JP2003255162A - フォトニック結晶を用いた光導波路及びその製造方法 - Google Patents

フォトニック結晶を用いた光導波路及びその製造方法

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JP2003255162A JP2002051641A JP2002051641A JP2003255162A JP 2003255162 A JP2003255162 A JP 2003255162A JP 2002051641 A JP2002051641 A JP 2002051641A JP 2002051641 A JP2002051641 A JP 2002051641A JP 2003255162 A JP2003255162 A JP 2003255162A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 作製容易で、伝搬損失が低いフォトニック結
晶を用いた光導波路及びその製造方法を提供することに
ある。 【解決手段】 基板2上にコア4とクラッド5を形成し
た光導波路1において、コア4の少なくとも一部をフォ
トニック結晶3で構成し、クラッド5を単層膜で形成し
たものである。誘電体多層膜型のフォトニック結晶で構
成されるコアあるいはコアの一部を、スパッタデポジシ
ョンと同時あるいは交互にスパッタエッチングを行う
際、デポジションとエッチングの比率を適正化する自己
クローニング法により作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上にコアとク
ラッドを形成した光導波路及びその製造方法に係り、特
に、コアの少なくとも一部をフォトニック結晶で構成し
て伝搬損失の低減化を図ったフォトニック結晶を用いた
光導波路及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】まず、フォトニック結晶について簡単に
説明する。フォトニック結晶とは、屈折率が異なる2種
類の透明媒質を、媒質内平均波長の1/2程度の格子間
隔で1〜3次元の周期構造としたものである。3次元の
場合で大まかに言うと、ナノスケールの3次元市松模様
である。1次元〜3次元のフォトニック結晶を模式的に
示すと、それぞれ図7(a)〜(c)のようになる。図
7(a)の1次元フォトニック結晶90aの場合はz方
向にのみ屈折率の周期性を有し、図7(b)の2次元フ
ォトニック結晶90bの場合はx,z方向に屈折率の周
期性を有し、図7(c)の3次元フォトニック結晶90
cの場合はx,y,z方向に屈折率の周期性を有する。
図7中の屈折率が異なる2種類の透明媒質は、低屈折率
媒質91と高屈折率媒質92である。
【0003】従来のフォトニック結晶を用いた光導波路
の代表的な例として、図8に示すようなSOI基板を用
いた円孔型のフォトニック結晶からなる光導波路100
がある。この光導波路100は、2001年春季第48
回応用物理学関係連合講演会講演予稿集30a−YK−
2に記載されているものである。
【0004】従来の光導波路100は、Si基板101
上にSiO2 層を形成し、SiO2層上にSi層103
を形成し、そのSi層103に、直径が0.23〜0.
24μmの複数個の円孔104を、隣接する円孔の中心
間距離(格子定数)aが0.42μm間隔となるように
2次元三角格子状に配列形成すると共に、一列のみ円孔
104を形成しないようにし、下部のSiO2 層を取り
除いた構造である。
【0005】円孔104を形成しないようにした部分が
光導波路コア105となる。円孔104はフォトリソグ
ラフィーとドライエッチングにより作製され、下部のS
iO 2 層はウエットエッチング法により取り除かれる。
それによって、光導波路コア105の下部は空気(ai
r)からなる光導波路クラッド106dとなる。また、
光導波路コア105の上部も空気からなる光導波路クラ
ッド106uであることから、光導波路コア105が空
気からなる光導波路クラッド106u,dでサンドイッ
チされた構造となる。この光導波路100は、エアブリ
ッジ型と呼ばれている。
【0006】図9に光導波路100の伝搬損失の波長依
存性を示す。通信波長1.50μm帯での光導波路10
0の伝搬損失は10dB/mmである。すなわち、1c
mあたり100dBである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題 】しかしながら、従来
