JP4174580B2 - ポリエステルマクロモノマーおよびその製造方法 - Google Patents

ポリエステルマクロモノマーおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルマクロモノマーおよびその製造方法に関する。さらに、本発明は、ポリエステル樹脂廃棄物の再利用を可能とし、特に、ポリエステル樹脂廃棄物を化学的に処理して工業的に価値のある原料を得る方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】
従来、製造されているポリエステルマクロモノマーとしては、ポリエステル部分がフタル酸とグリコールの縮合物、アジピン酸等脂肪族の二塩基酸とグリコールの縮合物、またはカプロラクトンの開環重合ポリマーであるものが用いられていた。
【0003】
一般に芳香族ポリエステルの製造において、そのグリコールとの反応性は、フタル酸が最も大きく、次いでイソフタル酸、テレフタル酸の順に低下する。したがって、テレフタル酸のポリエステルが最も製造し難くなるので、テレフタル酸を分子主鎖に有するポリエステルマクロモノマーの製造もまた最も困難となる。
【0004】
従来、PETボトルやフィルム等のリサイクルとしては、熱で溶融して再成形するマテリアルリサイクルが主として行われている(R.J.Ehring編著、プラスチックリサイクリング研究会訳、「プラスチックリサイクリング−回収から再生まで−」、71頁、工業調査会(1993))。しかし、着色樹脂または汚れが付着した樹脂の場合は、このリサイクル法では商品価値が無い再生品しか得ることができないため行われていない。さらにこの方法によると、50ppm以上の水分は、再成形時に加水分解を起こし、分子量の低下および物性の低下が生じてしまう。
【0005】
また、PETボトルやフィルムのリサイクルとして、加水分解、メタノール分解、またはグリコール分解等によりモノマーを回収し、この分解生成物をPETに再合成する技術が開発されている(「廃プラスチック サーマル&ケミカル・リサイクリング」、201頁、化学工業日報社(1994))。しかし、この方法では、大部分においてオリゴマーが生成し、モノマーの精製が困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、比較的短時間にポリエチレンテレフタレート樹脂、特にその廃棄物をグリコールで化学的に分解処理して、精製せずに工業的に価値あるのある原料を得、この廃棄物の再利用を図ろうとするものである。すなわち本発明は、ポリエステル樹脂廃棄物の分解生成物から得られるポリエステルマクロモノマーおよびその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステルマクロモノマーは、以下の式(1)または(2)の構造を有し:
【0008】
【化4】
Figure 0004174580
【0009】
ここで、nは、1〜50の整数であり、R1は、分解反応に用いたグリコールの残基であり、Xは、以下の化学式(3)〜(6)またはHからなる群より選択され(ただし、同時に水素が付加される場合を除く):
【0010】
【化5】
Figure 0004174580
【0011】
式(6)において、Yは、ジイソシアネートのイソシアネート基を除いた残基であり、Zは、以下の化学式(7)〜(9)からなる群より選択され:
【0012】
【化6】
Figure 0004174580
【0013】
ここで、R’は、HまたはMeであり、R’’は、−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2CH2CH2−およびそれらの混合物からなる群より選択され、mは、1〜23の整数、好ましくは、1〜8の整数である。
【0014】
さらに本発明は、飽和ポリエステル樹脂またはその廃棄物をグリコールで分解し、その分解生成物を原料として、ビニルフェニレン基、アリル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を分子の片末端または両末端に有するポリエステルマクロモノマーを製造する方法を提供する。
【0015】
1つの実施形態において、飽和ポリエステル樹脂またはその廃棄物をグリコールで分解して分解生成物を得、この分解生成物を原料として、3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルアミド基、アリルアミド基またはメタクリロイルオキシエチルアミド基を有するポリエステルマクロモノマーを製造し得る。
【0016】
別の実施形態において、飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解して分解生成物を得、この分解生成物に、3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートまたはアリルイソシアネートを反応させて、3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジル基、メタクリロイル基またはアリル基を末端に有するポリエステルマクロモノマーを製造し得る。
【0017】
