JP2003274925A - 自動核酸調製装置及びこれを用いたサンプル中の核酸検出方法 - Google Patents
自動核酸調製装置及びこれを用いたサンプル中の核酸検出方法Info
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Abstract
・冷却装置及び磁力制御装置を備えてなる反応部、
(B)チップラック及び上清回収容器を備えてなるチッ
プラック・上清回収部、(C)試薬収容容器を備えてな
る試薬部、及び(D)複数本のチップノズルを装備し、
該チップノズルにチップを装着・脱着させる機構と、装
着されたチップが処理液を吸引・注入する機構とを有
し、X−Z軸方向へ自在に移動可能なアームユニットを
備えてなるヘッド部、より構成される自動核酸調製装
置、及びこれを用いたサンプル中の核酸検出方法。 【効果】 本発明装置を用いることにより、核酸の検出
において最も時間がかかり、広い実験スペースを要する
ハイブリダイゼーション工程を、極めて単純な動作をも
って自動化でき、同時に装置全体の小型化が図れる。ま
た、一本鎖核酸も簡易且つ迅速に調製できる。
Description
ゼーション及び一本鎖核酸の調製が可能な自動核酸調製
装置並びにこれを用いたサンプル中の核酸検出方法及び
一本鎖核酸の調製方法に関する。
ブリダイゼーションの技術を使用して、試料中の特定塩
基配列の有無を調べることにより、感染症の病因菌の特
定や感染症の発症前の診断が容易に行われるようになっ
た。また、遺伝子解析技術の進歩に伴い、特定の遺伝子
領域を塩基配列レベルで解析することにより、個人を識
別したり、遺伝子変異と病態との関係を解明することで
遺伝子疾患の診断が可能になってきた。
を変性処理して得た一本鎖核酸を固相に結合させ、この
固相に標識した核酸を作用させて固相の核酸とハイブリ
ッドを形成させてから未反応の標識核酸を除去し、固相
の放射線量や蛍光等を測定するドットハイブリダイゼー
ション法を始めとし、識別しようとする標的核酸に関係
する核酸フラグメントを少なくとも2つ使用するサンド
イッチハイブリダイゼーション法がよく知られている。
ンプル核酸の測定作業は、サンプル数が多いため単純な
作業の繰り返しが発生すること、各工程で用いる装置が
独立しているため広い設置面積が必要であること、反応
温度の管理を行う必要があり反応の進行に長時間を要す
ること、更に微量な試料を精度高く取り扱うことが必要
であること等の理由から、ハイブリダイゼーション工程
を機械化して自動的に行うことが従来から切望されてい
た。
を含む核酸の自動検出装置としては、DNAサンプル・
試薬ユニット、サンプル・試薬分注ユニット、反応容器
搬送ユニット、ハイブリダイゼーションユニット、B/
F分離ユニット及び測光ユニットを備えてなるDNAプ
ローブ自動測定装置として、幾つか報告されているが、
ハイブリダイゼーション工程の反応においてきわめて重
要である反応時の温度が、1)B/F分離を行う際に温
度管理を行わないため変動してしまい、非特異吸着が増
加する等検出結果の誤差が大きい、2)アニーリング後
にサンプルの入った反応容器をB/F分離ユニットに搬
送する必要があり、検出タクトが長くなってしまう、
3)単機能のユニットをシリアルに配置してあるため装
置サイズが大きく、冗長になる、等の問題点があり、装
置の縮小化やハイブリダイゼーション工程の効率化、検
出精度の点で、必ずしも充分ではなかった。
ーケンス解析を行う際には鋳型となるDNAが必要であ
るが、この場合、当該DNAは二本鎖の状態よりも一本
鎖の状態であるのが好ましく、またSNPs検出等の遺
伝子解析手法の一つであるPCR−SSCP法(例え
ば、特開平8−187098公報)では、一本鎖DNA
の高次構造が解析される。このように、近年一本鎖核酸
が利用されるケースが増えており、簡易且つ効率的にこ
れを取得できる手段が望まれている。
理による方法、非対象PCR法、λエキソヌクレアーゼ
法、メンブレン法等が知られているが、化学的な中和処
理が必要であったり、かなりの手間がかかる等の問題が
あり、いずれも大量の一本鎖核酸を簡易に調製できるも