の光導波路100の伝搬損失は100dB/cmと非常
に高く、実用上必要とされる1dB/cm以下の低損失
のものを作製するのが困難であるという問題がある。
【0008】その主要因は、円孔104作製においてフ
ォトリソグラフィーの精度が約±5%、ドライエッチン
グによる精度が約±4%と精度が悪いことであり、その
要因を取り除くためにプロセス精度を上げることは容易
ではない。その大きな伝搬損失によって、さまざまな光
回路への応用の道が閉ざされている。
【0009】また、円孔フォトニック結晶からなる従来
の光導波路100とは異なり、下部クラッド、コア、上
部クラッドの全領域を、石英系光ファイバとの屈折率差
が小さい誘電体多層膜型のフォトニック結晶で作製した
格子変調型フォトニック結晶からなる光導波路が報告さ
れている(2001年春季第48回応用物理学関係連合
講演会講演予稿集30p−YK−2)。
【0010】この光導波路では、後述する自己クローニ
ング法により、誘電体多層膜を作製しているが、その厚
さを10μm以上とする必要があるので、作製が非常に
困難であるという問題がある。
【0011】そこで、本発明の目的は、作製容易で、伝
搬損失が低いフォトニック結晶を用いた光導波路及びそ
の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために創案されたものであり、請求項1の発明は、
基板上にコアとクラッドを形成した光導波路において、
コアの少なくとも一部をフォトニック結晶で構成し、ク
ラッドを単層膜で形成したフォトニック結晶を用いた光
導波路である。
【0013】請求項2の発明は、フォトニック結晶で構
成したコア以外のコア領域を、誘電体の単層膜で形成し
た請求項1記載のフォトニック結晶を用いた光導波路で
ある。
【0014】請求項3の発明は、クラッドを誘電体の単
層膜で形成した請求項1記載のフォトニック結晶を用い
た光導波路である。
【0015】請求項4の発明は、コアを誘電体多層膜型
のフォトニック結晶で構成した請求項1記載のフォトニ
ック結晶を用いた光導波路である。
【0016】請求項5の発明は、フォトニック結晶で構
成されるコアを、基板上の2箇所以上に配置して光共振
器の機能を有する請求項1記載のフォトニック結晶を用
いた光導波路である。
【0017】請求項6の発明は、フォトニック結晶で構
成されるコアを、基板上の2箇所以上に配置させること
により、基板面と平行方向に伝搬する入射光に対して光
波長フィルタの機能を有する請求項1または5記載のフ
ォトニック結晶を用いた光導波路である。
【0018】請求項7の発明は、基板上にコアとクラッ
ドを形成した光導波路の製造方法において、誘電体多層
膜型のフォトニック結晶で構成されるコアあるいはコア
の一部を、スパッタデポジッションと同時あるいは交互
にスパッタエッチングを行う際、デポジッションとエッ
チングの比率を適正化する自己クローニング法により作
製することを特徴とするフォトニック結晶を用いた光導
波路の製造方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適実施の形態を
添付図面にしたがって説明する。
【0020】図1は、本発明の好適実施の形態であるフ
ォトニック結晶を用いた光導波路の斜視図である。
【0021】図1に示すように、本発明に係るフォトニ
ック結晶を用いた光導波路1は、石英からなる基板2上
の中央部に、誘電体多層膜型のフォトニック結晶3で構
成される矩形体状のコア4を形成し、コア4とコア4が
形成されない基板2上とを、SiO2 からなる誘電体の
単層膜で形成したクラッド5で覆ったものである。コア
4の長さは、基板2の長手方向の長さと同じである。コ
ア4の両端面4f,4bは露出しており、一方の端面4
fが基板2の正面2fと一致し、他方の端面4bが基板
2の背面2bと一致している。基板2としては、通信波
長帯1.3μm〜1.7μmで透明な石英(SiO2
を用いているが、Siを用いてもよい。
【0022】フォトニック結晶3は、高屈折率媒質膜3
aと低屈折率媒質膜3bとからなる2次元のフォトニッ
ク結晶である。このフォトニック結晶3は、各膜3a,
3bが、基板2の長手方向に沿って凹凸形状が繰り返さ
れて形成されると共に、基板2上に交互に積層されて形
成されたものである。高屈折率媒質膜3aとしては、例
えば、Ta25 膜を使用している。低屈折率媒質膜3
bとしては、例えば、SiO2 膜を使用している。
【0023】フォトニック結晶3に用いる材料は、上述
したものに限らず、Ta25 、Nb25 、SiO2
