JP2003268262A - 過酸化チタン含有水性塗布液、及びこれを用いる光触媒層の形成方法 - Google Patents

過酸化チタン含有水性塗布液、及びこれを用いる光触媒層の形成方法

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JP2003268262A
JP2003268262A JP2002076116A JP2002076116A JP2003268262A JP 2003268262 A JP2003268262 A JP 2003268262A JP 2002076116 A JP2002076116 A JP 2002076116A JP 2002076116 A JP2002076116 A JP 2002076116A JP 2003268262 A JP2003268262 A JP 2003268262A
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substrate
aqueous coating
layer
coating liquid
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JP2002076116A
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Hiroshi Ota
洋 太田
Shigehiko Mashita
成彦 真下
Toshiki Takizawa
俊樹 滝澤
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 着色により被覆されているか否かの検査が可
能で、且つ消色も容易である基板保護用下塗層を形成す
るための水性塗布液を提供すること。また、上記塗布液
を用いて下塗層を形成し、その上に基板を侵すことのな
い光触媒層を形成する光触媒層の形成方法を提供するこ
と。 【解決手段】 過酸化チタン及び可視光線の照射により
消色する色素を含む水性塗布液であり、該色素が紫外線
の照射により着色されていることを特徴とする水性塗布
液及びこれを用いた光触媒層の形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水浄化、空気浄
化、消臭、油分の分解等に有効に用いられる光触媒層を
形成する際に、基板を保護するために使用される下塗層
を形成するための水性塗布液、及びこの塗布液を用いる
光触媒層の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、TiO、ZnO、WO、Fe
、SrTiO等の金属酸化物が光触媒として水
浄化、空気浄化、消臭、油分の分解などに広く使用され
ている。このような光触媒は、通常粉末状で用いられ、
例えば浄化、脱臭すべき水などの液体中に撹拌、分散さ
せて使用されている。しかしながら、このような粉末状
の光触媒では使用後に回収するための手間が煩雑であ
り、回収が困難な場合もある。
【0003】一方、建築物、プラント等の構造物の基板
(基材)自体の汚染防止等を行うには、基板表面に粉末
状の光触媒を固定化する必要があり、このような粉末状
の光触媒を固定化する方法として、ガラス等の基板に二
酸化チタンをスパッタリング等により付着させて光触媒
層を形成する方法、或いはアナターゼ型二酸化チタンゾ
ルを塗布、加熱する(100℃)ことにより形成する方
法等が知られている。
【0004】しかしながら、基板が、有機ポリマー等の
有機化合物から作成されている場合、二酸化チタン等の
触媒作用が基板にまで及び、基板が酸化及び/又は還元
されて分解されるとの問題がある。このような分解を防
止するために、基板と光触媒層との間にアモルファス型
過酸化チタン層を設ける旨、特開平10−53437号
公報に開示されている。
【0005】これにより二酸化チタン等の触媒作用が基
板にまで及ぶことはない。しかしながら、このようなア
モルファス型過酸化チタン層等の下塗層及び光触媒層