のではなかった。
理を行うことによって、短時間で効率よく且つ高精度で
一本鎖核酸の調製及びハイブリダイゼーションが行え、
より正確な検出結果が得られる装置であって、しかも広
い実験スペースを要しない核酸調製装置を提供すること
を目的とする。
情に鑑み、核酸ハイブリダイゼーションの自動化及び一
本鎖核酸の調製について鋭意検討したところ、加温・冷
却装置と磁力制御装置を共に装備することにより、極め
て単純な動作をもってハイブリダイゼーション工程を自
動化できると共に一本鎖核酸も調製でき、同時に装置全
体の小型化が図れることを見出し、本発明を完成した。
容器保持具、加温・冷却装置及び磁力制御装置を備えて
なる反応部、(B)チップラック及び上清回収容器を備
えてなるチップラック・上清回収部、(C)試薬収容容
器を備えてなる試薬部、及び(D)複数本のチップノズ
ルを装備し、該チップノズルにチップを装着・脱着させ
る機構と、装着されたチップが処理液を吸引・注入する
機構とを有し、X−Z軸方向へ自在に移動可能なアーム
ユニットを備えてなるヘッド部、より構成される自動核
酸調製装置を提供するものである。
保持具、加温・冷却装置及び磁力制御装置を備えてなる
反応部、(B)チップラック及び上清回収容器を備えて
なるチップラック・上清回収部、及び(D)複数本のチ
ップノズルを装備し、該チップノズルにチップを装着・
脱着させる機構と、装着されたチップが処理液を吸引・
注入する機構とを有し、X−Z軸方向へ自在に移動可能
なアームユニットを備えてなるヘッド部、より構成され
る一本鎖核酸調製装置を提供するものである。
いて、下記工程(1)〜(7)を自動で行い、次いで反
応容器中の標識核酸量を測定することを特徴とするサン
プル中の核酸検出方法を提供するものである。 (1)サンプル核酸固定化磁性粒子が注入された反応容
器を反応部に設置し、加温・冷却装置により反応容器中
の温度を核酸のディネーチャー温度に設定し、当該温度
を所定時間保持してサンプル核酸を一本鎖化する。 (2)磁力制御装置を稼働して所定時間磁気吸引力を発
生させ、磁性粒子に結合したサンプル核酸を容器中に偏
在させる。 (3)アームユニットを稼働してチップラック・上清回
収部に移動し、チップノズルにチップを装着する。 (4)アームユニットを反応部に移動し、反応容器中の
上清をチップノズルにて吸引する。 (5)アームユニットをチップラック・上清回収部に移
動し、チップノズル内の吸引上清を上清回収容器に注入
する。 (6)アームユニットを試薬部に移動し、試薬収容容器
から検出核酸試薬を吸引し、反応部の反応容器中に注入
する。 (7)反応容器中の温度を核酸のアニーリング温度まで
冷却し、当該温度を所定時間保持してサンプル核酸と検
出核酸試薬中の標識核酸をハイブリダイズする。
一本鎖核酸調製装置を用いて、下記工程(1)〜(5)
を自動で行うことを特徴とする一本鎖核酸の調製方法を
提供するものである。 (1)サンプル核酸固定化磁性粒子が注入された反応容
器を反応部に設置し、加温・冷却装置により反応容器中
の温度を核酸のディネーチャー温度に設定し、当該温度
を所定時間保持してサンプル核酸を一本鎖化する。 (2)磁力制御装置を稼働して所定時間磁気吸引力を発
生させ、磁性粒子に結合したサンプル核酸を容器中に偏
在させる。 (3)アームユニットを稼働してチップラック・上清回
収部に移動し、チップノズルにチップを装着する。 (4)アームユニットを反応部に移動し、反応容器中の
上清をチップノズルにて吸引する。 (5)アームユニットをチップラック・上清回収部に移
動し、チップノズル内の吸引上清を上清回収容器に注入
する。
イブリダイゼーションによる二本鎖核酸の調製及び一本
鎖核酸の調製を自動で行う装置であり、一本鎖核酸調製
装置は、一本鎖核酸の調製を自動で行う装置である。以
下、図面に基づいて、本発明装置の具体例を説明する。
図1は、本発明の自動核酸調製装置の内部構成を示す概
念図であり、図2は本発明の一本鎖核酸調製装置の内部
構成を示す概念図である。一本鎖核酸調製装置(図2)
は、自動核酸調製装置(図1)から試薬部3が省略され
ているものであり、それ以外の構成は図1の装置と同一
