JP2003277331A - 4,6−ジニトロレゾルシンの製造方法及び新規なジヒドロキシ安息香酸類のスルホン化物及びその塩 - Google Patents

4,6−ジニトロレゾルシンの製造方法及び新規なジヒドロキシ安息香酸類のスルホン化物及びその塩

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JP2003277331A
JP2003277331A JP2002112275A JP2002112275A JP2003277331A JP 2003277331 A JP2003277331 A JP 2003277331A JP 2002112275 A JP2002112275 A JP 2002112275A JP 2002112275 A JP2002112275 A JP 2002112275A JP 2003277331 A JP2003277331 A JP 2003277331A
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Hidetake Yoshitomi
英武 吉冨
Yukihiro Kumamoto
行宏 熊本
Masazumi Takaoka
正純 高岡
Hideki Mizuta
秀樹 水田
Yoriaki Matsuzaki
頼明 松崎
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ハロベンゼンのニトロ化物を経由せず、かつ
4,6−ジニトロレゾルシンを工業的に有利に製造する
新規な方法を提供する。 【解決手段】一般式(1) 【化1】 (式中のRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピ
ル基を表す。)で表される化合物をニトロ化剤で処理し
た後、脱炭酸処理することにより4,6−ジニトロレゾ
ルシンを製造する。また、一般式(1)で表される化合
物をスルホン化剤で処理して得られる新規なスルホン化
物をニトロ化剤で処理し、次いで脱炭酸処理することに
より4,6−ジニトロレゾルシンを製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は4,6−ジニトロレ
ゾルシノールの新規な製造方法に関する。さらに詳しく
は、ポリベンゾビスオキサゾール(PBO)樹脂の原料モノ
マーである4,6−ジアミノレゾルシンの製造に有用な
4,6−ジニトロレゾルシノールの製造方法及び4,6
−ジニトロレゾルシノールの製造に有用な中間体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】PBO樹脂を用いた繊維は特公昭61−
501452号公報に記載されているように強度、弾性
率、耐熱性、耐薬品性等の諸物性においてアラミドを凌
ぐスーパー繊維として構造材や断熱材など種々の用途へ
の応用が期待されている産業上極めて有用性が高い樹脂
であり、PBO樹脂の原料である4,6−ジアミノレゾル
シンの前駆体として4,6−ジニトロレゾルシンは重要
な化合物である。
【0003】従来の4,6−ジニトロノレゾルシンの製
造法としてはレゾルシンをアセチル化してニトロ化する
方法(Ber.Dtch.Chem.Ges.,16,
552,1883)、1,3−ビス(アルキルカーボネ
ート)ベンゼンをニトロ化する方法(特開平2−136
号公報)などがある。
【0004】しかしこれらの方法においてはレゾルシン
の水酸基に対して保護基を導入するため工程が煩雑であ
り、また加水分解工程において脱離した保護基が回収不
可能な副生成物となるなどの問題があった。
【0005】また保護基を使用しない方法としてはハロ
ベンゼンを原料として用いる方法が提案されており、ト
リクロロベンゼンをニトロ化する方法(特開平2−50
0743号公報)、ジハロベンゼンをニトロ化してアル
カリで加水分解する方法(特開平1−238561号公
報、特開平7−233127号公報、特開平7−316
102号公報、特開平8−73417号公報)等が知ら
れている。
【0006】しかしながら、トリクロロベンゼンおよび
そのニトロ化物は取扱い方法を誤ると皮膚のかぶれを引
き起こすなど、前述のハロベンゼンのニトロ化物を経由
する製造方法を実施するに際しては常に取扱いに注意が
必要であるという安全管理上の問題がある。したがっ
て、ハロベンゼンのニトロ化物を経由しない4,6−ジ
ニトロレゾルシンの製造方法の出現が期待されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
のような問題点を有するハロベンゼンのニトロ化物を経
由せず、かつ4,6−ジニトロレゾルシンを工業的に有
利に製造する新規な方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を行なった結果、一般式(1)
