JP2003266003A - 機能性素子の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

機能性素子の製造方法およびその製造装置

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Kaori Kamiyama
かおり 上山
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弘典 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、形成された機能層の中心部および
端部の厚みの差が、色調ムラ等の不都合を発生させない
程度の差の範囲内にある機能層を有する機能性素子の製
造方法およびそのような機能性素子の製造に用いる装置
を提供することを主目的とするものである。 【解決手段】 上記目的を達成するために、本発明は、
溶媒を含む機能層形成用塗工液を基材上に塗布した後、
乾燥させて固化させる乾燥工程を有する機能性素子の製
造方法において、製造される機能層の平坦性を得るため
に、予め製造された機能層の形状を検査し、中心部が凸
形状の場合は、前記乾燥工程における溶媒の揮発速度を
速くし、中心部が凹形状の場合は、前記乾燥工程におけ
る溶媒の揮発速度を遅くするように制御することを特徴
とする機能性素子の製造方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材上に形成され
た機能層が、その中心部と端部における膜厚の差が不都
合を生じさせない程度に平坦化された機能層を有する機
能性素子の製造方法およびそのような機能性素子の製造
に用いる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のパーソナルコンピューターの発達
や携帯電話の普及に伴い、より高精細でかつ薄層軽量な
ディスプレイの製造競争が激化している。その中で、有
機エレクトロルミネッセント(以下、エレクトロルミネ
ッセントをELと略す場合がある。)素子、カラーフィ
ルター(以下、カラーフィルターをCFと略す場合があ
る。)、色変換フィルター等は、そのような要求を満足
し、次世代のディスプレイを担うものとして注目されて
いる。
【0003】これら有機EL素子、CF、色変換フィル
ターを構成する複数の機能層の中には、微細なパターニ
ングを必要とするものが多く、そのような微細なパター
ニングを行う方法として吐出法が用いられている。吐出
法は、パターニング精度に優れ、かつ製造効率に優れて
いる等利点の多い方法である。
【0004】さらに、吐出法は、吐出装置本体のノズル
口から、粒状または霧状の塗工液を吐出し、目的箇所に
着弾させ塗布する方法であるため、その塗工液として
は、ノズル口から容易に吐出させることが可能な粘度、
すなわち比較的希薄な濃度の塗工液であることが要求さ
れる。しかし、希薄な濃度の塗工液は粘度が低いため塗
布後、過剰な濡れ広がりによりパターニング精度を低下
させるおそれがある。このような塗工液の過剰な濡れ広
がりを防止する手段として、隔壁等の設置や塗布する対
象物に予め濡れ性の差を設けるなどの方法により、パタ
ーンの精度を向上させる方法が提案されている。
【0005】上述のような方法を講じて形成された機能
層の形状は、図2に示すような凸形状、または図3に示
すような、凹形状の形状となることが多い。このような
形状の機能層は、中心部と端部とで膜厚に差があり、こ
の差が大きい場合は、この差を原因として不都合が生じ
る可能性がある。例えば、凸形状または凹形状の形状の
機能層が有機EL素子の発光層、CFの着色層または色
変換フィルターの色変換層等の用途に用いられた場合、
中心部と端部との膜厚の差から色調ムラが生じ高精細な
発色を妨げ、素子寿命を低下させるといった影響を及ぼ
す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたものであり、形成された機能層の中心
部および端部の厚みの差が、色調ムラ等の不都合を発生
させない程度の差の範囲内にある機能層を有する機能性
素子の製造方法およびそのような機能性素子の製造に用
いる装置を提供することを主目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、請求項1に記載するように、溶媒を含む
機能層形成用塗工液を基材上に塗布した後、乾燥させて
固化させる乾燥工程を有する機能性素子の製造方法にお
いて、製造される機能層の平坦性を得るために、予め製
造された機能層の形状を検査し、中心部が凸形状の場合
は、上記乾燥工程における溶媒の揮発速度を速くし、中
心部が凹形状の場合は、上記乾燥工程における溶媒の揮
発速度を遅くするように制御することを特徴とする機能
性素子の製造方法を提供する。
【0008】本発明においては、上述するように塗布さ
れた塗工液を乾燥させる工程において、形成される機能
層の形状に応じて溶媒の揮発速度を制御することを特徴
とする。これにより、機能層の中心部と端部とにおける
膜厚の差が小さくなり平坦化された機能層を形成するこ
とができ、このような平坦化された機能層を有する機能
性素子は色調ムラ等の不都合を発生させる可能性を低下
させる効果を奏する。
【0009】上記請求項1に記載された発明において
は、請求項2に記載するように、予め製造された機能層
の中心の膜厚をD1とし、中心から端までの幅の中心か
ら3/4の位置の膜厚をD2とした場合、上記中心部が
凸形状の場合とは、 D1−D2>D1/10 の範囲内にある場合であり、また、上記中心部が凹形状
の場合とは、 D2−D1>D1/10 の範囲内にある場合とした。
【0010】上記範囲内にある機能層は、中心部と端部
との膜厚の差が不具合が生じる程度に大きい場合である
といえる。本発明においては、前述の中心部と端部とに
おける膜厚の差を要因とする不具合が生じない範囲を検
討し、上述したような所定の範囲を設定し、このような
範囲内の機能層を平坦であるとすることにより、素子特
性に優れた機能性素子を提供することを目的とする。
【0011】上記請求項1または請求項2に記載された
発明においては、請求項3に記載するように、機能層形
成用塗工液が、吐出法により塗布されることが好まし
い。中でも、請求項4に記載するように、上記吐出法
は、インクジェット法であることが好ましい。本発明
は、凸形状または凹形状に形成される機能層の形状を平
坦化することを目的とする発明であり、吐出法、さらに
その中でもインクジェット法は、機能層を凸形状または
凹形状に形成するおそれが大きいからである。
【0012】上記請求項1から請求項4までのいずれか
の請求項に記載された発明においては、請求項5に記載
するように、上記溶媒の揮発速度を速くする方法が、基
材上に塗布された機能層形成用塗工液に対して送風する
方法であることが好ましい。
【0013】送風することにより、塗工液から揮発した
溶媒を雰囲気中に滞留させることなく拡散させる効果が
得られる。これにより、揮発溶媒が雰囲気中に飽和する
ことが防止され、溶媒の揮発速度が促進し、機能層の平
坦化が可能となるからである。
【0014】上記請求項5に記載された発明において
は、請求項6に記載するように、上記溶媒の揮発速度を
速くする方法が、さらに加熱を行う方法であることが好
ましい。
【0015】通常加熱は、基材の乾燥に一般的に用いら
れる方法であり、本発明においては、この加熱処理と同
時に、揮発溶媒の飽和を防止する手段として送風を行う
ことにより、平坦化に効果的な溶媒の揮発速度をより一
層促進させることができるからである。
【0016】上記請求項1から請求項6までのいずれか
の請求項に記載された発明においては、請求項7に記載
するように、上記機能層は、有機EL素子の発光層、C
Fの着色層、または、色変換フィルターの色変換層であ
ることが好ましい。
【0017】これらの層は、多くの機能層の中でも特に