である。
の一本鎖(ディネーチャー)化、一本鎖核酸を容器中に
偏在させるB/F分離、及び一本鎖の固定化サンプル核
酸と検出核酸プローブとのハイブリダイゼーション(ア
ニーリング)(図1のみ)を行う反応部であって、反応
容器を収納保持するための保持具と、ディネーチャー及
びアニーリングの各温度を調節する加温・冷却装置及び
磁力制御装置で構成される。
て、8はディネーチャー、アニーリング及びB/F分離
を行うための反応容器である。斯かる反応容器として
は、これらの反応に適するものであれば、その形状及び
材質には特に制限されるものではないが、複数のサンプ
ルを同時に試験でき、且つ汎用性の高い樹脂製の24〜
96ウェルマイクロプレートを使用するのが好ましい。
温するヒータ10と、これを冷却するチラー11と、温
度を制御するセンサー12と、温度を制御する温度制御
装置13とを備えるものである。尚、ここで用いられる
反応容器保持具9は、使用する反応容器表面と密着する
形状を有する金属製プレートが使用される。温度制御装
置13は、ディネーチャーにおいては、反応容器内部で
ディネーチャー反応を進行させる温度95℃(一般には
95℃前後であるが、サンプル核酸の長さが短い場合に
はこれより低くてもよい)を保持するようにコントロー
ルでき、アニーリングにおいては、一本鎖の固定化サン
プル核酸と標識核酸とのアニーリングが完全に行われる
ための温度(Tm値)付近まで、一定の速度で徐々に低
下するようにコントロールできるものである。また、温
度制御装置のタイマー機能により反応時間もコントロー
ルされる。
ついて対応する磁力を発生し、容器内のB/F分離に使
用する磁性粒子に磁力を作用させるものである。斯かる
磁力制御装置は、反応容器の底部のみに磁性粒子が不動
化するように磁力制御するように配置され、反応容器の
真下に置くことで容器底面の狭い領域に集めることがで
きる。磁力発生源を容器側面から近づけると磁束に沿っ
て上下に長く伸びてしまうため、樹脂の反応容器を使っ
た場合には容器内側の界面に大量の磁性粒子の吸着が起
こることがあり、集めることには不適である。
容器下部の磁力をON、OFFすることにより磁力制御
すればよい。例えば、磁力発生源を容器底に接近するこ
とで反応容器内の磁性粒子に作用する磁力を増大させ、
また容器から下方又は横方向等に隔離することで、作用
する磁力を減少させる。尚、ディネーチャーにより一本
鎖化されたサンプル核酸固定化磁性粒子を容器底に完全
に偏在させるためには、約3分間磁力をONにし、磁気
吸引力を発生させておくのが好ましい。ここで、磁気発
生源としては、例えば、永久磁石、電磁石等が挙げられ
るが、このうち、磁束密度、容積の点で永久磁石を用い
るのが好ましく、特に永久磁石を、96ウェルマイクロ
プレートの各ウェルに対応するようにアレイ状に並べ、
隣り合う磁石の磁極をN、S極交互に配置するのが好ま
しい。これにより反応容器に作用させる磁束の乱れを防
ぐことができ、効率よく磁性粒子を凝集させることがで
きる。
イブリダイゼーションによる核酸の検出において使用さ
れる磁性粒子としては、水溶液中で不溶性であり且つ磁
性を示すものであるならば特に限定されるものではな
い。例えば、FeO、γ-FeO、Co-γ-FeO、(NiCuZn)O・Fe
O、(CuZn)O・FeO、(MnZn)O・FeO、(NiZn)O・FeO、SrO・
6FeO、BaO・6FeO、SiO2で被覆したFeO(粒径約200 A)
〔Enzyme Microb.Tecnol.,vol2,p.2-10(1980) 参照〕、
各種の高分子材料(ナイロン、ポリアクリルアミド、ポ
リスチレン等)とフェライトとの複合微粒子及び磁性細
菌が菌体内に合成する磁性細菌粒子等が挙げられる。
で発見され、菌体内に50〜100nmの程度の粒径のマ
グネタイト(Fe3O4)単結晶の微粒子が10〜20個
ほど連なったマグネトソームと呼ばれるチェイン状の粒
子を保持している。磁性細菌はこのマグネトソームを保
持することで地磁気を感知し、磁力線の方向を認識する
ことができる。磁性細菌は微好気性の細菌であり、地磁
気を感知することで好気的な水面から微好気的な沈殿物
