JP2003261057A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置

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JP2003261057A
JP2003261057A JP2002063622A JP2002063622A JP2003261057A JP 2003261057 A JP2003261057 A JP 2003261057A JP 2002063622 A JP2002063622 A JP 2002063622A JP 2002063622 A JP2002063622 A JP 2002063622A JP 2003261057 A JP2003261057 A JP 2003261057A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モータの整流子とブラシとの接触面の酸化被
膜の影響を排除し、常に正確にモータ電流検出器の故障
の検出ができる電動パワーステアリング装置を提供す
る。 【解決手段】 電流偏差値演算比例積分部23では、電
流指令値演算部22で演算された電流指令値Iと検出さ
れたモータ電流iとの差Δiを演算し、その差Δiに基
づく比例・積分動作(PI動作)を実行してモータを制
御する電流制御値Eを出力し、モータを駆動する。接触
面に酸化被膜が無いときはモータ電流検出値iは電流指
令値Iに略一致するが、接触面に酸化被膜があると差Δ
iは大きくなり、差Δiが積分されるから電流制御値E
は増大し、モータ印加電圧Vは次第に高くなる。この結
果、接触面の酸化被膜が絶縁破壊され、酸化被膜の影響
を排除して常に正確にモータ電流検出器の故障を検出す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電動パワーステ
アリング装置に関し、特にそのモータ電流検出手段の故
障を検出できる電動パワーステアリング装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】車両用の電動パワーステアリング装置
は、操向ハンドルの操作によりステアリングシヤフトに
発生する操舵トルクと車速を検出し、その検出信号に基
づいてモータを駆動して操向ハンドルの操舵力を補助す
るものである。このような電動式パワーステアリング装
置の制御は電子制御回路で実行されるが、その制御の概
要は、トルクセンサで検出された操舵トルクと車速セン
サで検出された車速に基づいてモータに供給する電流の
大きさを演算し、その演算結果に基づいてモータに供給
する電流を制御する。
【0003】即ち、電子制御回路は、操向ハンドルが操
作されて操舵トルクが発生しているときに、検出された
車速が零あるいは低速の場合は大きな操舵補助力を供給
し、検出された車速が速い場合は小さな操舵補助力を供
給するように操向ハンドルの操舵力と車速に応じてモー
タに供給する電流を制御することで、走行状態に応じた
最適の操舵補助力を与えることができるものである。
【0004】この種の装置では、実際にモータに流れる
電流が、操舵トルクや車速に基づいて演算されたモータ
電流の制御目標値に一致するようにフィードバック制御
を行なっており、このためにモータに流れる電流を検出
するモータ電流検出手段を備えている。
【0005】前記したモータ電流検出手段が故障した場
合は正確なモータ電流を測定することができず、この結
果、必要以上の電流がモータに流れて過大な操舵補助力
を供給したり、或いはモータに必要なだけの電流が流れ
ず、十分な操舵補助力を供給できないという不都合が発
生することになる。
【0006】さらに、車両の制御機構の動作確認はエン
ジン始動時に行なわれるのが普通であり、モータ電流検
出手段の動作確認もこの時点で行われる。モータ電流検
出手段の動作確認のためにはモータに電流を流すが、こ
のときモータが回転してしまうと、モータ軸とステアリ
ング機構が結合している状態では操向ハンドルが回転し
てしまい、不測の事故が発生するおそれがある。
【0007】この課題への対応として本出願人は、モー
タの電気的時定数よりも大きく、且つモータの機械的時
定数よりも小さい時間だけ前記モータに電圧を印加した
ときに予測される電流値と、モータ電流検出手段により
検出されたモータ電流値に基づいて、モータ電流検出手
段の故障を判定する故障判定手段を提案した(特開平8
−91239号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記したモータ電流検
出手段の故障判定手段では、イグニッションキーをON
としたエンジン始動の直後の短時間だけ、即ち、モータ
