合ポ
リマーであるものが用いられていた。
【0003】一般に芳香族ポリエステルの製造におい
て、そのグリコールとの反応性は、フタル酸が最も大き
く、次いでイソフタル酸、テレフタル酸の順に低下す
る。したがって、テレフタル酸のポリエステルが最も製
造し難くなるので、テレフタル酸を分子主鎖に有するポ
リエステルマクロモノマーの製造もまた最も困難とな
る。
【0004】従来、PETボトルやフィルム等のリサイ
クルとしては、熱で溶融して再成形するマテリアルリサ
イクルが主として行われている(R.J.Ehring
編著、プラスチックリサイクリング研究会訳、「プラス
チックリサイクリング−回収から再生まで−」、71
頁、工業調査会(1993))。しかし、着色樹脂また
は汚れが付着した樹脂の場合は、このリサイクル法では
商品価値が無い再生品しか得ることができないため行わ
れていない。さらにこの方法によると、50ppm以上
の水分は、再成形時に加水分解を起こし、分子量の低下
および物性の低下が生じてしまう。
【0005】また、PETボトルやフィルムのリサイク
ルとして、加水分解、メタノール分解、またはグリコー
ル分解等によりモノマーを回収し、この分解生成物をP
ETに再合成する技術が開発されている(「廃プラスチ
ック サーマル&ケミカル・リサイクリング」、201
頁、化学工業日報社(1994))。しかし、この方法
では、大部分においてオリゴマーが生成し、モノマーの
精製が困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、比
較的短時間にポリエチレンテレフタレート樹脂、特にそ
の廃棄物をグリコールで化学的に分解処理して、精製せ
ずに工業的に価値あるのある原料を得、この廃棄物の再
利用を図ろうとするものである。すなわち本発明は、ポ
リエステル樹脂廃棄物の分解生成物から得られるポリエ
ステルマクロモノマーおよびその製造方法を提供するも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のポリエステルマ
クロモノマーは、以下の式(1)または(2)の構造を
有し:
【0008】
【化4】
【0009】ここで、nは、1〜50の整数であり、R
1は、分解反応に用いたグリコールの残基であり、X
は、以下の化学式(3)〜(6)またはHからなる群よ
り選択され(ただし、同時に水素が付加される場合を除
く):
【0010】
【化5】
【0011】式(6)において、Yは、ジイソシアネー
トのイソシアネート基を除いた残基であり、Zは、以下
の化学式(7)〜(9)からなる群より選択され:
【0012】
【化6】
【0013】ここで、R’は、HまたはMeであり、
R’’は、−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、
−CH2CH2CH2CH2−およびそれらの混合物からな
る群より選択され、mは、1〜23の整数、好ましく
は、1〜8の整数である。
【0014】さらに本発明は、飽和ポリエステル樹脂ま
たはその廃棄物をグリコールで分解し、その分解生成物
を原料として、ビニルフェニレン基、アリル基、アクリ
ロイル基またはメタクリロイル基を分子の片末端または
両末端に有するポリエステルマクロモノマーを製造する
方法を提供する。
【0015】1つの実施形態において、飽和ポリエステ
ル樹脂またはその廃棄物をグリコールで分解して分解生
成物を得、この分解生成物を原料として、3−イソプロ
ペニル−α,α’−ジメチルベンジルアミド基、アリル
アミド基またはメタクリロイルオキシエチルアミド基を
有するポリエステルマクロモノマーを製造し得る。
【0016】別の実施形態において、飽和ポリエステル
樹脂をグリコールで分解して分解生成物を得、この分解
生成物に、3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベ
ンジルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチ
ルイソシアネートまたはアリルイソシアネートを反応さ
せて、3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジ
ル基、メタクリロイル基またはアリル基を末端に有する
ポリエステルマクロモノマーを製造し得る。
【0017】また別の実施形態において、飽和ポリエス
テル樹脂をグリコールで分解して分解生成物を得、この
分解生成物と、アクリロイル基またはメタクリロイル基
を分子内に有するアルコールとジイソシアネートとの反
応で得られる化合物とを付加反応することにより得られ
る、アクリロイル基またはメタクリロイル基末端のポリ
エステルマクロモノマーを製造し得る。
【0018】さらなる別の実施形態において、飽和ポリ
エステル樹脂をグリコールで分解して分解生成物を得、
この分解生成物に、メタクリル酸ハロゲン化物またはア
クリル酸ハロゲン化物を反応させ、メタクリロイル基末
端またはアクリロイル基末端のポリエステルマクロモノ
マーを製造し得る。
【0019】他の実施形態において、本発明は、触媒の
存在下または非存在下で、グリコールを用いて飽和ポリ
エステル樹脂を分解して分解生成物を得、そしてこの分
解生成物を原料として付加反応等を行い、ポリエステル