表層へ磁力線に沿って泳ぐことができる。
Y,VOL. 63,No. 3,FEBRUARY 1,1991 P268-P272に示され
るように、単菌分離され、大量培養が可能となってい
る。この磁性細菌中の磁性粒子は、六角柱で粒径、形状
が非常に均一であり、純度も高く、粒子を含む菌体の磁
化を微粒子当りに換算すると約50emu/g である。ま
た、保磁力は230 Oe で、単磁区構造をとっているこ
とが確かめられている。また、この磁性粒子は、粒子表
面が有機薄膜で覆われていることから金属の溶出がほと
んど起こらず安定に存在し、水溶液中での分散性にも優
れているといった特性を有している。従って、本発明に
おける一本鎖核酸の調製及びハイブリダイゼーションに
よる二本鎖核酸の調製には磁性細菌粒子を用いるのが好
ましい。
は、フレンチプレスを用いた物理的圧力破砕、アルカリ
煮沸、酵素処理、超音波破砕処理等が知られており、磁
性細菌粒子を大量に得る場合には、フレンチプレスによ
る破砕が適している。抽出後、磁石等により磁性細菌粒
子を分離すればよい。
びハイブリダイゼーションを行うには、サンプル核酸を
固定化した磁性粒子を用いることが必要である。サンプ
ル核酸の磁性粒子への固定化は、不溶性担体へのDNA
の固定化手段として通常用いられる方法により行えばよ
く、例えば公知の方法により、磁性粒子表面に導入した
特異結合試薬と、これに特異的に結合する物質で標識し
たサンプル核酸を調製し、両者を反応させればよい。こ
こで使用できる特異結合試薬及びそれと特異結合する物
質の組み合わせとしては、例えば、ビオチンとストレプ
トアビジン或いはアビジン、ハプテンと抗体、リガンド
とレセプターなどの組み合わせが挙げられ、このうちサ
ンプル核酸をビオチン標識し、磁性粒子にストレプトア
ビジンを導入させておくのが好ましい。
て、試薬を分注するためのディスポーザブルチップ(以
下「ディスポチップ」という)を保持するチップラック
6と、磁気分離後に反応部から吸い上げた一本鎖核酸遊
離上清を回収し、留めておくための上清回収容器をその
下部に備えるものである。このように、チップラックと
上清回収容器をヘッド部の移動平面に対して垂直に配置
することで省スペース化が図れる。チップラック6に
は、ディスポチップのテーパ部を支えるよう穴が空けて
あり、測定を開始する前はそこにディスポチップ7がさ
さっている。
えるものである。ここで用いられる試薬は、検出核酸試
薬であり、サンプル核酸とハイブリダイズ可能な標識核
酸プローブ及び必要に応じてこれらの相補配列が形成す
る塩基対合にインターカレートして強い蛍光を出すイン
ターカレーター(POPOTM-3 iodide Molecular Probes
等)を含有する溶液が挙げられる。尚、用いられる核酸
プローブは、一本鎖DNA、RNA又はPNAのいずれ
であってもよく、標識は、FITC、ローダミン等の核
酸プローブに対して標識が可能な蛍光物質を用いればよ
い。
プローブに対してFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)
を起こすものを選定する。蛍光標識プローブと蛍光イン
ターカレーターによるFRETを使用する理由として二
つある。一つは磁性粒子による光散乱が原因でおこる検
出蛍光のSN比悪化を防ぐためである。励起波長に対す
る放出波長のずれ(ストークスシフト)を100nm以
上にすることが好ましく、FRETを用いれば、これが
容易である。もう一つはインターカレーターの働きを用
いて、DNAの一塩基変異部位のあり/なし検出(タイ
ピング)を可能としていることである。蛍光物質と蛍光
インターカレーターによるFRET効率は距離の6乗に
反比例することが分かっており、通常50オングストロ
ームの距離までエネルギー移動を起こす。一方インター
カレーターはDNAの二重鎖部分にのみ挿入する。具体
的には、まず一塩基変異部位は蛍光標識部のすぐ隣りに
なるよう蛍光標識プローブを設計しておく。蛍光標識プ
ローブとサンプル一本鎖DNAをTm値より若干低い温
度でアニーリングすると、これらは相補性をもつ塩基対
間(A−T、G−C)で水素結合し、二重らせんの2本