の電気的時定数よりも大きく、且つモータの機械的時定
数よりも小さい時間だけモータに電圧を印加して、故障
を判定している。これは、エンジン始動直後にモータが
回転すると、操向ハンドルが突然回転してしまい不測の
事故が発生することを防ぐために必要なことである。
【0009】しかしながら、モータが新しい場合は特に
支障はないが、ある程度の期間使用されるとモータの整
流子とブラシとの接触面に電気絶縁特性を持つ酸化被膜
が形成され、時間経過と共に酸化被膜が厚くなり電気抵
抗が高まる傾向があるから、より高い電圧をモータに印
加しないとモータ電流が流れなくなる。
【0010】図5はモータの整流子とブラシとの接触面
の酸化被膜の影響を説明する図である。図5の(a)に
おいて、線Aはモータが新品で接触面に酸化被膜が無い
正常な場合を示しており、印加電圧とモータ電流とは比
例関係にあり、印加電圧が高くなるとモータ電流も比例
して増加している。線Bは接触面に酸化被膜が生じた場
合を示しており、印加電圧が高くなってもモータ電流は
殆ど増加せず、印加電圧がある値Sに達すると酸化被膜
が絶縁破壊されて電気抵抗が急激に低下し、正常な場合
の印加電圧に対応するモータ電流が流れるようになるこ
とがわかる。
【0011】図5の(b)は、時間経過と共に酸化被膜
が厚くなった場合に、酸化被膜が絶縁破壊される印加電
圧がS1 、S2 、S3 と次第に高まる様子を示してい
る。
【0012】このように、モータ電流検出手段の故障判
定のために短時間だけ低い電圧をモータに印加したので
は、整流子とブラシとの接触面の酸化被膜のためにモー
タ電流が検出されないか、或いは僅かのモータ電流しか
検出されず、モータ電流検出手段が故障していると誤っ
た判定をするおそれがある。この発明は、上記課題を解
決することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明は上記課題を解
決するもので、請求項1の発明は、少なくともステアリ
ングシヤフトに発生する操舵トルク信号に基づいてステ
アリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御
する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置にお
いて、前記制御手段は、モータ電流の指令値を演算する
電流指令値演算手段と、モータ電流を検出するモータ電
流検出手段と、前記電流指令値とモータ電流検出値との
差分を比例積分器を介して積分した電流制御値を出力す
る電流偏差値演算比例積分手段と、モータ電流検出値が
予め設定された限界値の範囲外であるときモータ電流手
段の故障を判定する故障判定手段とを備え、前記制御手
段は、モータの電気的時定数よりも大きく、且つモータ
の機械的時定数よりも小さい時間だけモータ電流指令値
を設定すると共に、前記電流偏差値演算比例積分手段か
ら出力された電流制御値に基づいてモータ印加電圧値を
設定してモータを駆動し、検出されたモータ電流に基づ
いて故障判定手段によるモータ電流手段の故障の判定を
実行させることを特徴とする。
【0014】そして、前記制御手段は、前記電流偏差値
演算比例積分手段から出力される電流制御値に基づくモ
ータ印加電圧値を、モータの整流子とブラシとの接触面
の酸化被膜の絶縁破壊が行われる電圧にまで高める。
【0015】また、前記故障判定手段は、前記モータ電
流検出手段による複数回のモータ電流のサンプリングに
よる検出結果に基づいてモータ電流検出手段の故障を判
定するものとする。
【0016】さらに、前記故障判定手段は、前記モータ
電流検出手段による複数回のモータ電流のサンプリング
による検出結果の中に、予め設定されたモータ電流限界
値の範囲内のものと範囲外のものが含まれているとき
は、直ちにモータ電流検出手段の故障と判定せず、再度
複数回のモータ電流のサンプリングによる検出を行なっ
てその検出結果の中にモータ電流限界値の範囲外のもの
が含まれるとき、或いは時系列的に次第に高められたモ
ータ印加電圧値に対応するモータ電流値の検出結果が予
め設定されたモータ電流限界値の範囲外のものであると
き、モータ電流検出手段の故障と判定するようにすると
よい。
【0017】また、前記故障判定手段は、前記モータ電
流検出手段による複数回のモータ電流のサンプリングに
よる検出結果の中に、予め設定されたモータ電流限界値
の範囲外の値が連続して指定回数検出されたときモータ
電流検出手段の故障と判定するようにしてもよい。
【0018】そして、前記モータ印加電圧値は、モータ
の機械的時定数に対応する電圧値を上限とする。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて説明する。図1は、この発明を実施するに適した電