また別の実施形態において、飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解して分解生成物を得、この分解生成物と、アクリロイル基またはメタクリロイル基を分子内に有するアルコールとジイソシアネートとの反応で得られる化合物とを付加反応することにより得られる、アクリロイル基またはメタクリロイル基末端のポリエステルマクロモノマーを製造し得る。
【0018】
さらなる別の実施形態において、飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解して分解生成物を得、この分解生成物に、メタクリル酸ハロゲン化物またはアクリル酸ハロゲン化物を反応させ、メタクリロイル基末端またはアクリロイル基末端のポリエステルマクロモノマーを製造し得る。
【0019】
他の実施形態において、本発明は、触媒の存在下または非存在下で、グリコールを用いて飽和ポリエステル樹脂を分解して分解生成物を得、そしてこの分解生成物を原料として付加反応等を行い、ポリエステルマクロモノマーを製造することができる、ポリエステル樹脂およびその廃棄物の再利用法を提供する。
【0020】
本発明のポリエステルマクロモノマーの製造方法において、飽和ポリエチレン樹脂として、ポリエチレンテレフタラートが、好適に使用される。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、飽和ポリエステル樹脂またはその廃棄物を破砕した後、100〜300℃程度でグリコールにより分解して分解生成物を得、この分解生成物を原料として用い、ポリエステルマクロモノマーを製造することにより、飽和ポリエステル樹脂廃棄物の再利用を可能にする。
【0022】
(ポリエステルマクロモノマー)
一般に、ポリエステルマクロモノマーとは、分子主鎖にエステル構造を有し、分子量が約100〜20,000の範囲、好ましくは、約300〜10,000の範囲で、その末端に重合可能な官能基を有するオリゴマーまたはポリマーをいう。ここで、重合可能な官能基とは、ビニル基、ビニリデン基、ビニレン基、環状オレフィン、ジカルボン酸、ジオール、ジアミン等が挙げられ、この官能基によりグラフト共重合体を得ることができる。
【0023】
本発明のポリエステルマクロモノマーは、次の式(1)または式(2)に基づく構造を有し、両末端または片末端に重合可能な基Xとして、アクリロイル基、メタクリロイル基およびビニル基などを有する官能基を含む。
【0024】
【化7】
Figure 0004174580
【0025】
式(1)は、ポリエチレンテレフタラート(PET)がグリコールで分解されて、OH基を末端に有する分解生成物が得られ、次いで、この分解生成物に、重合可能な官能基を有する、イソシアネート(スキームI)あるいはカルボン酸ハロゲン化物(スキームII)が反応して生成したポリエステルマクロモノマーであり、ここで、R1は、分解に使用したグリコールの残基である。式(2)は、分子主鎖のポリエステルの両末端がテレフタレートで終結しているポリエステルマクロモノマーであり、グリコールによる分解によっては、式(2)に基づく分子主鎖を有するポリエステルマクロモノマーを得ることも可能である。式(1)または式(2)において、nは、1〜50の整数、好ましくは、1〜10の整数である。
【0026】
【化8】
Figure 0004174580
【0027】
本発明のポリエステルマクロモノマーにおいて、ウレタン結合を介して重合可能な基Xを導入する際、Xとして、以下の式(3)〜(6)が好適に使用される。エステル結合を介して重合可能な基を導入する場合は、アクリル酸またはメタクリル酸などのカルボン酸ハロゲン化物が好適に使用される。Xにおいて、式(3)は、3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルアミド基であり、式(4)は、アリルアミド基であり、式(5)は、2−メタクリロイルオキシエチルアミド基であり、そして式(6)は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を分子内に有するアルコールとジイソシアネートとの反応によって得た重合可能な基である。
【0028】
【化9】
Figure 0004174580
【0029】
上記式(4)で示されるアリルアミド基において、アリル基として、不飽和炭化水素が使用され、代表的にプロピレンが好適に使用される。式(6)において、Yは、ジイソシアネートのイソシアネート基を除いた残基であり、Zは、以下の式(7)〜(9)で示される。式(7)〜(9)は、ジイソシアネートとの反応に使用されるアルコールであり、ヒドロキシル基(−OH)のHを除いた残基を示している。ここで、R’は、HまたはMeであり、R’’は、−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2CH2CH2−およびそれらの混合物からなる群より選択される。mは、1〜23の整数、好ましくは、1〜8の整数である。
【0030】
【化10】
Figure 0004174580
【0031】
(製法)