鎖核酸を形成する。また、水素結合している二重鎖部分
にはインターカレーターが挿入することになる。蛍光標
識プローブと一塩基差異のあるサンプルをアニーリング
した場合、標識した蛍光物質のすぐ隣りの二重鎖部分に
はインターカレーターが挿入しておらず、そのまた隣り
に挿入したインターカレーターは蛍光物質からは50オ
ングストローム以上の距離が離れるため、FRET効率
は非常に低くなる。この結果、検出蛍光強度は小さいも
のとなる。しかし、相補的なサンプルとアニーリングし
た場合、すぐ隣りの二重鎖部分にもインターカレーター
は挿入し、FRETを起こし、検出蛍光強度は大きくな
る。
装置を設けてもよい。
動自在のアームユニットを有し、当該アームユニット
は、チップノズル5と、ヘッド部を移動させる機構と、
該ヘッド部を移動させることにより該チップノズルにチ
ップを装着・脱着させる機構と、装着されたチップから
処理液(試薬及び上清)を吸引・注入する機構、より構
成されている。
の検出を、ヒトALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵
素)を作る遺伝子exon12の114番目の塩基に存
在する一塩基置換(野生型ALDH2*1(G)/変異
型ALDH2*2(A))を検出する場合を例に挙げて
説明する。 [1]準備工程 (1)磁性細菌粒子の作製 磁性細菌粒子の生産のため、単菌分離された磁性細菌
Magnetopsirillum sp.AMB-1 (Matsunaga et al. 1991)
をMSGM培地(Blakemore et al. 1979)(100L)を用
いて室温で約7日間、嫌気条件下で培養した。培養3日
後にキナ酸鉄溶液を培養液1Lに対し4mL添加した。
培養した菌体は10000g、4℃で連続遠心機を用い
て回収した。10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS,
pH7.4)を用いて懸濁した。この菌体を、1500
kg/cm2の条件下でフレンチプレス(大岳製作所、
5501M)を用いて破砕し、ネオジウム−ボロン(N
d−B)磁石を用いて破砕菌体から磁性細菌粒子を磁気
回収した。得られた磁性細菌粒子は、超音波洗浄器(Ka
ijo Denki Co. Ltd., CA4481)を用いて、PBS中で3
回以上洗浄された後、PBSに懸濁され4℃で保存し
た。
塩基変異を含む領域について、ALDH2増幅用プライ
マを用いてPCR産物を作製した。ALDH2増幅用プ
ライマは、フォワードプライマとして5’末端にビオチ
ン標識したDWC10オリゴヌクレオチド(Crabb et a
l. 1989)(Biotin-5'-GCCGCG CCC GCC GCC CCG CGC CCC
CCC GCC CGC CCC GCG CTC CAC AGT TTT CAC-3')、リバ
ースプライマとしてDWC11オリゴヌクレオチド(Chen
et al. 1997)(5'-CAA ATT ACA GGG TCA GCT ATG-3')
を合成し、使用した。
固定 磁性細菌粒子への修飾は、磁性細菌膜上に存在すると考
えられるアミノ基を利用した。まず、磁性細菌AMB−
1株より抽出・精製された磁性細菌粒子(BMPs)1
mgをSulfo−NHS−LC−LC−Biotin
100μgを含むPBS 1mL中に懸濁し、室温で3
0分間反応させることにより、磁性細菌粒子膜上のアミ
ノ基に対してビオチンを導入した。反応後、磁気回収
し、PBSで3回洗浄した。洗浄後、修飾BMPs 1
mgに対して、ストレプトアビジン 400μgをPB
S 1mL中に懸濁し、室温で30分間反応させること
によりBMPsとストレプトアビジンを架橋した。作製
したストレプトアビジン−BMPs 300μgに対し
て、5’末端にビオチン標識したサンプルDNA300
pmolをPBS 300μL中でアビジン−ビオチン
反応を行わせ、サンプルDNAを磁性細菌粒子へ固定し
た。
を含む検出核酸試薬の作製 検出核酸プローブとして2種類用意した。一つは、5’
末端に蛍光物質であるFITCを標識したALDH2*