マクロモノマーを製造することができる、ポリエステル
樹脂およびその廃棄物の再利用法を提供する。
【0020】本発明のポリエステルマクロモノマーの製
造方法において、飽和ポリエチレン樹脂として、ポリエ
チレンテレフタラートが、好適に使用される。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明者らは、飽和ポリエステル
樹脂またはその廃棄物を破砕した後、100〜300℃
程度でグリコールにより分解して分解生成物を得、この
分解生成物を原料として用い、ポリエステルマクロモノ
マーを製造することにより、飽和ポリエステル樹脂廃棄
物の再利用を可能にする。
【0022】(ポリエステルマクロモノマー)一般に、
ポリエステルマクロモノマーとは、分子主鎖にエステル
構造を有し、分子量が約100〜20,000の範囲、
好ましくは、約300〜10,000の範囲で、その末
端に重合可能な官能基を有するオリゴマーまたはポリマ
ーをいう。ここで、重合可能な官能基とは、ビニル基、
ビニリデン基、ビニレン基、環状オレフィン、ジカルボ
ン酸、ジオール、ジアミン等が挙げられ、この官能基に
よりグラフト共重合体を得ることができる。
【0023】本発明のポリエステルマクロモノマーは、
次の式(1)または式(2)に基づく構造を有し、両末
端または片末端に重合可能な基Xとして、アクリロイル
基、メタクリロイル基およびビニル基などを有する官能
基を含む。
【0024】
【化7】
【0025】式(1)は、ポリエチレンテレフタラート
(PET)がグリコールで分解されて、OH基を末端に
有する分解生成物が得られ、次いで、この分解生成物
に、重合可能な官能基を有する、イソシアネート(スキ
ームI)あるいはカルボン酸ハロゲン化物(スキームI
I)が反応して生成したポリエステルマクロモノマーで
あり、ここで、R1は、分解に使用したグリコールの残
基である。式(2)は、分子主鎖のポリエステルの両末
端がテレフタレートで終結しているポリエステルマクロ
モノマーであり、グリコールによる分解によっては、式
(2)に基づく分子主鎖を有するポリエステルマクロモ
ノマーを得ることも可能である。式(1)または式
(2)において、nは、1〜50の整数、好ましくは、
1〜10の整数である。
【0026】
【化8】
【0027】本発明のポリエステルマクロモノマーにお
いて、ウレタン結合を介して重合可能な基Xを導入する
際、Xとして、以下の式(3)〜(6)が好適に使用さ
れる。エステル結合を介して重合可能な基を導入する場
合は、アクリル酸またはメタクリル酸などのカルボン酸
ハロゲン化物が好適に使用される。Xにおいて、式
(3)は、3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベ
ンジルアミド基であり、式(4)は、アリルアミド基で
あり、式(5)は、2−メタクリロイルオキシエチルア
ミド基であり、そして式(6)は、アクリロイル基また
はメタクリロイル基を分子内に有するアルコールとジイ
ソシアネートとの反応によって得た重合可能な基であ
る。
【0028】
【化9】
【0029】上記式(4)で示されるアリルアミド基に
おいて、アリル基として、不飽和炭化水素が使用され、
代表的にプロピレンが好適に使用される。式(6)にお
いて、Yは、ジイソシアネートのイソシアネート基を除
いた残基であり、Zは、以下の式(7)〜(9)で示さ
れる。式(7)〜(9)は、ジイソシアネートとの反応
に使用されるアルコールであり、ヒドロキシル基(−O
H)のHを除いた残基を示している。ここで、R’は、
HまたはMeであり、R’’は、−CH2CH2−、−C
2CH(CH3)−、−CH2CH2CH2CH2−および
それらの混合物からなる群より選択される。mは、1〜
23の整数、好ましくは、1〜8の整数である。
【0030】
【化10】
【0031】(製法)上記のポリエステルマクロモノマ
ーを製造するには次の方法で行なう。まず、飽和ポリエ
ステル樹脂またはその廃棄物に、破砕、必要ならば洗
浄、およびふるいに掛ける前処理を行なう。この破砕さ
れた飽和ポリエステル樹脂または廃棄物をグリコールに
混入し、飽和ポリエステル樹脂廃棄物の分解生成物を得
る。そしてこの分解生成物に少なくとも片末端に重合可
能な官能基を有する化合物を縮合反応させて、ポリエス
テルマクロモノマーを製造する。
【0032】本発明において、上記分解生成物中に更に
新しい飽和ポリエステル樹脂を加えて、飽和ポリエステ
ル樹脂を分解することも可能である。また分解生成物よ
り過剰のグリコールを分離することにより、飽和ポリエ
ステル樹脂を効率良くリサイクルできる。
【0033】(破砕)本発明のポリエステルマクロモノ
マーの製造において、飽和ポリエステル樹脂の破砕は、
衝撃式破砕機(ハンマー式、チェーン式)、せん断式破
砕機、切断式破砕機、圧縮式破砕機(ロール式、コンベ
ア式、スクリュ式)、スタンプミル、ボールミル、ロッ
ドミル粉砕機等により行なう。破砕物の大きさは小さい
方が好ましく、目の開き20mmのふるいを通る物が好
適である。好ましくは10mm、更に好ましくは5mm
のふるいを通る破砕物が使用される。
【0034】(グリコールによる分解の条件)飽和ポリ
エステル樹脂をグリコールで分解する際の温度は、通常
