JP2003275551A - 流体分離フィルタの製造方法 - Google Patents

流体分離フィルタの製造方法

Info

Publication number
JP2003275551A
JP2003275551A JP2002081001A JP2002081001A JP2003275551A JP 2003275551 A JP2003275551 A JP 2003275551A JP 2002081001 A JP2002081001 A JP 2002081001A JP 2002081001 A JP2002081001 A JP 2002081001A JP 2003275551 A JP2003275551 A JP 2003275551A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sol
intermediate layer
support
separation membrane
separation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002081001A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumiaki Sagou
文昭 佐郷
Yoshihiro Yuu
喜裕 由宇
Hitohide Oshima
仁英 大嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2002081001A priority Critical patent/JP2003275551A/ja
Publication of JP2003275551A publication Critical patent/JP2003275551A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】クラック発生を抑制するとともに、高い透過速
度を有する流体分離フィルタの製造方法を提供する。 【解決手段】Si、Ti、Zr、Alの少なくとも1種
の金属とポリビニルピロリジノンを含むゾルを作製し、
該ゾルを支持体2の表面に塗布した後に焼成して分離膜
3を作製すること、又は、Si、Ti、Zr、Alの少
なくとも1種の金属とポリビニルピロリジノンを含むゾ
ルを作製し、該ゾルを支持体2の表面に塗布した後に焼
成して中間層5を作製し、しかる後に該中間層5の上に
分離膜3を形成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のガスを濃縮
するプラント、混合溶剤からの特定物質の濃縮するプラ
ント、アルコールからの脱水を行うプラント、水の純度
を高める水処理プラントや淡水化プラント、工場排ガス
や発電所から酸素や二酸化炭素等の特定ガスの分離を行
う装置、食品関係又は医療関係の分離装置、水素ガスと
酸素ガスを燃料として発電する燃料電池の酸素分離膜や
水素分離膜として好適に使用できる流体分離フィルタの
製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来から、各種の流体が混合された混合流
体から特定流体だけを濾過分離するフィルタを始め、触
媒担持体や電解隔壁等として多孔質体が用いられている
が、安全かつ簡便なことからその適用範囲が拡がり、多
孔質体を用いた特定の流体の分離濃縮技術は各種燃焼機
関をはじめ、濃縮プラント、水処理プラント、食品工業
や医療用機器の流体分離、燃料電池、更には廃棄物処理
等の様々な分野において注目されている。
【0003】このような多孔質体として、従来は高分子
膜が使用されてきたが、近年は耐熱性、耐薬品性に優れ
たセラミック分離膜が注目されている。例えば、図1に
示すように、流体分離フィルタ1は、多孔質セラミック
スからなる支持体2と、支持体2の少なくとも一方の表
面に形成され、多数の細孔4を有する多孔質シリカから
なる分離膜3を具備している。
【0004】分離膜3は、その結合状態の模式図である
図2に示すように、基本的に−Si−O−で表される環
状のシロキサン結合によって形成される細孔4を複数有
する非晶質の酸化物からなるものである。
【0005】この流体分離フィルタ1を用いて基体分離
