JP2003274835A - 防虫剤 - Google Patents

防虫剤

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JP2003274835A
JP2003274835A JP2002079144A JP2002079144A JP2003274835A JP 2003274835 A JP2003274835 A JP 2003274835A JP 2002079144 A JP2002079144 A JP 2002079144A JP 2002079144 A JP2002079144 A JP 2002079144A JP 2003274835 A JP2003274835 A JP 2003274835A
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container
insect repellent
mpa
impregnated
flexural modulus
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JP2002079144A
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Tomomitsu Shimizu
智光 清水
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ST Chemical Co Ltd
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ST Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間流通、保存されても有効成分である常
温揮散性ピレスロイドの吸着が少なく、有効成分の減少
を防止することができ、防虫効力が長期間にわたって持
続することが可能となる防虫剤を提供すること。 【解決手段】 常温揮散性ピレスロイドを含浸した含浸
体を容器内に収納してなる防虫剤において、少なくとも
当該容器の薬剤含浸体と接する部分が、JISK720
3の曲げ弾性試験による曲げ弾性率が1400MPa以
上の材料で構成されていることを特徴とする防虫剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常温揮散性ピレス
ロイドを含浸した薬剤含浸体を容器内に収納してなる防
虫剤に関する。さらに詳細には、一定の曲げ弾性率であ
る材料で該容器を構成することにより、常温揮散性ピレ
スロイドの効力を長期間持続することができる防虫剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、衣類等を害虫の被害から守る
ため、パラジクロロベンゼン、樟脳、ナフタリン等の防
虫薬剤を用いた繊維製品用の防虫剤が使われていた。し
かし、これらの防虫薬剤は特有の臭いがあるため、最近
では防虫剤の薬剤として、臭いがなく、かつ防虫効果の
高い常温揮散性ピレスロイド等が用いられている。この
常温揮散性ピレスロイドは、適当な含浸体に含浸させた
後、これを揮散孔を有する容器に収納して防虫剤とされ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような防虫剤は、
流通時及び保存時には全体がプラスチックフィルム等の
袋で密封されるのであるが、密封された状態で長期間保
存された場合には、有効成分である常温揮散性ピレスロ
イドが容器に吸着されてしまっていた。しかも、容器に
吸着された常温揮散性ピレスロイドはほとんど揮散しな
いため、実質的な有効成分は減少してしまい、その結
果、防虫剤が使用期間中に十分な防虫効果を発揮するこ
とができないという問題点を有していた。
【0004】従来は、このような問題の対策として、防
虫剤の容器への吸着を少なくするため、容器と含浸体と
の直接接触をなるべく避けるように、容器内にピンを立
て、それによる点接触で含浸体を固定する方法が実施さ
れていた。しかし、この方法は短期間の保存や使用の場
合には適当に効果があるものの、密封で長期間保存され
た場合には、依然として有効成分は容器に吸着されてし
まい、問題点を解決するものではなかった。
【0005】従って、長期間保存した場合でも、容器へ
の有効成分の吸着が少なく、有効成分の減少を防止する
ことができ、防虫剤の効力が長期間にわたって持続する