100℃〜300℃の範囲、好ましくは150℃〜28
0℃の範囲である。この分解温度範囲において、飽和ポ
リエステル樹脂の分解速度は速く、効率的にポリエステ
ルマクロモノマーを製造し得る。そして分解反応は、窒
素雰囲気下および酸化防止剤存在下で行なうことによ
り、酸化反応による着色等が防止できる。本発明では、
大気圧下または加圧下で分解を行なうこともできる。な
お分解反応に低沸点グリコールを用いて、このグリコー
ルの沸点以上の温度で分解反応を行なう場合は、加圧下
で行なう。
【0035】本発明においては、飽和ポリエステル樹脂
の分解は、触媒の存在下でも非存在下でも行なうことが
できるが、触媒の存在下で行なうことが好ましい。ここ
で、触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、酢
酸亜鉛、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸マグネシウ
ム、酢酸カルシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウムな
どの酢酸金属塩、酸化アンチモン、トリブチル錫メトキ
シド、チタンアルコキシドおよびこれらの混合物などが
挙げられる。
【0036】(飽和ポリエステル樹脂)本発明において
使用し得る飽和ポリエステル樹脂としては、好ましく
は、ポリエチレンテレフタラートが使用され、ボトル、
フィルム、成型品に用いられるポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、および
ポリエチレンナフタレート(PEN)またはこれらの廃
棄物等も使用可能である。さらに、これらのバージンペ
レット等も利用し得る。
【0037】(グリコール)本発明において、グリコー
ルは、飽和ポリエステル樹脂またはその廃棄物を分解
し、分解生成物を得るために使用する。このグリコール
としては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ト
リプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、
ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、ビスフェ
ノールAエチレンオキシド付加物、トリシクロデカンジ
メタノールエチレンオキシド付加物、ジブロムネオペン
チルグリコールなどが挙げられる。
【0038】(飽和ポリエステル樹脂とグリコールとの
質量比)飽和ポリエステル樹脂(E)と、この飽和ポリ
エステルを分解するために用いるグリコール(G)の質
量比(E:G)は、1:0.2〜1:5、好ましくは
1:0.5〜1:2の範囲である。この質量比を変える
ことにより、分解生成物の分子量を調整し得る。グリコ
ールの混合量が少ないと分解生成物の平均分子量は大き
くなり、他方で、グリコールの混合量が多いと、分解生
成物の分子量は小さくなる。
【0039】(ウレタン結合を介する重合可能な基の導
入)本発明において、グリコールによる飽和ポリエステ
ル樹脂の分解生成物は、通常両末端にOH基を有する。
この分解生成物に、ウレタン結合を介して重合可能な基
を導入する場合は、イソシアネート化合物にグリコール
分解生成物を付加反応させることにより合成し得る。イ
ソシアネート化合物は、市販品である3−イソプロペニ
ル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネート
(3)、アリルイソシアネート(4)および2−メタク
リロイルオキシエチルイソシアネート(5)を使用で
き、さらに合成品としての、アクリロイル基またはメタ
クリロイル基を有するアルコールとジイソシアネート化
合物との反応で得られる化合物(6)も使用し得る。こ
の合成イソシアネート化合物は、アクリロイル基または
メタクリロイル基を有するアルコールとジイソシアネー
トとを1:1のモル比で反応させることにより得ること
ができる。この合成イソシアネート化合物の製造におい
て使用可能なジイソシアネートとしては、トルエンジイ
ソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4
−トリレンイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、4,4−フェニルメタンジイソシアネ
ート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙
げられる。この合成イソシアネートの製造において使用
可能なアルコールとしては、2−ヒドロキシエチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、ポリエチレングリ
コールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコール
モノメタクリレート等が挙げられる。
【0040】グリコール分解生成物とイソシアネートと
の反応は、有機溶媒中でかまたは溶媒なしで行なうこと
ができる。使用可能な有機溶媒としては、トルエン、ベ
ンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、テトラヒドロ
フラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、クロロホル
ム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒等が挙げられ、
これらの1種または2種以上を使用し得る。さらに、イ
ソシアネート化合物の反応性に応じて、ウレタン化触媒
の存在下で行ってもよく、また加熱下で反応を行っても
よい。ウレタン化触媒としては、通常のウレタン化反応
に用いられるものを使用し得、例えばジブチル錫ジラウ
リレート、ジブチル錫ジ−(2−エチルヘキソエート)
等の錫化合物、トリエチレンジアミン等のアミン類およ
びそれら2種類以上を組み合わせたものなどが挙げられ
得る。ウレタン化触媒を用いる場合、必要とされる添加
量は、通常水酸基に対して0.01〜1.0当量の範
囲、好ましくは0.05〜0.5当量の範囲である。イ
ソシアネート化合物の添加量は、グリコール分解生成物
の水酸基に対して0.5〜10モルの範囲、好ましくは
1.0〜2.0モルの範囲である。
【0041】(エステル結合を介する重合可能な基の導
入)本発明において、グリコールによる分解生成物にエ
ステル結合を介して末端に重合可能な基を導入する場合
は、塩基存在下でこの分解生成物にメタクリル酸ハロゲ
ン化物またはアクリル酸ハロゲン化物を反応させること
により合成することができる。使用し得るカルボン酸ハ
ロゲン化物は、グリコール分解生成物のヒドロキシル基
に対して0.5〜10当量の範囲、好ましくは1.0〜
2.0当量の範囲で混入する。使用可能な塩基として
は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等
の第三級アミン、またはピリジン等が挙げられる。これ
の塩基は、使用するカルボン酸ハロゲン化物に対して当
量以上で使用し得、好ましくは、カルボン酸ハロゲン化
物に対して1.0〜2.0当量である。
【0042】グリコール分解生成物とカルボン酸ハロゲ
ン化物の反応は、有機溶媒中で行い得る。使用可能な有
機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳
香族有機化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテ
ル等のエーテル類、またはクロロホルム、ジクロロメタ
ン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。この反応は加熱下
でも行い得るが、反応熱の問題のために、0℃〜30℃
程度、好ましくは0〜10℃行なうのがより好ましい。
【0043】(ポリエステルマクロモノマーの使用例)
本発明のポリエステルマクロモノマーは、重合開始剤の
存在下、必要ならば多官能モノマーを添加して、重合さ
せることができる。ポリエステルマクロモノマーは、分
子量3000以下の範囲において、均一系で、通常のモ
ノマーに近い反応性を有する。
【0044】本発明のポリエステルマクロモノマーは、
不飽和ポリエステルの架橋剤としても使用できる。不飽
和ポリエステルの重合性の炭素−炭素二重結合は通常ト
ランス体に異性化するためフマレート基である。このフ
マレート基のエステル部分は長鎖であるが、その重合性
はジイソプロピルフマレートとほぼ同じと考えられる。
ビニルモノマー(M1)およびジイソプロピルフマレー
ト(M2)のラジカル共重合におけるモノマー反応性比
を表1に示す。α−メチルスチレンの場合には、フマレ
ートに類似するものとしてマレイン酸無水物(M2)と
の共重合におけるモノマー反応性比を示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1から、メチルアクリレートおよびメチ
ルメタクリレート等のビニルモノマー(M1)とジイソ
プロピルフマレート(M2)のラジカル共重合モノマー
反応性比(r1,r2)が、大きく相違することが解る。
したがって、メタクリレートを末端に有するマクロモノ
マーを不飽和ポリエステルの架橋に用いる場合は、上記
モノマー反応性からスチレンまたはスチレンを末端に有
するマクロモノマーと併用することが、好ましい。そし
てアクリレートを末端に有するマクロモノマーの場合
は、単独でも使用可能であるが、スチレンまたはスチレ
ンを末端に有するマクロモノマーと併用するほうがよ
い。スチレンまたはα−メチルスチレンを末端に有する
マクロモノマーは単独で用いることができる。
【0047】次に、フマレート(M1)とジアリルフタ
レート(M2)のラジカル共重合のモノマー反応性比を
示す。
【0048】
【表2】
【0049】この表2より、フマレート(M1)とジア
リルフタレート(M2)のラジカル共重合モノマー反応
性比の積(r1×r2)が0に近いので共重合性が良くア
リル基を末端に有するポリエステルマクロモノマーも不
飽和ポリエステルの架橋に使用できることが解る。
【0050】これらのポリエステルマクロモノマーは、
コーティング剤、UV硬化インキ、光ディスク用コーテ
ィング剤、接着剤、塗料、フォトレジスト、プリント基
板用レジスト、感光性樹脂凸版、光重合歯科材料などと
して使用される。
【0051】本発明によるポリエチレンテレフタレート
