JP2003277189A - 単結晶コバルトフェライト微粒子粉末およびその製造方法 - Google Patents

単結晶コバルトフェライト微粒子粉末およびその製造方法

Info

Publication number
JP2003277189A
JP2003277189A JP2002078157A JP2002078157A JP2003277189A JP 2003277189 A JP2003277189 A JP 2003277189A JP 2002078157 A JP2002078157 A JP 2002078157A JP 2002078157 A JP2002078157 A JP 2002078157A JP 2003277189 A JP2003277189 A JP 2003277189A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cobalt ferrite
aqueous solution
fine particle
particle powder
ferrite fine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002078157A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4138344B2 (ja
Inventor
Kazuyuki Taji
和幸 田路
Yuichi Sasaki
勇一 佐々木
Motohisa Mizuno
幹久 水野
Hiroshi Iwasaki
洋 岩崎
Makoto Inoue
誠 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2002078157A priority Critical patent/JP4138344B2/ja
Publication of JP2003277189A publication Critical patent/JP2003277189A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4138344B2 publication Critical patent/JP4138344B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 永久磁石、磁気記録媒体、磁気デバイス等に
応用可能な平均粒子サイズが0.1μm以下で、室温に
て高保磁力を有し、単結晶のコバルトフェライト粉末を
提供する。 【解決手段】 単結晶コバルトフェライト微粒子粉末
は、平均結晶サイズが20〜50nmであり、保磁力が
室温で158kA/m以上である。金属イオンとしてF
3+イオンおよびCo2+イオンを含む水溶液を作成(1
01)し、また強アルカリ水溶液を作成して(10
2)、80℃以上に加熱しておき(103)、それら両
者を混合する(104)ことによってコバルトフェライ
ト微粒子粉末を析出(105)させるに際し、混合する
金属イオンと水酸イオンとのモル比([金属イオン]/
[OH-])を0.1〜0.4とし、強アルカリ水溶液
中に、金属イオンを含む水溶液を0.1mol/min
以下の速度で添加・混合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単結晶でかつ高保
磁力を有するコバルトフェライト微細粉末およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コバルトフェライト粉末は、スピネル型
フェライトの中でも結晶磁気異方性が大きく、保磁力の
大きい磁性材料として知られており、実際にこの焼結体
は永久磁石として用いられている。また、これを0.1
μm以下の微細粉末にすれば磁気記録媒体用の磁性材料
としても有用である。一般にコバルトフェライトの粉末
を得る方法としては、構成元素の金属酸化物、オキシ水
酸化物、および炭酸塩などをボールミルなどを用いて混
合し、数百℃以上の高温で熱処理する方法が広く行われ
ている。この乾式法によって得られる粉末は工程中で不
純物が混入しやすく、結晶内での金属元素の分布も不均
一である場合が多い。また、粉砕することによって粉末
を得るため、粒子の形状が不均一で、粒度分布も広いも
のとなる。得られる粉末のサイズも0.1μm程度が限
度である。一方、微細なコバルトフェライトを得る方法
としては、Fe3+イオンとCo2+イオンを含む水溶液を
アルカリ水溶液と混合する共沈法が知られており、例え
ばT. Sato, IEEE Transactions on Magnetics, Vol. MA
G-6, No. 4, 795-799 (1970)にその方法が記載されて
いる。しかしながら、既知の方法で得られる粉末の平均
サイズは20nm以下であることから、超常磁性粒子が
大半を占め、室温での保磁力は47.4kA/mに満た
ない。このように従来から知られる共沈法からは粒子径
が小さく、158kA/mを超える粉体は得ることは難