ことができる防虫剤の開発が求められていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる実情に鑑み、本発
明者らは防虫薬剤である常温揮散性ピレスロイドの吸着
と樹脂の関係について検討していたところ、防虫薬剤の
樹脂への吸着量は、樹脂の硬さと関係があることに着目
し、鋭意研究を行った。そしてその結果、一定の曲げ弾
性率を有する材料で構成された容器は、長期間、流通、
保存されても有効成分である常温揮散性ピレスロイドの
吸着が少なく、有効成分の減少を防止することができ、
その結果として、防虫効力が長期間にわたって持続する
ことが可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、常温揮散性ピレスロ
イドを含浸した含浸体を容器内に収納してなる防虫剤に
おいて、少なくとも当該容器の薬剤含浸体と接する部分
がJISK7203の曲げ弾性試験による曲げ弾性率が
1400MPa以上の材料で構成されていることを特徴
とする防虫剤を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の防虫剤は、常温揮散性ピ
レスロイドを含浸した含浸体を、容器内に収納したもの
であるが、該容器は、少なくともこの含浸体と接する部
分がJISK7203の曲げ弾性試験による曲げ弾性率
(以下、単に「曲げ弾性率」とする)が1400MPa
以上の材料(以下、「弾性材料」という)で構成された
ものである。
【0009】上記本発明の防虫剤の主な態様としては、
例えば、次の2つの態様が挙げられる。 (1)容器全体を弾性材料で構成した防虫剤。 (2)容器の実質的に薬剤含浸体と接する部分を弾性材
料で構成した防虫剤。
【0010】本発明の防虫剤の製造において使用される
弾性材料は、上記したように曲げ弾性率が1400MP
a以上のものであるが、曲げ弾性率が1400MPa〜
2500MPaの材料であることが好ましい。
【0011】曲げ弾性率が2500MPaを越える弾性
材料でも、含浸体中の有効成分の容器への吸着を防止す
ることはできるが、その一方で、防虫剤をプラスチック
フィルム等で密閉された状態で長期保存した場合に、密
封袋内で常温揮散性ピレスロイドが揮散充満し防虫剤の
容器表面や密封袋の内面に液滴状に付着してしまう場合
がある。そして、密封袋を開封したときに使用者の手や
被服に付いて汚れてしまうという問題もある。また、曲
げ弾性率が2500MPaを越える弾性材料で成形しよ
うとした場合、製造上、型抜きの際に割れが生じたり、
生産効率が非常に悪くなるばかりか、製品としても使用
中に割れてしまうという問題も生じる。
【0012】しかし、容器を曲げ弾性率が1400MP
a〜2500MPaである材料で構成した場合には、容
器に吸着もせず、また容器表面や密封袋の内面に付着も
しない状態となる。よって、密封袋を開封したときに使
用者の手や被服について汚れてしまうという問題も生じ
ないので好ましい。また、曲げ弾性率が1800MPa
〜2300MPaの材料を用いることにより、成型時の
割れの問題や、成形効率及びできあがった容器の耐衝撃
性やヒンジ性の点でさらに好ましい。
【0013】本発明の防虫剤で使用される弾性材料とし
ては、熱可塑性及び熱硬化性である樹脂の種々の材料を
挙げることができるが、成形性、経済(コスト)性、汎
用性等の理由よりポリオレフィン樹脂を用いるのが好ま
しい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン樹脂のホモポリマー、ブロックコポリマ
ー、ランダムコポリマー、オルタネイティングコポリマ
ー、グラフトコポリマー等が挙げられ、これらは1種を
単独で、または2種以上を組み合わせて使用することが
できる。なお、曲げ弾性率が1400MPa〜2500
MPaである容器を調製するためには、上記したのポリ
オレフィン樹脂のうち、ポリエチレン、ポリプロピレン
のホモポリマーもしくはブロックコポリマーを用いるの
が好ましく、曲げ弾性率が1800MPa〜2300M
Paである容器を製造するためには、上記したポリオレ
フィン樹脂のうち、ポリプロピレンのホモポリマーもし
くはブロックコポリマーを用いるのが好ましい。商品名
としては、グランドポリプロJ645、グランドポリプ
ロJ136、グランドポリプロJ104W、グランドポ
リプロJ105W、グランドポリプロJ105WT、グ
ランドポリプロJ105MD、グランドポリプロJ10
6W、グランドポリプロJ106WA、グランドポリプ
ロJ107W、グランドポリプロJ108M(いずれも
グランドポリマー(株)製)、サンテック−HDJ30
