JP2003248178A - 波長可変バンドパスフィルタ - Google Patents

波長可変バンドパスフィルタ

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JP2003248178A
JP2003248178A JP2002050810A JP2002050810A JP2003248178A JP 2003248178 A JP2003248178 A JP 2003248178A JP 2002050810 A JP2002050810 A JP 2002050810A JP 2002050810 A JP2002050810 A JP 2002050810A JP 2003248178 A JP2003248178 A JP 2003248178A
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photonic crystal
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bandpass filter
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JP2002050810A
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Hiroyuki Okubo
博行 大久保
Shojiro Kawakami
彰二郎 川上
Yasuo Odera
康夫 大寺
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Hitachi Cable Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透過波長を可変しても透過損失の増加を抑圧
することができ、透過波長の再現性の精度を向上させる
ことができる波長可変バンドパスフィルタを提供する。 【解決手段】 基板102面内の少なくとも2つ以上の
領域に、屈折率の周期間隔が異なる2次元または3次元
のフォトニック結晶102を一括して形成し、この基板
103を、フォトニック結晶102が形成された基板面
の法線に対し垂直とはならない方向から光が入射される
ように台104に載置し、図示せぬ駆動手段で、フォト
ニック結晶102を透過する入射光の透過波長が可変す
るように基板103をA−B方向に駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2次元あるいは3
次元で空間的に格子定数が変化している周期変調型のフ
ォトニック結晶を用いた光部品およびフォトニック結晶
を応用した光デバイス、特に通信用フィルタに関する光
デバイス、あるいはそれら光部品、光デバイスが用いら
れた光システムに適用される波長可変バンドパスフィル
タに関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術の代表的な例として誘電体多層
膜型の波長可変バンドパスフィルタについて説明する。
図12に従来の誘電体多層膜型の波長可変バンドパスフ
ィルタの全体の模式図を示し、図13にそのフィルタ部
を拡大した図を示す。
【0003】図12に示す波長可変バンドパスフィルタ
は、入射側光ファイバ1201および出射側光ファイバ
1202とが、同一光軸に対向するように入射側光ファ
イバユニット1203および出射側光ファイバユニット
1204へ設置され、入射側ファイバユニット1203
に入射側光ファイバ1201とコリメートレンズ120
5が、出射側ファイバユニット1204に出射側光ファ
イバ1202とコリメートレンズ1206が具備されて
いる。
【0004】これらの入射側/出射側光ファイバユニッ
ト1203,1204との間において、膜面への入射角
度の変化に応じて透過光に対しフィルタ特性が変わるフ
ィルタ部1207が形成された光フィルタユニット12
08が設置される。この光フィルタユニット1208
は、回転台1209上に搭載され、光軸に対し角度可変
に構成される。
【0005】次に、フィルタ部1207は、図13に示
すように基板1301の上にTa205膜1302とS
iO2(石英)膜1303から成る多層膜が形成された
構造を有している。多層膜が形成された基板1301を
膜表面の法線がファイバ中の光伝搬軸の延長上に置かれ
るように、光入射側ファイバユニット1203と光出射
側光ファイバユニット1204と共に台1210に取り
付ける。
【0006】入射光が基板1301に垂直入射するとき
には、模式図14(a)に示すような光路を伝搬し、入
射光が基板1301にある角度θで入射するときには模
式図14(b)に示すような光路を伝搬する。よって、
基板1301の傾斜角の増加に伴って入射光が伝搬する
誘電体膜のトータルの厚みが厚くなり、透過波長が長波
