JP2000087199A - マグネシウム合金圧延材の製造方法、マグネシウム合金のプレス加工方法、並びに、プレス加工品 - Google Patents
マグネシウム合金圧延材の製造方法、マグネシウム合金のプレス加工方法、並びに、プレス加工品Info
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Abstract
圧延材の製造方法、マグネシウム合金のプレス加工方
法、並びに、プレス加工品を提供する。 【解決手段】 リチウムを6〜10.5重量%含む、マ
グネシウムα相1とリチウムβ相2の共晶組織のマグネ
シウム合金圧延材の製造方法であって、マグネシウム合
金を、少なくとも圧下率10%以上にて冷間圧延して、
所望の厚みとする冷間圧延工程と、冷間圧延工程後に、
150〜300℃で10分〜2時間熱処理を施すことに
より、マグネシウムα相を再結晶化する工程と、を含
む。
Description
マグネシウム合金圧延材の製造方法、マグネシウム合金
のプレス加工方法、並びに、プレス加工品に関する。
も軽く、樹脂材料に代わる材料として、近年、電子機器
筐体等に採用されている。これらの電子機器筐体等は、
一般的に使用されているマグネシウム合金がhcp結晶
構造のマグネシウムα相(以下、α相と称す)であり塑
性加工が困難であることから、ダイキャスト法、チクソ
キャスト法、熱間プレス法などの成形によって製造され
ている。
ャスト法は、成形後に、バリ取り、表面仕上などの2次
加工が必要であるため、生産効率が悪いという問題があ
る。また、熱間プレス法は、成形時に金型温度、材料温
度の両方を調整する必要があり、製造設備等にその機能
を付加しなければならないという問題がある。
リチウムを添加することで、冷間プレス加工を可能にし
たマグネシウム合金が提案されている(特開平9―41
066号公報,以下、従来例1と記す)。
の添加量が6重量%以上においてbccの結晶構造を持
つリチウムβ相(以下、β相と称す)が晶出し、10.
5重量%まではα相とβ相の共晶組織となる。さらに、
添加量が10.5重量%を超えるとβ相単相の均一固溶
体となる。このβ相は、冷間で塑性加工容易なため、β
相の晶出に伴い、著しく冷間での加工性が改善される。
を、350℃以下の熱間で圧延し圧延材とし、さらに、
この圧延材を焼鈍することで、冷間加工性を向上できる
ことが提案されている。
1に記載の方法では、熱間圧延後にただ単に焼鈍を行っ
ているだけなので、圧延後に、特に多段階のプレス加工
を施した場合、圧延工程や前段階のプレス加工工程によ
って硬化してしまい、加工性が低下するという問題があ
る。
変形しやすいという問題があり、従来例1では強化剤の
添加により対応している。しかしながら、強化剤の添加
のみにより耐クリープ性を上げようとすると、冷間加工
性も低下してしまうという問題がある。
たものであって、特に多段階でプレス加工する場合に、
良好な冷間加工性を有するマグネシウム合金圧延材の製
造方法、マグネシウム合金のプレス加工方法、並びに、
プレス加工品を提供することを目的とする。
シウム合金圧延材の製造方法は、リチウムを6〜10.
5重量%含む、マグネシウムα相とリチウムβ相の共晶
組織のマグネシウム合金圧延材の製造方法において、前
記マグネシウム合金を、少なくとも圧下率10%以上に
て冷間圧延して、所望の厚みとする冷間圧延工程と、該
冷間圧延工程後に、150〜300℃で10分〜2時間
熱処理を施すことにより、マグネシウムα相を再結晶化
する工程と、を含むものである。
方法は、リチウムを6〜10.5重量%含む、マグネシ
ウムα相とリチウムβ相の共晶組織のマグネシウム合金
のプレス加工方法において、前記マグネシウム合金を、
少なくとも圧下率10%以上にて冷間圧延して、所望の
厚みとする冷間圧延工程と、該冷間圧延工程後で、か
つ、最終形状までプレス加工する前に、150〜300
℃で10分〜2時間熱処理を施すことにより、マグネシ
ウムα相を再結晶化する工程と、を含むものである。
ムを6〜10.5重量%含む、マグネシウムα相とリチ
ウムβ相の共晶組織のマグネシウム合金からなるプレス
加工品において、マグネシウムα相が略球状もしくは略
粒状にとなって存在するものである。
3に記載のプレス加工品において、亜鉛もしくはアルミ
ニウムを0.5〜3重量%含有するものである。
3または請求項4に記載のプレス加工品において、カル
シウム、ジルコニウム、珪素の少なくとも1つを0.5
