JP2003268513A - マグネシウム合金の成形方法 - Google Patents
マグネシウム合金の成形方法Info
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- C22F1/00—Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
- C22F1/06—Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of magnesium or alloys based thereon
Abstract
シウム合金組成において、鋳造と鍛造とを組み合わせて
マグネシウム合金を成形することにより、複雑で精密な
形状を持ち、かつ物性の信頼性が高く、耐食性をも十分
に満足する製品を歩留り良く製造する。 【解決手段】 アルミニウム含有量2〜10質量%のマ
グネシウム合金を、結晶粒径30μm以下に鋳造し、鋳
造品を溶体化処理した後、鍛造して結晶粒径10μm以
下とし、その後、更に所望の形状に鍛造する。アルミニ
ウム含有量2〜10質量%のマグネシウム合金を、結晶
粒径10μm以下に鋳造し、鋳造品を溶体化処理した後
に鍛造する。
Description
を鋳造し、該鋳造品を鍛造することにより所望の形状と
するマグネシウム合金の成形方法に関する。
軽量金属の代表とされるアルミニウム(Al)の比重
2.7に比べても更に小さいため、マグネシウム合金は
非常に軽量である。しかも、マグネシウム合金はアルミ
ニウム合金に比べて剛性が高く、熱伝導性にも優れるた
め、電気・電子機器の筐体、部品の構成材料として広く
適用されている。
るため、所望の形状に成形することが容易ではないとい
う欠点がある。即ち、マグネシウム合金は凝固潜熱が小
さく、凝固速度が速いため、鋳造が困難で、得られる鋳
造品には巣や湯じわのような欠陥を生じやすいという欠
点を持っている。このため、特に外観が重視される製品
においては、歩留まりが低く、また、欠陥をパテ処理し
なければならないために、コストが高くなるといった問
題がある。また、マグネシウム合金は、最密六方晶形で
あることから、延性が低く、板材や棒材をプレスや鍛造
で加工する際には300〜500℃という高い温度で行
わなければならず、加工速度が遅い、工程数が多くな
る、金型寿命が短い等の問題がある。
問題を解決するために、特開平7−224344号公報
には、アルミニウム含有量6.2〜7.6wt%の組成
を持つAZ系マグネシウム合金を連続鋳造してビレット
を得る工程で、微細化剤の添加及び/又は冷却速度の制
御によりビレットの平均結晶粒径を200μm以下と
し、これを鍛造して大型の部品を製造する方法が提案さ
れている。この公報には、最終製品形状に加工した後、
溶体化処理とT6熱処理を組み合わせることにより、平
均結晶粒径を50μm以下にして耐食性を高めることも
記載されている。
には、ダイカスト又はチクソモールディング成形機によ
り、マグネシウム合金を板状に成形し、その板材を常温
で圧延してひずみを与えた後、350〜400℃に加熱
して結晶を再結晶化し、結晶粒径を0.1〜30μmに
微細化することにより、延性を向上させ、延性の向上し
た板材をプレス加工又は鍛造で成形する方法が提案され
ている。また、特開2001−170734号公報及び
同170736号公報には、マグネシウム合金の板材を
鍛造成形し、荒鍛造と仕上げ鍛造の複数の工程により、
成形品主要部の肉厚の7倍もしくは10倍以下の高さの
ボスを成形する方法が示されている。
密な形状の部品を成形するには、特開平7−22434
4号公報に記載されるようなビレットから鍛造する方法
では、形状、肉厚の点で限界があり、一方、特開200
1−294966号公報、同170734号公報及び同
170736号公報に記載されるようなマグネシウム合
金の板材から成形する方法では、薄肉部品の製造は可能
であるが、この板材のプレス加工や鍛造によって複雑で
精密な形状の成形品を得ることは困難である。
ミニウム合金と同様に超塑性発現のメカニズムの解明が
進み、結晶粒径を微細化することにより、高いひずみ速
度で加工できる可能性が示されている(例えば、「マグ
