JPH11279675A - マグネシウム合金及びその製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金及びその製造方法

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JPH11279675A
JPH11279675A JP10083086A JP8308698A JPH11279675A JP H11279675 A JPH11279675 A JP H11279675A JP 10083086 A JP10083086 A JP 10083086A JP 8308698 A JP8308698 A JP 8308698A JP H11279675 A JPH11279675 A JP H11279675A
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lithium
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Kimihiro Taniguchi
仁啓 谷口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リチウムを添加したマグネシウム合金の強
度、冷間プレス加工特性を改善することが可能なマグネ
シウム合金及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 リチウムを10.5重量%以上40重量
%以下含有し、残部がマグネシウムと不可避の不純物か
らなるマグネシウム合金組成を有する鋳塊を、熱間圧延
後、圧下率30%以上となるように冷間圧延する。その
後、毎秒1〜2℃の昇温速度で、140〜150℃まで
昇温し、60分以上保持した後、冷却させ、平均結晶粒
径が3μm以上〜40μm以下のマグネシウム合金及び
その圧延材を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムを添加し
たマグネシウム合金に関し、特にプレス加工に適したマ
グネシウム合金及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マグネシウム合金は、実用金属合金のな
かで最も軽く、プラスチックに代わる材料として、電子
機器筐体などに数多く採用されている。一般的に使用さ
れているマグネシウム合金は、アルミニウムと亜鉛を含
有するものであり、必要な形状に加工するための手法と
して、ダイカスト法、チクソモールディング法、熱間プ
レス法などが採用されている。しかしながら、ダイカス
ト法、チクソモールディング法は、成形後にバリ取りや
表面仕上げなどの2次加工が必要であるため、製造効率
が悪く、経済的にも有利な加工方法ではない。また、熱
間プレス法は、成形に用いる金型温度を調整する必要が
あるため、製造設備、金型に温度調整機能を付加する必
要がある。
【0003】このような課題を解決するものとして、リ
チウムを添加することによって、冷間プレス加工を可能
にしたマグネシウム合金が提案されている(特開平09
−41066号公報)。
【0004】図1に、マグネシウム−リチウム系2元合
金の状態図を示す。図1の状態図に示すように、リチウ
ム添加量0〜6重量%では合金の結晶は稠密六方構造で
ある。稠密六方晶のすべり系は、225℃以上の高温で
は(1011),〔11−20〕のすべり系が活動する
ものの、室温では(0001),〔11−20〕だけで
あるため加工性に乏しく、一般に冷間加工は困難であ
る。
【0005】一方、リチウム添加量が6〜10.5重量
%の範囲では稠密六方晶のα相と体心立方晶のβ相の共
晶組成となり、リチウム添加量が10.5%以上の範囲
では合金の結晶はすべてβ相の体心立方晶となる。体心
立方晶は多くのすべり系が存在するため、変形が容易で
ある。したがって、リチウム添加量が6〜10.5重量
%の範囲さらにはリチウム添加量が10.5%以上の範
囲では、加工特性が向上する。
【0006】しかしながら、マグネシウムにリチウムを
添加すると、加工特性は向上するものの強度が低下する
ため、あまり多くのリチウムを添加すると使用すること
ができなくなる。そのため、リチウムの他にイットリウ
ム等の第3の元素をマグネシウムに添加し、さらに強度
向上と加工性の向上を図る方法も提案されている(特開
平09−41066号公報)。このように、イットリウ
ムを添加すれば、強度と加工性を向上させることができ
るが、イットリウムは高価な材料であるため、例えば民
生用の電子機器の筐体などに使用するには、コスト面か
