JP2003277189A - 単結晶コバルトフェライト微粒子粉末およびその製造方法 - Google Patents
単結晶コバルトフェライト微粒子粉末およびその製造方法Info
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Abstract
応用可能な平均粒子サイズが0.1μm以下で、室温に
て高保磁力を有し、単結晶のコバルトフェライト粉末を
提供する。 【解決手段】 単結晶コバルトフェライト微粒子粉末
は、平均結晶サイズが20〜50nmであり、保磁力が
室温で158kA/m以上である。金属イオンとしてF
e3+イオンおよびCo2+イオンを含む水溶液を作成(1
01)し、また強アルカリ水溶液を作成して(10
2)、80℃以上に加熱しておき(103)、それら両
者を混合する(104)ことによってコバルトフェライ
ト微粒子粉末を析出(105)させるに際し、混合する
金属イオンと水酸イオンとのモル比([金属イオン]/
[OH-])を0.1〜0.4とし、強アルカリ水溶液
中に、金属イオンを含む水溶液を0.1mol/min
以下の速度で添加・混合する。
Description
磁力を有するコバルトフェライト微細粉末およびその製
造方法に関する。
フェライトの中でも結晶磁気異方性が大きく、保磁力の
大きい磁性材料として知られており、実際にこの焼結体
は永久磁石として用いられている。また、これを0.1
μm以下の微細粉末にすれば磁気記録媒体用の磁性材料
としても有用である。一般にコバルトフェライトの粉末
を得る方法としては、構成元素の金属酸化物、オキシ水
酸化物、および炭酸塩などをボールミルなどを用いて混
合し、数百℃以上の高温で熱処理する方法が広く行われ
ている。この乾式法によって得られる粉末は工程中で不
純物が混入しやすく、結晶内での金属元素の分布も不均
一である場合が多い。また、粉砕することによって粉末
を得るため、粒子の形状が不均一で、粒度分布も広いも
のとなる。得られる粉末のサイズも0.1μm程度が限
度である。一方、微細なコバルトフェライトを得る方法
としては、Fe3+イオンとCo2+イオンを含む水溶液を
アルカリ水溶液と混合する共沈法が知られており、例え
ばT. Sato, IEEE Transactions on Magnetics, Vol. MA
G-6, No. 4, 795-799 (1970)にその方法が記載されて
いる。しかしながら、既知の方法で得られる粉末の平均
サイズは20nm以下であることから、超常磁性粒子が
大半を占め、室温での保磁力は47.4kA/mに満た
ない。このように従来から知られる共沈法からは粒子径
が小さく、158kA/mを超える粉体は得ることは難
しかった。
発原料とし、煮沸させた強アルカリ水溶液に混合させる
方法によってもコバルトフェライト粉末を得ることがで
きる。該方法ではFe2+→Fe3+の酸化を伴うため、反
応が緩やかに進行するので比較的粒径の大きな粉末が生
成する。この合成法に関しては例えばApp. Phys. Lett.