ネシウム技術便覧」第119〜125頁)。
するには、ダイカストのような射出速度、即ち充填速度
の速い鋳造法を適用することが好ましい。しかし、先に
述べたように、マグネシウム合金は凝固しやすいため
に、ダイカストのような鋳造法では湯じわを生じやす
く、また、形状によっては金型の隅々まで充填すること
が難しいため、成形品の大きさ、肉厚に制約がある。更
に、射出速度を速くすると、溶湯に空気やガスを巻き込
みやすくなり、巣を生じて、物性の信頼性に問題を生じ
る。
材の幅までの大きさの製品を成形することができるが、
マグネシウム合金は延性が低く難加工性であるため、複
雑な形状、例えば、ボスを鋳造と同じように形成するこ
とは困難である。
金の鋳造性と展伸性は裏腹な関係にあり、鋳造材として
は、アルミニウム含有量が多く、溶融温度が低いために
鋳造しやすいAZ91、AM50、AM60材等が選択
使用され、また、プレス・鍛造材としては、アルミニウ
ム含有量が少なく、延性が高いAZ31材が使われてい
る。耐食性の面からは、アルミニウム含有量の多い方が
耐食性に優れる。従って、AZ91材に比べるとAZ3
1材の方が耐食性は劣る。そして、このことがAZ31
材の用途を狭める理由の一つになっている。
状に鑑みてなされたものであって、鋳造が可能で、しか
も鍛造性に優れるマグネシウム合金組成において、鋳造
と鍛造とを組み合わせてマグネシウム合金を成形するこ
とにより、複雑で精密な形状を持ち、かつ物性の信頼性
が高く、耐食性をも十分に満足する製品を歩留り良く製
造することができるマグネシウム合金の成形方法を提供
することを目的とする。
合金の成形方法は、アルミニウム含有量が2〜10質量
%のマグネシウム合金を鋳造して結晶粒径が30μm以
下の鋳造品を得、該鋳造品をその組成での固溶温度と固
相線の範囲の温度で溶体化処理した後、鍛造して結晶粒
径10μm以下の鍛造品とし、この鍛造品を所望の形状
に更に鍛造することを特徴とする。
造品を溶体化処理すると、結晶粒は粗大化するが、鋳造
時に形成された粗大で、もろい粒界の第2相粒子が消滅
することで伸びが大きくなり、塑性加工性が向上する。
このようにして溶体化処理により塑性加工性を高めた鋳
造品を鍛造による動的再結晶で結晶粒径10μm以下に
微細化することにより、鍛造成形性を更に高めることが
できる。従って、請求項1の方法では、鋳造により結晶
粒径を30μm以下とした鋳造品を溶体化処理し、その
後鍛造により結晶粒径を10μm以下とし、更に鍛造を
行って所望の形状とする。
適なアルミニウム含有量は2.5〜6質量%であり、鋳
造は、ダイカスト法又はチクソモールディング法により
行うことが好ましい。また、溶体化処理は380〜44
0℃で1〜24時間行うことが好ましく、溶体化処理後
の結晶粒微細化のための鍛造及びその後の成形のための
鍛造は、Z値が109〜1013のひずみ速度及び温度
の条件で行うことが好ましい。
は、アルミニウム含有量が2〜10質量%のマグネシウ
ム合金を鋳造して結晶粒径が10μm以下の鋳造品を
得、該鋳造品をその組成での固溶温度と固相線の範囲の
温度で溶体化処理した後、所望の形状に鍛造することを
特徴とする。
造品を溶体化処理すると、結晶粒は粗大化するが、鋳造
時に形成された粗大で、もろい粒界の第2相粒子が消滅
することで伸びが大きくなり、塑性加工性が向上する。
このようにして溶体化処理により塑性加工性を高めた鋳
造品を鍛造することにより、所望の形状に成形すること
ができる。従って、請求項7の方法では、鋳造により結
晶粒径を10μm以下とした鋳造品を溶体化処理し、そ
の後鍛造により所望の形状とする。
適なアルミニウム含有量は2〜6質量%であり、鋳造
は、ダイカスト法により行うことが好ましい。また、溶
体化処理は380〜440℃で1〜24時間行うことが
好ましく、その後の成形のための鍛造は、Z値が10
13未満のひずみ速度及び温度の条件で行うことが好ま
しい。
を表す温度補償ひずみ速度で、流動応力に及ぼす温度と
ひずみ速度の効果を表す関係式として一般的に用いられ
るZener−Hollomonパラメータであり、下
