JP2004277762A - 冷間加工用熱処理型アルミニウム合金素材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【構成】Si:3.5〜13.5質量%,Mg:0.3〜1.3質量%,Cu:0.1〜1.3質量%,Fe:0.1〜0.5質量%を含むアルミニウム合金材を、溶体化処理後冷間加工するまでの間に、5℃/分以上の加熱速度で70〜130℃に加熱して3〜500秒保持し、5℃/分以上の冷却速度で常温まで冷却する保持処理工程を付加して製造される。
【効果】保持処理を付加することにより、自然時効の進行を抑制し、冷間加工後に時効硬化させることで、寸法精度の低下を抑え、冷間加工性をも高めることができる。
【選択図】 なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、コンプレッサーピストン,シリンダーヘッド,小型ピストン等に冷間鍛造や冷間引抜き加工で冷間加工されるAl−Si−Mg系の冷間加工用アルミニウム合金素材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Al−Si系合金の強度を向上させるために、CuとMgを添加し、溶体化処理の後に時効処理が施されている。Al−Si系合金は熱膨張係数が小さく、耐熱性,耐摩耗性,防振性に優れているが、鍛造加工や引抜き加工等の冷間加工を行う場合、冷間加工用素材の強度が高いと冷間加工し難いので、溶体化処理や時効処理は冷間加工の後に行うJIS規格のT6処理が行われている(例えば非特許文献1参照)。
なお、本明細書中においては、冷間加工とはアルミニウム合金の再結晶温度未満での加工を称し、逆に再結晶温度以上での加工は熱間加工を称すこととする。
【0003】
【非特許文献1】
(社)軽金属協会標準化総合委員会編,「アルミニウムハンドブック(第5版)」,(社)軽金属協会,1994年7月25日,p.2〜9
【0004】
そして、強化元素としてCuやMgが添加・固溶されたAl‐Si系合金は、焼鈍により軟質化された状態で冷間加工され、冷間加工品を溶体化処理することにより溶質をマトリックスに固溶させて、水焼入れ等で急冷する。溶質が固溶している冷間加工品は時効処理されると、安定相Al2Cu相やMg2Si相等の初期析出相のGPゾーンや中間相が析出し、いわゆる時効硬化現象を起こして必要強度が付与されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、溶体化処理をすると表面黒色化が起こったり、歪みを内在している表層部等に粗粒化再結晶相が生成したりして、製品外観を悪化させている。また、溶体化処理後の急冷により、冷間加工製品に歪みが発生し易く、形状変形によって寸法精度の低下につながっている。そこで、通常、悪化表面や歪を仕上げ切削で除去するため、仕上げ切削時の切削量を予め取り込んだサイズに冷間加工品を設定し、時効処理後の仕上げ切削で冷間加工品の形状を整えている。
仕上げ切削を必要とするために冷間加工寸法を製品寸法よりも大きく設計する必要があり、材料歩留まりが悪くなっている。また、切削に伴う内部残留応力の発生により、疲労寿命が低下するという問題も生じている。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、コンプレッサーピストン,シリンダーヘッド,小型ピストン等を冷間鍛造や冷間引抜き加工等の冷間加工法で製造する際に、自然時効の進行を抑制して、冷間加工が行いやすく、また冷間加工後の仕上げ切削を必要としない冷間加工用アルミニウム合金素材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷間加工用熱処理型アルミニウム合金素材の製造方法は、その目的を達成するため、Si:3.5〜13.5質量%,Mg:0.3〜1.3質量%,Cu:0.1〜1.3質量%,Fe:0.1〜0.5質量%を含み、残部が実質的にAlの組成をもつアルミニウム合金材を、500〜530℃で1〜10時間保持した後、300〜520℃の温度域を50℃/秒以上の冷却速度で常温まで冷却して焼入れした後、24時間以内に5℃/分以上の加熱速度で70〜130℃に加熱して3〜500秒保持し、5℃/分以上の冷却速度で常温まで冷却することを特徴とする。