動パワーステアリング装置の構成の概略を説明する図
で、操向ハンドル1の軸2は減速ギア4、ユニバーサル
ジョイント5a、5b、ピニオンラック機構7を経て操
向車輪のタイロッド8に結合されている。軸2には操向
ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ3が設
けられており、また、操舵力を補助するモータ10がク
ラッチ9、減速ギア4を介して軸2に結合している。
【0020】パワーステアリング装置を制御する電子制
御回路13は、バッテリ14からイグニッションキー1
1を経て電力が供給される。電子制御回路13は、トル
クセンサ3で検出された操舵トルクと車速センサ12で
検出された車速に基づいて電流指令値の演算を行い、演
算された電流指令値に基づいてモータ10に供給する電
流iを制御する。
【0021】クラッチ9は電子制御回路13により制御
される。クラッチ9は通常の動作状態では結合してお
り、電子制御回路13によりパワーステアリング装置の
故障と判断された時、及び電源がOFFとなっている時
に切離される。
【0022】図2は、制御手段を構成する電子制御回路
13のブロック図である。この実施の形態では電子制御
回路13は主としてCPUから構成されるが、ここでは
そのCPU内部においてプログラムで実行される機能を
示している。例えば、位相補償器21は独立したハード
ウエアとしての位相補償器21を示すものではなく、C
PUで実行される位相補償機能を示す。なお、電子制御
回路13をCPUで構成せず、これらの機能要素をそれ
ぞれ独立したハードウエア(電子回路)で構成できるこ
とは言うまでもない。
【0023】以下、電子制御回路13の機能と動作を説
明する。トルクセンサ3から入力された操舵トルク信号
は、位相補償器21で操舵系の安定を高めるために位相
補償され、電流指令値演算手段である電流指令値演算部
22に入力される。また、車速センサ12で検出された
車速も電流指令値演算部22に入力される。電流指令値
演算部22は、入力されたトルク信号と車速信号に基づ
いて所定の演算式によりモータ10に供給する電流の制
御目標値である電流指令値Iを演算する。
【0024】電流偏差値演算比例積分手段を構成する電
流偏差値演算比例積分部23は、電流指令値演算部22
から出力された電流指令値Iとモータ電流検出手段を構
成するモータ電流検出器25で検出された実際のモータ
電流値iとの差の値Δiを演算し、その差Δiに基づく
比例・積分動作(PI動作)を実行して、モータを制御
する電流制御値Eを出力する演算要素である。
【0025】電流偏差値演算比例積分部23の動作を説
明する。正常にモータ電流値iが検出されているとき
は、差の値Δiは略零になるから電流偏差値演算比例積
分部23から出力される電流制御値Eは電流指令値Iに
略等しくなり、差の値Δiが零になるようにフィードバ
ック制御され、モータの駆動制御が行われる。
【0026】正常にモータ電流値iが検出されないとき
は、電流指令値Iと検出された実際のモータ電流値iと
差の値Δiは大きい。従って、電流指令値Iと検出され
たモータ電流値iとの差の値Δiに基づく比例・積分動
作(PI動作)の結果、電流制御値Eは次第に増大し、
モータ端子間に印加されるモータ印加電圧Vは次第に高
くなる。
【0027】また、モータの整流子とブラシとの接触面
が電気絶縁性の酸化被膜で覆われているときは、モータ
に電圧が印加された当初はモータ電流値iは僅かである
が、僅かに検出されたモータ電流値iが電流偏差値演算
比例積分部23にフィードバックされ、差の値Δiが積
分されていくから電流制御値Eは次第に増大し、モータ
印加電圧Vは次第に高くなる。
【0028】モータ印加電圧Vが次第に高くなり、ある
値を越えると、モータの整流子とブラシとの接触面の酸
化被膜が絶縁破壊される。この結果、増大された前記電
流制御値Eに基づいた高いモータ印加電圧Vに対応し
て、大きなモータ電流が急激に流れる。しかし、この後
はモータ電流値iが正常に検出されるようになるから、
電流指令値Iと検出されたモータ電流値i差の値Δiが
零になるようにフィードバック制御されてモータの駆動
制御が行われる。
【0029】モータ電流認識部31は、モータ電流検出
器25で検出されたモータ電流値iが予め設定されてい
るモータ電流限界値の範囲の内か外かを判定し、範囲外
のときはモータ電流検出器25に障害が発生したことを
示す障害信号を出力する。また、範囲内であるときは無
障害信号を出力する。
【0030】故障判定手段を構成する故障判定部33
は、モータ電流認識部31から出力された複数の障害信