しかった。
【0003】また、Fe2+、Co2+の金属塩水溶液を出
発原料とし、煮沸させた強アルカリ水溶液に混合させる
方法によってもコバルトフェライト粉末を得ることがで
きる。該方法ではFe2+→Fe3+の酸化を伴うため、反
応が緩やかに進行するので比較的粒径の大きな粉末が生
成する。この合成法に関しては例えばApp. Phys. Lett.
69(18) p.2761に記載されている。得られる粉末の保磁
力は198kA/m以上と高い値を示すものの、平均粒
径はサブミクロンサイズで強固に凝集したものであり、
昨今の磁気記録媒体用の磁性材料としては適さない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の如く従来法で
は、平均粒子サイズが0.1μm以下で高保磁力を有
し、かつ結晶性の高い単結晶のコバルトフェライト粉末
を製造することが難しかった。本発明はこのような課題
に鑑みてなされたものであり、その目的は、永久磁石、
磁気記録媒体、磁気デバイス等に応用可能なコバルトフ
ェライト粉末及びその製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
平均結晶サイズが20〜50nmであり、保磁力が室温
で158kA/m以上であることを特徴とする単結晶コ
バルトフェライト微粒子粉末である。この構成による単
結晶コバルトフェライト微粒子粉末は、平均結晶サイズ
が数十nmで、室温において高い保磁力を有するので、
永久磁石、磁気記録媒体、磁気デバイスなどに応用可能
な単結晶コバルトフェライト微粒子粉末を提供できる。
【0006】請求項2に係る発明は、金属イオンとして
Fe3+イオンおよびCo2+イオンを含む水溶液と強アル
カリ水溶液とを混合することによってコバルトフェライ
ト微粒子粉末を生成する共沈法による単結晶コバルトフ
ェライト微粒子粉末の製造方法であって、金属イオンと
水酸イオンとのモル比([金属イオン]/[OH-])
を0.1〜0.4とし、溶液温度を80℃以上に保持さ
れた強アルカリ水溶液中に金属イオンを含む水溶液を
0.1mol/min以下の速度で添加・混合して単結
晶コバルトフェライト微粒子粉末を得ることを特徴とす
る単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の製造方法であ
る。この構成によって、平均結晶サイズが単磁区のサイ
ズに近く、室温において高い保磁力を有する単結晶コバ
ルトフェライト微粒子粉末を効率的に製造する方法が可
能となる。
【0007】請求項3に係る発明は、金属イオンとして
Fe3+イオンおよびCo2+イオンを含む水溶液と強アル
カリ水溶液とを混合することによってコバルトフェライ
ト微粒子粉末を生成する共沈法による単結晶コバルトフ
ェライト微粒子粉末の製造方法であって、金属イオンと
水酸イオンとのモル比([金属イオン]/[OH-])
を0.1〜0.4とし、溶液温度を80℃以上に保持さ
れた強アルカリ水溶液と金属イオンを含む水溶液とを混
合して種結晶コバルトフェライト微粒子粉末を得る第1
の工程と、得られた種結晶コバルトフェライト微粒子粉
末を強アルカリ水溶液と混合して80℃以上に保持し、
金属イオンを含む水溶液を前記混合液中に0.1mol
/min以下の速度で添加・混合して単結晶コバルトフ
ェライト微粒子粉末を得る第2の工程と、を備えたこと
を特徴とする単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の製
造方法である。この構成によって、単結晶コバルトフェ
ライト微粒子粉末を製造する際、種結晶を作製する第1
の工程と、新たな核生成反応を抑えながら該種結晶の表
面に析出反応を起こさせる第2の工程とを備えるため、
良好な結晶の成長を促すことができ、高い結晶性の単結
晶を、あらゆる粒径でサイズコントロールが可能であ
り、所望の粒径を有する単結晶コバルトフェライト微粒
子粉末を効率的に製造する方法が可能となる。
【0008】請求項4に係る発明は、請求項3に記載の
単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の製造方法におい
て、前記第2の工程を複数回行うことを特徴とする。こ
の構成によって、請求項3に記載の第2の工程を繰り返
すため、所望の粒径を得るためのサイズコントロールが
さらに精密になり、室温において高い保磁力を有する単
結晶コバルトフェライト微粒子粉末を、さらに効率的に
製造する方法が可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は従来の共沈法の問題点を
改良したものであり、以下の(1)および(2)に示す方法に
よって達成される。 (1)第1の実施の形態 図1は、本発明にかかるコバルトフェライト微粒子の製
造方法の第1の実施の形態を示すフロー図である。図中
の符号は各ステップを表す。図1に示すようにまず、F
3+とCo2+とを含む金属塩水溶液を作製する(10