〜2重量%の含有するものである。
マグネシウム合金圧延材の製造方法またはマグネシウム
合金のプレス加工方法について、従来例1との比較にお
いて説明する。
0.5重量%で残部がマグネシウムと不可避不純物から
なる従来の共晶系マグネシウム合金の、冷間プレス加工
後におけるプレス加工性の低下について、本発明者が鋭
意研究を行なった結果について説明する。
生成した圧延材の断面を顕微鏡観察した結果を、図4に
模式的に示す。この図から分かるように、圧延後の共晶
系マグネシウム合金には、加工性の低いα相1が針状に
延ばされて存在している(他の部分はβ相2である)。
ここから、圧延後や前段のプレス加工後におけるプレス
加工性の低下は、針状に延ばされたα相1の存在が原因
だと推察される。なお、このような現象は本発明者が初
めて見出したものである。
では、圧延工程や前段のプレス加工後における上記針状
のα相1を、略粒状あるいは略球状に変化させる。具体
的には、 圧延工程の少なくとも最終段階(すなわち、所望の厚
みに圧延する段階)を、冷間での圧延とし、 その冷間での圧延後に、熱処理を行う。
を再結晶化して、略粒状あるいは略球状に変化させるた
めに行うものであり、これにより、後のプレス加工時に
おける加工性を向上できる。また、の”圧延工程の少
なくとも最終段階を冷間での圧延とすること”は、圧延
材(圧延後のマグネシウム合金)に内部歪みを付与する
ために行うものであり、これにより、再結晶化を容易に
起こさせることができ、さらに、その再結晶粒を微細に
することができる。このように本発明の手法によれば、
効果的な再結晶化が可能となり、プレス加工性を向上で
きる。
共晶系マグネシウム合金(リチウム含有量が6〜10.
5重量%で残部がマグネシウムと不可避不純物からなる
マグネシウム合金)の断面を、模式的に示す図である。
この図のように、α相1は略粒状または略球状に分裂し
ており、図4のように針状には存在しなくなるため、プ
レス加工性を向上することができる。
ための条件について説明する。表1は、熱処理温度と熱
処理時間を変化させて、共晶マグネシウム合金のα相の
結晶状態を観察した結果を示す表である。
℃で10分〜2時間熱処理を施した場合に実現できるこ
とが分かる。望ましくは、150℃以上200℃未満で
1.5〜2時間,200℃以上250℃未満で1〜2時
間,250℃以上300℃未満で0.5〜2時間,30
0℃程度で10分〜1時間の熱処理が良い。これらの熱
処理条件の下限は再結晶化が生じる限界によって決ま
り、上限は再結晶化に飽和が生じる条件(150℃,2
00℃の場合)または結晶粒が粗大化して強度が低下す
る条件(250℃,300℃の場合)によって決まる。
段階)における冷間圧延は、圧延材に内部歪みを付与す
るという上記目的のためには、少なくとも圧下率10%
以上好ましくは30%以上で行うことが望ましい。
レス加工性を向上することができ、特に、多段階でプレ
ス加工を行う場合にその効果を発揮し、破断等の発生を
抑制することができる。
に圧延した後の圧延材び形態において行っても良いし、
また、圧延後にプレス加工した後であっても最終形状に
プレス加工する前であればその段階で行っても良い。
法で製造したマグネシウム合金を用いたプレス加工品
は、加工性が良い反面、クリープ変形し易いという問題
がある。本実施の形態では、クリープ変形を防止する方
法について説明する。
ウム合金(α相が再結晶化した合金)を、所定の形状に
プレス加工する。このプレス加工品は上記のようにクリ
ープ強度が劣っている。
て、α相をマグネシウム合金の表層に凝集,結合させ
る。図2は、この熱処理後のマグネシウム合金の断面を
示す模式図である。このようにα相を表層に凝集,結合
させれば、後述する具体例のように、クリープ強度を増
大できる。なお、熱処理条件は、本発明者の実験によれ
ば、200〜300℃で1〜3時間において良好な結果
が得られた。
で、その強度を向上させることができる。この際、強度
を向上させ過ぎると、加工性が悪くなるため、強化剤は
適切な量添加する必要がある。具体的には、強化剤とし
て亜鉛もしくはアルミニウムを用いる場合には、リチウ
ム含有量が6〜10.5重量%の共晶系マグネシウム合
金において、それらを0.5〜3重量%含有させること
が望ましい。
おくことで、その強度を向上させることができる。この
際、強度を向上させ過ぎると、加工性が悪くなるため、
結晶粒微細化剤は適切な量添加する必要がある。具体的
には、結晶粒微細化剤としてカルシウム,ジルコニウ