号と、イグニッションキーのONを検出するIGキーO
N検出器32から出力された信号、及びバッテリ電圧が
正常か否かを判定するバッテリ電圧検出器35から出力
された信号に基づいてモータ電流検出器25の故障を判
定し、故障判定信号を出力する。
【0031】フェールセーフ処理器34は、故障判定部
33から出力された故障判定信号に基づいてリレー回路
36を作動させ、モータへの給電を停止する。上記した
故障判定とフェールセーフ処理は後で詳細に説明する。
【0032】図3はモータ駆動回路24の構成の一例を
示す回路図である。モータ駆動回路24は、入力された
電流制御値EをPWM信号と電流方向信号とに分離変換
する変換部41、FET1 〜FET4 、及びそれ等のゲ
ートを開閉駆動するFETゲート駆動回路42等からな
る。なお、昇圧電源43はFET1 、FET2 のハイサ
イド側を駆動する電源である。
【0033】PWM信号(パルス幅変調信号)は、Hブ
リツジ接続されたFET(電界効果トランジスタ)スイ
ツチング素子FET1 〜FET2 のゲートを駆動する信
号であって、電流制御値Eの絶対値によりPWM信号の
デユーテイ比(FETのゲートをON/OFFする時間
比)が決定される。
【0034】電流方向信号は、モータに供給する電流の
方向を指示する信号で、電流制御値Eの符号(正負)に
より決定される信号である。
【0035】FET1 とFET2 は前記したPWM信号
のデユーテイ比に基づいてゲートがON/OFFされる
スイツチング素子で、モータに流れる電流の大きさを制
御するためのスイツチング素子である。また、FET3
とFET4 は前記した電流方向信号に基づいてゲートが
ON或いはOFFされる(一方がONの時、他方はOF
Fとなる)スイツチング素子で、モータに流れる電流の
方向、即ちモータの回転方向を切り換えるスイツチング
素子である。
【0036】FET3 が導通状態にあるときは、電流は
FET1 、モータ10、FET3 、抵抗R1 を経て流
れ、モータ10に正方向の電流が流れる。また、FET
4 が導通状態にあるときは、電流はFET2 、モータ1
0、FET4 、抵抗R2 を経て流れ、モータ10に負方
向の電流が流れる。
【0037】モータ電流検出回路25は、抵抗R1 の両
端における電圧降下に基づいて正方向電流の大きさを検
出し、また、抵抗R2 の両端における電圧降下に基づい
て負方向電流の大きさを検出する。検出された実際のモ
ータ電流値iは電流偏差値演算比例積分部23にフィー
ドバックして入力されるほか、モータ電流認識部31に
も入力される(図2参照)。
【0038】以上説明した電子制御回路は、操向ハンド
ルが操作されて操舵トルクが発生しているときに、検出
された操舵トルクが大きく、また検出された車速が零あ
るいは低速の場合は電流指令値Iを大きく設定し、検出
された操舵トルクが小さく、また検出された車速が速い
場合は電流指令値Iを小さく設定するから、走行状態に
応じた最適の操舵補助力を与えることができる。
【0039】次に、モータ電流検出器25の故障の判
定、及び検出結果に基づくフェールセーフ処理について
説明する。
【0040】まず、その原理を説明する。イグニッショ
ンキー11をONとし、モータに電圧Vを印加したと
き、モータ端子間電圧Vとモータに流れる電流iとの間
には、以下の式(1)の関係がある。
【0041】 V=L・di/dt+Ri+kT ω・・・・・・・・・(1) ここで、kT はモータの逆起電力定数、ωはモータの角
速度、Lはモータのインダクタンス、Rはモータの端子
間抵抗である。
【0042】モータの機械的時定数Tm はモータの慣性
モーメントJをモータの粘性抵抗Bで割った値で、Tm
=J/Bで表され、また、モータの電気的時定数Te は
モータのインダクタンスLをモータの抵抗Rで割った値
であり、Te =L/Rで表される。
【0043】モータの機械的時定数Tm よりも十分に小
さく、モータの電気的時定数Te よりも十分に大きい時
間Tを設定し(Te <<T<<Tm )、初期状態から時
間Tだけモータに電圧Vを印加した場合の、モータ電流
iとモータの角速度ωの過渡特性、及びモータ電流をサ
ンプリングする時期を図4により説明する。
【0044】即ち、図4(a)はモータ印加電圧Vと時
間Tの関係を示すもので、サンプリングを開始する前の
時間T0 まではモータに一定の電圧V0 が印加され、サ
ンプリングが開始されるとモータ印加電圧Vは時間の経
過とともに次第に高くなることを示している。
【0045】また、図4(b)はモータ電流と時間の関
係を示すもので、正常な状態、即ちモータの整流子とブ
ラシとの接触面が電気絶縁性の酸化被膜で覆われていな
い場合には、モータに電圧Vが印加されるとモータ電流