で表される化合物をニトロ化剤で処理した後、脱炭酸処
理することにより4,6−ジニトロレゾルシンが容易に
得られることを見出すとともに、ニトロ化剤での処理を
硫酸中で行った際に、一般式(1)で表される化合物の
芳香環の3位及び5位にスルホン酸基が選択的に導入さ
れた一般式(2)で表される化合物が生成しているこ
と、更には、一般式(2)で表される化合物をニトロ化
剤で処理することにより一般式(3)で表される化合物
が生成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【化3】 (式中のRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピ
ル基を表す。)
【化4】 (式中のRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピ
ル基を表す。)
【化5】 (式中のRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピ
ル基を表す。)
【0009】即ち、本発明は、(1)一般式(1)で表
される化合物をニトロ化剤で処理し、次いで脱炭酸処理
することを特徴とする4,6−ジニトロレゾルシンの製
造方法であり、(2)一般式(2)で表される化合物及
びそのアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩であり、
(3)一般式(2)で表される化合物又は、そのアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属塩をニトロ化剤で処理した
後、脱炭酸処理することを特徴とする4,6−ジニトロ
レゾルシンの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いる一般式(1)で表
される化合物は、公知の方法で得られるものを使用する
ことができる。例えば、レゾルシンのアルカリ塩に二酸
化炭素を作用させるKolbe−Schmitt反応に
よってRが水素原子であるγ−レゾルシン酸が得られ
る。このγ−レゾルシン酸をエステル化剤で処理するこ
とにより、Rがメチル基、エチル基、プロピル基である
一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
【0011】一般式(1)で表される化合物をニトロ化
剤で処理することにより、一般式(1)で表される化合
物に対応する一般式(3)で表される化合物が得られ
る。
【0012】Rがメチル、エチルまたはプロピルである
一般式(1)で表される化合物をニトロ化剤で処理した
場合、処理条件によっては、これら化合物は、対応する
一般式(3)で表される化合物と、そのエステル基が加
水分解を受けたものに相当するRが水素原子である一般
式(3)で表される化合物との混合物を与え得るが、こ
れらの化合物は後述する脱炭酸処理することにより、い
ずれも4,6−ジニトロレゾルシンになり得るため、ニ
トロ化剤で処理した段階でこれらの化合物が生成したと
しても何ら問題はない。
【0013】ニトロ化剤としては、公知のニトロ化剤が
使用でき、例えば硝酸、発煙硝酸、硝酸ナトリウム、硝
酸カリウムなどの硝酸塩等が用いられる。これらニトロ
化剤は使用する溶媒に応じて適宜選択して用いることが
できる。
【0014】使用するニトロ化剤の量は一般式(1)で
表される化合物に対して1〜10モル倍程度であればよ
く、反応を十分に進行させかつ過剰なニトロ化を抑制す
るためには1.5〜4モル倍程度が好ましい。更に好ま
しくは1.8〜2.2モル倍である。
【0015】一般式(1)で表される化合物をニトロ化
剤で処理するに際して使用できる溶媒は、例えばクロル
ベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒、酢酸
などの有機酸系溶媒、リン酸、硫酸などの無機酸系溶媒
であり、なかでも硫酸が好ましい。
【0016】一般式(1)で表される化合物をニトロ化
剤で処理する温度は、ジニトロ体が生成する温度であれ
ば、特に制限されるものではないが、0〜300℃の範
囲から選択される。好ましくは0〜50℃である。ジニ
トロ体の生成反応は発熱反応であるので、通常は冷却に
より反応温度を制御しながら行なわれる。温度が50℃
を越えるとニトロ化が過剰に進行した副生物の生成量が
増大する傾向があり、反応条件を制御することにより副
生物の生成を抑制する必要がある。
【0017】ニトロ化剤での処理の好ましい実施形態と
しては、溶媒中に一般式(1)に示される化合物を装入
した後に、ニトロ化剤をゆっくり滴下装入もしくは分割
装入し、ジニトロ体が得られるまで保温を行う方法が挙
げられる。
【0018】一般式(1)で表される化合物をニトロ化
剤で処理する圧力は、特に制限されることはなく、通常
大気圧で行われる。
