JP2004121231A - 標的核酸の検出方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】 固相としてビーズを、核酸プローブとして蛍光又は発光標識プローブを用いた核酸ハイブリダイゼーション法により、試料溶液中の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別して検出する方法において、ハイブリダイゼーション反応終了後、ハイブリダイズしていない標識プローブを洗浄除去し、次いでプローブ放出用溶液を添加し、ハイブリダイズされ且つビーズに固定化された標的核酸を容器底面に沈降させた後、反応液の温度を標的核酸の変性温度以上にまで徐々に上げて標識プローブをビーズから上清に放出させ、上清中の蛍光又は発光量を経時的に測定することを特徴とする標的核酸の検出方法;当該検出法を実施するための装置。
【効果】 本発明の方法を用いれば、サンプル中の標的核酸を、簡易に且つ効率よく、これと一塩基以上の変異を有する核酸とを明確に区別して検出することができる。
【選択図】  なし

Description

 本発明は、試料溶液中の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別して検出する方法及び当該方法を実施するための装置に関する。
 近年、遺伝子解析技術の急速な進歩及び遺伝学的情報の増大等により、病気や患者の体質を遺伝子レベルで診断・検査する技術が普及しつつある。特に、最近では、ゲノムデータの蓄積等によって、各個体間の体質の差を決めている多数の1塩基多型(SNPs:single nucleotide polymorphism)が、染色体上にマッピングされてきており、いくつかのSNPsについて、タンパク質の機能に及ぼす影響が特定されている。従って、患者のSNPsの型を判定することは重要である。また、点突然変異に起因する先天性疾患及び後天性疾患においては、当該遺伝子変異(点突然変異)を検出することは、このような疾患の発症予測、疾患の悪性度、予後の判断等に活用することができ、極めて重要である。
 斯かる遺伝子変異を検出する手法としては、一塩基でもミスマッチがあると、ハイブリット形成が弱いことを利用して、Tm(融解温度)付近で標識プローブとハイブリダイゼーション反応をさせ、ハイブリッド形成を起こしたか、起こさないかを検出してDNA上の塩基配列の違いを簡便に検出するというASO法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。これによれば、核酸の二本鎖が一本鎖に変性する融解温度をTmと呼び、ある核酸の50%がその相補鎖とハイブリッドを形成する温度と定義されている。そして、このTmを算出する式として、Wallace法、Nearest Neighbor 法、GC%法等が提案されている。
 しかしながら、Tm値は上記各種方法によって計算から求められるものの、各計算方法による結果もまちまちであり、実際には最適なハイブリダイゼーション温度条件を試行錯誤して測定し、特異的なハイブリダイゼーションシグナルが高く、非特異的なバックグラウンドが低くなる条件を求める必要があり、かなりの時間を要したり、貴重なサンプルを無駄にするという問題があった。
 一方、DNAプローブを用いた核酸の検出においては、標識された核酸とビーズ等に固定化された核酸の相補性を利用してサンプル中の標的核酸を検出することが行われているが、近年、その検出には非放射性標識物質として各種波長を持った蛍光又は発光標識物質が種々開発されていることから、標識物質に単一波長の励起光を当てて励起し、発光する光の強度をCCD等のディテクターで検出するという蛍光又は発光測定法が主流となっている。また、プローブを固定化する担体としては、目的物質と3次元的に反応させることができるポリスチレンビーズや磁性ビーズのような直径50nm〜1μmという大きさのビーズが用いられている。
 しかしながら、従来の蛍光又は発光測定法では、反応によりビーズに捕捉されたサンプルの標識物を、ビーズが溶液中に分散された状態でそのまま測定しているため、ビーズに固定されている標識体をエネルギー励起する励起光が、ビーズのシャドー効果や光散乱のために乱れ、バックグラウンドに対する検出シグナルの比(S/N比)が悪くなり、感度良い計測ができないという問題があった。また、蛍光物質の種類(例えばストークスシフトの狭い蛍光物質)によっては、検出結果に定量性が見られず、ビーズを用いた検出系には使用できないものもあった。
「臨床DNA診断法」、(1995年7月1日)、古庄敏行、井村裕夫監修、中込弥男、岡田伸太郎、湯浅保人、倉田毅編、金原出版(株)発行、170頁〜177頁
 本発明は、固相としてビーズを、核酸プローブとして蛍光又は発光標識プローブを用いた核酸ハイブリダイゼーション法により、標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別して、より感度よく且つ効率的に検出するための方法及び当該方法を実施するための装置を提供することを目的とする。
 本発明者らは、斯かる実情に鑑み、鋭意検討したところ、固相としてビーズを、核酸プローブとして蛍光又は発光標識プローブを用いてハイブリダイゼーション反応を行い、ハイブリダイズされ且つビーズに固定化された標的核酸を容器底面に沈降させた後、反応液の温度を標的核酸の変性温度以上にまで徐々に上げることによって標識プローブをビーズから上清に解放し、上清中に浮遊する標識物質の蛍光又は発光量を経時的に測定することにより、標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別しつつ感度良く検出できることを見出した。