上記のポリエステルマクロモノマーを製造するには次の方法で行なう。まず、飽和ポリエステル樹脂またはその廃棄物に、破砕、必要ならば洗浄、およびふるいに掛ける前処理を行なう。この破砕された飽和ポリエステル樹脂または廃棄物をグリコールに混入し、飽和ポリエステル樹脂廃棄物の分解生成物を得る。そしてこの分解生成物に少なくとも片末端に重合可能な官能基を有する化合物を縮合反応させて、ポリエステルマクロモノマーを製造する。
【0032】
本発明において、上記分解生成物中に更に新しい飽和ポリエステル樹脂を加えて、飽和ポリエステル樹脂を分解することも可能である。また分解生成物より過剰のグリコールを分離することにより、飽和ポリエステル樹脂を効率良くリサイクルできる。
【0033】
(破砕)
本発明のポリエステルマクロモノマーの製造において、飽和ポリエステル樹脂の破砕は、衝撃式破砕機(ハンマー式、チェーン式)、せん断式破砕機、切断式破砕機、圧縮式破砕機(ロール式、コンベア式、スクリュ式)、スタンプミル、ボールミル、ロッドミル粉砕機等により行なう。破砕物の大きさは小さい方が好ましく、目の開き20mmのふるいを通る物が好適である。好ましくは10mm、更に好ましくは5mmのふるいを通る破砕物が使用される。
【0034】
(グリコールによる分解の条件)
飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解する際の温度は、通常100℃〜300℃の範囲、好ましくは150℃〜280℃の範囲である。この分解温度範囲において、飽和ポリエステル樹脂の分解速度は速く、効率的にポリエステルマクロモノマーを製造し得る。そして分解反応は、窒素雰囲気下および酸化防止剤存在下で行なうことにより、酸化反応による着色等が防止できる。本発明では、大気圧下または加圧下で分解を行なうこともできる。なお分解反応に低沸点グリコールを用いて、このグリコールの沸点以上の温度で分解反応を行なう場合は、加圧下で行なう。
【0035】
本発明においては、飽和ポリエステル樹脂の分解は、触媒の存在下でも非存在下でも行なうことができるが、触媒の存在下で行なうことが好ましい。ここで、触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、酢酸亜鉛、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウムなどの酢酸金属塩、酸化アンチモン、トリブチル錫メトキシド、チタンアルコキシドおよびこれらの混合物などが挙げられる。
【0036】
(飽和ポリエステル樹脂)
本発明において使用し得る飽和ポリエステル樹脂としては、好ましくは、ポリエチレンテレフタラートが使用され、ボトル、フィルム、成型品に用いられるポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート(PEN)またはこれらの廃棄物等も使用可能である。さらに、これらのバージンペレット等も利用し得る。
【0037】
(グリコール)
本発明において、グリコールは、飽和ポリエステル樹脂またはその廃棄物を分解し、分解生成物を得るために使用する。このグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、トリシクロデカンジメタノールエチレンオキシド付加物、ジブロムネオペンチルグリコールなどが挙げられる。
【0038】
(飽和ポリエステル樹脂とグリコールとの質量比)
飽和ポリエステル樹脂(E)と、この飽和ポリエステルを分解するために用いるグリコール(G)の質量比(E:G)は、1:0.2〜1:5、好ましくは1:0.5〜1:2の範囲である。この質量比を変えることにより、分解生成物の分子量を調整し得る。グリコールの混合量が少ないと分解生成物の平均分子量は大きくなり、他方で、グリコールの混合量が多いと、分解生成物の分子量は小さくなる。
【0039】
(ウレタン結合を介する重合可能な基の導入)
本発明において、グリコールによる飽和ポリエステル樹脂の分解生成物は、通常両末端にOH基を有する。この分解生成物に、ウレタン結合を介して重合可能な基を導入する場合は、イソシアネート化合物にグリコール分解生成物を付加反応させることにより合成し得る。イソシアネート化合物は、市販品である3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネート(3)、アリルイソシアネート(4)および2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(5)を使用でき、さらに合成品としての、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するアルコールとジイソシアネート化合物との反応で得られる化合物(6)も使用し得る。この合成イソシアネート化合物は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するアルコールとジイソシアネートとを1:1のモル比で反応させることにより得ることができる。この合成イソシアネート化合物の製造において使用可能なジイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−フェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。この合成イソシアネートの製造において使用可能なアルコールとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。