【0019】一般式(3)で表される化合物は、ニトロ
化剤で処理して得られる反応マスから一旦単離すること
ができる。通常、一般式(3)で表される化合物が反応
マス中に析出している場合が多いが、析出物は濾過する
ことにより回収することができる。
【0020】本発明者らは、前述のニトロ化剤での処理
を硫酸中で行った際に、反応混合物中に一般式(2)で
表される化合物が生成していることを見出し、一般式
(2)で表される化合物をニトロ化剤で処理することで
一般式(3)で表される化合物が得られることを見出し
た。
【0021】一般式(2)で表される化合物は、一般式
(1)で表される化合物をスルホン化剤で処理すること
により得ることができる。スルホン化剤としては公知の
スルホン化剤が使用でき、例えば硫酸、発煙硫酸、三酸
化イオウ等が用いられる。これらのスルホン化剤は使用
する溶媒に応じて適宜選択して用いることができる。
【0022】一般式(1)で表される化合物をスルホン
化剤で処理する際に用いることができる硫酸の硫酸濃度
は、加水分解による脱スルホン化を防ぐために硫酸濃度
が80〜100重量%のものを使用するのが好ましい。
好ましくは反応中に生成する水によって硫酸濃度が低下
するため、濃硫酸の量は反応終了時に反応混合物中の硫
酸濃度が50重量%以上となるような量を使用するのが
好ましい。更に好ましくは反応終了時に硫酸濃度が70
重量%以上である。
【0023】一般式(1)で表される化合物をスルホン
化剤で処理するに際して使用できる溶媒は適宜選択して
用いてもよいが、溶媒を用いず過剰の濃硫酸中で反応を
行なうのが工業上有利である。溶媒を用いる場合、前述
の一般式(1)で表される化合物をニトロ化剤で処理す
る際に用いられる溶媒を用いることができる。溶媒を用
いる場合の使用量は使用する硫酸濃度によっても異なる
が、容積効率などを考慮すると一般式(1)で表される
化合物に対して5〜20重量倍程度である。
【0024】一般式(1)で表される化合物をスルホン
化剤で処理する温度は、一般式(2)で表される化合物
が生成する温度範囲であればよく、通常、反応温度は0
℃〜300℃程度、好ましくは0〜100℃程度であ
り、更に好ましくは0〜60℃程度である。0℃以上で
あると反応速度の点において好ましい。また、60℃以
下であると副反応を抑制する点において好ましい。
【0025】一般式(1)で表される化合物をスルホン
化剤で処理する圧力は、特に制限されることはなく、通
常大気圧で行うことができる。
【0026】一般式(2)で表される化合物は、スルホ
ン化剤で処理して得られる反応混合物中に析出すること
場合が多く、析出物を濾過等の手段により単離すること
ができる。
【0027】一般式(2)で表される化合物は、アルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重
炭酸塩等の塩基性化合物と反応させることにより、一般
式(2)で表される化合物のアルカリ金属塩またはアル
カリ土類金属塩とすることができる。アルカリ金属とし
てはナトリウム、カリウムなどが例示され、アルカリ土
類金属としてはマグネシウム、カルシウム、バリウムな
どが例示される。
【0028】一般式(2)で表される化合物のアルカリ
金属塩またはアルカリ土類金属塩は、例えば、一般式
(2)で表される化合物の水溶液にアルカリ金属または
アルカリ土類金属を含む塩基性化合物の水溶液を用いて
中和した後、溶媒として用いた水を除去することにより
得ることができる。
【0029】一般式(2)で表される化合物及びそのア
ルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、ニトロ化剤
で処理して一般式(3)で表される化合物に変換できる
ため、一般式(3)で表される化合物の原料となり得
る。
【0030】一般式(2)で表される化合物は、一旦単
離してニトロ化剤で処理することもできるが、スルホン
化剤による処理で得られる反応混合物をそのまま用いて
ニトロ化剤による処理を行うこともできる。工業的製法
としては後者のワンポット法が有利である。
【0031】一般式(2)で表される化合物は、ニトロ
化剤で処理することにより一般式(3)で表される化合
物に変換することができる。一般式(2)で表される化
合物をニトロ化剤で処理する場合の処理条件は、前述の
一般式(1)で表される化合物のニトロ化剤での処理で
用いられる処理条件と同一の条件を用いることができ
る。
【0032】前述のニトロ化剤による処理の後、脱炭酸
処理を行う。脱炭酸処理を行うにあたり、ニトロ化剤に
よる処理で得られる前述の一般式(3)で表される化合
物を一旦単離し、単離したジニトロ体をそのまま加熱し
ても良いが、ニトロ化剤による処理で得られる反応マス
を用いて引き続き脱炭酸処理を行うこともできる。工業
的製法としては後者の方法のほうが有利である。脱炭酸
処理することにより目的とする4,6−ジニトロレゾル