は、基板である被塗装体の意匠性のために、通常、透明
或いは半透明にする必要がある。また、これらの層は、
同様の理由から数μmと極めて薄層である。このため、
これらの層が被塗装体に被覆されているか否かを確認す
るのは極めて困難である。即ち、下塗層の被覆されてな
い部分があれば、光触媒層が直接被塗装体に接すること
となり、被塗装体が分解され、損傷を受ける。また光触
媒層が被覆されてない部分があれば、その部分での光触
媒機能が得られなくなる。
【0006】被覆されていない部分が容易を発見するた
めの方法として、WO00/33977公報に、有機色
素を配合した光触媒被覆用コーティング液、或いは有機
色素を配合した難分解性バインダーコーティング液を用
いて、光触媒層或いは下塗層を形成し、塗布された部分
は着色され、塗布されなかった部分は着色されないの
で、これにより被覆されてない部分を見分けようとする
方法が開示されている。そして、色素は光触媒層の触媒
作用により分解され、消色するため各層の透明性は維持
できるとされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者の検討によれ
ば、上記WO00/33977公報における有機色素を
配合した光触媒被覆層においては、その光触媒機能によ
り色素を分解し、消色するが、難分解性の下塗層の色素
はその上の光触媒被覆層の光触媒機能に依存することと
なり、光触媒被覆層の性質、層厚等により消色が十分行
われない、或いは短期間には行われない場合がある。
【0008】また、着色を光触媒層に行うべきか、下塗
層に行うべきかについては、下塗層を着色することが重
要である。即ち、下塗層に欠陥がある場合は基板そのも
のが損傷を受けるため構造物自体に大きな影響を与える
ことから、下塗層により基板が完全に被覆されているか
否かを検査することが重要であることが明らかであるこ
とも、本発明者等は注目した。
【0009】従って、かかる点に鑑みなされた本発明の
目的は、着色により被覆されているか否かの検査が可能
で、且つ消色も容易である基板保護用下塗層を形成する
ための水性塗布液を提供することにある。
【0010】また、本発明の目的は、上記塗布液を用い
て下塗層を形成し、その上に基板を侵すことのない光触
媒層を形成する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、過酸化チタン
及び可視光線の照射により消色する色素を含む水性塗布
液であり、該色素が紫外線の照射により着色されている
ことを特徴とする水性塗布液にある。
【0012】上記塗布液は、一般に光触媒機能を有する
金属酸化物を含む光触媒層と基板との間に設けられる基
板保護用下塗層を形成するための塗布液である。この光
触媒機能を有する化合物がアナターゼ型酸化チタン(一
般にアナターゼ型二酸化チタン)であることが好まし
い。下塗層の過酸化チタンがアモルファス型であること
が好ましい。
【0013】色素が、光の遮断又は加熱によっても消色
する色素であることが好ましい。色素が、可視光線を吸
収して消色する色素であることが使用上有利である。特
に、500〜700nmの波長の光を吸収して(吸光度
0.5以上が好ましい)消色する色素であることが、消
色速度が大きいことから好ましい。可視光消色型色素が
スピロピラン系色素、フルギド系色素又はジアリールエ
ーテル系色素、特にスピロピラン系色素であることが好
ましい。
【0014】基板が有機ポリマーからなることが有利で
ある。
【0015】本発明は、基板上に、光触媒機能を有する
金属酸化物を含む光触媒層を形成する前に、該基板上に
上記の水性塗布液を塗布し、乾燥することにより、該光
触媒層から基板を保護するための基板保護用下塗層を形
成し、次いで該下塗層上に該光触媒層を形成することを
特徴とする光触媒層の形成方法にもある。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の水性塗布液は、過酸化チ
タン、及び紫外線で着色し、可視光線で消色する色素を
