JP2003277320A - 酢酸アリルの製造方法及び該製造方法により製造された酢酸アリル - Google Patents

酢酸アリルの製造方法及び該製造方法により製造された酢酸アリル

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JP2003277320A
JP2003277320A JP2002346903A JP2002346903A JP2003277320A JP 2003277320 A JP2003277320 A JP 2003277320A JP 2002346903 A JP2002346903 A JP 2002346903A JP 2002346903 A JP2002346903 A JP 2002346903A JP 2003277320 A JP2003277320 A JP 2003277320A
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acetic acid
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Mitsuru Tanaka
充 田中
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酢酸アリル製造用触媒の寿命をより長く安定
に保ち、よって酢酸アリル製造プロセスの長期安定運転
を目的とする。 【解決手段】 エチレンと酸素との直接反応により得ら
れたハロゲン化物と接触することのない製造方法で得ら
れた、実質的にハロゲン化物を含有することのない酢酸
を用いる酢酸アリルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエチレンと酸素とを
直接反応させて得た酢酸を用いた酢酸アリルを製造する
方法、及び該製造方法により製造された酢酸アリルに関
する。
【0002】さらに詳しくは、エチレンと酸素とを直接
反応させる実質的に反応にハロゲンが関与しない製造方
法により実質的にハロゲンを含まない酢酸を得、これを
原料として酢酸アリルを得ることを特徴とする酢酸アリ
ルの製造方法、及び該製造方法で得たことを特徴とする
酢酸アリルに関する。
【0003】
【従来の技術】酢酸アリルの製造方法としては、アリル
アルコールと酢酸とを反応させる方法(例えば特公昭4
7−38415号公報)、あるいは、プロピレン、酸素
及び酢酸とを反応させる方法(例えば特公昭47−14
208号公報、特公昭50−28934号公報、特開平
1−197457号公報)などが知られている。いずれ
の場合も、原料としての酢酸は酢酸アリルの製造方法に
とって重要である。
【0004】酢酸の代表的な工業的製造方法の一つとし
て、触媒の存在下にメタノールと一酸化炭素とを反応さ
せる方法が挙げられる。例えば、具体的には特公昭47
−3334号公報を挙げることができる。
【0005】しかし、この方法では、その酢酸製造用触
媒に塩素又は沃素等のハロゲン化物を使用するために、
反応器及び周辺機器に耐腐食性の高い高価な素材を使用
せざるを得ず、これが酢酸の製造コスト上昇の原因にな
る。
【0006】さらに、当該ハロゲン化物は酢酸アリル製
造用触媒に対して阻害効果を有することが知られており
(例えば、特公昭47−14208号公報)、酢酸アリ
ル製造用の酢酸として用いるには精製工程にて該ハロゲ
ン化物を充分に除去することが酢酸アリル製造工程の安
定的な運転に必須な条件である。その結果、酢酸の歩留
まりが低下しさらに酢酸の製造コストを引き上げること
になり、ひいては酢酸アリルの製造コストの上昇に繋が
ることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
に酢酸アリル製造用原料として用いる酢酸をより安価に
製造することで酢酸アリルの製造コストの低減を計り、
さらには実質的にハロゲン化物を含まない酢酸を原料と
して用いることで酢酸アリル製造用触媒の寿命をより長
く安定に保ち、これにより酢酸アリル製造プロセスの長
期安定運転を達成することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する方法
として、本発明者らは鋭意検討を行った。その結果、酢
酸アリル製造用の酢酸として、エチレンと酸素との直接
反応により得られたハロゲン化物と接触することのない
製造方法で得られた、実質的にハロゲン化物を含有する
ことのない酢酸を用いることにより、該ハロゲン化物に
よる酢酸アリル製造用触媒の劣化を抑え、ひいては該触
媒の寿命を延ばし、且つ該酢酸アリル製造プロセスをよ
り長期に安定して運転できることが可能になることを見
いだし本発明を完成させた。
【0009】すなわち、本発明(I)は、以下の第一工
程および第二工程を有することを特徴とする酢酸アリル
の製造方法である。 第一工程 触媒(A)の存在下、エチレンと酸素とを反応させて酢
酸を得る工程 第二工程 触媒(B)の存在下、第一工程で得た酢酸とプロピレン
と酸素とを反応させて酢酸アリルを得る工程
【0010】また、本発明(II)は、本発明(I)の
製造方法により製造されたことを特徴とする酢酸アリル
である。
【0011】さらに本発明は、例えば以下の事項からな
る。 〔1〕 以下の第一工程および第二工程を有することを
特徴とする酢酸アリルの製造方法。 第一工程 触媒(A)の存在下、エチレンと酸素とを反応させて酢
酸を得る工程 第二工程 触媒(B)の存在下、第一工程で得た酢酸とプロピレン
と酸素とを反応させて酢酸アリルを得る工程
【0012】〔2〕 第一工程及び/又は第二工程が気
相反応であることを特徴とする〔1〕に記載の酢酸アリ
ルの製造方法。
【0013】〔3〕 触媒(A)が、(a)パラジウム
及び(b)ヘテロポリ酸及び/又はその塩からなる群か
ら選ばれる少なくとも一種以上の化合物を含むことを特
徴とする〔1〕又は〔2〕のいずれかに記載の酢酸アリ
ルの製造方法。
【0014】〔4〕 (b)ヘテロポリ酸及び/又はそ