長側にシフトする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の波長可
変バンドパスフィルタにおいては、図12に示したよう
に回転台1209を回転させることにより多層膜フィル
タ(フィルタ部1207)の傾斜角を変化させ、それに
よって透過波長を可変としていた。このため、その傾斜
角が大きくなるに従って多層膜フィルタを通過する光伝
搬波長が長くなり、透過損失が増加していくという問題
がある。
【0008】また、図15の(a)に示すように傾斜角
がない場合と(b)に示すように傾斜角がある場合との
光偏波を考えると、(b)に示すようにx偏波、y偏波
によって入射光の感じる屈折率対称性が異なる。図15
中ではx偏波は対称的な屈折率分布を感じるが、y偏波
は非対称的な屈折率分布を感じることになる。例えば、
JDSuniphase社製の波長可変バンドパスフィ
ルタでは、カタログより透過波長1530〜1561n
mに対して損失値は2.0〜3.7dBと、少なくとも
1.7dBのバラツキがある。透過損失変動幅が1.7
dBとした場合、光伝搬長増加による損失増と偏波依存
による損失増がその大部分であると考えられる。
【0009】また、多層膜フィルタの基板1301を傾
斜させる回転台1209の駆動は手動で行っているた
め、透過波長の制御性が人によって異なったり、再現性
の精度が0.5nmと大きくなるという問題がある。
【0010】現在のDWDMでは0.5nmというの
は、かなり大きい値であり、少なくともその一桁下の
0.01nmの精度が求められる。さらに、多層膜フィ
ルタの傾斜角を変えることによって偏波依存性も生じ
る。
【0011】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、透過波長を可変しても透過損失の増加を抑圧す
ることができ、透過波長の再現性の精度を向上させるこ
とができる波長可変バンドパスフィルタを提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の波長可変バンドパスフィルタは、基板面内
の少なくとも2つ以上の領域に、屈折率の周期間隔が異
なる2次元または3次元のフォトニック結晶が一括して
形成された基板と、前記フォトニック結晶が形成された
基板面の法線に対し垂直とはならない方向から光が入射
されるように前記基板が載置された台と、前記フォトニ
ック結晶を透過する入射光の透過波長が可変するように
前記基板を駆動する駆動手段とを備えたことを特徴とし
ている。
【0013】この構成によれば、屈折率の周期間隔が異
なる少なくとも2つ以上のフォトニック結晶が駆動手段
で駆動(例えば並進、回転、傾斜など)され、これによ
って透過波長が可変されるので、透過損失の増加を抑圧
することができる。また、駆動手段によって駆動させる
ので、透過波長の再現性の精度を向上させることができ
る。
【0014】また、前記フォトニック結晶は、誘電体膜
が多層に成されていることを特徴としている。
【0015】この構成によれば、使用するフォトニック
結晶が誘電体多層膜なので、波長400〜700nmの
可視域、1300〜1650nmの通信波長域で低損失
波長可変型バンドパスフィルタを得ることができる。
【0016】また、前記フォトニック結晶は、自己クロ
ーニング法を用いて作製されることを特徴としている。
【0017】この構成によれば、誘電体多層膜型のフォ
トニック結晶を自己クローニング法を用いて作製するの
で、作製工程を容易にすることができる。
【0018】また、前記駆動手段は、前記基板を電磁力
を用いて駆動させることを特徴としている。
【0019】この構成によれば、フォトニック結晶を駆
動手段によって駆動させる際に電磁力を用いるので、透
過波長の再現性の精度を、より向上させることができ
る。
【0020】また、前記台に溝を形成すると共に、前記
基板の載置部分を前記溝に可動自在に嵌合可能な形状と
したことを特徴としている。
【0021】この構成によれば、駆動されるフォトニッ
ク結晶が溝によって規制されるので、高精度な位置決め
を行うことができる。
【0022】また、前記フォトニック結晶が形成された
基板を少なくとも2つ以上用いることを特徴としてい
る。
【0023】この構成によれば、フォトニック結晶を2
つ以上用い、特にそれらの法線が光入射方向に一致する
ように直列に並べることにより、クロストークを大きく
とることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施の形態に係る波長可変バンドパスフィルタの構
成を示す模式図である。
【0026】図1に示す波長可変バンドパスフィルタ
は、3次元のフォトニック結晶を用いたものであり、直
方体形状の枠体101内に、フォトニック結晶102が
形成されチップ化された基板103と、この基板103
