JP2003253452A - 薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成方法

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JP2003253452A
JP2003253452A JP2002056641A JP2002056641A JP2003253452A JP 2003253452 A JP2003253452 A JP 2003253452A JP 2002056641 A JP2002056641 A JP 2002056641A JP 2002056641 A JP2002056641 A JP 2002056641A JP 2003253452 A JP2003253452 A JP 2003253452A
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thin film
cylindrical rotary
rotary electrode
frequency power
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JP2002056641A
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English (en)
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Koji Nakahama
康治 中濱
Tatsushi Yamamoto
達志 山本
Yuzo Mori
勇▲蔵▼ 森
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 円筒型回転電極を有するプラズマCVD装置
を用いて、膜厚方向に均質な組成を有する薄膜を形成す
る。 【解決手段】 円筒型回転電極を配置した反応容器内
に、解離エネルギーが同程度の2種類以上の主反応ガス
を導入し、その成膜条件は、円筒型回転電極表面の周
速度について、60m/s以上、より好ましくは、60
〜80m/s円筒型回転電極表面と基板との間隔につ
いて、600μm以上、より好ましくは、600〜10
00μm投入電力密度について、100W/cm2
上、より好ましくは、100〜250W/cm2基板
の加熱温度について、200℃以上、より好ましくは、
300℃以上のいずれかを満たすような成膜条件により
成膜を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマCVD法
を用いて基板の表面に薄膜を形成する化合物薄膜形成方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は、基板の表面に薄膜を形成するプ
ラズマCVD法に用いられる一般的なプラズマCVD装
置の概略を示す断面図である。
【0003】このプラズマCVD装置は、薄膜の原料と
なる原料ガスが充填されて薄膜形成の反応場となる内部
空間が設けられた反応容器1を有している。この反応容
器1の内部には、一対の平行平板型電極2及び3が相互
に平行な状態で対向するように上下にそれぞれ設けられ
ている。
【0004】反応容器1の上側に配置された第1平行平
板型電極2は、反応容器1の外部に設けられた高周波電
源6に接続されており、反応容器1内の下側に配置され
た第2平行平板型電極3は、接地されている。また、反
応容器1の下側に配置された第2平行平板型電極3は、
薄膜を形成する基板5を載置する載置板として用いら
れ、その内部には、載置された基板5を加熱するための
加熱ヒーター4が設けられている。
【0005】反応容器1の一方の側部には、薄膜の原料
となる原料ガスを導入するためのガス導入ライン7が設
けられており、ガス導入ライン7は、図1において図示
しない原料ガスボンベ等に接続されている。また、反応
容器1の他方の側部には、反応容器1内に存在するガス
を排出するためのガス排気ライン8が設けられており、
ガス排気ライン8は、図1において図示しないポンプに
接続されている。
【0006】このプラズマCVD装置を用いて基板5の
表面に薄膜を形成する場合には、反応容器1の第2平行
平板型電極3上に、薄膜が形成される基板5を載置した
後、ガス導入ライン7及びガス排出ライン8によって、
原料ガスの導入及び排出を調整して、反応容器1内に所
定量の原料ガスが充填された状態に維持する。そして、
所定量の原料ガスが充填された反応容器1内に、高周波
電源6から第1平行平板型電極2に高周波電圧を印加し
て、第1平行平板型電極2と第2平行平板型電極3との
間に電場を形成する。第1平行平板型電極2及び第2平
行平板型電極3の間の電場に供給された原料ガスは、こ
の電場において分解及び励起が促進されてプラズマ状態
となり、図1に点線で示すプラズマ空間9が形成され
る。そして、プラズマ空間9にて形成されたプラズマに
より基板5の表面上に所望の薄膜が形成される。
【0007】しかし、このように、一対の平行平板型電
極2及び3を有するプラズマCVD装置を用いた薄膜形
成方法では、均質な薄膜を基板5上に形成するために、
プラズマ空間9に対して原料ガスを均一に供給すること
が必須条件となるが、薄膜を形成する基板5が大面積に