なお、本明細書中では、以下、「500〜530℃で1〜10時間保持する」ことを「溶体化処理」と称し、「300〜520℃を所定の冷却速度で冷却する」ことを「焼入れ」、さらに、「焼入れ後24時間以内に5℃/分以上の加熱速度で70〜130℃に加熱して3〜500秒保持し、5℃/分以上の冷却速度で常温まで冷却する」ことを「保持処理」と称することとする。
【0007】
アルミニウム合金材は、さらにMn:0.05〜0.8質量%,Cr:0.04〜0.4質量%,Zr:0.05〜0.4質量%,V:0.03〜0.4質量%,Sn:0.01〜1.5質量%,Ni:0.5〜2.2質量%,Ti:0.001〜0.03質量%,B:0.0003〜0.03質量%の1種又は2種以上を含むことができる。
このようなアルミニウム合金材は、鋳造材でも押出材でもあるいは圧延材でもよい。
合金材が押出材である場合、当該組成のアルミニウム合金を450〜510℃に加熱して押出加工し、押出直後に50℃/分以上の冷却速度で焼入れした後、保持処理を施してもよい。
本冷間加工用アルミニウム合金材は、適宜の冷間加工後、150〜180℃で4〜18時間保持する時効処理が施されることが好ましい。
【0008】
【作用】
本発明に係る冷間加工用熱処理型アルミニウム合金素材は、冷間加工に先立って溶体化処理が施される。溶体化処理後速い冷却速度で焼入れすることにより、過飽和状態で溶質がマトリックスに固溶している固溶状態が得られる。
溶質は、冷間加工によって析出することなく、冷間加工後にも過飽和固溶状態を維持する。そのため、冷間加工後に時効処理を施すだけで十分なGPゾーン及び中間相が析出し、必要強度が付与される。また、冷間加工後に溶体化処理が施されることがないため、見栄え,強度及び伸び悪化させる原因となる結晶粒の粗大成長が抑制される。しかも溶体化処理後に冷間加工されるので、溶体化処理に続く焼入れ時に生じる歪みや表面疵が冷間加工によってなくなる。
【0009】
ところで、MgとSiを含有するアルミニウム合金の時効硬化現象は、溶体化処理によって母相中に過度に固溶されたSiとMgはSi−Mg系化合物として析出させて機械的強度を向上させたものである。この時効硬化は、室温でも進行する。この室温での進行を自然時効と称している。
溶体化処理されたアルミニウム合金は、時間の経過とともに自然時効が進行し、機械的強度が変化するとともに、歪みによって加工品形状が変化する。したがって、高い寸法精度で所定の強度を得るためには、自然時効を見越した冷間加工条件を探索する必要がある。
そこで、本発明者等は、鋭意実験を繰り返すことにより、溶体化焼入れした後冷間加工までの間に所定条件の「保持処理」を組み込むことによって、上記の自然時効を抑制することができることを見出した。機械的強度の上昇と歪みの発生を伴う自然時効の進行を抑制することができるため、冷間加工前の素材硬度を一定にすることができる。そのため、冷間加工条件が安定化し、時効処理後に寸法精度の良い冷間加工品が得られる。
さらに、冷間加工後に溶体化処理が施されるのではないから、冷間加工による加工硬化も強度向上に有効利用される。
【0010】
本発明者等は、自然時効を抑える保持処理条件として、溶体化焼入れの後、24時間以内に5℃/分以上の加熱速度で70〜130℃に加熱して3〜500秒保持し、5℃/分以上の冷却速度で常温まで冷却することが有効であることを見出した。
この処理が自然時効の抑制に及ぼす詳細な理由は不明であるが、保持処理された押出素材を観察すると、50Å以下の微細なGPゾーンや中間相がマトリックスに再固溶し、50Åを超えるGPゾーンや中間相は逆に大きく成長している。この観察結果から、常温では新たなGPゾーンや中間相が生成しなくなる程度にマトリックス中の溶質原子濃度が低下し、自然時効の進行が抑制されているものと推察される。