1)。そして、強アルカリ水溶液を作製(102)し、
そのアルカリ水溶液を80℃以上に加熱・保持(10
3)する。その状態で、金属塩水溶液を0.1mol/
min以下の速度にて、強アルカリ水溶液中に混合する
(104)。混合速度はさらに好適には、0.01mo
l/min以下である。ここで金属イオンと水酸イオン
とのモル比(金属イオン/OH-)は0.1から0.4
であるようにする。また、混合は、連続的に行うことが
望ましい。金属塩としては、例えば塩化物、硫酸塩、酢
酸塩、炭酸塩等が挙げられる。強アルカリ水溶液に用い
られるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等が挙げられる。
【0010】強アルカリ水溶液中への金属イオン水溶液
の混合速度を上記のように制限することによって、核発
生と結晶成長の明確な分離を可能にし、所望のサイズの
単結晶コバルトフェライト粉末が得られる(105)。
混合速度の制御は、溶液中のコバルトフェライト粒子の
過飽和度の制御を担っている。
【0011】混合速度が0.1mol/minよりも速
い場合には、核の発生が支配的になり、従って結晶成長
が不十分で、高保磁力の粉体を得ることができない。粒
子サイズは、混合する金属イオン水溶液の量、濃度とそ
の混合速度などによって決定される。金属イオンの量を
多くすれば、結晶を大きくすることが可能である。また
強アルカリ水溶液と金属塩水溶液との混合の際の反応温
度は、結晶成長速度に影響を及ぼす因子であり、一般に
温度が高くなるにつれて、成長速度が大きくなり粒子サ
イズは増大する。本発明においては、80℃以上で反応
させることが好適である。
【0012】金属イオン/OH-比は0.1から0.4
の範囲であるならば、コバルトフェライトが析出する条
件を満たす。この範囲においては、pHが高くなる条件
の方が大きな粒子、すなわち、高保磁力を有する粒子が
含まれる割合が高くなる。これはオストワルド熟成によ
って微粒径の粒子または核が溶解し、大粒径の粒子表面
での結晶化が起こることによる。しかし、金属イオン/
OH-比が0.1より低い場合には、反応中間体からコ
バルトが選択的に溶解するため、最終生成物に常磁性の
水酸化鉄が含まれる結果となる。一方、金属イオン/O
-比が0.4より高い場合には水酸化物が安定であ
り、コバルトフェライトが生成しない。
【0013】(2)第2の実施の形態 図2は、本発明にかかるコバルトフェライト微粒子の製
造方法の他の実施の形態を示すフロー図である。図中の
符号は各ステップを表す。図2に示すようにまず、Fe
3+とCo2+とを含む金属塩水溶液を作製する(20
1)。そして、強アルカリ水溶液を作製(202)し、
そのアルカリ水溶液を80℃以上に加熱・保持(20
3)する。次いで金属塩水溶液を素速く強アルカリ水溶
液中に混合する(204)。こうして、種結晶コバルト
フェライト粉末を得る(205)(請求項3の第1の工
程)。このとき得られたコバルトフェライト粉末の平均
粒子サイズは20nm以下であり、これは、さらに結晶
を成長させるための種結晶として用いられる。上述の種
結晶を適当な重量比となるように未乾燥のうちに、加熱
した強アルカリ水溶液(206)中に入れて混合し(2
07)、さらに該強アルカリ水溶液に上記2種の金属イ
オンを含む水溶液(208)を0.1mol/min以
下の混合速度の条件にて混合(209)すると、粉末の
表面において結晶が成長していく。ここで、混合速度は
さらに好適には、0.01mol/min以下である。
また、ここでは連続的に混合することが望ましい。強ア
ルカリ水溶液の温度は80°以上であることが望まし
い。こうして、所望のサイズのコバルトフェライト粉末
が得られる(210)(請求項3の第2の工程)。上記
第1および第2の工程における金属イオンと水酸イオン
とのモル比(金属イオン/OH-)は0.1から0.4
であるようにする。また金属塩の種類、アルカリ剤の種
類としては第1の実施の形態と同様のものを用いること
ができる。さらに、得られた析出微粒子をさらに種結晶
として、強アルカリ水溶液中に再び入れ、上述した金属
塩水溶液中に所望の速度で添加・混合し結晶を成長させ
る工程を複数回繰り返して行い、この繰り返しによって
粉末を所望のサイズに成長させることも可能である(請
求項4)。
【0014】種結晶を成長させ粒子を得る従来の方法で
は、種結晶を金属イオンの溶液中に展開し、アルカリ溶
液を加える。これは瞬時に反応が起こり終了するため、
結晶成長が起こりにくい。それに対して本発明の場合、
種結晶がアルカリ溶液中に均一に分散された後に、金属
イオン溶液が0.1mol/min以下で添加される。
こうして、粒子表面は水酸化物で覆われているが、金属
イオンが新たな核生成反応が起こらない濃度の状態で接
触した際に、表面において析出反応が起こるため結晶が
成長する。また、この手法は(a)高い結晶性の単結晶
が得られる、(b)単磁区の限界(70nm)以下のあ
らゆる粒径でサイズコントロールが可能である、という