を行う場合、流体分離フィルタ1の一方の表面に特定の
ガスを含む混合ガスを流すと、前記特定のガスが選択的
に流体分離フィルタ1を透過するため、流体分離フィル
タ1の反対側に前記特定のガスが濃縮される。その際
に、流体分離フィルタ1の両側において、前記特定のガ
スの分圧に差を設けることにより、支持体2及び分離膜
3を介して前記特定のガスを高分圧側から低分圧側に選
択的に透過させ、前記混合ガスから前記特定のガスを効
率よく分離することができる。
【0006】このような構造を有する分離膜を作製する
手法としては様々な提案がなされている。その中でゾル
ゲル法は、低温焼成が可能で、作業が容易であるという
特徴を有し、分離膜の製造に用いられている。
【0007】例えば、ゾルゲル法で作製されるシリカゲ
ルの製造方法が、特開昭63−134511号公報に開
示されている。
【0008】また、シリカゾルを、液送ポンプで多孔質
アルミナ中空糸内に流入させ、これを乾燥した後で焼成
するという工程を繰り返し行って、膜を積層して気体分
離膜を形成する方法が、特開平5−132822号公報
で提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
63−134511号公報に記載の方法では、ゾルゲル
法を用いるため、ゾルを乾燥する段階から焼成の段階に
至る過程においてクラックが発生しやすく、透過特性が
劣化するという問題があった。
【0010】また、特開平5−132822号公報に記
載の方法は、強制的に中空糸内にゾルを入れるため、気
体分離膜の膜厚を厚くすることが可能で、ゾルゲル法で
あっても分離膜に発生するクラックを防止することが可
能であるものの、気体分離膜の膜厚が大きいため、気体
の透過速度が低下するという問題があった。
【0011】従って、本発明の目的は、クラック発生を
抑制するとともに、高い透過速度を有する流体分離フィ
ルタの製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、ゾルを作製す
る際に、表面張力を調整するポリビニルピロリジノンを
添加することによって発生する応力を低減でき、薄い分
離膜であってもクラックの発生を効果的に防止すること
ができ、且つ透過係数の高い流体分離フィルタを製造す
ることができるという知見に基づく。
【0013】即ち、本発明の流体分離フィルタは、ゾル
ゲル法を用いて支持体の上に分離膜を形成する流体分離
フィルタの製造方法において、Si、Ti、Zr、Al
の少なくとも1種の金属及びポリビニルピロリジノンを
含むゾルを作製し、該ゾルを支持体の表面に塗布した後
に焼成して分離膜を作製することを特徴とするものであ
る。
【0014】また、ゾルゲル法を用いて支持体の上に中
間層を形成し、さらに該中間層の上に分離膜を形成する
流体分離フィルタの製造方法において、Si、Ti、Z
r、Alの少なくとも1種の金属及びポリビニルピロリ
ジノンを含むゾルを作製し、該ゾルを支持体の表面に塗
布した後に焼成して中間層を作製し、しかる後に該中間
層の上に分離膜を形成することを特徴とするものであ
る。
【0015】特に、前記ゾルを、金属アルコキシドを加
水分解して作製した前駆体ゾルにポリビニルピロリジノ
ンを添加して作製することが好ましい。これにより、乾
燥、焼成時にクラックの発生しない薄膜の作製が容易と
なる。
【0016】また、前記ポリビニルピロリジノンの添加
量が、前記前駆体ゾルに対して0.05〜50質量%で
あることが好ましい。これにより、ゾルの特性を損なわ
ずに、クラックの発生を効果的に抑制することが容易と
なる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明で作成する流体分離フィル
タの構造は図1及び2に示されたものと同じものであ
り、これらの図に基づいて説明する。
【0018】流体分離フィルタの製造方法には、中間層
5を形成せず、支持体2の表面に直接分離膜3を形成す
る場合(第1のケース)と、一旦支持体2上に中間層5
を形成し、さらにその中間層5の上に分離膜3を形成す
る場合(第2のケース)とがある。本発明によれば、い
ずれのケースにおいても、中間層5又は分離膜3を作製
するためのゾルにポリビニルピロリジノン(以後、PV