は早い時期に立上がり(モータの電気的時定数Te <<
電圧Vの印加時間T)、定常電流iが流れることを示し
ている。
【0046】図4(c)はモータの角速度ωと時間の関
係を示すもので、モータに電圧Vが印加される時間Tの
範囲では、モータの機械的時定数Tm が大きく、モータ
の角速度ωは殆ど零であること、即ち回転しないことを
示している。更に、前記モータ電流の予測値is をステ
アリング機構の静止摩擦トルクに対応した値以下になる
ようにモータ印加電圧を設定すれば、モータが回転しな
い条件を完全に達成することができる。
【0047】また、図4(d)は実際にモータに流れる
モータ電流iを検出するサンプリング時期を示すもの
で、モータに電圧Vを印加後、T0 時間後からサンプリ
ングを開始することを示している。
【0048】このように、モータ電流検出器25の故障
の判定は、イグニッションキー11をONにした直後
に、複数回のモータ電流値iのサンプリングを行なって
実行される。
【0049】以下、図2によって、この発明のモータ電
流検出器25の故障の判定、及び検出結果に基づくフェ
ールセーフ処理の構成と動作について説明する。
【0050】モータ電流検出器25によるモータ電流値
iの検出ができない原因には、モータ電流検出器25は
故障していないにも拘らず、モータの整流子とブラシと
の接触面が電気絶縁性の酸化被膜で覆われているためモ
ータ電流が流れない或いは僅かの電流しか流れない場合
と、モータ電流検出器25そのものが故障している場合
とがある。
【0051】そこで、この発明では、モータの整流子と
ブラシとの接触面の酸化被膜を絶縁破壊してからモータ
電流値iを検出するようにしたものであり、これにより
モータ電流検出器25そのものの故障を正確に検出する
ことができる。
【0052】イグニッションキー11をONにすると、
図示しないタイマTMにより予め設定された所定時間T
だけモータに電圧Vが印加される。イグニッションキー
11のONはI.G.キーON検出器32により検出さ
れ、その検出信号と、バッテリ電圧検出器35により検
出されたバッテリ電圧VBAが故障検出部33に入力され
る。
【0053】モータ電流検出器25の故障判定の際は、
操舵トルクは発生しておらず車速も零であるから、モー
タを駆動して補助トルクを発生させる状態にない。この
ため故障判定の際には、モータ10に電圧Vが印加され
るよう、電流指令値演算部22から予め定めた故障判定
用の電流指令値Iを出力させるものとする。
【0054】一方、図示しないタイマTMにより予め設
定された所定時間T0 (T0 <T)だけ経過した時点に
おいて、モータ電流値iのサンプリングが行われる。サ
ンプリングはタイマTMにより予め設定された所定時間
Ts だけ実行される。
【0055】先にも説明したとおり、電流偏差値演算比
例積分部23では、電流指令値Iと検出されたモータ電
流値iとの差の値Δiが演算され、その差Δiに基づく
比例・積分動作(PI動作)が実行され、モータを制御
する電流制御値Eが出力される。モータの整流子とブラ
シとの接触面が酸化被膜で覆われているときは、差の値
Δiは大きく電流指令値Iは増大し、電流制御値Eも次
第に増大する。このため、モータ印加電圧Vは次第に高
くなるから、モータ印加電圧Vがある値を越えると酸化
被膜が絶縁破壊されて正常にモータに電流が流れ、モー
タ電流値iが検出されるようになる。
【0056】電流偏差値演算比例積分部23で実行され
る上記の処理は、接触面が酸化被膜で覆われていても覆
われていなくても常に実行されるから、モータ電流検出
器25によるモータ電流値iの検出は、常に上記した接
触面の酸化被膜の影響が排除された状態でモータ電流値
iが検出される。
【0057】以上の処理においては、モータ印加電圧V
は次第に高くなって酸化被膜が絶縁破壊された瞬間に検
出されたモータ電流値iは、著しく大きな電流値が検出
されるが、次のモータ電流のサンプル検出時には正常に
モータ電流値iが検出されるから、複数回のモータ電流
のサンプル検出を行うことで、正常なモータ電流値を検
出することができる。即ち、1回のモータ電流のサンプ
ル検出でモータ電流限界値の範囲外の電流値が検出され
たとしても、それで直ちにモータ電流検出器25が故障
であると判断すると誤検出することがある。
【0058】そして、複数回のモータ電流のサンプル検
出によっても、予め設定されたモータ電流限界値の範囲
外のモータ電流値が検出されたときは、接触面の酸化被
膜の影響はないのであるからモータ電流検出器25が故
障であると判断することができる。この複数回のモータ
電流のサンプル検出において、予め設定されたモータ電
流限界値の範囲外の値が連続して予め指定された回数だ
け検出されたとき、モータ電流検出器25が故障である
と判断するようにしてもよい。
【0059】また、前記したとおり、モータ印加電圧V
は時系列的に次第に高まるから、時系列的に次第に高ま
るモータ印加電圧Vに対応するモータ電流検出値が予め
設定されたモータ電流限界値の範囲外の値のとき、モー
タ電流検出器25が故障であると判断するようにしても
よい。
【0060】モータ電流認識部31では、モータ電流検
出器25で検出されたモータ電流値iが予め設定されて
いるモータ電流限界値の範囲外であるとき、モータ電流
検出器25に障害が発生したことを示す障害信号を出力
する。モータ電流限界値の範囲内の時は無障害信号を出
力する。複数回のモータ電流値iのサンプリングが行な
われるから、複数個の障害信号或いは無障害信号が出力
される。
【0061】故障判定部33は、モータ電流認識部31
から出力された複数個の障害信号或いは無障害信号と、
IGキーON検出器32から出力された信号、及びバッ
テリ電圧検出器35から出力された信号に基づき、検出
されたこれ等の信号がイグニッションキー11をONに
した直後の動作確認の時期での複数回のモータ電流値i
のサンプリングで検出された信号であることを確認す
る。
【0062】これと共に、サンプリングにおいて全ての
検出結果から、或いは時系列的に無障害信号が検出され
た後の検出結果からモータ電流限界値の範囲外の障害信
号が検出された場合には、モータ電流検出手段の故障と
判定して故障判定信号をフェール処理器34に出力す
る。
【0063】フェール処理器34は出力された故障判定
信号に基づいてリレー回路36を作動させて接点36a
を開き、モータ10への給電を断ち、電動パワーステア
リング装置を不作動とする。
【0064】なお、本願特許請求の範囲の請求項5にお
いて、モータ印加電圧値は、モータの機械的時定数に対
応する電圧値を上限とすることを規定しているが、これ
はモータ印加電圧が高くなるとモータが回転を開始する
おそれがあるから、モータ印加電圧値をモータの機械的
時定数に対応する電圧値を上限値として、モータが回転
しない範囲に留めているのである。
【0065】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明の電動パ
ワーステアリング装置は、イグニッションキーをONに
した直後にモータ電流検出手段の故障を調べるものであ
り、モータの機械的時定数Tm よりも十分に小さく、モ
ータの電気的時定数Te よりも十分に大きい時間T(T
e <<T<<Tm )だけモータ電流指令値を設定し、電
流偏差値演算比例積分部において、電流指令値と検出さ
れたモータ電流値との差を演算し、その差Δiに基づく
比例・積分動作(PI動作)を実行してモータを制御す
る電流制御値Eを出力する。
【0066】電流制御値Eはモータ電流が正しく検出さ
れないときは、前記した積分動作により電流制御値Eが
時間の経過と共に高まり、モータ印加電圧が高まる。こ
の結果、モータの整流子とブラシとの接触面が酸化被膜
で覆われてモータ電流が正確に検出できない場合があっ
ても、モータに高い電圧が印加されるので接触面の酸化
被膜が絶縁破壊され、モータ電流が正常に流れる状態が
作り出される。
【0067】これにより、故障検出に際しては常にモー
タの整流子とブラシとの酸化被膜の影響が排除されるか
ら、検出されたモータ電流値が予め設定されたモータ電
流限界値の範囲外の場合にはモータ電流検出手段の故障
と判断することができる。
【0068】さらに、イグニッションキーをONにした
直後、モータが実質的に回転しない状態においてモータ
電流検出手段の故障検出を行うことができるから、故障
検出の際に、操向ハンドルが回転してしまう危険性もな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動パワーステアリング装置の構成の概略を説
明する図。
【図2】この発明の実施例の電子制御回路のブロツク
図。
【図3】モータ駆動回路の構成の一例を示すブロツク
図。
【図4】モータ電流iとモータの角速度ωの過渡特性、
及びモータ電流iのサンプリング時期を説明する図。
【図5】モータの整流子とブラシとの接触面の酸化被膜
の影響を説明する図。
【符号の説明】
3 トルクセンサ 10 モータ 11 イグニッションキー 12 車速センサ 13 電子制御回路 21 位相補償器 22 電流指令値演算部 23 電流偏差値演算比例積分部 24 モータ駆動回路 25 モータ電流検出器 31 モータ電流認識部 32 I.G.キーON検出器 33 故障判定部 34 フェールセーフ処理器 35 バッテリ電圧検出器 41 変換部 42 FETゲート駆動回路 43 昇圧電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 板倉 裕輔 群馬県前橋市鳥羽町78番地 日本精工株式 会社内 Fターム(参考) 3D032 CC26 CC32 CC35 CC38 CC40 DA15 DA23 DA64 DA65 DC02 DC32 DD10 EC23 3D033 CA03 CA13 CA16 CA20 CA21 CA32

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともステアリングシヤフトに発生
    する操舵トルク信号に基づいてステアリング機構に操舵
    補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備え
    た電動パワーステアリング装置において、前記制御手段
    は、 モータ電流の指令値を演算する電流指令値演算手段と、 モータ電流を検出するモータ電流検出手段と、 前記電流指令値とモータ電流検出値との差分を比例積分
    器を介して積分した電流制御値を出力する電流偏差値演
    算比例積分手段と、 モータ電流検出値が予め設定された限界値の範囲外であ
    るときモータ電流手段の故障を判定する故障判定手段と
    を備え、 前記制御手段は、モータの電気的時定数よりも大きく、
    且つモータの機械的時定数よりも小さい時間だけモータ
    電流指令値を設定すると共に、前記電流偏差値演算比例
    積分手段から出力された電流制御値に基づいてモータ印
    加電圧値を設定してモータを駆動し、検出されたモータ
    電流に基づいて故障判定手段によるモータ電流手段の故
    障の判定を実行させることを特徴とする電動パワーステ
    アリング装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記電流偏差値演算比
    例積分手段から出力される電流制御値に基づくモータ印
    加電圧値を、モータの整流子とブラシとの接触面の酸化
    被膜の絶縁破壊が行われる電圧にまで高めることを特徴
    とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 【請求項3】 前記故障判定手段は、前記モータ電流検
    出手段による複数回のモータ電流のサンプリングによる
    検出結果に基づいてモータ電流検出手段の故障を判定す
    ることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリ
    ング装置。
  4. 【請求項4】 前記故障判定手段は、前記モータ電流検
    出手段による複数回のモータ電流のサンプリングによる
    検出結果の中に、予め設定されたモータ電流限界値の範
    囲内のものと範囲外のものが含まれているときは、直ち
    にモータ電流検出手段の故障と判定せず、再度複数回の
    モータ電流のサンプリングによる検出を行なってその検
    出結果の中にモータ電流限界値の範囲外のものが含まれ
    るとき、或いは時系列的に次第に高められたモータ印加
    電圧値に対応するモータ電流値の検出結果が予め設定さ
    れたモータ電流限界値の範囲外のものであるとき、モー
    タ電流検出手段の故障と判定することを特徴とする請求
    項3記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 【請求項5】 前記故障判定手段は、前記モータ電流検
    出手段による複数回のモータ電流のサンプリングによる
    検出結果の中に、予め設定されたモータ電流限界値の範
    囲外の値が連続して指定回数検出されたときモータ電流
    検出手段の故障と判定することを特徴とする請求項3記
    載の電動パワーステアリング装置。
  6. 【請求項6】 前記モータ印加電圧値は、モータの機械
    的時定数に対応する電圧値を上限とすることを特徴とす
    る請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007159186A (ja) * 2005-11-30 2007-06-21 Nsk Ltd 電動パワーステアリング制御装置、および方法
KR100843393B1 (ko) * 2006-04-12 2008-07-03 한국델파이주식회사 속도 감응 파워 스티어링 시스템 컨트롤러의 차속 가감에따른 전류의 가감 방법

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