が図示せぬ基板スライド機構を介して載置されたブロッ
ク台104と、枠体101の光入射側と光出射側に光軸
が一直線となるように接続されたSMF(Single Mode F
iber)の光ファイバ105,106とを備えて構成され
ている。但し、本図では基板103をスライドさせるた
めのピエゾ素子、駆動回路等は省略した。
【0027】ここでフォトニック結晶102について簡
単に説明する。フォトニック結晶とは、屈折率が異なる
2種類の透明媒質を媒質内平均波長の1/2程度の格子
間隔で、1〜3次元で周期構造としたものである。3次
元の場合で大まかに言うと、ナノスケールの3次元市松
模様である。1次元、2次元、3次元のフォトニック結
晶を模式的に示すと、図2の(a)、(b)、(c)に
示すようになる。図2中、屈折率が異なる2種類の透明
媒質は、低屈折率媒質201と、高屈折率媒質202で
ある。(a)の場合はZ方向にのみ屈折率の周期性を有
し、(b)の場合はX,Z方向に屈折率の周期性を有
し、(c)の場合はX,Y,Z方向に屈折率の周期性を
有する。
【0028】本発明のフォトニック結晶102は、基板
面内の1次元または2次元的初期格子の周期が様々に異
なる複数の領域を基板上に形成しておき、その上に屈折
率の異なる2種類の膜の積層を行って、2次元または3
次元のフォトニック結晶102を形成したものである。
なお、面内の1次元または2次元的初期格子の格子の変
調の仕方は連続的であっても、階段状であっても良い。
【0029】ここでx方向とy方向のピッチ間隔Lx,
Lyについて説明する。基板面内には予め1次元または
2次元の初期格子を形成するが、該格子はLine&S
paceパターンにより形成する。Line&Spac
eパターンとは、凹凸に加工された形状のことである。
x方向とy方向のピッチ間隔Lx,Lyは、Line&
Spaceパターンの1つのLine幅と1つのSpa
ce幅を加えた値であり、X,Y方向のLine幅およ
びSpace幅をそれぞれLine−x,Line−
y,Space−x,Space−yとすれば、Lx=
(Line−x)+(Space−y),Ly=(Li
ne−x)+(Space−y)となる。
【0030】図2中のフォトニック結晶に様々な屈折率
周期を持たせ、すなわちx方向の周期Lx、およびy方
向の周期Lyを変えた領域を複数箇所設け(図2中では
7箇所)、それぞれの領域でLxおよびLyを異ならせ
ることによってその領域を透過する透過中心波長を異に
する。なお、透過中心波長は該LxおよびLyの増加と
共に長波長化する。
【0031】該フォトニック結晶に並進、回転、傾斜な
どの機械的操作を駆動させることにより入射光が通過す
る領域を変化させると、それに伴って透過波長が可変と
なる。入射光が透過するフォトニック結晶の厚みは上記
領域によらず一定であるためにそれぞれの領域で損失が
一定であり、Lx=Lyとすれば偏波依存性も無い。別
な方法として、Lx、Lyの一定な扇状の領域を設け、
それらを組み合わせて円状にする方法がある。
【0032】さらに、フォトニック結晶を2つ用い、そ
れらを光出射方向に直列に並べることにより、透過光と
反射光の比のデシベル表示であるクロストークを、フォ
トニック結晶を1つのみ用いた場合の倍とすることがで
きる。例えばフォトニック結晶を1つのみ用いた場合、
クロストークが約20dBであったが、2つ用いること
で該クロストークを40dBにすることができる。
【0033】また、フォトニック結晶に用いる材料は、
Ta205,Nb205,SiO2,Si,Geなどの
酸化物、Siなどの半導体が有力候補である。現在すで
に製品化されている誘電体多層膜型のバンドパスフィル
タに用いられている材料はTa205/SiO2,Nb
205/SiO2などの酸化物の組み合わせである。ま
た、入射光を導入する入射側光ファイバと出射光を取り
出す出射側光ファイバは、汎用的なシングルモード光フ
ァイバ(SMF)を用いることができる。
【0034】このような本発明のフォトニック結晶10
2は、図1に示すように、基板103上に形成された7
つの領域からなり、それぞれの領域では透過する光の中
心波長が異なり、A→Bの方向に向かって透過中心波長
を長波長にすることができる。AからBへのスライド
は、ステップ間隔がmmオーダのピエゾ素子が内蔵され
た基板スライド機構により行われる。
【0035】但し、基板103には、SiまたはSiO
2(石英)を用いることができる。本実施の形態では波
長1.55umで透明な石英基板を用いた。該基板10
3表面の構造は、電子ビーム露光によるフォトリソグラ
フィーとドライエッチングにより、x方向とy方向の両
方向でLine&Spaceパターン状に加工した。ま
た、x方向とy方向のピッチ間隔Lx,Lyは、Lx=
Ly=0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.