平坦性が要求される層であり、このような層に本発明に
おける製造方法により形成された機能層を用いることに
より、従来のインクジェット法により形成された機能層
では得ることが困難であった、色調ムラの改善やさらな
る長寿命化等の効果を得ることができるからである。
【0018】本発明においてはまた、請求項8に記載す
るように、吐出法により塗工液を塗布する塗布手段と、
上記塗布手段により塗布された塗工液を送風しながら乾
燥させる乾燥手段とを有することを特徴とする機能性素
子の製造装置を提供する。
【0019】本発明は、溶媒の揮発速度を制御すること
により、機能層の平坦化を可能とする機能層の製造方法
を提供する。このような製造方法を容易に可能とする装
置が上記機能性素子の製造装置であり、乾燥手段に、送
風装置を付加することにより、揮発溶媒の雰囲気を制御
しながら乾燥させることを可能とする。このことから、
平坦化に繋がる溶媒の揮発速度の制御が容易に可能とな
り良好な平坦化が実現される。
【0020】上記請求項8に記載された発明において
は、請求項9に記載するように、上記送風しながら乾燥
させる乾燥手段が、薄く平面状に噴出させた空気を一定
方向に移動させながら送風するエアナイフ方式であるこ
とが好ましい。エアナイフ方式は、装置の移動速度の調
製や風量の調節により状況に応じた制御が可能であり、
機能層全体に均一な平坦化を可能とするからである。
【0021】上記請求項8に記載された発明のおいて
は、請求項10に記載するように、上記送風しながら乾
燥させる乾燥手段が、上面から空気を吹き付けるダウン
フロー方式であることが好ましい。基材の全面に空気を
吹き降ろすダウンフロー方式であれば、基材表面に滞留
する揮発溶媒を拡散させ、容易に揮発溶媒の飽和を防止
することができ、これにより溶媒の揮発を効果的に促進
することが可能となるからである。
【0022】上記請求項8から請求項10までのいずれ
かの請求項に記載された発明においては、請求項11に
記載するように、基材側から熱を加える加熱手段を有す
ることが好ましい。加熱し、かつ送風しながら乾燥工程
を行うことにより、より一層溶媒の揮発速度が促進さ
れ、好適な平坦化を実施することが可能となるからであ
る。
【0023】上記請求項11に記載された発明において
は、請求項12に記載するように、上記加熱手段が、ホ
ットプレートまたは遠赤外線ヒーターであることが好ま
しい。ホットプレートは、汎用されている加熱手段であ
り、基材の下側から直接熱を伝導させることから熱効率
に優れ、加熱ムラを少なくすることができるからであ
る。また、遠赤外線ヒーターは深達力が高く、機能層の
内部まで均一に熱を加えることが可能だからである。
【0024】上記請求項8から請求項12までのいずれ
かの請求項に記載された発明においては、請求項13に
記載するように、上記塗布手段はインクジェット装置で
あることが好ましい。本発明は、吐出法の中でも特にイ
ンクジェット法を用いて形成された機能層の形状を改善
することを目的として提案される発明だからである。
【0025】上記請求項8から請求項13までのいずれ
かの請求項に記載された発明においては、請求項14に
記載するように、上記機能性素子が、有機EL素子、C
F、または、色変換フィルターであることが好ましい。
これらの用途に本発明の機能性素子を用いることによ
り、色調ムラが抑制され、また、長寿命化の実現といっ
た効果を奏するからである。
【0026】本発明においてはまた、請求項15に記載
するように、基材と、上記基材上に形成された、塗工液
との接触角が小さい濡れ性を呈する親液性領域および塗
工液との接触角が上記親液性領域よりも大きい濡れ性を
呈する撥液性領域を有するパターン形成層と、上記パタ
ーン形成層の親液性領域上に形成された機能層とを少な
くとも有する機能性素子において、上記機能層は、機能
層の中心の膜厚をD1とし、中心から端までの幅の中心
から3/4の位置の膜厚をD2とした場合、|D1−D
2|≦D1/10の範囲内の平坦性を有することを特徴
とする機能性素子を提供する。
【0027】上記式を満足する範囲内にある機能層を吐
出法により形成することは難しく、上記式の範囲外の形
状に形成された機能層は不都合を生じさせることが多
い。そこで、本発明においては、上述の式の範囲内にあ
る場合を平坦化として表し、この範囲内にある機能層を
有する機能性素子を提供することにより、吐出法により
形成された機能性素子をより素子特性に優れたものとす
るようにしたものである。
【0028】上記請求項15に記載された発明において
は、請求項16に記載するように、上記パターン形成層
は、エネルギー照射により表面の濡れ性が変化する濡れ
性変化層からなることが好ましい。パターン形成層に濡
れ性変化層を用いることにより、その性質を利用しエネ
ルギーをパターン照射するのみで、容易に濡れ性の差に
よるパターンを濡れ性変化層上に形成することができる
からである。
【0029】上記請求項16に記載された発明において
は、請求項17に記載するように、上記濡れ性変化層
は、光触媒を有するものであってもよい。濡れ性変化層
を光触媒を含有する構成とすることにより、濡れ性変化
層に直接エネルギーをパターン照射することにより、濡
れ性に差を有するパターンを濡れ性変化層表面に容易に
形成することが可能だからである。
【0030】上記請求項15から請求項17までのいず
れかの請求項に記載された発明においては、請求項18
に記載するように、上記機能層はインクジェット法によ
り形成されていることが好ましい。本発明は、吐出法の
中でも特に、インクジェット法により形成された機能層
の平坦化を実現することを主目的とするからである。
【0031】上記請求項15から請求項18までのいず
れかの請求項に記載された発明においては、請求項19
に記載するように、上記機能性素子には、機能層の平均
膜厚よりも高い隔壁が形成されていないことが好まし
い。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明における機能性素子
の製造方法、およびその製造方法に用いる装置について
詳しく説明する。
【0033】本発明は、図2または図3に示すような、
凸形状または凹形状の形状に形成されるおそれが大きい
機能層を平坦化することを目的とする。このような形状
は、中心部と端部とでその膜厚に差があるため、この膜
厚の差が要因となり、機能性素子を実際に機能させた場
合に、色調ムラ等の不都合が生じる可能性が高い。そこ
で、本発明においては、この両者の差を容易に縮小する
ことが可能な平坦化の方法を提供する。
【0034】通常、凸形状または凹形状の形状に形成さ
れるおそれが大きい塗布法としては、吐出法が挙げられ
る。吐出法は、その塗布方法から用いられる塗工液が粘
性が低く、希薄であり、かつ高沸点であることが好まし
いからである。つまり、吐出法は、ノズル口から塗工液
を液滴状または霧状の状態で吐出させて目的対象物へ塗
工液を着弾させ塗布する方法であり、ノズル口から速や
かに吐出させることを可能とするため、かつノズル口へ
の付着を防止するため上述のような性質を有する塗工液
を用いることが好ましいのである。
【0035】そこで、以下、吐出法により機能層を形成
する場合に、図2に示すような形状に形成される理由お
よび図3に示すような形状となる理由を説明する。ま
ず、吐出法に塗布された直後の塗工液の形状は凸形状を
呈している。この状態は、図2に示すように中心部と端
部とで膜厚に差を有する。この膜厚の差から、溶媒の存
在量に場所依存性が生じる。つまり、中央部に存在する
溶媒の絶対量と、端部に存在する溶媒の絶対量は、膜厚
の差に比例し、全体的に濃度は同一であるが、存在する
溶媒の量は両者では異なる。さらに、溶媒の乾燥は、膜
厚の薄い端部から進行するため、溶媒の減少度は、端部
のほうが大きくなる。このため、塗工液の内部では、溶
媒の減少度の差による溶媒の濃度勾配が形成され、この
濃度勾配を減少させる方向に塗工液の内部では溶媒が移