記式(I)で定義される。 Z=ε’exp(Q/RT) ‥(I) ここで ε’:ひずみ速度(sec−1) Q :格子拡散活性化エネルギー R :ガス定数 T :絶対温度 であり、Qの値としては、マグネシウム合金の値が求め
られていないため一般に純マグネシウムの135kjo
ule/molの値が用いられる。
の成形方法の実施の形態を詳細に説明する。
方法の実施の形態を説明する。
含有量2〜10質量%のマグネシウム合金を鋳造して結
晶粒径が30μm以下の鋳造品を得る。
質量%未満では耐食性に劣るものとなり、また、溶融温
度が高くなって、鋳造に不適当である。マグネシウム合
金のアルミニウム含有量が10質量%を超えると次工程
の溶体化処理により塑性加工性を十分に高めることがで
きず、鍛造性に優れた溶体化処理品を得ることができな
い。従って、マグネシウム合金のアルミニウム含有量
は、2〜10質量%、好ましくは2.5〜6質量%であ
る。
特に制限はないが、結晶粒径30μm以下の鋳造品を得
るために、冷却・凝固速度が比較的速く、結晶粒を微細
化することができるダイガスト法又はチクソモールディ
ング法を採用することが好ましい。
したマグネシウム合金の凝固が遅いために冷却・凝固の
間に結晶が成長して結晶粒径が200μmと粗大になる
が、ダイカスト法やチクソモールディング法のように、
金型に溶融又は半溶融状態の溶湯を射出する鋳造法で
は、冷却・凝固速度が速いために結晶粒が微細化して、
結晶粒径30μm以下に鋳造することができる。
が、30μm以下であれば良く、採用する鋳造法及び合
金組成に応じて、一般的には結晶粒径15〜30μmに
鋳造が行われる。
の鋳造品は、次いで溶体化処理を行う。
と固相線の範囲の温度であれば良く、最適温度は380
〜430℃である。溶体化処理温度が固溶温度未満或い
は380℃未満では、アルミニウムとマグネシウムの巨
大な化合物が析出するので、塑性加工性を阻害し、その
組成の固相線を超える温度或いは430℃を超える温度
では、液相を生じて塑性加工性を阻害する。溶体化処理
時間は1〜24時間が適当であり、温度が低い場合には
長く、温度が高い場合には短くすることが好ましい。溶
体化処理により、母相のα相の結晶粒界に析出したβ相
が母相に溶解し、母相の結晶粒が粗大化するが、塑性加
工における粒界すべりを阻害するβ相が少なくなること
により、加工性が向上する効果が得られる。
10μm以下の鍛造品を得(以下、この結晶粒微細化の
ための鍛造を「結晶粒微細化鍛造」と称す場合があ
る。)、この鍛造品を更に所望の形状に鍛造して製品を
得る(以下、この所望の形状に成形するための鍛造を
「成形鍛造」と称す場合がある。)。
鋳造品の結晶粒を微細化させるためのものであり、この
結晶粒微細化鍛造も成形鍛造も、マグネシウム合金の組
成に応じて、鍛造加工が可能な条件範囲で行う必要があ
る。
合金組成によっても異なるが、Z値が109〜1013
の範囲、好ましくは1010〜1013の範囲となるひ
ずみ速度及び温度条件で行うことが好ましい。
金組成によっても異なるが、Z値が1013以下、好ま
しくは108〜1013、より好ましくは109〜10
12の範囲となるひずみ速度及び温度条件で行うことが
好ましい。
おいても、鍛造条件が上記好適なZ値の範囲外では、ク
ラック、割れ等の欠陥が生じ、鍛造不可能となる場合が
ある。
度10−3〜10−1sec−1、温度200〜500
℃の範囲で上記Z値の好適範囲となるように、合金組成
に応じて条件設定がなされ、成形鍛造は、ひずみ速度1
0−3〜10−2sec−1、温度200〜400℃の
範囲で上記Z値の好適範囲となるように、合金組成に応
じて条件設定がなされる。
m以下とすることにより、鍛造による塑性加工性が改善
され、成形鍛造が可能となる。この結晶粒径は10μm
以下であれば良く、一般的には結晶粒径1〜10μm程
度に結晶粒微細化鍛造が行われる。
方法の実施の形態を説明する。
含有量2〜10質量%のマグネシウム合金を鋳造して結
晶粒径が10μm以下の鋳造品を得る。
質量%未満では耐食性に劣るものとなる。マグネシウム
合金のアルミニウム含有量が10質量%を超えると次工
程の溶体化処理により塑性加工性を十分に高めることが
できず、鍛造性に優れた溶体化処理品を得ることができ