【0040】
グリコール分解生成物とイソシアネートとの反応は、有機溶媒中でかまたは溶媒なしで行なうことができる。使用可能な有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用し得る。さらに、イソシアネート化合物の反応性に応じて、ウレタン化触媒の存在下で行ってもよく、また加熱下で反応を行ってもよい。ウレタン化触媒としては、通常のウレタン化反応に用いられるものを使用し得、例えばジブチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジ−(2−エチルヘキソエート)等の錫化合物、トリエチレンジアミン等のアミン類およびそれら2種類以上を組み合わせたものなどが挙げられ得る。ウレタン化触媒を用いる場合、必要とされる添加量は、通常水酸基に対して0.01〜1.0当量の範囲、好ましくは0.05〜0.5当量の範囲である。イソシアネート化合物の添加量は、グリコール分解生成物の水酸基に対して0.5〜10モルの範囲、好ましくは1.0〜2.0モルの範囲である。
【0041】
(エステル結合を介する重合可能な基の導入)
本発明において、グリコールによる分解生成物にエステル結合を介して末端に重合可能な基を導入する場合は、塩基存在下でこの分解生成物にメタクリル酸ハロゲン化物またはアクリル酸ハロゲン化物を反応させることにより合成することができる。使用し得るカルボン酸ハロゲン化物は、グリコール分解生成物のヒドロキシル基に対して0.5〜10当量の範囲、好ましくは1.0〜2.0当量の範囲で混入する。使用可能な塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の第三級アミン、またはピリジン等が挙げられる。これの塩基は、使用するカルボン酸ハロゲン化物に対して当量以上で使用し得、好ましくは、カルボン酸ハロゲン化物に対して1.0〜2.0当量である。
【0042】
グリコール分解生成物とカルボン酸ハロゲン化物の反応は、有機溶媒中で行い得る。使用可能な有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、またはクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。この反応は加熱下でも行い得るが、反応熱の問題のために、0℃〜30℃程度、好ましくは0〜10℃行なうのがより好ましい。
【0043】
(ポリエステルマクロモノマーの使用例)
本発明のポリエステルマクロモノマーは、重合開始剤の存在下、必要ならば多官能モノマーを添加して、重合させることができる。ポリエステルマクロモノマーは、分子量3000以下の範囲において、均一系で、通常のモノマーに近い反応性を有する。
【0044】
本発明のポリエステルマクロモノマーは、不飽和ポリエステルの架橋剤としても使用できる。不飽和ポリエステルの重合性の炭素−炭素二重結合は通常トランス体に異性化するためフマレート基である。このフマレート基のエステル部分は長鎖であるが、その重合性はジイソプロピルフマレートとほぼ同じと考えられる。ビニルモノマー(M1)およびジイソプロピルフマレート(M2)のラジカル共重合におけるモノマー反応性比を表1に示す。α−メチルスチレンの場合には、フマレートに類似するものとしてマレイン酸無水物(M2)との共重合におけるモノマー反応性比を示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004174580
【0046】
表1から、メチルアクリレートおよびメチルメタクリレート等のビニルモノマー(M1)とジイソプロピルフマレート(M2)のラジカル共重合モノマー反応性比(r1,r2)が、大きく相違することが解る。したがって、メタクリレートを末端に有するマクロモノマーを不飽和ポリエステルの架橋に用いる場合は、上記モノマー反応性からスチレンまたはスチレンを末端に有するマクロモノマーと併用することが、好ましい。そしてアクリレートを末端に有するマクロモノマーの場合は、単独でも使用可能であるが、スチレンまたはスチレンを末端に有するマクロモノマーと併用するほうがよい。スチレンまたはα−メチルスチレンを末端に有するマクロモノマーは単独で用いることができる。
【0047】
次に、フマレート(M1)とジアリルフタレート(M2)のラジカル共重合のモノマー反応性比を示す。
【0048】
【表2】
Figure 0004174580
【0049】
この表2より、フマレート(M1)とジアリルフタレート(M2)のラジカル共重合モノマー反応性比の積(r1×r2)が0に近いので共重合性が良くアリル基を末端に有するポリエステルマクロモノマーも不飽和ポリエステルの架橋に使用できることが解る。
【0050】
これらのポリエステルマクロモノマーは、コーティング剤、UV硬化インキ、光ディスク用コーティング剤、接着剤、塗料、フォトレジスト、プリント基板用レジスト、感光性樹脂凸版、光重合歯科材料などとして使用される。