Pと言う)を加えることが重要である。PVPをゾルに
加えることによって、乾燥時や焼成時に発生するクラッ
クの発生を改善することができる。
【0019】まず、上記第1のケースについて説明す
る。
【0020】Si、Ti、Zr、Alを含む原料として
は、ゾル溶液を作製するため、アルコキシドであること
が好ましい。以下、具体例として、シリカゾルを用いる
場合を取り上げて説明する。
【0021】まず、準備として、原料及び支持体を用意
する。
【0022】原料としては、シリコンアルコキシドを用
意する。シリコンアルコキシドとしては、テトラアルコ
キシシランと、化1や化2で表されるアルコキシシラン
とからなることが望ましい。
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】具体的には、テトラアルコキシシランとし
ては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及
びテトラプロポキシシラン等が挙げられ、原料コスト及
び成膜性の点でテトラメトキシシランまたはテトラエト
キシシランを用いることが望ましい。
【0026】分離特性向上及び欠陥のない分離膜を作製
するためには、前記テトラアルコキシシラン全量1モル
中の化1、2で表されるアルコキシシランの含有量が、
0.01〜1.0モルであることが望ましい。
【0027】また、支持体として、例えば、平均粒径
0.1〜2.0μmのアルミナ原料を準備し、これに所
定量のバインダ、潤滑剤、可塑剤、水等を添加して、混
合した後、該混合物をプレス成形、押し出し成形、射出
成形、冷間静水圧成形等の公知の成形手段によって成形
する。その後、該成形体を大気中、1000〜1500
℃にて焼成することにより支持体2を得ることができ
る。
【0028】支持体2の形状は、特に限定されるもので
はなく、平板状や管状体のいずれでも良いが、ガスの分
離効率及びフィルタの取り扱いを考慮すれば管状体であ
ることが望ましい。
【0029】支持体2としては、ガスを透過でき、かつ
構造体として必要な強度を有するとともに、分離膜3の
成膜性を高める点で、0.05〜2μmの細孔径を有す
ることが望ましい。また、分離膜3の成膜性を高める上
で、支持体2は平滑な表面を有することが望ましい。例
えば、表面粗さ(Ra)が0.1〜2μmであることが
望ましく、また、管状体であれば内径1〜5mm、肉厚
0.3〜1mmであることが望ましい。
【0030】また、高い圧力をかけることなく混合ガス
が支持体2中を透過するためには、支持体2は20%以
上の気孔率を有することが望ましく、さらには、支持体
2の強度を確保し、フィルタ1を組み立てる際に、支持
体2が破損したり、操作中に支持体2を構成する粒子が
脱粒することを防止するためには、支持体2の気孔率が
30〜50%であることが望ましい。
【0031】支持体2としては、α−アルミナや安定化
ジルコニアを主成分とするセラミックスやシリカ系ガラ
ス(分相ガラス)等によって形成できるが、耐熱性が高
いこと、容易に作製できること、コストの点でα−アル
ミナを主成分とするセラミックスからなることが望まし
い。
【0032】このような準備の後、まず、第一に、前駆
体ゾルを作製する。即ち、上記の金属アルコキシドを各
々溶媒に溶解させ、水を加えて加水分解する。溶媒とし
ては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノー
ル等のアルコールが好適であるが、前記アルコシキドの
溶解性及びゲルの支持体への親和性及び乾燥性等の成膜
性の観点で、メタノールまたはエタノール等の低級アル
コールがより好適である。
【0033】また、テトラアルコキシシランについて
は、溶媒とともにテトラアルコキシシラン1モルに対し
て1〜100モル、好ましくは1〜20モルの水を酸と
ともに添加し、加水分解することが望ましく、これによ
りテトラアルコキシシランの加水分解された部分が前記
他のアルコキシシラン及びジルコニウムアルコキシドと
反応することによって溶液中の組成の均質性を高めるこ
とができる。
【0034】即ち、前記水の量が1モルより少ないと加
水分解が不十分で、シロキサン結合が進行しないために