などの酸化物、Ge、Siなどの半導体を使用すること
ができる。例えば、現在すでに製品化されている誘電体
多層膜フィルタには、Ta25 /SiO2 、Nb25
/SiO2 などの酸化物を組み合わせた材料が用いら
れているので、光導波路の低損失化のために、それらの
材料を用いることができる。
【0024】光導波路1のコア4の屈折率は、約1.7
〜1.8である。光導波路1のクラッド5の屈折率は、
約1.4〜1.5である。この光導波路1では、コア4
の一方の端面4fから入射した入射光は、フォトニック
結晶3で構成されるコア4内を、基板2の上面2uおよ
び下面2dに対して平行に伝搬し、コア4の他方の端面
4bから出射する。
【0025】次に、光導波路1の製造方法を説明する。
【0026】図2に示すように、まず、基板20の上面
20uを、電子ビーム露光によるフォトリソグラフィー
とドライエッチングにより、基板2の長手方向(x方
向)に沿ってLine&Spaceパターン状となるよ
うに加工する。ここで、Line&Spaceパターン
とは、凹凸に加工された形状のことである。図2では基
板2の上面2uに、凸部(Line)21と凹部(Sp
ace)22が交互に形成されている。すなわち、予め
基板20上に面内の1次元初期格子を形成しておく。x
方向のピッチ間隔Lxは、Line&Spaceパター
ンの一つのLine幅と一つのSpace幅を加えた値
であり、x方向のLine幅およびSpace幅をLi
ne−x、Space−xとすれば、Lx=(Line
−x)+(Space−x)となる。本実施の形態で
は、Lx=0.5μmとした。Line&Spaceパ
ターンが形成された基板20は、ダイシングにより数m
m×数mmにチップ化される。
【0027】図3(a)に示すように、チップ化した基
板2上に、バイアススパッタリング法により、高屈折率
媒質膜(Ta25 膜)3aと低屈折率媒質膜(SiO
2 膜)3bとを交互に積層させる。バイアススパッタリ
ング法を簡単に説明すると、ターゲットにR.F.(高
周波)電力を印加させるだけではなく、基板にもR.
F.電力を印加しながらスパッタデポジッションと同時
あるいは交互にバイアススパッタエッチングを可能とす
る方法である。膜厚は目的とするデバイスの仕様により
決められる。それぞれの膜を堆積させる際、後述する自
己クローニング法により、ある一定の断面形状を保ちな
がら膜が堆積される。
【0028】バイアススパッタリング法は、例えば、図
4に示すようなバイアススパッタリング装置40を用い
て行われる。
【0029】装置40は、真空排気されたチャンバ41
内の下部に設けられるターゲット電極42a,42b
と、各ターゲット電極42a,42bの上方を覆うシャ
ッター43a,43bと、チャンバ41内の上部に設け
られる基板電極44と、基板電極44に取り付けられ、
シャッター43bと対向して設けられる基板ホルダー4
5と、チャンバ41側部に設けられるガス導入部46お
よびガス排気部47とを備えたものである。ターゲット
電極42a,42bと基板ホルダー45には、整合器4
8a,48b,49を介して13.56MHzのR.
F.電源50a,50b,51が接続されており、反射
波がほぼゼロとなるように整合器48a,48b,49
のマッチングが制御される。
【0030】この装置40では、2種類のターゲット5
2a,52bは、ターゲット電極42a,42b上にそ
れぞれ配置される。チップ化された基板2は、基板ホル
ダー45内に配置される。作動ガスとしては、例えば、
アルゴン、酸素を使用している。
【0031】ここで、自己クローニング法について詳し
く説明する。自己クローニング法については、例えば、
川上彰二郎、花泉修、佐藤尚、大寺康夫、川嶋貴之、信
学論(C),vol.J80−C−I,pp.296−
297,1997.や、特開平10−335758号公
報に記載されている。
【0032】上述したバイアススパッタリング装置40
を利用することにより、ターゲット52a,52bだけ
でなく基板2へもR.F.電力を印加することができ
る。一般的なスパッタリング法では、ターゲット材がA
+ イオンによってスパッタされてターゲットを構成す
る中性原子やそのイオン、多原子分子(クラスター)な
どになり、それらを基板上に拡散入射させてデポジッシ
ョンを行う。バイアススパッタリング法によれば、基板
2に積極的にAr+ イオンを打ち込み、スパッタデポジ
ッションと同時あるいは交互にスパッタエッチングを行
うことができる。その際、デポジッションとエッチング
