JP4065732B2 - 流体分離モジュール - Google Patents

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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然ガスからのCO回収などに代表される特定のガスを濃縮するプラント、混合溶剤から特定物質濃縮するプラント、アルコールからの脱水を行うプラント、水の純度を高める水処理プラントや淡水化プラント、工場排ガスや発電所から酸素や二酸化炭素等の特定ガスの分離を行う装置、食品関係又は医療関係の分離装置、水素ガスと酸素ガスを燃料として発電する燃料電池の酸素分離膜や水素分離膜として好適に使用できる流体分離モジュールに関する。
【0002】
【従来技術】
従来から、各種の流体が混合された混合流体から特定流体だけを濾過分離するフィルタを始め、触媒担持体や電解隔壁等として多孔質体が用いられているが、安全かつ簡便なことからその適用範囲が拡がり、多孔質体を用いた特定の流体の分離濃縮技術は各種燃焼機関をはじめ、濃縮プラント、水処理プラント、食品工業や医療用機器の流体分離、燃料電池、更には廃棄物処理等の様々な分野において注目されている。
【0003】
このような多孔質体として、従来は高分子膜が使用されてきたが、近年は耐熱性、耐薬品性に優れたセラミック分離膜が注目されている。特に、最近はオンサイトでガス処理を行なうため、小型のセラミック分離モジュールが求められている。
【0004】
このようなセラミック分離モジュールは大きく分けて2種類に分類される。第一に、有機高分子膜などにおいて一般的に使われている中空糸を多数束ねた中空糸構造であり、第二に、板状の支持体に膜を担持させた平板状支持体構造である。
【0005】
第一の中空糸構造では、例えば、耐食性、耐熱性を有する分離膜を表面に形成したチューブ状のセラミック支持体を複数束ねてフィルタとすることが特開平11−156167号公報に記載されている。
【0006】
第二の平板状支持体構造は、図4に示すような分離フィルタが特開平2−198611号公報に記載されている。即ち、平板状の気体分離膜セル31が積層され、気体分離膜セル31間にスペーサ32が設けられて流体の流路が形成され、気体分離膜セル31の表面に設けられた気体分離膜34を透過した流体は、格段毎に取出口部材35に集められ、通気孔36から回収される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−156167号公報に記載された中空糸構造は、チューブ状のセラミック支持体の径を小さくすると強度が低くなって、ハンドリング時に破壊されやすいと共に、効率の高圧領域での使用が困難となり、また、支持体同士が密着して流体流路を確保するのが難しいという問題があり、径を大きくすると装置が大型化するという問題があった。
【0008】
また、特開平2−198611号公報に記載された平板状支持体構造の分離フィルタは、透過ガスが透過抵抗の多い多孔質内を通気孔36の1ヶ所に集められるため透過ガスの一部は基板の端から端に移動せねばならず圧力損失が大きく透過率低下の問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、機械強度及び透過流体の回収効率が高い小型化が可能な流体分離モジュールを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、平板状支持体の表面に設けられた分離膜を透過した透過流体を、平板状支持体の側面から吐出させ、それを回収することによって、機械強度及び透過ガスの回収効率が高い流体分離フィルタを実現できるという知見に基づく。
【0011】
即ち、本発明の流体分離モジュールは、平均気孔率が15〜60%で、表面部の平均細孔径が0.05〜1μmであるセラミック多孔質体からなる平板状支持体と、該平板状支持体の主面及び対向主面に設けられた分離層とを具備し、前記主面及び前記対向主面の少なくとも一部が流体の流路を形成し、且つ前記分離層を透過した前記流体中の成分が前記平板状支持体の側面から吐出されるようにした流体分離フィルタと、該流体分離フィルタを収容する容器とを有し、該容器には流体を供給するための流体導入口と、前記流体分離フィルタを通過した流体を外部に排出するための排出口と、前記流体分離フィルタの全側面から吐出される分離流体を回収するための取出口とを具備するとともに、前記流体と前記分離流体とが混合しないように、前記容器と前記流体分離フィルタとの間を仕切る隔壁を具備することを特徴とするものである。