成膜性が悪く、膜にクラックや剥離が生じることがある
であり、前記水の量が100モルより多いと、加水分解
が急激に進行しすぎ、沈殿等が生じて安定なゾルを得る
ことができないことがあるからである。アルコール溶媒
の場合は上記工程でゾルの作製は終了するが、水溶媒と
した時にはゾルに熱をかけて水を追加していくことで水
溶媒のゾルを作製できる。
【0035】第二に、ゾルを作製する。即ち、前駆体ゾ
ルにPVPを添加し、PVPを含有するゾルを作製す
る。PVPの添加量は前駆体ゾルに対して0.05〜5
0質量%、特に0.05〜30質量%であることが好ま
しい。PVPの添加量をこのような範囲に設定すること
によって、クラックの発生をより効果的に防止でき、ま
た、沈殿の発生等により分離膜の細孔径が不均一になっ
て発生する分離性能の劣化を容易に防止できる。
【0036】本発明によれば、PVPはゾルの表面張力
を調整することができる。具体的には、シリカゾルの表
面張力を低下させ、溶媒が気化する段階で液表面に引っ
張り応力が低減する結果、焼成後に発生するクラックを
防ぐことができる。そのため、クラックが分離膜に発生
するのを防止することができる。またPVP自身は焼成
段階において全て膜上から焼失するためピンホールなど
の分離特性劣化の原因とならない。
【0037】第三に、分離膜3を形成する。分離膜3の
形成には、ゾルを支持体2の表面に塗布した後に焼成し
て分離膜3を形成することが重要である。上記の支持体
2または中間層5の表面にPVP含有ゾルを中間層5の
形成方法と同様の方法により被着形成し、これを乾燥し
ゲル化する。
【0038】そして、PVP含有ゲルを被着形成した支
持体2を、大気中、350〜700℃、特に400〜6
00℃で熱処理することによりゲル内でSi−Oのシロ
キサン結合が進行し、強固な膜となるとともに、前記有
機官能基が熱処理により分解、除去され細孔4が生成す
る。
【0039】焼成温度を上記範囲に限定した理由は、焼
成温度が350℃より低いと、シロキサン結合を強固な
ものとすることができず、安定な膜を形成することがで
きないとともに、前記有機官能基の分解、除去が不完全
であり、所望の径の細孔4を得ることができない。ま
た、焼成温度が700℃より高い場合には、酸化物膜が
結晶化して、膜中の細孔4が消失してしまう。
【0040】焼成温度及び焼成時間に関しては、分離膜
3の平均細孔径の大きさによって異なるが、ガス分離の
場合には、平均細孔径が0.2〜1.3nm、特に0.
3〜1.0nm、さらには0.4〜0.8nmとなるよ
うに上記の焼成条件を調整することが好ましく、これに
よって分離特性の高い膜の作製ができる。
【0041】また、焼成においては、分離膜3が、支持
体2との界面に反応生成物を生じることがないように焼
成条件を制御することが好ましい。具体的には400〜
800℃の温度、好ましくは450〜600℃の焼成温
度で行なう。支持体2の表面に層状に被覆され、平滑な
表面を形成することが望ましい。
【0042】分離膜3は、支持体2の内面及び/または
外面に被着形成されるが、分離膜3の厚みは、ガス分離
の処理速度向上の点及びピンホール等の欠陥のない分離
膜3を作製できる点で0.01〜5μmであることが望
ましい。
【0043】このようにして作製した流体分離フィルタ
1は、特定のガスに対して選択的に膜を透過させる特徴
を有し、混合ガスからの特定ガスの分離や液体からの特
定液の分離などに好適に用いることができる。そして、
本発明によって作製された流体分離フィルタ1は、分離
膜3の耐熱性や耐久性の点から常温から500℃までの
広い温度範囲にわたって高いガス分離性能を維持するこ
とができるものである。
【0044】なお、原料のシリコンアルコキシドに対し
て、ジルコニウムアルコキシド、具体的には、テトラエ
トキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、
テトラブトキシジルコニウム等から選ばれる少なくとも
1種を添加することが望ましく、特に、アルコールへの
溶解性、ゲルの成膜性の点から、テトラエトキシジルコ
ニウム、テトラプロポキシジルコニウムが望ましい。
【0045】ジルコニウムの含有量は、ゾルの安定性を
考慮すると、シリコンアルコキシド1モルに対して0.