7,O.8umとした。ここで、基板103に垂直に光
を入射したときの偏波依存性を低減するためにLx=L
yとした。
【0036】次に、図3にLine&Spaceパター
ンが形成された基板301の外観図、各チップ302の
上面図およびA−A'断面図を示す。
【0037】チップ302の上面図からピッチ間隔L
x,Lyが増加するに従ってピッチ密度が薄くなり、チ
ップ302の断面図から凸凹の密度が薄くなる様子がわ
かる。様々なピッチでLine&Spaceパターンが
形成されたSi基板302は、ダイシングにより約2m
m×8mmにチップ化される。その外観図を図4に示
す。図4において、A−A',B−B'断面図からフォト
ニック結晶102の領域においてLx=Lyであること
を示した。
【0038】該チップにバイアススパッタリング法によ
り、Ta205およびSiO2膜が交互に積層される。
バイアススパッタリング法を簡単に説明すると、ターゲ
ットにR.F.電力を印加させるだけではなく、基板に
もR.F.電力を印加しながら従来からあるスパッタリ
ング成膜と基板のスパッタエッチングを可能とする方法
である。膜厚は目的とするデバイスの特性により決めら
れる。それぞれの膜を堆積させる際、後述する自己クロ
ーニング法によりある一定の形状を保ちながら膜が堆積
される。
【0039】ここで、自己クローニング法について詳し
く説明する(川上彰二郎、花泉修、佐藤尚、大寺康夫、
川嶋貴之、信学論(C),vol.J80−C−I,p
p.296−297,1997.特開平10−3357
58「3次元周期構造体及びその作製方法並びに膜の製
造方法」川上彰二郎、榊裕之、白石和男)。
【0040】上述したバイアススパッタリング装置を利
用することにより、ターゲットだけでなく基板へもR.
F.電力を印加することができる。一般的なスパッタリ
ング法ではターゲット材がAr+イオンによってスパッ
タされて、ターゲットを構成する中性原子やそのイオ
ン、多原子分子(クラスタ)などになり、それらを基板
上に拡散入射させてデポジッションを行う。
【0041】上記バイアススパッタリング法によれば、
基板に積極的にAr+イオンを打ち込み、スパッタデポ
ジッションと同時に基板のスパッタエッチングを行うこ
とができる。その際、堆積とエッチングの比率を適正化
することで、ある一定の形状を維持しながら膜を堆積し
ていくことが可能である。
【0042】自己クローニングによって作製されたフォ
トニック結晶の断面図を図5の(a)に示す。この
(a)に示すように、基板503上に屈折率が異なる2
種類の透明媒質501と502が交互に形成されてい
る。このような下地の形状を自動的に複製するので川上
らは、この技術あるいは現象を、自己クローニングと命
名した。自己クローニング法を用いずただ単にターゲッ
トのみにR.F.電力を印加して成膜していくと、基板
表面の凹凸形状がその形を保てず、図5の(b)に示す
ように、やがてならされて平坦になってしまう。
【0043】次に、自己クローニング法を用いてフォト
ニック結晶用基板上にスパッタリング成膜する方法を具
体的に述べる。この方法に用いるバイアススパッタリン
グ装置を図6に模式的に示す。
【0044】図6に示すバイアススパッタリング装置
は、真空排気されたチャンバ601内に、2種類のター
ゲット602−1,2と、それぞれのターゲット602
−1,2を覆うシャッタ603−1,2と、基板ホルダ
ー604内に設置された基板605と、およびガス導入
部606とが配置された構成となっている。
【0045】ターゲット602−1,2と基板ホルダー
604は、整合器607−1,2,3を介して13.5
6MHzのR.F.電源608−1,2,3が接続さ
れ、反射波がほぼゼロとなるように整合器607−1,
2,3のマッチングが制御される。
【0046】まず、チップ化した基板をチャンバー内に
入れ真空引きを行う。ベース圧力は、5×10-6Tor
r以下とする。成膜は、基板整形層から入る。膜の種類
はSiO2膜で膜厚0.5umである。成膜条件はR.
F.電力:300w、成膜ガス:Ar(15scc
m)、成膜圧力:1.6×10-3Torrとする。成膜
速度が130A/minであるので成膜時間を40mi
nとする。
【0047】次に下部反射鏡層の成膜を行う。第1の膜
は、Ta205膜で膜厚197nmである。成膜条件
は、R.F.電力:300w、成膜ガス:Ar(9.0
sccm)+O2(1.0sccm)、成膜圧力:1.