動する。もし、この場合、溶媒の揮発速度が速いことか
ら大きな濃度勾配が形成される場合は、端部への溶媒の
移動量が多くなり、これに伴い溶質の移動量も多くな
り、結果的に凹形状に塗工液は乾燥する。しかし、粘性
が低く、高沸点の塗工液の場合は、溶媒の揮発速度が遅
く緩やかに乾燥が進行するため、濃度勾配が形成されに
くく凸形状を保持したまま乾燥することが多い。このこ
とから、凸形状および凹形状に形成される要因は、塗工
液の溶媒の揮発速度の違いに依存していることが示唆さ
れる。そこで、本発明においては、溶媒の揮発速度を状
況に応じて制御することにより吐出法により形成された
機能層の平坦化を実現する。
【0036】ここで、本発明で用いている平坦化とは、
以下の式により表される場合をいうこととする。図1、
図2および図3に示すように、形成された機能層の中心
の膜厚をD1とし、中心から端までの幅の中心から3/
4の位置の膜厚をD2とした場合、両者の関係が、 |D1−D2|≦D1/10 の範囲内にある場合を平坦と定義する。
【0037】図2および図3においては、上記式の範囲
外にある場合を図示したものであり、図2の凸形状の場
合は、D1>D2であることより、両者の関係は、 D1−D2>D1/10 の範囲内にある。一方、図3に示す凹形状の場合は、D
1<D2であるため、両者の関係は、 D2−D1>D1/10 の範囲内にあるといえる。
【0038】本発明においては、上記凸形状または凹形
状の両方の場合に、平坦化を可能とする機能性素子の製
造方法およびその製造に用いる製造装置について以下、
詳細に説明する。
【0039】(機能性素子の製造方法)まず、平坦化を
実現する本発明の機能性素子の製造方法について説明す
る。本発明の機能性素子の製造方法は、溶媒を含む機能
層形成用塗工液を基材上に塗布した後、乾燥させて固化
させる乾燥工程を有する機能性素子の製造方法におい
て、製造される機能層の平坦性を得るために、予め製造
された機能層の形状を検査し、中心部が凸形状の場合
は、前記乾燥工程における溶媒の揮発速度を速くし、中
心部が凹形状の場合は、前記乾燥工程における溶媒の揮
発速度を遅くするように制御することを特徴とする。
【0040】このような特徴を有する本発明の機能性素
子の製造方法は、形成された形状が上述のような凸形状
または、凹形状である場合にそれらの形状を平坦化する
ものである。このような平坦化を実現する本発明の製造
方法においては、一般的には、まず、基材上の所定の位
置に機能層形成用塗工液を塗布する塗布工程が行われ
る。ここで、この工程における塗布法が吐出法である場
合には、吐出させた塗工液の過剰な濡れ広がりを防止す
るため、予め、基材上に隔壁または、濡れ性の差による
パターン等を形成し、基材を調製する基材調製工程を塗
布工程の前に行う場合がある。次いで、塗布工程後に塗
布された機能層形成用塗工液を乾燥させて固化させる乾
燥工程が行われる。本発明の特徴である機能層の平坦化
は、この乾燥工程の際に行われ、この平坦化を伴う乾燥
工程を経ることにより平坦化された機能層を得ることが
できる。
【0041】本発明においては、上述した平坦化を伴う
乾燥工程が本発明における特徴部分であるため、まずは
乾燥工程について説明し、その後、他の工程について説
明することとする。
【0042】1.乾燥工程 本工程は、基材上に塗布された機能層形成用塗工液を乾
燥、固化させることにより機能層を形成する工程であ
る。本工程においては、凸形状および凹形状の両方の形
状を平坦化の対象とし、各々の形状によりその平坦化の
方法が異なるため、以下、各形状ごとに平坦化を伴う乾
燥工程について説明する。
【0043】A. 凸形状の場合 本発明において凸形状とは、特に限定されるものではな
いが、機能層の中心の膜厚をD1とし、中心から端まで
の幅の中心から3/4の位置の膜厚をD2とした場合、
D1>D2から、両者の関係が、D1−D2>D1/1
0の範囲内にある場合をいう。
【0044】形成された機能層が上記式の範囲内にある
凸形状に形成される理由は、上述するように溶媒の揮発
速度が遅いことに起因する。そこで、凸形状に形成され
るおそれがある機能層を平坦化する方法としては、溶媒
の揮発速度を速くすることにより平坦化を実施する。
【0045】本発明において揮発速度を速くする方法と
しては、溶媒の蒸気圧が平衡状態に到達することを回避
することが可能な方法であれば特に限定されるものでは
ない。例えば、揮発溶媒の飽和を防止する方法、圧力を
降下させる方法、熱を加える方法等が挙げられる。これ
らの方法はいずれも溶媒の蒸気圧に影響を与え溶媒の揮
発速度を促進させることを可能とする。また、この中で
も特に、揮発溶媒の飽和を防止する方法であることが好
ましい。具体的に揮発溶媒の飽和を防止する方法として
は、送風により塗工液表面から揮発する溶媒を拡散させ
る方法や、塗布法により塗布する際に塗布基材の移動速
度を速める等の方法が挙げられる。中でも、送風により
揮発溶媒を拡散させ溶媒の飽和を防止する方法であるこ
とが好ましい。この方法が最も効果が高く、緻密なパタ
ーンを有する場合であっても、いずれのパターンにもム
ラの少ない均一な平坦性を保持させることができるから
である。
【0046】さらに、本発明においては、上記揮発速度
を速くする方法を単独または組み合わせることにより、
より一層溶媒の揮発速度を促進することができる。種々
の組合せの中でも、前記送風に加え、加熱を同時に行う
方法が好ましい。これは、塗布法の中でも吐出法を用い
て機能層を形成する場合には、ノズル口への塗工液の付
着を防止するため高沸点の塗工液が用いられることか
ら、ある程度加熱を行わなければ溶媒の揮発を促進する
ことは難しいからである。さらに、加熱により揮発した
溶媒が雰囲気中で飽和状態に達し揮発速度が停滞するこ
とを防止するため、上記送風を組合せることにより、揮
発速度をより一層促進させることが可能となるからであ
る。
【0047】B. 凹形状の場合 本発明において凹形状とは、特に限定されるものではな
いが、機能層の中心の膜厚をD1とし、中心から端まで
の幅の中心から3/4の位置の膜厚をD2とした場合、
D1<D2から、両者の関係が、 D2−D1>D1/10 の範囲内にある場合をいう。
【0048】上記式の範囲内にある凹形状の機能層は、
溶媒の揮発速度が不適当に高速であるために乾燥途中
に、周辺部へ溶媒が集中し、これに伴い溶質も周辺部へ
移動することにより凹形状に機能層形成用塗工液が乾燥
することにより形成される。
【0049】このような凹形状の場合においては、溶媒
の揮発速度を遅くすることにより平坦化を可能とする。
揮発速度を遅くする方法としては、揮発溶媒を雰囲気中
に過度に充満させ溶媒の揮発を抑制する方法や、加圧、
冷却等が挙げられる。具体的な方法として、密閉状態の
中で多少の隙間を調製しながら乾燥させる方法や、圧力
を付加する方法等が挙げられる。
【0050】このような方法により形成された機能層の
平坦化を実現することができる。
【0051】2.その他の工程 本発明においては、上記乾燥工程の前工程として、一般
的には、基材調製工程、塗布工程等が行われる。以下、
これらの工程について簡単に説明する。
【0052】A. 基材調製工程 本発明においては、塗布法の中でも特に吐出法により機
能層を形成することが好ましい。また、吐出法により機
能層を形成した場合には、粘性が低い塗工液が用いられ
る。従って、このような塗工液が基材上に塗布される
と、塗工液の粘性の低さから過剰に濡れ広がることがあ
る。そこで、このような塗工液の過剰な濡れ広がりを防
止する方法を予め基材に施すことが好ましい。このよう
な方法としては、隔壁を設置し塗工液の進行を防止する
方法や親液性および撥液性の濡れ性の差によるパターン
が形成されたパターン形成層を基材上に設ける方法等が
ある。本発明における基材調製工程においては、このよ
うな隔壁や濡れ性の差を有するパターン形成層が基材上
に形成される。
【0053】以下、上記隔壁および濡れ性の差を有する