1検出用プローブオリゴヌクレオチド(FITC-5'-CTG AA
G TGA AAA CTG TGA GT-3')、他の一つは同じく5’末
端にFITCを標識したALDH2*2検出用プローブ
オリゴヌクレオチド(FITC-5'-CTA AAGTGA AAA CTG TGA
GT-3')である。この2種類の検出プローブの作成はD
NA合成サービス会社に作成を委託した。検出用試薬は
この検出プローブ(100pmol)とインターカレー
ター剤であるPOPO−3(10nmol)をトータル
100μLになるよう10mM Trisバッファ(p
H8.0)に懸濁して作製した。こうして上記2種類の
検出プローブから、ALDH2*1検出用試薬とALD
H2*2検出用試薬それぞれを作製した。
100μgを反応容器に入れ、本装置の加熱冷却磁気
分離部に設置する。 ディスポチップを保持したチップラックを滅菌後、本
装置のチップラック・上清回収部に設置する。 前記(4)で作製した2種類の検出試薬100μL
を、試薬容器に入れ、本装置の洗浄部に設置する。
装置の温度制御機能を稼動させ、反応溶液を95℃に温
める。そのままの状態を5分間保持することにより、反
応容器中のサンプルDNAの一本鎖化(ディネーチャ
ー)を行う。続いて容器真下に設置された磁気制御装置
を稼動して磁気吸引力を発生させ、磁性粒子を容器底面
に集める。磁気制御装置を動作させてから約3分間その
まま待機する。待機状態においても反応容器は95℃に
保持する。アームユニットをチップラック・上清回収部
上に稼動し、さらに下方へ移動させ、チップノズルとデ
ィスポチップを嵌合させることで、チップラック・上清
回収部に保持されたディスポチップをノズルに装着す
る。次にアームユニットを反応部へ移動させ、そのまま
降下させて、適当な位置で停止後、チップノズルにて反
応容器の上清を吸引し、チップラック・上清回収部に移
動して排出させる。
酸試薬を吸引し、再びアームユニットを反応部へ移動さ
せ、95℃に維持された反応容器中にこれを注入する。
0℃に下げ、さらに60℃〜25℃まで、5℃/分のス
ピードでゆっくり冷却し、容器中のサンプルDNAと検
出プローブのハイブリダイゼーション反応、及びハイブ
リダイズしたDNA間へのインターカレーターの挿入反
応を行った。
リーダ(FLUOstar)にセットした。蛍光プレー
トリーダでは490nmの励起光を当て、570nmの
蛍光波長で蛍光強度を測定した。測定データは、1つの
サンプルDNAについてALDH2*1検出用試薬およ
びALDH2*2検出用試薬で反応させた2種類のデー
タが得られた。その蛍光強度比(ALDH2*1/AL
DH2*2)を計算した結果、GGホモのサンプルにお
いて約1.4、GAヘテロのサンプルにおいて約1、A
Aホモのサンプルにおいて約0.7という結果となり、
一塩基置換の検出が可能であることが確認された。
A固定化磁性粒子100μgを反応容器に入れ、本発明
の一本鎖核酸調製装置(図2)の反応部に設置する。 (2)サンプルDNAの一本鎖化 本装置の始動スイッチを投入し、反応部1の加温・冷却
装置の温度制御機能を稼動させ、反応溶液を95℃に温
める。そのままの状態を5分間保持することにより、反
応容器中のサンプルDNAの一本鎖化(ディネーチャ
ー)を行う。続いて容器真下に設置された磁気制御装置
を稼動して磁気吸引力を発生させ、磁性粒子を容器底面
に集める。磁気制御装置を動作させてから約3分間その
まま待機する。待機状態においても反応容器は95℃に
保持する。アームユニットをチップラック・上清回収部
上に稼動し、さらに下方へ移動させ、チップノズルとデ
ィスポチップを嵌合させることで、チップラック・上清
回収部に保持されたディスポチップをノズルに装着す
る。次にアームユニットを反応部へ移動させ、そのまま
降下させて、適当な位置で停止後、チップノズルにて反
応容器の上清を吸引し、チップラック・上清回収部に移
動して排出させ、一本鎖DNAを回収する。
により、核酸の検出において最も時間がかかり、広い実
験スペースを要するハイブリダイゼーション工程を、極
めて単純な動作をもって自動化でき、同時に装置全体の