の塩からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の化合
物が、タングステン系ヘテロポリ酸及び/又はその塩で
あることを特徴とする〔3〕に記載の酢酸アリルの製造
方法。
【0015】〔5〕 タングステン系ヘテロポリ酸が、
ケイタングステン酸、ホウタングステン酸及びリンタン
グステン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種以上
であることを特徴とする〔4〕に記載の酢酸アリルの製
造方法。
【0016】〔6〕 タングステン系ヘテロポリ酸塩
が、ケイタングステン酸、ホウタングステン酸又はリン
タングステン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム
塩、セシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、銅塩及
びガリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種以
上であることを特徴とする〔4〕又は〔5〕のいずれか
に記載の酢酸アリルの製造方法。
【0017】〔7〕 第一工程の温度が、100℃〜3
00℃の範囲であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕の
いずれかに記載の酢酸アリルの製造方法。
【0018】〔8〕 第一工程の圧力が、0.0MPa
(ゲージ圧)〜3.0MPa(ゲージ圧)の範囲である
ことを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の酢
酸アリルの製造方法。
【0019】
〔9〕 水の存在下に第一工程を行うこと
を特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の酢酸ア
リルの製造方法。
【0020】〔10〕 水の濃度が、第一工程の原料ガ
スの総量に対して1容量%〜50容量%の範囲であるこ
とを特徴とする
〔9〕に記載の酢酸アリルの製造方法。
【0021】〔11〕 触媒(B)が、(c)パラジウ
ム、(d)銅、鉛、ルテニウム及びレニウムから選ばれ
る少なくとも一種以上の元素を有する化合物、及び
(e)アルカリ金属酢酸塩及びアルカリ土類金属酢酸塩
から選ばれる少なくとも一種以上の化合物を含むことを
特徴とする〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の酢酸ア
リルの製造方法。
【0022】〔12〕 (d)銅、鉛、ルテニウム及び
レニウムから選ばれる少なくとも一種以上の元素を有す
る化合物が、銅を有する化合物であることを特徴とする
〔11〕に記載の酢酸アリルの製造方法。
【0023】〔13〕 (e)アルカリ金属酢酸塩及び
アルカリ土類金属酢酸塩から選ばれる少なくとも一種以
上の化合物が、酢酸カリウムであることを特徴とする
〔11〕又は〔12〕のいずれかに記載の酢酸アリルの
製造方法。
【0024】〔14〕 第二工程の温度が、100℃〜
300℃の範囲であることを特徴とする〔1〕〜〔1
3〕のいずれかに記載の酢酸アリルの製造方法。
【0025】〔15〕 第二工程の圧力が、0.0MP
a(ゲージ圧)〜3.0MPa(ゲージ圧)の範囲であ
ることを特徴とする〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載
の酢酸アリルの製造方法。
【0026】〔16〕 〔1〕〜〔15〕のいずれかに
記載の酢酸アリルの製造方法により製造されたことを特
徴とする酢酸アリル。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。
まず本発明(I)について説明する。
【0028】本発明(I)は、以下の第一工程および第
二工程を有することを特徴とする酢酸アリルの製造方法
である。 第一工程 触媒(A)の存在下、エチレンと酸素とを反応させて酢
酸を得る工程 第二工程 触媒(B)の存在下、第一工程で得た酢酸とプロピレン
と酸素とを反応させて酢酸アリルを得る工程 まず、第一工程について説明する。
【0029】第一工程で用いるエチレンとしては特に制
限はない。エタン、メタン等の低級飽和炭化水素が混入
していても差し支えない。好ましくは、高純度のエチレ
ンを用いることができる。
【0030】また、酸素にも特に制限はない。窒素、炭
酸ガス等の不活性ガスで希釈されたもの、例えば、空気
の形でも供給できるが、反応ガスを循環させる場合に
は、一般には高純度、好適には99%以上の純度の酸素
を用いる方が有利である。
【0031】第一工程で得られる酢酸は、触媒(A)の
存在下、エチレンと酸素との反応により得られた実質的
にハロゲン化物を含有しない酢酸であれば特に制限はな
い。
【0032】エチレンと酸素との反応形式には特に制限
はなく従来公知の反応形式を選ぶことができる。一般に
は用いる触媒により最適な方法があり、その形式で行う
ことが好ましい。例えばフランス特許第1448361
号公報に開示されたパラジウム−コバルト、鉄などの金
属イオン対の酸化還元触媒を用いた反応では液相法を、
特開平7−89896号公報、特開平9−67298号
公報で開示されたパラジウムとヘテロポリ酸及び/又は
それらの塩から選ばれた少なくとも一種以上の化合物を
含有する触媒を用いた反応では気相法を選択することが
できる。好ましくは生産性の点などから工業的には気相
法である。
【0033】第一工程に用いる触媒(A)としては、ハ
ロゲン化物を含有しないものであれば特に制限はなく、
エチレンと酸素とを反応させて酢酸を得る能力のあるも
のであれば、公知の物でかまわない。好ましくは(a)
パラジウム、及び(b)ヘテロポリ酸及びその塩からな
る群から選ばれた少なくとも一種以上の化合物を含むこ
とを特徴とする触媒である。
【0034】(a)パラジウムとしては、いずれの価数
を持つものでも構わないが、好ましくは金属パラジウム