主成分とする水性塗布液で、特に光触媒層と基板との間
に設けられる基板保護用下塗層を形成するための塗布液
として有利に使用することができる。
【0017】本発明を説明するための光触媒層を含む積
層体の概略断面図を図1に示す。図1において、基板1
1の上に、着色された基板保護用下塗層12、その上に
光触媒層13が形成されている。塗布中、塗布直後の下
塗層12は着色されているので、塗布欠陥があればその
部分のみ着色されていないため、塗布中の場合はその部
分を再度塗布することにより、塗布後であれば再度着色
されていない部分を補修することにより、塗布欠陥のな
い下塗層を形成することができる。また本発明の特徴的
要件である下塗層12の着色は、紫外線で着色し、可視
光線で消色する色素を紫外線照射した着色状態の色素で
あるので、光触媒層を有する基板(構造物)を屋外に置
くことにより、短期間に太陽光によりその色は完全に消
失する。即ち、下塗層に含まれる色素は可視光により構
造変化を起こすので、太陽光等の照射により確実に短期
に消色することができる。従来の上層である光触媒層の
触媒作用に依存するのは不確実で、完全に消色するのは
困難である。また本発明の下塗層は、当然光触媒層の触
媒作用も受けるので、その分消色速度を向上させること
も可能である。また、本発明の着色色素は、光の遮断又
は加熱によっても消色する場合があり、その際はさらに
消色が加速され、好ましい。
【0018】本発明の下塗層形成用水性塗布液は、過酸
化チタン及び上記可視光消色型色素の着色状態のものを
含む塗布液である。例えばアモルファス型過酸化チタン
ゾルに上記色素を添加して使用される。このゾルは、例
えば次のようにして製造することができる。四塩化チタ
ンTiClのようなチタン塩水溶液に、アンモニア水
ないし水酸化ナトリウムのような水酸化アルカリを加え
pH6〜7で反応させる。生じる淡青味白色、無定形の
水酸化チタンTi(OH)(オルトチタン酸HTi
とも呼ばれる。)を洗浄・分離後、過酸化水素水で
処理することによりモルファス形態の過酸化チタンゾル
が得られる。
【0019】このようにして得られるアモルファス型過
酸化チタンゾルは、pH6〜7、粒子径8〜20nmで
あり、その外観は黄色透明の液体であり、常温で長期間
保存しても安定である。また、ゾル濃度は通常1.4〜
1.6質量%に調整されているが、必要に応じてその濃
度を調整することができ、低濃度で使用する場合は、蒸
留水等で希釈して使用する。
【0020】また、このアモルファス型過酸化チタンゾ
ルは、常温ではアモルファスの状態で未だアナターゼ型
酸化チタンには結晶化しておらず、密着性に優れ、成膜
性が高く、均一でフラットな薄膜を作成することがで
き、かつ、乾燥被膜は水に溶けないという性質を有して
いる。なお、アモルファス型の過酸化チタンのゾルを1
00℃以上で数時間加熱すると、アナターゼ型酸化チタ
ンゾルになり、アモルファス型過酸化チタンゾルを基体
にコーティング後乾燥固定したものについては、250
〜940℃の加熱によりアナターゼ型酸化チタンにな
る。従って、これらの場合は下塗層としての機能を果た
さなくなるが、光触媒層として使用することができる。
【0021】本発明の下塗層形成用水性塗布液として
は、例えば粘稠性アモルファス型過酸化チタンに可視光
消色型色素を添加して使用することもできる。粘稠性ア
モルファス型過酸化チタンは、例えば次のようにして製
造することができる。四塩化チタンTiCl のよう
なチタン塩水溶液に、アンモニア水ないし水酸化ナトリ
ウムのような水酸化アルカリを加え、pHを酸性領域、
望ましくはpH2〜6、特に望ましくはpH2で反応さ
せる。沈降する淡青味白、無定形の水酸化チタンTi
(OH)(オルトチタン酸HTiOとも呼ばれ
る。)を洗浄・分離後、過酸化水素水で処理し、低温
下、好ましくは15℃以下、特に好ましくは5〜8℃で
撹拌しながら反応せしめた後、常温で7〜10日養生す
ることにより得られる。
【0022】このようにして得られる粘稠性アモルファ