 すなわち本発明は、固相としてビーズを、核酸プローブとして蛍光又は発光標識プローブを用いた核酸ハイブリダイゼーション法により、試料溶液中の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別して検出する方法において、ハイブリダイゼーション反応終了後、ハイブリダイズしていない標識プローブを洗浄除去し、次いでプローブ放出用溶液を添加し、ハイブリダイズされ且つビーズに固定化された標的核酸を容器底面に沈降させた後、反応液の温度を標的核酸の変性温度以上にまで徐々に上げて標識プローブをビーズから上清に放出させ、上清中の蛍光又は発光量を経時的に測定することを特徴とする標的核酸の検出方法を提供するものである。
 また本発明は、固相としてビーズを、核酸プローブとして蛍光又は発光標識プローブを用いた核酸ハイブリダイゼーション法により、試料溶液中の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別して検出する方法において、ハイブリダイゼーション反応終了後、ハイブリダイズした標的核酸を遊離することなく変異核酸のみを遊離する最適温度にて、ハイブリダイズしていない標識プローブ及びハイブリダイズしているが一塩基以上のミスマッチを有する標識プローブを洗浄除去し、次いでプローブ放出用溶液を添加し、ハイブリダイズされ且つビーズに固定化された標的核酸を容器底面に沈降させた後、反応溶液の温度を標的核酸の変性温度以上に上げて標識プローブをビーズから上清に放出させ、上清中の蛍光又は発光量を測定することを特徴とする標的核酸の検出方法を提供するものである。
 また本発明は、上記標的核酸の検出方法を実施するための装置であって、(a)反応・検出部、(b)チップラック・上清回収部、(c)試薬部、(d)分注ヘッド部及び(e)検出ヘッド部を備えてなる核酸検出装置を提供するものである。
 更に本発明は、(A)サンプルプレートを保持するプレート保持部、(B)プレート保持部下方から磁場を発生させる磁気回収部又はプレート保持部を高速回転させる遠心分離回収部、(C)反応溶液を加温する加熱部、(D)励起光をプレート上に発生する光照射部、(E)標識物質から放出される蛍光又は発光を感知する光検出部、(F)磁気回収部、光照射部及び光検出部の各機能を制御する制御部、(G)制御部の動作シーケンスを制御する指令部、(H)光検出部で感知された光量をデータとして出力するデータ表示部、を備えてなる蛍光又は発光検出装置を提供するものである。
 本発明の方法を用いれば、サンプル中の標的核酸を、簡易に且つ効率よく、これと一塩基以上の変異を有する核酸とを明確に区別して検出することができる。また、本発明の方法では、蛍光又は発光物質を固相のビーズから切り離して測定することから、ビーズによるシャドー効果を受けることなく蛍光又は発光物質を測定することができ、検出感度が飛躍的に向上し、少量のサンプルであっても検出が可能となる。また、ビーズの光散乱のために使用することができなかった蛍光物質、具体的には励起波長に対する放出波長のずれ(ストークスシフト)が20〜30nmと狭い物質も使用することができる。
 本発明の標的核酸の検出方法は、固相としてビーズを、核酸プローブとして蛍光又は発光標識プローブを用いた核酸ハイブリダイゼーション法により、試料中の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別して検出する方法に関するものであり、具体的には、標的核酸に対して相補的である塩基配列を有し且つ蛍光又は発光標識されたDNAプローブ(標識プローブ)、特異的結合試薬を表面に導入したビーズ、及び当該特異的結合試薬と親和性の高い物質で標識した標的核酸、を用いてハイブリダイゼーション反応及び特異的親和反応を行うものである。
 標的核酸と一塩基以上が異なる変異核酸としては、標的核酸と1〜数個の塩基が相違する変異核酸が挙げられ、例えば1塩基多型(SNPs)や点突然変異体が含まれる。
 ビーズとしては、B/F分離が容易なものであれば特に限定はされるものでなく、球体、特に平均直径20nm〜100μmであり、好ましくは50nm〜5μmのものが好ましい。具体的には、ラテックスビーズ等の高分子粒子や外部から磁気的に容易に運動制御できる磁性ビーズが挙げられ、特に磁性ビーズを用いるのが好ましい。
 磁性ビーズとしては、水溶液中で不溶性であり且つ磁性を示すものであるならば特に限定されるものではないが、例えば、FeO,γ-FeO,Co-γ-FeO,NiCuZn)O・FeO,(CuZn)O・FeO,(MnZn)O・FeO,(NiZn)O・FeO,SrO・6FeO,BaO・6FeO,SiO2で被覆したFeO(粒径約200A)〔Enzyme Microb.Tecnol.,vol2,p.2-10(1980) 参照〕、各種の高分子材料(ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリスチレン等)とフェライトとの複合微粒子及び磁性細菌が菌体内に合成する磁性細菌粒子等が挙げられる。