【0051】
本発明によるポリエチレンテレフタレートマクロモノマーは、硬い塗膜を形成する。飽和ポリエステル樹脂のグリコール分解により分解生成物を得て、これを原料として反応させ、高付加価値のポリエステルマクロモノマーを製造することができる。
【0052】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
以下の実施例では、通常はポリエステル樹脂からなる飲料水ボトルを、ロータリーカッターミル、(株)ホーライ製Granulaters U−140によって粒径5mmに破砕した試料を用いた。また一部の実施例ではポリエステル樹脂原料としてPETバージンペレットを用いた。
【0054】
(実施例1)
粉砕した廃PET19.22kgにトリプロピレングリコール20.13kg(モル比1:1.5)を加え、240℃で2時間分解した。得られた分解生成物について次の測定を行った。分解生成物の酸価=9.16mgKOH/g、OH価(試料1kg当たりのOH基のモル数)=6.6mol/kg、数平均分子量=539、重量平均分子量=744。
【0055】
得られた分解生成物2.0gに3−イソプロペニル−α,α'−ジメチルベンジルイソシアネート4.0g、ジブチル錫ジラウリレート832mg、トルエン10mlを加え、80℃で3時間反応させた。次いで、生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物729mgを得た。生成物をTHFに溶解させ、その溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=1878、重量平均分子量=2007であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマーの1HNMR分析を行ったところ、δ(ppm):(5.0,brs)、(5.3,brs)にイソプロペニル基由来のシグナルが存在した。またδ(ppm):(8.1,m)PETのベンゼン環に由来するシグナルとイソプロペニル基のシグナルの積分強度比を比較することにより、これらは約1.3:1のモル比で存在することが確認された。製造したポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応によって分子の末端に導入した重合可能な基を表3中に示す。
【0056】
(実施例2)
実施例1に記載のグリコール分解生成物2.0gに2−メタクリロイルオキシキシエチルイソシアネート3.0g、ジブチル錫ジラウリレート832mg、トルエン10mlを加え、80℃で3時間反応させた。生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物336mgを得た。生成物をTHFに溶解させ、その溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=1690、重量平均分子量=1881であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマーの1HNMR分析を行ったところ、δ(ppm):(5.6,s)(6.1,s)にメタクリロイル基由来シグナルが存在した。またδ(ppm):(8.1,m)PETのベンゼン環に由来するシグナルとメタクリロイル基のシグナルの積分強度比を比較することにより、これらは約3:1のモル比で存在することが確認された。製造したポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応によって分子の末端に導入した重合可能な基を表3中に示す。
【0057】
(実施例3)
実施例1に記載のグリコール分解生成物2.0gにアリルイソシアネート1.6g、ジブチル錫ジラウリレート832mg、トルエン10mlを加え、80℃で3時間反応させた。生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物287mgを得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=1599、重量平均分子量=1735であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマーの1HNMR分析を行ったところ、δ(ppm):(5.1,m)(5.8,m)にアリル基由来シグナルが存在した。またδ(ppm):(8.1,m)のPETのベンゼン環に由来するシグナルとアリル基のシグナルの積分強度比を比較することにより、これらは約2.4:1のモル比で存在することが確認された。製造したポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応によって分子の末端に導入した重合可能な基を表3中に示す。
【0058】
(実施例4)
PETペレット90gに1,6−ヘキサンジオール53.1gを加え、260℃で2時間分解した。得られた分解生成物について次の測定を行った。分解生成物の酸価=2.8mgKOH/g、OH価(OH基のモル数)=2.0mol/kg、数平均分子量=1215、重量平均分子量=1503。
【0059】