ス型過酸化チタンは、pH2〜4、粒子径8〜20nm
程度であり、その外観は黄色透明の少し粘性のあるゾル
〜半ゼリー状の、すなわち種々の粘性を有するもので、
大変強い付着力を有しており、常温で長期間保存しても
安定である。また、その固形分濃度は、通常0.2〜
0.6質量%、望ましくは0.3質量%に調整されてい
るが、必要に応じてその濃度を調整することができる。
【0023】上記粘稠性アモルファス型過酸化チタン
は、その製造過程において、四塩化チタンTiCl
ようなチタン塩水溶液と、アンモニア水ないし水酸化ナ
トリウムのような水酸化アルカリとの反応時のpHを酸
性領域、望ましくはpH2〜6の範囲内で変えることに
より、また、固形分濃度を0.2〜0.6質量%の範囲
内で変えることにより、種々の粘性を有するものが得ら
れ、その粘性に応じて種々の用途が考えられるが、均一
な膜厚の薄膜を形成するという目的からは、均質な半ゼ
リー状程度の粘性を有するものが望ましい。
【0024】そして、上記反応のpHが6を越えると、
粘性が少ないアモルファス型過酸化チタンゾルとなり、
撥水性の強い金属及びプラスチック等の基体表面へのコ
ーティングに際しては界面活性剤等による親水性処理が
必要になり、pHが2未満になるとオルトチタン酸の析
出が極端に少なくなるという不都合が生じる。また、固
形分濃度が、0.6質量%を越えると、不均質な半ゼリ
ー状となり均一な膜厚の薄膜の形成が困難となるという
問題が生じ、他方0.2質量%未満であると、基体表面
のコーティングに際しては界面活性等による親水性処理
が必要になってくるという不都合が生じる。
【0025】従って、上記粘稠性アモルファス型過酸化
チタンは、黄色透明で粘性を有する物質であり、常温で
はアモルファスの状態で未だアナターゼ型酸化チタンに
は結晶化しておらず、その密着・付着性は、撥水性を有
する基体をはじめとしてあらゆる材種の基体において極
めて優れている。また、成膜性が高く、均一でフラット
な薄膜を容易に作成することができ、かつ、乾燥被膜は
水に溶けないという性質を有している。
【0026】そして、この粘稠性アモルファス型過酸化
チタンは、それを基板にコーティングして、常温〜25
0℃で乾燥、焼成すると、大変強い付着力を有するアモ
ルファス型過酸化チタン層を形成する。また、250〜
940℃で加熱乾燥、焼成すると、アナターゼ型酸化チ
タン層を形成し、940℃以上で加熱すると、ルチル型
酸化チタン層を形成し、光触媒の機能が極端に低下す
る。従って、これらの場合は下塗層としての機能を果た
さなくなる。前者は光触媒層として使用することができ
る。
【0027】本発明の下塗層形成用水性塗布液として
は、光触媒による基板に対する分解作用を防止できるも
のであればどのようなものでも良く、上記の例以外に、
例えば水ガラス、コロイダルシリカ、ポリオルガノシロ
キサン等のケイ素化合物;リン酸亜鉛、リン酸アルミニ
ウム等のリン酸塩;重リン酸塩、セメント等の無機系バ
インダ;フッ素樹脂、シリコン樹脂等の有機系バインダ
を含む塗布液を挙げることができる。これらは例えば特
開平7−171408号公報に記載されている。これら
の下塗層形成用塗布液の中で、前記アモルファス型過酸
化チタンゾルのように、成膜後に透明となるものが好ま
しい。
【0028】本発明の下塗層形成用水性塗布液に含まれ
る可視光消色型色素は、紫外線を照射して着色した状態
で使用され、塗布された後は可視光線を吸収して消色す
る色素である。可視光消色型色素は、特に、光の遮断又
は加熱によっても消色する色素であることが好ましく、
さらに500〜700nmの波長の光を吸収して(吸光
度0.5以上が好ましい)消色する色素であることが速
い消色の点から好ましい。可視光消色型色素は上記のよ
うに可視光線を吸収して消色するが、当然、上層である
光触媒層による触媒作用を受けるのでより一層消色は促
進されることは明らかである。しかも光で直接的に消色
するので、確実に、完全に色を失うことができる。
【0029】可視光消色型色素はスピロピラン系色素、