である。ここで言う「金属パラジウム」とは、0価の価
数を持つものである。金属パラジウムは、通常、2価及
び/又は4価のパラジウムイオンを、還元剤であるヒド
ラジン、水素等を用いて、還元することで得ることがで
きる。この際、全てのパラジウムが、金属状態でなくて
も構わない。
【0035】(a)パラジウムの原料に、特に制限はな
い。金属パラジウムを用いることはもちろん、金属パラ
ジウムに転化可能なパラジウム化合物を用いることも可
能である。金属パラジウムに転化可能なパラジウム化合
物の例としては、塩化パラジウム等のハロゲン化物、酢
酸パラジウム等の有機酸塩、硝酸パラジウム、酸化パラ
ジウム、硫酸パラジウム及びテトラクロロパラジウム酸
ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0036】また、(b)群化合物の一つであるヘテロ
ポリ酸としては、二種以上の無機酸素酸が縮合したもの
であれば特に制限はない。そのヘテロ原子としては、リ
ン、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、ゲルマニウム、チ
タニウム、ジルコニウム、セリウム、コバルト、及びク
ロムであり、又、ポリ原子としては、タングステン、ニ
オブ、タンタル等を挙げることができる。
【0037】ケギン型構造として知られるタングステン
系ヘテロポリ酸が実用上好ましいが、触媒上のヘテロポ
リ酸が全てこの構造を取り得なくても構わない。また、
ケギン構造以外のヘテロポリ酸としては、ウエルス−ド
ーソン型、アンダーソン−エバンス−ペアロフ構造など
が知られている。ヘテロポリ酸はまた「ポリオキソアニ
オン」、「ポリオキソ金属塩」または「酸化金属クラス
ター」として知られている。ヘテロポリ酸は、通常高分
子量、例えば500〜10000の範囲の分子量を有
し、二量体錯体、三量体錯体等、複数体錯体も含む。詳
しくは、「ポリ酸の化学 (社団法人日本化学会編、季
刊化学総説No.20、1993年)」に記載がある。
【0038】(b)群化合物として使用可能なヘテロポ
リ酸の具体例としては、 ケイタングステン酸 H4[SiW1240]・xH2O リンタングステン酸 H3[PW1240]・xH2O リンモリブデン酸 H3[PMo1240]・xH2O ケイモリブデン酸 H4[SiMo1240]・xH2O ケイバナドタングステン酸 H4+n[SiVn12-n40]・xH2O リンバナドタングステン酸 H3+n[PVn12-n40]・xH2O リンバナドモリブデン酸 H3+n[PVnMo12-n40]・xH2O ケイバナドモリブデン酸 H4+n[SiVnMo12-n40]・xH2O ケイモリブドタングステン酸 H4[SiMon12-n40]・xH2O リンモリブドタングステン酸 H3[PMon12-n40]・xH2O (式中、nは1〜11の整数であり、xは1以上の整数
である。)などを挙げることができるが、これに限定さ
れるものではない。
【0039】より具体的には、ケイタングステン酸、リ
ンタングステン酸、ホウタングステン酸を挙げることが
できる。さらに好ましくはケイタングステン酸、リンタ
ングステン酸である。
【0040】さらに(b)群化合物の一つであるヘテロ
ポリ酸の塩は、二種以上の無機酸素酸が縮合して生成し
た酸の水素原子の一部、又は全部を置換した金属塩ある
いはオニウム塩である。ヘテロポリ酸の水素原子を置換
した金属は、周期律表における1族元素、2族元素、1
1族元素、及び13族よりなる群から選ばれた少なくと
も一種以上の元素であり、又、ヘテロポリ酸のオニウム
塩としては、アンモニウムやアミン類とのアンモニウム
塩などが例示される。これらヘテロポリ酸の中でも、リ
チウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウ
ム、バリウム、銅、金、及びガリウムの金属塩が特に好
ましい。
【0041】(a)パラジウムと、(b)ヘテロポリ酸
及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種以上
の化合物の比率としては、質量比にして、(a):
(b)=1:0.01〜900が好ましく、より好まし
くは(a):(b)=1:0.2〜100の比率であ
る。
【0042】(a)パラジウムと、(b)ヘテロポリ酸
及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種以上
の化合物を含むことを特徴とする触媒には、さらに第三
の元素を含有していてもかまわない。具体的には、例え
ばモリブデン、タングステン、スズ、鉛、アンチモン、
ビスマス、セレン、テルル、クロム、マンガン、レニウ
ム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、ニッケル、
金、及び亜鉛等を挙げることができる。これらは、その
元素そのものであっても、その元素を含む化合物であっ
ても良い。また、それぞれ単独であっても、二種以上が
含まれていてもかまわない。
【0043】(a)パラジウムと第三の元素の比率とし
ては、質量比にして、(a)パラジウム:第三の元素=
1:0.001〜50が好ましく、より好ましくは
(a)パラジウム:第三の元素=1:0.01〜4の比
率である。
【0044】(a)パラジウム、及び(b)ヘテロポリ
酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種以
上の化合物を含むことを特徴とする触媒(A)の形態
は、公知のいかなる物も使用可能である。好ましくは担
持型である。
【0045】ここで用いられる担体に特に制限はない。
一般に担体として用いられている多孔質物質であれば良
い。好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、
珪藻土、モンモリロナイト又はチタニア等が挙げられ、
より好ましくはシリカである。また担体の形状には特に
制限はない。具体的には、粉末状、球状、ペレット状等