【0011】
さらに、溶体化処理と冷間加工との間に保持処理を導入するとき、冷間加工後においても溶質の過飽和固溶状態が維持され、冷間加工後に改めて溶体化処理する必要がなくなる。そのため、冷間加工品に歪みや表面疵を発生させる機会がなく、歪みや表面疵を除去するための冷間加工品の仕上げ切削を省略できることは勿論、仕上げ切削時の切削量を予め見込んだサイズに冷間加工品を設計する必要がなく、材料歩留が改善される。更には、冷間加工による加工硬化も冷間加工品の強度向上に有効利用される。また、切削にかかる費用がないため、冷間加工品の生産コストを低減できる。
【0012】
以下、本発明が対象とするアルミニウム合金の成分・組成,製造条件等を説明する。
Si:3.5〜13.5質量%
Siは、高強度,耐摩耗性,低熱膨張性,鋳造性,防振性および切粉分断性を付与する元素である。また時効処理によりMgとともにMg−Si系析出物を形成し、アルミニウム合金に必要強度を付与する合金成分である。これらの効果は、3.5質量%以上で顕著となり、逆に、13.5質量%を超える強度が高くなり、加工性が低下する。
【0013】
Mg:0.3〜1.3質量%
Mgは、時効処理によりSiとともにMg−Si系析出物を形成し、アルミニウム合金に必要強度を付与する合金成分である。この効果は0.3質量%以上で顕著となる。しかし、1.3質量%を超えると粗大な化合物が形成され、伸びが低下する。
Cu:0.1〜1.3質量%
Cu添加は、時効処理時におけるMg−Si系析出物の析出を促進させることにより、ピーク硬さを増大させるとともに強度をより一層向上させる作用がある。Cuによる強度改善効果は0.1質量%以上で顕著になる。しかし、1.3質量%を超える多量のCuを添加すると耐食性が劣化し、耐糸さび性が顕著に低下するばかりでなく、溶接性も著しく低下する。
【0014】
Fe:0.1〜0.5質量%
Feは、結晶粒を微細化し、強度を向上させる作用を呈する合金成分である。この効果は0.1質量%以上で顕著になる。しかし、0.5質量%を超えると、粗大な金属間化合物が生成し、延性や鍛造性等、成形性を著しく劣化させるだけでなく、靭性および疲労特性を劣化させる。
Mn:0.05〜0.8質量%,Cr:0.04〜0.4質量%
Mn,Crは、均質化熱処理を適切な条件で行うことにより、母材中に微細均一に分散する。微細均一に分散した粒子は再結晶粒の粒界移動を抑制する効果があるため、当該Mn,Crは、再結晶抑止効果を有し、結晶粒の粗大化を防止して、結晶粒を微細化するのに有効な合金成分である。0.05質量%以上のMn、または0.04質量%以上のCrの含有により上記作用・効果は顕著になる。しかし、0.8質量%を超えるMn、あるいは0.4質量%を超えるCrが含まれると、粗大なAl−Fe−Si(Mn,Cr)系の金属間化合物が晶・析出されやすく、熱間加工性のみならず冷間加工性に悪影響を及ぼす虞がある。
【0015】
Zr:0.05〜0.4質量%,V:0.03〜0.4質量%
Zr,Vの遷移元素は、Mnと同様に均質化処理により母相中に微細均一に分散する。これらの粒子は再結晶粒の粒界移動を抑制する効果があるため、結晶粒を微細化し、強度,伸びを向上させる作用を有している。この作用・効果は、0.05質量%以上のZr、0.03質量%以上のVの含有で顕著になる。しかし、これらの元素の含有量が0.4質量%より多いと熱感受性を高めるだけでなく、鋳造時に粗大な金属間化合物が晶・析出して、強度や伸びを低下させることになる。
【0016】
Sn:0.01〜1.5質量%
Snは、自然時効を抑制し、約60℃以下での温度領域でクラスター,GPゾーン等の形成を抑制する作用を有する。また、潤滑性を高める作用を有しているので、冷間鍛造性を向上させる作用を呈する。0.01質量%未満では、その効果は十分でなく、1.5質量%を超えてもその効果が増大しないばかりでなく、熱間加工性が著しく低下する。