フルギド系色素又はジアリールエーテル系色素、特にス
ピロピラン系色素であることが好ましい。好ましいスピ
ロピラン系色素は下記の式(I):
【0030】
【化1】
【0031】上記式(I)において、XがCH又は窒素
原子を表し、Rが、水素原子、NO又はハロゲン
(特にBr)を表し、Rが、水素原子、炭素原子数1
〜4個のアルコキシ(特にメトキシ)を表し、そしてR
が、水素原子を表し、或いはRとRとが相互に結
合してこれらが存在する炭素炭素二重結合と共にベンゼ
ン環を形成する。
【0032】スピロピラン系色素の好ましい例として、
1,3,3−トリメチルインドリノベンゾピリロスピラ
ン(1,3,3-trimethylindolinobenzopyrylospiran)、1,
3,3−トリメチルインドリノ−6’−ブロモベンゾピ
リロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−
8’−メトキシベンゾピリロスピラン、1,3,3−ト
リメチルインドリノ−β−ナフトピリロスピラン、1,
3,3−トリメチルインドリノナフトスピロオキサジン
及び1,3,3−トリメチルインドリノ−6’−ニトロ
ベンゾピリロスピランを挙げることができる。
【0033】上記色素は、塗布液中に一般に0.05〜
10質量%、特に0.1〜5質量%含んでいることが好
ましい。過酸化チタン100質量部に対しては一般に1
〜100質量部、特に5〜80質量部含んでいることが
好ましい。
【0034】本発明において、基板(基材)の材料とし
ては、セラミックス、ガラスなどの無機材料、有機ポリ
マー(プラスチック)、ゴム、木、紙などの有機材料、
並びにアルミニウム、鋼などの金属材料のを用いること
ができる。これらの中でも特に、アクリロニトリル樹
脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル
樹脂(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリエステル
樹脂(例、ポリエチレンテレフタレート)、ポリウレタ
ン樹脂等の有機ポリマー材料のフィルム等の基板への適
用に本発明の下塗層は遠くに有効である。また、基板の
大きさや形には制限されず、フィルム状、ハニカム状、
ファイバー状、濾過シート状、ビーズ状、発砲状やそれ
らが集積したものでもよい。さらに、本発明の基板とし
ては、各種製品、部材、或いは構造物等の表面部分を基
板と見なすことができる。例えば、窓ガラス、ブロッ
ク、ユニットバス、照明器具等の建材;外壁、屋根、
柱、窓、信号等の構築物;自動車、電車、ジェット機、
クレーン等の輸送重機類(のボディー、内壁);等の表
面部分を、基板と見なすことができる。さらにまた、紫
外線を通過する基体であればその内面に適用できるし、
また塗装した物品にも適用しうる。
【0035】基板に上記可視光消色型色素を溶解させた
アモルファス型過酸化チタンゾル、粘稠性アモルファス
型過酸化チタンを塗布してコーティングするには、例え
ば、ディッピング、吹付スプレー等の公知の方法が利用
することができる。
【0036】前記のようにして塗布あるいは吹き付け等
によりコーティングした後、250℃未満で乾燥、焼成
させ、固化させて本発明のアモルファス型過酸化チタン
層の下塗層を有する基板を製造することができる。上記
可視光消色型色素は、色素自体は通常無色であるので、
これを水或いは有機溶剤に溶解し、この溶液に紫外線を
照射することにより着色色素とし、これを上記チタンゾ
ル等に混合、溶解させることにより使用する。照射する
紫外線の波長は、一般に1〜400nmの範囲、特に2
00〜400nmの範囲である。
【0037】上記アモルファス型過酸化チタンゾル又は
粘稠性アモルファス型過酸化チタンからなるコーティン
グ組成物は、1回のコーティングで所定の厚みを得るこ
とができるという特徴を持っている。そしてコーティン
グにより形成される、これら過酸化チタン層の厚さは、
粘稠性アモルファス型過酸化チタンなどの中の過酸化チ