得られた分解生成物10.0gに3−イソプロペニル−α,α'−ジメチルベンジルイソシアネート6.0g、ジブチル錫ジラウリレート1.26g、トルエン100mlを加え、80℃で3時間反応させた。生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物7.7gを得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=1992、重量平均分子量=2207であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマーの1HNMR分析を行ったところ、δ(ppm):(5.0,brs)、(5.3,brs)にイソプロペニル基由来のシグナルが存在した。またδ(ppm):(8.1,m)のPETのベンゼン環に由来するシグナルとイソプロペニル基のシグナルの積分強度比を比較することによりこれらは約2:1のモル比で存在していることが確認された。製造したポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応によって分子の末端に導入した重合可能な基を表3中に示す。
【0060】
(実施例5)
実施例1で得られたグリコール分解生成物2.0gにメタクリル酸クロリド1.5ml、トリエチルアミン2.7ml、THF10mlを加え、室温で一昼夜反応させた。生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物338mgを得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=1619、重量平均分子量=2119であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマーの1HNMR分析を行ったところ、δ(ppm):(5.6,s)、(6.1,s)にメタクリロイル基由来シグナルが存在した。またδ(ppm):(8.1,m)のPETのベンゼン環に由来するシグナルとメタクリロイル基のシグナルの積分強度比を比較することによりこれらは約7.2:1のモル比で存在することが確認された。製造したポリエステルマクロモノマーにおいて、縮合反応によって分子の末端に導入した重合可能な基を表3中に示す。
【0061】
(実施例6)
実施例1で得られたグリコール分解生成物2.0gにアクリル酸クロリド1.3ml、トリエチルアミン2.7ml、THF10mlを加え、室温で一昼夜反応させた。生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物462mgを得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=1688、重量平均分子量=2209であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマーの1HNMR分析を行ったところ、δ(ppm):(5.9,m)、(6.1,m)、(6.4,m)付近にアクリロイル基由来シグナルが存在した。またδ(ppm):(8.1,m)のPETのベンゼン環に由来するシグナルとアクリロイル基のシグナルの積分強度比を比較することによりこれらは約2.7:1のモル比で存在することが確認された。製造したポリエステルマクロモノマーにおいて、縮合反応によって分子の末端に導入した重合可能な基を表3中に示す。
【0062】
(実施例7)
PETペレット150gに1,6−ヘキサンジオール88.5gを加え、260〜265℃で2時間分解した。得られた分解生成物について次の測定を行った。分解生成物の酸価=3.4mgKOH/g、OH価(OH基のモル数)=3.0mol/kg、数平均分子量=982、重量平均分子量=1222。
【0063】
イソホロンジイソシアネート2.2gに2−ヒドロキシエチルアクリレート1.16g、ジブチル錫ジラウリレート315mg、ヒドロキノン5mg、トルエン20mlを加え、50〜60℃で1時間反応させた。反応混合物に上記PETグリコール分解生成物3.3gを加え50〜60℃でさらに3時間撹拌した。生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物1.83gを得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=2258、重量平均分子量=2892であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマーについて1HNMR分析を行ったところ、δ(ppm):(5.8,d)、(6.2,dd)、(6.4,d)付近にアクリロイル基由来のシグナルが存在した。製造したポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応によって分子の末端に導入した重合可能な基を表4中に示す。
【0064】
(実施例8)