パターン形成層について説明する。
【0054】(1) 隔壁 本発明における隔壁とは、機能層形成用塗工液の濡れ広
がりを、隔壁側面または表面にて食い止めることができ
るものである。このような隔壁としては、例えば、断面
形状が四角形状、T字形状、逆テーパ形状等のものを挙
げることができる。さらに、より効果的に塗工液の濡れ
広がりを防止するために、撥液性を保持させた隔壁とし
てもよい。このような隔壁は、隔壁自体を撥液性を保持
する材料から形成する方法や、表面に撥液性処理を施し
隔壁表面に撥液性を保持させる方法等により形成するこ
とが可能である。
【0055】(2) パターン形成層 本発明においては、上記隔壁を設置し塗工液の過剰な濡
れ広がりを防止する方法の他に、基材表面に塗工液と良
好な濡れ性を有する親液性領域と、塗工液との濡れ性が
悪い撥液性領域とのパターンが形成されたパターン形成
層を設けることにより、撥液性領域への塗工液の濡れ広
がりを防止し、パターニング精度を向上させる方法があ
る。このようなパターン形成層の形成方法としては、親
液性が要求される領域に親液性の表面処理を施す方法
や、エネルギー照射により表面の濡れ性が変化する濡れ
性変化層を基材上に形成し、エネルギーのパターン照射
により濡れ性の差によるパターンを形成する方法等が挙
げられる。
【0056】B.塗布工程 本発明においては、上記基材調製工程の後に塗布工程が
行われる。この塗布工程とは、基材上の所定の位置に、
塗布法により機能層形成用塗工液をパターン状に塗布す
る工程である。以下、本工程について説明する。
【0057】(1) 塗布法 本発明は、凸形状または凹形状に形成されるおそれがあ
る機能層を平坦化することを主目的とする発明である。
従って、塗布法としては、機能層を凸形状または凹形状
に形成する場合がある塗布法であれば特に限定されな
い。具体的には、印刷法、ディッピング法、吐出法を挙
げることができる。中でも、吐出法であることが好まし
い。吐出法は、その塗布方法から機能層が上記形状に形
成されるおそれが大きいからである。さらに、吐出法の
中でも、インクジェット法であることが好ましい。イン
クジェット法は、一般的に汎用されている吐出法であ
り、材料効率に優れ、製造工程が短い等製造効率上有利
であるからである。
【0058】(2) 機能層形成用塗工液 本発明における機能層とは、発光層、着色層および色変
換層等を挙げることができ、これら各層を形成する際の
塗工液が本発明で言う機能層形成用塗工液となる。
【0059】また、インクジェット法により機能層を形
成する場合には、機能層形成用塗工液としては、インク
ジェット法に適したものが用いられる。このようなイン
クジェット法に用いる塗工液の性質としては、溶媒を含
み、粘性が低く、高沸点であること等が挙げられる。上
記性質を有する機能層形成用塗工液とすることにより、
ノズル口から速やかに滞りなく塗工液を吐出させること
ができ、かつノズル内壁への塗工液の残存を防止し、塗
工液の側面からインクジェット法の塗布精度を向上させ
ることができるからである。
【0060】3.機能層 本発明の機能性素子の製造方法により形成される機能層
としては、EL素子の発光層、CFの着色層または色変
換フィルターの色変換層等が挙げられる。ここで、色変
換フィルターとは、例えば、発光部から青色または白色
の発光を受けた際に、多数色、例えば赤色、緑色、およ
び青色の3原色に色を変換することができる色変換層を
有するフィルターを示すものであり、必要に応じて色補
正用のCFを有するものであってもよい。
【0061】上記各素子は、中心部と端部との膜厚の差
が上述の範囲内に形成された各機能層を有することによ
り、素子特性が向上し、高精細な発色を可能とし、ま
た、EL素子においては素子寿命を伸長させる効果を得
ることができる。 (機能性素子の製造装置)次に、本発明の機能性素子の
製造装置について説明する。本発明の機能性素子の製造
装置は、吐出法により塗工液を塗布する塗布手段と、前
記塗布手段により塗布された塗工液を送風しながら乾燥
させる乾燥手段とを有することを特徴とする。
【0062】上記製造装置により、送風を伴いながら機
能層を乾燥させることができ機能層の平坦化を実現する
ことが可能となる。これは、送風により揮発する溶媒が
雰囲気中に拡散されるため、溶媒の蒸気圧が平衡状態に
到達することが抑制され、溶媒の揮発速度が向上する作
用が及ぼされるからである。以下、本発明の製造装置の
各手段について説明する。
【0063】1.塗布手段 本発明における塗布手段としては、機能層形成用塗工液
を吐出させて塗布する吐出装置であれば特に限定はされ
ない。その中でも、インクジェット装置であることが好
ましい。インクジェット装置は、吐出装置の中でも最も
汎用されている装置であり、塗布手段として製造効率に
優れ、短い製造工程で塗布することを可能とするからで
ある。
【0064】2.乾燥手段 本発明における乾燥手段は、送風しながら乾燥させる乾
燥手段である。このような乾燥手段に用いる送風装置と
しては、揮発溶媒の飽和を抑制させるものであれば特に
限定はされない。このような送風装置としては、例え
ば、薄く平板状に噴出させた空気を一定方向に移動させ
ながら送風するエアナイフ方式、上面から空気を吹き付
けるダウンフロー方式、揮発溶媒を吸引するバキューム
方式等が挙げられる。その中でもエアナイフ方式または
ダウンフロー方式による送風装置であることが好まし
い。これらは、風量の強度調節が可能なため、要求され
る平坦性の度合いに応じて柔軟に対応することができる
からである。さらに、空気を基材に吹き付け揮発溶媒の
拡散を図る方法であることから、基材の隅々にまで空気
が行き渡り、入り組んだ緻密なパターンを有する機能層
の場合においても、パターンごとのムラが少なく、均一
な平坦化を可能とするからである。
【0065】さらに、本発明においては、上記送風装置
に加え加熱装置を組み合わせた乾燥手段とすることが好
ましい。これは、加熱装置により送風および加熱を同時
に行うことにより、吐出法特有に用いられる高沸点な塗
工液の溶媒の揮発速度を効果的に促進することができる
からである。このような加熱装置としては、機能層形成
用塗工液の温度を容易に上昇させ、乾燥、固化させるこ
とが可能であるものならば特に限定されない。従って、
一般的に用いられている加熱装置等を使用することがで
き、具体的には、オーブン、遠赤外線ヒーター、ホット
プレート等が挙げられる。その中でも、ホットプレート
または遠赤外線ヒーターによる加熱装置が好ましい。ホ
ットプレートは、基材の下側から直接熱を伝導させて乾
燥させる装置であるため、熱効率に優れ、かつ加熱ムラ
の少ない装置であるからである。また、遠赤外線ヒータ
ーは深達力が高く、機能層内部まで均一に加熱すること
が可能であるからである。
【0066】このような送風をしながら乾燥させる乾燥
手段の製造装置の例を図示したものが図4および図5で
ある。以下、両図について具体的に説明する。
【0067】図4は、前記送風しながら乾燥させる乾燥
手段における送風装置がエアナイフ方式である一例の概
略斜視図である。具体的には、薄く平面状の空気1を噴
出させるエアナイフ2と、前記エアナイフ2が一定方向
に移動しながら揮発溶媒の拡散を行う際に、その移動を
支持するスライダー3と、吐出法により機能層形成用塗
工液が塗布された基材4を下側から加熱する熱源5とを
示している。少なくともこれらの構成を有する装置によ
り、溶媒の揮発速度を制御しながら乾燥工程を行うこと
ができ、容易に機能層の平坦化を可能とする。
【0068】さらに、図5には製造装置の他の例として
ダウンフロー方式による製造装置を図示している。具体
的には、上面から目的対象物の全面に空気を吹き付ける
ダウンフロー発生装置11と、前記ダウンフロー発生装
置11から発生させた空気12が、吐出法により機能層
形成用塗工液が塗布された状態の基材4に吹き付けら
れ、さらに前記基材4を加熱する熱源5とを図示してい
る。