シンが得られる。
【0033】ニトロ化剤による処理で得られる反応マス
を用いて脱炭酸処理を行う場合、鉱酸を用いて該反応混
マスを酸性としたのち、加熱することにより行う。
【0034】使用される鉱酸としては、例えば、硫酸、
塩酸、りん酸が挙げられるが、好ましくは硫酸が用いら
れる。
【0035】鉱酸を用いて調整した溶液中の鉱酸濃度
は、5〜70重量%である。使用する鉱酸の量は特に制
限されるものではないが、攪拌効率および容積効率の観
点より一般式(3)に示される化合物に対して2〜20
重量倍が好ましい。反応温度は0〜300℃温度、好ま
しくは50〜150℃である。0℃以上であると反応速
度の点において好ましい。また、300℃以下であると
副反応を抑制する点において好ましい。
【0036】脱炭酸反応が進行すると溶液中に4,6−
ジニトロレゾルシンの結晶が徐々に析出するため、反応
終了後に結晶をろ過することにより目的の4,6−ジニ
トロレゾルシンが得られる。得られた4,6−ジニトロ
レゾルシンは必要に応じて再結晶等で精製することがで
きる。
【0037】本発明により得られる4,6−ジニトロレ
ゾルシンは、還元することにより4,6−ジアミノレゾ
ルシンに変換することができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、実施例の液体クロマトグラフィー分析は次の
条件を用いて行った。 カラム:wakosil C−8HG 移動相:アセトニトリル:水:PIC=350:65
0:3 (PICは、テトラブチルアンモニウムヒドロキシを意
味する) 流速 :1ml/min 検出波長:254nm 恒温層:40℃
【0039】実施例1 95重量%硫酸50gを10℃に冷やした後にγ−レゾ
ルシン酸を7.7g(0.05モル)をゆっくり装入し
たところ、反応マスは一旦黄味均一液となった。同温度
で5時間保温を行なうと白色スラリーとなった。析出物
を液体クロマトグラフィー分析したところ、2,6−ジ
ヒドロキシ−3,5−ジスルホン酸安息香酸であること
が確認された。得られた反応マスを濾過した濾塊を純水
に溶解、水酸化ナトリウムで中和した後に、塩酸で酸
析、硫化ナトリウムで塩析した晶析マスを濾過して2,
6−ジヒドロキシ−3,5−ジスルホン酸安息香酸と無
機塩の混合物16.7gを得た。得られた該化合物の一
部をHPLC分取により無機塩を取り除き、構造確認分
析に用いた。
【0040】実施例1で得た2,6−ジヒドロキシ−
3,5−ジスルホン酸安息香酸のC13−NMRスペクト
ルは以下の吸収を示し、それぞれの吸収は下式に表す構
造式中のa〜dの炭素に帰属される。 δ=102.7ppm a(COOH置換された芳香族炭素) δ=117.5ppm b(SO3H置換された芳香族炭素) δ=129.5ppm c(水素が結合した芳香族炭素) δ=160.3ppm d(OH置換された芳香族炭素)
【化6】 また、赤外吸収スペクトル測定では以下のような特徴的
な吸収帯が観測された。 3500cm-1 COOH(νOHによる吸収帯) 1300〜1100cm-1 SO3H(νSO2による吸収帯)
【0041】実施例2 95重量%硫酸50gに73%2,6−ジヒドロキシ−
3,5−ジスルホン酸安息香酸ナトリウム塩と無機塩の
混合品24.5g(0.05モル)を装入し10℃に冷
却した後に、60重量%硝酸10.5g(0.1モル)
を滴下したところ激しい発熱があり、反応マスはオレン
ジ色のスラリーとなった。このニトロ化マスを氷45g
中に装入後、100℃に加熱して脱炭酸を行なったとこ
ろ徐々に結晶が析出した。結晶をろ別、窒素下で乾燥
し、4,6−ジニトロレゾルシン9.34g(収率9
3.4モル%)を得た。得られた4,6−ジニトロレゾ
ルシンの融点は211〜213℃であった。
【0042】実施例3 95重量%硫酸50gを10℃に冷やした後にγ−レゾ
ルシン酸を7.7g(0.05モル)をゆっくり装入し
たところ、反応マスは一旦黄味均一液となった。同温度
で5時間保温を行なうと白色スラリーとなり、液体クロ
マトグラフィー分析で2,6−ジヒドロキシ−3,5−
ジスルホン酸安息香酸スルホン化物の生成が確認され
た。このスルホン化マスに60重量%硝酸10.5g
(0.1モル)を滴下したところ激しい発熱があり、反
応マスはオレンジ色のスラリーとなった。このニトロ化
マスを氷45g中に装入後、100℃に加熱して脱炭酸
を行なったところ徐々に結晶が析出した。結晶をろ別、
窒素下で風乾し、4,6−ジニトロレゾルシン9.30
g(収率93.0モル%)を得た。得られた4,6−ジ
ニトロレゾルシンの融点は211〜213℃であった。
【0043】実施例4 酢酸 50mlに2,6−ジヒドロキシ安息香酸 7.7
g(0.05モル)を加え、窒素雰囲気、室温で撹拌し
ながら60%硝酸12mlを30分かけて滴下した。反
応溶液は37℃まで昇温した。室温で2時間撹拌した