の比率を適正化する自己クローニング法により、ある一
定の断面形状を維持しながら膜を堆積していくことが可
能である。
【0033】自己クローニング法を用いると、デポジッ
ションとエッチングとがバランスよく行われるので、図
3(a)に示したように、基板2の上面2uに形成した
凹凸形状に応じて、各膜3a,3bが、基板2の長手方
向に沿って凹凸形状が繰り返されて形成されると共に、
基板2上に交互に積層されて形成された2次元のフォト
ニック結晶3を作製することができる。下地の形状を自
動的に複製するので、川上らは、この技術あるいは現象
を「自己クローニング」と命名した。自己クローニング
法を用いずに、ただ単にターゲットのみにR.F.電力
を印加して成膜していくと、デポジッションのみが行わ
れることから、図3(b)示すように、基板表面の凹凸
形状がその形を保てず、断面の上方でやがてならされて
平坦になってしまう。
【0034】より詳細な一例を説明する。まず、チップ
化した基板2をチャンバー内に入れ真空引きを行う。基
本圧力(Base pressure)は1.33×1
-3Pa(1×10-5 Torr)以下とする。Ta2
5 膜3aの膜厚Daは、190.5nmである。成膜
条件はR.F電力:300W、基板側R.F電力:90
W、成膜ガス:Ar(9.0sccm)+O2 (1.0
sccm)、成膜圧力:0.133Pa(1.0×10
-3Torr)とした。成膜速度が16.8nm/min
であるので成膜時間を11.3minとした。SiO2
膜3bは、膜厚Dbが272.5nmである。成膜条件
はR.F電力:300W、基板側R.F電力:90W、
成膜ガス:Ar(72.0sccm)+O2 (4.0s
ccm)、成膜圧力:0.8Pa(6.0×10-3To
rr)とした。成膜速度が3.1nm/minであるの
で成膜時間を87.9minとした。
【0035】Ta25 膜3aの厚さDaとSiO2
3bの厚さDbとの合計の厚さDを、1周期(463.
0nm)として9周期成膜する。フォトニック結晶3の
厚さ、すなわちコア4の膜厚は4.167μmとなる。
【0036】次に、フォトニック結晶3をフォトリソグ
ラフィーとドライエッチングによって加工し、両端の断
面が約4μm×4μmのほぼ正方形となるように矩形化
する。この断面が正方形である矩形体状のフォトニック
結晶3がコア4となる。コア4の側面および上面の全て
の面と、コア4が形成されていない基板2上とを、Si
2 からなる誘電体の単層膜で形成したクラッドで覆う
と、図1で示したようなフォトニック結晶を用いた光導
波路1が完成する。クラッドは、例えば、通常のスパッ
タデポジッションを行って作製すればよい。このSiO
2 からなる誘電体の単層膜のクラッドを用いることによ
り、コアとクラッドの屈折率差を大きくすることがで
き、それによってコア内に光を閉じ込めやすい構造とす
ることができる。
【0037】本発明に係る光導波路1は、通信波長帯で
ある1.3〜1.7μm(1330〜1700nm)の
全範囲に亘って、伝搬損失が1.0dB/cm以下、あ
るいは0.1dB/mm以下である。これは、図8およ
び図9で説明した従来の光導波路100の伝搬損失10
0dB/cm(10dB/mm)に比べると、約2桁も
低い伝搬損失である。
【0038】このように、本発明に係るフォトニック結
晶を用いた光導波路1は、フォトニック結晶のみで構成
される従来の光導波路100とは異なり、コアの少なく
とも一部をフォトニック結晶で構成していることから、
クラッドの実効屈折率がコアの実効屈折率よりも低くな
り、しかも、クラッドを単層膜で形成しているので、コ
アとクラッドの屈折率差を大きくすることができる。し
たがって、コア内への光の閉じ込めが十分となり、光導
波路の伝搬損失を1.0dB/cm以下と非常に低くす
ることができる。
【0039】ここで、特に、クラッドを誘電体の単層膜
とすることにより、光導波路の伝搬損失が低くなる理由
について説明する。
【0040】一例として、誘電体単層膜をSiO2 、誘
電体多層膜をTa25 とSiO2からなる多層膜とす
る。クラッドをTa25 /SiO2 誘電体多層膜とし
た場合には、その平均屈折率差が約1.7〜1.8とな
り、コアもTa25 /SiO2 の構造を持つことか
ら、コアの屈折率とクラッドのそれがほとんど同程度に
なる。一方、クラッドにSiO2 誘電体単層膜を用いる
と、SiO2 の屈折率が1.4〜1.5であるからTa
25 /SiO2 コアに比べて小さくすることができ
る。すなわち、クラッドの屈折率を小さくすることによ