タンの濃度(質量%)、粘度及び乾燥前のコーティング
厚さによっても調節することができる。なお、必要に応
じて上記コーティング材を重ねて塗布することもでき
る。
【0038】上記のアモルファス型過酸化チタン層の下
塗層を有する基板は、耐候性に優れ有機ポリマー材料等
よりなる基体を紫外線等から保護し得る他、該基板の上
に光触媒半導体層を設けた場合、光触媒機能により分解
されやすい有機ポリマー材料等の基板を保護しうる。
【0039】本発明の塗布液により形成される、アモル
ファス型過酸化チタンと上記可視光消色型色素とを含む
下塗層は、一般に0.5〜20μm、特に1〜10μm
の層厚を有する。
【0040】本発明の光触媒層は、一般に光触媒半導体
を含む層である。その例としては、TiO、ZnO、
SrTiO、CdS、Cd0、CaP、InP、In
、CaAs、BaTiO、KNbO、Fe
、Ta、WO、SaO、Bi
NiO、CuO、SiC、SiO、MoS、Mo
、InPb、RuO、CeOなどを挙げること
ができるが、これらの中でも酸化チタンTiO(特に
アナターゼ型二酸化チタン)が好ましい。光触媒半導体
は、その直径が0.001〜20μm程度の微粒子状若
しくは微粉末状又はゾルの形態で使用する。上記光触媒
半導体としては、例えば商品名:ST−01(石原テク
ノ(株)製)、商品名:ST−31(石原テクノ(株)
製)、商品名:アナターゼ型酸化チタンゾルTAK70
((株)TAO製)を挙げることができる。
【0041】上記光触媒層の形成するための塗布液とし
ては、従来の光触媒層形成用塗布液であれば、どのよう
なものでも使用することができる。造膜後に透明な被覆
層を形成する塗布液が好ましい。このような塗布液とし
ては、例えば上記光触媒半導体金属微粒子とバインダ
(例、アミノシラン等のシランカップリング剤)とを含
む懸濁液を挙げることができる。これらの中でも、常温
〜120℃で加熱することにより造膜することができる
ものが好ましい。造膜に例えば300〜500℃の加熱
を必要とするものもあるが、下塗層の色素を分解、消色
する場合があるので、その点を考慮した色素の選択をす
る必要がある。
【0042】また、光触媒機能の補完用にPt、Ag、
Rh、RuO、Nb、Cu、Sn、NiOなどを添加
剤として用いることもできる。
【0043】上記光触媒半導体金属微粒子とバインダと
を含む懸濁液の好ましい例としては、アモルファス型過
酸化チタンゾルとアナターゼ型酸化チタンゾルの混合液
を挙げることができる。このアモルファス型過酸化チタ
ンゾルは、前記下塗層形成用塗布液において記載したの
と同様に得ることができる。アモルファス型過酸化チタ
ンゾル(水溶液)は、常温ではアモルファスの状態で未
だアナターゼ型酸化チタンには結晶化しておらず、超微
粒子を含有することから密着性に優れ、成膜製が高く、
均一でフラットな薄膜を形成することができ、かつ乾燥
被膜は水に溶解しないとの性質を有する。アナターゼ型
酸化チタンゾルは、アモルファス型過酸化チタンゾルを
100℃以上で数時間加熱することにより調製すること
ができる。
【0044】次に、本発明の光触媒層の形成方法につい
て図1を参照しながら説明する。まず、界面活性剤等に
より親水性処理を施した基板11に、下塗層形成用水性
塗布液として色素含有アモルファス型過酸化チタンゾル
をコーティングするか、又は親水性処理を施すことなく
直接基体に色素含有粘稠性アモルファス型過酸化チタン
の水性塗布液をコーティングし、アモルファス型過酸化
チタン層である下塗層12を形成し、アモルファス型過
酸化チタン層が付着性を有している間(通常コーティン
グ後、常温で1〜10分以内)に、上記光触媒半導体金
属微粒子とバインダとを含む懸濁液を塗布し、乾燥させ
ることにより光触媒層を形成する方法;或いは前記アモ
ルファス型過酸化チタン層が付着性を有している間(通
常コーティング後、常温で1〜10分以内)に、記光触
媒半導体の微粒子を、密閉・常圧容器を用いて気体中に
均一散乱状態とし、自然付着又は気流圧付着によりアモ