 標識物質としては、蛍光物質又は発光物質が用いられるが、蛍光物質としては、例えばフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、AMCA、Cy3、Cy5等が挙げられ、発光物質としては、化学発光性物質や生物発光性物質及び発光現象を生じる酵素等が挙げられる。化学発光性物質としては、例えば、ルミノール、イソルミノール及びベンゾペリレン等のルミノール類、アクリジニウムエステル等のアクリジン類、アクリジンオレンジ等が挙げられる。また、生物発光性物質としては、例えばペルオキシダーゼ(POD)、アルカリホスファターゼ(ALP)等の酵素が挙げられる。
 また、ビーズと標的核酸との親和的結合を行うための特異的結合物質としては、例えば、抗原と結合する抗体、抗体と結合する抗原、ストレプトアビジンと結合するビオチン、ビオチンと結合するストレプトアビジン、相補的な関係にあるDNA鎖/又はRNA鎖とこれらと相補的な関係にあるDNA鎖/RNA鎖等が挙げられる。
 標識プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーション反応は、常法に従って行えばよい。またその条件は、用いるプローブの融解温度(Tm;二本鎖核酸の50%が一本鎖に変性する温度)や反応バッファの塩濃度などに応じて適宜決定すればよく、この場合、標識プローブと相補的塩基配列を有する標的核酸の他に、標識プローブとは一塩基以上が異なる変異核酸がミスマッチする条件であってもよい。
 そして、本発明の核酸の検出方法は、上記の如くハイブリダイゼーション反応及び特異的親和反応によりハイブリダイズされ且つビーズに固定化された標的核酸を、ハイブリダイズしていない標識プローブを洗浄除去した後、プローブ放出用溶液を添加し、一旦容器底面に沈降させた後、反応液の温度を標的核酸の変性温度(核酸の二本鎖が全て一本鎖となる温度)以上にまで徐々に上げて標識プローブをビーズから上清に放出させ、上清中の蛍光又は発光量を測定するものである(図1参照)。
 ここで用いられるプローブ放出用溶液としては、ハイブリダイゼーション反応や洗浄に用いられるバッファと同様の溶液の他、尿素水溶液、アルカリ性溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)、有機溶媒(例えば、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)等)、界面活性剤(Tween20)等のDNA変性剤を用いることができる。尚、FITC等のpH依存性の高い蛍光物質を標識したプローブを用いる場合には、蛍光強度を増大させる点から、アルカリ性溶液を用いるのが好ましい。斯かる溶液には、必要に応じて蛍光脱色抑制剤を添加することができる。また、プローブを放出後の蛍光検出時には、蛍光物質の温度特性の点から、当該溶液は冷却した状態に保たれるのが好ましい。
 当該溶液の添加量は、バックグラウンドが抑えられ、最も感度良く測定できる量とすればよいが、反応及び洗浄工程で使用される溶液量よりもかなり少量(但し溶液が蒸発しない程度の量)とするのが好ましい。特に1/2〜1/1000、更には1/5程度とするのが、標的核酸と一塩基変異核酸との蛍光強度比を飛躍的に高めることができ(図6参照)、好ましい。
 反応後浮遊しているビーズを容器底面に沈降させる手段としては、例えば遠心分離による方法やビーズに磁性ビーズを用いて磁気固定する方法が挙げられる。
 遠心分離の条件は、用いるビーズ、目的物質、バッファの種類によっても異なるが、通常4〜40℃、8,000〜20,000回転、1分〜10分行うのが好ましい。
 ビーズとして、上記磁性ビーズを用いる場合には、例えば永久磁石、電磁石等の磁力発生源を検出容器底面に設ければよい。
 蛍光又は発光の測定は、溶液の温度を標的核酸の変性温度以上にまで徐々に上げて標識プローブをビーズから上清に放出させた後、励起光を照射することにより行われる。上清に浮遊した標識プローブを測定することにより、励起光の通り道を邪魔するビーズが存在せず、蛍光又は発光物質から発せられた発光をダイレクトに検出することができ、検出の感度はビーズが浮遊している状態で測定した場合に比べて飛躍的に向上する(図5参照)。また、ビーズを容器底面に保持した状態で行われるので、上清を別の容器に移し替える必要はなく、同一容器内での検出が可能である。
 尚、蛍光物質に照射される励起光としては、キセノン光、ハロゲン光、アルゴンイオンレーザー等が挙げられる。
 標的核酸と、それに対して一塩基以上の変異を有する核酸では融解温度(Tm)が異なることから、相補的な結合によりハイブリダイズした核酸とハイブリダイズはしているが一塩基以上のミスマッチを有する核酸に対して、反応溶液の温度をそれぞれの変性温度以上になるまで徐々に上昇させてディネーチャーさせ、浮遊した標識プローブから発せられる蛍光量又は発光量を経時的に測定し、そのパターンを解析することにより、試料溶液中の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別して検出することができる。すなわち、試料溶液中の核酸が標識プローブと相補的な標的核酸の蛍光又は発光パターンは、一塩基以上の変異を有する核酸の蛍光又は発光パターンに比べて、右側の軸跡を通る(図7,図8)。