点も特徴的である。
【0015】上記(1)、(2)の何れの方法によって
も、平均結晶サイズが20から50nmで、保磁力が1
58kA/m以上のコバルトフェライト微粒子が得られ
る。このコバルトフェライト微粒子粉末の組成は、Co
xFe(3−x)4の構造式においてx=0.6〜1.0で
ある。この範囲にあれば高い結晶磁気異方性を示し、保
磁力の高い粉体が得られる。この組成は、金属塩水溶液
に含まれるFe3+とCo2+の比によって決定され、仕込
み組成比とほぼ同じ割合でコバルトフェライト粉末に含
有される。フェライト粉末の組成ずれや不均一性をなく
すためには、高速攪拌することが好ましい。特に制約は
ないが、溶液が激しく流動する条件であれば良い。
【0016】また、上記(1)、(2)の方法によって製造さ
れた粒子には一般に広い粒度分布があるため、好ましく
は化学的な手法によるサイズ選別を行う。例えば、最も
簡便な方法としては以下の方法が挙げられる。即ち粉末
を含む水溶液中にオレイン酸ナトリウムを加え、該界面
活性剤によって表面を修飾し、乾燥後、非極性溶媒中に
混合する。浮遊し、分散する成分はサイズが小さいもの
からなり、主として超常磁性体から構成されるので、こ
れを除去すれば粒度分布をシャープにできる。つまり、
沈降成分のみを抽出すれば粒度の比較的揃った強磁性粒
子を得ることが可能である。なお、サイズ選別の方法は
上記の方法に限らず当該分野で知られている全ての方法
が適用できる。
【0017】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明の内容を説明す
るが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 (実施例1)0.5M NaOH溶液1.5(l)を95
℃に加熱し、プロペラ攪拌機にて700rpmの速度で
攪拌しながら、0.1MのFeCl3および0.05M
のCoCl2を含む水溶液を5ml/minの速度で滴
下した。総滴下量は0.8(l)である。その後3時間温
度を保持したまま、攪拌を続け濃茶色の沈殿を得た。p
Hは反応終了後において12以上であった。沈殿を洗
浄、乾燥して得られた粉末はX線回折によりコバルトフ
ェライト単相であることを確認した。また、TEMによ
り観察した結果、約30nmの立方体粒子が存在してい
ることが分かった。さらに、HRTEMにより観察した
結果、粒子は単結晶であることがわかった。そして、V
SM(試料振動型磁力計)により求めた粉体の室温での
飽和磁化は40emu/g、保磁力は198kA/mで
あった(最大磁場1185kA/m)。
【0018】(実施例2)0.5M NaOH溶液1.
5(l)を95℃に加熱し、プロペラ攪拌機にて700r
pmの速度で攪拌しながら、0.1MのFeCl3およ
び0.05MのCoCl2を含む水溶液0.8(l)を瞬
時(約10秒間)に混合した。この場合、添加速度に換
算すると約0.72mol/minである。その後3時
間温度を保持したまま、攪拌を続け濃茶色の沈殿を得
た。pHは反応終了後において12以上であった。ここ
で沈殿を乾燥して得られた粉末はX線回折によりコバル
トフェライト単相であることが確認された。TEMによ
り観察された粒径は15nm以下であり、室温での飽和
磁化は65emu/g、保磁力は44.2kA/mであ
った。続いて、上記の如くに得られた未乾燥の沈殿0.
04molを種結晶として用いて、95℃に加熱した
0.5M NaOH水溶液1.5(l)に添加し、プロペ
ラ攪拌機にて700rpmの速度で攪拌しながら、0.
1MのFeCl3および0.05MのCoCl2を含む水
溶液0.8(l)を5ml/minの速度で混合した。そ
の後3時間温度を保持したまま、攪拌を続けた。pHは
反応終了後において12以上であった。得られた沈殿を
洗浄、乾燥しX線回折によって結晶構造を調べた結果、
コバルトフェライト単相であることが判明した。TEM
観察から約40nmの粒子が認められた。HRTEMに
より詳細に観察した結果、単結晶であることが分かっ
た。VSMにより求めた室温の飽和磁化は45emu/
g、保磁力は253kA/mであった(最大磁場118
5kA/m)。
【0019】(実施例3)実施例2で最終的に得られた
コバルトフェライト微粒子粉末よりなる沈殿にオレイン
酸ナトリウムを過剰に加え、表面を修飾した後、洗浄、
乾燥し、ヘキサンと混合した。ヘキサン中に浮遊する成
分、即ち粒径の小さい超常磁性成分を除去し、沈降成分
のみを採取した。図3はこの操作を行った粉体のTEM
写真を示す図である。サイズ選別により40nm程度の
粒子が選択的に得られていることが分かる。磁気特性を
測定した結果、飽和磁化は52emu/g、保磁力が3
40kA/mであった。
【0020】(実施例4)0.5M NaOH溶液1.
5(l)を95℃に加熱し、プロペラ攪拌機にて700r
pmの速度で攪拌しながら、0.1MのFeCl3およ
び0.05MのCoCl2を含む水溶液を5ml/mi
nの速度で滴下した。総滴下量は0.5(l)である。そ