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】さらに、用いられる担体の粒子直径に特に
制限はない。好ましくは、1mm〜10mmの範囲であ
るのが好ましく、より好ましくは3mm〜8mmであ
る。管状反応器に触媒を充填して反応を行う場合、粒子
直径が1mmより小さいとガスを流通させるときに大き
な圧力損失が生じ、有効にガス循環ができなくなる恐れ
がある。また粒子直径が10mmより大きいと、触媒内
部まで反応ガスが拡散できなくなり、有効に触媒反応が
進まなくなる恐れがある。担体の細孔構造は、その細孔
直径が1nm〜1000nmにあることが好ましく、2
nm〜800nmの間がより好ましい。
【0047】(a)パラジウムと、担体の質量比は、
(a)パラジウム:担体=1:10〜1000が好まし
く、より好ましくは(a)パラジウム:担体=1:20
〜200の比率である。
【0048】(a)パラジウム、及び(b)ヘテロポリ
酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種以
上の化合物の担体への担持の方法には、特に制限はな
い。いかなる方法で行っても良く、例えば金属パラジウ
ムに転化可能なパラジウム化合物を担持する場合は、水
またはアセトンなどの適当な溶媒、塩酸、硝酸、酢酸な
どの無機酸または有機酸、或いはそれらの溶液に該パラ
ジウム化合物を溶解し、これに担体を含浸した後、乾燥
するなどの方法で担体に担持する事が可能である。
【0049】本発明(I)の第一工程において、酢酸を
製造する際の反応温度には特に制限はない。好ましく
は、100℃〜300℃であり、更に好ましくは、12
0℃〜250℃である。また、反応圧力は設備の点から
0.0MPa(ゲージ圧)〜3.0MPa(ゲージ圧)
であることが実用上有利であるが特に制限はない。より
好ましくは、0.1MPa(ゲージ圧)〜1.5MPa
(ゲージ圧)の範囲である。
【0050】本発明(I)の第一工程において用いる反
応原料ガスは、エチレンと酸素を含み、更に必要に応じ
て窒素、二酸化炭素、または、希ガスなどを稀釈剤とし
て使用することができる。反応原料ガスに対して、エチ
レンは5vol%〜80vol%、好ましくは8vol
%〜50vol%の割合となる量で、酸素は1vol%
〜15vol%、好ましくは3vol%〜12vol%
の割合となる量で酢酸生成反応器に供給する。また、触
媒によっては、水を反応ガス中に存在させることによ
り、酢酸生成活性の向上および触媒の活性維持に効果が
ある。この場合、水蒸気は反応ガス中に1vol%〜5
0vol%の範囲で含まれることが好適であり、好まし
くは5vol%〜40vol%である。
【0051】反応原料ガスについては、標準状態におい
て、空間速度10hr-1〜15000hr-1、特に、3
00hr-1〜8000hr-1で触媒(A)に通すのが好
ましい。
【0052】(a)パラジウム、及び(b)ヘテロポリ
酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種以
上の化合物を含むことを特徴とする触媒、該触媒を用い
た低級脂肪族カルボン酸、特に酢酸を得る方法に関して
は、詳しくは特開平7−89896号公報、特開平9−
67298号公報に記載がある。
【0053】酢酸の製造方法としてのメタノールと一酸
化炭素との反応では、その酢酸製造用触媒に塩素又は沃
素等のハロゲン化物を使用するため、生成酢酸中にハロ
ゲン化物が含まれる。当該ハロゲン化物は少量でも酢酸
アリル製造用触媒に対して阻害効果を有することから、
酢酸アリル製造用の酢酸として用いるには精製工程にて
該ハロゲン化物を充分に除去することが必要である。精
製方法としては、例えば、活性炭を用いた方法(特開2
001−187342号公報)や精留塔を用いた方法
(特公昭60−54294号公報)等を挙げることがで
きる。しかし、これらの精製を行うことにより酢酸の歩
留まりが低下し、これが酢酸の製造コストを引き上げる
ことになり、ひいては酢酸アリルの製造コストの上昇に
繋がることになる。
【0054】しかし、本発明(I)の第一工程の酢酸の
製造方法によれば、生成酢酸中にハロゲン化物が含まれ
ることはなく、このためハロゲン化物を除去する精製工
程は必要ない。よって酢酸アリル製造用原料として用い
る酢酸を、より安価に製造し、ひいては酢酸アリルの製
造コストをより小さくすることができる。もちろん、引
き続き行われる第二工程との間に、ハロゲン化物を除去
することを目的とする精製工程、或いはそれ以外を目的
とする精製工程があってもかまわない。
【0055】次に本発明(I)の第二工程について説明
する。第二工程は触媒(B)の存在下、第一工程で得た
酢酸とプロピレン及び酸素を反応させて酢酸アリルを得
る工程である。
【0056】第二工程に用いる酢酸は、触媒(B)の存
在下でエチレンと酸素との反応により得られた実質的に
ハロゲン化物を含有しない酢酸であれば特に制限はな
い。
【0057】また、第二工程で用いるプロピレンとして
は特に制限はない。プロパン、エタン等の低級飽和炭化
水素が混入していても差し支えない。好ましくは、高純
度のプロピレンを用いることができる。
【0058】さらに、酸素にも特に制限はない。窒素、
炭酸ガス等の不活性ガスで希釈されたもの、例えば、空
気の形として供給できるが、反応ガスを循環させる場合
には、一般には高純度、好適には99%以上の純度の酸
素を用いる方が有利である。
【0059】第二工程に用いる触媒(B)としては、プ
ロピレンと酢酸と酸素とを反応させて酢酸アリルを得る
能力があればいかなるものでもかまわない。好ましく
は、(c)パラジウム、(d)銅、鉛、ルテニウム及び
レニウムから選ばれる少なくとも一種以上の元素を有す
る化合物、及び(e)アルカリ金属酢酸塩及びアルカリ
土類金属酢酸塩から選ばれる少なくとも一種以上の化合
物を含有することを特徴とする触媒である。
【0060】(c)パラジウムとしては、いずれの価数