ない。従って、マグネシウム合金のアルミニウム含有量
は、2〜10質量%、好ましくは2〜6質量%である。
ウム以外の成分含有量については、前述の請求項1の方
法における記述と同様である。
結晶粒径10μm以下の鋳造品を得るために、冷却・凝
固速度が非常に速く、結晶粒を著しく微細化することが
できるダイガスト法を採用することが好ましい。
が、10μm以下であれば良く、採用する合金組成に応
じて、一般的には結晶粒径5〜10μmに鋳造が行われ
る。
の鋳造品は、次いでその組成での固溶温度と固相線の範
囲の温度で溶体化処理を行って加工性を高める。この溶
体化処理条件は、前述の請求項1の方法における溶体化
処理と同様な理由から、380〜430℃で1〜24時
間とするのが好ましく、溶体化処理後は、所望の形状に
鍛造して製品を得る。
に、マグネシウム合金の組成に応じて、鍛造加工が可能
な条件範囲で行う必要がある。
っても異なるが、Z値が1013未満の範囲、好ましく
は106〜1012の範囲となるひずみ速度及び温度条
件で行うことが好ましく、Z値が1013以上では、ク
ラック、割れ等の欠陥が生じ、鍛造不可能となる場合が
ある。
−3〜10−1sec−1、温度200〜500℃の範
囲で上記Z値の好適範囲となるように、合金組成に応じ
て条件設定がなされる。
説明する。
合金インゴットは、市販のAZ91合金インゴットにマ
グネシウムと亜鉛を添加して成分調整を行うことにより
製作し、これにより、AZ81からAZ21までの組成
のMg合金インゴットを製作した。用いたAZ91合金
インゴットと製作したインゴットの成分分析結果を表1
に示す。
により、チクソモールディング用チップを作成し、鋳造
に供した。日本製鋼所製チクソモールディング成形機J
MG−450により、射出速度を空打ち条件で最高の4
m/secに設定し、金型温度を250℃に設定して縦
181mm×横255mm×高さ10mmの有底無蓋の
箱型で、肉厚1.5mmの鋳造品を得た。なお、鋳造に
際しては、インゴット毎に融点が異なるので、成形機の
バレルとノズル温度を調整して、成形可能な条件を探り
ながら鋳造を行った。各合金の鋳造時のバレル先端の温
度を、表2に示す。
造を行えたが、AZ21は融点が645℃であり、成形
機のバレルの加熱限界内では溶融できず、鋳造できなか
った。従って、AZ系合金のチクソモールディング成形
機による鋳造限界は、アルミニウム含有量2.5%と考
えられる。
品の結晶粒径を測定するため、各鋳造品の中央部からサ
ンプルを取り、樹脂に埋め込んで研磨した後、サンプル
の組成によりピクリン酸又は酢酸系のエッチング剤でエ
ッチングし、500倍の電子顕微鏡写真を撮り、JIS
G0522の「鋼のフェライト結晶粒度試験法」の切
片法に従って測定し、1.74倍して結晶粒径を求め
た。
に、各鋳造品を430℃で1時間熱処理した後、同様に
して結晶粒径を測定した。
処理前の結晶粒径は組成による差が小さいが、溶体化処
理により、結晶粒径が粗大化する。これは、溶体化処理
を行うと、粒界に存在するβ相が母相のα相に溶解して
結晶粒を粗大化させるためである。この結晶粒径は、溶
湯が急冷されて凝固する速度が速いほど小さくなると考
えられ、次のような結果となる。即ち、AZ91からA
Z31に向ってアルミニウムの含有量が減少し、融点が
上昇する。このため、成形機の先端のバレル温度を高く
するが、溶湯温度と金型温度との温度差による急冷効果
のために、この温度差が小さいAZ91の結晶粒径28
μmから、温度差の大きいAZ51の結晶粒径14μm
まで結晶粒径は小さくなる傾向がある。しかし、AZ4
1,AZ31になると、逆に高温の溶湯が冷却遅延作用
を奏するために、結晶粒径は18〜20μmと大きくな
る。
ために、各鋳造品から引張り試験片を切り出し、420
℃で1時間溶体化処理した後、300℃、ひずみ速度
1.0×10−2sec−1で引張り試験を行い、結果
を図2に示した。
有量の多いAZ91からAZ71の伸びは15〜24%
と低いが、AZ61からAZ31では伸びが40%以上
になり、塑性加工性が格段に向上する。
ム含有量の範囲は、鋳造性からは2.5質量%以上、塑
性加工性から6質量%以下が好ましい。
たAZ61からAZ31の鋳造品を420℃で1時間溶