69(18) p.2761に記載されている。得られる粉末の保磁
力は198kA/m以上と高い値を示すものの、平均粒
径はサブミクロンサイズで強固に凝集したものであり、
昨今の磁気記録媒体用の磁性材料としては適さない。
は、平均粒子サイズが0.1μm以下で高保磁力を有
し、かつ結晶性の高い単結晶のコバルトフェライト粉末
を製造することが難しかった。本発明はこのような課題
に鑑みてなされたものであり、その目的は、永久磁石、
磁気記録媒体、磁気デバイス等に応用可能なコバルトフ
ェライト粉末及びその製造方法を提供することである。
平均結晶サイズが20〜50nmであり、保磁力が室温
で158kA/m以上であることを特徴とする単結晶コ
バルトフェライト微粒子粉末である。この構成による単
結晶コバルトフェライト微粒子粉末は、平均結晶サイズ
が数十nmで、室温において高い保磁力を有するので、
永久磁石、磁気記録媒体、磁気デバイスなどに応用可能
な単結晶コバルトフェライト微粒子粉末を提供できる。
Fe3+イオンおよびCo2+イオンを含む水溶液と強アル
カリ水溶液とを混合することによってコバルトフェライ
ト微粒子粉末を生成する共沈法による単結晶コバルトフ
ェライト微粒子粉末の製造方法であって、金属イオンと
水酸イオンとのモル比([金属イオン]/[OH-])
を0.1〜0.4とし、溶液温度を80℃以上に保持さ
れた強アルカリ水溶液中に金属イオンを含む水溶液を
0.1mol/min以下の速度で添加・混合して単結
晶コバルトフェライト微粒子粉末を得ることを特徴とす
る単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の製造方法であ
る。この構成によって、平均結晶サイズが単磁区のサイ
ズに近く、室温において高い保磁力を有する単結晶コバ
ルトフェライト微粒子粉末を効率的に製造する方法が可
能となる。
Fe3+イオンおよびCo2+イオンを含む水溶液と強アル
カリ水溶液とを混合することによってコバルトフェライ
ト微粒子粉末を生成する共沈法による単結晶コバルトフ
ェライト微粒子粉末の製造方法であって、金属イオンと
水酸イオンとのモル比([金属イオン]/[OH-])
を0.1〜0.4とし、溶液温度を80℃以上に保持さ
れた強アルカリ水溶液と金属イオンを含む水溶液とを混
合して種結晶コバルトフェライト微粒子粉末を得る第1
の工程と、得られた種結晶コバルトフェライト微粒子粉
末を強アルカリ水溶液と混合して80℃以上に保持し、
金属イオンを含む水溶液を前記混合液中に0.1mol
/min以下の速度で添加・混合して単結晶コバルトフ
ェライト微粒子粉末を得る第2の工程と、を備えたこと
を特徴とする単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の製
造方法である。この構成によって、単結晶コバルトフェ
ライト微粒子粉末を製造する際、種結晶を作製する第1
の工程と、新たな核生成反応を抑えながら該種結晶の表
面に析出反応を起こさせる第2の工程とを備えるため、
良好な結晶の成長を促すことができ、高い結晶性の単結
晶を、あらゆる粒径でサイズコントロールが可能であ
り、所望の粒径を有する単結晶コバルトフェライト微粒
子粉末を効率的に製造する方法が可能となる。
単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の製造方法におい
て、前記第2の工程を複数回行うことを特徴とする。こ
の構成によって、請求項3に記載の第2の工程を繰り返
すため、所望の粒径を得るためのサイズコントロールが
さらに精密になり、室温において高い保磁力を有する単
結晶コバルトフェライト微粒子粉末を、さらに効率的に
製造する方法が可能となる。
改良したものであり、以下の(1)および(2)に示す方法に
よって達成される。 (1)第1の実施の形態 図1は、本発明にかかるコバルトフェライト微粒子の製
造方法の第1の実施の形態を示すフロー図である。図中
の符号は各ステップを表す。図1に示すようにまず、F