【0016】
また、前記平板状支持体の気孔率が15〜60%であることが好ましい。これにより、機械的強度を有したまま透過ガスの圧力損失を抑制することができる。
【0017】
支持体表面部2bの具体的な平均細孔径は、0.05〜1μm、特に0.1〜0.8μm、更には0.1〜0.5μmであるのが好ましい。これにより、分離層4の形成時にピンホール等の欠陥を防止し、且つ大きな透過量を確保することができる。
【0019】
また、本発明の流体分離モジュールは、上記の流体分離フィルタと、該流体分離フィルタを保持するための容器と、該容器の内部に流体を供給するための流体導入口と、前記流体分離フィルタを通過した流体を外部に排出するための排出口と、分離流体を回収するための取出口とを具備することを特徴とし、機械強度及び透過ガスの回収効率が高い小型化が可能な流体分離モジュールを実現できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明を、図を用いて説明する。
【0021】
本発明の流体分離フィルタは、図1及び図2に示すように、セラミック多孔質体からなる平板状支持体2と、平板状支持体2の主面3aに設けられた分離層4aと、対向主面3bに設けられた分離層4bとから構成される。そして、分離層4a、4bは流体の流路5a、5bと接しており、流路5a、5bを流れる流体の成分の一部は、矢印で示したように、分離層4a、4bを透過して、平板状支持体2の内部を通り、側面7に流れる。
【0022】
平板状支持体2は、その形状多角柱でも円柱でも良い、即ち主面3a及び対向主面3bが多角形でも円形で良く、いずれの場合であっても多角柱や円柱の側面7から透過流体が吐出することが重要である。例えば、平板状支持体2の形状が図1に示すように四角柱(直方体)の場合、即ち平板状支持体2の主面3a及び対向主面3bは長方形の場合、分離層4aを透過した流体成分は、A、B、C、Dの4方向に設けられた側面7から吐出される。
【0023】
また、平板状支持体2が六角柱(8面体)の場合、主面3aの形状が6角形で、6側面から吐出する透過流体を捕集するのが良く、また、平板状支持体2が円柱の場合には主面3aの形状が円で、円周側面から吐出する透過流体を捕集するのが良い。
【0024】
本発明の流体分離フィルタの構造は平板構造で、中空糸構造に比べてセラミック多孔質体中を移動する距離が長いため、全側面7の総面積(Sall)に対する透過流体が吐出する側面7の部位の面積(Sf)の比Sf/Sallが、50%以上、特に70%以上、更には90%以上であることが、透過効率を高める点で良い。さらに、平板状支持体2の固定やその他の理由で側面7の一部が使用できない場合もあるが、比Sf/Sallは100%又は100%に近いのが良い。
【0025】
また、透過ガスが平板状支持体2中を透過しやすくするためには、平板状支持体2全体の平均としての気孔率は15%以上、特に20%以上、更には25%以上であることが望ましく、さらには、平板状支持体2の強度を確保し、ハウジングなどへ組み立てる際に、平板状支持体2が破損したり、操作中に平板状支持体2を構成する粒子が脱粒することを防止するためには、平板状支持体2の気孔率が60%以下、特に50%以下、更には40%以下であることが望ましい。
【0026】
平板状支持体2は、複数の成分からなる流体と接し、その一部の成分が分離層4を透過するため、透過量を高める上では、平板状支持体2の表面部2bの気孔率は、少なくとも15%、特に20%、更には25%であることが好ましい。
【0027】
また、分離層4を透過した透過流体は平板状支持体2の内部を流れるため、透過速度を高めるため、平板状支持体2の内部2aにおける気孔率が表面部2bにおける気孔率よりも大きいことが好ましい。即ち、平板状支持体2としての機械強度を保ちつつ大きな透過係数を実現するため、平板状支持体2の内部2aの気孔率は60%以下、特に55%以下、更には50%以下が好ましい。
【0028】
平板状支持体2の表面部2b上には分離層4がコートされるためピンホールなどの欠陥やクラックがあると分離特性低下の原因となりまたガスによっては表面部2b自体が複数の成分を分離するため、つまり特の成分を効率良く透過させるため、表面部2bの平均細孔径と細孔径分布を制御するのが良い。また、内部2aの気孔は、透過流体の経路となるため、透過速度を高めるためには、細孔径を大きくするのが良い。よって、内部2aの細孔径は、表面部2bの平均細孔径よりも大きくすることが好ましい。