の後3時間温度を保持したまま、攪拌を続け濃茶色の沈
殿を得た。pHは反応終了後において12以上であっ
た。沈殿を乾燥して得られた粉末はX線回折によりコバ
ルトフェライト単相であることが確認された。TEM写
真より粒径20nmでの粒子が生成していることが確認
された。また、HRTEMにより観察した結果、粒子は
単結晶であることが分かった。VSM(試料振動型磁力
計)により求めた粉体の室温での飽和磁化は40emu
/g、保磁力は158kA/mであった(最大磁場11
85kA/m)。
【0021】(実施例5)0.5M NaOH溶液1.
5(l)を95℃に加熱し、プロペラ攪拌機にて700r
pmの速度で攪拌しながら、0.1MのFeCl3およ
び0.05MのCoCl2を含む水溶液0.8(l)を瞬
時(約10秒間)に混合した。この場合、添加速度に換
算すると0.72mol/minである。その後3時間
温度を保持したまま、攪拌を続け濃茶色の沈殿を得た。
pHは反応終了後において12以上であった。ここで沈
殿を乾燥して得られた粉末はX線回折によりコバルトフ
ェライト単相であることが確認された。TEMにより観
察された粒径は15nm以下であり、室温での飽和磁化
は65emu/g、保磁力は44.2kA/mであっ
た。続いて、上記の如くに得られた未乾燥の沈殿0.0
4molを種結晶として用いて、95℃に加熱した0.
25M NaOHの水溶液1.5(l)に添加し、プロペ
ラ攪拌機にて700rpmの速度で攪拌しながら、0.
05MのFeCl3および0.025MのCoCl2を含
む水溶液0.8(l)を5ml/minの速度で混合し
た。その後3時間温度を保持したまま、攪拌を続けた。
pHは反応終了後において12以上であった。さらに、
その沈殿0.04molを、95℃に加熱した0.25
M NaOH1.5(l)溶液に添加し、プロペラ攪拌機
にて700rpmの速度で攪拌しながら、0.05Mの
FeCl3および0.025MのCoCl2を含む水溶液
0.8(l)を5ml/minの速度で混合した。その後
3時間温度を保持したまま、攪拌を続けた。pHは反応
終了後において12以上であった。得られた沈殿を洗
浄、乾燥しX線回折によって結晶構造を調べた結果、コ
バルトフェライト単相であることが判明した。HRTE
Mにより観察した結果、約45nmの単結晶粒子が生成
していることが確認された。VSMにより求めた室温の
飽和磁化は50emu/g、保磁力は277kA/mで
あった(最大磁場1185kA/m)。
【0022】(実施例6)本実施例ではアルカリ水溶液
中への金属塩の添加速度と保磁力との関係について調べ
た。実施例1において金属塩の添加速度だけを変化させ
て、コバルトフェライト微粒子粉末を製造し、実施例3
に記載する分級処理を行って、その粉体の保磁力を調べ
た。その結果を図4に示す。図4に示すように添加速度
が0.1mol/min以下では保磁力が158kA/
m(2kOe)を超えたが、それよりも大きい場合には
保磁力は158kA/m(2kOe)に満たなかった。
これは既に述べたように添加速度(混合速度)が0.1
mol/minを超える場合には、核の発生が支配的に
なり、その結果、結晶成長が不十分となるため、高保磁
力の粉体を得ることができないからである。よって、添
加速度は0.1mol/min以下である必要がある。
【0023】
【発明の効果】請求項1にかかる発明によると、単結晶
コバルトフェライト微粒子粉末は、平均結晶サイズが単
磁区のサイズに近く、室温において高い保磁力を有する
ので、永久磁石、磁気記録媒体、磁気デバイスなどに応
用可能な単結晶コバルトフェライト微粒子粉末を提供で
きる。請求項2にかかる発明によると、平均結晶サイズ
が数十nmで、室温において高い保磁力を有する単結晶
コバルトフェライト微粒子粉末を効率的に製造する方法
を提供できる。請求項3にかかる本発明によると、単結
晶コバルトフェライト微粒子粉末を製造する際、種結晶
を作製する第1の工程と、新たな核生成反応を抑えなが
ら該種結晶の表面に析出反応を起こさせる第2の工程と
を備えるため、良好な結晶の成長を促すことができ、高
い結晶性の単結晶を、あらゆる粒径でサイズコントロー
ルが可能であり、室温において高い保磁力を有し、所望
の粒径を有する単結晶コバルトフェライト微粒子粉末を
効率的に製造する方法を提供できる。請求項4にかかる
発明によると、請求項3の発明の効果に加えて、上記第
2の工程を繰り返し適用するため、所望の粒径を得るた
めの単結晶コバルトフェライト微粒子粉末のサイズコン
トロールをさらに精密に行うことができ、室温において
高い保磁力を有する単結晶コバルトフェライト微粒子粉
末を効率的に製造する方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるコバルトフェライト微粒子の製
造方法の第1の実施の形態を示すフロー図である。
【図2】本発明にかかるコバルトフェライト微粒子の製
造方法の第2の実施の形態を示すフロー図である。
【図3】本発明にかかるコバルトフェライト微粒子粉末