e3+とCo2+とを含む金属塩水溶液を作製する(10
1)。そして、強アルカリ水溶液を作製(102)し、
そのアルカリ水溶液を80℃以上に加熱・保持(10
3)する。その状態で、金属塩水溶液を0.1mol/
min以下の速度にて、強アルカリ水溶液中に混合する
(104)。混合速度はさらに好適には、0.01mo
l/min以下である。ここで金属イオンと水酸イオン
とのモル比(金属イオン/OH-)は0.1から0.4
であるようにする。また、混合は、連続的に行うことが
望ましい。金属塩としては、例えば塩化物、硫酸塩、酢
酸塩、炭酸塩等が挙げられる。強アルカリ水溶液に用い
られるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等が挙げられる。
の混合速度を上記のように制限することによって、核発
生と結晶成長の明確な分離を可能にし、所望のサイズの
単結晶コバルトフェライト粉末が得られる(105)。
混合速度の制御は、溶液中のコバルトフェライト粒子の
過飽和度の制御を担っている。
い場合には、核の発生が支配的になり、従って結晶成長
が不十分で、高保磁力の粉体を得ることができない。粒
子サイズは、混合する金属イオン水溶液の量、濃度とそ
の混合速度などによって決定される。金属イオンの量を
多くすれば、結晶を大きくすることが可能である。また
強アルカリ水溶液と金属塩水溶液との混合の際の反応温
度は、結晶成長速度に影響を及ぼす因子であり、一般に
温度が高くなるにつれて、成長速度が大きくなり粒子サ
イズは増大する。本発明においては、80℃以上で反応
させることが好適である。
の範囲であるならば、コバルトフェライトが析出する条
件を満たす。この範囲においては、pHが高くなる条件
の方が大きな粒子、すなわち、高保磁力を有する粒子が
含まれる割合が高くなる。これはオストワルド熟成によ
って微粒径の粒子または核が溶解し、大粒径の粒子表面
での結晶化が起こることによる。しかし、金属イオン/
OH-比が0.1より低い場合には、反応中間体からコ
バルトが選択的に溶解するため、最終生成物に常磁性の
水酸化鉄が含まれる結果となる。一方、金属イオン/O
H-比が0.4より高い場合には水酸化物が安定であ
り、コバルトフェライトが生成しない。
造方法の他の実施の形態を示すフロー図である。図中の
符号は各ステップを表す。図2に示すようにまず、Fe
3+とCo2+とを含む金属塩水溶液を作製する(20
1)。そして、強アルカリ水溶液を作製(202)し、
そのアルカリ水溶液を80℃以上に加熱・保持(20
3)する。次いで金属塩水溶液を素速く強アルカリ水溶
液中に混合する(204)。こうして、種結晶コバルト
フェライト粉末を得る(205)(請求項3の第1の工
程)。このとき得られたコバルトフェライト粉末の平均
粒子サイズは20nm以下であり、これは、さらに結晶
を成長させるための種結晶として用いられる。上述の種
結晶を適当な重量比となるように未乾燥のうちに、加熱
した強アルカリ水溶液(206)中に入れて混合し(2
07)、さらに該強アルカリ水溶液に上記2種の金属イ
オンを含む水溶液(208)を0.1mol/min以
下の混合速度の条件にて混合(209)すると、粉末の
表面において結晶が成長していく。ここで、混合速度は
さらに好適には、0.01mol/min以下である。
また、ここでは連続的に混合することが望ましい。強ア
ルカリ水溶液の温度は80°以上であることが望まし
い。こうして、所望のサイズのコバルトフェライト粉末
が得られる(210)(請求項3の第2の工程)。上記
第1および第2の工程における金属イオンと水酸イオン
とのモル比(金属イオン/OH-)は0.1から0.4
であるようにする。また金属塩の種類、アルカリ剤の種
類としては第1の実施の形態と同様のものを用いること
ができる。さらに、得られた析出微粒子をさらに種結晶
として、強アルカリ水溶液中に再び入れ、上述した金属
塩水溶液中に所望の速度で添加・混合し結晶を成長させ