05〜1.0モル、特に0.1〜1.0モルの割合から
なることが望ましい。
【0046】このようにジルコニウムアルコキシドの添
加し、上記のように流体分離フィルタ1を作製すると、
分離膜3中にはSiの一部をZrで置換した構造にする
ことができ、分離膜の耐熱性及び耐水性を高めることが
できる。
【0047】そして、焼結体中のZrの量はSiO2
モルに対してZrO2として0.05〜1.0モル、特
に0.1〜1.0モルの割合であることが望ましい。即
ち、置換量が0.05モルより少ないと耐熱性及び耐水
性を高める効果が低く、1.0モルを超えると、製造時
に生じるゾルの安定性が悪く沈殿を生じる等により分離
膜を形成することが難しくなる傾向があるためである。
【0048】次に、第2のケースについて説明する。こ
れは、支持体2上に中間層5を設け、さらに中間層5の
上に分離膜3を作製する方法である。即ち、まず、上述
の分離膜3の作製方法と同様にして中間層5を作製し、
しかる後に分離膜3を形成する。中間層5も分離膜3
も、いずれもゾルゲル法によって作製するため、応力緩
和を行うためには、少なくとも一方の工程でゾルにPV
Pを添加することが重要である。
【0049】PVPを添加する対象としては、中間層5
のみ、分離膜3のみ、両方の3通りあるが、分離膜3へ
のPVPの添加は、中間層5を形成した支持体2を一体
として支持体2と考えれば、第1のケースとして考えれ
ばよい。よって、以下に、中間層5にPVPを添加する
場合について、具体的に、チタニアからなる中間層5を
形成し、その上にアルミナからなる分離膜3を形成する
場合を例として取り上げて説明する。なお、基本的なゾ
ルゲルプロセスの基本条件はケース1に順ずるものであ
る。
【0050】まず、チタニウムテトライソプロポキシド
等のチタニウムアルコキシドを加水分解することによっ
てチタニアゾルを作製し、これを前駆体ゾルとする。こ
の前駆体ゾルに対して、PVPを添加してPVP含有ゾ
ルを作製することが重要である。PVPの添加により、
発生する応力を緩和するため、中間層5のみならず、分
離膜3においてもクラックの発生を防ぐことが出来る。
【0051】得られたPVP含有ゾルを、第1のケース
と同様に、支持体2の表面に被着形成する。支持体2の
表面にPVP含有ゾルを被着する方法としては、PVP
含有ゾルを塗布または注入する方法、またはPVP含有
ゾル溶液中に支持体2を含浸して引き上げる方法が好適
に用いられる。
【0052】その後、被着形成したPVP含有ゾルを乾
燥しゲル化し、これを大気中、400〜900℃、特に
400〜600℃で熱処理することにより支持体2の表
面に中間層5を被着形成することができる。焼成温度
は、ゲル組成によって異なるが、チタニアを主とするゲ
ルの場合、上記温度に設定することにより、中間層5と
支持体2との接着力を高めて中間層5の剥離を防止する
とともに、焼結が進行しすぎて中間層5の細孔径が増大
し、分離膜3の細孔径への悪影響を防止できる。
【0053】次いで、得られたチタニア質の中間層5の
表面に、分離膜3を形成する。分離層3はテトラエトキ
シシラン等シリコンアルコキシドの加水分解によって得
られる前駆体ゾルを中間層5の形成方法と同様の方法に
より被着形成し、これを乾燥しゲル化した後、大気中で
熱処理することによりゲル内でSi−Oのシロキサン結
合が進行し、強固な膜となるとともに、前記有機官能基
が熱処理により分解、除去され細孔が生成する。詳細な
条件は基本的に第1のケースと同じである。
【0054】焼成温度は、350℃より低いとシロキサ
ン結合を強固なものとすることができず、安定な膜を形
成することができないとともに、有機官能基の分解、除
去が不完全であり、所望の径の細孔4を得ることができ
ない。また、焼成温度が700℃より高い場合には、分
離膜3が結晶化して、膜中の細孔4が消失してしまう。
【0055】また、分離膜3の細孔4は、焼成における
温度及び時間によって変化するため、平均細孔径が0.