【0069】3.機能性素子 上記本発明の機能性素子の製造装置は、種々の機能性素
子の製造に用いることが可能である。しかしながら、中
でもEL素子の発光層、CFの着色層または色変換フィ
ルターの色変換層を製造する際に用いられる製造装置で
あることが好ましい。これは当該製造装置により上記各
機能層を形成することにより、機能層の中心部および端
部の膜厚の差が好適に小さい平坦化された機能層を得る
ことができ、EL素子、CFまたは色変換フィルターと
して用いることにより、素子特性が向上し、高精細な発
色が可能となるからである。
【0070】(機能性素子)本発明の機能性素子は、基
材と、前記基材上に形成された、塗工液との接触角が小
さい濡れ性を呈する親液性領域および塗工液との接触角
が上記親液性領域よりも大きい濡れ性を呈する撥液性領
域を有するパターン形成層と、前記パターン形成層の親
液性領域上に形成された機能層とを少なくとも有する機
能性素子において、前記機能層は、機能層の中心の膜厚
をD1とし、中心から端までの幅の中心から3/4の位
置の膜厚をD2とした場合、 |D1−D2|≦D1/10 の範囲内の平坦性を有することを特徴とする。
【0071】以下、本発明の機能性素子の各構成につい
て説明する。
【0072】1.機能層 本発明の機能層は、上述したように中心の膜厚D1と、
中心から端までの幅の3/4の位置の膜厚D2とが、上
記式の範囲内にあることを特徴とする。このように機能
層の中心部と端部との膜厚の差が小さい機能層とする
と、例えばEL素子の発光層、CFの着色層または色変
換フィルターの色変換層として本発明の機能層を用いた
際、高精細な発色を可能とする等の利点が得られる。
【0073】2.パターン形成層 本発明におけるパターン形成層とは、塗工液との接触角
が小さい濡れ性を呈する親液性領域および塗工液との接
触角が上記親液性領域よりも大きい濡れ性を呈する撥液
性領域とを有する層である。このようなパターン形成層
としては、濡れ性の差によるパターンが形成されている
ものであれば特に限定はされないが、本発明において
は、光触媒の作用からエネルギー照射により濡れ性が変
化する性質を有する濡れ性変化層を用いて形成されてい
ることが好ましい。このような濡れ性変化層は、親液性
および撥液性のパターンに応じてエネルギーをパターン
照射するのみで、濡れ性変化層上に濡れ性に差を有する
パターンを容易に形成することができるからである。
【0074】さらに、濡れ性変化層の態様として、濡れ
性変化層自体に光触媒が含有されている光触媒含有層の
場合と、光触媒が含有されていない場合とがある。いず
れもパターン形成層に用いることが可能であるが、光触
媒含有層を用いた場合は、光触媒含有層に直接エネルギ
ーをパターン照射するのみで、光触媒含有層に濡れ性の
差によるパターンを形成することができることから製造
効率上有利である。一方、光触媒を含有しない場合は、
機能性素子として用いた場合に、光触媒の半永久的な作
用による経時劣化が回避できることを利点とする。以
下、パターン形成層として使用可能な光触媒を含有しな
い濡れ性変化層と、光触媒を含有する光触媒含有層とに
ついて詳細に説明する。
【0075】A. 濡れ性変化層 パターン形成層を構成する濡れ性変化層は、光触媒の作
用により表面の濡れ性が変化する層であれば特に限定さ
れるものではないが、一般的にはエネルギーの照射に伴
う光触媒の作用により、その濡れ性変化層表面における
液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する層で
あることが好ましい。また、光触媒を活性化させるエネ
ルギーを透過させる材料である必要がある。
【0076】このように、露光(本発明においては、光
が照射されたことのみならず、エネルギーが照射された
ことをも意味するものとする。)により液体との接触角
が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層とする
ことにより、エネルギーのパターン照射を行うことによ
り容易に濡れ性をパターン状に変化させ、液体との接触
角の小さい親液性領域のパターンを形成することが可能
となり、この親液性領域に機能層形成用塗工液を付着さ
せることにより、機能層を容易に形成することができ
る。
【0077】ここで、親液性領域とは、液体との接触角
が小さい領域であり、機能層形成用塗工液、例えば、機
能性素子がEL素子であれば発光層を形成する発光層形
成用塗工液、機能性素子がCFであれば、画素部(着色
層)着色用の塗工液等に対する濡れ性の良好な領域をい
うこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角
が大きい領域であり、上述の機能層形成用塗工液に対す
る濡れ性が悪い領域をいうこととする。
【0078】上記濡れ性変化層は、露光していない部
分、すなわち撥液性領域においては、塗布される機能層
形成用塗工液に対する接触角が30°以上、好ましくは
40°以上、特に50°以上の濡れ性を示すことが好ま
しい。これは、露光していない部分は、本発明において
は撥液性が要求される部分であることから、液体との接
触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、上記機能層
形成用塗工液が残存する可能性が生じるため好ましくな
いからである。
【0079】また、上記濡れ性変化層は、露光すると液
体との接触角が低下して、塗布される機能層形成用塗工
液に対する接触角が20°以下、特に、10°以下とな
るような層であることが好ましい。露光した部分、すな
わち親液性領域における液体との接触角が高いと、この
部分での機能層形成用塗工液の広がりが劣る可能性があ
り、機能層の欠け等の問題が生じる可能性があるからで
ある。
【0080】なお、ここでいう液体との接触角は、種々
の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協
和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイク
ロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果
から、もしくはその結果をグラフにして得たものであ
る。
【0081】また、本発明において上述したような濡れ
性変化層を用いた場合、この濡れ性変化層中にフッ素が
含有され、さらにこの濡れ性変化層表面のフッ素含有量
が、濡れ性変化層に対しエネルギーを照射した際に、上
記光触媒の作用によりエネルギー照射前に比較して低下
するように上記濡れ性変化層が形成されていてもよい。
【0082】このような特徴を有する濡れ性変化層であ
れば、エネルギーをパターン照射することにより、容易
にフッ素の含有量の少ない部分からなるパターンを形成
することができる。ここで、フッ素は極めて低い表面エ
ネルギーを有するものであり、このためフッ素を多く含
有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。
したがって、フッ素の含有量の多い部分の表面の臨界表
面張力に比較してフッ素の含有量の少ない部分の臨界表
面張力は大きくなる。これはすなわち、フッ素含有量の
少ない部分はフッ素含有量の多い部分に比較して親液性
領域となっていることを意味する。よって、周囲の表面
に比較してフッ素含有量の少ない部分からなるパターン
を形成することは、撥液性域内に親液性領域のパターン
を形成することとなる。
【0083】したがって、このような濡れ性変化層を用
いた場合は、エネルギーをパターン照射することによ
り、撥液性領域内に親液性領域のパターンを容易に形成
することができるので、この親液性領域のみに機能層を
形成することが容易に可能となり、低コストで品質の良
好な機能性素子とすることができる。
【0084】このような濡れ性変化層に用いられる材料
としては、上述した濡れ性変化層の特性、すなわち光触
媒の作用により濡れ性が変化する材料で、かつ光触媒の