体化処理した後、20mm×20mmのサンプルを切り
出して電気炉で均一に加熱し、表4に示す所定の鍛造温
度に保たれた金型に置き、ひずみ速度が3.3×10
−2sec−1の一定条件で鍛造を行った。鍛造後のサ
ンプルからテストピースを切り出し、上記(1)におけ
ると同様の方法で結晶粒径の測定を行い、結果を表4に
示した。なお、上記ひずみ速度を前述の(I)式に代入
して求めたZ値は表1に示す通りであった。ここで計算
に適用したQの値は、135Kjoule/molであ
る。表4には、各サンプルの鍛造前(溶体化処理後)の
結晶粒径を併記した。
含有量の多い合金のほうが、鍛造により結晶が微細化し
易い現象が見られた。一方、アルミニウム含有量の多い
合金は、温度が低いと鍛造加工中に割れを生じ、実験の
ひずみ速度では、AZ61では300℃以上で鍛造可能
であるのに対し、AZ31では200℃でも鍛造可能で
あり、結晶粒微細化の効果を得ることができた。
可能とされる10μm以下となるように結晶粒微細化を
行うことができる鍛造の条件は、AZ61からAZ31
の合金では、Z値が109〜1013の範囲であり、好
ましくは、1010〜101 3の範囲であると言える。
プルと微細化が十分でないものを選び、20mm×20
mm×1.5mm厚さの板状サンプルを切り出し、この
サンプルを鍛造金型の下型の20mm×20mmのキャ
ビティーに挿入し、表5に示す条件で真ひずみ−1.1
まで、直径3mm、高さ10mmの円筒形の凹部を有す
る上型で鍛造してボスの形状に成形し、鍛造加工時の鍛
造性の良否を表5に示した。
阻害されやすいアルミニウム含有量が多い組成ほど高い
加工温度、即ち、大きなZ値にしなければボスを形成で
きなかった。一方、結晶粒径が10μmを超えていて
も、合金によっては、高い加工温度をとることでボスを
形成できた。
以上にすると、金型の耐久性が悪く、実用的ではない。
耐熱性材料又は表面を処理することで金型の高温耐久性
を改善することも可能であるが、金型コストが高くなり
好ましくない。
の鍛造の条件は、AZ61からAZ31の合金ではZ値
が1013以下の範囲であり、好ましくは108〜10
13の範囲であることがわかる。
ト法で鋳造試験を行った。チクソモールディング成形時
と同じ成形品形状の金型を使用し、合金は、チクソモー
ルディング成形機に使用したものと同じロットのインゴ
ットを、チップにすることなく、そのまま使用した。東
芝機械製DC650tCLSコールドチャンバー・ダイ
カスト成形機を使用し、溶湯温度を700℃、高速時の
射出速度を5.0m/secに設定し、金型温度250
℃の条件で、順次鋳造した。鋳造品の寸法、形状は実施
例1と同様である。
法で成形できなかったAZ21材も鋳造することができ
た。これは、チクソモールディング成形機のように材料
の溶融を成形機のバレル内で行わず、成形機とは別に設
置した給湯装置で材料を溶融させたので、溶融温度を7
00℃まで上げることが可能となり、融点の高いAZ2
1でも溶融させることができたためである。
溶体化処理前後の結晶粒径を測定し、結果を表6及び図
3に示した。なお、溶体化処理は430℃で1時間行っ
た。
スト鋳造品の結晶粒径は、チクソモールディング鋳造品
の結晶粒径よりも小さく、結晶粒微細化の鍛造処理する
までもなく、溶体化処理前で、既に10μ未満であっ
た。これは、成形機の充填速度が速いため、急冷効果が
あるためと推定される。
品の鍛造しやすさの目安を得るため、実施例1における
チクソモールディング鋳造品の結晶粒微細化鍛造と同じ
条件で鍛造を行い、割れを生じることなく鍛造できる
か、試験を行った。溶体化処理前のサンプルについて、
予備的に鍛造試験したが、粒界に析出したβ相が厚く、
粒界すべりが起こりにくいためか、割れを生じやすかっ
た。その傾向は、アルミニウムの含有量が多いほど、著
しかった。そのため、溶体化処理後のサンプルについて
のみ、試験を行った。その結果を表7に示す。この時の
サンプルは、ダイカスト鋳造品から切り出した20mm
×20mm×1.5mm厚さの板状で、このサンプルを
一定のひずみ速度で成形した。鍛造の真ひずみは、−
1.1である。
アルミニウム含有量が多いと、鍛造性が悪い傾向にあ