0×10-3Torrとする。成膜速度が224A/mi
nであるので成膜時間を8.8minとする。第2の膜
は、SiO2膜で膜厚266nmである。
【0048】成膜条件は、R.F.電力:300w、成
膜ガス:Ar(80sccm)、成膜圧力:6.0×1
-3Torrとする。成膜速度が112A/minであ
るので成膜時間を23.8minとする。SiO2膜成
膜終了後、ターゲットにR.F.印加せず、基板のみに
R.F.印加して基板のスパッタリングエッチングを行
う。スパッタ条件はR.F.電力:90w、成膜ガス:
Ar(15sccm)、スパッタ圧力:1.6×10-3
Torrとする。スパッタ時間は40minとする。
【0049】次に、第1膜のTa205膜と第2膜のS
iO2膜を1周期として7周期成膜し、その後、Ta2
05膜を上記と同じ条件で成膜する。下部反射鏡層の成
膜が終了後、キャビティ層の成膜を行う。本実施の形態
では、キャビティ層をSiO2膜とし、膜厚を532n
mとする。スパッタリングする際の成膜条件は、R.
F.電力:300w、成膜ガス:Ar(80scc
m)、成膜圧力:6.0×10-3Torrとする。
【0050】成膜速度が112A/minであるので成
膜時間を47.5minとする。キャビティ層の成膜が
終了後、最後の上部反射鏡層の成膜を行う。下部反射鏡
層と同じように、Ta205膜(膜厚197nm)とS
iO2膜(膜厚266nm)を1周期として、下部反射
鏡層における成膜条件と同一条件で7周期成膜する。そ
の後、最終層であるTa205膜197nmを下部反射
鏡層と同じ成膜条件で成膜する。この最終層のTa20
5膜を終えて、基本的な成膜は終了となる。
【0051】次に、ARコートを行う。ARコートの目
的は空気から多層膜上面へ光を入射させる場合の反射を
抑えるということである。本実施の形態では空気からT
a205層へ光を入射させる際の反射を抑える。一般的
には、多層膜表面にTa205膜を膜厚d1とし、Si
O2膜を膜厚d2として2層成膜するといった手法が用
いられている。ここで、d1=λ/(4×n1)、d2
=λ/(4×n2)(λは透過中心波長、n1はTa2
05膜の屈折率、n2はSiO2膜の屈折率)とする。
【0052】本実施の形態では、d1=0.193×λ
/n1、d2=0.113×λ/n2(λは透過中心波
長、n1はTa205膜の屈折率、n2はSiO2膜の
屈折率)とした。それによって、所望の波長帯域の約5
0nm間隔における反射率を1%以下に抑えることがで
きる。
【0053】次に、波長可変バンドパスフィルタの光学
測定を行った。図7は基板サンプルをLxが小さい方か
ら大きい方に移動させたときの透過スペクトルをスペク
トラムアナライザーで光学測定を行った結果である。透
過中心波長が短波長から長波長側にシフトしていくこと
がわかる。なお、透過中心波長が長波長側にシフトして
も透過中心波長における損失は1.0dBと一定であっ
た。
【0054】(第2の実施の形態)図8は、本発明の第
2の実施の形態に係る波長可変バンドパスフィルタの構
成を示す模式図である。
【0055】図8に示す第2の実施の形態の波長可変バ
ンドパスフィルタは、上記第1の実施の形態で用いたフ
ォトニック結晶の基板を円状にし、Lx、Lyの一定な
扇状の領域を設け、それらを組み合わせて円状にした場
合の実施の形態である。
【0056】即ち、本実施の形態の波長可変バンドパス
フィルタは、枠体801内に、円状にしたフォトニック
結晶802と中心軸803を設け、中心軸803と円状
のフォトニック結晶802を一体化したものをブロック
台804に設置し、枠体801の光入射側と光出射側に
光軸が円状のフォトニック結晶802を透過するように
SMFの光ファイバ805,806が接続されて構成さ
れている。
【0057】円状のフォトニック結晶802を、中心軸
803を中心として回転させることで光入射位置が異な
る扇形領域に移動させることができる。それにより透過
波長を可変とすることができる。なお、回転駆動させる
ための機構は例えばモータを利用することが考えられる
が、図中では省略する。
【0058】(第3の実施の形態)図9は、本発明の第
3の実施の形態に係る波長可変バンドパスフィルタの構
成を示す模式図である。
【0059】図9に示す第3の実施の形態の波長可変バ
ンドパスフィルタは、上記第1の実施の形態と基本的な
構成は同じであるが、枠体101内の基板スライド機構
としてブロック台104にV溝901を形成し、フォト
ニック結晶102が形成された基板103の側面をV溝
