JPWO2009113601A1 - マグネシウム−リチウム合金、圧延材、成型品 - Google Patents

マグネシウム−リチウム合金、圧延材、成型品 Download PDF

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Abstract

本発明は、耐食性と冷間での加工性とを高レベルで両立させ、ある程度の引張強度を有する、非常に軽量なマグネシウム−リチウム合金、その圧延材および成型品を提供する。本発明の合金は、Liを10.5質量%以上、16.0質量%以下、Alを0.50質量%以上、1.50質量%以下含有し、残部にMgを含み、平均結晶粒径が5μm以上、40μm以下であり、引張強度が150MPa以上であるか、もしくはビッカース硬度(HV)が50以上である。

Description

本発明は、耐食性と冷間での加工性に優れたマグネシウム−リチウム合金、その圧延材および成型品に関する。
近年、構造用金属材料として、軽量なマグネシウム合金が注目されている。しかし、一般的なマグネシウム合金であるAZ31(Al3質量%、Zn1質量%、残部Mg)の圧延材は、冷間での加工性が低く、250℃程度でしかプレス加工できない。また、リチウムを含有するマグネシウム−リチウム合金は、マグネシウムの結晶構造がhcp構造(α相)であるが、リチウム含有量が6〜10.5質量%の場合、hcp構造とbcc構造(β相)の混相となり、さらにリチウム含有量が10.5質量%以上になるとβ相単相となる。広く知られている通り、α相のすべり系は限定されているが、β相は多くのすべり系を有するため、リチウム含有量を多くしてα相とβ相の混相、β相単相となるにつれ、冷間での加工性が向上する。しかしながら、リチウムは電気化学的に卑な元素であるため、リチウム含有量を多くするにつれ、耐食性が著しく低下する問題がある。従来、LA141(Li14質量%、Al1質量%、残部Mg)等のLi含有量が多い合金も開発されている。しかし、この合金は、耐食性の問題でその用途が限定されている。
特許文献1には、リチウムを10.5質量%以下含有し、鉄不純物濃度50ppm以下のマグネシウム−リチウム合金が優れた耐食性を有することが開示されている。
特許文献2には、6〜10.5質量%のリチウム、4〜9質量%の亜鉛を含有するマグネシウム−リチウム合金が室温での強度と耐食性に優れていることが開示されている。
特許文献3には、リチウムを6〜16質量%含有する冷間プレス可能なマグネシウム−リチウム合金が開示されている。
特許文献4には、リチウムを10.5〜40質量%含有し、平均結晶粒径が3〜30μmのマグネシウム−リチウム合金が、強度とプレス加工性に優れることが記載されている。
非特許文献1には、リチウム8質量%と13質量%のマグネシウム−リチウム合金に、Al、Zn、Cu、Agを添加した場合の加工や熱処理による機械特性、耐食性などへの影響について記載されている。
しかしながら、これら従来技術において、耐食性と冷間での加工性とを両立させた、Liを10.5質量%以上含有し、β相単相のマグネシウム−リチウム合金は得られていない。また、このようなβ相単相のマグネシウム−リチウム合金において、機械的強度、例えば、引張強度が150MPa以上有するものについても知られていない。例えば、特許文献4には、強度及びプレス加工性に優れるマグネシウム−リチウム合金が記載されているが、その実施例において、Liを10.5質量%以上含むものの引張強度は、高くても131MPaである。
更に、特許文献4には、強度とプレス加工性に優れたマグネシウム−リチウム合金を製造する方法として、リチウム−マグネシウム合金原料の鋳塊を、熱間圧延し、続いて冷間圧延し、次いで、140〜150℃で熱処理してリチウム−マグネシウム合金を再結晶化する方法が記載されている。
加えて、この方法において、上記冷間圧延は、圧下率を30〜60%と高くした方が、圧下率20〜25%と低いよりも圧延材として良好なものが得られることが記載されている。一方、同じ方法において、リチウム−マグネシウム合金を再結晶化する前記熱処理を、150℃を超える温度で実施すると、得られる合金の平均結晶粒径が大きくなりすぎて所望の効果が得られないことが記載されている。要するに、特許文献4には、良好な圧延材を得るために、冷間圧延の圧下率は高くした方が良いが、再結晶化の熱処理は、高くても150℃としなければ、強度とプレス加工性に優れたマグネシウム−リチウム合金が得られないことが記載されている。