【0029】
なお、支持体表面部2bの具体的な平均細孔径は、分離層4の形成時にピンホール等の欠陥を防止し、且つ大きな透過量を確保するため、0.05〜1μm、特に0.1〜0.8μm、更には0.1〜0.5μmに設定するのが良い。
【0030】
平板状支持体2の側面7が透過ガスの吐出口であり、透過効率を更に高めるために平板状支持体2の厚みの下限は0.2mm、特に0.4mm、更には0.6mmが良く、更なる小型化を図るために上限は30mm、特に20mm、更には15mmであることが好ましい。
【0031】
平板状支持体2の材料としては、α−アルミナや安定化ジルコニアを主成分とするセラミックスやシリカ系ガラス(分相ガラス)、Si34、SiC等を用いることができるものの、耐熱性が高いこと、容易に作製できること、及び低コストの点でα−アルミナを主成分とするセラミックスが良い。
【0032】
分離層4は、Si、Ti、Zr、Alの少なくとも1種を含むことが好ましい。これらは、酸化物として分離層を形成する。これらのうち、アルコキシド状態では反応性が低く局所的な反応を進むことが抑制でき、Si−O−Siのネットワークを組むことで1nm以下の細孔径の作製が容易である観点からSiが更に良い。
【0033】
流体は、平板状支持体2の表面に設けられた分離層4と接していれば良く、その流れる方向、流量、或いは流速には特に制限がない。しかし、特定の成分を効率良く透過させるため、流路のあらゆる部位において流体が流動し、常に新鮮な流体が供給されることが好ましい。
【0034】
また、平板状支持体2は薄いため、機械的損傷を防止するため、平板状支持体2の主面3aに加わる圧力と、対向主面3bに加わる圧力が略同一であることが好ましい。即ち、主面3aの接する流体の圧力が、対向主面3bと接する流体の圧力と略同一であれば良い。このように、平板状支持体2の上下面から均等な圧力によって支えられるため、平板状支持体2に加わる応力を低く抑えることができ、クラックや破壊を防止することができる。また、支持体にかかる圧力は圧縮強度になり一般にセラミック基板は圧縮強度が高いため、流体分離フィルタの耐圧性が向上し200MPa以上の高圧領域でも使用が可能となる。
【0035】
その際の流体によって平板状支持体2が加圧されていることが好ましい。このように平板状支持体2に圧力が加わると透過速度が高まり、更に透過効率を高めることが可能となる。具体的には、気体の場合、1.5atm以上、特に2atm以上、更には3atm以上であることが好ましい。
【0036】
次に、流体分離フィルタの製造方法について説明する。
【0037】
まず、焼成後に平板状支持体内部2aとなる成形体内部を作製するため、所望の原料粉末を混合し、成形する。成形方法としては、プレス成形、押し出し成形、射出成形、冷間静水圧成形等の公知の成形手段を使用でき、コストと基板の反りを考慮すると粉末圧延法で作製することが望ましい。さらに、上記成形体内部の表面に、スラリー塗布法やグリーンシート積層法等により焼成後に平板状支持体表面部2bとなる成形体表面部を作製する。なお、粉末圧延法等により気孔率及び平均細孔径が、成形体表面部よりも成形体内部で大きくなるように1回の工程で成形体内部及び成形体表面部からなる成形体を作成しても良い。このようにして得られた成形体を所望の温度において焼成し、焼結体を得る。
【0038】
次に、分離層4を作製する。分離層4は、ゾルゲル法、CVD法、スパッタ法などによって作製できるが、製造の容易さでゾルゲル法が好ましい。以下に、ゾルゲル法を用いた場合、特にSi、Ti、Zr、Alの元素のうち、Siの酸化物を含む分離層4の製造方法を取り上げて説明する。
【0039】
分離層4の原料としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラプロポキシシラン等のシリコンアルコキシドを用意する。
【0040】
この原料を用いて、まず、前駆体ゾルを作製する。即ち、シリコンアルコキシドをアルコール等の溶媒に溶解させ、水を加えて加水分解する。
【0041】