る工程を複数回繰り返して行い、この繰り返しによって
粉末を所望のサイズに成長させることも可能である(請
求項4)。
は、種結晶を金属イオンの溶液中に展開し、アルカリ溶
液を加える。これは瞬時に反応が起こり終了するため、
結晶成長が起こりにくい。それに対して本発明の場合、
種結晶がアルカリ溶液中に均一に分散された後に、金属
イオン溶液が0.1mol/min以下で添加される。
こうして、粒子表面は水酸化物で覆われているが、金属
イオンが新たな核生成反応が起こらない濃度の状態で接
触した際に、表面において析出反応が起こるため結晶が
成長する。また、この手法は(a)高い結晶性の単結晶
が得られる、(b)単磁区の限界(70nm)以下のあ
らゆる粒径でサイズコントロールが可能である、という
点も特徴的である。
も、平均結晶サイズが20から50nmで、保磁力が1
58kA/m以上のコバルトフェライト微粒子が得られ
る。このコバルトフェライト微粒子粉末の組成は、Co
xFe(3−x)O4の構造式においてx=0.6〜1.0で
ある。この範囲にあれば高い結晶磁気異方性を示し、保
磁力の高い粉体が得られる。この組成は、金属塩水溶液
に含まれるFe3+とCo2+の比によって決定され、仕込
み組成比とほぼ同じ割合でコバルトフェライト粉末に含
有される。フェライト粉末の組成ずれや不均一性をなく
すためには、高速攪拌することが好ましい。特に制約は
ないが、溶液が激しく流動する条件であれば良い。
れた粒子には一般に広い粒度分布があるため、好ましく
は化学的な手法によるサイズ選別を行う。例えば、最も
簡便な方法としては以下の方法が挙げられる。即ち粉末
を含む水溶液中にオレイン酸ナトリウムを加え、該界面
活性剤によって表面を修飾し、乾燥後、非極性溶媒中に
混合する。浮遊し、分散する成分はサイズが小さいもの
からなり、主として超常磁性体から構成されるので、こ
れを除去すれば粒度分布をシャープにできる。つまり、
沈降成分のみを抽出すれば粒度の比較的揃った強磁性粒
子を得ることが可能である。なお、サイズ選別の方法は
上記の方法に限らず当該分野で知られている全ての方法
が適用できる。
るが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 (実施例1)0.5M NaOH溶液1.5(l)を95
℃に加熱し、プロペラ攪拌機にて700rpmの速度で
攪拌しながら、0.1MのFeCl3および0.05M
のCoCl2を含む水溶液を5ml/minの速度で滴
下した。総滴下量は0.8(l)である。その後3時間温
度を保持したまま、攪拌を続け濃茶色の沈殿を得た。p
Hは反応終了後において12以上であった。沈殿を洗
浄、乾燥して得られた粉末はX線回折によりコバルトフ
ェライト単相であることを確認した。また、TEMによ
り観察した結果、約30nmの立方体粒子が存在してい
ることが分かった。さらに、HRTEMにより観察した
結果、粒子は単結晶であることがわかった。そして、V
SM(試料振動型磁力計)により求めた粉体の室温での
飽和磁化は40emu/g、保磁力は198kA/mで
あった(最大磁場1185kA/m)。
5(l)を95℃に加熱し、プロペラ攪拌機にて700r
pmの速度で攪拌しながら、0.1MのFeCl3およ
び0.05MのCoCl2を含む水溶液0.8(l)を瞬
時(約10秒間)に混合した。この場合、添加速度に換
算すると約0.72mol/minである。その後3時
間温度を保持したまま、攪拌を続け濃茶色の沈殿を得
た。pHは反応終了後において12以上であった。ここ
で沈殿を乾燥して得られた粉末はX線回折によりコバル
トフェライト単相であることが確認された。TEMによ
り観察された粒径は15nm以下であり、室温での飽和
磁化は65emu/g、保磁力は44.2kA/mであ
った。続いて、上記の如くに得られた未乾燥の沈殿0.
04molを種結晶として用いて、95℃に加熱した
0.5M NaOH水溶液1.5(l)に添加し、プロペ
ラ攪拌機にて700rpmの速度で攪拌しながら、0.