ム、または、珪素を用いる場合には、リチウム含有量が
6〜10.5重量%の共晶系マグネシウム合金におい
て、それらの少なくとも1種を0.5〜2重量%含有さ
せることが望ましい。
ても良く、この場合、さらに良好なクリープ強度を得る
ことができる。
の共晶系マグネシウム合金の特性を、具体的に説明す
る。ここでは、各種組成(リチウム組成)の合金インゴ
ットを切り出した厚さ5mmのビレットを、200℃で
1mmまで圧延した後、冷間で0.6mmとなるように
(圧下率40%)圧延した試験片を作製し、プレス性を
評価した。結果を表2に示すが、表2中の実施例は上記
試験片を200℃で1時間熱処理(球状化熱処理)した
後に評価を行ったものであり、比較例は上記試験片を熱
処理を行わずに評価を行ったものである。また、プレス
性の評価後に250℃で2時間の熱処理(α相凝集熱処
理)を行ったものと行っていないものについて、クリー
プ強度を評価した。これについても表2に記載してい
る。なお、先に行う200℃1時間の熱処理は、合金中
に存在する針状のα相を球状(粒状)化するのに十分な
条件であり、後に行う250℃2時間の熱処理は、表層
にα相を凝集するに十分な条件である。
度の評価は以下のようにして行っている。 プレス性評価:室温(23℃)において、図3(a),
(b)に示す形状にプレス加工し、コーナー部分での割
れが存在するか否かで評価。 クリープ強度評価:引張試験機を用いて室温(23℃)
にて初期応力6.5kg/mm2を印加し、2時間放置
後の応力を荷重により算出し評価。引張試験片は幅1
2.5mm,標点距離50mm,厚さ0.6mm。
ら、球状化熱処理を行っていない場合には、プレス性評
価においてすべての場合で割れが発生しているが、球状
化熱処理をしたものではすべて良好なプレス性が得られ
ることがわかる。
が大きく増大していることがわかる。
から、リチウムを含有した共晶系マグネシウム合金にお
いて、強化剤(ここでは、Al,Zn)を添加すること
でクリープ強度が増大していることがわかる。
較から、リチウムを含有した共晶系マグネシウム合金に
おいて、結晶粒微細化剤(ここでは、Al,Zn)を添
加することでクリープ強度が増大していることがわか
る。
を球状化させるため、冷間での良好なプレス加工性が得
られる。
化剤や、カルシウム,ジルコニウム,珪素などの微細化
剤を含有させれば、良好なプレス加工性を保ったまま、
クリープ強度を向上させることができる。
合金の組織を示す断面模式図である。
の組織を示す断面模式図である。
工品を示す図である。
を示す断面模式図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 リチウムを6〜10.5重量%含む、マ
グネシウムα相とリチウムβ相の共晶組織のマグネシウ
ム合金圧延材の製造方法において、 前記マグネシウム合金を、少なくとも圧下率10%以上
にて冷間圧延して、所望の厚みとする冷間圧延工程と、 該冷間圧延工程後に、150〜300℃で10分〜2時
間熱処理を施すことにより、マグネシウムα相を再結晶
化する工程と、を含むことを特徴とするマグネシウム合
金圧延材の製造方法。 - 【請求項2】 リチウムを6〜10.5重量%含む、マ
グネシウムα相とリチウムβ相の共晶組織のマグネシウ
ム合金のプレス加工方法において、 前記マグネシウム合金を、少なくとも圧下率10%以上
にて冷間圧延して、所望の厚みとする冷間圧延工程と、 該冷間圧延工程後で、かつ、最終形状までプレス加工す
る前に、150〜300℃で10分〜2時間熱処理を施
すことにより、マグネシウムα相を再結晶化する工程
と、を含むことを特徴とするマグネシウム合金のプレス
加工方法。 - 【請求項3】 リチウムを6〜10.5重量%含む、マ
グネシウムα相とリチウムβ相の共晶組織のマグネシウ
ム合金からなるプレス加工品において、 マグネシウムα相が略球状もしくは略粒状にとなって存
在することを特徴とするプレス加工品。 - 【請求項4】 請求項3に記載のプレス加工品におい
て、 亜鉛もしくはアルミニウムを0.5〜3重量%含有する
ことを特徴とするプレス加工品。 - 【請求項5】 請求項3または請求項4に記載のプレス
加工品において、 カルシウム、ジルコニウム、珪素の少なくとも1つを
0.5〜2重量%含有することを特徴とするプレス加工
品。
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