 また、目的の標的核酸及びそれと一塩基以上が異なる変異核酸のそれぞれについて、一方の塩基配列に相補的な標識核酸プローブを各々用いてハイブリダイゼーション反応を行い、上記操作を行って、上清中の蛍光又は発光量を経時的に測定して、標的核酸に対する蛍光又は発光量と変異核酸に対する蛍光又は発光量との差が最大となる温度を求めることにより、両者を区別するための最適温度、すなわちハイブリダイズした標的核酸を遊離することなく変異核酸のみを遊離する最適温度を導くことができる(実施例3参照)。
 そして、試料溶液について、ハイブリダイゼーション反応終了後、上記のようにして予め導かれた最適温度にて、ハイブリダイズ反応物を洗浄することにより、ハイブリダイズしていない標識プローブ及びハイブリダイズしているが一塩基以上のミスマッチを有する標識プローブを除去することができ、続いてプローブ放出用溶液を添加し、ハイブリダイズされ且つビーズに固定化された標的核酸を、上記の如く容器底面に沈降させた後、反応溶液の温度を標的核酸の変性温度以上に上げて標識プローブをビーズから上清に放出させ、上清中の蛍光又は発光を測定することにより、目的の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別して検出することができる。
 尚、蛍光又は発光標識プローブとして、標的核酸と、一塩基以上が異なる変異核酸についてそれぞれ異なる蛍光又は発光特性を持つ標識をつけることにより、同一容器中の反応で、試料溶液中の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる複数の変異核酸と区別して検出することが可能となる。また、試料溶液中の標的核酸と一塩基以上異なる変異核酸の含有率(比率)も検出することが可能となる。
 本発明の標的核酸の検出装置は、上記標的核酸の検出方法を実施するための装置であって、(a)反応・検出部、(b)チップラック・上清回収部、(c)試薬部、(d)分注ヘッド部及び(e)検出ヘッド部を備えてなるものである。
 図2に本発明の標的核酸の検出装置の一例を示す。図中、1は反応・検出部、2はチップラック・上清回収部、3は試薬部、4は分注ヘッド部、5は検出ヘッド部を示す。
 同図において、1は、標的核酸の一本鎖(ディネーチャー)化、一本鎖核酸を容器中に偏在させるB/F分離、及び一本鎖核酸と検出核酸プローブとのハイブリダイゼーション(アニーリング)を行う反応を行い、且つハイブリダイズされた標識プローブを検出する反応・検出部であって、反応容器を収納保持するための保持具と、ディネーチャー及びアニーリングの各温度を調節する加温・冷却装置及び磁力制御装置で構成される。
 反応容器は、その形状及び材質には特に制限されるものではないが、複数のサンプルを同時に試験でき、且つ汎用性の高い樹脂製の24〜96ウェルマイクロプレートを使用するのが好ましい。
 加温・冷却装置は、反応容器保持具を加温するヒータと、これを冷却するチラーと、温度を制御するセンサーと、温度を制御する温度制御装置とを備えるものである。
 温度制御装置は、ディネーチャーにおいては、反応容器内部でディネーチャー反応を進行させる温度95℃(一般には95℃前後であるが、サンプル核酸の長さが短い場合にはこれより低くてもよい)を保持するようにコントロールでき、アニーリングにおいては、サンプル核酸と標識核酸とのアニーリングが完全に行われるための温度付近まで、一定の速度で徐々に温度上昇するようにコントロールできるものであり、更に検出時の加温において、数℃きざみで温度を上昇させ、検出を行っている時はその温度に保つようコントロールできるものである。また、温度制御装置のタイマー機能により反応時間もコントロールされる。
 磁力制御装置は、反応容器それぞれについて対応する磁力を発生し、容器内のB/F分離に使用する磁性粒子に磁力を作用させるものである。
 斯かる磁力制御装置は、反応容器の底部のみに磁性粒子が不動化するように磁力制御するように配置され、反応容器の真下に置くことで容器底面の狭い領域に集めることができる。具体的には反応容器の下部に配置し、反応容器下部の磁力をON、OFFすることにより磁力制御すればよい。
 2は、チップラック・上清回収部であって、試薬を分注するためのディスポーザブルチップ(以下「ディスポチップ」という)を保持するチップラックと、反応部から吸い上げた上清を回収又は廃棄するための上清回収容器をその下部に備えるものである。
 チップラックには、測定を開始する前はそこにディスポチップがささっている。
 3は、試薬部であって、試薬収容容器を備えるものである。ここで用いられる試薬としては、洗浄バッファ等が挙げられる。
 4は分注ヘッド部であり、X−Z軸或いはX−Y−Z軸方向へ自在に移動な能なアームユニットを有する。当該アームユニットは、チップノズルと、ヘッド部を移動させる機構と、該ヘッド部を移動させることにより該チップノズルにチップを装着・脱着させる機構と、装着されたチップから処理液(試薬及び上清)を吸引・注入する機構、より構成される。
 5は検出ヘッド部であり、標識プローブの蛍光又は発光を検出するための光照射部、光検出部及び制御部を備えている。
 図3に、本発明の標的核酸の検出方法に使用できる磁気回収部を有する蛍光又は発光検出装置の一例を示す。本検出装置を、核酸ハイブリダイゼーション装置と組み合わせて用いることより、感度よく目的物質の測定が可能となる。