を持つものでも構わないが、好ましくは金属パラジウム
である。ここで言う「金属パラジウム」とは、0価の価
数を持つものである。金属パラジウムは、通常、2価及
び/又は4価のパラジウムイオンを、還元剤であるヒド
ラジン、水素等を用いて、還元することで得ることがで
きる。この際、全てのパラジウムが、金属状態でなくて
も構わない。
【0061】(c)パラジウムの原料には特に制限はな
い。金属パラジウムを用いることはもちろん、金属パラ
ジウムに転化可能なパラジウム塩を用いることも可能で
ある。金属パラジウムに転化可能なパラジウム塩の例と
しては、塩化パラジウム、塩化ナトリウムパラジウム、
硝酸パラジウム、硫酸パラジウムなどがあるがこれに限
定されるものではない。
【0062】また、(d)銅、鉛、ルテニウム及びレニ
ウムから選ばれる少なくとも一種以上の元素を有する化
合物としては、これらの元素の硝酸塩、炭酸塩、硫酸
塩、有機酸塩、ハロゲン化物などの可溶性塩を使用する
ことができる。一般には、入手しやすく、水溶性に優れ
ている塩化物が望ましい。好ましい元素としては「銅」
が挙げられる。
【0063】特に、(c)パラジウム、及び(d)銅、
鉛、ルテニウム及びレニウムから選ばれる少なくとも一
種以上の元素を有する化合物の比率としては、モル比に
して(c)パラジウム:(d)=1:0.05〜10が
好ましく、より好ましくは(c)パラジウム:(d)=
1:0.1〜5の比率である。
【0064】さらに、(e)アルカリ金属酢酸塩及びア
ルカリ土類金属酢酸塩からなる群から選ばれた少なくと
も一種以上の化合物としては、好ましくはアルカリ金属
酢酸塩であり、より具体的にはリチウム、ナトリウム、
及びカリウムの酢酸塩を挙げることができる。より好ま
しくは酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムであり、もっと
も好ましくは酢酸カリウムである。
【0065】アルカリ金属酢酸塩の担持量については特
に制限はなく、希望する担持量とするために、アルカリ
金属の酢酸塩を、例えば、水溶液または酢酸の溶液とし
て供給ガスに添加することなどのような方法によって反
応器中に加えても良い。
【0066】(c)パラジウム、(d)銅、鉛、ルテニ
ウム及びレニウムから選ばれる少なくとも一種以上の元
素を有する化合物、及び(e)アルカリ金属酢酸塩及び
アルカリ土類金属酢酸塩から選ばれる少なくとも一種以
上の化合物を含有することを特徴とする触媒(B)の形
態には特に制限はなく、公知のいかなる物も使用可能で
ある。好ましくは担持型である。
【0067】ここで用いられる担体に特に制限はない。
一般に担体として用いられている多孔質物質であれば良
い。好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、
珪藻土、モンモリロナイト又はチタニア等が挙げられ、
より好ましくはシリカである。また担体の形状には特に
制限はない。具体的には、粉末状、球状、ペレット状等
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0068】担体と(c)パラジウムの比率としては、
質量比にして、担体:(c)パラジウム=1:0.1〜
5.0の比率が好ましく、より好ましくは、担体:
(c)パラジウム=1:0.3〜1.0の比率である。
【0069】さらに、用いられる担体の粒子直径に特に
制限はない。好ましくは、1mm〜10mmの範囲であ
るのが好ましく、より好ましくは3mm〜8mmであ
る。管状反応器に触媒を充填して反応を行う場合、粒子
直径が1mmより小さいとガスを流通させるときに大き
な圧力損失が生じ、有効にガス循環ができなくなる恐れ
がある。また粒子直径が10mmより大きいと、触媒内
部まで反応ガスが拡散できなくなり、有効に触媒反応が
進まなくなる恐れがある。担体の細孔構造は、その細孔
直径が1nm〜1000nmにあることが好ましく、2
nm〜800nmの間がより好ましい。
【0070】(c)パラジウム、(d)銅、鉛、ルテニ
ウム及びレニウムから選ばれる少なくとも一種以上の元
素を有する化合物、及び(e)アルカリ金属酢酸塩及び
アルカリ土類金属酢酸塩から選ばれる少なくとも一種以
上の化合物の担体への担持の方法には、特に制限はな
い。公知のいかなる方法で行っても良い。
【0071】具体的には例えば、パラジウム塩及び
(d)銅、鉛、ルテニウム及びレニウムから選ばれる少
なくとも一種以上の元素を有する化合物の水溶液を担体
に含浸させた後、アルカリ金属塩の水溶液で処理する。
触媒液が含浸された担体を乾燥することなくアルカリ処
理をする。アルカリ金属塩水溶液による処理時間は、触
媒液が含浸された担体に含まれる触媒成分の塩が水に不
溶な化合物に完全に変換されるのに必要な時間であり通
常20時間程度で十分である。
【0072】次に、触媒担体の表面層に沈殿された触媒
成分金属の水酸化物を還元剤で処理する。還元は通常、
例えば、ヒドラジンまたはホルマリンのような還元剤の
添加により、液相において行われる。その後、塩素イオ
ンが検出されなくなるまで水洗し、乾燥後、アルカリ金
属酢酸塩を担持し、さらに乾燥する。以上のような方法
で担持する事が可能である。もちろんこれに限定される
わけではない。
【0073】触媒(B)の存在下に、酢酸、プロピレン
及び酸素との反応を行う際の反応形式には特に制限はな
く、従来公知の反応形式を選ぶことができる。一般には
用いる触媒に最適な方法があり、その形式で行うことが
好ましい。具体的には、例えば触媒(B)に、(c)パ
ラジウム、(d)銅、鉛、ルテニウム及びレニウムから
選ばれる少なくとも一種以上の元素を有する化合物及び
(e)アルカリ金属酢酸塩及びアルカリ土類金属酢酸塩
からなる群から選ばれた少なくとも一種以上の化合物を
含有することを特徴とする触媒を用いる場合は、当該触
媒(B)を反応器に充填した固定床流通反応を採用する
ことが実用上有利である。
【0074】反応器の材質については特に制限はない