1MのFeCl3および0.05MのCoCl2を含む水
溶液0.8(l)を5ml/minの速度で混合した。そ
の後3時間温度を保持したまま、攪拌を続けた。pHは
反応終了後において12以上であった。得られた沈殿を
洗浄、乾燥しX線回折によって結晶構造を調べた結果、
コバルトフェライト単相であることが判明した。TEM
観察から約40nmの粒子が認められた。HRTEMに
より詳細に観察した結果、単結晶であることが分かっ
た。VSMにより求めた室温の飽和磁化は45emu/
g、保磁力は253kA/mであった(最大磁場118
5kA/m)。
コバルトフェライト微粒子粉末よりなる沈殿にオレイン
酸ナトリウムを過剰に加え、表面を修飾した後、洗浄、
乾燥し、ヘキサンと混合した。ヘキサン中に浮遊する成
分、即ち粒径の小さい超常磁性成分を除去し、沈降成分
のみを採取した。図3はこの操作を行った粉体のTEM
写真を示す図である。サイズ選別により40nm程度の
粒子が選択的に得られていることが分かる。磁気特性を
測定した結果、飽和磁化は52emu/g、保磁力が3
40kA/mであった。
5(l)を95℃に加熱し、プロペラ攪拌機にて700r
pmの速度で攪拌しながら、0.1MのFeCl3およ
び0.05MのCoCl2を含む水溶液を5ml/mi
nの速度で滴下した。総滴下量は0.5(l)である。そ
の後3時間温度を保持したまま、攪拌を続け濃茶色の沈
殿を得た。pHは反応終了後において12以上であっ
た。沈殿を乾燥して得られた粉末はX線回折によりコバ
ルトフェライト単相であることが確認された。TEM写
真より粒径20nmでの粒子が生成していることが確認
された。また、HRTEMにより観察した結果、粒子は
単結晶であることが分かった。VSM(試料振動型磁力
計)により求めた粉体の室温での飽和磁化は40emu
/g、保磁力は158kA/mであった(最大磁場11
85kA/m)。
5(l)を95℃に加熱し、プロペラ攪拌機にて700r
pmの速度で攪拌しながら、0.1MのFeCl3およ
び0.05MのCoCl2を含む水溶液0.8(l)を瞬
時(約10秒間)に混合した。この場合、添加速度に換
算すると0.72mol/minである。その後3時間
温度を保持したまま、攪拌を続け濃茶色の沈殿を得た。
pHは反応終了後において12以上であった。ここで沈
殿を乾燥して得られた粉末はX線回折によりコバルトフ
ェライト単相であることが確認された。TEMにより観
察された粒径は15nm以下であり、室温での飽和磁化
は65emu/g、保磁力は44.2kA/mであっ
た。続いて、上記の如くに得られた未乾燥の沈殿0.0
4molを種結晶として用いて、95℃に加熱した0.
25M NaOHの水溶液1.5(l)に添加し、プロペ
ラ攪拌機にて700rpmの速度で攪拌しながら、0.
05MのFeCl3および0.025MのCoCl2を含
む水溶液0.8(l)を5ml/minの速度で混合し
た。その後3時間温度を保持したまま、攪拌を続けた。
pHは反応終了後において12以上であった。さらに、
その沈殿0.04molを、95℃に加熱した0.25
M NaOH1.5(l)溶液に添加し、プロペラ攪拌機
にて700rpmの速度で攪拌しながら、0.05Mの
FeCl3および0.025MのCoCl2を含む水溶液
0.8(l)を5ml/minの速度で混合した。その後
3時間温度を保持したまま、攪拌を続けた。pHは反応
終了後において12以上であった。得られた沈殿を洗
浄、乾燥しX線回折によって結晶構造を調べた結果、コ
バルトフェライト単相であることが判明した。HRTE
Mにより観察した結果、約45nmの単結晶粒子が生成
していることが確認された。VSMにより求めた室温の
飽和磁化は50emu/g、保磁力は277kA/mで
あった(最大磁場1185kA/m)。
中への金属塩の添加速度と保磁力との関係について調べ
た。実施例1において金属塩の添加速度だけを変化させ
て、コバルトフェライト微粒子粉末を製造し、実施例3
に記載する分級処理を行って、その粉体の保磁力を調べ
た。その結果を図4に示す。図4に示すように添加速度
が0.1mol/min以下では保磁力が158kA/