小型化が図れる。また、本発明装置においては、磁気分
離のステージとアニーリングステージが一体化されてい
ることから、反応容器を移動する必要がなく、磁気分離
工程でのハイブリダイゼーション温度の変化を最小限に
抑えることができ、以てハイブリダイゼーション時の非
特異吸着を最小限に抑えることができ、高精度で核酸の
検出が可能となる。また、本発明の自動核酸調製装置及
び一本鎖核酸調製装置を用いれば、各種遺伝子解析に有
用な一本鎖核酸が簡易且つ迅速に調製できる。
示す概念図である。
を示す概念図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 少なくとも(A)反応容器保持具、加温
・冷却装置及び磁力制御装置を備えてなる反応部、
(B)チップラック及び上清回収容器を備えてなるチッ
プラック・上清回収部、(C)試薬収容容器を備えてな
る試薬部、及び(D)複数本のチップノズルを装備し、
該チップノズルにチップを装着・脱着させる機構と、装
着されたチップが処理液を吸引・注入する機構とを有
し、X−Z軸方向へ自在に移動可能なアームユニットを
備えてなるヘッド部、より構成される自動核酸調製装
置。 - 【請求項2】 少なくとも(A)反応容器保持具、加温
・冷却装置及び磁力制御装置を備えてなる反応部、
(B)チップラック及び上清回収容器を備えてなるチッ
プラック・上清回収部、及び(D)複数本のチップノズ
ルを装備し、該チップノズルにチップを装着・脱着させ
る機構と、装着されたチップが処理液を吸引・注入する
機構とを有し、X−Z軸方向へ自在に移動可能なアーム
ユニットを備えてなるヘッド部、より構成される一本鎖
核酸調製装置。 - 【請求項3】 請求項1記載の自動核酸調製装置を用い
て、下記工程(1)〜(7)を自動で行い、次いで反応
容器中の標識核酸量を測定することを特徴とするサンプ
ル中の核酸検出方法。 (1)サンプル核酸固定化磁性粒子が注入された反応容
器を反応部に設置し、加温・冷却装置により反応容器中
の温度を核酸のディネーチャー温度に設定し、当該温度
を所定時間保持してサンプル核酸を一本鎖化する。 (2)磁力制御装置を稼働して所定時間磁気吸引力を発
生させ、磁性粒子に結合したサンプル核酸を容器中に偏
在させる。 (3)アームユニットを稼働してチップラック・上清回
収部に移動し、チップノズルにチップを装着する。 (4)アームユニットを反応部に移動し、反応容器中の
上清をチップノズルにて吸引する。 (5)アームユニットをチップラック・上清回収部に移
動し、チップノズル内の吸引上清を上清回収容器に注入
する。 (6)アームユニットを試薬部に移動し、試薬収容容器
から検出核酸試薬を吸引し、反応部の反応容器中に注入
する。 (7)反応容器中の温度を核酸のアニーリング温度まで
冷却し、当該温度を所定時間保持してサンプル核酸と検
出核酸試薬中の標識核酸をハイブリダイズする。 - 【請求項4】 請求項1又は2記載の装置を用いて、下
記工程(1)〜(5)を自動で行うことを特徴とする一
本鎖核酸の調製方法。 (1)サンプル核酸固定化磁性粒子が注入された反応容
器を反応部に設置し、加温・冷却装置により反応容器中
の温度を核酸のディネーチャー温度に設定し、当該温度
を所定時間保持してサンプル核酸を一本鎖化する。 (2)磁力制御装置を稼働して所定時間磁気吸引力を発
生させ、磁性粒子に結合 したサンプル核酸を容器中に偏在させる。(3)アーム
ユニットを稼働してチップラック・上清回収部に移動
し、チップノズルにチップを装着する。 (4)アームユニットを反応部に移動し、反応容器中の
上清をチップノズルにて吸引する。 (5)アームユニットをチップラック・上清回収部に移
動し、チップノズル内の吸引上清を上清回収容器に注入
する。 - 【請求項5】 磁性粒子が、磁性細菌粒子である請求項
3記載の核酸検出方法又は請求項4記載の一本鎖核酸の
調製方法。 - 【請求項6】 検出核酸試薬が、蛍光標識核酸プローブ
及びインターカレーターを含有するものである請求項3
記載の核酸検出方法。
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