特開2000−282165号公報 特開2001−40445号公報 特開平9−41066号公報 特開平11−279675号公報 軽金属(1990)、vol.40、No.9、P659−665
本発明の課題は、耐食性と冷間での加工性とを高レベルで両立させ、ある程度の引張強度を有する、非常に軽量なマグネシウム−リチウム合金、その圧延材および成型品を提供することにある。
本発明によれば、Liを10.5質量%以上、16.0質量%以下、Alを0.50質量%以上、1.50質量%以下含有し、残部にMgを含む、平均結晶粒径が5μm以上、40μm以下、引張強度が150MPa以上であるマグネシウム−リチウム合金(以下、Mg−Li合金と言うことがある)が提供される。
また本発明によれば、Liを10.5質量%以上、16.0質量%以下、Alを0.50質量%以上、1.50質量%以下含有し、残部にMgを含む、平均結晶粒径が5μm以上、40μm以下、ビッカース硬度(HV)が50以上であるMg−Li合金が提供される。
更に本発明によれば、上述のマグネシウム−リチウム合金からなる圧延材、又は成型品が提供される。
更にまた本発明によれば、Liを10.5質量%以上、16.0質量%以下、Alを0.50質量%以上、1.50質量%以下含有し、残部にMgを含む合金原料溶融物を合金鋳塊に冷却固化する工程(a)と、得られた合金鋳塊を圧下率30%以上となるように冷間で塑性加工する工程(b)と、塑性加工した合金を170〜250℃で焼きなましする工程(c)とを含む上述のMg−Li合金の製造方法が提供される。
本発明のMg−Li合金は、Liを10.5質量%以上含むにもかかわらず、耐食性および冷間でのプレス等の加工性を高レベルで両立させており、しかもMgよりも比重の小さいLiを多く含むので、実用性に優れ、かつ軽量で、様々な応用分野での使用が期待できる。
実施例1で調製した試験片の5%塩水噴霧試験前の状態を示す写真の写しである。 実施例1で調製した試験片の5%塩水噴霧試験後の状態を示す写真の写しである。 比較例1で調製した試験片の5%塩水噴霧試験前の状態を示す写真の写しである。 比較例1で調製した試験片の5%塩水噴霧試験後の状態を示す写真の写しである。
発明を実施するための形態
以下本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のMg−Li合金は、Liを10.5質量%以上、16.0質量%以下、好ましくは13.0質量%以上、15.0質量%以下、Alを0.50質量%以上、1.50質量%以下含有し、残部にMgを含む。
Liが16質量%より大きいと、得られる合金の耐食性および強度が低下し実用に耐えない。Alを上記範囲内で含有させることにより、得られる合金の引張強度、ビッカース硬度等の機械強度が向上する。Alが0.50質量%より小さいと、得られる合金の機械強度を向上させる効果が十分でない。1.50質量%より大きいと、得られる合金の冷間での加工性の低下が著しい。
本発明のMg−Li合金は、Liを上記含有割合で含むので、結晶構造はβ相単相であり、軽量かつ冷間での加工性に優れる。
本発明のMg−Li合金は、Caを0.10質量%以上、0.50質量%以下含有することで耐食性がさらに向上する。Caを含有するとMgとCaの化合物が形成され、それが再結晶化時に核生成の起点となり、微細な結晶粒を有する再結晶集合組織を形成する。Mg−Li合金の腐食は、結晶粒内で選択的に進行し、粒界は腐食の進行を妨げることができ、このような粒界の形成により耐食性を向上させることができる。
本発明のMg−Li合金は、上述したAl、Ca以外にもZn、Mn、Si、Zr、Ti、B、Y、原子番号57〜71の希土類金属元素等から選択される一種以上を、課題である耐食性、冷間での加工性に大きな影響を与えない範囲で含有することができる。例えば、Znを含有すると冷間での加工性が更に向上する。Mnを含有すると更に耐食性が向上する。Siを含有すると製造時の合金溶湯の粘性を下げることができる。Zrを含有すると強度が上がる。Tiを含有すると難燃性が向上する。Yを含有すると高温での強度が上がるが、1質量%以上含有すると、強度、冷間での加工性の低下が生じることから注意が必要である。希土類金属元素を含有すると伸び率が向上し、冷間での加工性が更に向上する。