作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものであれ
ば、特に限定されるものではないが、例えば、(1)ゾ
ルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を
加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポ
リシロキサン、(2)撥液牲や撥油性に優れた反応性シ
リコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等のオルガ
ノポリシロキサンを挙げることができる。
【0085】上記の(1)の場合、一般式: YSiX(4−n) (ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニ
ル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、
Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示
す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化
合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共
加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであるこ
とが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は
1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示
されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロ
ポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
【0086】また、バインダとして、特にフルオロアル
キル基を含有するポリシロキサンが好ましく用いること
ができ、具体的には、フルオロアルキルシランの1種ま
たは2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙
げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知
られたものを使用することができる。
【0087】また、上記の(2)の反応性シリコーンと
しては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げ
ることができる。
【0088】
【化1】
【0089】ただし、nは2以上の整数であり、R
はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換の
アルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキ
ル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェ
ニル、ハロゲン化フェニルである。また、R、R
メチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので
好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが
好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に
少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
【0090】また、上記のオルガノポリシロキサンとと
もに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしな
い安定なオルガノシリコーン化合物を混合してもよい。
【0091】本発明における濡れ性変化層には、さらに
界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日
光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、B
O、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製Z
ONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロン
S−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メ
ガファックF−141、144、ネオス(株)製フター
ジェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製
ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製
フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいは
シリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることかで
き、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性
剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0092】また、濡れ性変化層には上記の界面活性剤
の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステ
ル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレー
ト、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポ
リカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイ
ミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポ
リプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸
ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイ
ミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリ
ン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマ
ー、ポリマー等を含有させることができる。
【0093】このような濡れ性変化層は、上述した成分
を必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗
布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布することによ
り形成することができる。使用する溶剤としては、エタ
ノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤
が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、デ
ィッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の
塗布方法により行うことができる。また、紫外線硬化型
の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理
を行うことにより濡れ性変化層を形成することかでき
る。
【0094】本発明において、この濡れ性変化層の厚み
は、光触媒による濡れ性の変化速度等の関係より、0.