2〜1.3nm、特に0.3〜1.0nm、更には0.
4〜0.8nmになるように焼成条件を制御することが
好ましい。
【0056】ここで、中間層5の平均細孔径は0.3〜
100nm、特にガスに対しては0.3〜1.5nm、
液分に対しては1〜100nm、特に1〜50nm、更
には1〜15nmとなるように焼成温度や焼成時間を設
定すれば良い。そして、中間層5の平均細孔径が、支持
体2の平均細孔径よりも小さく、かつ分離膜3の平均細
孔径よりも大きくなるようにすることが望ましい。この
条件を満足することによって、ガスの透過速度及び分離
膜3の成膜性を向上することができる。
【0057】なお、中間層5は、支持体2及び分離膜3
との間に反応生成物を生じず、支持体2の表面を層状に
覆い、平滑な表面を形成するものであればよい。例え
ば、支持体2としてα−アルミナ質セラミックスを用い
る場合、中間層5はγ−アルミナやチタニアが好適であ
る。
【0058】
【実施例】まず、支持体を準備した。純度99.9%、
平均粒径0.1μmのアルミナに対し、所定量の有機バ
インダ、潤滑剤、可塑剤及び水を添加、混合し、押し出
し成形にて管状体に成形した後、大気中、1200℃に
て焼成して、内径2.3mm、肉厚0.4mm、長さ2
50mmの管状体で、平均粒径0.2μm、気孔率39
%を有するα−アルミナ質支持体を作製した。さらに、
この外表面を表面粗さ(Ra)が0.3μm以下となる
ように研磨した。
【0059】次に、原料を準備した。金属アルコキシド
として、チタニウムテトライソプロポキシド(TT
P)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロ
ポキシジルコニウム(TPZ)、アルミニウムセカンダ
リーブトキシド(ASBD)を準備した。
【0060】まず、所望により中間層を作製した。即
ち、水110モルに対して、表1の割合で上記原料を添
加して加水分解し、さらに硝酸を添加した後、16時間
煮沸攪拌して前駆体ゾルを作製した。
【0061】この前駆体ゾルに対して、PVPを表1の
割合で添加して充分攪拌し、PVPを十分に溶液に溶か
し、PVPを含有するゾルを作製した。
【0062】さらに、このゾルを用いて分離膜を作製し
た。即ち、支持体の両端の先端部にそれぞれ栓をして、
上記のゾルに含浸して60秒間保持し、5mm/秒の速
度で取り出し、室温で2時間乾燥してゾルをゲル化した
後、大気中、表1の焼成温度で焼成する工程を4回繰り
返して支持体の外表面に中間層を被着形成した。
【0063】得られた中間層の膜厚は、膜断面をSEM
で測定した。また、平均細孔径をAr吸着法によって測
定した。
【0064】次に、分離膜を作製した。中間層のない試
料については支持体上に、中間層のある試料は中間層上
に、分離膜を作製した。
【0065】まず、金属アルコキシドの金属がTi、Z
r及びAlの試料No.2〜4は、金属アルコキシド1
モルに対して、水1モル及びHClを含むエタノール溶
液を添加、混合した。
【0066】また、金属がSiの場合には、テトラエト
キシシラン(TEOS)1モルに対して、水1モルおよ
びHClを含むエタノール溶液を添加、混合して部分加
水分解ゾルを作製し、これに表1に示す金属アルコキシ
ドのエタノール溶液を金属アルコキシドが1モルとなる
ように添加し、窒素気流下で攪拌し、複合アルコキシド
を作製した。
【0067】さらに、試料No.14及び15は、上記
の複合アルコキシドを得た後、シリコンアルコキシド全
量に対してジルコニウムアルコキシドであるテトラプロ
ポキシジルコニウムを50モル%の割合でエタノール溶
液として添加した。
【0068】次に、得られた溶液に対し、水9.3モル
とエタノールの混合溶液を添加し加水分解して、攪拌
し、前駆体ゾルを作製した。そして、得られた分離膜前
駆体ゾル溶液にPVPを表1の割合で添加し、中間層の
形成と同様の方法で、分離膜を表面に形成した。なお、
焼成時の焼成温度を表1に示した。
【0069】得られた試料に対して、ケルビンの毛管凝
縮式を用いて細孔内に毛管凝縮する水の湿度と温度から
分離膜の平均細孔径を求めた。
【0070】また、分離膜の膜厚を、走査型電子顕微鏡
(SEM)で測定した。
【0071】また、得られたフィルタ1本を用いてガラ
スもしくはSUSチューブによってケーシングすること
でガス分離モジュールを作成し,該モジュール内を25
0℃の温度に加熱すると共に、管内側を大気開放として
100kPa(大気圧)にした状態で、管外側に窒素2
00kPa(2気圧)を100ml/分の割合で流し、
透過ガス排出口で回収されるガスについて、透過流量を