が、好ましくは耐食性を有する材料で構成された反応器
である。
【0075】第二工程において、酢酸アリルを製造する
際の反応温度に特に制限はない。好ましくは、100℃
〜300℃であり、更に好ましくは、120℃〜250
℃である。また、反応圧力は設備の点から0.0MPa
(ゲージ圧)〜3.0MPa(ゲージ圧)であることが
実用上有利であるが特に制限はない。より好ましくは、
0.1MPa(ゲージ圧)〜1.5MPa(ゲージ圧)
の範囲である。
【0076】第二工程において用いる反応原料ガスは、
酢酸、プロピレン及び酸素とを含み、更に必要に応じて
窒素、二酸化炭素、または、希ガスなどを稀釈剤として
使用することができる。反応原料ガス全量に対して、酢
酸は4vol%〜20vol%、好ましくは6vol%
〜10vol%の割合となる量で、プロピレンは5vo
l%〜50vol%、好ましくは10vol%〜40v
ol%の割合となる量で、また酸素は3vol%〜15
vol%、好ましくは5vol%〜10vol%の割合
となる量で、酢酸アリル生成反応器に供給する。
【0077】特に、酢酸、プロピレン、酸素の比率とし
ては、モル比にして酢酸:プロピレン:酸素=1:0.
25〜13:0.15〜4の比率が好ましく、より好ま
しくは、酢酸:プロピレン:酸素=1:1〜7:0.5
〜2の比率である。
【0078】反応原料ガスについては、標準状態におい
て、空間速度10hr-1〜15000hr-1、特に、3
00hr-1〜8000hr-1で触媒(B)に通すのが好
ましい。
【0079】次に本発明(II)について説明する。本
発明(II)は、本発明(I)の酢酸アリルの製造方法
により製造されたことを特徴とする酢酸アリルである。
【0080】本発明(I)の酢酸アリルは、触媒(A)
の存在下にエチレンと酸素との直接反応により得られた
実質的にハロゲン化物の存在しない酢酸を原料として用
いる製造方法により得られる物である。
【0081】触媒(A)の存在下にエチレンと酸素とを
反応させて得た酢酸は、従来のメタノールと一酸化炭素
との反応による方法と異なり、原料、あるいは、触媒系
から直接酢酸にハロゲン化物が持ち込まれることがな
い。
【0082】この酢酸を原料として酢酸アリルを製造す
ることにより、ハロゲン化物による酢酸アリル製造用触
媒(B)の劣化を抑え生産性を向上するとともに、ひい
ては、該触媒寿命を延ばし、かつ該酢酸アリル製造プロ
セスをより長期に安定して運転することができる。
【0083】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細な説
明行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0084】反応器出口ガスの分析は、以下の方法を用
いて行った。1.プロピレン 分析は絶対検量線法を用い、分析は流出ガスを50ml
採取し、ガスクロマトグラフィーに付属した1mlのガ
スサンプラーに全量流し、以下の条件で分析を行った。 ガスクロマトグラフィー:島津ガスクロマトグラフ用ガ
スサンプラー(MGS−4;計量管1.5ml)付ガス
クロマトグラフィー(島津製作所製GC−7B) カラム:パックドカラムUnibeads IS 長さ
3m キャリアーガス:ヘリウム(流量35ml/min) 温度条件:検出器温度が100℃及び気化室温度が14
0℃、カラム温度は140℃で一定 検出器:TCD(He圧125kPaG、Curren
t 125mA)
【0085】2.酸素 分析は絶対検量線法を用い、分析は流出ガスを50ml
採取し、ガスクロマトグラフィーに付属した1mlのガ
スサンプラーに全量流し、以下の条件で分析を行った。 ガスクロマトグラフィー:島津ガスクロマトグラフ用ガ
スサンプラー(MGS−4;計量管1ml)付ガスクロ
マトグラフィー(島津製作所製GC−14B) カラム:MS−5A IS 60/80mesh(3m
mφ×3m) キャリアーガス:ヘリウム(流量20ml/min) 温度条件:検出器及び気化室温度が110℃、カラム温
度は70℃一定 検出器:TCD(He圧70kPaG、Current
100mA)
【0086】3.酢酸 分析は内部標準法を用い、反応液10mlに対し、内部
標準として1,4−ジオキサンを1ml添加したものを
分析液として、その内の0.2μlを注入して行った。 ガスクロマトグラフィー:島津製作所GC−14B カラム:パックドカラムThermon3000(長さ
3m、内径0.3mm)キャリアーガス:窒素(流量2
0ml/min) 温度条件:検出器及び気化室温度は180℃で一定と
し、カラム温度は分析開始から6分間は50℃に保持
し、その後10℃/minの昇温速度で150℃まで昇
温し、150℃で10分間保持 検出器:FID(H2圧40kPaG、空気圧100k
PaG)
【0087】4.酢酸アリル 分析は内部標準法を用い、反応液25gに対し、内部標
準として酢酸ペンチルを1g添加したものを分析液とし
て、その内の0.3μlを注入して行った。 ガスクロマトグラフィー:島津製作所GC−9A カラム:キャピラリーカラムTC−WAX(長さ30
m、内径0.25mm、膜厚0.5μm) キャリアーガス:窒素(流量30ml/min) 温度条件:検出器及び気化室温度は200℃で一定と
し、カラム温度は分析開始から2分間は45℃に保持
し、その後4℃/minの昇温速度で130℃まで昇温
し、130℃で15分間保持し、その後25℃/min
の昇温速度で200℃まで昇温し、200℃で10分間
保持 検出器:FID(H2圧60kPaG、空気圧100k
PaG)
【0088】酢酸製造用触媒(A)の製造方法 テトラクロロパラジウム酸ナトリウム2.81g、塩化
金酸1.05g、及び塩化亜鉛0.1402gを計りと
り、ここに純水を加えて溶解し45mlとし、水溶液
(1)を調製した。シリカ担体(ズードヘミー社製KA
−1担体、5mmφ)69.6gを水溶液(1)を調製
したビーカーに加え、水溶液(1)の全量をシリカ担体
に吸水した。
【0089】別のビーカーにメタケイ酸ナトリウム8.