901に嵌合するV形状に加工した点が異なる。なお、
並進駆動させるための機構は第1の実施の形態と同じで
あり、図中では省略した。
【0060】このようにV溝901を使用することによ
り、精度良く入射光の焦点をフォトニック結晶表面に投
射することができる。
【0061】(第4の実施の形態)図10は、本発明の
第4の実施の形態に係る波長可変バンドパスフィルタの
構成を示す模式図である。
【0062】図10に示す第4の実施の形態の波長可変
バンドパスフィルタが、上記第1の実施の形態と異なる
点は、基板スライド機構として、ピエゾ素子を用いるの
ではなく電磁力を用いたことにある。即ち、基板103
に強磁性体膜または強磁性体バルク1001−1,2を
設置し、該基板103を枠体101内に配置した電磁石
1002−1,2でスライド駆動させるように構成した
ものである。その他の構成部品は図1と同じなので詳し
い説明は省略する。なお、ブロック台104の基板並進
駆動部には上記第3の実施の形態で説明したV溝901
を用いることができる。
【0063】(第5の実施の形態)図11は、本発明の
第5の実施の形態に係る波長可変バンドパスフィルタの
構成を示す模式図である。
【0064】図11に示す第5の実施の形態の波長可変
バンドパスフィルタが、上記第1の実施の形態と異なる
点は、フォトニック結晶を2つ用いたことにある。即
ち、上記第1の実施の形態で説明したフォトニック結晶
102が作製された2つの基板103−1,2を用い、
第1のフォトニック結晶102が形成された基板103
−1の裏面に、接着剤で第2のフォトニック結晶102
が形成された基板103−2の表面を接着して直列に接
続し、入射光の伝搬方向と平行となるように基板スライ
ド機構中に設置する。その他の構成部品は図1と同じな
ので詳しい説明は省略する。
【0065】本構成によって、フォトニック結晶を1つ
のみ用いた場合は、クロストークは約20dBであった
のが、2つ用いることで40dBまで増大した。なお、
並進駆動させるための機構は他に電磁力を利用すること
が考えられるが、図中では省略した。
【0066】なお、本発明は上記第1〜第5の実施の形
態に限定されるものではない。用いるフォトニック結晶
を誘電体多層膜型とするのではなく、化合物半導体の基
板に円孔が多数形成されたもの、あるいは基板上に円柱
が多数形成されたものなどでも良い。駆動機構は、ピエ
ゾ素子による駆動、電磁力による駆動だけではなく、マ
イクロマシーニングにより作製したモータなどを用いて
も良い。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
基板面内の少なくとも2つ以上の領域に、屈折率の周期
間隔が異なる2次元または3次元のフォトニック結晶が
一括して形成された基板と、フォトニック結晶が形成さ
れた基板面の法線に対し垂直とはならない方向から光が
入射されるように基板が載置された台と、フォトニック
結晶を透過する入射光の透過波長が可変するように前記
基板を駆動する駆動手段とを備えてフォトニック結晶を
構成したので、透過波長を可変しても透過損失の増加を
抑圧することができ、透過波長の再現性の精度を向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る波長可変バン
ドパスフィルタの構成を示す模式図である。
【図2】1次元、2次元、3次元のフォトニック結晶の
模式図である。
【図3】Line&Spaceパターンが形成された基
板の模式図である。
【図4】チップ化された基板の模式図である。
【図5】自己クローニング法を用いた場合と用いない場
合に作製したフォトニック結晶の断面模式図である。
【図6】自己クローニング法を用いて作製する際に用い
たバイアススパッタリング装置の模式図である。
【図7】第1の実施の形態の波長可変バンドパスフィル
タを光学測定した結果を示す光の波長と透過挿入損失と
の関係図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る波長可変バン
ドパスフィルタの構成を示す模式図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る波長可変バン
ドパスフィルタの構成を示す模式図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る波長可変バ
ンドパスフィルタの構成を示す模式図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る波長可変バ