0、サンテック−HDJ310(いずれも旭化成(株)
製))、ノバテックPPBC05B、ノバテックPPB
C06B、ノバテックPPB03C、ノバテックPPB
C03L、ノバテックPPBC3L、ノバテックPPB
C06C、ノバテックPPMA03、ノバテックPPM
A1、ノバテックPPMA2、ノバテックPPMA3H
(いずれも日本ポリケム(株)製)が挙げられる。
【0014】また、上記の弾性材料中には、可塑剤、衝
撃安定剤、強度安定剤、着色剤、耐電防止剤等の添加剤
を、本発明の特性を損なわない範囲で適宜添加すること
もできる。
【0015】本発明を構成する容器は、上記の弾性材料
を用いて、射出成形、押出成形、プレス成形、中空成形
等の成形方法で、通常用いられる成形条件により成形す
ることができる。例えば、材料としてブロックタイプの
ポリプロピレンを用いた場合には、シリンダー温度約2
60℃、金型温度約40℃で、成形時間約25秒程度
で、該材料を射出成形することで、本発明の防虫剤を構
成する容器を成形することができる。
【0016】具体的に、前記(1)または(2)の各態
様の防虫剤の容器の調製方法の例を挙げれば次の通りで
ある。すなわち、態様(1)の防虫剤容器は、弾性材料
だけを用い、単純に上記した成形方法により調製するこ
とができる。また、態様(2)の防虫剤容器は、薬剤含
浸体と直接接する部分など容器体の一部をまず成形し、
次いで、適当な他の材料、例えば、従来用いられていた
曲げ弾性率1200MPaのブロックタイプのポリプロ
ピレン等を用い、コンポジット成形体として調製等すれ
ばよい。なお、態様(2)の場合において、適当な他の
材料として弾性材料を用いても問題はない。
【0017】本発明の防虫剤においては、容器の少なく
とも薬剤含浸体と接する部分が弾性材料で構成されてい
れば良く、上記態様の(1)または(2)何れであって
も良い。
【0018】本発明の防虫剤の調製は、上記のようにし
て得られた容器内に、常温揮散性ピレスロイドを含浸し
た含浸体を収納することにより行われる。
【0019】本発明において使用される常温揮散性ピレ
スロイドとしては、例えばエムペントリン、トランスフ
ルスリン、ノックスリン等が挙げられる。また、これら
は1種を単独で用いてもいいし、2種以上を混合して用
いることもできる。
【0020】さらに、この常温揮散性ピレスロイドに
は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、殺菌剤、色
素、金属不活性剤、効力増強剤、香料、消臭剤等、他の
任意成分を配合することができる。
【0021】一方、上記の常温揮散性ピレスロイド及び
任意成分を含浸する含浸体としては、これらの成分を含
浸可能なものであれば特に限定されず、具体的には、
紙、木片、織布、不織布等を板状、マット状、フィルム
状、シート状等の態様で、また、シリカゲルやパルプ
を、粒状、球状等の態様で用いることができる。
【0022】含浸体への常温揮散性ピレスロイドの含浸
量は、防虫剤の使用用途、使用期間、使用される環境及
び含浸体の形状やサイズによって適宜決定されるが、本
発明の防虫剤では、例えば、含浸体として、サイズ5.
5×10.5cm、厚さが1mmのパルプ紙に、常温揮
散性ピレスロイドであるエンペントリンを0.5g含浸
させ、洋服ダンス内で使用した場合に約6ヶ月間防虫効
果を持続させることができる。
【0023】なお、本発明の防虫剤容器の形状や大きさ
は、薬剤成分を含浸した含浸体を収納することができ、
かつ揮散孔を備えているものであれば特に限定されな
い。
【0024】以下、本発明の防虫剤について、その実施
形態を示す図面により、本発明を更に詳しく説明する。
【0025】図1は、本発明に係る防虫剤の正面図、図
2はその容器を開いた状態の図、図3は図1のA−A'
断面図である。図中、1は防虫剤、2は容器、3は揮散
孔、4は薬剤含浸体、5はヒンジ部、6はフック部、7
は支持ピン、8は容器内面部、9は嵌合孔、10は嵌合
ピンをそれぞれ示す。
【0026】図1及び図2に示すように、防虫剤1を構
成する容器2は、右容器体2aおよび左容器体2bに複
数の揮散孔3を有し、また、常温揮散性ピレスロイドを
含浸させた薬剤含浸材4を収納する。また、図2に示す
ように、本形態では、対称的な形状の上下両容器体2a
および2bは、中央のヒンジ部5を介して折り曲げ可能
であり、折り曲げた後、嵌合孔9に嵌合ピン10を差し
込むことにより容器2が形成される。この容器2の内部
に、常温揮散性ピレスロイドを含浸させた薬剤含浸体4