の一例のTEM写真である。
【図4】本発明にかかるコバルトフェライト微粒子の製
造方法における金属塩の添加速度と保磁力との関係の一
例を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/706 G11B 5/84 Z 5D112 5/84 H01F 1/11 A 5E040 H01F 1/11 H C04B 35/26 A (72)発明者 佐々木 勇一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 水野 幹久 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 岩崎 洋 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 井上 誠 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4G002 AA11 AB02 AD04 AE02 4G018 AA22 AB08 AC01 4G048 AA03 AB02 AB06 AC03 AD04 AD07 AE05 4G077 AA01 AB05 BC05 CB04 EA02 ED01 5D006 BA06 BA08 EA01 FA09 5D112 AA05 BB04 BB06 5E040 AB03 CA01 HB17 NN06 NN12 NN17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均結晶サイズが20〜50nmであ
    り、保磁力が室温で158kA/m以上であることを特
    徴とする単結晶コバルトフェライト微粒子粉末。
  2. 【請求項2】 金属イオンとしてFe3+イオンおよびC
    2+イオンを含む水溶液と強アルカリ水溶液とを混合す
    ることによってコバルトフェライト微粒子粉末を生成す
    る共沈法による単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の
    製造方法であって、 金属イオンと水酸イオンとのモル比([金属イオン]/
    [OH-])を0.1〜0.4とし、溶液温度を80℃
    以上に保持された強アルカリ水溶液中に金属イオンを含
    む水溶液を0.1mol/min以下の速度で添加・混
    合して単結晶コバルトフェライト微粒子粉末を得ること
    を特徴とする単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 金属イオンとしてFe3+イオンおよびC
    2+イオンを含む水溶液と強アルカリ水溶液とを混合す
    ることによってコバルトフェライト微粒子粉末を生成す
    る共沈法による単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の
    製造方法であって、 金属イオンと水酸イオンとのモル比([金属イオン]/
    [OH-])を0.1〜0.4とし、溶液温度を80℃
    以上に保持された強アルカリ水溶液と金属イオンを含む
    水溶液とを混合して種結晶コバルトフェライト微粒子粉
    末を得る第1の工程と、 得られた種結晶コバルトフェライト微粒子粉末を強アル
    カリ水溶液と混合して80℃以上に保持し、金属イオン
    を含む水溶液を前記混合液中に0.1mol/min以
    下の速度で添加・混合して単結晶コバルトフェライト微
    粒子粉末を得る第2の工程と、 を備えたことを特徴とする単結晶コバルトフェライト微
    粒子粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2の工程を複数回行うことを特徴
    とする請求項3に記載の単結晶コバルトフェライト微粒
    子粉末の製造方法。
JP2002078157A 2002-03-20 2002-03-20 単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の製造方法 Expired - Fee Related JP4138344B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002078157A JP4138344B2 (ja) 2002-03-20 2002-03-20 単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002078157A JP4138344B2 (ja) 2002-03-20 2002-03-20 単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003277189A true JP2003277189A (ja) 2003-10-02
JP4138344B2 JP4138344B2 (ja) 2008-08-27