ら問題である。
【0007】ところで、リチウム添加の効果は、加工特
性向上の他、比重の低減をももたらす。これは、リチウ
ムの比重が0.54であるため、添加量を増やすほど合
金の比重が小さくなることによる。このような特性を考
慮して、比重1.2以下のマグネシウム−リチウム合金
も提案されている(特開平07−268535号公
報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
リチウムを添加したマグネシウム合金は低比重でかつ冷
間加工特性に優れるため、軽量化を要求される部品(例
えば、電子機器の筐体)などへの適用が期待されるが、
リチウム添加量の増加に伴う強度低下を改善する必要が
ある。
【0009】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであって、冷間プレス加工が容易で且つ強度の高
いマグネシウム合金を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明者等が鋭意実験・研究を行った結果、合金
の組成を適切に設定すること、圧延板の製造条件を適切
に設定し、結晶粒径が所定の範囲となるように調整する
ことによって、マグネシウム−リチウム合金圧延板の強
度と加工特性が向上することを見出した。以下、本発明
のマグネシウム合金及びその製造方法について示す。
【0011】請求項1に記載のマグネシウム合金は、リ
チウムを10.5重量%以上40重量%以下を含有し、
平均結晶粒径が3μm以上30μm以下であることを特
徴とするマグネシウム合金である。
【0012】請求項2に記載のマグネシウム合金は、リ
チウムを6重量%以上10.5重量以下含有し、平均結
晶粒径が3μm以上40μm以下であることを特徴とす
るマグネシウム合金である。
【0013】請求項3に記載のマグネシウム合金は、請
求項1または請求項2に記載のマグネシウム合金におい
て、アルミニウムまたは亜鉛を0.5重量%以上3重量
%以下含有することを特徴とするマグネシウム合金であ
る。
【0014】請求項4に記載のマグネシウム合金は、請
求項1乃至請求項3のいずれかに記載のマグネシウム合
金において、結晶粒微細化剤を0.5重量%以上2重量
%以下含有することを特徴とするマグネシウム合金であ
る。
【0015】請求項5に記載のマグネシウム合金の製造
方法は、少なくともリチウムが添加されたマグネシウム
合金からなる鋳塊を、熱間圧延した後、圧下率30%以
上となるように冷間圧延し、140℃以上150℃以下
の温度で熱処理することを特徴とするマグネシウム合金
の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】上記したように、リチウム−マグ
ネシウム合金の圧延材には冷間圧延の容易性と強度が要
求される。本願発明者は、その両者を実現する圧延材に
ついて実験により検討を行った。以下、本発明の圧延材
及びその製造方法について実験結果(実施例1〜11,
比較例1〜10)に基づいて説明する。
【0017】まず、本発明で検討を行ったマグネシウム
合金の圧延材(実施例1〜11)の製造方法について、
その製造工程順に説明する。
【0018】所定組成のリチウム−マグネシウム合金
溶湯をArガス雰囲気の高周波真空溶解炉中で溶製後、
鋳塊とする。鋳塊の大きさは断面積100mm2であ
り、高さは20mmである。
【0019】続いて、上記鋳塊を実施例1〜7につい
ては厚さ約1mmまで、実施例8,9については厚さ約
1.4mmまで、実施例10,11については厚さ約
0.9mmまで熱間圧延する。
【0020】その後、冷間圧延を行うことによって、
所定の厚さの板材とする。ここで、実施例1〜7は圧下
率を40%、実施例8,9は圧下率を60%、実施例1
0,11は圧下率を30%とする。これにより、リチウ
ム−マグネシウム合金は概ね、プレス成形に一般的に広
く用いられている板厚0.6mmとなる。
【0021】上記冷間圧延後に、上記板材を毎秒2℃
の昇温速度で150℃まで加熱し、80分保持した後、
25℃のオイル中で冷却する。
【0022】次に、比較例1〜10の製造工程について
説明する。比較例1〜6,9,10は、上記の工程に
より得た鋳塊を上記の工程において所定厚さになるま
で熱間圧延した後、の工程において所定の圧下率で冷
間圧延して板厚0.6mmの圧延材とし、の工程にお
ける熱処理を実施例と同様に施すことで製造する。
【0023】比較例7,8は、上記の工程により得た
鋳塊を上記の工程において厚さ1mmになるまで熱間
圧延し、の工程において圧下率を40%として板厚