を収納できる空間が形成される。
【0027】この容器2では、薬剤含浸体4を保持する
ため、図3に示すように容器内面部8の適当な箇所に弾
性材料からなる支持ピン7を複数個形成される。この形
態では、容器2を閉め、薬剤含浸体4を挟み込んで収納
し、防虫剤1を形成する際に、該支持ピン7で容器内の
薬剤含浸体4を接触支持するため、薬剤含浸体4が容器
内面部8と接触することなく薬剤含浸体4を容器2内に
収納することができる。支持ピン7は、薬剤含浸体4と
容器内面部8が接触しない状態を保持できるものであれ
ば、その形状や高さは特に制限されず、薬剤含浸体4や
容器2の大きさ等に応じて適宜決定される。
【0028】本形態においては、支持ピン7と容器2本
体を同一材料(弾性材料)とするので、一体成形により
容器2本体と支持ピン7とを同時に形成することができ
るが、支持ピン7のみを弾性材料で成形し、次いで、適
当の材料を用いて、容器体全体をコンポジット成形体と
して調製してもよく、また、適当な材料で容器2と支持
ピン7を成形し、その後、支持ピン7およびその周囲を
部分的に弾性材料で被覆しても良いことはいうまでもな
い。
【0029】以上説明した本形態の容器では、薬剤含浸
体4は、支持ピン7を使用することにより容器2内に収
納され、これに含まれる常温揮散性ピレスロイドは、弾
性体で形成された容器に吸着されることなく揮散孔3か
ら外部に揮散される。本態様では、容器2にフック部6
が設けられており、洋服ダンス内に吊すことも可能であ
る。
【0030】また、本発明の別の形態としては、図4に
表されるような形態が挙げられる。図4は防虫剤1の正
面図、図5は容器2を開いた状態の正面図、図6は図4
のA−A'断面図である。この形態では、防虫剤1を構
成する容器2は、一部が上に突き出た上容器体2cと、
一部が下側に突き出た下容器体2dから構成され、上容
器体2cと下容器体2dは複数の揮散孔3を有し、両者
が形成する空間に常温揮散性ピレスロイドを含浸させた
薬剤含浸体4を収納することができるものである。
【0031】この形態でも、薬剤含浸体4を保持するた
め、図6に示すように容器内面部8の適当な箇所に弾性
材料からなる支持ピン7を複数個形成してもよい。支持
ピンを形成する形態をとる場合は、上記した形態と同様
に、防虫剤1を形成する際に、該支持ピン7で容器内の
薬剤含浸体4を接触支持するため、薬剤含浸体4が容器
内面部8と接触することなく薬剤含浸体4を容器2内に
収納するものである。
【0032】本形態でも、上記した形態と同様に、支持
ピン7と容器2本体を同一材料として同時に成形しても
よいし、また、支持ピン7のみを弾性材料で成形し、次
いで、適当の材料を用いて、容器体全体をコンポジット
成形体として調製してもよい。
【0033】この形態では、下容器体2dを下にして設
置されて使用されることからも、下容器体2dの少なく
ともこの薬剤含浸体4と接する部分が弾性材料で構成さ
れていればよい。従って、容器2全体を弾性材料で構成
してもよいし、容器2全体の表面を弾性材料で被覆して
も良い。また、適当な材料で構成された容器2のうち、
少なくとも底面部2bの窪んだ部分の表面を弾性材料で
被覆してもよい。この場合には支持ピン7は形成されて
いてもよいし、形成されていなくてもよい。図7に、本
実施形態例において、支持ピンを形成しない場合の容器
2を開いた正面図であり、また図8は、防虫剤1のA−
A方向の断面図である。この形態では、下容器体のうち
薬剤含浸体4と接する部分である容器内面部8が弾性材
料で形成されている。上記図4から図8の形態の防虫剤
は、タンスの引き出し等に入れて使用することもでき
る。
【0034】なお、以上説明した形状の容器を用いるこ
とにより、本発明の防虫剤が得られるのであるが、本発
明の防虫剤に使用される容器の形状が上記に限られるも
のではないことはいうまでもない。
【0035】以上のようにして得られる本発明の防虫剤
は、通常はプラスチックフィルム等の袋に密封した状態
で流通及び保存しても防虫成分である常温揮散性ピレス
ロイドは容器等に吸着されることはなく、使用時に該袋
を開封し、洋服タンス、引き出し、クローゼット、衣装
ケース、人形収納ケース等に使用することにより有効に
防虫作用を奏するものである。
【0036】
【作用】本発明の、曲げ弾性率が1400MPa以上の
範囲である材料で構成された容器が、常温揮散性ピレス
ロイドを吸着しにくい理由は、次のように考えられる。
すなわち、常温揮散性ピレスロイドの樹脂への吸着は、
樹脂結晶間の空隙に常温揮散性ピレスロイドが取り込ま