001μmから1μmであることが好ましく、特に好ま
しくは0.01〜0.1μmの範囲内である。
【0095】本発明において上述した成分の濡れ性変化
層を用いることにより、光触媒の作用による上記成分の
一部である有機基や添加剤の酸化、分解等の作用を用い
て、露光部の濡れ性を変化させて親液性とし、未露光部
との濡れ性に大きな差を生じさせることができる。よっ
て、機能層形成用塗工液との受容性(親液性)および反
撥性(撥液性)を高めることによって、品質の良好でか
つコスト的にも有利な機能性素子を得ることができる。
【0096】本発明において上述のような濡れ性変化層
をパターン形成層に用いた場合の親液性および撥液性の
パターンの形成方法としては、少なくとも光触媒を有す
る層を別個に準備し、この光触媒を有する層と濡れ性変
化層とを接触またはある程度の間隔を置いて配置させた
状態でパターン露光し、次いで、光触媒を有する層を濡
れ性変化層から剥離することにより親液性および撥液性
のパターンを有する濡れ性変化層を得ることができる。
【0097】B. 光触媒含有層 本発明に用いられる光触媒含有層は、少なくとも光触媒
とバインダとからなり、エネルギー照射により塗工液と
の接触角が低下する方向に濡れ性が変化するものであ
る。このような光触媒含有層としては、上記濡れ性変化
層に光触媒を含有させることにより得ることできる。そ
こで、バインダ等の濡れ性変化層と同様の構成のものに
ついては、ここでの説明を省略し、以下、光触媒に関す
ることについて説明する。
【0098】本発明で使用する光触媒としては、光半導
体として知られる例えば二酸化チタン(TiO)、酸
化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ス
トロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(W
)、酸化ビスマス(Bi )、および酸化鉄
(Fe)を挙げることができ、これらから選択し
て1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0099】本発明においては、特に二酸化チタンが、
バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性
もなく、入手も容易であることから好適に使用される。
二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発
明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型
の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタン
は励起波長が380nm以下にある。
【0100】このようなアナターゼ型二酸化チタンとし
ては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル
(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、
石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナタ
ーゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平
均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0101】光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効
果的に起こるので好ましく、平均粒径か50nm以下が
好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好
ましい。
【0102】また、バインダを用いる場合は、バインダ
の主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないよ
うな高い結合エネルギーを有するものが好ましく、例え
ば上述する濡れ性変化層で詳しく説明するオルガノポリ
シロキサン等を挙げることができる。
【0103】このようにオルガノポリシロキサンをバイ
ンダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒
とバインダであるオルガノポリシロキサンを必要に応じ
て他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製
し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成する
ことができる。使用する溶剤としては、エタノール、イ
ソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好まし
い。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコ
ート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法
により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型
の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理
を行うことにより光触媒含有層を形成することかでき
る。
【0104】このような光触媒含有層中の光触媒の含有
量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の
範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の厚
みは、0.05〜10μmの範囲内が好ましい。
【0105】また、光触媒含有層には上記の光触媒、バ
インダの他に、界面活性剤を含有させることができる。
界面活性剤としては、上述の濡れ性変化層における場合
と同様であるためここでの説明は省略する。
【0106】本発明において光触媒含有層はその内部に
光触媒を含有するため、直接光触媒含有層層にパターン
露光を行うことにより光触媒の作用から親液性および撥
液性のパターンを形成することが可能である。
【0107】3.その他 A.隔壁 本発明においては、機能層形成用塗工液の過剰な濡れ広
がりを防止する手段として、上記機能層の平均膜厚より
も高い隔壁が設けられていないことが好ましい。
【0108】なお、上記パターン形成層により濡れ性の
パターンが基材上に設けられている場合は、パターン形
成層により、機能層形成用塗工液の過剰な濡れ広がりを
防止することができるため、この場合は、隔壁を設けな
くてもよい。
【0109】B.基材 本発明に用いる基材は、特に限定されるものではない
が、この基材面側に通常発光させるものであることか
ら、透明性が高いものが好ましく、ガラス等の無機材料
や、透明樹脂等を用いることができる。
【0110】上記透明樹脂としては、フィルム状に成形
が可能であれば特に限定されるものではないが、透明性
が高く、耐溶媒性、耐熱性の比較的高い高分子材料が好
ましい。具体的には、ポリエーテルスルホン、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(P
C)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ
フッ化ビニル(PFV)、ポリアクリレート(PA)、
ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、非晶
質ポリオレフィン、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ
スチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、
ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレン
エーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテ
ルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミ
ド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポ
リエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリミクロイキシレンジメチレンテ
レフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスル
ホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレー
ト、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ABS樹脂、フ
ェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン
樹脂、および非晶質ポリオレフィン等が挙げられる。
【0111】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の
特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一
な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかな
るものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0112】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに説明す
る。
【0113】(実施例1) 1.光触媒含有層用塗布液の合成 酸化チタンゾル(商品名:ST-K03、石原産業(株)製)
100g、2N塩酸90g、蒸留水110g、イソプロ
ピルアルコール150g、フルオロアルキルシラン(商
品名:MF-160E)トーケムプロダクツ社製、N−[3−
(トリメトキシシリル)−プロピル]−Nエチルパーフ
ルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル
50重量%溶液)0.36gを混合し、75℃で1時間
攪拌した。室温に冷却後イソプロピルアルコールで1.
25倍に希釈して光触媒含有層用塗布液を得た。
【0114】2.透明基板上への親液性パターン形成 300×400×0.7mmの無アルカリガラス基板に
上記光触媒含有層用塗布液をスピンコーティングし、光
触媒含有層を形成した。この状態で、濡れ性変化層は發
液性(40mN/mの濡れ指数標準液での接触角:74
°)を示した。紫外線を開口部90μm×200,00
0μm、100μmピッチで1024本のライン状のマ
スクパターンを介して照射したところ、光触媒含有層上
に同ピッチの親液性(40mN/mの濡れ指数標準液で
の接触角:0°)のラインパターンが形成された。
【0115】3.カラーフィルター層形成用塗工液 固形分20%(バインダー:顔料=1:1)、溶剤がジ
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートから
なるカラーフィルター層形成用塗工液を調整した。
【0116】4.インクジェット塗布 128個の吐出穴を有するピエゾ駆動型ヘッドを用意
し、上記カラーフィルター層形成用塗工液を吐出させ、
上記親液性パターンを有する透明基板の親液性パターン
部分に吐出させた。塗工液は親液性部分に均一に濡れ広
がった。
【0117】5.塗膜の乾燥 上記インクジェット法により親液性部分に塗工液を吐出
させた基板を130℃のホットプレート上に置き、カラ
ーフィルターの上面から20mmのギャップを設けた位
置から、0.45m/secの風速の空気を基板全面に
3分間吹き付けた。次いで、紫外線で硬化させた後、2
30℃のオーブンで1時間焼成しカラーフィルターを作
製した。
【0118】6.塗膜の表面形状 このようにして形成されたカラーフィルター層の表面は
平坦であり、膜厚を測定した結果、カラーフィルター1
画素内の中心の膜厚0.53μm(D1)に対して、中
心から端までの幅の中心から3/4の位置の膜厚は0.
51μm(D2)であり、 D1−D2(=0.02)<D1/10(=0.05
3) の範囲内にあるものであった。
【0119】(実施例2)実施例1と同様に、透明基板
上へ親液性パターンを形成し、この親液性パターン親液
部にピエゾ型ヘッドからカラーフィルター層形成用塗工
液を吐出した。
【0120】1.塗膜の乾燥 上記インクジェット法により親液性部分に塗工液を吐出
させた基板を130℃のホットプレート上に置き、カラ
ーフィルターの上面から10mmのギャップを設けた位
置から、エアナイフを10mm/secの速さでカラー
フィルター塗布方向に沿って基板面内を往復させながら
1.5mm/secの風速の空気を吹き付けた。紫外線
で硬化させた後、230℃のオーブンで1時間焼成しカ
ラーフィルターを作製した。
【0121】2.塗膜の表面形状 このようにして形成されたカラーフィルター層の表面は
平坦であり、膜厚を測定した結果、カラーフィルター1
画素内の中心の膜厚0.50μm(D1)に対して、中
心から端までの幅の中心から3/4の位置の膜厚は0.