Ni:0.5〜2.2質量%
Niは、耐熱性を向上させる作用を有している。したがって、耐熱性が要求される製品には、0.5質量%以上のNiを添加して耐熱特性を具備させている。しかしながら、多量の添加は、鋳造時や熱間加工時に障害を発生させる虞があるので、その添加量は2.2質量%以下に抑えることが好ましい。
【0017】
Ti:0.001〜0.03質量%,B:0.0003〜0.03質量%
Tiは、鋳塊の結晶粒微細化剤として単独に、あるいは微量Bと組み合わされて添加される。鋳造割れを防ぐとともに結晶粒を微細化させ、冷間加工の際に均一変形を起こしやすくする作用を有する元素である。0.001質量%以上のTiで効果を発揮する。しかし、0.03質量%でこの効果は飽和する。BもTiと同様に、0.0003質量%以上で効果を発揮するが、0.03質量%でこの効果は飽和する。
【0018】
アルミニウム合金素材を押出材や圧延材とする場合、加工の前の均質化処理を施すことが好ましい。
均質化処理条件:500〜580℃
500℃未満では、Mg,Si,Cuにミクロ偏析が解消されず、金属組織の均質化が得られない。組織が均質でないと、加工性が低下する。580℃を超える温度で均質化すると、部分溶融が起こり、かえって強度が低下する虞がある。
【0019】
溶体化処理条件:(500〜530℃)×(1〜10時間)
溶体化処理することにより、Si,Mg等の溶質をマトリックスに固溶させた過飽和固溶状態になる。この温度が500℃に満たないと、あるいは処理時間が短いと、Mg,Si等を十分に再固溶させることができず、その後時効させても、機械的特性はさほど向上しない。溶体化処理の温度が530℃を超えると、結晶粒界や晶・析出物の溶融による部分溶融が起こり、脆性劣化や伸び値の低下が発生し、かえって強度が低下する虞がある。また時間が長すぎると、結晶粒が粗大化してしまい、所定の時効処理等を施しても、所望の機械的特性が得られなくなる。
【0020】
焼入れ処理条件:300〜520℃の冷却速度50℃/分以上
過飽和固溶状態を維持するため、速い冷却速度で室温まで冷却する。焼入れ時の300℃までの冷却速度が50℃/分に満たないと、再固溶したMg,Si、Cuが析出してしまう。
素材が熱間押出材の場合、溶体化およびそれに続く焼入れの代わりに、熱間押出加工時の熱を利用して溶質をマトリックスに固溶させるプレス端焼入れを行うことも可能である。すなわち、アルミニウム合金素材が熱間押出材である場合、加工熱によって熱間押出材そのものの温度が上昇する。450〜510℃程度に加熱した鋳塊を熱間押出すると、押出材の温度は500〜530℃にまで上昇する。この段階で溶体化が進行するので、押出後速やかに冷却速度50℃/分以上の冷却、すなわちプレス端焼入れを行えば、溶質成分が過飽和に固溶した状態が得られる。したがって、この処理を行えば、溶体化処理を省くことができる。
【0021】
また、鋳塊を適正な温度に加熱し、熱間押出材組織が均一微細になるように押出条件を選定して押出加工した後速やかに冷却すると、添加されている遷移元素の分散粒子が適正に分布した組織が得られる。このためその後所定の保持処理が施されると、特性が均一で冷間加工性に優れた塑性変形能を有するようになる。
鋳塊加熱温度が450℃に満たないと、押出材内部の金属組織が中心部と異なる不均一な材料組織となる。また510℃を超えると、押出材の温度が高くなり過ぎて部分溶融を生じ、押出材表面に溶融割れを発生させることになる。
【0022】
保持条件:(70〜130℃)×(3〜500秒)
溶体化処理されて過飽和固溶状態のアルミニウム合金素材は、その後の自然時効によってGPゾーンや中間相が析出し易い。自然時効が進行すると、合金素材の硬さが変化し、冷間加工品の寸法精度にバラツキが生じる。この自然時効は、溶体化処理された合金素材を(70〜130℃)×(3〜500秒)保持することにより抑制される。