ンドパスフィルタの構成を示す模式図である。
【図12】従来の誘電体多層膜型の波長可変バンドパス
フィルタの全体の模式図である。
【図13】従来の誘電体多層膜型の波長可変バンドパス
フィルタのフィルタ部の拡大図である。
【図14】従来の誘電体多層膜型の波長可変バンドパス
フィルタに入射光が基板に垂直に入射される場合と、入
射光が基板にある角度で入射される場合のフィルタ内を
入射光が伝搬する光路を示した模式図である。
【図15】従来の誘電体多層膜型の波長可変バンドパス
フィルタに入射光のX偏波とY偏波とで光の感じる屈折
率の対称性の違いを模式的に示した図である。
【符号の説明】
101 枠体 102 フォトニック結晶 103,103−1,103−2 基板 104 ブロック台 105 入射側SMF光ファイバ 106 出射側SMF光ファイバ 201 低屈折率媒質 202 高屈折率媒質 301 基板 302 チップ 501,502 透明媒質 503 基板 601 チャンバ 602−1,2 ターゲット 603−1,2 シャッタ 604 基板ホルダー 605 基板 606 ガス導入部 607−1,2,3 整合器 608−1,2,3 R.F.電源 801 枠体 802 フォトニック結晶 803 基板 804 ブロック台 805 入射側SMF光ファイバ 806 出射側SMF光ファイバ 901 V溝 1001−1,2 強磁性体バルク 1002−1,2 電磁石 1201 入射側光ファイバ 1202 出射側光ファイバ 1203 入射側光ファイバユニット 1204 出射側光ファイバユニット 1205,1206 コリメートレンズ 1207 フィルタ部 1208 光フィルタユニット 1209 回転台 1210 台 1301 基板 1302 Ta205膜 1303 SiO2(石英)膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大久保 博行 東京都千代田区大手町1丁目6番1号 日 立電線株式会社内 (72)発明者 川上 彰二郎 宮城県仙台市若林区土樋236番地 愛宕橋 マンションフォラオC−09 (72)発明者 大寺 康夫 宮城県仙台市太白区泉崎1−13−9 シテ ィーハイムショウセン1−202号 Fターム(参考) 2H038 AA21 BA27 2H041 AA21 AB10 AC01 AZ08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板面内の少なくとも2つ以上の領域
    に、屈折率の周期間隔が異なる2次元または3次元のフ
    ォトニック結晶が一括して形成された基板と、 前記フォトニック結晶が形成された基板面の法線に対し
    垂直とはならない方向から光が入射されるように前記基
    板が載置された台と、 前記フォトニック結晶を透過する入射光の透過波長が可
    変するように前記基板を駆動する駆動手段とを備えたこ
    とを特徴とする波長可変バンドパスフィルタ。
  2. 【請求項2】 前記フォトニック結晶は、誘電体膜が多
    層に成されていることを特徴とする請求項1記載の波長
    可変バンドパスフィルタ。
  3. 【請求項3】 前記フォトニック結晶は、自己クローニ
    ング法を用いて作製されることを特徴とする請求項2記
    載の波長可変バンドパスフィルタ。
  4. 【請求項4】 前記駆動手段は、前記基板を電磁力を用
    いて駆動させることを特徴とする請求項1記載の波長可
    変バンドパスフィルタ。
  5. 【請求項5】 前記台に溝を形成すると共に、前記基板
    の載置部分を前記溝に可動自在に嵌合可能な形状とした
    ことを特徴とする請求項1記載の波長可変バンドパスフ
    ィルタ。
  6. 【請求項6】 前記フォトニック結晶が形成された基板
    を少なくとも2つ以上用いることを特徴とする請求項1
    記載の波長可変バンドパスフィルタ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100354667C (zh) * 2005-02-03 2007-12-12 中国科学院半导体研究所 一种基于混合集成的光子晶体滤波器
US7317860B2 (en) 2005-10-04 2008-01-08 Fujitsu Limited Optical device having photonic crystal structure

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