0.6mmになるまで冷間圧延することにより製造す
る。なお、比較例7,8では熱処理を施していない。
【0024】以下、上記した方法で作成した実施例1〜
11,比較例1〜10についての冷間プレス特性を含め
て説明する。なお、以下では、引っ張り試験により求め
た降伏強さ,引張り強さ示すが、これは図2(a)で示
す形状の試験片を用いた引張試験により求めた。また、
平均結晶粒径は、SEM(Scanning Elec
toron Microscope)観察を行い、試験
片の表面を1500倍の倍率で撮影した3枚の写真から
求めた。さらに、プレス加工特性については、図2
(b)に示す箱型形状のプレス成形品を作製して加工良
否の判定を行った。なお、ここで行った箱形形状の直角
曲げのプレス加工は、ひずみ速度に換算して約10-2
10/secの範囲に当たり、非常に高速度の冷間プレ
ス加工で塑性変形させることを対象としている。そのた
め、JIS2248に記載されているような曲げ試験と
は内容が異なっている。これは、本試験の目的が、曲げ
加工性を向上させるものではなく、特に絞り加工特性を
判定するためである。
【0025】(実施の形態1)本実施の形態では、実施
例1〜3,8,10のマグネシウム合金について説明す
る。実施例1〜3,8,10のマグネシウム合金は、リ
チウムを8重量%含有し(実施例2,3はさらに亜鉛,
アルミニウムを1%添加含有し)、残部がマグネシウム
と不可避の不純物からなるリチウム−マグネシウム合金
圧延材である。これらの結晶構造は、リチウム組成が8
重量%であるため、図1の状態図から、α相とβ相の両
方からなる共晶組成となっている。
【0026】また、実施例1〜3は圧下率40%で、実
施例8は60%で、実施例10は30%で作製されてい
る。比較例1〜3はそれぞれ実施例1〜3とは製造時の
圧下率が異なっているものであり、圧下率20%程度で
作製されている。さらに、比較例9は圧下率25%で作
製されており、実施例1とは圧下率が異なっている。
【0027】表1は実施例1〜3,8,10と比較例1
〜3,9における実験結果を示す図である。
【0028】
【表1】
【0029】表1に基づいて比較例1〜3,9と実施例
1〜3,8,10とを比較すると、比較例1〜3,9で
は平均粒径が58〜101(μm)であるのに対して、
実施例1〜3,8,10では平均粒径が30〜39(μ
m)となっている。
【0030】また、プレス試験においては、比較例1〜
3,9では箱型形状の角部に割れが発生しているのに対
して、実施例1〜3,8,10では割れの発生がなく、
良好なプレス加工特性が得られている。
【0031】さらに、降伏強さ及び引張強さ試験におい
ても、実施例1〜3,8,10の圧延材は比較例1〜3
の圧延材に比して良好な特性が得られている。
【0032】このように、リチウムを8重量%含有する
リチウム−マグネシウム合金においては、圧化率が20
〜25%として製造した場合(平均粒径が58μm以上
の場合)よりも、圧化率を30以上として製造した場合
(平均粒径が40μm以下の場合)の方が圧延材として
良好な結果が得られる。
【0033】上記結果はリチウムを8重量%含有する場
合の結果であるが、リチウム−マグネシウム合金がα相
とβ相の両方からなる共晶組成の場合(リチウムの組成
が6〜10.5重量%)には、すべてにおいて当てはま
る。これは、結晶構造が同様であれば特性も同様な結果
を示すからである。
【0034】したがって、共晶組成の(リチウムを6重
量%〜10.5重量%含有する)リチウム−マグネシウ
ム合金において良好なプレス加工特性及び強度を得るた
めには、平均の結晶粒径を40μm以下とすれば良い。
なお、結晶粒径が3μmよりも小さくなると量産性に問
題があるため、粒径としては3μm以上であることが望
ましい。
【0035】また、上記結果より、製造に当たっては圧
下率は30%以上とすることが望ましい。圧下率は大き
くすれば、プレス加工性を向上させることができるが、
ある一定の圧下率を超えるとプレス加工性の向上は飽和
傾向を示す。
【0036】また、上記実施例2,3において添加物
(亜鉛(Zn)1重量%,アルミニウム(Al)1重量
%)を添加している例を示したように、このようにすれ
ば圧延材の強度を増大させることができる。添加物とし
ては亜鉛,アルミニウムに限らず種々のものが使用でき
る。添加物は0.5重量%程度添加するだけでリチウム
−マグネシウム合金の強度向上に寄与するが、3重量%
を超えて添加すると脆化し加工性が悪くなる。したがっ
て、添加物の添加量は0.5〜3重量%とすることが好
ましい。
【0037】(実施の形態2)本実施の形態では、実施