Family

ID=29228264

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002078157A Expired - Fee Related JP4138344B2 (ja) 2002-03-20 2002-03-20 単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4138344B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100336732C (zh) * 2006-04-13 2007-09-12 上海交通大学 水溶性磁性钴铁氧体CoFe2O4纳米晶体的微波合成方法
JP2009057230A (ja) * 2007-08-30 2009-03-19 Tokyo Institute Of Technology フェライト微粒子の製造方法、フェライト微粒子、及びフェライト微粒子の製造装置
JP2012012253A (ja) * 2010-06-30 2012-01-19 Toda Kogyo Corp 六方晶フェライト粒子粉末の製造法、及び六方晶フェライト粒子粉末、並びに磁気記録媒体
RU2738940C2 (ru) * 2018-07-12 2020-12-18 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Южно-Уральский государственный гуманитарно-педагогический университет" ФГБОУ ВО "ЮУрГГПУ" Способ получения ферритов металлов восьмой группы четвертого периода
CN113677626A (zh) * 2019-04-25 2021-11-19 日铁矿业株式会社 钴铁氧体颗粒的制造方法和由该方法制造的钴铁氧体颗粒
CN113853356A (zh) * 2019-05-24 2021-12-28 日铁矿业株式会社 钴铁氧体颗粒的制造方法和由此制造的钴铁氧体颗粒
CN115151511A (zh) * 2018-05-11 2022-10-04 Lg电子株式会社 过渡金属氧化物微细粒子的制造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023176926A1 (ja) * 2022-03-17 2023-09-21 日鉄鉱業株式会社 コバルトフェライト粒子の製造方法とそれにより製造されたコバルトフェライト粒子