り、コア内への伝搬光の閉じ込めを効果的に行うことが
でき、低伝搬損失となる。
【0041】このように、クラッドを誘電体の単層膜と
することにより、コア、クラッドの双方とも誘電体膜で
形成されるので、それによって石英系光ファイバと同程
度の屈折率とすることができ、光ファイバとの接続損失
を低減することができる。
【0042】また、コアを誘電体多層膜型のフォトニッ
ク結晶とすることにより、石英系光ファイバと同程度の
屈折率とすることができ、それによって光ファイバとの
接続損失が低く、かつコア内の伝搬損失が低い光導波路
を実現することができる。
【0043】従来技術では、従来の光導波路の一例とし
て、格子変調型フォトニック結晶からなる光導波路を説
明した。この従来の光導波路では、自己クローニング法
での誘電体多層膜を10μm以上の厚膜で維持させなけ
ればならず、作製が難しかったが、本発明に係る光導波
路1では、フォトニック結晶となるのはコア領域に限ら
れるので、作製プロセスが大幅に簡略される。しかも、
コア4の膜厚は約4μmという薄膜であるので、作製が
容易である。
【0044】さらに、本発明に係る光導波路1は、誘電
体多層膜型のフォトニック結晶から構成されるコアを自
己クローニング法を用いて作製しているので、工業的に
量産が容易である。
【0045】第2の実施の形態を説明する。
【0046】図5は、本発明の第2の実施の形態である
フォトニック結晶を用いた光導波路の斜視図である。
【0047】図5に示すように、光導波路60は、石英
からなる基板2上の中央部の正面側と背面側の2箇所
に、誘電体多層膜型のフォトニック結晶3で構成される
矩形体状のフォトニック結晶コア61f,61bを形成
し、これらフォトニック結晶コア61f,61b間に、
GeO2 −SiO2 膜からなる矩形体状の誘電体の単層
膜コア62を形成したものである。単層膜コア62の基
板2との比屈折率比Δは、1.5%である。ここで、比
屈折率比Δは、単層膜コア62の屈折率をncore、
基板2の屈折率をnsub.として、(ncore−n
sub.)/ncoreで表される。この光導波路60
は、図1で説明した光導波路1のように全てのコア領域
をフォトニック結晶3で構成するのではなく、コア領域
の一部をフォトニック結晶で構成したものである。光導
波路60のその他の構成は、光導波路1と同じ構成であ
る。
【0048】光導波路60では、フォトニック結晶コア
61f,61bと単層膜コア62とからなる光共振器を
構成している。この構成によって、フォトニック結晶コ
ア61f,61bが誘電体多層膜フィルタのDBR(分
布ブラッグ反射器)に相当し、単層膜コア62が誘電体
多層膜フィルタのキャビティ(cavity)に相当す
るので、光フィルタを構成しているとも言える。
【0049】この光導波路60では、入射光をフォトニ
ック結晶コア61fの一方の端面61fpに入射させ、
フォトニック結晶コア61bの他方の端面61bqから
出射される出射光を測定すると、ある波長の光のみを透
過する光フィルタ特性が得られる。すなわち、光導波路
60は、基板面と平行方向に伝搬する入射光に対して光
波長フィルタの機能を有する。
【0050】次に、光導波路60の製造方法を説明す
る。
【0051】まず、基板2の中央部上の正面側と背面側
の2箇所に、フォトニック結晶コア61f,61bを、
図1で説明した光導波路1のコア4と同じ要領で作成す
る。これらフォトニック結晶コア61f,61b間に、
スパッタデポジッション法により、単層膜コア62を成
膜する。このとき、SiO2 に添加するGeO2 の量を
制御し、基板との比屈折率比Δが1.5%となるように
する。矩形化はフォトリソグラフィーとドライエッチン
グを用いて両端の断面が4μm×4μmとなるように加
工される。これらフォトニック結晶コア61f,61b
と単層膜コア62を、SiO2 からなる誘電体の単層膜
で形成されるクラッド5で覆うと、図5で示した光導波
路60が完成する。
【0052】このSiO2 からなる誘電体の単層膜のク
ラッドを用いることにより、コアとクラッドの屈折率差
を大きくすることができ、それによってコア内に光を閉
じ込めやすい構造とすることができる。
【0053】本光導波路60の光学測定を行ったとこ
ろ、1560nmに透過中心波長を持つ光フィルタが得
られた。透過中心波長における伝搬損失は1.0dB/
cm、あるいは0.1dB/mm以下と非常に低く、精
度の高い波長選択型の光フィルタを実現できたことが分
かる。この光導波路60も、従来の光導波路100に比