マクロモノマーは、硬い塗膜を形成する。飽和ポリエス
テル樹脂のグリコール分解により分解生成物を得て、こ
れを原料として反応させ、高付加価値のポリエステルマ
クロモノマーを製造することができる。
【0052】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】以下の実施例では、通常はポリエステル樹
脂からなる飲料水ボトルを、ロータリーカッターミル、
(株)ホーライ製Granulaters U−140
によって粒径5mmに破砕した試料を用いた。また一部
の実施例ではポリエステル樹脂原料としてPETバージ
ンペレットを用いた。
【0054】(実施例1)粉砕した廃PET19.22
kgにトリプロピレングリコール20.13kg(モル
比1:1.5)を加え、240℃で2時間分解した。得
られた分解生成物について次の測定を行った。分解生成
物の酸価=9.16mgKOH/g、OH価(試料1k
g当たりのOH基のモル数)=6.6mol/kg、数
平均分子量=539、重量平均分子量=744。
【0055】得られた分解生成物2.0gに3−イソプ
ロペニル−α,α'−ジメチルベンジルイソシアネート
4.0g、ジブチル錫ジラウリレート832mg、トル
エン10mlを加え、80℃で3時間反応させた。次い
で、生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成
させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥し
て、生成物729mgを得た。生成物をTHFに溶解さ
せ、その溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml
/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結
果、数平均分子量=1878、重量平均分子量=200
7であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロ
モノマーの1HNMR分析を行ったところ、δ(pp
m):(5.0,brs)、(5.3,brs)にイソ
プロペニル基由来のシグナルが存在した。またδ(pp
m):(8.1,m)PETのベンゼン環に由来するシ
グナルとイソプロペニル基のシグナルの積分強度比を比
較することにより、これらは約1.3:1のモル比で存
在することが確認された。製造したポリエステルマクロ
モノマーにおいて、付加反応によって分子の末端に導入
した重合可能な基を表3中に示す。
【0056】(実施例2)実施例1に記載のグリコール
分解生成物2.0gに2−メタクリロイルオキシキシエ
チルイソシアネート3.0g、ジブチル錫ジラウリレー
ト832mg、トルエン10mlを加え、80℃で3時
間反応させた。生成物を過剰のメタノール中に投入し、
沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減
圧乾燥して、生成物336mgを得た。生成物をTHF
に溶解させ、その溶解物をGPC(溶媒:THF、流
速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分
析した結果、数平均分子量=1690、重量平均分子量
=1881であった。重水素化クロロホルムを用いて合
成マクロモノマーの1HNMR分析を行ったところ、δ
(ppm):(5.6,s)(6.1,s)にメタクリ
ロイル基由来シグナルが存在した。またδ(ppm):
(8.1,m)PETのベンゼン環に由来するシグナル
とメタクリロイル基のシグナルの積分強度比を比較する
ことにより、これらは約3:1のモル比で存在すること
が確認された。製造したポリエステルマクロモノマーに
おいて、付加反応によって分子の末端に導入した重合可
能な基を表3中に示す。
【0057】(実施例3)実施例1に記載のグリコール
分解生成物2.0gにアリルイソシアネート1.6g、
ジブチル錫ジラウリレート832mg、トルエン10m
lを加え、80℃で3時間反応させた。生成物を過剰の
メタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈
殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物287mg
を得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:TH
F、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基
準)分析した結果、数平均分子量=1599、重量平均
分子量=1735であった。重水素化クロロホルムを用
いて合成マクロモノマーの1HNMR分析を行ったとこ
ろ、δ(ppm):(5.1,m)(5.8,m)にア
リル基由来シグナルが存在した。またδ(ppm):
(8.1,m)のPETのベンゼン環に由来するシグナ
ルとアリル基のシグナルの積分強度比を比較することに
より、これらは約2.4:1のモル比で存在することが
確認された。製造したポリエステルマクロモノマーにお
いて、付加反応によって分子の末端に導入した重合可能
な基を表3中に示す。