保持処理が自然時効の進行抑制に有効な理由は定かでないが、保持処理された押出素材を観察すると、自然時効で結晶粒内に生成した粒径50Å以上の大きなGPゾーンや中間相が成長し、粒径が50Åに満たないGPゾーンや中間相が消失していることが判る。大きな粒径のGPゾーンや中間相の成長は、成長に多量の溶質を消費し、マトリックスの溶質濃度を低下させる。また、粒径50Åに満たないGPゾーンや中間層の消失は、析出核となるGPゾーンや中間相の単位体積当りの個数が減少することを意味する。その結果、常温ではGPゾーンや中間相が生成しなくなり、自然時効の進行が抑制されるものと推察される。
【0023】
保持処理は、溶体化処理後の焼入れから24時間以内で行うことが効果的である。溶体化処理後の焼入れからあまりに短時間の保持では50Åより大きなGPゾーンや中間相が少なく、このときに保持処理すると、GPゾーンや中間相の成長に消費される溶質よりもマトリックスに再固溶する溶質が多くなり、結果としてマトリックスの溶質濃度が低下しないため自然時効の進行を抑制できない。したがって、少なくとも0.1時間後に加熱・保持することが好ましい。溶体化焼入れから24時間より長い時点では、自然時効の進行によって冷間加工用素材が硬質化するため加工性が劣化する。
【0024】
粒径50Å以上のGPゾーンや中間相の成長及び粒径50Å未満のGPゾーンや中間相の消失は、保持温度70〜130℃,保持時間3〜500秒で効果的に進行する。70℃未満の保持温度や3秒未満の保持時間では、粒径50Å以上のGPゾーンや中間相が成長せず、マトリックスの溶質濃度が低下しない。更に、粒径50Å未満のGPゾーンや中間相がマトリックスに固溶し難くなり、GPゾーンや中間相の単位体積当りの個数も減少しないため、自然時効の進行に対する抑制効果が小さい。逆に130℃を超える保持温度や500秒を超える長時間保持では、粒径50Å以上のGPゾーンや中間相が成長し過ぎて冷間加工用素材を硬質化するため、大きな加工圧力を必要とし、冷間加工性を劣化させる。GPゾーンや中間相の過度の成長は、保持処理後に5℃/分より遅い冷却速度で冷間加工用素材を冷却する場合にもみられる。
【0025】
本発明の冷間加工用熱処理型アルミニウム合金素材は、冷間鍛造あるいは冷間引抜き加工されることを想定しているが、冷間押出等、他の冷間加工法を除外するものではない。
冷間鍛造:
溶体化処理され、保持処理された素材を用いての冷間鍛造条件は、従来の冷間鍛造と同様である。所定の製品形状の金型に必要かつ十分な容量を満足するアルミニウム合金素材を装入し、通常の常温あるいは再結晶温度以下の金型温度,素材温度で行う。
保持処理されたアルミニウム合金素材は、異方性がなく微細な金属組織を有しているので、冷間鍛造された製品の金属メタルフローは異方性のない均一な流れになり、製品形状変化も少ない。
なお、冷間鍛造を行う場合には、鍛造を行う前に潤滑性を高め、塑性流動性を良くするために、素材表面にリン酸塩/石鹸処理、いわゆるボンデ処理を施すことが好ましい。この処理を施しておくことにより、金型寿命を長くできるばかりでなく、鍛造製品の表面ムラの発生を抑制することができる。
【0026】
冷間引抜き加工:
引抜き加工においては、素管棒は縮径され、ダイスにより素材表面は縮径と同時に内側に押し込められて引抜き加工材表面を平滑化されていく。保持処理されたアルミニウム合金素材は、異方性がなく微細な金属組織を有しているので、引抜き加工された製品の金属メタルフローは異方性のない均一な流れになる。また、ダイスのアプローチ角度やベアリング長さを最適化し、潤滑油粘度を選定しながら素材表面が平滑で均一な投入素材を行うと、引抜き材表面粗さをより平滑化でき、金属光沢のある製品を製造できる。
【0027】
時効処理:
保持処理された冷間加工用押出素材は、冷間加工後においても過飽和固溶状態を維持している。そのため、冷間加工品を時効処理するとき、強度付与に有効な析出量のMg−Si系金属間化合物等が析出し、冷間加工品の強度が向上する。