得られた前駆体ゾルを平板状支持体2の表面に塗布し、その後、焼成して分離層4を形成することができる。焼成は、大気中、350〜700℃、特に400〜600℃で熱処理することによりゲル内でSi−Oのシロキサン結合が進行し、強固な膜となるとともに、前記有機官能基が熱処理により分解、除去され細孔を生成する。
【0042】
焼成温度及び焼成時間に関しては、分離層4の平均細孔径の大きさによって異なるが、ガス分離フィルタの場合、平均細孔径が0.2〜1.3nm、特に0.3〜1.0nm、更には0.4〜0.8nmとなるように上記の焼成条件を調整することが好ましい。
【0043】
例えば、水素ガスを他のガスから分離するためには0.25〜0.6nm、CO2とCH4とを分離するためには0.3〜0.8nm、N2ガスとCF4ガスとを分離するためには0.35〜1.0nmの平均細孔径に設定するのがよく、これによって分離特性を高めることができる。
【0044】
また、焼成においては、分離層4が、平板状支持体2との界面に反応生成物を生じることがないように焼成条件を制御することが好ましい。具体的には400〜800℃の温度、好ましくは450〜600℃の焼成温度で行なう。平板状支持体2の表面に層状に被覆され、平滑な表面を形成することが望ましい。
【0045】
なお、分離層4は、平板状支持体2の主面及び対向主面に被着形成するが、分離層4の厚みが0.01〜5μm、特に0.1〜4μm、さらには0.5〜3μmとなるようにゾルの粒径を調整する。
【0046】
なお、平板状支持体2と分離層4との間に中間層を設け、分離層4の密着性を高めることができる。中間層にはチタニア、ジルコニア、アルミナ等を用いることができ、原料としてはこれらのアルコキシドを準備すれば良い。
【0047】
本発明の流体分離モジュールは、図3に示したように、上記の流体分離フィルタ11が容器12の内部に配置され、容器12の内部に流体を供給するための流体導入口13aと、流体分離フィルタ11を通過した流体を外部に排出するための排出口13bと、分離流体を回収するための取出口13cとを備えている。なお、流体と分離流体とが混合しないように、容器内は隔壁19で分離されている。
【0048】
複数の成分を有する流体、例えばH2とCO2の混合ガスが、流体導入口13aから容器12へ導入され、流体が分離フィルタ11と接し、流体の一部が流体分離フィルタ11の表面に設けられた分離層24を透過し、平板状支持体22の内部を移動して流体分離フィルタ11の側面27に移動し、取出口13cから取り出される。
【0049】
上記の構成を有する本発明の流体分離モジュールは、高い耐圧性を有する特徴があり、高圧で用いられる天然ガスからのCO2分離や石油コンビナート等の石油化学プロセス等にも好適に用いることができる。
【0050】
【実施例】
まず、平板状支持体を作製した。即ち、純度99.9%、平均粒径0.1μmのアルミナ粉末、ジルコニア粉末、ガラス粉末、窒化珪素粉末及び炭化珪素粉末に対し、それぞれ所望の有機バインダ、潤滑剤、可塑剤及び水を添加、混合し、粉末圧延法にてテープを成形した後、焼成して肉厚0.8mm、縦150mm、横50mmの焼結体からなる平板状支持体を作製した。なお、この平板状支持体の表面は、表面粗さ(Ra)が0.3μm以下となるように研磨した。
【0051】
得られた焼結体の気孔率及び平均細孔径を走査型電子顕微鏡(SEM)観察から測定した。
【0052】
次に、分離層を作製した。原料として、チタニウムテトライソプロポキシド(TTP)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシジルコニウム(TPZ)、アルミニウムセカンダリーブトキシド(ASBD)を準備した。
【0053】
上記の原料を用いて、ゾルゲル法により支持体上に分離層を作製した。即ち、TTP、TEOS、TPZ及びASBDの原料を単独で用いる場合、これら金属アルコキシド1モルに対して、水1モル及びHClを含むエタノール溶液を添加、混合した。また、複数の原料を用いる場合、TEOS1モルに対して、水1モルおよびHClを含むエタノール溶液を添加、混合して部分加水分解ゾルを作製し、これに他の金属アルコキシドのエタノール溶液を金属アルコキシドが1モルとなるように添加し、窒素気流下で攪拌し、複合アルコキシドを作製した。
【0054】
次に、得られた溶液に対し、水9.3モルとエタノールの混合溶液を添加し加水分解して、攪拌し、前駆体ゾルを作製した。次いで、平板状支持体の側面に栓をして、上記のゾルに含浸して60秒間保持し、5mm/秒の速度で取り出し、室温で2時間乾燥してゾルをゲル化した後、大気中、550℃で焼成する工程を4回繰り返して支持体の外表面に分離層を被着形成した。