例4〜6,9,11について説明する。実施例4〜6,
9,11は実施例1〜3,8,10とはリチウム組成が
異なっているものである。実施例4〜6,9,11は、
リチウムを14重量%含有し(実施例5,6はさらに亜
鉛,アルミニウムを1%添加含有し)、残部がマグネシ
ウムと不可避の不純物からなるリチウム−マグネシウム
合金圧延材である。これらの結晶構造は、リチウム組成
が14重量%であるため、β相となる組成の合金圧延材
である(図1の状態図参照)。
【0038】また、実施例4〜6は圧下率40%で、実
施例9は圧下率60%で、実施例11は圧化率30%で
作製されている。比較例4〜6は、実施例4〜6とは製
造時の圧下率が異なるものであり圧下率20%程度で作
製されている。さらに、比較例10は、圧下率25%で
作製されており、実施例4とは圧下率が異なっている。
【0039】表2は実施例4〜6,9,11と比較例4
〜6,10における実験結果を示す図である。
【0040】
【表2】
【0041】表2に基づいて比較例4〜6,9,11と
実施例4〜6,10とを比較すると、比較例4〜6,
9,11では平均粒径が52〜81(μm)であるのに
対して、実施例4〜6,10では平均粒径が23〜30
(μm)となっている。
【0042】また、プレス試験においては、比較例4〜
6,10では箱型形状の角部に割れが発生しているのに
対して、実施例4〜6,9,11では割れの発生がな
く、良好なプレス加工特性が得られている。
【0043】さらに、降伏強さ及び引張強さ試験におい
ても、実施例4〜6,9,11の圧延材は比較例4〜
6,10の圧延材に比して良好な特性が得られている。
【0044】このように、リチウムを14重量%含有す
るリチウム−マグネシウム合金においては、圧化率が2
0〜25%として製造した場合(平均粒径が52μm以
上の場合)よりも、圧化率を30〜60%として製造し
た場合(平均粒径が30μm以下の場合)の方が圧延材
として良好な結果が得られる。
【0045】なお、上記結果は、リチウムを14重量%
含有する場合のみならず、リチウム−マグネシウム合金
がβ相である場合(リチウムの組成が14重量%)に
は、すべてにおいて当てはまる。これは、結晶構造が同
様であれば特性も同様な結果を示すからである。但し、
リチウム組成が40重量%を超えると、圧延材の強度が
弱くなるため、β相のリチウム−マグネシウム合金のリ
チウム組成としては、リチウム組成が40重量%以下で
あることが望ましい。
【0046】よって、β相の(リチウムを14〜40重
量%以上含有する)リチウム−マグネシウム合金におい
て良好なプレス加工特性及び強度を得るためには、平均
の結晶粒径を30μm以下とすれば良い。なお、結晶粒
径が3μmよりも小さくなると量産性に問題があるた
め、粒径としては3μm以上であることが望ましい。
【0047】また、上記結果より、製造に当たっては圧
下率は30%以上とすることが望ましい。圧下率は大き
くすれば、プレス加工性を向上させることができるが、
ある一定の圧下率を超えるとプレス加工性の向上は飽和
傾向を示す。
【0048】また、上記実施例5,6において添加物
(亜鉛(Zn)1重量%,アルミニウム(Al)1重量
%)を添加している例を示したように、このようにすれ
ば圧延材の強度を増大させることができる。添加物とし
ては亜鉛,アルミニウムに限らず種々のものが使用でき
る。添加物は0.5重量%程度添加するだけでリチウム
−マグネシウム合金の強度向上に寄与するが、3重量%
を超えて添加すると脆化し加工性が悪くなる。したがっ
て、添加物の添加量は0.5〜3重量%とすることが好
ましい。
【0049】(実施の形態3)本実施の形態では、上記
した実施例4にCaを添加して製造した圧延材(実施例
7)について説明する。
【0050】実施例7は、リチウムを14重量%含有
し、さらにカルシウム(Ca)を1重量%添加含有し、
残部がマグネシウムと不可避の不純物からなるリチウム
−マグネシウム合金圧延材である。この実施例4の圧延
材に対して、引張り試験,プレス加工試験を施した結果
を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】なお、上表では実施の形態2で示した比較
例4も併せて記載している。表3から、Ca添加した実
施例7によれば、降伏強さ,引張強さ,プレス加工特性
の全てにおいて非常に良好な結果が得られることが分か
る。
【0053】この結果は表2で示した実施例4〜6(圧
下率40%)の結果よりも優れている。これは、Ca添
加によりリチウム−マグネシウム合金結晶が微細化した