べて約2桁低い伝搬損失である。
【0054】このように、本発明に係る光導波路60
は、フォトニック結晶で構成したコア以外のコア領域を
誘電体の単層膜とすることにより、フォトニック結晶を
用いた光導波路の伝搬損失をさらに低減することができ
る。
【0055】また、フォトニック結晶で構成されるコア
を2箇所以上に配置することにより、光共振器を実現す
ることができる。この光共振器を応用することにより、
精度が高い光波長フィルタを実現することができる。こ
の光波長フィルタとは、特に波長選択型の光フィルタの
ことである。
【0056】本発明は上記実施の形態に限定されるもの
ではない。フォトニック結晶からなるコアを分散配置
し、それぞれ分散配置されたフォトニック結晶部で各種
機能部品を形成し、それらを単層膜コアからなる光配線
で結ぶといった光機能部品のモノリシック化することも
できる。一例として、フォトニック結晶を用いた光導波
路で共振器、分散制御、レンズ、ミラー、モードフィー
ルド変換等の光機能部品を構成し、それら光機能部品を
光配線で結ぶという構成が考えられる。
【0057】第3の実施の形態を説明する。
【0058】図6は、本発明の第3の実施の形態である
フォトニック結晶を用いた光導波路の斜視図である。
【0059】図6に示すように、光導波路80は、図5
で説明したフォトニック結晶コア61f,61bと誘電
体単層膜コア62からなる共振器で構成した光フィルタ
の入力導波路の入力側および出力導波路の出力側の2箇
所に、モードフィールド変換導波路を設けたものであ
る。
【0060】この光導波路80は、基板2上の中央部の
正面側と背面側の2箇所に、GeO 2 −SiO2 膜から
なる略立方体状の誘電体の単層膜コア81f,81bを
形成し、これら単層膜コア81f,81b間に、図5で
説明したフォトニック結晶コア61f,61bと誘電体
の単層膜コア62を形成したものである。
【0061】単層膜コア81f,81bの基板2との屈
折率比Δは0.3%である。単層膜コア81f,81b
も、単層膜コア62と同様、スパッタデポジッション法
により成膜される。このとき、SiO2 に添加するGe
2 の量を制御し、基板との比屈折率比Δが0.3%と
なるようにする。各単層膜コア81f,81bの両端面
の寸法は7μm×7μmとした。単層膜コア81fの一
方の端面81fpには、モードフィールド径が10μm
のシングルモード光ファイバ82fが接続され、単層膜
コア81bの他方の端面81bqには、モードフィール
ド径が10μmのシングルモード光ファイバ82bが接
続されている。光導波路80のその他の構成は、光導波
路60とほぼ同じ構成である。
【0062】光導波路80では、シングルモード光ファ
イバ82fから入射される入射光L1は、そのモードフ
ィールド径を保ったまま、単層膜コア81fに入射さ
れ、単層膜コア81fとフォトニック結晶コア61fの
境界面でモードフィールド径が10μmから4μmに変
換される。フォトニック結晶コア61f,61bと単層
膜コア62は、図5で説明したように光波長フィルタを
構成するので、モードフィールド径が10μmから4μ
mに変換された入射光のうち、特定のスペクトルのみが
透過する。光波長フィルタを透過したスペクトルは、フ
ォトニック結晶コア61bと単層膜コア81bの境界面
でモードフィールド径が4μmから10μmに変換さ
れ、モードフィールド径を10μmに保ったまま単層膜
コア82bを伝搬し、シングルモード光ファイバ82b
に出射され、出射光L2として伝搬する。
【0063】この光導波路60では、損失が図5で説明
した光導波路60と同程度かそれ以上低いスペクトルが
得られる。また、単層膜コア81f,81b、フォトニ
ック結晶コア61f,61b、単層膜コア62などの各
種光機能部品がモノリシック化されているので、機能性
を向上させることができる。
【0064】上記実施の形態では、フォトニック結晶と
して、2次元のフォトニック結晶を用いた例で説明した
が、必要であれば3次元のフォトニック結晶を用いるこ
ともできる。3次元のフォトニック結晶を使用した場
合、2次元のフォトニック結晶を使用した場合に比べる
と構造がやや複雑になるものの、コア内への光の閉じ込
めがより強くなり、光導波路の伝搬損失がより低くなる
という利点がある。
【0065】本発明は、フォトニック結晶を用いた光導
波路及びその製造方法に関するものであるが、フォトニ
ック結晶を用いた光部品およびフォトニック結晶を応用
した光デバイス、あるいはそれら光部品ならびに光デバ