れることにより起こると考えられる。その一方で、同一
樹脂種における曲げ弾性率の向上は、樹脂結晶構成が細
密化されていることを示し、細密化された樹脂結晶では
結晶間の空隙を小さくさせる。従って、樹脂結晶間の空
隙を小さい樹脂材料、すなわち曲げ弾性の高い材料で
は、取り込まれる常温揮散性ピレスロイドの量も少なく
なるものと考えられる。
【0037】特に、曲げ弾性率が1400MPa〜25
00MPaである場合には、曲げ弾性率が2500MP
aを越えるものに比べ、材料表面に析出してしまうとい
う問題が起こらず、特に優れた吸着防止効果を奏するの
である。
【0038】
【実施例】次に試験例及び実施例を挙げ、本発明を更に
詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約
されるものではない。
【0039】試 験 例 1 曲げ弾性率の測定:表1に示した試験品1から6の材料
を用いて、シリンダー温度約260℃、金型温度約40
℃、成形時間約25秒程度の成形条件で射出成形法を用
いて、図9の形状の試料サンプルを作成した。このサン
プルについて、JISK7203の曲げ弾性率試験方法
に従い、曲げ弾性率を測定した。測定結果を表1に示
す。
【0040】( 曲げ弾性率の測定結果 )
【表1】
【0041】試 験 例 2 常温揮散性ピレスロイドの吸着量測定:表1の試験品1
〜6の材料を用いて、図9に示す形状のサンプル(試験
品7〜12とする)を作成した。各サンプルを構成する
材料の曲げ弾性率も、表1に示される値に対応するもの
であった。試験品7〜12の各サンプルを、初期重量を
測定した後、常温揮散性ピレスロイドであるエンペント
リン500mgを含浸させたサイズ55mm×105m
mで厚さ1mmのパルプ製濾紙の上に載せて、これをバ
リアー性袋(ポリエチレンテレフタレート(PET)/
無延伸ポリプロピレン(CPP))に入れて密封し、4
0℃で3日間放置した。
【0042】放置後、濾紙及び袋へのエンペントリンの
付着量を測定し、下記式(I)を用いて、各サンプルへ
のエンペントリンの吸着量X(mg)を算出した。結果
を表2に示す。
【0043】
【数1】 X = A−(B + C) …… (I) X(mg): エンペントリンの吸着量 A(mg): パルプ製濾紙への初期含浸量(500m
g) B(mg): 3ヶ月後の濾紙中の残存薬剤量 C(mg): 3ヶ月後のバリヤー性袋への薬剤吸着量
【0044】( 結 果 )
【表2】
【0045】表2の結果より、曲げ弾性率が1400M
Pa以上の材料で構成された試験品7ないし11は、い
ずれも、曲げ弾性率が1400MPa以下の材料で構成
された試験品12と比較して、いずれも、エンペントリ
ンの吸着量が少ないものであった。
【0046】実 施 例 1 フック付洋ダンス用防虫剤:表1の試験品1〜6に示し
た材料を用いて、シリンダー温度約260℃、金型温度
約40℃、成形時間約25秒の成形条件で射出成形を行
い、図2で表される形状の容器を成形した。容器を構成
する材料の曲げ弾性率も、表1に示される値に対応する
ものであった。この容器に、常温揮散性ピレスロイドで
あるエンペントリン350mgを含浸させたサイズ1
0.5cm×5.5cmの濾紙を含浸体として容器内に
収納し、フック付洋ダンス用防虫剤を作成した(試験品
1〜4に対応するものを本発明品1〜4、試験品5に対
応するものを比較品1とする)。この防虫剤を、サイズ
13cm×20cmの、ポリエチレンテレフタレート
(PET)/無延伸ポリプロピレン(CPP)製の包装
袋に入れ、40℃で1ヶ月保存した。
【0047】保存後、開封し、開封時に、エンペントリ
ンの付着を目視にて確認したところ本発明品1〜4及び
比較品1の防虫剤は、容器及び包装袋へのエンペントリ
ンの付着は見られなかったが、比較品2の防虫剤につい
ては、容器の格子部及び包装袋への付着が見られた。
【0048】また、開封後すぐに、濾紙中のエンペント
リンの残量を測定したところ、本発明品1〜4は、6ヶ
月間防虫効果を有するのに十分な量のエンペントリンが
残っていたが、比較品1及び2は、6ヶ月間防虫効果を
有するのに十分な量のエンペントリンは残っていなかっ
た。
【0049】実 施 例 2 引き出し用防虫剤:試験品6の樹脂を用いて、シリンダ
ー温度約260℃、金型温度約40℃、成形時間約25
秒で該材料を射出成形を行い、図4で表される形状の容
器を成形した。容器を構成する材料の曲げ弾性率も、表
1に示される値に対応するものであった。また、試験品