イソホロンジイソシアネート2.2gに2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.3g、ジブチル錫ジラウリレート315mg、ヒドロキノン5mg、トルエン20mlを加え、50〜60℃で1時間反応させた。反応混合物に実施例7に記載のグリコール分解生成物3.3gを加え50〜60℃でさらに3時間撹拌した。生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物1.83gを得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=2779、重量平均分子量=4494であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマーについて1HNMR分析を行ったところ、δ(ppm):(5.6,brs)、(6.1,brs)付近にメタクリロイル基由来のシグナルが存在した。製造したポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応によって分子の末端に導入した重合可能な基を表4中に示す。
【0065】
(実施例9)
ヘキサメチレンジイソシアネート3.36gにペンタエリスリトールトリアクリレート5.97g、ジブチル錫ジラウリレート631mg、ヒドロキノン10mg、トルエン30mlを加え、50〜60℃で2時間反応させた。反応混合物に実施例1に記載のグリコール分解生成物3.0gを加え50〜60℃でさらに2時間撹拌した。生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物326mgを得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=3792、重量平均分子量=5322であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマーについて1HNMR分析を行ったところ、δ(ppm):(5.8,d)、(6.1,dd)、(6.4,d)付近にアクリロイル基由来のシグナルが存在した。製造したポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応によって分子の末端に導入した重合可能な基を表4中に示す。
【0066】
(実施例10)
トルエンジイソシアネート3.48gに1−メタクリロキシ−2−ヒドロキシ−3−アクリロキシ−プロパン4.28g、ジブチル錫ジラウリレート631mg、ヒドロキノン10mg、トルエン30mlを加え、50〜60℃で2時間反応させた。反応混合物に実施例1に記載のグリコール分解生成物3.0gを加え50〜60℃でさらに2時間撹拌した。生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥し、生成物145mgを得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=2094、重量平均分子量=3224であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマーについて1HNMR分析を行ったところ、δ(ppm):(5.6,brs)、(5.8,d)、(6.1,m)、(6.4,d)付近にアクリロイル基及びメタクリロイル基由来のシグナルが存在した。製造したポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応によって分子の末端に導入した重合可能な基を表5中に示す。
【0067】
(実施例11)
ノルボルナンジイソシアネート4.08gにポリエチレングリコールモノメタクリレート(n≒8)8.3g、ジブチル錫ジラウリレート631mg、ヒドロキノン10mg、トルエン30mlを加え、50〜60℃で2時間反応させた。反応混合物に実施例1に記載のグリコール分解生成物3.0gを加え70〜80℃でさらに2時間撹拌した。生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過、減圧乾燥し、生成物319mgを得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=2395、重量平均分子量=4233であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマーについて1HNMR分析を行ったところ、δ(ppm):(5.6,s)、(6.1,s)付近にメタクリロイル基由来のシグナルが存在した。製造したポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応によって分子の末端に導入した重合可能な基を表5中に示す。
【0068】
(実施例12)
トルエンジイソシアネート3.48gにポリプロピレングリコールアクリレート(n≒10)10g、ジブチル錫ジラウリレート631mg、ヒドロキノン10mg、トルエン30mlを加え、70〜80℃で2時間反応させた。反応混合物に実施例1に記載のグリコール分解生成物3.0gを加え70〜80℃でさらに2時間撹拌した。生成物を過剰のメタノール中に投入し、沈殿を生成させた。得られた沈殿物を濾過し、次いで減圧乾燥して、生成物294mgを得た。生成物のTHF溶解物をGPC(溶媒:THF、流速:1ml/分、温度:40℃、ポリスチレン基準)分析した結果、数平均分子量=3338、重量平均分子量=5593であった。重水素化クロロホルムを用いて合成マクロモノマーについての1HNMR分析を行ったところ、δ(ppm):(5.8,m)、(6.1,m)、(6.4,m)付近にアクリロイル基由来のシグナルが存在した。製造したポリエステルマクロモノマーにおいて、付加反応によって分子の末端に導入した重合可能な基を表5中に示す。