測定し、さらに、窒素ガスの透過量/(膜面積×差圧×
時間)で表される透過率を算出した。また、上記と同様
にしてCF4ガスの透過率を求め、透過係数比α(窒素
の透過率/CF4の透過率)を求めた。
【0072】さらに、分離膜及び中間層のクラックが発
生しているかどうかの状態観察をSEMとAr吸着法に
よる細孔径分布を求めて判断した。結果を表1に示し
た。
【0073】
【表1】
【0074】本発明の試料No.2〜13及び15〜2
4は、クラックの発生が観察されず、また、窒素の透過
率は1.02×10-7モル/(m2・s/Pa)以上、
透過係数比αは11以上であった。
【0075】特に、中間層を有する場合、透過係数比α
は51以上であった。
【0076】一方、PVPを中間層、分離膜どちらにも
添加しない試料1及び14は、窒素の透過率が9.01
×10-6モル/(m2・s/Pa)以上であったが、ク
ラックが発生しており、透過係数比αが7以下と低かっ
た。
【0077】
【発明の効果】本発明では、中間層及び/又は分離膜を
作製するために、ゾルにPVPを添加することによっ
て、ゾルの乾燥、焼成時に表面張力もしくは引っ張り応
力を調整することができ、その結果、乾燥、焼成工程で
流体分離フィルタに発生するクラックを防止し、高い透
過速度を有する流体分離フィルタを作製することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流体分離フィルタの拡大断面図であ
る。
【図2】本発明の流体分離フィルタの分離膜における細
孔付近の結合状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1・・・流体分離フィルタ 2・・・支持体 3・・・分離膜 4・・・細孔 5・・・中間層
フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA02 GA41 MA02 MA03 MA06 MA09 MA21 MB15 MB16 MC02X NA46 NA49 NA63 PA02 PB03 PB08 PB32 PB62 PB64 PB66 PC11 PC71

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゾルゲル法を用いて支持体の上に分離膜を
    形成する流体分離フィルタの製造方法において、Si、
    Ti、Zr、Alの少なくとも1種の金属及びポリビニ
    ルピロリジノンを含むゾルを作製し、該ゾルを支持体の
    表面に塗布した後に焼成して分離膜を作製することを特
    徴とする流体分離フィルタの製造方法。
  2. 【請求項2】ゾルゲル法を用いて支持体の上に中間層を
    形成し、さらに該中間層の上に分離膜を形成する流体分
    離フィルタの製造方法において、Si、Ti、Zr、A
    lの少なくとも1種の金属及びポリビニルピロリジノン
    を含むゾルを作製し、該ゾルを支持体の表面に塗布した
    後に焼成して中間層を作製し、しかる後に該中間層の上
    に分離膜を形成することを特徴とする流体分離フィルタ
    の製造方法。
  3. 【請求項3】前記ゾルを、金属アルコキシドを加水分解
    して作製した前駆体ゾルにポリビニルピロリジノンを添
    加して作製することを特徴とする請求項1又は2記載の
    流体分離フィルタの製造方法。
  4. 【請求項4】前記ポリビニルピロリジノンの添加量が、
    前記前駆体ゾルに対して0.05〜50質量%であるこ
    とを特徴とする請求項3記載の流体分離フィルタの製造
    方法。
JP2002081001A 2002-03-22 2002-03-22 流体分離フィルタの製造方法 Pending JP2003275551A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002081001A JP2003275551A (ja) 2002-03-22 2002-03-22 流体分離フィルタの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002081001A JP2003275551A (ja) 2002-03-22 2002-03-22 流体分離フィルタの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003275551A true JP2003275551A (ja) 2003-09-30

Family

ID=29206522