ルファス型過酸化チタン層に付着させ、余剰の微粒子を
除去する方法を挙げることができる。また、光触媒半導
体をアモルファス型過酸化チタン層(下塗層)に固定し
た後、加圧することによって、各層間の付着性が著しく
向上する。このようにして、均質な薄膜を作ることがで
きる。
【0045】このような光触媒半導体の光触媒薄層を形
成することにより、電子機器等の小型軽量化や小型容量
化が達成できる。また光触媒機能基板としては、光触媒
半導体の積層薄膜によって、光触媒半導体の酸化還元時
に電子移動による粒子表面の相互干渉による機能の低下
や膜厚による経済的ロスをなくす効果がある。
【0046】以上のようにして得られる酸化チタン膜等
からなる光触媒層を有する基板は、この光触媒層に光が
照射することによって光触媒が励起し、汚染防止、殺
菌、脱臭等の作用を発揮するものである。
【0047】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明についてさらに
詳述する。
【0048】[実施例1] <色素含有下塗層の形成>スピロピラン系色素(1,
3,3−トリメチルインドリノ−8’−メトキシベンゾ
ピリロスピラン、東京化成工業(株)製)の5質量%水
溶液を、中央に紫外線ランプを有する反応装置に導入
し、ランプを点灯して水溶液を3分間撹拌した。これに
より黒色の水溶液を得た。
【0049】アモルファス型過酸化チタン0.85質量
%溶液(TK100 、(株)TAO製)95質量部
と、上記スピロピラン系色素(5質量%水溶液5質量部
とを、均一に混合して色素含有下塗層形成用水性塗布液
を得た。この水性塗布液を、白色のFRP製スラブ板
に、直径0.5mmの丸型吹き出しノズルを有するスプ
レーガンFS−G05−1(明治機械(株)製)を用い
て、塗布量0.4g/100cmで塗布し、乾燥して
色素含有下塗層を形成した。
【0050】<光触媒層の形成>アモルファス型過酸化
チタン0.85質量%溶液(TK100 、(株)TA
O製)と、アナターゼ型酸化チタン0.85質量%溶液
(TA100 、(株)TAO製)とを等量で均一で混
合して光触媒層形成用水性塗布液を得た。この水性塗布
液を、白色のFRP製スラブ板上の上記下塗層に、直径
0.5mmの丸型吹き出しノズルを有するスプレーガン
FS−G05−1(明治機械(株)製)を用いて、塗布
量0.8g/100cmで塗布し、常温乾燥した後赤
外線加熱ヒータで100℃に加熱し造膜させた。これに
より光触媒層を形成した。
【0051】上記のようにして基板上に、下塗層及び光
触媒層を形成した。
【0052】[実施例2]実施例1において、色素含有
下塗層の形成用水性塗布液に使用するスピロピラン系色
素として1,3,3−トリメチルインドリノベンゾピリ
ロスピラン、東京化成工業(株)製を同量使用した以外
は同様にして基板上に、下塗層及び光触媒層を形成し
た。
【0053】[比較例1]実施例1において、色素含有
下塗層の形成用水性塗布液に使用するスピロピラン系色
素の代わりに商品名ボルックスイエローPM−L5Gを
同量使用した以外は同様にして基板上に、下塗層及び光
触媒層を形成した。
【0054】次に、実施例1、2及び比較例1で得られ
た下塗層及び光触媒層の光触媒積層体について、評価し
た。
【0055】(1)下塗層の塗布領域の判別性 a)下塗層形成用水性塗布液を塗布中において、基板表
面の塗布されない箇所を容易に判別可能か否か、目視で
検査した。 b)塗布後、目視の判断通り、基板表面を完全に下塗層
が形成されているか否かを、検査した。
【0056】(2)下塗層(色素)の減色性 基板上に下塗層及び光触媒層が設けられた光触媒積層体
を、屋外暴露し、1ヶ月後に無色透明になるか否か検査
した。
【0057】上記の検査の結果は以下の通りである。 (1)下塗層の塗布領域の判別性 a)実施例1、2において、下塗層の塗布状態は容易に
分かるため、未塗布部分の発見が容易であった。比較例
1では実施例に比較して困難であった。 b)実施例1、2において、塗布時で判断したとおり、