00gを計り取り、ここに純水100gを加え溶解し水
溶液(2)を調製した。水溶液(1)を吸収したシリカ
担体を、水溶液(2)を調製したビーカーに加え、室温
下で20時間静置した。次いでこれに、撹拌しつつ室温
下で徐々にヒドラジン一水和物8.00gを加えた。ヒ
ドラジン1水和物を添加した後4時間撹拌した。その後
触媒を濾取し40時間、純水を流通させ洗浄した後、空
気気流下110℃で4時間乾燥した。
【0090】次に、亜テルル酸ナトリウム0.266g
を計り取り、ここに純水45gを加えて水溶液(3)を
調製した。上記金属パラジウム担持触媒を水溶液(3)
に加え水溶液(3)の全量を吸収させた。その後、空気
気流下110℃4時間乾燥して、テルル添加金属パラジ
ウム担持触媒を得た。
【0091】更に別のビーカーに、ケイタングステン酸
26水和物23.98gを計り取り、ここに純水を加え
溶解し45mlとし、水溶液(4)を調製した。酸性溶
液で洗浄した金属パラジウム担持触媒を、水溶液(4)
を調製したビーカーに加え、水溶液(4)の全量を吸収
した。その後、空気気流下110℃で4時間乾燥して、
酢酸製造用触媒(A)を得た。
【0092】酢酸アリル製造用触媒(B)の製造方法 テトラクロロパラジウム酸ナトリウム(Na2PdC
4)0.912gと塩化銅(CuCl2)0.104g
を含有する水溶液36ml(担体の吸水量の90%相
当)に、粒径5mmのシリカ担体100mlを加え、溶
液を完全に含浸させた。次にこれを水酸化ナトリウム
(NaOH)0.519gを含有する水溶液80ml
(担体の吸水量の2倍相当)に添加し、室温で20時
間、アルカリ処理した後、ヒドラジンヒドラートを加え
て還元処理した。還元後、触媒を塩素イオンが認められ
なくなるまで水洗し、次いで110℃で4時間乾燥後、
酢酸カリウム(KOAc)3gを含有する水溶液36m
l中に投入し、全容液を吸収させた後、再び110℃で
20時間乾燥して酢酸アリル製造用触媒(B)を得た。
【0093】実施例1 酢酸製造用触媒(A)の製造方法で得た酢酸製造用触媒
(A)66m3を充填した酢酸製造用反応器に、エチレ
ン4,390kg/hr、酸素5,319kg/hrを
反応温度184℃、反応圧力0.79MPaG、酢酸製
造用反応器入口での水濃度30.4vol%、空間速度
1,961hr-1の条件下で流通して反応を行った。酢
酸製造用反応器の出口ガスの流量は以下の通りであっ
た。
【0094】 エチレン 9,800kg/hr 酸素 6,838kg/hr 酢酸 8,866kg/hr
【0095】この酢酸製造用反応器出口ガスから気液分
離器によりエチレン、酸素、炭酸ガスを非凝縮性物質と
して分離し、残った凝集性物質である酢酸、水、アクリ
ル酸、その他を蒸留及び抽出操作により、最終的に酢酸
純度99.9質量%の反応液(1)を8,875kg/
hrで得た。
【0096】次に、酢酸アリル製造用触媒(B)の製造
方法で得た酢酸アリル製造用触媒(B)30m3を充填
した酢酸アリル製造用反応器に、反応液(1)6,74
6kg/hr、プロピレン26,074kg/hr、酸
素4,889kg/hrを反応温度158.8℃、反応
圧力0.75MPaG、酢酸アリル反応器入口での水濃
度14.0vol%、空間速度1,507hr-1の条件
下で流通して反応を行った。酢酸アリル製造用反応器の
出口ガスの流量は以下の通りであった。
【0097】 プロピレン 22,736kg/hr 酸素 3,103kg/hr 酢酸アリル 7,745kg/hr 酢酸 2,226kg/hr
【0098】比較例1 特公昭60−54294号公報の例1及び例2に記載の
酢酸の精製方法を用いて、酢酸中の沃素濃度が20pp
b以下の酢酸純度99.9%以上の反応液(2)を2
0.34kg/hrで得た。
【0099】次に、酢酸アリル製造用触媒(B)の製造
方法で得た酢酸アリル製造用触媒(B)0.05m3
充填した酢酸アリル製造用反応器に、実施例1に記載の
酢酸アリル製造方法の反応ガス組成が同一となるように
反応液(2)10.37kg/hr、プロピレン43.