なった場合にこの条件を満たすことは容易ではない。反
応容器1内の原料ガスの圧力が高くなるとプラズマ空間
9内に供給される原料ガスの不均一の度合いはさらに顕
著になるため、大面積の基板5に対して薄膜形成を行う
場合には、一般的に、反応容器1内が減圧される。しか
し、このように反応容器1内を減圧して薄膜形成を行う
と、成膜速度が遅くなるという問題が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の一対の平行平板
型電極2及び3を有するプラズマCVD装置が有する課
題を解消するプラズマCVD装置として、例えば、特開
平9−104985号公報には、薄膜が形成される基板
に対向して、高周波電力が印加された状態で回転する円
筒型回転電極が配置されたプラズマCVD装置を用いて
薄膜を形成する方法が開示されている。
【0009】この公報では、円筒型回転電極が内部に配
置された反応容器内に所定の原料ガスを導入し、高周波
電力が印加された状態で円筒型回転電極を回転させつ
つ、基板を所定方向に走査して、円筒型回転電極と基板
との間にプラズマを形成し薄膜を形成している。
【0010】本願発明者らは、この円筒型回転電極を有
するプラズマCVD装置を用いた薄膜の形成方法につい
て詳細に検討し、特願2000−168886号におい
て、解離エネルギーが異なる2種類以上の主反応ガスを
用いることによって、形成される薄膜の膜厚方向に組成
分布を有する傾斜機能薄膜を簡便に形成する方法を提案
している。なお、主反応ガスとは、化合物薄膜の構成元
素の主なソースとなるガスを意味する。例えば、後述の
本願明細書中の実施例に示すように、SiNx膜の場合
は、SiのソースであるSiH4と、Nのソースである
NH3の、少なくとも2種類のガスのことである。他に
も、SiC膜の場合は、SiのソースであるSiH
4と、CのソースであるCH4の、少なくとも2種類のガ
スのことである。
【0011】また、特願2001−380698号にお
いては、形成される薄膜の膜厚方向に複雑な組成分布を
有する傾斜機能薄膜を形成する方法を提案している。
【0012】この公報に記載された薄膜形成方法では、
反応容器内に解離エネルギーが同程度の2種類以上の主
反応ガスを供給すれば、膜厚方向に均質な組成分布を有
する薄膜が得られることに基づき、上記の特願2000
−168886号に記載された傾斜機能薄膜の形成方法
をさらに応用して、解離エネルギーが異なる主反応ガス
が供給された反応容器とは別の反応容器に、解離エネル
ギーが同程度の2種類以上の主反応ガスを供給し、各反
応容器を連結して、それぞれの反応容器にて連続して薄
膜形成を行うことにより、薄膜の膜厚方向の組成分布が
複雑に変化する薄膜を得る方法が記載されている。
【0013】また、この公報では、同一または別個の反
応容器内に搬送される基板を円筒型回転電極の回転方向
と同一方向または逆方向に走査することによって形成さ
れる薄膜の膜厚方向の組成分布が変化することを利用す
ることによっても、複雑な組成分布を有する薄膜を形成
することができることが記載されている。
【0014】しかし、上記公報では、円筒型回転電極を
有するプラズマCVD装置を用いて、反応容器内に解離
エネルギーが同程度の2種類以上の主反応ガスを供給し
て、膜厚方向に均質な組成を有する薄膜を形成する場
合、解離エネルギーが同程度の2種類以上の主反応ガス
を供給するという記述にとどまっている。
【0015】しかし、後述の本願明細書にて説明するよ
うに、本願発明者らは、成膜パラメータを適切に設定し
ない場合には、単に解離エネルギーが同程度の主反応ガ
スを用いただけでは、膜厚方向に組成分布に傾斜が生じ
ることを、実験により明らかにした。
【0016】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、円筒型回転電極を有するプラズマCVD装置を
用いて、膜厚方向に均質な組成を有する薄膜を形成する
方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の薄膜形成方法は、高周波電力が印加された
状態で回転する円筒型回転電極が設けられた反応容器内
に、該円筒型回転電極に対向して薄膜が形成される基板
を配置し、該反応容器内に解離エネルギーが同程度の2
種類以上の主反応ガスを導入して、高周波電力が印加さ
れた円筒型回転電極を回転させつつ、該基板を所定方向
に走査して、該円筒型回転電極と基板との間に発生した
プラズマによって基板上に薄膜を形成する薄膜形成方法
であって、該円筒型回転電極表面の周速度を60m/s
以上とすることを特徴とするものである。
【0018】上記本発明の薄膜形成方法において、前記
円筒型回転電極表面の周速度は、80m/s以下である
ことが好ましい。
【0019】また、本発明の薄膜形成方法は、高周波電
力が印加された状態で回転する円筒型回転電極が設けら
れた反応容器内に、該円筒型回転電極に対向して薄膜が
形成される基板を配置し、該反応容器内に解離エネルギ
ーが同程度の2種類以上の主反応ガスを導入して、高周
波電力が印加された円筒型回転電極を回転させつつ、該
基板を所定方向に走査して、該円筒型回転電極と基板と
の間に発生したプラズマによって基板上に薄膜を形成す
る薄膜形成方法であって、該円筒型回転電極表面と該基
板との間隔を、600μm以上とすることを特徴とする