後、反応液に酢酸エチルを加え目的物を抽出した。有機
相を飽和食塩水で3回洗浄した後、溶媒を濃縮した。0
〜5℃でヘキサンを加え結晶を析出させた後、結晶をろ
別、窒素下で乾燥し、2,6−ジヒドロキシ3,5−ジ
ニトロ−安息香酸の淡黄色結晶10.58g(収率8
5.0モル%、HPLC純度98%)を得た。得られた
ジニトロ体を50重量%硫酸水中に装入し、100℃に
加熱して脱炭酸を行なったところ徐々に結晶が析出し
た。結晶をろ別、窒素下で乾燥し、4,6−ジニトロレ
ゾルシン8.08g(収率80.8モル%)を得た。得
られた4,6−ジニトロレゾルシンの融点は211〜2
13℃であった。
【0044】参考例1(4,6−ジアミノレゾルシン2
塩酸塩への変換) 実施例3と同様の操作で得られた4,6−ジニトロレゾ
ルシン20gと純水80gを装入し、80℃で1時間ス
ラッジ、熱濾過を行い黄色結晶を得、温水スラッジを再
度繰り返した。得られた結晶を窒素下で乾燥して4,6
−ジニトロレゾルシン(温水スラッジ品)18.8g
(仕込み4,6−ジニトロレゾルシンに対し収率94.
0重量%)を得た。得られた4,6−ジニトロレゾルシ
ン(温水スラッジ品)10g(0.05モル)と2%白
金カーボン(50%wet品)0.4g及び5.2%塩
酸水146.7gを200mlのハステロイC製オート
クレーブに仕込んだ。反応器内を窒素置換、水素置換し
た後に水素圧0.8MPa、反応温度60℃、攪拌速度
700rpmで水素添加反応を行なった。反応は190
分で完結し、該反応マスに塩化第一スズ0.2gを加え
た後に、濾過して触媒を除去、濃塩酸で塩酸濃度20重
量%に調整して晶析し、濾過を行い得られた白色結晶を
窒素下風乾して4,6−ジアミノレゾルシン2塩酸塩の
結晶10.69g(2,6−ジヒドロキシ安息香酸に対
し収率81.6モル%)を得た。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、一般式(1)で表され
る化合物をニトロ化剤で処理することにより、該化合物
の特定の位置に高い選択性をもってニトロ基が導入され
た一般式(3)で表される化合物を得ることができ、こ
れを脱炭酸処理することにより、4,6−ジニトロレゾ
ルシンを得ることができる。また、ニトロ化剤での処理
及び脱炭酸処理を同一反応器内で行う、いわゆるワンポ
ット法で行うことができるため製造工程が簡略化できる
という利点がある。更に、本発明によれば、一般式
(1)で表される化合物をスルホン化剤で処理すること
により、該化合物の特定の位置に高い選択性をもってス
ルホン酸基が導入された一般式(3)で表される新規化
合物が得られる。一般式(3)で表される新規化合物は
ニトロ化剤で処理した後、脱炭酸することにより4,6
−ジニトロレゾルシンを与えるため、4,6−ジアミノ
レゾルシンを製造するための中間体として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水田 秀樹 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井化学株式 会社内 (72)発明者 松崎 頼明 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井化学株式 会社内 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA02 AB84 AC13 AC51 BD70

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、Rは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル
    基を表す。)で表わされる化合物をニトロ化剤で処理し
    た後、脱炭酸処理することを特徴とする4,6−ジニト
    ロレゾルシンの製造方法。
  2. 【請求項2】一般式(2)で表される化合物及びそのア
    ルカリ金属又はアルカリ土類金属塩。 【化2】 (式中、Rは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル
    基を表す。)
  3. 【請求項3】一般式(2)で表される化合物又は、その
    アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩をニトロ化剤で処
    理した後、脱炭酸処理することを特徴とする4,6−ジ
    ニトロレゾルシンの製造方法。
JP2002112275A 2002-01-15 2002-04-15 4,6−ジニトロレゾルシンの製造方法及び新規なジヒドロキシ安息香酸類のスルホン化物及びその塩 Withdrawn JP2003277331A (ja)

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