 すなわち、図3に示した装置は、プレート保持部の真下に磁石及び加温装置を設置し、ビーズ粒子を容器底面に凝集させ保持する機能と反応溶液を加熱する機能を備えた蛍光検出装置であり、プレート保持部21、磁気回収・加熱部22、光照射部23、光検出部24、制御部25、指令部26、データ表示部27から構成される。
 プレート保持部21はマイクロプレート等のサンプルプレートを保持するものであり、その下部に磁場を発生させる磁気回収・加熱部22が設置され、プレート下方から磁場を発生できるようになっている。
 光照射部23は、プレート保持部1の上方に設置され、励起光を発する光源23a、その光を絞る集光レンズ23b及び特定の波長のみを通過させる干渉フィルター23cを備えている。光照射部23から放出された特定の励起光がサンプルプレート中のサンプルに照射され、蛍光又は発光物質から放出される発光を光検出部24にて感知される。
 光検出部24は、放出された発光強度を感知するディテクター24a、その光を絞る集光レンズ24b、特定の波長のみを通過させる干渉フィルター24cを備えている。
 磁気回収・加熱部22、光照射部23、光検出部24の各機能は、制御部25により制御され、更にこれらの動作シーケンスは指令部26により制御されている。光検出部24により感知された光量は、データ表示部27によりデータとして出力される。
 図4に、遠心分離回収部を有する蛍光又は発光検出装置の例を示す。
 プレートを保持するプレート保持部31、水平回転する遠心分離回収・加熱部部32及び当該遠心分離回収・加熱部を回転させる駆動部(図示せず)を備えている。回転速度及び時間は制御部25により制御され、更にこれらの動作シーケンスは指令部26により制御されている。
実施例1 加温検出の効果についての検証
 オリゴ合成により、5’末端にビオチン標識し、変異サイトを含むターゲットDNA(ALDH2遺伝子の一塩基変異サイトを含む20mer);ALDH2*1型サンプル、ALDH2*2型サンプルを作成した。また、5’末端にFITC標識したALDH2*1型サンプルと相補的配列でALDH2*2型サンプルとは一塩基のみが異なる配列のALDH2*1型検出プローブも同様にオリゴ合成した。標的核酸及び検出プローブの塩基配列を表1に示す。
 ※:ALDH2遺伝子の一塩基変異は、ゲノムDNA第12染色体、exon12に存在し、アルコール代謝に必要なアセトアルデヒド脱水素酵素の活性有無を決定することで知られている。
 
 2つの容器を準備し、それぞれに、(1)ALDH2*1型サンプルとALDH2*1型検出プローブ、(2)ALDH2*2型サンプルとALDH2*1型検出プローブを混合した。2つの容器に、それぞれストレプトアビジンを固定した磁性粒子を混合し、よく攪拌した。
 80℃、3分間加熱し、DNAを熱変性した。50℃で5分間、25℃で5分間インキュベートし、ストレプトアビジン磁性粒子とビオチン標識したターゲットDNAの親和的結合及びターゲットDNAとFITC標識検出プローブのアニーリングを行った(ここでは、相補的なペアも一塩基変異の存在するペアも同量程度二本鎖を形成する)。最適洗浄条件である58℃に保ったまま、磁石を容器に近づけ、底部にDNA結合体を含む磁性粒子を収集した。
 底部に収集後、容器中の上清部をピペッターで吸引し、廃棄することで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブを除去した。容器から磁石を外し、洗浄バッファを容器に分注し、ピペッターで吸引、吐出を繰り返すことで、磁性粒子の撹拌を行った。同様に洗浄を2回繰り返すことで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブ及び非特異吸着していた検出プローブを除去した。
 容器底部への磁性粒子の回収を行い、次いで80℃、3分間の加熱を行った後、その容器を蛍光検出器にセットし、FITC標識の蛍光量を励起光485nmを照射し、蛍光520nmで検出した。また、比較として、検出前に80℃、3分間の加熱を行わなかったサンプルについても同様に蛍光検出を行った。検出結果を図5に示す。
 これより、蛍光検出に当たり、80℃、3分間の加熱をして、標識プローブをビーズから解放させて測定した場合には、検出感度が飛躍的に向上することが明らかとなった。
実施例2 検出時のバッファ量少量化によるバックグラウンド低減についての検証
 実施例1と同様にして、2つの容器を準備して、それぞれに、(1)ALDH2*1型サンプルとALDH2*1型検出プローブ、(2)ALDH2*2型サンプルとALDH2*1型検出プローブを混合した。また、ストレプトアビジンを固定した磁性粒子を混合し、よく攪拌した。
 80℃、3分間加熱し、DNAを熱変性した。50℃で5分間、25℃で5分間インキュベートし、ストレプトアビジン磁性粒子とビオチン標識したターゲットDNAの親和的結合、及びターゲットDNAとFITC標識のALDH2*1型検出プローブのアニーリングを行った。その後、最適洗浄温度である58℃に保ったまま、磁石を容器に近づけ、底部にDNA結合体を含む磁性粒子を収集した。
 底部に収集後、容器中の上清部をピペッターで吸引し、廃棄することで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブを除去した。容器から磁石を外し、洗浄バッファを容器に分注し、ピペッターで吸引、吐出を繰り返すことで、磁性粒子の攪拌を行った。同様に洗浄を2回繰り返すことで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブ及び非特異吸着していた検出プローブを除去した。