【0058】(実施例4)PETペレット90gに1,
6−ヘキサンジオール53.1gを加え、260℃で2
時間分解した。得られた分解生成物について次の測定を
行った。分解生成物の酸価=2.8mgKOH/g、O
H価(OH基のモル数)=2.0mol/kg、数平均
分子量=1215、重量平均分子量=1503。
【0059】得られた分解生成物10.0gに3−イソ
プロペニル−α,α'−ジメチルベンジルイソシアネー
ト6.0g、ジブチル錫ジラウリレート1.26g、ト
ルエン100mlを加え、80℃で3時間反応させた。
生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させ
た。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生
成物7.7gを得た。生成物のTHF溶解物をGPC
(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポ
リスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=199
2、重量平均分子量=2207であった。重水素化クロ
ロホルムを用いて合成マクロモノマーの1HNMR分析
を行ったところ、δ(ppm):(5.0,brs)、
(5.3,brs)にイソプロペニル基由来のシグナル
が存在した。またδ(ppm):(8.1,m)のPE
Tのベンゼン環に由来するシグナルとイソプロペニル基
のシグナルの積分強度比を比較することによりこれらは
約2:1のモル比で存在していることが確認された。製
造したポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応
によって分子の末端に導入した重合可能な基を表3中に
示す。
【0060】(実施例5)実施例1で得られたグリコー
ル分解生成物2.0gにメタクリル酸クロリド1.5m
l、トリエチルアミン2.7ml、THF10mlを加
え、室温で一昼夜反応させた。生成物を過剰のメタノー
ル中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾
過し、次いで減圧乾燥して、生成物338mgを得た。
生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:
1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析し
た結果、数平均分子量=1619、重量平均分子量=2
119であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マ
クロモノマーの1HNMR分析を行ったところ、δ(p
pm):(5.6,s)、(6.1,s)にメタクリロ
イル基由来シグナルが存在した。またδ(ppm):
(8.1,m)のPETのベンゼン環に由来するシグナ
ルとメタクリロイル基のシグナルの積分強度比を比較す
ることによりこれらは約7.2:1のモル比で存在する
ことが確認された。製造したポリエステルマクロモノマ
ーにおいて、縮合反応によって分子の末端に導入した重
合可能な基を表3中に示す。
【0061】(実施例6)実施例1で得られたグリコー
ル分解生成物2.0gにアクリル酸クロリド1.3m
l、トリエチルアミン2.7ml、THF10mlを加
え、室温で一昼夜反応させた。生成物を過剰のメタノー
ル中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾
過し、次いで減圧乾燥して、生成物462mgを得た。
生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:
1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析し
た結果、数平均分子量=1688、重量平均分子量=2
209であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マ
クロモノマーの1HNMR分析を行ったところ、δ(p
pm):(5.9,m)、(6.1,m)、(6.4,
m)付近にアクリロイル基由来シグナルが存在した。ま
たδ(ppm):(8.1,m)のPETのベンゼン環
に由来するシグナルとアクリロイル基のシグナルの積分
強度比を比較することによりこれらは約2.7:1のモ
ル比で存在することが確認された。製造したポリエステ
ルマクロモノマーにおいて、縮合反応によって分子の末
端に導入した重合可能な基を表3中に示す。
【0062】(実施例7)PETペレット150gに
1,6−ヘキサンジオール88.5gを加え、260〜
265℃で2時間分解した。得られた分解生成物につい
て次の測定を行った。分解生成物の酸価=3.4mgK
OH/g、OH価(OH基のモル数)=3.0mol/
kg、数平均分子量=982、重量平均分子量=122
2。
【0063】イソホロンジイソシアネート2.2gに2
−ヒドロキシエチルアクリレート1.16g、ジブチル
錫ジラウリレート315mg、ヒドロキノン5mg、ト
ルエン20mlを加え、50〜60℃で1時間反応させ
た。反応混合物に上記PETグリコール分解生成物3.