時効処理条件は、Mg−Si系金属間化合物等を効果的に析出させるため(150〜180℃)×(4〜18時間)に設定される。150℃未満の低い加熱温度では、十分な機械的強度を得るために長時間の時効処理を必要とし、生産性を低下させる。逆に180℃を超える高温加熱では過時効になり易く、却って機械的強度が低下する傾向がみられる。また、4時間に達しない短時間加熱では時効が不充分で必要強度が得られず、18時間を超える長時間加熱では過時効によって却って機械的強度が低下する虞れがある。時効温度は180℃以下と再結晶化温度より低いので、冷間加工の際に生じた加工歪があまり回復せず、結晶粒が粗大化しない。
【0028】
【実施例】
実施例1:(熱間押出→溶体化処理→焼入れ→保持処理)
表1に示した組成のアルミニウム合金をビレットにDC鋳造した後、昇温速度80℃/時で加熱し、550℃×2時間の均質化処理を施し、冷却速度250℃/時で冷却した。冷却後のビレットを350℃に加熱し、320℃に予熱された押出ダイスを用いて押出速度18m/分となるように押出加工し、冷却速度20℃/分で常温まで冷却した。
【0029】
【0030】
各押出材を515℃に2時間加熱・保持して溶体化処理した後、水焼入れした。水焼入れ後、所定時間経過した時点で、7℃/分で80℃または110℃に加熱し、5分間保持した後、冷却速度80℃/分で常温まで冷却した。
所定時間経過ごとに押出材の硬さをビッカース光度計で測定し、硬さの変化、換言すると自然時効の進行度合いに及ぼす保持処理の影響を調査した。
比較のために、溶体化処理後の保持処理を省略した押出素材(比較法1)、溶体化処理から0.5時間経過した時点で150℃まで加熱し、その後室温まで冷却した押出素材(比較法2)、溶体化処理から30時間経過した時点で120℃に加熱し、5分間保持した後室温まで冷却した押出素材(比較法3)についても、同様に硬さの変化を調査した。
調査結果を、表1の合金ごとに分けて表2〜9にそれぞれ示す
【0031】
表2〜9から明らかなように、No.1〜8の何れの合金においても、保持処理を省略した押出素材(比較法1)では、時間経過と共に自然時効が進行し、硬さが増加していた。保持処理温度が高すぎる押出素材(比較法2)や溶体化処理の水焼入れから保持処理までの時間が長い押出素材(比較法3)では、時間経過に伴った硬さの変化はないものの、硬さ自体が硬くなりすぎて、冷間加工し難くなっている。
これに対し、本発明に従った条件下で保持処理した押出素材では、時間経過に伴った硬さの上昇が実質的にみられなかった。このことから、保持処理によって自然時効の進行が抑制されていることがわかる。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
実施例2:(熱間押出→プレス端焼入れ→保持処理)
表1に示した合金番号1の組成のアルミニウム合金をビレットにDC鋳造した後、昇温速度80℃/時で加熱し、550℃×2時間の均質化処理を施し、冷却速度250℃/時で冷却した。冷却後のビレットを480℃に加熱し、320℃に予熱された押出ダイスを用いて押出速度18m/分となるように押出加工した。押出直後の押出材の温度は520℃であった。
この520℃から、水焼入れ(プレス端焼入れ)し、常温まで5000℃/分以上の冷却速度で冷却した。冷却後、直地に昇温速度7℃/分で110℃に加熱し、5分保持した後、冷却速度80℃/分で室温まで空冷した。所定時間経過ごとに押出素材の硬さをビッカース硬度計で測定し、硬さ変化、換言すると自然時効の進行度合いに及ぼす保持処理の影響を調査した。
その結果を表10に示す。
この結果から、プレス端焼入れした場合でも、時間が経過しても高度があまり高くならない、すなわち自然時効が抑制されることがわかる。
【0041】
【0042】
実施例3:(溶体化処理→焼入れ→保持処理→冷間鍛造→時効処理)