 その後、上記洗浄時に使用した洗浄バッファの1/5量を、ピペッターで容器に分注し、容器底部への磁性粒子の回収を行い、次いで80℃、3分間の加熱を行った後、その容器を蛍光検出器にセットし、FITC標識の蛍光量を励起光485nmを照射し、蛍光520nmで検出した。また、比較として、検出前に分注する量を洗浄時に使用した量と同量とした場合のサンプルについても同様に蛍光検出を行った。検出結果を図6に示す。
これより、蛍光検出に当たり、標識プローブを磁性粒子から解放させるバッファ量を1/5量とした場合には、一塩基変異サンプルとの蛍光強度比が飛躍的に向上することが明らかとなった。
実施例3 最適洗浄温度の測定
 実施例1と同様にして、ALDH2*1型サンプル、ALDH2*2型サンプル、ALDH2*1型検出プローブ、ALDH2*2型検出プローブを作成し、4つの容器を準備して、それぞれに、(1)ALDH2*1型サンプルとALDH2*1型検出プローブ、(2)ALDH2*2型サンプルとALDH2*1型検出プローブ、(3)ALDH2*1型サンプルとALDH2*2型検出プローブ、(2)ALDH2*2型サンプルとALDH2*2型検出プローブを混合した。4つの容器に、ストレプトアビジンを固定した磁性粒子を混合し、よく撹拌した。
 80℃、3分間加熱し、DNAを熱変性した。25℃にゆっくりと下げ、そのまま10分間に保ち、ストレプトアビジン磁性粒子とビオチン標識したターゲットDNAの親和的結合、及びターゲットDNAとFITC標識検出プローブのアニーリングを行った(ここでは、相補的なペアも一塩基変異の存在するペアも同量程度二本鎖を形成する)。
 25℃に保ったまま、磁石を容器に近づけ、底部にDNA結合体を含む磁性粒子を収集した。底部に収集後、容器中の上清部をピペッターで吸引し、廃棄することで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブを除去した。容器から磁石を外し、洗浄バッファを容器に分注し、ピペッターで吸引、吐出を繰り返すことで、磁性粒子の撹拌を行った。同様に洗浄を2回繰り返すことで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブを除去した。
 容器底部への磁性粒子の回収を行い、次いで80℃、3分間の加熱を行った後、その容器を蛍光検出器にセットし、FITC標識の蛍光量を検出した。その後、25℃から80℃に徐々に加熱温度を上げていき、その度毎に同様にして容器のFITC標識の蛍光量を検出し、その数値を記憶した。結果を図7及び図8に示す。また、各検出プローブにおいて、各温度におけるALDH2*2型サンプルの蛍光量からALDH2*1型サンプルの蛍光量の差を計算した結果を図9に示す。
 蛍光量の差がピークとなる温度は、ALDH2*1検出プローブ使用時には60℃、ALDH2*2検出プローブ使用時には58℃であった。
 更に、図9に示すALDH2*1検出プローブを用いたときの蛍光量差からALDH2*2検出プローブを用いたときの蛍光量差を図10に示す。
 この最大値となる温度は58℃であり、この温度を最適洗浄温度と決定した。
実施例4 サンプルの同定(1)
 ALDH2遺伝子の3つの遺伝子型を判別を行った実施例を示す。
 人など高等生物は、全て遺伝子を必ずペアで持っており、父母から子へ遺伝子が伝えられる時にお互いにどちらか一方が選ばれる。従って、一塩基変異のような2つの対立遺伝子(アリル)がある場合(例えばALDH2*1アリルとALDH2*2アリル)、ALDH2*1/*1のホモ接合体、ALDH2*1/*2のヘテロ接合体、ALDH2*2/*2のホモ接合体という3つの遺伝子型を持つ。
 よって、ALDH2*1/*1のホモ接合体は、お酒をいくら飲んでも分解でき、ALDH2*1/*2のヘテロ接合体は、多少のお酒であれば分解できる。しかし、ALDH2*2/*2のホモ接合体はお酒を飲んでも分解できないため下戸である。
 サンプルは、フォワードにビオチン標識したプライマを用いてPCR増幅した。このPCR産物を精製後、2つの容器を準備し、それぞれに、(1)サンプルとFITC標識したALDH2*1型検出プローブ、(2)サンプルとFITC標識したALDH2*2型検出プローブを混合した。ストレプトアビジン固定化磁性ビーズを混合し、よく撹拌した。95℃、3分間加熱し、DNAを熱変性した。25℃にゆっくりと下げ、そのまま10分間保ち、ストレプトアビジン磁性粒子とビオチン標識したターゲットDNAの親和的結合、及びターゲットDNAとFITC標識検出プローブのアニーリングを行った(ここでは、相補的なペアも一塩基変異の存在するペアも同量程度二本鎖を形成する)。
 25℃に保ったまま、磁石を容器に近づけ、底部にDNA結合体を含む磁性粒子を収集した。底部に収集後、容器中の上清部をピペッターで吸引し、廃棄することで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブを除去した。容器から磁石を外し、洗浄バッファを容器に分注し、ピペッターで吸引、吐出を繰り返すことで、磁性粒子の撹拌を行った。同様に洗浄を2回繰り返すことで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブを除去した。