【0055】
なお、分離層の作製に先立ち、所望により中間層を作製した。即ち、水110モルに対して、上記原料を添加して加水分解し、さらに硝酸を添加した後、16時間煮沸攪拌して前駆体ゾルを作製した。次いで、分離層と同様の方法で中間層を被着形成した。
【0056】
得られた中間層及び分離層の膜厚は、膜断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した。得られた試料に対して、ケルビンの毛管凝縮式を用いて細孔内に毛管凝縮する水の湿度と温度から分離層の平均細孔径を求めた。
【0057】
また、得られたフィルタ1枚をガラスもしくはSUSの容器の内部に配置し、流体導入口、排出口、取出口を取り付け、図3に示したような流体分離モジュールを作製した。なお、吐出部の面積比が表1の側面比率になるように、側面の一部をガラスで封止した。また、No.1は、図4のように取出口部材を設け、通気孔から回収する構造とした。
【0058】
得られた流体分離モジュール内を250℃の温度に加熱すると共に、容器内に二酸化炭素ガスとメタンガスを表1の圧力でそれぞれ流し、透過ガスを取出口で回収し、透過流量を測定するとともに、二酸化炭素ガスの透過量/(膜面積×差圧×時間)で表される透過率を算出した。また、同様にしてメタンガスの透過率を求め、透過係数比α(二酸化炭素の透過率/メタンの透過率)を求めた。結果を表1に示した。
【0059】
【表1】
Figure 0004065732
【0060】
本発明の試料No.1〜1及び1〜3は、透過係数比αが52以上とメタンガスに対する二酸化炭素の分離効率が高いことがわかった。
【0061】
これに対して、透過ガスを全側面から吐出させない本発明の範囲外の試料No.1は、透過係数比αが2.5と低く、分離効率が低かった。
【0062】
【発明の効果】
本発明は、平均気孔率が15〜60%で、表面部の平均細孔径が0.05〜1μmであるセラミック多孔質体からなる平板状支持体の主面及び対向主面に設けられた分離層を透過した透過流体が平板状支持体の内部を移動し、側面から吐出する構造を有する流体分離フィルタを収容容器に収容することにより、流体処理量が大きく透過流体の回収効率が高く、且つ高圧での動作でも破壊しない機械的信頼性に優れた小型の流体分離モジュールを実現することができる。
【0063】
特に、透過流体が吐出する側面の面積を全体の50%以上にすること、又は、平板状支持体の気孔率及び平均細孔径を調整することによって、透過流体の回収効率を更に高めることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流体分離モジュールに収容される流体分離フィルタの概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の流体分離モジュールに収容される流体分離フィルタの概略断面図である。
【図3】本発明の流体分離モジュールを示す概略断面図である。
【図4】従来の流体分離フィルタを示す斜視図である。
【符号の説明】
2・・・平板状支持体
2a・・・平板状支持体内部
2b・・・平板状支持体表面部
3a・・・主面
3b・・・対向主面
4、4a、4b・・・分離層
5a、5b・・・流路
7・・・側面
A、B、C、D・・・吐出方向

Claims (1)

  1. 平均気孔率が15〜60%で、表面部の平均細孔径が0.05〜1μmであるセラミック多孔質体からなる平板状支持体と、該平板状支持体の主面及び対向主面に設けられた分離層とを具備し、前記主面及び前記対向主面の少なくとも一部が流体の流路を形成し、且つ前記分離層を透過した前記流体中の成分が前記平板状支持体の側面から吐出されるようにした流体分離フィルタと、該流体分離フィルタを収容する容器とを有し、該容器には流体を供給するための流体導入口と、前記流体分離フィルタを通過した流体を外部に排出するための排出口と、前記流体分離フィルタの全側面から吐出される分離流体を回収するための取出口とを具備するとともに、前記流体と前記分離流体とが混合しないように、前記容器と前記流体分離フィルタとの間を仕切る隔壁を具備することを特徴とする流体分離モジュール
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