合金番号1を実施例1の発明方法2で保持処理し1000時間経過した後、ボンデ処理を施し、冷間加工用押出素材を外径70mm,肉厚9mm,長さ90mmの有底円筒形状に鍛造荷重350トンで冷間鍛造した。得られた冷間鍛造品に180℃×4時間→空冷の時効処理を施した後、冷間鍛造品の機械的強度及び歪み量を測定した。
その測定結果を表11に示す。
なお、歪み量の測定では、時効処理後の冷間鍛造品を定盤の上に載せ、定盤と冷間鍛造品との間にできた隙間を歪み量として測定した。
比較のため、押出加工後→焼鈍→冷間鍛造→溶体化処理→時効処理の工程(比較法4)で製造された冷間鍛造品についても同様に機械的強度及び歪み量を測定した。
【0043】
【0044】
表11の測定結果にみられるように、本発明に従って製造された冷間鍛造品は、歪み量が極めて少なく、機械的強度も高くなっていることが判る。機械的強度の上昇は、比較法4で製造された冷間鍛造品に比較し、時効処理による硬化に加えて冷間鍛造による加工硬化が強度改善に有効に働いていることを意味する。
比較例4の鍛造品の機械的強度が低くなっているのは、鍛造後溶体化処理するために、鍛造時に生じた歪みにより溶体化処理時に結晶粒が粗大化したことも影響している。
【0045】
【発明の効果】
以上に説明したように、アルミニウム合金製機械構造部品を冷間鍛造や冷間引抜き加工等の冷間加工法で製造する際に、溶体化処理と冷間加工との間に保持処理工程を導入し、溶体化処理された冷間加工用素材の自然時効を抑制するとき、溶質の過飽和固溶状態を維持したまま素材が冷間加工され、後続する人工時効によって強度向上に有効なMg−Si系等の金属間化合物を適正な析出量で析出させることができ、機械的強度が高く仕上げ切削が不要な冷間加工品が得られる。しかも、冷間加工後に溶体化処理を施さないため、冷間加工による加工硬化も強度向上に有効利用される。
したがって、本発明法で得られた素材を冷間鍛造あるいは冷間引抜き加工して製造された冷間加工品は、コンプレッサーピストン,シリンダーヘッド,小型ピストン等の機械構造部品として幅広く使用される。
Claims (5)
- Si:3.5〜13.5質量%,Mg:0.3〜1.3質量%,Cu:0.1〜1.3質量%,Fe:0.1〜0.5質量%を含み、残部が実質的にAlの組成をもつアルミニウム合金材を、500〜530℃で1〜10時間保持した後、300〜520℃の温度域を50℃/秒以上の冷却速度で常温まで冷却して焼入れした後、24時間以内に5℃/分以上の加熱速度で70〜130℃に加熱して3〜500秒保持し、5℃/分以上の冷却速度で常温まで冷却することを特徴とする冷間加工用熱処理型アルミニウム合金素材の製造方法。
- アルミニウム合金材が、さらにMn:0.05〜0.8質量%,Cr:0.04〜0.4質量%,Zr:0.05〜0.4質量%,V:0.03〜0.4質量%,Sn:0.01〜1.5質量%,Ni:0.5〜2.2質量%,Ti:0.001〜0.03質量%,B:0.0003〜0.03質量%の1種又は2種以上を含むものである請求項1に記載の冷間加工用熱処理型アルミニウム合金素材の製造方法。
- アルミニウム合金材が、押出材である請求項1または2に記載の冷間加工用熱処理型アルミニウム合金素材の製造方法。
- 請求項1または2に記載の組成のアルミニウム合金を、450〜510℃に加熱して押出加工し、押出直後に50℃/分以上の冷却速度で常温まで冷却して焼入れした後、24時間以内に5℃/分以上の加熱速度で70〜130℃に加熱して3〜500秒保持し、5℃/分以上の冷却速度で常温まで冷却することを特徴とする冷間加工用熱処理型アルミニウム合金素材の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法で製造された冷間加工用熱処理型アルミニウム合金素材を冷間加工した後、150〜180℃で4〜18時間保持する時効処理を行うことを特徴とするアルミニウム合金製冷間加工材の製造方法。
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