 容器底部への磁性粒子の回収を行い、次いで80℃、3分間の加熱を行った後、その容器を蛍光検出器にセットし、FITC標識の蛍光量を検出した。その後、25℃から80℃に徐々に加熱温度を上げていき、その度毎に同様にしてその容器のFITC標識の蛍光量を検出し、その数値を記憶した。
 各検出プローブにおけるサンプルDNAの、温度変化に対する蛍光量を図11に示す。
 ALDH2*2型検出プローブを用いた時の方が、温度上昇させていく課程で蛍光検出量は高い結果となった。このことから、サンプルはALDH2*1検出プローブとより特異的に結合しているということが分かり、ALDH2*1ホモ接合体であることが判別された。
 結果では示さないが、ALDH2*1検出プローブを用いた時の方が、温度上昇させていく課程で蛍光検出量が大きい場合は、サンプルはALDH2*2ホモ接合体であると判別できる。また、ALDH2*1検出プローブを用いた時と、ALDH2*2検出プローブを用いた時の蛍光検出量がほぼ等しい場合は、サンプルはヘテロ接合体であると判別できる。
実施例5 サンプルの同定(2)
 サンプルは、フォワードにビオチン標識したプライマを用いてPCR増幅した。このPCR産物を精製後、2つの容器を準備し、それぞれに、(1)サンプルとFITC標識したALDH2*1型検出プローブ、(2)サンプルとFITC標識したALDH2*2型検出プローブを混合した。ストレプトアビジン固定化磁性ビーズを混合し、よく撹拌した。95℃、3分間加熱し、DNAを熱変性した。25℃にゆっくりと下げ、そのまま10分間に保ち、ストレプトアビジン磁性粒子とビオチン標識したターゲットDNAの親和的結合及びターゲットDNAとFITC標識検出プローブのアニーリングを行った(ここでは、相補的なペアも一塩基変異の存在するペアも同量程度二本鎖を形成する)。
 最適洗浄条件である58℃に保ったまま、磁石を容器に近づけ、底部にDNA結合体を含む磁性粒子を収集した。底部に収集後、容器中の上清部をピペッターで吸引し、廃棄することで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブを除去した。容器から磁石を外し、洗浄バッファを容器に分注し、ピペッターで吸引、吐出を繰り返すことで、磁性粒子の撹拌を行った。同様に洗浄を2回繰り返すことで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブ及び、非特異吸着していた検出プローブを除去した。
 容器底部への磁性粒子の回収を行い、次いで80℃、3分間の加熱を行った後、その容器を蛍光検出器にセットし、FITC標識の蛍光量を励起光485nmを照射し、蛍光520nmで検出した。3つの型における検出結果を図12に示す。
 左サンプルは、ALDH2*1検出プローブを用いた時の方が、ALDH2*2検出プローブを用いた時よりも蛍光検出量があきらかに大きいため、ALDH2*1ホモサンプルであると判別された。中サンプルは、ALDH2*1検出プローブを用いた時と、ALDH2*2検出プローブを用いた時の蛍光検出量は、共にバックグラウンドと比べて大きく、それぞれあまり差が無いため、ヘテロサンプルであると判別された。右サンプルは、ALDH2*1検出プローブを用いた時よりも、ALDH2*2検出プローブを用いた時の方が、蛍光検出量はあきらかに大きいため、ALDH2*2ホモサンプルであると判別された。
 また、この型判別の方法について、図12の各プローブにおける検出値からバックグラウンドの値を引き算した結果を図13に示す。より判別が明確になる。
実施例6 サンプルの同定(3)
 サンプルは、フォワードにビオチン標識したプライマを用いてPCR増幅した。このPCR産物を精製後、容器にサンプル、Cy3標識したALDH2*1型検出プローブ、及びCy5標識したALDH2*2型検出プローブを混合した。ストレプトアビジン固定化磁性ビーズを混合し、よく撹拌した。
 95℃、3分間加熱し、DNAを熱変性した。25℃にゆっくりと下げ、そのまま10分間に保ち、ストレプトアビジン磁性粒子とビオチン標識したターゲットDNAの親和的結合、及びターゲットDNAとCy3及びCy5標識検出プローブのアニーリングを行った。ここでは、相補的なペアも一塩基変異の存在するペアも同量程度二本鎖を形成する。最適洗浄条件である58℃に保ったまま、磁石を容器に近づけ、底部にDNA結合体を含む磁性粒子を収集した。
 底部に収集後、容器中の上清部をピペッターで吸引し、廃棄することで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブを除去した。容器から磁石を外し、洗浄バッファを容器に分注し、ピペッターで吸引、吐出を繰り返すことで、磁性粒子の撹拌を行った。同様に洗浄を2回繰り返すことで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブ及び、非特異吸着していた検出プローブを除去した。
 容器底部への磁性粒子の回収を行い、次いで80℃、3分間の加熱を行った後、その容器を蛍光検出器にセットし、Cy3標識の蛍光量を励起光550nmを照射し、蛍光570nmで検出した。また、Cy5標識の蛍光量について励起光650nmを照射、蛍光670nmで検出した。図14に3つの型における検出結果を示す。
 その結果、実施例4〜5と同様に、ALDH2の3つの型の判別が可能であった。