3gを加え50〜60℃でさらに3時間撹拌した。生成
物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。
得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物
1.83gを得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶
媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリス
チレン基準)分析した結果、数平均分子量=2258、
重量平均分子量=2892であった。重水素化クロロホ
ルムを用いて合成マクロモノマーについて1HNMR分
析を行ったところ、δ(ppm):(5.8,d)、
(6.2,dd)、(6.4,d)付近にアクリロイル
基由来のシグナルが存在した。製造したポリエステルマ
クロモノマーにおいて、付加反応によって分子の末端に
導入した重合可能な基を表4中に示す。
【0064】(実施例8)イソホロンジイソシアネート
2.2gに2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.3
g、ジブチル錫ジラウリレート315mg、ヒドロキノ
ン5mg、トルエン20mlを加え、50〜60℃で1
時間反応させた。反応混合物に実施例7に記載のグリコ
ール分解生成物3.3gを加え50〜60℃でさらに3
時間撹拌した。生成物を過剰のメタノール中に投入し、
沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減
圧乾燥して、生成物1.83gを得た。生成物のTHF
溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温
度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均
分子量=2779、重量平均分子量=4494であっ
た。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマー
について1HNMR分析を行ったところ、δ(pp
m):(5.6,brs)、(6.1,brs)付近に
メタクリロイル基由来のシグナルが存在した。製造した
ポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応によっ
て分子の末端に導入した重合可能な基を表4中に示す。
【0065】(実施例9)ヘキサメチレンジイソシアネ
ート3.36gにペンタエリスリトールトリアクリレー
ト5.97g、ジブチル錫ジラウリレート631mg、
ヒドロキノン10mg、トルエン30mlを加え、50
〜60℃で2時間反応させた。反応混合物に実施例1に
記載のグリコール分解生成物3.0gを加え50〜60
℃でさらに2時間撹拌した。生成物を過剰のメタノール
中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過
し、次いで減圧乾燥して、生成物326mgを得た。生
成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1
ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した
結果、数平均分子量=3792、重量平均分子量=53
22であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マク
ロモノマーについて1HNMR分析を行ったところ、δ
(ppm):(5.8,d)、(6.1,dd)、
(6.4,d)付近にアクリロイル基由来のシグナルが
存在した。製造したポリエステルマクロモノマーにおい
て、付加反応によって分子の末端に導入した重合可能な
基を表4中に示す。
【0066】(実施例10)トルエンジイソシアネート
3.48gに1−メタクリロキシ−2−ヒドロキシ−3
−アクリロキシ−プロパン4.28g、ジブチル錫ジラ
ウリレート631mg、ヒドロキノン10mg、トルエ
ン30mlを加え、50〜60℃で2時間反応させた。
反応混合物に実施例1に記載のグリコール分解生成物
3.0gを加え50〜60℃でさらに2時間撹拌した。
生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させ
た。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥し、生成
物145mgを得た。生成物のTHF溶解物をGPC
(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポ
リスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=209
4、重量平均分子量=3224であった。重水素化クロ
ロホルムを用いて合成マクロモノマーについて1HNM
R分析を行ったところ、δ(ppm):(5.6,br
s)、(5.8,d)、(6.1,m)、(6.4,
d)付近にアクリロイル基及びメタクリロイル基由来の
シグナルが存在した。製造したポリエステルマクロモノ
マーにおいて、付加反応によって分子の末端に導入した
重合可能な基を表5中に示す。
【0067】(実施例11)ノルボルナンジイソシアネ
ート4.08gにポリエチレングリコールモノメタクリ
レート(n≒8)8.3g、ジブチル錫ジラウリレート
631mg、ヒドロキノン10mg、トルエン30ml
を加え、50〜60℃で2時間反応させた。反応混合物
に実施例1に記載のグリコール分解生成物3.0gを加
え70〜80℃でさらに2時間撹拌した。生成物を過剰
のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた
沈殿物を濾過、減圧乾燥し、生成物319mgを得た。
生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:
1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析し
た結果、数平均分子量=2395、重量平均分子量=4
233であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マ
クロモノマーについて1HNMR分析を行ったところ、
δ(ppm):(5.6,s)、(6.1,s)付近に
メタクリロイル基由来のシグナルが存在した。製造した
ポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応によっ
て分子の末端に導入した重合可能な基を表5中に示す。
【0068】(実施例12)トルエンジイソシアネート
3.48gにポリプロピレングリコールアクリレート
(n≒10)10g、ジブチル錫ジラウリレート631
mg、ヒドロキノン10mg、トルエン30mlを加
え、70〜80℃で2時間反応させた。反応混合物に実