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002081001A Pending JP2003275551A (ja) 2002-03-22 2002-03-22 流体分離フィルタの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003275551A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005247605A (ja) * 2004-03-02 2005-09-15 Ngk Insulators Ltd セラミック多孔質体及びその製造方法
JP2013092361A (ja) * 2012-12-28 2013-05-16 Mitsubishi Electric Corp 加熱調理器、および加熱調理器の製造方法
CN114917770A (zh) * 2022-05-07 2022-08-19 常州大学 一种三元陶瓷纳滤膜、制备方法及应用

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005247605A (ja) * 2004-03-02 2005-09-15 Ngk Insulators Ltd セラミック多孔質体及びその製造方法
JP2013092361A (ja) * 2012-12-28 2013-05-16 Mitsubishi Electric Corp 加熱調理器、および加熱調理器の製造方法
CN114917770A (zh) * 2022-05-07 2022-08-19 常州大学 一种三元陶瓷纳滤膜、制备方法及应用
CN114917770B (zh) * 2022-05-07 2023-08-29 常州大学 一种三元陶瓷纳滤膜、制备方法及应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kim et al. Sol-gel synthesis and characterization of yttria stabilized zirconia membranes
EP2258465B1 (en) Ceramic filter
US5770275A (en) Molecular sieving silica membrane fabrication process
JP5676448B2 (ja) 無機材メンブレンの作製方法
JP2010509034A (ja) セラミックフィルタ及びその再生方法
Kreiter et al. Sol–gel routes for microporous zirconia and titania membranes
KR20180072025A (ko) 산화 처리된 SiC를 이용한 수처리용 세라믹 분리막 및 그 제조 방법
JP2002293656A (ja) 多孔質複合体およびその製造方法
JP2002066280A (ja) ガス分離フィルタおよびその製造方法
JP2003047831A (ja) 流体分離フィルタ及びその製造方法
JP2001276586A (ja) ガス分離膜およびその製造方法
JP2004275943A (ja) 流体分離フィルタ及びその製造方法
JP4250473B2 (ja) 流体分離フィルタの製造方法
JP3559470B2 (ja) ガス分離フィルタおよびその製造方法
JP2003275551A (ja) 流体分離フィルタの製造方法
JP2000189772A (ja) 水素ガス分離フィルタおよびその製造方法
JP4693267B2 (ja) ガス分離フィルタ用無機多孔質体およびガス分離フィルタ並びにその製造方法
JP4605920B2 (ja) ガス分離フィルタ
JP2005095851A (ja) 流体分離フィルタ及びその製造方法
JP2004089838A (ja) 分離膜モジュール及びその製造方法
JP4065732B2 (ja) 流体分離モジュール
JP2001062265A (ja) ガス分離フィルタおよびその製造方法
JPH01281119A (ja) ガラス・セラミックス系濾過材及びその製造方法
JP3659469B2 (ja) 有機ガス分離フィルタおよびその製造方法
WO2016104048A1 (ja) ガス分離方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040914

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050906

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20051228