図1は、本発明方法における標識物質の検出過程を示す模式図である。 図2は、本発明標的核酸の検出装置の概念図である。 図3は磁気回収・加熱部を有する本発明検出装置の概念図である。 図4は遠心分離回収・加熱部を有する本発明検出装置の概念図である。 図5は本発明の検出方法における検出感度を示したグラフである。 図6は蛍光強度に対するバッファ添加量の影響を示した図である。 図7はALDH2*1検出プローブを使用した場合の温度変化に対する蛍光量を示したグラフである。 図8はALDH2*2検出プローブ使用を使用した場合の温度変化に対する蛍光量を示したグラフである。 図9は各温度におけるALDH2*2型サンプルの蛍光量とALDH2*1型サンプルの蛍光量の差を示したグラフである 図10は図9で示された蛍光量差とALDH2*2検出プローブを用いたときの蛍光量の差を示したグラフである。 図11はサンプルDNAの温度変化に対する蛍光量を示したグラフである。 図12は各遺伝子型における蛍光量を示したグラフである。 図13は図12で示された蛍光量からそのバックグラウンドの値を引き算した結果を示したグラフである。 図14は二つの蛍光プローブを同一容器中で反応させる方法によって検出した各遺伝子型における蛍光量を示したグラフである。
符号の説明
 1 反応・検出部
 2 チップラック・上清回収部
 3 試薬部
 4 分注ヘッド部
 5 検出ヘッド部
 21 プレート保持部
 22 磁気回収・加熱部
 23 光照射部
 24 光検出部
 25 制御部
 26 指令部
 27 データ表示部
 23a 光源
 23b 集光レンズ
 23c 干渉フィルター
 24a ディテクター
 24b 集光レンズ
 24c 干渉フィルター
 31 プレート保持部
 32 遠心分離回収・加熱部
  a 標識プローブ
  b 標的核酸
  c ビーズ

Claims (7)

  1.  固相としてビーズを、核酸プローブとして蛍光又は発光標識プローブを用いた核酸ハイブリダイゼーション法により、試料溶液中の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別して検出する方法において、ハイブリダイゼーション反応終了後、ハイブリダイズしていない標識プローブを洗浄除去し、次いでプローブ放出用溶液を添加し、ハイブリダイズされ且つビーズに固定化された標的核酸を容器底面に沈降させた後、反応液の温度を標的核酸の変性温度以上にまで徐々に上げて標識プローブをビーズから上清に放出させ、上清中の蛍光又は発光量を経時的に測定することを特徴とする標的核酸の検出方法。
  2.  固相としてビーズを、核酸プローブとして蛍光又は発光標識プローブを用いた核酸ハイブリダイゼーション法により、試料溶液中の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別して検出する方法において、ハイブリダイゼーション反応終了後、ハイブリダイズした標的核酸を遊離することなく変異核酸のみを遊離する最適温度にて、ハイブリダイズしていない標識プローブ及びハイブリダイズしているが一塩基以上のミスマッチを有する標識プローブを洗浄除去し、次いでプローブ放出用溶液を添加し、ハイブリダイズされ且つビーズに固定化された標的核酸を容器底面に沈降させた後、反応溶液の温度を標的核酸の変性温度以上に上げて標識プローブをビーズから上清に放出させ、上清中の蛍光又は発光量を測定することを特徴とする標的核酸の検出方法。
  3.  プローブ放出用溶液の添加量が、反応及び洗浄工程で使用される溶液量の1/2〜1/1000である請求項1又は2記載の検出方法。
  4.  標的核酸と一塩基以上が異なる変異核酸を検出するプローブとして、それぞれ異なる蛍光又は発光特性を持つ標識をつけた蛍光又は発光標識プローブを複数用いるものである請求項1〜3のいずれか1記載の検出方法。
  5.  ハイブリダイズした標的核酸は遊離することなく一塩基以上異なる変異核酸のみを遊離する最適温度が、標的核酸及びそれと一塩基以上が異なる変異核酸のそれぞれについて、一方の塩基配列に相補的な標識核酸プローブを各々用いてハイブリダイゼーション反応を行い、ハイブリダイズされ且つビーズに固定化された標的核酸を容器底面に沈降させ、反応液の温度を標的核酸の変性温度付近にまで徐々に上げて標識プローブをビーズから上清に放出させ、上清中の蛍光又は発光量を経時的に測定して、標的核酸に対する蛍光又は発光量と変異核酸に対する蛍光又は発光量との差が最大となる温度として求められるものである請求項2記載の標的核酸の検出方法。
  6.  請求項1〜5のいずれか1項記載の標的核酸の検出方法を実施するための装置であって、(a)反応・検出部、(b)チップラック・上清回収部、(c)試薬部、(d)分注ヘッド部及び(e)検出ヘッド部を備えてなる核酸検出装置。
  7.  (A)サンプルプレートを保持するプレート保持部、(B)プレート保持部下方から磁場を発生させる磁気回収部又はプレート保持部を高速回転させる遠心分離回収部、(C)反応溶液を加温する加熱部、(D)励起光をプレート上に発生する光照射部、(E)標識物質から放出される蛍光又は発光を感知する光検出部、(F)磁気回収部、光照射部及び光検出部の各機能を制御する制御部、(G)制御部の動作シーケンスを制御する指令部、(H)光検出部で感知された光量をデータとして出力するデータ表示部、を備えてなる蛍光又は発光検出装置。
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