46kg/hr、酸素8.15kg/hrを反応温度1
58.8℃、反応圧力0.75MPaG、酢酸アリル反
応器入口での水濃度14.0vol%、空間速度1,5
07hr-1の条件下で流通して反応を行った。酢酸アリ
ル製造用反応器の出口ガスの流量は以下の通りであっ
た。
【0100】 プロピレン 38.28kg/hr 酸素 5.25kg/hr 酢酸アリル 11.93kg/hr 酢酸 3.42kg/hr
【0101】酢酸アリル製造用の酢酸原料として、実施
例1に記載の反応液(1)と比較例1に記載の反応液
(2)を用いた場合の酢酸アリル製造用触媒(B)1m
3当たりの酢酸アリル製造量を比較する。反応液(1)
を用いた場合は258.2kg/m3hrであり、反応
液(2)を用いた場合は238.6kg/m3hrであ
った。本発明により製造した反応液(1)を酢酸アリル
製造用の酢酸原料に用いることで、酢酸アリル製造用触
媒(B)の1m3当たりの酢酸製造量が約19.6kg
/m3hr向上することを確認した。
【0102】
【発明の効果】本発明、すなわち実質的にハロゲン化物
を含有しない酢酸を得、これを原料としてプロピレンと
酸素とから酢酸アリルを得る製造方法により、酢酸アリ
ル製造用触媒の活性を長く維持し生産性を向上すること
が可能になることは明かである。また、酢酸アリル製造
用触媒の触媒毒となるハロゲン化物を実質的に含まない
酢酸を原料として用いることから、当該プロセスを安定
して維持することが可能となることも明かである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC46 AC48 BA02 BA05 BA06 BA14 BA19 BA23 BA25 BA27 BA30 BA32 BC10 BC11 BE30 4H039 CA65 CA66 CC30 CC40 CD10 CD30 CL25

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の第一工程および第二工程を有する
    ことを特徴とする酢酸アリルの製造方法。 第一工程 触媒(A)の存在下、エチレンと酸素とを反応させて酢
    酸を得る工程 第二工程 触媒(B)の存在下、第一工程で得た酢酸とプロピレン
    と酸素とを反応させて酢酸アリルを得る工程
  2. 【請求項2】 第一工程及び/又は第二工程が気相反応
    であることを特徴とする請求項1に記載の酢酸アリルの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 触媒(A)が、(a)パラジウム及び
    (b)ヘテロポリ酸及び/又はその塩からなる群から選
    ばれる少なくとも一種以上の化合物を含むことを特徴と
    する請求項1又は請求項2のいずれかに記載の酢酸アリ
    ルの製造方法。
  4. 【請求項4】 (b)ヘテロポリ酸及び/又はその塩か
    らなる群から選ばれる少なくとも一種以上の化合物が、
    タングステン系ヘテロポリ酸及び/又はその塩であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の酢酸アリルの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 タングステン系ヘテロポリ酸が、ケイタ
    ングステン酸、ホウタングステン酸及びリンタングステ
    ン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種以上である
    ことを特徴とする請求項4に記載の酢酸アリルの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 タングステン系ヘテロポリ酸塩が、ケイ
    タングステン酸、ホウタングステン酸又はリンタングス
    テン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシ
    ウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、銅塩及びガリウ
    ム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種以上である
    ことを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれかに記
    載の酢酸アリルの製造方法。
  7. 【請求項7】 第一工程の温度が、100℃〜300℃
    の範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項6のい
    ずれかに記載の酢酸アリルの製造方法。
  8. 【請求項8】 第一工程の圧力が、0.0MPa(ゲー
    ジ圧)〜3.0MPa(ゲージ圧)の範囲であることを
    特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の酢酸
    アリルの製造方法。
  9. 【請求項9】 水の存在下に第一工程を行うことを特徴
    とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の酢酸アリ
    ルの製造方法。
  10. 【請求項10】 水の濃度が、第一工程の原料ガスの総
    量に対して1容量%〜50容量%の範囲であることを特
    徴とする請求項9に記載の酢酸アリルの製造方法。
  11. 【請求項11】 触媒(B)が、(c)パラジウム、
    (d)銅、鉛、ルテニウム及びレニウムから選ばれる少
    なくとも一種以上の元素を有する化合物、及び(e)ア
    ルカリ金属酢酸塩及びアルカリ土類金属酢酸塩から選ば
    れる少なくとも一種以上の化合物を含むことを特徴とす
    る請求項1〜請求項10のいずれかに記載の酢酸アリル
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 (d)銅、鉛、ルテニウム及びレニウ
    ムから選ばれる少なくとも一種以上の元素を有する化合
    物が、銅を有する化合物であることを特徴とする請求項
    11に記載の酢酸アリルの製造方法。
  13. 【請求項13】 (e)アルカリ金属酢酸塩及びアルカ
    リ土類金属酢酸塩から選ばれる少なくとも一種以上の化
    合物が、酢酸カリウムであることを特徴とする請求項1
    1又は請求項12のいずれかに記載の酢酸アリルの製造
    方法。
  14. 【請求項14】 第二工程の温度が、100℃〜300
    ℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項13
    のいずれかに記載の酢酸アリルの製造方法。
  15. 【請求項15】 第二工程の圧力が、0.0MPa(ゲ
    ージ圧)〜3.0MPa(ゲージ圧)の範囲であること
    を特徴とする請求項1〜請求項14のいずれかに記載の
    酢酸アリルの製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜請求項15のいずれかに記
    載の酢酸アリルの製造方法により製造されたことを特徴
    とする酢酸アリル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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