これら任意成分の含有量は0質量%以上、5.00質量%以下が好ましい。含有量が多いと比重が大きくなり、β相単相のMg−Li合金の特色を損なうため、含有量はなるべく少なくすることが好ましい。
本発明のMg−Li合金は、不純物であるFe、Ni、Cuを含んでいても良い。その含有量は、それぞれFeが0.005質量%以下、Niが0.005質量%以下、Cuが0.005質量%以下である。このような不純物量とすることで、更に耐食性が向上する。
本発明のMg−Li合金の平均結晶粒径は、5μm以上、40μm以下であり、特に耐食性に優れる点より平均結晶粒径は5μm以上、20μm以下が好ましい。平均結晶粒径が5μmより小さいと、後述する引張強度が150MPa以上、またはビッカース硬度が50以上の本発明のMg−Li合金を得ることが工業上難しく、40μmを超えると耐食性が低下する。
本発明において平均結晶粒径の測定は、合金断面組織の光学顕微鏡での観察像を用いて、線分法により行うことができる。光学顕微鏡での観察は、5%硝酸エタノールでエッチングした試料を用い、200倍で観察する。得られる観察像において、像を6等分する5本の600μmに相当する線分を引き、それを横切る粒界の数をそれぞれ測定する。線分の長さ600μmを測定した粒界の数で割った値をそれぞれの線分について算出し、その平均値を平均結晶粒径とする。
本発明のMg−Li合金は、引張強度が150MPa以上、またはビッカース硬度が50以上である。これらの上限は特に制限されないが、冷間での加工性を低下させないために、引張強度は通常220MPa以下、好ましくは180MPa以下であり、ビッカース硬度は通常80以下、好ましくは70以下である。
本発明において引張強度は、本発明のMg−Li合金からなる板材の任意に定めた方向から0°、45°、90°の3方向に1mm厚のJIS5号の試験片をそれぞれ3点切り出し、得られる試験片の引張強度を25℃において、引張速度10mm/分で測定することができる。そして、0°、45°、90°方向のそれぞれの平均値を算出し、それらの最大値を引張強度とする。
本発明において、ビッカース硬度は、JIS Z 2244に準拠し、25℃において100g重の荷重で任意に10箇所の測定を行い、その平均値とする。
本発明者らは、従来、耐食性が低いと報告されてきたLA141等の上述した量のLi、Alを含有するβ相単相のMg−Li合金の平均結晶粒径と、引張強度またはビッカース硬度が上述の関係にある場合、得られる合金の冷間での良好な加工性を維持したまま、耐食性が著しく改善されることを見出した。好ましい態様において本発明のMg−Li合金の耐食性は、現在、板材として工業化されている、腐食原因の1つであるリチウムを含有しないAZ31の耐食性を上回る。従って、Li、Alを含有するβ相単相のMg−Li合金が、長年にわたり様々報告されているにもかかわらず、耐食性が低いためにほとんど実用に供されていない現状で、本発明のMg−Li合金は、工業的に実用性を有するものである。例えば、実用化されている上記AZ31は、250℃程度の温間プレス加工を必要とするが、本発明のMg−Li合金は、冷間における加工性に優れ、かつAZ31と同等もしくはそれ以上の耐食性を有するため、広範な分野での利用が期待できる。
本発明のMg−Li合金のように、Alを含有するβ相単相のMg−Li合金は、その組成と平均結晶粒径を定めれば一義的にその機械強度が決定するものではない。例えば、本発明のMg−Li合金の圧延材では、鋳造スラブを特定の圧下率以上で行って塑性ひずみを与えた後、特定温度範囲で焼きなましし、再結晶化させた再結晶集合組織を与えることで、平均結晶粒径が40μm以下でありながら、従来にない高い引張強度及び/又はビッカース硬度が付与される。
一方、方法的には同様に熱間圧延、冷間圧延、熱処理を行って製造された、本発明のMg−Li合金と組成及び平均結晶粒径が近似した上述の特許文献4に記載された実施例6の合金は、引張強度が127MPaと低く、後述する比較例1で説明するように耐食性に非常に劣り、実用性に乏しいものである。
特許文献4に記載されるとおり、Mg−Li合金において、平均結晶粒径が大きくなると良好な圧延材が得られない。従って、粒成長が生じる再結晶化工程の熱処理(焼きなまし)を、この文献では150℃を超える温度で実施することができないと記載されている。しかし、このような従来の認識が、β相単相のMg−Li合金の実用化を長年にわたり阻害してきたものと考えられる。