【0069】
【表3】
Figure 0004174580
【0070】
【表4】
Figure 0004174580
【0071】
【表5】
Figure 0004174580
【0072】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、上記ポリエステルマクロモノマーを製造することにより、飽和ポリエステル樹脂またはその廃棄物の再利用を可能にし得る。すなわち、飽和ポリエステル樹脂またはその廃棄物から、工業的に有用な原料を再生し得、高付加価値なポリエステルマクロモノマーを製造することができる。特に、製造するのが困難であった、ポリエチレンテレフタレートマクロモノマーを容易に製造できる。

Claims (6)

  1. 以下の式(1)または(2)の構造を有するポリエステルマクロモノマーの製造方法であって、
    飽和ポリエステル樹脂をグリコールで分解して分解生成物を得、該分解生成物に、
    3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネート、アリルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、または、
    アクリロイル基またはメタクリロイル基を分子内に有するアルコールとイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートまたはノルボルナンジイソシアネートとの反応で得られる化合物
    を反応させることを特徴とする、ポリエステルマクロモノマーの製造方法
    Figure 0004174580
    ここで、nは、1〜50の整数であり、
    1は、飽和ポリエステル樹脂の分解に用いられるグリコールの残基であり、
    Xは、以下の式(3)〜(6)またはHからなる群より選択され(ただし、同時に水素が付加される場合を除く):
    Figure 0004174580
    式(6)において、Yは、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートまたはノルボルナンジイソシアネートのイソシアネート基を除いた残基であり、Zは、以下の式(7)〜(9)からなる群より選択され:
    Figure 0004174580
    ここで、R’は、HまたはMeであり、R’’は、−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2CH2CH2−からなる群より選択され、mは、1〜23の整数である。
  2. 前記分解生成物に、
    3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネート、アリルイソシアネート、または、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート
    を反応させて、
    前記式(1)または(2)におけるXが式(3)〜(5)またはHからなる群より選択される(ただし、同時に水素が付加される場合を除く)ポリエステルマクロモノマーを製造することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記分解生成物に、
    アクリロイル基またはメタクリロイル基を分子内に有するアルコールとイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートまたはノルボルナンジイソシアネートとの反応で得られる化合物
    を反応させて、
    前記式(1)または(2)におけるXが式(6)またはHからなる群より選択される(ただし、同時に水素が付加される場合を除く)ポリエステルマクロモノマーを製造することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記飽和ポリエステル樹脂の分解に用いられるグリコールが、トリプロピレングリコールまたは1,6−ヘキサンジオールである、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 飽和ポリエステル樹脂が廃棄物である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルマクロモノマーの製造方法。
  6. 飽和ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートである、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルマクロモノマーの製造方法。
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