1の材料(曲げ弾性率も表1に示される値のものであ
る)で、高さ5mm、径2.5mmの支持ピンを成形
し、この支持ピンを、上記容器の上下4ヶ所に穴を空
け、そこに支持ピンを差し込んで固着させた。また、こ
の容器内に、常温揮散性ピレスロイドであるエンペント
リン100mgを含浸させたサイズ2cm×4cmの濾
紙を含浸体として、該支持ピンで含浸体を支持するよう
にして収納して、引き出し用防虫剤を作成した。この引
き出し用防虫剤2個を、PET/CPPの包装紙に入れ
て、40℃で3ヶ月保存した。
【0050】上記期間保存した後開封して、濾紙中のエ
ンペントリンの残量を測定したところ、6ヶ月間防虫効
果を有するのに十分な量のエンペントリンが残ってい
た。また、開封時にエンペントリンの容器及び包装袋内
面への付着は見られなかった。
【0051】
【発明の効果】本発明の防虫剤は、一定の曲げ弾性率を
有する材料で構成された容器を用いたものであるので、
長期間流通、保存及び使用されても有効成分の容器への
吸着が少ないため、有効成分の減少を防止することがで
き、その結果として防虫効力が長期間にわたって持続す
ることが可能となるものである。
【0052】よって、本発明品の防虫剤は、洋服ダン
ス、引き出し、クローゼット、衣装ケース、人形ケース
等の使用環境下で、イガ、コイガ、ヒメカツオブシム
シ、ヒメマルカツオブシムシ等の繊維害虫などに対し、
長期間にわたって高い防虫効果を発揮することができる
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の防虫剤の実施形態例を表す正面図で
ある。
【図2】 図1の実施形態例において、容器本体を開い
た状態を表した図である。
【図3】 図1の実施形態例におけるA−A方向の断面
図である。
【図4】 本発明の防虫剤の別の実施形態例を表す正面
図である。
【図5】 図4の実施形態例において、容器本体を開い
た状態を表した図である。
【図6】 図4の実施形態例におけるA−A方向の断面
図である。
【図7】 図4の実施形態例で支持ピンを形成しない場
合において、容器本体を開いた状態を表した図である。
【図8】 図4の実施形態例で支持ピンを形成しない場
合における、A−A方向の断面図である。
【図9】 試験例1及び2で使用したサンプル形状を表
す図である。
【符号の説明】
1 …… 防虫剤 5 …… ヒンジ
部 2 …… 容器 6 …… フック
部 2a …… 右容器体 6a …… 右容
器体のフック部 2b …… 左容器体 6b …… 左容
器体のフック部 2c …… 上容器体 7 …… 支持ピ
ン 2d …… 下容器体 8 …… 容器内
面部 3 …… 揮散孔 9 …… 嵌合孔 4 …… 薬剤含浸体 10 …… 嵌合
ピン 以 上

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常温揮散性ピレスロイドを含浸した含浸
    体を容器内に収納してなる防虫剤において、少なくとも
    当該容器の薬剤含浸体と接する部分が、JISK720
    3の曲げ弾性試験による曲げ弾性率が1400MPa以
    上の材料で構成されていることを特徴とする防虫剤。
  2. 【請求項2】 防虫剤容器全体が、JISK7203の
    曲げ弾性試験による曲げ弾性率が1400MPa以上の
    材料で構成されているものである請求項第1項記載の防
    虫剤。
  3. 【請求項3】 防虫剤容器の一部が、JISK7203
    の曲げ弾性試験による曲げ弾性率が1400MPa以上
    の材料で構成されているものである請求項第1項記載の
    防虫剤。
  4. 【請求項4】 前記材料が、JISK7203による曲
    げ弾性試験による曲げ弾性率が1400MPa〜250
    0MPaの材料である請求項第1項ないし第3項のいず
    れかの項記載の防虫剤。
  5. 【請求項5】 前記材料がJISK7203による曲げ
    弾性試験による曲げ弾性率が1800MPa〜2300
    MPaである請求項第1項ないし第3項のいずれかの項
    記載の防虫剤。
  6. 【請求項6】 前記材料がポリオレフィン樹脂である請
    求項第1項ないし第5項のいずれかの項記載の防虫剤。
  7. 【請求項7】 ポリオレフィン樹脂がポリエチレン、ポ
    リプロピレンからなる群から選ばれる1種または2種以
    上である請求項第6項記載の防虫剤。
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