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100336732C (zh) * 2006-04-13 2007-09-12 上海交通大学 水溶性磁性钴铁氧体CoFe2O4纳米晶体的微波合成方法
JP2009057230A (ja) * 2007-08-30 2009-03-19 Tokyo Institute Of Technology フェライト微粒子の製造方法、フェライト微粒子、及びフェライト微粒子の製造装置
JP2012012253A (ja) * 2010-06-30 2012-01-19 Toda Kogyo Corp 六方晶フェライト粒子粉末の製造法、及び六方晶フェライト粒子粉末、並びに磁気記録媒体
CN115151511A (zh) * 2018-05-11 2022-10-04 Lg电子株式会社 过渡金属氧化物微细粒子的制造方法
RU2738940C2 (ru) * 2018-07-12 2020-12-18 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Южно-Уральский государственный гуманитарно-педагогический университет" ФГБОУ ВО "ЮУрГГПУ" Способ получения ферритов металлов восьмой группы четвертого периода
CN113677626A (zh) * 2019-04-25 2021-11-19 日铁矿业株式会社 钴铁氧体颗粒的制造方法和由该方法制造的钴铁氧体颗粒
CN113677626B (zh) * 2019-04-25 2024-02-23 日铁矿业株式会社 钴铁氧体颗粒的制造方法和由该方法制造的钴铁氧体颗粒
CN113853356A (zh) * 2019-05-24 2021-12-28 日铁矿业株式会社 钴铁氧体颗粒的制造方法和由此制造的钴铁氧体颗粒

Also Published As

Publication number Publication date
JP4138344B2 (ja) 2008-08-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Chinnasamy et al. Growth dominant co-precipitation process to achieve high coercivity at room temperature in CoFe/sub 2/O/sub 4/nanoparticles
Radwan et al. Synthesis and characterization of barium hexaferrite nanoparticles
JP5445843B2 (ja) 磁性酸化鉄粒子、磁性体、および電波吸収体
JP4063749B2 (ja) 金属酸化物ナノ粉末及びその製造方法
JP5124825B2 (ja) ε酸化鉄系の磁性材料
JP7033071B2 (ja) イプシロン型鉄酸化物磁性粒子及びその製造方法、磁性粒子から構成される磁性粉ならびに磁性塗料および磁気記録媒体
JP5130534B2 (ja) 磁気特性を改善したε酸化鉄粉末
JPS59175707A (ja) 磁気記録用板状Baフエライト微粒子粉末及びその製造法
JP2003277189A (ja) 単結晶コバルトフェライト微粒子粉末およびその製造方法
Sakai et al. Preparation and magnetic properties of barium ferrite fine particles by the coprecipitation salt-catalysis method
JP4680272B2 (ja) 異方性磁性材料の製造方法および異方性磁性材料
JPH09295814A (ja) 紡錘状ゲータイト粒子粉末及びその製造法並びに該ゲータイト粒子粉末を出発原料として得られる鉄を主成分とする紡錘状金属磁性粒子粉末及びその製造法
JPH08512276A (ja) ドープ化磁性酸化鉄粒子とその製造方法
WO2004100190A1 (ja) スピネル型フェリ磁性粉及び磁気記録用媒体
JP3603926B2 (ja) 紡錘状ゲータイト粒子粉末及びその製造法、紡錘状ヘマタイト粒子粉末及びその製造法並びに鉄を主成分とする紡錘状金属磁性粒子粉末及びその製造法
CN110506314A (zh) 磁性材料及其制造法
JP2002128523A (ja) フェライト微粒子の製造方法
JP2003252618A (ja) 磁気ナノ微粒子及びその製造方法並びに磁気ナノ微粒子薄膜
Uskoković et al. Synthesis of nanocrystalline nickel-zinc ferrites via a microemulsion route
JPH04503938A (ja) 磁性ヘキサフェライト粒子の製造方法、得られた粒子及びそれを含む製品
JPS6343359B2 (ja)
JP2021190477A (ja) 鉄系酸化物磁性粉およびその製造方法
Doroftei et al. Strontium ferrite for magnetic recording prepared by self-combustion method
JPH01119520A (ja) リチウムフェライト微粒子粉末及びその製造法
Jayadevan et al. Solution Synthesis of Nanocrystalline Core-Shell Structured NiCo Particles

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070417

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070612

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070911

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071030

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080603

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080605

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110613

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120613

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130613

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees