JPWO2005105548A1 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
モータ電流推定値とモータ電流検出値との差に基づいてモータ電流検出器の故障を判定する制御装置を備えた安全性の高い電動パワーステアリング装置である。電流指令値演算器22は入力されたトルク信号に基づいて補助トルクを供給するモータ電流の制御目標値である電流指令値Irを演算する。異常検出部30はモータ電流推定器31と異常判定器32から構成される。モータ電流推定器31は操舵トルク値から演算した電流指令値Irに基づいてモータ電流推定値Ieを演算する。異常判定器32はモータ電流推定値Ieとモータ電流検出値idの差の絶対値Δj(=|Ie−id|)を演算、差の絶対値Δjが所定の時間内に所定のしきい値Sを越えた回数nを計数し、更にしきい値Sを越えた回数nの所定期間内の累積値Nを計数する。累積値Nが所定の異常判定基準回数Zを越えたとき、モータ電流検出器42は異常と判定する。
Description
この発明は、電動パワーステアリング装置に関し、特に、そのモータ電流検出回路の故障を正確に検出することができる電動パワーステアリング装置の制御装置に関する。
車両用の電動パワーステアリング装置は、操向ハンドルの操作によりステアリングシャフトに発生する操舵トルクと車速を検出し、その検出信号に基づいてモータ電流指令値を演算し、演算されたモータ電流指令値に応じた電流でモータを駆動して操向ハンドルの操舵力を補助するものである。このような電動パワーステアリング装置の制御は電子制御回路で実行されるが、その制御の概要はおよそ以下のとおりである。
即ち、電子制御回路は、操向ハンドルが操作されて操舵トルクが発生しているときに、検出された車速が零或いは低速の場合は大きな操舵補助力を供給し、検出された車速が速い場合は小さな操舵補助力を供給するように、操舵トルクと車速に応じてモータ出力の制御目標値であるモータ電流指令値を演算し、この演算結果であるモータ電流指令値と実際にモータに流れる電流を検出した電流検出値との差が零になるように電流フィードバック制御を行うことで、走行状態に応じた最適の操舵補助力を与えることができる。
上記した電動パワーステアリング装置の制御回路では、操舵トルクと車速をパラメータとしてモータ電流指令値を演算しており、モータ回転数は考慮されていない。モータが回転するとモータに逆起電力が発生するが、電流フィードバック制御を行うとき、モータの回転により発生する逆起電力の影響が考慮されないと、モータ電流指令値と検出されたモータ電流検出値との差が大きくなり、モータに異常電流が流れていると誤って判断してしまう不都合がある。
この対策として、モータ電流指令値を数学モデルを使用して推定演算したモータ電流推定値と検出されたモータ電流検出値との差が、予め設定された許容値を越えているか否かを判断し、許容値を越えているとき駆動系が故障であると判断する手法が、本出願人により提案されている(特開2002−234457号公報参照)。
また、操舵トルクの検出値が異常値を示した場合、例えばモータの配線が正常な状態とは逆向きに接続されたような場合には、本来モータから与えられるべき操舵補助力の方向と、実際にモータから与えられる操舵補助力の方向とが一致しないため、操舵トルクの検出値が異常値を示し、またモータ電流検出値も異常値を示し、フェールセイフ制御が実行されて操舵補助が中止されてしまう。
この対策として、操舵トルクの検出値が所定値以上または操舵トルクの変化率が所定値以上のとき操舵トルクの検出値が異常値と判断し、或いはモータ電流が所定値以上またはモータ電流の変化率が所定値以上のときモータ電流検出値が異常値と判断し、異常検出時の所定の対処を行うものが提案されている(特開2003−237609号公報参照)。
前記した前者の駆動系の故障判断の手法においては、モータ電流を検出するモータ電流検出回路が故障した場合は、モータ電流方向の逆転が繰り返し起こるために、モータ電流推定値とモータ電流検出値との差が許容値を越えている時間が短いために異常判定が難しく、別途、モータ電流検出回路の正常か異常かを検出する検出手段が必要になる。
また、後者の故障判断の手法においては、モータ電流またはモータ電流の変化率の異常を判断する所定の基準値(しきい値)の設定が難しく、所定の基準値の設定如何によっては、正常と判断され、或いは故障と判断されてしまうという不都合が生じる。
この発明は、上記した課題を解決し、正確に電流検出回路の故障を検出できる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
即ち、電子制御回路は、操向ハンドルが操作されて操舵トルクが発生しているときに、検出された車速が零或いは低速の場合は大きな操舵補助力を供給し、検出された車速が速い場合は小さな操舵補助力を供給するように、操舵トルクと車速に応じてモータ出力の制御目標値であるモータ電流指令値を演算し、この演算結果であるモータ電流指令値と実際にモータに流れる電流を検出した電流検出値との差が零になるように電流フィードバック制御を行うことで、走行状態に応じた最適の操舵補助力を与えることができる。
上記した電動パワーステアリング装置の制御回路では、操舵トルクと車速をパラメータとしてモータ電流指令値を演算しており、モータ回転数は考慮されていない。モータが回転するとモータに逆起電力が発生するが、電流フィードバック制御を行うとき、モータの回転により発生する逆起電力の影響が考慮されないと、モータ電流指令値と検出されたモータ電流検出値との差が大きくなり、モータに異常電流が流れていると誤って判断してしまう不都合がある。
この対策として、モータ電流指令値を数学モデルを使用して推定演算したモータ電流推定値と検出されたモータ電流検出値との差が、予め設定された許容値を越えているか否かを判断し、許容値を越えているとき駆動系が故障であると判断する手法が、本出願人により提案されている(特開2002−234457号公報参照)。
また、操舵トルクの検出値が異常値を示した場合、例えばモータの配線が正常な状態とは逆向きに接続されたような場合には、本来モータから与えられるべき操舵補助力の方向と、実際にモータから与えられる操舵補助力の方向とが一致しないため、操舵トルクの検出値が異常値を示し、またモータ電流検出値も異常値を示し、フェールセイフ制御が実行されて操舵補助が中止されてしまう。
この対策として、操舵トルクの検出値が所定値以上または操舵トルクの変化率が所定値以上のとき操舵トルクの検出値が異常値と判断し、或いはモータ電流が所定値以上またはモータ電流の変化率が所定値以上のときモータ電流検出値が異常値と判断し、異常検出時の所定の対処を行うものが提案されている(特開2003−237609号公報参照)。
前記した前者の駆動系の故障判断の手法においては、モータ電流を検出するモータ電流検出回路が故障した場合は、モータ電流方向の逆転が繰り返し起こるために、モータ電流推定値とモータ電流検出値との差が許容値を越えている時間が短いために異常判定が難しく、別途、モータ電流検出回路の正常か異常かを検出する検出手段が必要になる。
また、後者の故障判断の手法においては、モータ電流またはモータ電流の変化率の異常を判断する所定の基準値(しきい値)の設定が難しく、所定の基準値の設定如何によっては、正常と判断され、或いは故障と判断されてしまうという不都合が生じる。
この発明は、上記した課題を解決し、正確に電流検出回路の故障を検出できる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、前記異常監視器は、前記演算されたモータ電流推定値と検出されたモータ電流検出値との差が、予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた回数を計数し、その越えた回数が所定の異常判定基準回数を越えたときモータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
第2の発明は、少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、前記異常監視器は、前記モータ演算された電流推定値と検出されたモータ電流検出値との差が予め設定された第1の所定時間内に所定のしきい値を越えた回数を計数し、さらに該しきい値を越えた回数の第2の所定時間内における累積値を計数し、該累積値が所定の異常判定基準回数を越えたときモータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
第3の発明は、少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、前記異常監視器は、前記モータ演算された電流推定値及び検出されたモータ電流検出値がそれぞれ予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた回数を計数し、その越えた回数の差が予め設定された所定の異常判定基準回数を越えたとき、モータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
第4の発明は、少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、前記異常監視器は、前記演算されたモータ電流推定値の微分値及び検出されたモータ電流検出値の微分値がそれぞれ予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた回数を計数し、その越えた回数の差が予め設定された所定の異常判定基準回数を越えたとき、モータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
第5の発明は、少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、前記異常監視器は、検出されたモータ電流検出値の微分値が予め設定された所定の時間内に所定のしきい値未満であった第1の回数を計数し、第1の回数が所定の回数を越えたときは、演算されたモータ電流推定値の微分値が予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた第2の回数を計数し、第2の回数が所定の回数を越えたとき、モータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
第6の発明は、少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、前記異常監視器は、演算されたモータ電流推定値の微分値が予め設定された所定の時間内に所定のしきい値未満であった第1の回数を計数し、第1の回数が所定の回数を越えたときは、検出されたモータ電流検出値の微分値が予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた第2の回数を計数し、第2の回数が所定の回数を越えたとき、モータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
そして、前記第1乃至第6の発明の電動パワーステアリング装置は、前記異常監視器によりモータ電流検出器が異常であると判定されたときは、モータ駆動信号を遮断し、或いはモータ電源回路を遮断するようにするとよい。
上記したとおり、この発明に係る電動パワーステアリング装置は、電流指令値から演算したモータ電流推定値或いはその微分値とモータ電流検出器で検出したモータ電流検出値或いはその微分値との差が予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた回数に基づいて、モータ電流検出器の異常を検出するものである。これにより、モータ電流検出器の故障を正確に検出することができ、安全性の高い電動パワーステアリング装置を提供することができる。
第2の発明は、少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、前記異常監視器は、前記モータ演算された電流推定値と検出されたモータ電流検出値との差が予め設定された第1の所定時間内に所定のしきい値を越えた回数を計数し、さらに該しきい値を越えた回数の第2の所定時間内における累積値を計数し、該累積値が所定の異常判定基準回数を越えたときモータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
第3の発明は、少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、前記異常監視器は、前記モータ演算された電流推定値及び検出されたモータ電流検出値がそれぞれ予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた回数を計数し、その越えた回数の差が予め設定された所定の異常判定基準回数を越えたとき、モータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
第4の発明は、少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、前記異常監視器は、前記演算されたモータ電流推定値の微分値及び検出されたモータ電流検出値の微分値がそれぞれ予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた回数を計数し、その越えた回数の差が予め設定された所定の異常判定基準回数を越えたとき、モータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
第5の発明は、少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、前記異常監視器は、検出されたモータ電流検出値の微分値が予め設定された所定の時間内に所定のしきい値未満であった第1の回数を計数し、第1の回数が所定の回数を越えたときは、演算されたモータ電流推定値の微分値が予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた第2の回数を計数し、第2の回数が所定の回数を越えたとき、モータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
第6の発明は、少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、前記異常監視器は、演算されたモータ電流推定値の微分値が予め設定された所定の時間内に所定のしきい値未満であった第1の回数を計数し、第1の回数が所定の回数を越えたときは、検出されたモータ電流検出値の微分値が予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた第2の回数を計数し、第2の回数が所定の回数を越えたとき、モータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
そして、前記第1乃至第6の発明の電動パワーステアリング装置は、前記異常監視器によりモータ電流検出器が異常であると判定されたときは、モータ駆動信号を遮断し、或いはモータ電源回路を遮断するようにするとよい。
上記したとおり、この発明に係る電動パワーステアリング装置は、電流指令値から演算したモータ電流推定値或いはその微分値とモータ電流検出器で検出したモータ電流検出値或いはその微分値との差が予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた回数に基づいて、モータ電流検出器の異常を検出するものである。これにより、モータ電流検出器の故障を正確に検出することができ、安全性の高い電動パワーステアリング装置を提供することができる。
第1図は、この発明の実施の形態の電動パワーステアリング装置の構成の概略を説明する図である。
第2図は、電子制御回路の構成を示したブロック図である。
第3図は、モータ駆動回路の構成の一例を示すブロック図である。
第4図は、制御系を伝達関数で示したブロツク図である。
第5図は、制御系の等価回路を伝達関数で示したブロツク図である。
第2図は、電子制御回路の構成を示したブロック図である。
第3図は、モータ駆動回路の構成の一例を示すブロック図である。
第4図は、制御系を伝達関数で示したブロツク図である。
第5図は、制御系の等価回路を伝達関数で示したブロツク図である。
以下、この発明の実施の形態について説明する。第1図はこの発明の実施の形態の電動パワーステアリング装置の構成の概略を説明する図で、操向ハンドル1の軸2は減速ギア4、ユニバーサルジョイント5a、5b、ピニオンラック機構7を経て操向車輪のタイロッド8に結合されている。軸2には操向ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ3が設けられており、また、操舵力を補助するモータ10がクラッチ9、減速ギア4を介して軸2に結合している。
パワーステアリング装置を制御する電子制御回路13は、バッテリ14からイグニッションキー11を経て電力が供給される。電子制御回路13は、トルクセンサ3で検出された操舵トルクと車速センサ12で検出された車速とに基づいてモータ電流指令値Irを演算し、演算されたモータ電流指令値(以下、電流指令値という)Irに基づいてモータに供給する電流制御値Eを制御する。
クラッチ9は電子制御回路13により制御される。クラッチ9は通常の動作状態で結合しており、電子制御回路13によりパワーステアリング装置の故障と判断されたとき、及び電源がOFFとなっているときに切り離される。
第2図は、電子制御回路13の構成を示したブロック図である。電子制御回路13はCPUで構成されるが、ここではCPUの内部でプログラムにより実行される制御機能を示している。例えば、位相補償器21は独立した位相補償器を示すものではなく、CPUで実行される位相補償機能を示す。なお、電子制御回路13をCPUで構成せず、これらの機能要素をそれぞれ独立のハードウエアで構成できることは言うまでもない。
以下、電子制御回路13の機能と動作を説明する。トルクセンサ3で検出された操舵トルクは位相補償器21で操舵系の安定を高めるために位相補償され、電流指令値演算器22に入力される。また、車速センサ12で検出された車速信号も電流指令値演算器22に入力される。
電流指令値演算器22は、入力された操舵トルク、車速、その他のパラメータに基づいて所定の演算式によりモータ10に供給する電流の制御目標値である電流指令値Irを演算する。
加算器23は、電流指令値Irとモータ10に実際に流れる電流を検出して得られたモータ電流検出値idとを加算(正負の符号を含めて加算)する加算器で、電流指令値Irにモータ電流検出値idを加算して電流制御値Eを得る。得られた電流制御値Eはモータ駆動回路41に出力され、制御対象であるモータ10を駆動する。モータ10に実際に流れるモータ電流検出値idはモータ電流検出器42により検出され、前記した加算器23にフィードバックされてフィードバック制御が行われる。
異常監視器を構成する異常検出部30は、電流指令値Irを入力信号としてモータ電流を推定演算するモータ電流推定器31と異常判定器32から構成され、異常判定器32はモータ電流推定器31から出力されたモータ電流推定値Ieと、モータ電流検出器42で検出されたモータ電流検出値idとに基づいてモータ電流検出器42の異常を判定する。異常検出部30の構成には複数の実施例があるので、後で詳細に説明する。
第3図は、モータ駆動回路41の構成の一例を示すブロック図である。モータ駆動回路41は加算器23(第2図参照)から入力された電流制御値EをPWM信号(パルス幅変調信号)と電流方向信号とに分離変換する変換部44、FET1〜FET4、及びそれ等のゲートを開閉駆動するFETゲート駆動回路45等からなる。なお、昇圧電源46はFET1、FET2のハイサイド側を駆動する電源である。
PWM信号は、Hブリッジ接続されたFET(電界効果トランジスタ)スイツチング素子FET1〜FET2のゲートを駆動する信号で、加算器23において演算された電流制御値Eの絶対値によりPWM信号のデューテイ比(FETのゲートをON/OFFする時間比)が決定される。電流方向信号は、モータに供給する電流の方向を指示する信号で、加算器23で演算された電流制御値Eの符号(正負)により決定される信号である。
FET1とFET2は前記したPWM信号のデューテイ比Dに基づいてゲートがON/OFFされるスイツチング素子で、モータに流れる電流の大きさを制御するためのスイツチング素子である。また、FET3とFET4は前記した電流方向信号に基づいてゲートがON或いはOFFされる(一方がONの時、他方はOFFとなる)スイツチング素子で、モータに流れる電流の方向、即ちモータの回転方向を切り換えるスイツチング素子である。FET3が導通状態にあるときは、電流はFET1、モータ10、FET3、抵抗Rを経て流れ、モータ10に正方向の電流が流れる。また、FET4が導通状態にあるときは、電流はFET2、モータ10、FET4、抵抗Rを経て流れ、モータ10に負方向の電流が流れる。
モータ電流検出器42は、抵抗Rの両端における電圧降下に基づいて電流の大きさを検出する。検出されたモータ電流検出値idは加算器23に入力される(第2図参照)。
以上説明した電子制御回路は、操向ハンドルが操作されて操舵トルクが発生しているときに、検出された操舵トルクが大きく、また検出された車速が零あるいは低速の場合は電流指令値Irを大きく設定し、検出された操舵トルクが小さく、また検出された車速が速い場合は電流指令値Irを小さく設定するから、走行状態に応じた最適の操舵補助力を与えることができる。
異常検出部30は、所定の周期でサンプリングされた操舵トルクTに基づいて演算された電流指令値Irを入力信号として推定演算したモータ電流推定値Ie(又はその微分値)と、所定の周期でモータ電流検出器42により検出されたモータ電流検出値id(又はその微分値)との差の絶対値|Ie−id|が、所定の時間内において所定のしきい値を越えた回数から、モータ電流検出器42の異常を判定する。
異常の判定がなされたときはモータ駆動回路41に電流制御値Eの出力を遮断してモータを停止させる、或いはバッテリからモータ駆動回路41へ給電する回路に設けられた図示しないリレーを作動させてモータへの給電を遮断し、モータによる操舵補助を停止させる。この状態ではモータによる操舵補助は停止するが、マニュアル操作による操舵は可能である。異常検出部30の構成には複数の実施例があり、その詳細は後で説明する。
ここで、モータ電流推定器31によるモータ電流推定値Ieの演算について説明する。モータ電流推定値Ieの演算については、前記した特開2002−234457号公報に記載されており、この発明でもここに記載された方法を採用するが、その要点を簡単に説明する。
第4図は、前記した電子制御回路を伝達関数で示したブロツク図である。50は制御対象であるモータを示しており、モータのインダクタンスL、モータの内部抵抗R、ラプラス演算子をsとすると、モータ要素は1/(Ls+R)で表される。
51は電流指令値Ir(s)に対するモータ電流検出値Id(s)の応答特性を定義するためのフィードフォワード補償器である。ここでLnはモータのインダクタンスの設計値、Rnはモータの内部抵抗の設計値、T2は時定数、sはラプラス演算子である。
52はフィードフォワード補償器51の出力r(s)と後述するフイルタ57の出力とを加算する加算器であって、後述する加算器56の出力da(s)がフイルタ57を経て加算器52にフィードバックされて、制御器出力r(s)に加算される。これにより制御対象50のもつ変動分とモータの回転により発生する逆起電力の変動分が補償される。
53は加算要素で、制御対象の入力側にモータの回転により発生する逆起電力Keωが加算器52の出力に加算されてモータ電流検出値Id(s)に現れることを示し、モータ電流検出値Id(s)に現れる逆起電力Keωの影響を等値的に示したものである。ここでKeはモータの逆起電力定数、ωはモータの角速度を示す。加算要素53の出力はモータに供給する電流を規定する電流制御値Eである。
55はモータ特性の逆特性を示す回路要素で、この実施例では逆起電力の項を除いた電気的特性の数学モデルを採用して設計しており、Ln、Rnはそれぞれモータのインダクタンスの設計値、モータの内部抵抗の設計値、sはラプラス演算子である。
56は加算器で、回路要素55の出力と加算器52の出力との差、即ち、制御器出力基準における希望するモータ制御特性と実際の制御特性の差を演算するものである。加算器56の出力da(s)は以下の式(1)で表される。
式(1)より、加算器56の出力da(s)は制御対象の変動分と逆起電力の和であることが分かる。ここで、L、Rはそれぞれ制御対象のモータのインダクタンス、モータの内部抵抗、Ln、Rnはそれぞれモータのインダクタンスの設計値、モータの内部抵抗の設計値、sはラプラス演算子、Keωは逆起電力、Kはバッテリ電圧変動を表わす係数である。
57は加算器56の出力da(s)をフィードバックする制御系の動作を安定させるフイルタで、その特性はQ(s)で表される。この実施例では一次のローパスフイルタを用いており、第4図におけるフイルタ特性Q(s)=1/(T 1s+1)は、伝達関数で表されたフイルタ特性Q(s)の一例を示している。ここで、T1は時定数、sはラプラス演算子である。特性Q(s)をもつフイルタ57の出力をフィードバックすることにより、制御対象の変動と逆起電力と抑制し、定義した数学モデルの特性と一致させるように構成されている。以下、これについて説明する。
フイルタ57の出力をフィードバックした場合、モータ電流検出値Id(s)は以下の式(2)で表される。
式(2)における、Pn(s)はモータ特性の数学モデルである。また、Δ(s)は、以下の式(3)で定義される。ここで、Δ(s)は数学モデルと実際の特性との差を乗法的摂動モデルを用いて表したときの摂動分である。
フイルタの特性Q(s)が近似的に1の場合は、式(2)は以下の近似式(4)で表わすことができ、モータ電流検出値Id(s)を求めることができる。
フィードフォワード補償器の出力r(s)は、電流指令値Ir(s)にフィードフォワード補償器の特性(Lns+Rn)/(T2s+1)を乗算した以下の式(5)で表すことができる。ここで、T2は時定数、sはラプラス演算子である。
従つて、モータ電流検出値Id(s)を示す前記近似式(4)は、近似式(4)のr(s)に式(5)を代入することにより以下の式(6)で表すことができる。モータ電流検出値Id(s)を示す近似式(6)は、特性Q(s)を持つフイルタのカットオフ周波数1/(2π・T1)までは成立する。
一方、乗法的摂動を受ける制御系が安定である為の十分条件として、以下の式(7)に示す最小ゲイン定理がある。
ここで、T(s)は制御対象とその数学モデルが一致しているときの相補感度関数、即ち、第4図においてLn=L、Rn=R、K=1のときの伝達特性である。この実施例では、T(s)=Q(s)であるので、以下の式(8)が満足するように特性Q(s)を持つフイルタ57の時定数T1を決定する。
この実施例では、予想されるモータのインダクタンスL、内部抵抗R、及び定数Kの変動幅を考慮して上記式(3)で定義されるΔ(s)の範囲を定め、Δ(s)の全範囲において上記式(8)が満たされるように特性Q(s)を持つフイルタ57の時定数T1を定めればロバスト安定性を確保することができる。
以上の検討によれば、第4図に示す制御系は、フイルタ57の特性Q(s)のカットオフ周波数(1/(2π・T1))以下であれば、更に第5図の(a)に示す等価ブロツク図で表すことができ、更に第5図の(b)に示す等価ブロツク図のように簡略化して表すことができる。即ち、第4図のフィードフォワード補償器51の特性式の分子に数学モデルの逆特性を与え、分母に前記フイルタの時定数T1よりも大きい時定数T2を与えることにより、時定数T2で定義される応答特性を実現することができる。
また、以上のように制御系を構成することにより、モータの回転により発生する逆起電力による変動が補償される。
応答性の速さについては、特性Q(s)のフイルタの時定数T1よりも大きい時定数T2で定める任意の範囲で設定することができ、実用上十分な応答特性を実現することができる。
先に説明したように、モータ電流検出値Id(s)は式(6)によって表すことができるから、モータ電流推定値Ied(s)は、以下の式(9)で表すことができる。
このようにモータ電流推定値はモータ電流指令値から算出することができる。なお、以下の説明では、モータ電流推定値はIe、モータ電流検出値はidとして示す。
次に、異常検出部30の実施例を説明するが、その前に異常検出部30による電流検出器の故障検出の原理を説明する。
電流検出器が正常な状態では、モータ電流推定値Ieとモータ電流検出値idとは同じような変化を示し、その偏差は小さい。一方、モータ電流検出器が故障した場合には、電流指令値と電流検出値を一致させようと電流制御値Eが大きくなる。このため、モータ電流が必要以上に大きくなるためトルクセンサが逆にねじれ、電流指令値の方向が逆転する。この状態が繰り返されるため電流指令値Irは振動的となり、電流指令値Irに基づいて演算されるモータ電流推定値Ieも振動的となる。
このとき、モータ電流検出値idの変化率に比較してモータ電流推定値Ieの変化率のほうが大きく現れ、モータ電流推定値Ieは周期が短く振幅の大きい振動電流となるが、モータ電流検出値idは比較的振幅の小さい振動電流となる。
モータ電流検出器が1個の場合は、他のモータ電流検出器から出力される検出信号との比較により故障の判定を行うことができない。そこで、この発明では、上記したモータ電流検出器が故障した場合に生じるモータ電流検出値idの変化率に比較してモータ電流推定値Ieの変化率のほうが大きく現れる現象を利用して、電流検出器の故障を検出しようとするものである。
即ち、一定の時間間隔でサンプリングされた操舵トルクTに基づいて演算された電流指令値Irを入力信号として推定演算したモータ電流推定値Ie(又はその微分値)と、モータ電流検出器により検出されたモータ電流検出値id(又はその微分値)との差の値(Ie−id)が、所定の時間内において所定のしきい値を越えた回数から、モータ電流検出器42が異常であると判定する。異常検出部30の構成には複数の実施例がある。以下、順次説明する。
パワーステアリング装置を制御する電子制御回路13は、バッテリ14からイグニッションキー11を経て電力が供給される。電子制御回路13は、トルクセンサ3で検出された操舵トルクと車速センサ12で検出された車速とに基づいてモータ電流指令値Irを演算し、演算されたモータ電流指令値(以下、電流指令値という)Irに基づいてモータに供給する電流制御値Eを制御する。
クラッチ9は電子制御回路13により制御される。クラッチ9は通常の動作状態で結合しており、電子制御回路13によりパワーステアリング装置の故障と判断されたとき、及び電源がOFFとなっているときに切り離される。
第2図は、電子制御回路13の構成を示したブロック図である。電子制御回路13はCPUで構成されるが、ここではCPUの内部でプログラムにより実行される制御機能を示している。例えば、位相補償器21は独立した位相補償器を示すものではなく、CPUで実行される位相補償機能を示す。なお、電子制御回路13をCPUで構成せず、これらの機能要素をそれぞれ独立のハードウエアで構成できることは言うまでもない。
以下、電子制御回路13の機能と動作を説明する。トルクセンサ3で検出された操舵トルクは位相補償器21で操舵系の安定を高めるために位相補償され、電流指令値演算器22に入力される。また、車速センサ12で検出された車速信号も電流指令値演算器22に入力される。
電流指令値演算器22は、入力された操舵トルク、車速、その他のパラメータに基づいて所定の演算式によりモータ10に供給する電流の制御目標値である電流指令値Irを演算する。
加算器23は、電流指令値Irとモータ10に実際に流れる電流を検出して得られたモータ電流検出値idとを加算(正負の符号を含めて加算)する加算器で、電流指令値Irにモータ電流検出値idを加算して電流制御値Eを得る。得られた電流制御値Eはモータ駆動回路41に出力され、制御対象であるモータ10を駆動する。モータ10に実際に流れるモータ電流検出値idはモータ電流検出器42により検出され、前記した加算器23にフィードバックされてフィードバック制御が行われる。
異常監視器を構成する異常検出部30は、電流指令値Irを入力信号としてモータ電流を推定演算するモータ電流推定器31と異常判定器32から構成され、異常判定器32はモータ電流推定器31から出力されたモータ電流推定値Ieと、モータ電流検出器42で検出されたモータ電流検出値idとに基づいてモータ電流検出器42の異常を判定する。異常検出部30の構成には複数の実施例があるので、後で詳細に説明する。
第3図は、モータ駆動回路41の構成の一例を示すブロック図である。モータ駆動回路41は加算器23(第2図参照)から入力された電流制御値EをPWM信号(パルス幅変調信号)と電流方向信号とに分離変換する変換部44、FET1〜FET4、及びそれ等のゲートを開閉駆動するFETゲート駆動回路45等からなる。なお、昇圧電源46はFET1、FET2のハイサイド側を駆動する電源である。
PWM信号は、Hブリッジ接続されたFET(電界効果トランジスタ)スイツチング素子FET1〜FET2のゲートを駆動する信号で、加算器23において演算された電流制御値Eの絶対値によりPWM信号のデューテイ比(FETのゲートをON/OFFする時間比)が決定される。電流方向信号は、モータに供給する電流の方向を指示する信号で、加算器23で演算された電流制御値Eの符号(正負)により決定される信号である。
FET1とFET2は前記したPWM信号のデューテイ比Dに基づいてゲートがON/OFFされるスイツチング素子で、モータに流れる電流の大きさを制御するためのスイツチング素子である。また、FET3とFET4は前記した電流方向信号に基づいてゲートがON或いはOFFされる(一方がONの時、他方はOFFとなる)スイツチング素子で、モータに流れる電流の方向、即ちモータの回転方向を切り換えるスイツチング素子である。FET3が導通状態にあるときは、電流はFET1、モータ10、FET3、抵抗Rを経て流れ、モータ10に正方向の電流が流れる。また、FET4が導通状態にあるときは、電流はFET2、モータ10、FET4、抵抗Rを経て流れ、モータ10に負方向の電流が流れる。
モータ電流検出器42は、抵抗Rの両端における電圧降下に基づいて電流の大きさを検出する。検出されたモータ電流検出値idは加算器23に入力される(第2図参照)。
以上説明した電子制御回路は、操向ハンドルが操作されて操舵トルクが発生しているときに、検出された操舵トルクが大きく、また検出された車速が零あるいは低速の場合は電流指令値Irを大きく設定し、検出された操舵トルクが小さく、また検出された車速が速い場合は電流指令値Irを小さく設定するから、走行状態に応じた最適の操舵補助力を与えることができる。
異常検出部30は、所定の周期でサンプリングされた操舵トルクTに基づいて演算された電流指令値Irを入力信号として推定演算したモータ電流推定値Ie(又はその微分値)と、所定の周期でモータ電流検出器42により検出されたモータ電流検出値id(又はその微分値)との差の絶対値|Ie−id|が、所定の時間内において所定のしきい値を越えた回数から、モータ電流検出器42の異常を判定する。
異常の判定がなされたときはモータ駆動回路41に電流制御値Eの出力を遮断してモータを停止させる、或いはバッテリからモータ駆動回路41へ給電する回路に設けられた図示しないリレーを作動させてモータへの給電を遮断し、モータによる操舵補助を停止させる。この状態ではモータによる操舵補助は停止するが、マニュアル操作による操舵は可能である。異常検出部30の構成には複数の実施例があり、その詳細は後で説明する。
ここで、モータ電流推定器31によるモータ電流推定値Ieの演算について説明する。モータ電流推定値Ieの演算については、前記した特開2002−234457号公報に記載されており、この発明でもここに記載された方法を採用するが、その要点を簡単に説明する。
第4図は、前記した電子制御回路を伝達関数で示したブロツク図である。50は制御対象であるモータを示しており、モータのインダクタンスL、モータの内部抵抗R、ラプラス演算子をsとすると、モータ要素は1/(Ls+R)で表される。
51は電流指令値Ir(s)に対するモータ電流検出値Id(s)の応答特性を定義するためのフィードフォワード補償器である。ここでLnはモータのインダクタンスの設計値、Rnはモータの内部抵抗の設計値、T2は時定数、sはラプラス演算子である。
52はフィードフォワード補償器51の出力r(s)と後述するフイルタ57の出力とを加算する加算器であって、後述する加算器56の出力da(s)がフイルタ57を経て加算器52にフィードバックされて、制御器出力r(s)に加算される。これにより制御対象50のもつ変動分とモータの回転により発生する逆起電力の変動分が補償される。
53は加算要素で、制御対象の入力側にモータの回転により発生する逆起電力Keωが加算器52の出力に加算されてモータ電流検出値Id(s)に現れることを示し、モータ電流検出値Id(s)に現れる逆起電力Keωの影響を等値的に示したものである。ここでKeはモータの逆起電力定数、ωはモータの角速度を示す。加算要素53の出力はモータに供給する電流を規定する電流制御値Eである。
55はモータ特性の逆特性を示す回路要素で、この実施例では逆起電力の項を除いた電気的特性の数学モデルを採用して設計しており、Ln、Rnはそれぞれモータのインダクタンスの設計値、モータの内部抵抗の設計値、sはラプラス演算子である。
56は加算器で、回路要素55の出力と加算器52の出力との差、即ち、制御器出力基準における希望するモータ制御特性と実際の制御特性の差を演算するものである。加算器56の出力da(s)は以下の式(1)で表される。
式(1)より、加算器56の出力da(s)は制御対象の変動分と逆起電力の和であることが分かる。ここで、L、Rはそれぞれ制御対象のモータのインダクタンス、モータの内部抵抗、Ln、Rnはそれぞれモータのインダクタンスの設計値、モータの内部抵抗の設計値、sはラプラス演算子、Keωは逆起電力、Kはバッテリ電圧変動を表わす係数である。
57は加算器56の出力da(s)をフィードバックする制御系の動作を安定させるフイルタで、その特性はQ(s)で表される。この実施例では一次のローパスフイルタを用いており、第4図におけるフイルタ特性Q(s)=1/(T 1s+1)は、伝達関数で表されたフイルタ特性Q(s)の一例を示している。ここで、T1は時定数、sはラプラス演算子である。特性Q(s)をもつフイルタ57の出力をフィードバックすることにより、制御対象の変動と逆起電力と抑制し、定義した数学モデルの特性と一致させるように構成されている。以下、これについて説明する。
フイルタ57の出力をフィードバックした場合、モータ電流検出値Id(s)は以下の式(2)で表される。
式(2)における、Pn(s)はモータ特性の数学モデルである。また、Δ(s)は、以下の式(3)で定義される。ここで、Δ(s)は数学モデルと実際の特性との差を乗法的摂動モデルを用いて表したときの摂動分である。
フイルタの特性Q(s)が近似的に1の場合は、式(2)は以下の近似式(4)で表わすことができ、モータ電流検出値Id(s)を求めることができる。
フィードフォワード補償器の出力r(s)は、電流指令値Ir(s)にフィードフォワード補償器の特性(Lns+Rn)/(T2s+1)を乗算した以下の式(5)で表すことができる。ここで、T2は時定数、sはラプラス演算子である。
従つて、モータ電流検出値Id(s)を示す前記近似式(4)は、近似式(4)のr(s)に式(5)を代入することにより以下の式(6)で表すことができる。モータ電流検出値Id(s)を示す近似式(6)は、特性Q(s)を持つフイルタのカットオフ周波数1/(2π・T1)までは成立する。
一方、乗法的摂動を受ける制御系が安定である為の十分条件として、以下の式(7)に示す最小ゲイン定理がある。
ここで、T(s)は制御対象とその数学モデルが一致しているときの相補感度関数、即ち、第4図においてLn=L、Rn=R、K=1のときの伝達特性である。この実施例では、T(s)=Q(s)であるので、以下の式(8)が満足するように特性Q(s)を持つフイルタ57の時定数T1を決定する。
この実施例では、予想されるモータのインダクタンスL、内部抵抗R、及び定数Kの変動幅を考慮して上記式(3)で定義されるΔ(s)の範囲を定め、Δ(s)の全範囲において上記式(8)が満たされるように特性Q(s)を持つフイルタ57の時定数T1を定めればロバスト安定性を確保することができる。
以上の検討によれば、第4図に示す制御系は、フイルタ57の特性Q(s)のカットオフ周波数(1/(2π・T1))以下であれば、更に第5図の(a)に示す等価ブロツク図で表すことができ、更に第5図の(b)に示す等価ブロツク図のように簡略化して表すことができる。即ち、第4図のフィードフォワード補償器51の特性式の分子に数学モデルの逆特性を与え、分母に前記フイルタの時定数T1よりも大きい時定数T2を与えることにより、時定数T2で定義される応答特性を実現することができる。
また、以上のように制御系を構成することにより、モータの回転により発生する逆起電力による変動が補償される。
応答性の速さについては、特性Q(s)のフイルタの時定数T1よりも大きい時定数T2で定める任意の範囲で設定することができ、実用上十分な応答特性を実現することができる。
先に説明したように、モータ電流検出値Id(s)は式(6)によって表すことができるから、モータ電流推定値Ied(s)は、以下の式(9)で表すことができる。
このようにモータ電流推定値はモータ電流指令値から算出することができる。なお、以下の説明では、モータ電流推定値はIe、モータ電流検出値はidとして示す。
次に、異常検出部30の実施例を説明するが、その前に異常検出部30による電流検出器の故障検出の原理を説明する。
電流検出器が正常な状態では、モータ電流推定値Ieとモータ電流検出値idとは同じような変化を示し、その偏差は小さい。一方、モータ電流検出器が故障した場合には、電流指令値と電流検出値を一致させようと電流制御値Eが大きくなる。このため、モータ電流が必要以上に大きくなるためトルクセンサが逆にねじれ、電流指令値の方向が逆転する。この状態が繰り返されるため電流指令値Irは振動的となり、電流指令値Irに基づいて演算されるモータ電流推定値Ieも振動的となる。
このとき、モータ電流検出値idの変化率に比較してモータ電流推定値Ieの変化率のほうが大きく現れ、モータ電流推定値Ieは周期が短く振幅の大きい振動電流となるが、モータ電流検出値idは比較的振幅の小さい振動電流となる。
モータ電流検出器が1個の場合は、他のモータ電流検出器から出力される検出信号との比較により故障の判定を行うことができない。そこで、この発明では、上記したモータ電流検出器が故障した場合に生じるモータ電流検出値idの変化率に比較してモータ電流推定値Ieの変化率のほうが大きく現れる現象を利用して、電流検出器の故障を検出しようとするものである。
即ち、一定の時間間隔でサンプリングされた操舵トルクTに基づいて演算された電流指令値Irを入力信号として推定演算したモータ電流推定値Ie(又はその微分値)と、モータ電流検出器により検出されたモータ電流検出値id(又はその微分値)との差の値(Ie−id)が、所定の時間内において所定のしきい値を越えた回数から、モータ電流検出器42が異常であると判定する。異常検出部30の構成には複数の実施例がある。以下、順次説明する。
[第1の実施例]
異常検出部30の第1の実施例は、電流指令値Irから推定演算されたモータ電流推定値Ie及び検出されたモータ電流検出値idをそのまま使用するものである。
モータ電流推定器31は、所定の周期tでサンプリングした操舵トルク値に基づいて演算された電流指令値Irに基づいてモータ電流推定値Ieを演算し、モータ電流検出器42は、所定の周期tでモータ電流をサンプリングしてモータ電流検出値idを求める。
異常判定器32は、前記モータ電流推定値Ieとモータ電流検出値idの差の絶対値Δj(=|Ie−id|)を演算する。そして差の絶対値Δjが予め設定された第1の所定時間である所定の回数計測時間T内に所定のしきい値Sを越えた回数nを計数し、さらに前記しきい値Sを越えた回数nについて、第2の所定時間である所定期間U内の累積値Nを計数する。そして累積値Nが所定の異常判定基準回数Zを越えたとき、モータ電流検出器42は異常であると判定する。
*第1実施例の数値例*
・サンプリング周期t:1ms
・差の絶対値Δj(=|Ie−id|)がしきい値Sを越えた回数を計測する回数計測時間T:20ms
・しきい値S:10A(アンペア)
・回数nの累積値Nを求める所定期間U:200ms
・異常判定基準回数Z:10回
第1実施例では、差の絶対値Δj(=|Ie−id|)が所定の回数計測時間T(=20ms)内に所定のしきい値S(=10A)を越えた回数nを計数し、さらに所定期間U内(=200ms)における回数nの累積値Nを求めている。すなわち、差の絶対値Δjがしきい値Sを越えた回数nを計数する期間を短くし、その回数nの累積値Nから異常判定を行っている。異常判定は、比較的長期間である期間Uにおけるしきい値Sを越えた回数に基づいて異常判定を行うのであるが、初めから長期間Uを設定してしきい値Sを越えた回数を計数すると期間Uの時間経過を待つから、異常判定までに長期間を要するが、回数nとその累積値Nを計数するようにすれば、最小の遅れ時間で異常判定を行うことができるからである。
[第2の実施例]
異常検出部30の第2の実施例も、電流指令値Irから推定演算されたモータ電流推定値Ie及び検出されたモータ電流検出値idをそのまま使用するものであるが、処理及び判定の方法が第1の実施例と相違する。
モータ電流推定器31は、所定の周期tでサンプリングした操舵トルク値に基づいて演算された電流指令値Irに基づいてモータ電流推定値Ieを演算し、モータ電流検出器42は、所定の周期tでモータ電流をサンプリングしてモータ電流検出値idを求める。
異常判定器32は前記モータ電流推定値Ieが予め設定された所定の回数計測時間T1内に所定のしきい値S1を越えた回数n1を計数し、また、モータ電流検出値idが予め設定された所定の回数計測時間T2内に所定のしきい値S2を越えた回数n2を計数する。そして、前記回数n1とn2との差の絶対値Δj(=|n1−n2|)を演算し、差の絶対値Δjが所定の異常判定基準回数Zを越えたとき、モータ電流検出器42は異常であると判定する。
*第2実施例の数値例*
・サンプリング周期t:1ms
・モータ電流推定値Ieがしきい値S1を越えた回数を計測する回数計測時間T1:1000ms
・しきい値S1:10A(アンペア)
・モータ電流検出値idがしきい値S2を越えた回数を計測する回数計測時間T2:1000ms
・しきい値S2:10A(アンペア)
・異常判定基準回数Z:200回
第2実施例では、モータ電流推定値Ieが回数計測時間T1(=1000ms)内にしきい値S1を越えた回数n1と、モータ電流検出値idが回数計測時間T2(=1000ms)内にしきい値S2を越えた回数n2を求め、差の絶対値Δj(=|n1−n2|)が異常判定基準回数Zを越えたとき異常と判定するもので、比較的長期間をかけて異常判定を確実に行うことができる。
[第3の実施例]
異常検出部の第3の実施例は、モータ電流推定値Ieの微分値とモータ電流検出値idの微分値を使用するものである。
モータ電流推定器31は、所定の周期tでサンプリングした操舵トルク値に基づいて演算された電流指令値Irに基づいてモータ電流推定値Ieを演算し、その微分値dIeを演算する。モータ電流検出器42は、所定の周期tでモータ電流をサンプリングしてモータ電流検出値idを求め、その微分値didを演算する。
異常判定器32は、前記したモータ電流推定値の微分値dIeが予め設定された所定の回数計測時間T1内に所定のしきい値S1を越えた回数n1を計数し、また、モータ電流検出値の微分値didが予め設定された所定の回数計測時間T2内に所定のしきい値S2を越えた回数n2を計数する。そして、前記回数n1とn2との差の絶対値Δj(=|n1−n2|)を演算し、差の絶対値Δjが所定の異常判定基準回数Zを越えたとき、モータ電流検出器42は異常であると判定する。
*第3実施例の数値例*
・サンプリング周期t:1ms
・モータ電流推定値の微分値dIeがしきい値S1を越えた回数を計測する回数計測時間T1:200ms
・しきい値S1:10A(アンペア)
・モータ電流検出値の微分値didがしきい値S2を越えた回数を計測する回数計測時間T2:200ms
・しきい値S2:10A(アンペア)
・異常判定基準回数Z:10回
[第4の実施例]
異常検出部30の第4の実施例も、モータ電流推定値Ieの微分値とモータ電流検出値idの微分値を使用するものであるが、処理及び判定の方法が第3の実施例と相違する。
モータ電流推定器31は、所定の周期tでサンプリングした操舵トルク値に基づいて演算された電流指令値Irに基づいてモータ電流推定値Ieを演算し、その微分値dIeを演算する。またモータ電流検出器42は、所定の周期tでモータ電流をサンプリングしてモータ電流検出値idを求め、その微分値didを演算する。
異常判定器32は、モータ電流検出値の微分値didが所定のしきい値S1未満の場合は第1カウンタに1を加算してその回数を計数し、モータ電流検出値の微分値didが所定のしきい値S1以上の場合は第1カウンタの計数内容を0にリセットする。
第1カウンタの計数値が所定の回数計測時間T1以内に所定値以上になった時点からモータ電流推定値の微分値dIeを監視し、モータ電流推定値の微分値dIeが所定のしきい値S2を越える場合は第2カウンタに1を加算してその回数を計数する。このとき、第1カウンタの計数値が所定値末満又はモータ電流推定値の微分値dIeが所定の値未満の場合は、第2カウンタの計数値の更新は行なわない。
所定の回数計測時間T2以内に第2カウンタの計数値が所定の回数を越えた場合、モータ電流検出器42は異常であると判定する。
第1カウンタは、モータ電流検出値が変化しないことを確認するためのカウンタであり、第2カウンタは第1カウンタにより確認されたモータ電流検出値が所定の時間の範囲内において所定値以下の変化しか示さないときに、モータ電流推定値が大きく変化することを確認するためのカウンタである。
*第4実施例の数値例*
・モータ電流検出値の微分値didがしきい値S1未満である回数を第1カウンタで計数する回数計測時間T1:200ms
・しきい値S1:10A(アンペア)
・サンプリング周期t:1ms
・モータ電流推定値の微分値dIeがしきい値S2を越えた回数を第2カウンタで計数する回数計測時間T2:200ms
・しきい値S2:10A(アンペア)
・異常判定基準回数Z:10回
[第5の実施例]
異常検出部30の第5の実施例も、モータ電流推定値Ieの微分値とモータ電流検出値idの微分値を使用するものであるが、処理及び判定の方法が第4の実施例と相違する。
モータ電流推定器31は、所定の周期tでサンプリングした操舵トルク値に基づいて演算された電流指令値Irに基づいてモータ電流推定値Ieを演算し、その微分値dIeを演算する。またモータ電流検出器42は、所定の周期tでモータ電流をサンプリングしてモータ電流検出値idを求め、その微分値didを演算する。
異常判定器32は、モータ電流推定値の微分値dIeが所定のしきい値S1未満の場合は第1カウンタに1を加算してその回数を計数し、モータ電流推定値の微分値dIeが所定のしきい値S1以上の場合は第1カウンタの計数内容を0にリセットする。
第1カウンタの計数値が所定の回数計測時間T1以内に所定値以上になった時点からモータ電流検出値の微分値didを監視し、モータ電流検出値の微分値didが所定のしきい値S2を越える場合は第2カウンタに1を加算してその回数を計数する。このとき、第1カウンタの計数値が所定値未満又はモータ電流検出値の微分値didが所定の値未満の場合は、第2カウンタの計数値の更新は行なわない。
所定の回数計測時間T2以内に第2カウンタの計数値が所定の回数を越えた場合、モータ電流検出器42は異常であると判定する。
第1カウンタは、モータ電流推定値が変化しないことを確認するためのカウンタであり、第2カウンタは第1カウンタにより確認されたモータ電流推定値が所定の時間の範囲内において所定値以下の変化しか示さないときに、モータ電流検出値が大きく変化することを確認するためのカウンタである。
*第5実施例の数値例*
・モータ電流推定値の微分値dIeがしきい値S1未満である回数を第1カウンタで計数する回数計測時間T1:100ms
・しきい値S1:10A(アンペア)
・サンプリング周期t:1ms
・モータ電流検出値の微分値didがしきい値S2を越えた回数を第2カウンタで計数する回数計測時間T2:100ms
・しきい値S2:40A(アンペア)
・異常判定基準回数Z:10回
第3、第4及び第5の実施例は、モータ電流推定値Ieの微分値とモータ電流検出値idの微分値を使用するもので、微分値を使用することで、変化の状態を迅速確実に捉えることができる。
以上説明したこの発明の実施の形態では、異常検出部30によりモータ電流検出器42の異常が判定されたときは、モータ駆動回路41に異常検出信号を出力する。モータ駆動回路41はこの異常検出信号に応答してモータ駆動信号を遮断し、或いはモータ電源を遮断する。これにより、モータによる操舵補助は中止され、マニュアル操舵となるが、不測の事故を未然に防止することができる。
異常検出部30の第1の実施例は、電流指令値Irから推定演算されたモータ電流推定値Ie及び検出されたモータ電流検出値idをそのまま使用するものである。
モータ電流推定器31は、所定の周期tでサンプリングした操舵トルク値に基づいて演算された電流指令値Irに基づいてモータ電流推定値Ieを演算し、モータ電流検出器42は、所定の周期tでモータ電流をサンプリングしてモータ電流検出値idを求める。
異常判定器32は、前記モータ電流推定値Ieとモータ電流検出値idの差の絶対値Δj(=|Ie−id|)を演算する。そして差の絶対値Δjが予め設定された第1の所定時間である所定の回数計測時間T内に所定のしきい値Sを越えた回数nを計数し、さらに前記しきい値Sを越えた回数nについて、第2の所定時間である所定期間U内の累積値Nを計数する。そして累積値Nが所定の異常判定基準回数Zを越えたとき、モータ電流検出器42は異常であると判定する。
*第1実施例の数値例*
・サンプリング周期t:1ms
・差の絶対値Δj(=|Ie−id|)がしきい値Sを越えた回数を計測する回数計測時間T:20ms
・しきい値S:10A(アンペア)
・回数nの累積値Nを求める所定期間U:200ms
・異常判定基準回数Z:10回
第1実施例では、差の絶対値Δj(=|Ie−id|)が所定の回数計測時間T(=20ms)内に所定のしきい値S(=10A)を越えた回数nを計数し、さらに所定期間U内(=200ms)における回数nの累積値Nを求めている。すなわち、差の絶対値Δjがしきい値Sを越えた回数nを計数する期間を短くし、その回数nの累積値Nから異常判定を行っている。異常判定は、比較的長期間である期間Uにおけるしきい値Sを越えた回数に基づいて異常判定を行うのであるが、初めから長期間Uを設定してしきい値Sを越えた回数を計数すると期間Uの時間経過を待つから、異常判定までに長期間を要するが、回数nとその累積値Nを計数するようにすれば、最小の遅れ時間で異常判定を行うことができるからである。
[第2の実施例]
異常検出部30の第2の実施例も、電流指令値Irから推定演算されたモータ電流推定値Ie及び検出されたモータ電流検出値idをそのまま使用するものであるが、処理及び判定の方法が第1の実施例と相違する。
モータ電流推定器31は、所定の周期tでサンプリングした操舵トルク値に基づいて演算された電流指令値Irに基づいてモータ電流推定値Ieを演算し、モータ電流検出器42は、所定の周期tでモータ電流をサンプリングしてモータ電流検出値idを求める。
異常判定器32は前記モータ電流推定値Ieが予め設定された所定の回数計測時間T1内に所定のしきい値S1を越えた回数n1を計数し、また、モータ電流検出値idが予め設定された所定の回数計測時間T2内に所定のしきい値S2を越えた回数n2を計数する。そして、前記回数n1とn2との差の絶対値Δj(=|n1−n2|)を演算し、差の絶対値Δjが所定の異常判定基準回数Zを越えたとき、モータ電流検出器42は異常であると判定する。
*第2実施例の数値例*
・サンプリング周期t:1ms
・モータ電流推定値Ieがしきい値S1を越えた回数を計測する回数計測時間T1:1000ms
・しきい値S1:10A(アンペア)
・モータ電流検出値idがしきい値S2を越えた回数を計測する回数計測時間T2:1000ms
・しきい値S2:10A(アンペア)
・異常判定基準回数Z:200回
第2実施例では、モータ電流推定値Ieが回数計測時間T1(=1000ms)内にしきい値S1を越えた回数n1と、モータ電流検出値idが回数計測時間T2(=1000ms)内にしきい値S2を越えた回数n2を求め、差の絶対値Δj(=|n1−n2|)が異常判定基準回数Zを越えたとき異常と判定するもので、比較的長期間をかけて異常判定を確実に行うことができる。
[第3の実施例]
異常検出部の第3の実施例は、モータ電流推定値Ieの微分値とモータ電流検出値idの微分値を使用するものである。
モータ電流推定器31は、所定の周期tでサンプリングした操舵トルク値に基づいて演算された電流指令値Irに基づいてモータ電流推定値Ieを演算し、その微分値dIeを演算する。モータ電流検出器42は、所定の周期tでモータ電流をサンプリングしてモータ電流検出値idを求め、その微分値didを演算する。
異常判定器32は、前記したモータ電流推定値の微分値dIeが予め設定された所定の回数計測時間T1内に所定のしきい値S1を越えた回数n1を計数し、また、モータ電流検出値の微分値didが予め設定された所定の回数計測時間T2内に所定のしきい値S2を越えた回数n2を計数する。そして、前記回数n1とn2との差の絶対値Δj(=|n1−n2|)を演算し、差の絶対値Δjが所定の異常判定基準回数Zを越えたとき、モータ電流検出器42は異常であると判定する。
*第3実施例の数値例*
・サンプリング周期t:1ms
・モータ電流推定値の微分値dIeがしきい値S1を越えた回数を計測する回数計測時間T1:200ms
・しきい値S1:10A(アンペア)
・モータ電流検出値の微分値didがしきい値S2を越えた回数を計測する回数計測時間T2:200ms
・しきい値S2:10A(アンペア)
・異常判定基準回数Z:10回
[第4の実施例]
異常検出部30の第4の実施例も、モータ電流推定値Ieの微分値とモータ電流検出値idの微分値を使用するものであるが、処理及び判定の方法が第3の実施例と相違する。
モータ電流推定器31は、所定の周期tでサンプリングした操舵トルク値に基づいて演算された電流指令値Irに基づいてモータ電流推定値Ieを演算し、その微分値dIeを演算する。またモータ電流検出器42は、所定の周期tでモータ電流をサンプリングしてモータ電流検出値idを求め、その微分値didを演算する。
異常判定器32は、モータ電流検出値の微分値didが所定のしきい値S1未満の場合は第1カウンタに1を加算してその回数を計数し、モータ電流検出値の微分値didが所定のしきい値S1以上の場合は第1カウンタの計数内容を0にリセットする。