イスを適用した光システムに幅広く適用することが可能
である。
【0066】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
【0067】(1)フォトニック結晶を用いた光導波路
の伝搬損失を0.1dB/cm以下とすることができ
る。
【0068】(2)フォトニック結晶で構成したコア以
外のコア領域を誘電体の単層膜とすることにより、光導
波路の伝搬損失をさらに低減することができる。
【0069】(3)石英系光ファイバとの接続損失を低
減することができる。
【0070】(4)石英系光ファイバとの接続損失が低
く、かつコア内の伝搬損失が低い光導波路を実現するこ
とができる。
【0071】(5)光共振器を実現することができる。
【0072】(6)光フィルタを実現することができ
る。
【0073】(7)工業的に量産が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適実施の形態を示す斜視図である。
【図2】基板の斜視図である。
【図3】図3(a)は、自己クローニング法を用いて作
製したフォトニック結晶の断面図である。図3(b)
は、自己クローニング法を用いずに作製したフォトニッ
ク結晶の断面図である。
【図4】バイアススパッタリング装置の概略図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す斜視図であ
る。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す斜視図であ
る。
【図7】フォトニック結晶の模式図である。
【図8】従来の光導波路のSEM写真である。
【図9】図8に示した従来の光導波路の波長に対する伝
搬損失特性を示す図である。
【符号の説明】
1 フォトニック結晶を用いた光導波路 2 基板 3 フォトニック結晶 3a 高屈折率媒質膜 3b 低屈折率媒質膜 4 コア 5 クラッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大久保 博行 東京都千代田区大手町一丁目6番1号 日 立電線株式会社内 (72)発明者 川上 彰二郎 宮城県仙台市若林区土樋236番地 愛宕橋 マンションフォラオC−09 (72)発明者 大寺 康夫 宮城県仙台市太白区泉崎1−13−9 シテ ィーハイムショウセン1−202号 Fターム(参考) 2H047 KA04 PA04 PA21 PA24 QA01 TA37 2H049 AA03 AA31 AA37 AA44 AA50 AA59 AA62

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にコアとクラッドを形成した光導
    波路において、コアの少なくとも一部をフォトニック結
    晶で構成し、クラッドを単層膜で形成したことを特徴と
    するフォトニック結晶を用いた光導波路。
  2. 【請求項2】 フォトニック結晶で構成したコア以外の
    コア領域を、誘電体の単層膜で形成した請求項1記載の
    フォトニック結晶を用いた光導波路。
  3. 【請求項3】 クラッドを誘電体の単層膜で形成した請
    求項1記載のフォトニック結晶を用いた光導波路。
  4. 【請求項4】 コアを誘電体多層膜型のフォトニック結
    晶で構成した請求項1記載のフォトニック結晶を用いた
    光導波路。
  5. 【請求項5】 フォトニック結晶で構成されるコアを、
    基板上の2箇所以上に配置して光共振器の機能を有する
    請求項1記載のフォトニック結晶を用いた光導波路。
  6. 【請求項6】 フォトニック結晶で構成されるコアを、
    基板上の2箇所以上に配置させることにより、基板面と
    平行方向に伝搬する入射光に対して光波長フィルタの機
    能を有する請求項1または5記載のフォトニック結晶を
    用いた光導波路。
  7. 【請求項7】 基板上にコアとクラッドを形成した光導
    波路の製造方法において、誘電体多層膜型のフォトニッ
    ク結晶で構成されるコアあるいはコアの一部を、スパッ
    タデポジッションと同時あるいは交互にスパッタエッチ
    ングを行う際、デポジッションとエッチングの比率を適
    正化する自己クローニング法により作製することを特徴
    とするフォトニック結晶を用いた光導波路の製造方法。
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