本発明者らは、冷間圧延等の冷間における塑性加工において、ある程度以上の圧下率を与えた、Alを含有するβ相単相のMg−Li合金が、焼きなまし工程において従来、物性が低下すると認識されていた高い温度のある特定範囲で再結晶化させることにより、この組成では従来達成されていない平均粒径が5μm以上、40μm以下、かつ150MPa以上の引張強度又は50以上のビッカース硬度を示す合金が得られること、そして、このような合金が、工業的実用性に富んだ、耐食性と冷間での加工性とを高レベルで達成できるものであることをつきとめた。
本発明のMg−Li合金を製造するための方法は、上述の組成及び物性を有する本発明のMg−Li合金が得られるのであれば特に限定されない。好ましくは以下に示す本発明の製造方法が挙げられる。
本発明の製造方法は、Liを10.5質量%以上、16.0質量%以下、Alを0.50質量%以上、1.50質量%以下含有し、残部にMgを含む合金原料溶融物を合金鋳塊に冷却固化する工程(a)を含む。
工程(a)は、例えば、まず、Mg、Li、Al、所望によりCa等の上記任意成分元素を含有する金属、母合金を既述の組成となるよう配合した原料を準備する。次いで、原料を加熱溶解して合金原料溶融物を得、該溶融物を鋳型に鋳込んで冷却固化させることにより行うことができる。また、合金原料溶融物を、ストリップキャスティング法等の連続鋳造法により冷却固化させる方法も好ましく行われる。
工程(a)により得られる合金鋳塊(スラブ)の厚さは、通常10〜300mm程度とすることができる。
本発明の製造方法は、工程(a)により得られた合金鋳塊を、圧下率30%以上となるように冷間で塑性加工する工程(b)を含む。
工程(b)において塑性加工は、例えば、圧延、鍛造、押出し、引抜き等の公知の方法で行うことができ、この塑性加工により、合金にひずみを付与する。その際の温度は、通常、室温〜150℃程度である。室温かなるべく低温で行うことが、大きなひずみを付与する上で好ましい。
塑性加工における圧下率は、好ましくは40%以上、さらに好ましくは45%以上であり、最も好ましくは90%以上であり、その上限は特に限定されない。圧下率が30%未満では、次の工程(c)において、引張強度を150MPa以上、またはビッカース硬度を50以上となるように焼きなましをおこなうと、従来認識されていたように再結晶粒子の平均結晶粒径が大きくなり、所望の効果が得られない。
本発明の製造方法は、冷間で塑性加工した合金を170〜250℃で焼きなましする工程(c)を含む。
工程(c)は、工程(b)においてある程度以上のひずみが付与された合金を再結晶化する工程である。焼きなましは、好ましくは190〜240℃で、10分〜12時間、特に、30分〜4時間の条件で行うことができる。
焼きなまし温度が170〜250℃の範囲外の場合には、耐食性及び冷間での加工性が低下し、目的とする実用性の高いMg−Li合金が得られない。
本発明の製造方法は、工程(a)により得られた合金鋳塊に対して、工程(b)の前に、均質加熱処理する工程(a1)を含むことができる。工程(a1)の熱処理は通常、200〜300℃にて、1〜24時間行うことができる。
本発明の製造方法は、工程(a)または工程(a1)で得られた合金鋳塊を、工程(b)の前に、熱間圧延する工程(a2)を含むことができる。
工程(a2)の熱間圧延は、通常、200〜400℃により行うことができる。
本発明の圧延材は、本発明のMg−Li合金からなることから耐食性および冷間での加工性に優れる。通常、圧延材の厚みは0.01〜5mm程度である。
本発明の圧延材は、冷間でのプレス加工により、例えば、携帯型のオーディオ機器、デジタルカメラ、携帯電話、ノートパソコン等の筺体や、自動車部品等の成型品に利用できる。
本発明の圧延材は、冷間での加工性に優れているため、割れや外観不良もなく、高い寸法精度が得られ、上記成型品等の生産効率を向上させることができる。
本発明の成型品は、本発明のMg−Li合金からなることから耐食性に優れる。
本発明の成型品は、本発明のMg−Li合金を、例えば、切削、研削、研磨、プレス等により成型することにより得ることができる。設備、製造のコストを考慮すると、本発明の圧延材を用い、冷間でのプレス加工により製造することが好ましい。