り、ひずみ速度が3.3×10−2の条件においては、
AZ91からAZ71では、加工温度を350℃に上げ
ても、鍛造すると欠陥を生じた。但し、アルミニウム含
有量が減るにつれて鍛造性が良くなり、AZ91では、
いずれの温度でも鍛造品に割れを生じたが、AZ81で
は300℃以上(即ちZ値が6.7×1010未満)、
AZ71では250℃以上(即ちZ値が1.0×10
12未満)になると割れなくなったが、細かいクラック
を生じた。
を生じることなく鍛造することができ、AZ61,AZ
51及びAZ41では250℃以上(即ちZ値が1.0
×1012未満)で、AZ31とAZ21では200℃
以上(即ちZ値が1.0×1013未満)で鍛造したも
のには欠陥がなく、優れた鍛造成形性を示した。
鋳造したダイカスト鋳造品の鍛造に適する組成は、アル
ミニウム含有量が2〜6質量%であり、適する鍛造条件
は、Z値が1.0×1013未満であると言える。
ム合金の成形方法によれば、鋳造が可能で、しかも鍛造
性に優れるマグネシウム合金組成において、鋳造と鍛造
とを組み合わせてマグネシウム合金を成形することによ
り、複雑で精密な形状を持ち、かつ物性の信頼性が高
く、耐食性をも十分に満足する製品を歩留り良く製造す
ることが可能となる。
(溶体化処理後)の結晶粒径を示すグラフである。
ε’=1.0×10−2s−1における引張り試験結果
を示すグラフである。
理後)の結晶粒径を示すグラフである。
Claims (11)
- 【請求項1】 アルミニウム含有量が2〜10質量%の
マグネシウム合金を鋳造して結晶粒径が30μm以下の
鋳造品を得、該鋳造品をその組成での固溶温度と固相線
の範囲の温度で溶体化処理した後、鍛造して結晶粒径1
0μm以下の鍛造品とし、この鍛造品を所望の形状に更
に鍛造することを特徴とするマグネシウム合金の成形方
法。 - 【請求項2】 請求項1において、該マグネシウム合金
のアルミニウム含有量が2.5〜6%であることを特徴
とするマグネシウム合金の成形方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、該鋳造をダイ
カスト法又はチクソモールディング法で行うことを特徴
とするマグネシウム合金の成形方法。 - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項におい
て、該溶体化処理を380〜440℃で1〜24時間行
うことを特徴とするマグネシウム合金の成形方法。 - 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項におい
て、Z値が109〜1013のひずみ速度と温度の条件
で鍛造して結晶粒径10μm以下の結晶微細化鍛造品を
得ることを特徴とするマグネシウム合金の成形方法。 - 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項におい
て、結晶微細化鍛造品をZ値が1013以下のひずみ速
度と温度の条件で所望の形状に鍛造することを特徴とす
るマグネシウム合金の成形方法。 - 【請求項7】 アルミニウム含有量が2〜10質量%の
マグネシウム合金を鋳造して結晶粒径が10μm以下の
鋳造品を得、該鋳造品をその組成での固溶温度と固相線
の範囲の温度で溶体化処理した後、所望の形状に鍛造す
ることを特徴とするマグネシウム合金の成形方法。 - 【請求項8】 請求項7において、該マグネシウム合金
のアルミニウム含有量が2〜6質量%であることを特徴
とするマグネシウム合金の成形方法。 - 【請求項9】 請求項7又は8において、該鋳造をダイ
カスト法により行うことを特徴とするマグネシウム合金
の成形方法。 - 【請求項10】 請求項7ないし9のいずれか1項にお
いて、該溶体化処理を380〜440℃で1〜24時間
行うことを特徴とするマグネシウム合金の成形方法。 - 【請求項11】 請求項7ないし10のいずれか1項に
おいて、Z値が10 13未満のひずみ速度と温度の条件
で鍛造することを特徴とするマグネシウム合金の成形方
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