第1カウンタの計数値が所定の回数計測時間T1以内に所定値以上になった時点からモータ電流推定値の微分値dIeを監視し、モータ電流推定値の微分値dIeが所定のしきい値S2を越える場合は第2カウンタに1を加算してその回数を計数する。このとき、第1カウンタの計数値が所定値末満又はモータ電流推定値の微分値dIeが所定の値未満の場合は、第2カウンタの計数値の更新は行なわない。
所定の回数計測時間T2以内に第2カウンタの計数値が所定の回数を越えた場合、モータ電流検出器42は異常であると判定する。
第1カウンタは、モータ電流検出値が変化しないことを確認するためのカウンタであり、第2カウンタは第1カウンタにより確認されたモータ電流検出値が所定の時間の範囲内において所定値以下の変化しか示さないときに、モータ電流推定値が大きく変化することを確認するためのカウンタである。
*第4実施例の数値例*
・モータ電流検出値の微分値didがしきい値S1未満である回数を第1カウンタで計数する回数計測時間T1:200ms
・しきい値S1:10A(アンペア)
・サンプリング周期t:1ms
・モータ電流推定値の微分値dIeがしきい値S2を越えた回数を第2カウンタで計数する回数計測時間T2:200ms
・しきい値S2:10A(アンペア)
・異常判定基準回数Z:10回
[第5の実施例]
異常検出部30の第5の実施例も、モータ電流推定値Ieの微分値とモータ電流検出値idの微分値を使用するものであるが、処理及び判定の方法が第4の実施例と相違する。
モータ電流推定器31は、所定の周期tでサンプリングした操舵トルク値に基づいて演算された電流指令値Irに基づいてモータ電流推定値Ieを演算し、その微分値dIeを演算する。またモータ電流検出器42は、所定の周期tでモータ電流をサンプリングしてモータ電流検出値idを求め、その微分値didを演算する。
異常判定器32は、モータ電流推定値の微分値dIeが所定のしきい値S1未満の場合は第1カウンタに1を加算してその回数を計数し、モータ電流推定値の微分値dIeが所定のしきい値S1以上の場合は第1カウンタの計数内容を0にリセットする。
第1カウンタの計数値が所定の回数計測時間T1以内に所定値以上になった時点からモータ電流検出値の微分値didを監視し、モータ電流検出値の微分値didが所定のしきい値S2を越える場合は第2カウンタに1を加算してその回数を計数する。このとき、第1カウンタの計数値が所定値未満又はモータ電流検出値の微分値didが所定の値未満の場合は、第2カウンタの計数値の更新は行なわない。
所定の回数計測時間T2以内に第2カウンタの計数値が所定の回数を越えた場合、モータ電流検出器42は異常であると判定する。
第1カウンタは、モータ電流推定値が変化しないことを確認するためのカウンタであり、第2カウンタは第1カウンタにより確認されたモータ電流推定値が所定の時間の範囲内において所定値以下の変化しか示さないときに、モータ電流検出値が大きく変化することを確認するためのカウンタである。
*第5実施例の数値例*
・モータ電流推定値の微分値dIeがしきい値S1未満である回数を第1カウンタで計数する回数計測時間T1:100ms
・しきい値S1:10A(アンペア)
・サンプリング周期t:1ms
・モータ電流検出値の微分値didがしきい値S2を越えた回数を第2カウンタで計数する回数計測時間T2:100ms
・しきい値S2:40A(アンペア)
・異常判定基準回数Z:10回
第3、第4及び第5の実施例は、モータ電流推定値Ieの微分値とモータ電流検出値idの微分値を使用するもので、微分値を使用することで、変化の状態を迅速確実に捉えることができる。
以上説明したこの発明の実施の形態では、異常検出部30によりモータ電流検出器42の異常が判定されたときは、モータ駆動回路41に異常検出信号を出力する。モータ駆動回路41はこの異常検出信号に応答してモータ駆動信号を遮断し、或いはモータ電源を遮断する。これにより、モータによる操舵補助は中止され、マニュアル操舵となるが、不測の事故を未然に防止することができる。
この発明では、電流指令値に基づいて推定したモータ電流推定値とモータ電流検出値との差が予め設定した所定のしきい値を越えた回数に基づいてモータ電流検出器の故障を判定するもので、モータ電流検出器の故障を正確に検出することができ、安全性の高い電動パワーステアリング装置を提供することができる。
Claims (7)
- 少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、
前記異常監視器は、前記演算されたモータ電流推定値と検出されたモータ電流検出値との差が予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた回数を計数し、その越えた回数が所定の異常判定基準回数を越えたときモータ電流検出器が異常であると判定すること
を特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、
前記異常監視器は、前記演算されたモータ電流推定値と検出されたモータ電流検出値との差が予め設定された第1の所定時間内に所定のしきい値を越えた回数を計数し、さらに該しきい値を越えた回数の第2の所定時間内における累積値を計数し、該累積値が所定の異常判定基準回数を越えたときモータ電流検出器が異常であると判定すること
を特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、
前記異常監視器は、前記演算されたモータ電流推定値及び検出されたモータ電流検出値がそれぞれ予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた回数を計数し、その越えた回数の差が予め設定された所定の異常判定基準回数を越えたとき、モータ電流検出器が異常であると判定すること
を特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、
前記異常監視器は、前記演算されたモータ電流推定値の微分値及び検出されたモータ電流検出値の微分値がそれぞれ予め設定された所定時間内に所定のしきい値を越えた回数を計数し、その越えた回数の差が予め設定された所定の異常判定基準回数を越えたとき、モータ電流検出器が異常であると判定すること
を特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、
前記異常監視器は、検出されたモータ電流検出値の微分値が予め設定された所定の時間内に所定のしきい値未満であった第1の回数を計数し、第1の回数が所定の回数を越えたときは、演算されたモータ電流推定値の微分値が予め設定された所定の時間内に所定のしきい値を越えた第2の回数を計数し、第2の回数が所定の回数を越えたとき、モータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 少なくともステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいてステアリング機構に操舵補助力を与えるモータの出力を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段は、所定のサンプリング期間毎に検出された操舵トルクに基づいてモータ出力の制御目標値である電流指令値を演算する電流指令値演算器と、前記電流指令値に基づいてモータ電流推定値を演算するモータ電流推定器と、モータ電流を検出するモータ電流検出器と、モータ電流検出器の異常を監視し異常状態が検出されたときはモータの駆動を停止させる信号を出力する異常監視器とを備え、
前記異常監視器は、演算されたモータ電流推定値の微分値が予め設定された所定の時間内に所定のしきい値未満であった第1の回数を計数し、第1の回数が所定の回数を越えたときは、検出されたモータ電流検出値の微分値が予め設定された所定の時間内に所定のしきい値を越えた第2の回数を計数し、第2の回数が所定の回数を越えたとき、モータ電流検出器が異常であると判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記異常監視器によりモータ電流検出器が異常であると判定されたときは、モータ駆動信号を遮断し、或いはモータ電源回路を遮断することを特徴とする請求の範囲の1乃至6のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
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