本発明の成型品は、適宜、表面処理を行うことができ、該表面処理としては、マグネシウム系合金への公知の方法が適用できる。例えば、始めに炭化水素、アルコール等の有機溶媒等を用いる脱脂工程、表面の酸化皮膜の除去または粗面化等を目的とし、ブラスト処理工程や、酸、アルカリ等を用いて行うエッチング処理工程を、それぞれ必要に応じて行うことができる。次いで、化成処理工程あるいは陽極酸化処理工程を行うことができる。
化成処理工程としては、例えば、クロメート処理、ノンクロメート処理等のJISに規格化された公知の方法により行うことができる。
陽極酸化処理工程は、例えば、電解液、皮膜形成安定化剤、電流密度、電圧、温度、時間等の電解条件を適宜決定して行うことができる。
化成処理工程又は陽極酸化工程に次いで、適宜、塗装処理工程を行うことができる。
塗装処理工程は、電着塗装、スプレー塗装、浸漬塗装等の公知の方法により行うことができる。例えば、公知の有機系塗料、無機系塗料が用いられる。
また、塗装処理工程の代わりに、陽極酸化工程に次いで、チタン合金等で行われているFPF(Finger Print Free)処理(ガラス質コーティング)を施すと、密着性が高く、高密度の優れた皮膜が形成できる。
更に、表面処理の前後に適宜、熱処理の工程を行ってもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳述するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
Li14.0質量%、Al1.00質量%、Ca0.30質量%、及び残部Mgの組成となるように配合した原材料を、加熱、溶解して合金溶融物とした。続いて、この溶融物を55mm×300mm×500mmの金型中に鋳込んで合金鋳塊を作製した。得られた合金の組成をICP分析にて測定した。結果を表1に示す。
この合金鋳塊を、300℃で24時間熱処理を行い、表面切削し、厚さ50mmの圧延用スラブを作製した。このスラブを350℃にて圧延し、板厚2mmとした。次いで室温にて、圧下率50%で板厚1mmまで圧延し、圧延物を得た。得られた圧延物を230℃で1時間焼きなましして圧延材を調製した。
得られた圧延材の平均結晶粒径、引張強度、ビッカース硬度を前述の方法にしたがって測定した。また、5%塩水噴霧試験と5%塩水浸漬試験の2種類の方法により耐食性を評価した。更に、室温での限界絞り比(LDR)の測定によって冷間での加工性の評価を行った。結果を表1に示す。
5%塩水噴霧試験は、JIS Z 2371 中性塩水噴霧試験法(塩化ナトリウム濃度5%、pH6.5〜7.2、温度35℃)に準じて8時間噴霧し、16時間放置する試験を2サイクル行うことにより実施した。評価は、試験前後の試験片を撮影し、目視で行った。図1に試験前の試験片の写真の写しを、図2に試験後の試験片の写真の写しを示す。
5%塩水浸漬試験は、表面を研磨後、アセトン洗浄した試験片を、液温度25±5℃の塩化ナトリウム濃度5%の塩水に8時間浸漬し、大気中に16時間放置する試験を3サイクル行うことにより実施した。評価は、試験後の表面積当たりの質量変化を腐食度とし、比較材として同時に試験を行ったAZ31材の腐食度を100として換算して行った。
LDRの測定条件は、パンチ径:40mm、ダイス径:42.5mm、ダイス肩半径:8mm、しわ押さえ力:12kN、パンチ肩半径4mm、潤滑剤:二硫化モリブデン、パンチスピード:3mm/秒で行った。
比較例1
原材料の配合をLi14.0質量%、Al1.00質量%、残部Mgとし、230℃で1時間行った焼きなましを、150℃で1時間行った以外は、実施例1と同様に圧延材を作製し、評価を行った。5%塩水噴霧試験前の試験片を撮影した写真の写しを図3に、試験後の写真の写しを図4に示す。それ以外の評価結果を表2に示す。
実施例2〜16、比較例2〜11
表1及び表2に示す合金組成となるように原材料の配合を代え、また、表1及び表2に示す製造条件を代えた以外は、実施例1と同様に圧延材を製造した。得られた圧延材について、5%塩水噴霧試験以外の評価を実施例1と同様に行った。実施例の結果を表1に、比較例の結果を表2示す。
表1の結果より、冷間圧下率、焼きなまし温度、及び合金組成の全てが、本発明の製造方法で規定する範囲内である場合には、平均結晶粒径、引張強度、ビッカース硬度が本発明のMg−Li合金に規定する範囲内となり、耐食性及び冷間での加工性(LDRの結果)に優れることがわかる。