塗布欠陥は存在しなかった。一方、比較例1では完全に
塗布したけれども、塗布欠陥が若干存在した。
【0058】(2)下塗層(色素)の減色性 実施例1、2の下塗層の着色は1ヶ月以内に完全に消失
した。一方、比較例1の下塗層は1ヶ月後でも若干着色
が残っていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための光触媒層を含む積層体
の概略断面図である。
【符号の説明】
11 基板 12 下塗層 13 光触媒層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA02 AA08 BA02A BA04A BA04B BA22A BA23 BA48A BB02A BB04A BB06A BB09A BB13A BB15A BC03A BC09A BC12A BC13A BC18A BC21A BC22A BC25A BC27A BC31A BC35A BC36A BC43A BC50A BC55A BC56A BC59A BC60A BC66A BC68A BC70A BD05A CA01 CA10 CA11 CA17 EC26 EE01 EE06 FA03 4J038 AA011 HA211 HA216 JB27 JB39 KA08 NA05 NA19 PB05 PB07 PC03 PC04 PC06 PC07 PC08 PC10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過酸化チタン及び可視光線の照射により
    消色する色素を含む水性塗布液であり、該色素が紫外線
    の照射により着色されていることを特徴とする水性塗布
    液。
  2. 【請求項2】 光触媒機能を有する金属酸化物を含む光
    触媒層と基板との間に設けられる基板保護用下塗層を形
    成するための塗布液である請求項1に記載の水性塗布
    液。
  3. 【請求項3】 光触媒機能を有する金属酸化物がアナタ
    ーゼ型酸化チタンである請求項2に記載の水性塗布液。
  4. 【請求項4】 過酸化チタンがアモルファス型である請
    求項1〜3のいずれかに記載の水性塗布液。
  5. 【請求項5】 色素が、光の遮断又は加熱によっても消
    色する色素である請求項1〜4のいずれかに記載の水性
    塗布液。
  6. 【請求項6】 色素が、500〜700nmの波長の光
    を吸収して消色する色素である請求項1〜5のいずれか
    に記載の水性塗布液。
  7. 【請求項7】 色素が、スピロピラン系色素、フルギド
    系色素又はジアリールエーテル系色素である請求項1〜
    6のいずれかに記載の水性塗布液。
  8. 【請求項8】 色素がスピロピラン系色素である請求項
    1〜7のいずれかに記載の水性塗布液。
  9. 【請求項9】 基板が有機ポリマーからなる請求項1〜
    8のいずれかに記載の水性塗布液。
  10. 【請求項10】 基板上に、光触媒機能を有する金属酸
    化物を含む光触媒層を形成する前に、該基板上に請求項
    1〜9のいずれかに記載の水性塗布液を塗布し、乾燥す
    ることにより、該光触媒層から基板を保護するための基
    板保護用下塗層を形成し、次いで該下塗層上に該光触媒
    層を形成することを特徴とする光触媒層の形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008184025A (ja) * 2007-01-30 2008-08-14 Toyota Motor Corp 自動車用ホイールの汚染防止方法および自動車用ホイール
JP2011136297A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 可視光応答型酸化チタン系微粒子分散液およびその製造方法

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