m(2kOe)を超えたが、それよりも大きい場合には
保磁力は158kA/m(2kOe)に満たなかった。
これは既に述べたように添加速度(混合速度)が0.1
mol/minを超える場合には、核の発生が支配的に
なり、その結果、結晶成長が不十分となるため、高保磁
力の粉体を得ることができないからである。よって、添
加速度は0.1mol/min以下である必要がある。
コバルトフェライト微粒子粉末は、平均結晶サイズが単
磁区のサイズに近く、室温において高い保磁力を有する
ので、永久磁石、磁気記録媒体、磁気デバイスなどに応
用可能な単結晶コバルトフェライト微粒子粉末を提供で
きる。請求項2にかかる発明によると、平均結晶サイズ
が数十nmで、室温において高い保磁力を有する単結晶
コバルトフェライト微粒子粉末を効率的に製造する方法
を提供できる。請求項3にかかる本発明によると、単結
晶コバルトフェライト微粒子粉末を製造する際、種結晶
を作製する第1の工程と、新たな核生成反応を抑えなが
ら該種結晶の表面に析出反応を起こさせる第2の工程と
を備えるため、良好な結晶の成長を促すことができ、高
い結晶性の単結晶を、あらゆる粒径でサイズコントロー
ルが可能であり、室温において高い保磁力を有し、所望
の粒径を有する単結晶コバルトフェライト微粒子粉末を
効率的に製造する方法を提供できる。請求項4にかかる
発明によると、請求項3の発明の効果に加えて、上記第
2の工程を繰り返し適用するため、所望の粒径を得るた
めの単結晶コバルトフェライト微粒子粉末のサイズコン
トロールをさらに精密に行うことができ、室温において
高い保磁力を有する単結晶コバルトフェライト微粒子粉
末を効率的に製造する方法を提供できる。
造方法の第1の実施の形態を示すフロー図である。
造方法の第2の実施の形態を示すフロー図である。
の一例のTEM写真である。
造方法における金属塩の添加速度と保磁力との関係の一
例を示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 平均結晶サイズが20〜50nmであ
り、保磁力が室温で158kA/m以上であることを特
徴とする単結晶コバルトフェライト微粒子粉末。 - 【請求項2】 金属イオンとしてFe3+イオンおよびC
o2+イオンを含む水溶液と強アルカリ水溶液とを混合す
ることによってコバルトフェライト微粒子粉末を生成す
る共沈法による単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の
製造方法であって、 金属イオンと水酸イオンとのモル比([金属イオン]/
[OH-])を0.1〜0.4とし、溶液温度を80℃
以上に保持された強アルカリ水溶液中に金属イオンを含
む水溶液を0.1mol/min以下の速度で添加・混
合して単結晶コバルトフェライト微粒子粉末を得ること
を特徴とする単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の製
造方法。 - 【請求項3】 金属イオンとしてFe3+イオンおよびC
o2+イオンを含む水溶液と強アルカリ水溶液とを混合す
ることによってコバルトフェライト微粒子粉末を生成す
る共沈法による単結晶コバルトフェライト微粒子粉末の
製造方法であって、 金属イオンと水酸イオンとのモル比([金属イオン]/
[OH-])を0.1〜0.4とし、溶液温度を80℃
以上に保持された強アルカリ水溶液と金属イオンを含む
水溶液とを混合して種結晶コバルトフェライト微粒子粉
末を得る第1の工程と、 得られた種結晶コバルトフェライト微粒子粉末を強アル
カリ水溶液と混合して80℃以上に保持し、金属イオン
を含む水溶液を前記混合液中に0.1mol/min以
下の速度で添加・混合して単結晶コバルトフェライト微
粒子粉末を得る第2の工程と、 を備えたことを特徴とする単結晶コバルトフェライト微
粒子粉末の製造方法。 - 【請求項4】 前記第2の工程を複数回行うことを特徴
とする請求項3に記載の単結晶コバルトフェライト微粒
子粉末の製造方法。
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