施例1に記載のグリコール分解生成物3.0gを加え7
0〜80℃でさらに2時間撹拌した。生成物を過剰のメ
タノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿
物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物294mgを
得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、
流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)
分析した結果、数平均分子量=3338、重量平均分子
量=5593であった。重水素化クロロホルムを用いて
合成マクロモノマーについての1HNMR分析を行った
ところ、δ(ppm):(5.8,m)、(6.1,
m)、(6.4,m)付近にアクリロイル基由来のシグ
ナルが存在した。製造したポリエステルマクロモノマー
において、付加反応によって分子の末端に導入した重合
可能な基を表5中に示す。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】今回開示された実施の形態および実施例は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、上記ポリエステルマク
ロモノマーを製造することにより、飽和ポリエステル樹
脂またはその廃棄物の再利用を可能にし得る。すなわ
ち、飽和ポリエステル樹脂またはその廃棄物から、工業
的に有用な原料を再生し得、高付加価値なポリエステル
マクロモノマーを製造することができる。特に、製造す
るのが困難であった、ポリエチレンテレフタレートマク
ロモノマーを容易に製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08G 63/91 C08G 63/91 C08J 11/24 C08J 11/24 // C08F 290/06 C08F 290/06 C08L 67:00 C08L 67:00 (72)発明者 久保田 静男 和歌山県伊都郡かつらぎ町東渋田543番地 の1 (72)発明者 前田 拓也 和歌山県和歌山市満屋293−5 (72)発明者 栢木 實 和歌山県和歌山市有本687番地 新中村化 学工業株式会社内 (72)発明者 林 文博 和歌山県和歌山市有本687番地 新中村化 学工業株式会社内 Fターム(参考) 4F301 AA25 CA10 CA23 CA72 4H006 AA01 AA02 AC46 AC56 BB11 BB15 BJ50 KA14 KE00 RA06 RA36 RA42 RB28 4J027 AB10 AB15 AB23 AB25 AB32 AB33 AB34 BA17 BA23 CD07 CD08 CD09 CD10 4J029 AA03 AA07 AB02 AE06 AE11 AE13 AE14 AE16 BA03 CB06A HA01 HB01 HB02 JB112 JB182 JC152 KG01 KG02 KG03 KH01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の式(1)または(2)の構造を有
    するポリエステルマクロモノマーであって: 【化1】 ここで、nは、1〜50の整数であり、R1は、分解反
    応に用いたグリコールの残基であり、Xは、以下の式
    (3)〜(6)またはHからなる群より選択され(ただ
    し、同時に水素が付加される場合を除く): 【化2】 式(6)において、Yは、ジイソシアネートのイソシア
    ネート基を除いた残基であり、Zは、以下の式(7)〜
    (9)からなる群より選択され: 【化3】 ここで、R’は、HまたはMeであり、R’’は、−C
    2CH2−、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2
    2CH2−およびそれらの混合物からなる群より選択さ
    れ、mは、1〜23の整数である、ことを特徴とするポ
    リエステルマクロモノマー。
  2. 【請求項2】 飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分
    解して生成した分解生成物を原料とする、3−イソプロ
    ペニル−α,α’−ジメチルベンジルアミド基、アリル
    アミド基、またはメタクリロイルオキシエチルアミド基
    を分子鎖の片末端または両末端に有するポリエステルマ
    クロモノマーの製造方法。
  3. 【請求項3】 飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分
    解して分解生成物を得、該分解生成物に、3−イソプロ
    ペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネート、
    2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートまたは
    アリルイソシアネートを反応させて、3−イソプロペニ
    ル−α,α’−ジメチルアミド基、メタクリロイルオキ
    シエチルアミド基またはアリルアミド基を末端に有する
    ポリエステルマクロモノマーを製造することを特徴とす
    る、請求項2に記載のポリエステルマクロモノマーの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分
    解して分解生成物を得、該分解生成物に、アクリロイル
    基またはメタクリロイル基を分子内に有するアルコール
    とジイソシアネートとの反応で得られる化合物を付加反
    応させることにより得られる、アクリロイル基またはメ
    タクリロイル基を末端に有するポリエステルマクロモノ
    マーを製造することを特徴とする、請求項2に記載のポ
    リエステルマクロモノマーの製造方法。
  5. 【請求項5】 飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分
    解して分解生成物を得、該分解生成物に、メタクリル酸
    ハロゲン化物またはアクリル酸ハロゲン化物を反応させ
    て、メタクリロイル基またはアクリロイル基を末端に有
    するポリエステルマクロモノマーを製造することを特徴
    とする、ポリエステルマクロモノマーの製造方法。
  6. 【請求項6】 飽和ポリエステル樹脂が廃棄物である、
    請求項2〜5のいずれかに記載のポリエステルマクロモ
    ノマーの製造方法。
  7. 【請求項7】 飽和ポリエステル樹脂がポリエチレンテ
    レフタレートである、請求項2〜6のいずれかに記載の
    ポリエステルマクロモノマーの製造方法。
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