表2の結果より、比較例1及び2では、焼きなまし温度のみが本発明の製造方法で規定する範囲外の場合、冷間での加工性には優れるものの耐食性に劣ることがわかる。また、比較例2では、本発明のMg−Li合金に規定する合金組成、引張強度及びビッカース硬度を満足するものの平均結晶粒径が大きすぎるために所望の性能が得られないことがわかる。
比較例3では、合金組成としてAlを含有しないのみで、耐食性に劣ることがわかる。
比較例4及び5では、Al量が多いか、Li量が少ないという合金組成のみが本発明の製造方法で規定する範囲外の場合、本発明のMg−Li合金に規定する引張強度、ビッカース硬度及び平均結晶粒径の要件を満足していても、冷間での加工性が著しく劣ることがわかる。
比較例6では、Li量が多いという合金組成のみが本発明の製造方法で規定する範囲外の場合、耐食性に劣ることがわかる。
比較例7では、焼きなまし温度のみが本発明の製造方法で規定する範囲よりも低い130℃である場合、再結晶化せず、本発明のMg−Li合金に規定する引張強度及びビッカース硬度の要件を満足していても、冷間での加工性及び耐食性のいずれにも劣ることがわかる。
比較例8では、冷間圧下率及び焼きなまし温度がそれぞれ本発明の製造方法で規定する範囲外である場合、再結晶化せず、本発明のMg−Li合金に規定する引張強度及びビッカース硬度の要件を満足していても、冷間での加工性及び耐食性のいずれにも劣ることがわかる。
比較例9では、冷間圧下率が本発明の製造方法で規定する範囲外である場合、本発明のMg−Li合金に規定する引張強度及びビッカース硬度の要件を満足していても、平均結晶粒径が大きくなりすぎ、耐食性に劣ることがわかる。
比較例10では、冷間圧下率を高くしても、焼きなまし温度が本発明の製造方法で規定する範囲よりも低い160℃である場合、再結晶化はするものの、本発明のMg−Li合金に規定する引張強度及びビッカース硬度の要件を充足せず、耐食性に劣ることがわかる。
比較例11では、冷間圧下率を高くしても、焼きなまし温度が本発明の製造方法で規定する範囲よりも高い260℃である場合、本発明のMg−Li合金に規定する引張強度及びビッカース硬度の要件を満足していても、平均結晶粒径が大きくなりすぎて、耐食性に劣ることがわかる。

Claims (11)

  1. Liを10.5質量%以上、16.0質量%以下、Alを0.50質量%以上、1.50質量%以下含有し、残部にMgを含む、平均結晶粒径が5μm以上、40μm以下、引張強度が150MPa以上であるマグネシウム−リチウム合金。
  2. 平均結晶粒径が5μm以上、20μm以下、引張強度が150MPa以上、180MPa以下である請求項1記載のマグネシウム−リチウム合金。
  3. Liを10.5質量%以上、16.0質量%以下、Alを0.50質量%以上、1.50質量%以下含有し、残部にMgを含む、平均結晶粒径が5μm以上、40μm以下、ビッカース硬度(HV)が50以上であるマグネシウム−リチウム合金。
  4. 平均結晶粒径が5μm以上、20μm以下、ビッカース硬度(HV)が50以上、70以下である請求項3記載のマグネシウム−リチウム合金。
  5. Liを13.0質量%以上、15.0質量%以下含有する請求項1〜4のいずれかに記載のマグネシウム−リチウム合金。
  6. Caを0.10質量%以上、0.50質量%以下含有する請求項1〜5のいずれかに記載のマグネシウム−リチウム合金。
  7. Liを10.5質量%以上、16.0質量%以下、Alを0.50質量%以上、1.50質量%以下含有し、残部にMgを含む合金原料溶融物を合金鋳塊に冷却固化する工程(a)と、得られた合金鋳塊を圧下率30%以上となるように冷間で塑性加工する工程(b)と、塑性加工した合金を170〜250℃で焼きなましする工程(c)とを含む請求項1又は3記載のマグネシウム−リチウム合金の製造方法。
  8. 工程(a)で得られた合金鋳塊を、工程(b)の前に、均質化処理する工程(a1)を含む請求項7記載のマグネシウム−リチウム合金の製造方法。
  9. 工程(a)または工程(a1)で得られた合金鋳塊を、工程(b)の前に、熱間圧延する工程(a2)を含む請求項7又は8記載のマグネシウム−リチウム合金の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載のマグネシウム−リチウム合金からなる圧延材。
  11. 請求項1〜6のいずれかに記載のマグネシウム−リチウム合金からなる成型品。
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