49μm(D2)であり、 D1−D2(=0.01)<D1/10(=0.05) の範囲内にあるものであった。
【0122】(比較例1)塗膜の乾燥を130℃ホット
プレートのみで行い、揮発した溶媒の拡散速度を実施例
1と比較して遅くした以外は実施例1と同様にパターン
の形成を行った。膜厚を測定した結果、形成されたカラ
ーフィルター層の表面は凸形状であり、カラーフィルタ
ー1画素内の膜厚0.55μm(D1)に対して、中心
から端までの幅の中心から3/4の位置の膜厚は0.4
8μm(D2)であり、 D1−D2(=0.07)>D1/10(=0.05
5) の範囲内にあるものであった。
【0123】(比較例2)塗膜の乾燥時のホットプレー
ト温度を150℃とし、実施例1と同様にパターンの形
成を行った。膜厚を測定した結果、形成されたカラーフ
ィルター層の表面は沿って凹形状であり、カラーフィル
ター1画素内の膜厚0.50μm(D1)に対して、中
心から端までの幅の中心から3/4の位置の膜厚は0.
56μm(D2)であり、 D2−D1(=0.06)>D1/10(=0.05) の範囲内にあるものであった。
【0124】
【発明の効果】本発明によれば、塗布された塗工液を乾
燥させる工程において、形成された機能層の形状に応じ
て溶媒の揮発速度を制御することにより、機能層の中心
部と端部とにおける膜厚の差が小さくなり平坦化された
機能層を形成することができ、このような平坦化された
機能層を有する機能性素子は色調ムラ等の不都合を発生
させる可能性を低下させる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】平坦化された機能層の一例を示す概略断面図で
ある。
【図2】凸形状に形成された機能層の一例を示す概略断
面図である。
【図3】凹形状に形成された機能層の一例を示す概略断
面図である。
【図4】機能性素子の製造装置の一例を示す概略斜視図
である。
【図5】機能性素子の製造装置の他の例を示す概略斜視
図である。
【符号の説明】 D1 … 機能層の中心の膜厚 D2 … 機能層の中心から端までの幅の中心から3/
4の位置の膜厚
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/14 H05B 33/14 A Fターム(参考) 2H048 BA02 BA64 BB02 BB28 BB42 3K007 AB04 AB18 BB06 DB03 FA01 3L113 AA01 AB01 AC08 AC10 AC69 BA34 CA01 CB05 CB06 CB23 DA24 4F042 AA02 AA06 AB00 BA18 BA25 CB10 DB01 DB19 DB26 DD34

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶媒を含む機能層形成用塗工液を基材上
    に塗布した後、乾燥させて固化させる乾燥工程を有する
    機能性素子の製造方法において、製造される機能層の平
    坦性を得るために、予め製造された機能層の形状を検査
    し、中心部が凸形状の場合は、前記乾燥工程における溶
    媒の揮発速度を速くし、中心部が凹形状の場合は、前記
    乾燥工程における溶媒の揮発速度を遅くするように制御
    することを特徴とする機能性素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 予め製造された機能層の中心の膜厚をD
    1とし、中心から端までの幅の中心から3/4の位置の
    膜厚をD2とした場合、前記中心部が凸形状の場合と
    は、 D1−D2>D1/10 の範囲内にある場合であり、また、前記中心部が凹形状
    の場合とは、 D2−D1>D1/10 の範囲内にある場合であることを特徴とする請求項1に
    記載の機能性素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記機能層形成用塗工液が、吐出法によ
    り塗布されることを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載の機能性素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記吐出法は、インクジェット法である
    ことを特徴とする請求項3に記載の機能性素子の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記溶媒の揮発速度を速くする方法が、
    基材上に塗布された機能層形成用塗工液に対して送風す
    る方法であることを特徴とする請求項1から請求項4ま
    でのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記溶媒の揮発速度を速くする方法が、
    さらに加熱を行う方法であることを特徴とする請求項5
    に記載の機能性素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記機能層は、有機エレクトロルミネッ
    セント素子の発光層、カラーフィルターの着色層、また
    は、色変換フィルターの色変換層であることを特徴とす
    る請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載
    の機能性素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 吐出法により塗工液を塗布する塗布手段
    と、前記塗布手段により塗布された塗工液を送風しなが
    ら乾燥させる乾燥手段とを有することを特徴とする機能
    性素子の製造装置。
  9. 【請求項9】 前記送風しながら乾燥させる乾燥手段
    が、薄く平面状に噴出させた空気を一定方向に移動させ
    ながら送風するエアナイフ方式であることを特徴とする
    請求項8に記載の機能性素子の製造装置。
  10. 【請求項10】 前記送風しながら乾燥させる乾燥手段
    が、上面から空気を吹き付けるダウンフロー方式である
    ことを特徴とする請求項8に記載の機能性素子の製造装
    置。
  11. 【請求項11】 基材側から熱を加える加熱手段を有す
    ることを特徴とする請求項8から請求項10までのいず
    れかの請求項に記載の機能性素子の製造装置。
  12. 【請求項12】 前記加熱手段が、ホットプレートまた
    は遠赤外線ヒーターであることを特徴とする請求項11
    に記載の機能性素子の製造装置。
  13. 【請求項13】 前記塗布手段はインクジェット装置で
    あることを特徴とする請求項8から請求項12までのい
    ずれかの請求項に記載の機能性素子の製造装置。
  14. 【請求項14】 前記機能性素子が、有機エレクトロル
    ミネッセント素子、カラーフィルター、または、色変換
    フィルターであることを特徴とする請求項8から請求項
    13までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造
    装置。
  15. 【請求項15】 基材と、前記基材上に形成された、塗
    工液との接触角が小さい濡れ性を呈する親液性領域およ
    び塗工液との接触角が前記親液性領域よりも大きい濡れ
    性を呈する撥液性領域を有するパターン形成層と、前記
    パターン形成層の親液性領域上に形成された機能層とを
    少なくとも有する機能性素子において、前記機能層は、
    機能層の中心の膜厚をD1とし、中心から端までの幅の
    中心から3/4の位置の膜厚をD2とした場合、 |D1−D2|≦D1/10 の範囲内の平坦性を有することを特徴とする機能性素
    子。
  16. 【請求項16】 前記パターン形成層は、エネルギー照
    射により表面の濡れ性が変化する濡れ性変化層からなる
    ことを特徴とする請求項15に記載の機能性素子。
  17. 【請求項17】 前記濡れ性変化層は、光触媒を有する
    ことを特徴とする請求項16に記載の機能性素子。
  18. 【請求項18】 前記機能層はインクジェット法により
    形成されていることを特徴とする請求項15から請求項
    17までのいずれかの請求項に記載の機能性素子。
  19. 【請求項19】 前記機能性素子には、機能層の平均膜
    厚よりも高い隔壁が形成されていないことを特徴とする
    請求項15から請求項18までのいずれかの請求項に記
    載の機能性素子。
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