ことに起因するものと考えられる。このように結晶を微
細化するための添加剤としては、Caの他にジルコニウ
ム等も考えられ、それらの添加よっても本発明のプレス
加工性や強度の向上を図ることができる。
【0054】(実施の形態4)本実施の形態では、上記
した実施例1,4の製造を熱処理(上記工程)を施さ
ないで行った比較例7,8について説明する。
【0055】
【表4】
【0056】上表に示すように、熱処理を施していない
比較例7,8の場合には、リチウムの重量%が8%,1
4%のときの両方ともプレス加工試験において割れが発
生した。これは、平均の結晶粒径がリチウムの重量%が
8%のときには42μm(比較例7),リチウムの重量
%が14%のときには35μm(比較例8)となり、実
施の形態1,2で示した条件から外れたことによるもの
と考えられる。
【0057】なお、以上示した実施の形態1〜4では熱
処理温度を150℃としているが、これは、140℃以
下ではリチウム−マグネシウム合金が再結晶化するのに
長時間要してしまい生産性が落ち、また、150℃以上
ではリチウム−マグネシウム合金の平均の結晶粒径が大
きくなり過ぎてしまい後述する条件を満たさなくなるこ
とによるものであり、140℃〜150℃であれば良
い。
【0058】また、以上説明したリチウム添加マグネシ
ウム合金は、結晶粒径を適切化することにより、軽量合
金であるリチウム添加マグネシウム合金の強度及びプレ
ス加工特性(特に絞り加工特性)を向上させることが可
能となる。このため、本発明の圧延材を用いたプレス加
工部品により、カメラ、ビデオ一体型カメラ、デジタル
カメラ等のカメラの筐体、ノート型パソコン、ポケット
コンピュータ、電子手帳等の携帯情報端末の筐体、PD
C、PHS等の移動体通信機器、ポータブルステレオ、
ラジオ等の携帯音響機器の筐体、液晶TVモニター、電
話、ハンディスキャナー等の家電製品の筐体の軽量化,
高強度化を実現できる。
【0059】
【発明の効果】本発明のマグネシウム合金によれば、プ
レス加工性の向上と、降伏強さ,引張り強度の向上の両
方を実現できる。
【0060】さらに、アルミニウムもしくは亜鉛を0.
5重量以上%3重量%以下含有させることにより、降伏
強さ,引張り強さを更に向上できる。
【0061】また、カルシウム、ジルコニウムなどの結
晶微粒子化剤を0.5重量%以上2重量%以下含有させ
ることによっても、降伏強さ,引張り強さの向上を実現
できる。
【0062】また、本発明のマグネシウム合金の製造方
法によれば、熱間圧延後、圧下率30%以上となるよう
に冷間圧延した後40〜150℃まで昇温することによ
って、冷間プレス加工特性、特に絞り加工特性の向上を
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マグネシウム−リチウム2元合金の状態図であ
【図2】(a)マグネシウム合金の試験片形状の説明
図、(b)プレス加工性を判断する箱型形状のプレス成
形品の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 691 C22F 1/00 691B 694 694A

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムを10.5重量%以上40重量
    %以下を含有し、平均結晶粒径が3μm以上30μm以
    下であることを特徴とするマグネシウム合金。
  2. 【請求項2】 リチウムを6重量%以上10.5重量以
    下含有し、平均結晶粒径が3μm以上40μm以下であ
    ることを特徴とするマグネシウム合金。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のマグネ
    シウム合金において、アルミニウムまたは亜鉛を0.5
    重量%以上3重量%以下含有することを特徴とするマグ
    ネシウム合金。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    のマグネシウム合金において、結晶粒微細化剤を0.5
    重量%以上2重量%以下含有することを特徴とするマグ
    ネシウム合金。
  5. 【請求項5】 少なくともリチウムが添加されたマグネ
    シウム合金からなる鋳塊を、熱間圧延した後、圧下率3
    0%以上となるように冷間圧延し、140℃以上150
    ℃以下の温度で熱処理することを特徴とするマグネシウ
    ム合金の製造方法。
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