ものである。
【0020】上記本発明の薄膜形成方法において、前記
円筒型回転電極表面と前記基板との間隔は、1000μ
m以下であることが好ましい。
【0021】また、本発明の薄膜形成方法は、高周波電
力が印加された状態で回転する円筒型回転電極が設けら
れた反応容器内に、該円筒型回転電極に対向して薄膜が
形成される基板を配置し、該反応容器内に解離エネルギ
ーが同程度の2種類以上の主反応ガスを導入して、高周
波電力が印加された円筒型回転電極を回転させつつ、該
基板を所定方向に走査して、該円筒型回転電極と基板と
の間に発生したプラズマによって基板上に薄膜を形成す
る薄膜形成方法であって、該高周波電力の電力密度を、
100W/cm2以上とすることを特徴とするものであ
る。
【0022】上記本発明の薄膜形成方法において、前記
高周波電力の電力密度は、250W/cm2以下である
ことが好ましい。
【0023】また、本発明の薄膜形成方法は、高周波電
力が印加された状態で回転する円筒型回転電極が設けら
れた反応容器内に、該円筒型回転電極に対向して薄膜が
形成される基板を配置し、該反応容器内に解離エネルギ
ーが同程度の2種類以上の主反応ガスを導入して、高周
波電力が印加された円筒型回転電極を回転させつつ、該
基板を所定方向に走査して、該円筒型回転電極と基板と
の間に発生したプラズマによって基板上に薄膜を形成す
る薄膜形成方法であって、該基板の加熱温度を、200
℃以上とすることを特徴とするものである。
【0024】上記本発明の薄膜形成方法において、前記
基板の加熱温度は、300℃以上であることが好まし
い。
【0025】また、本発明の薄膜形成方法において、高
周波電力が印加された状態で回転する円筒型回転電極が
設けられた反応容器内に、該円筒型回転電極に対向して
薄膜が形成される基板を配置し、該反応容器内に解離エ
ネルギーが同程度の2種類以上の主反応ガスを導入し
て、高周波電力が印加された円筒型回転電極を回転させ
つつ、該基板を所定方向に走査して、該円筒型回転電極
と基板との間に発生したプラズマによって基板上に薄膜
を形成する薄膜形成方法であって、 成膜条件 円筒型回転電極表面の周速度:80m/s以下 該円筒型回転電極表面と該基板との間隔:1000μm
以下 高周波電力の電力密度:250W/cm2以下 該基板の加熱温度:200℃以上 の少なくとも2つを組み合わせて成膜することを特徴と
するものである。
【0026】上記本発明の薄膜形成方法において、前記
成膜条件は、 円筒型回転電極表面の周速度:60m/s以上 該円筒型回転電極表面と該基板との間隔:600μm以
上 高周波電力の電力密度:100W/cm2以上 該基板の加熱温度:300℃以上 の少なくとも1つの条件をさらに満たすことが好まし
い。
【0027】上記本発明の薄膜形成方法は、記反応容器
内に導入される主反応ガスは、SiH4とNH3とを含
み、前記基板上には、SiNx膜が形成される場合に好
適に適用される。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の薄膜形成方法につ
いて、図面を用いて、具体的に説明する。
【0029】本発明の薄膜形成方法では、円筒型回転電
極を有するプラズマCVD装置を用いる。円筒型回転電
極を有するプラズマCVD装置は、図1に示すような一
対の平行平板型電極2及び3を有するプラズマCVD装
置が有する課題を解消するプラズマCVD装置として、
例えば、特開平9−104985号公報に開示されてい
る。
【0030】図2(a)は、この円筒型回転電極を用い
たプラズマCVD装置の要部を説明する斜視図、図2
(b)は、円筒形回転電極を用いたプラズマCVD装置
の全体の構成を示す概略構成図である。
【0031】このプラズマCVD装置は、反応容器10
の下側に水平状態に設けられた基板ステージ13を有し
ており、この基板ステージ13上に基板15が載置され
る。基板ステージ13の上側には、回転軸12が基板ス
テージ13に対して平行になるように円筒型回転電極1
1が設けられている。
【0032】円筒型回転電極11の回転軸12には、反
応容器10の外部に設けられた高周波電源16が、回転
軸12の回転を阻害することなく、接続されている。基
板ステージ13は、反応容器10の外部において接地さ
れている。また、基板ステージ13の内部には、基板ス
テージ13上に載置された基板15を加熱するための加
熱ヒーター14が設けられている。
【0033】基板ステージ13は、水平方向にスライド
可能に構成されていると共に、上下方向にも移動可能に
構成されており、上下方向に移動することにより、上方
の円筒型回転電極11との距離を適宜変更できるように
なっている。また、基板ステージ13には、基板15を
吸着固定するための真空チャックが設けられており、薄
膜形成処理中の基板15が、円筒型回転電極11または
基板ステージ13の移動によって、載置位置からずれな
いようになっている。
【0034】反応容器10の一方の側部には、薄膜形成
の原料となる原料ガスを導入するためのガス導入ライン
17が設けられている。ガス導入ライン17は、図2
(a)及び(b)のいずれにおいても図示しない原料ガ
スボンベ等に接続されている。反応容器10の他方の側
部には、反応容器10内のガスを排出するガス排気ライ
ン18が設けられている。ガス排気ライン18は、図2
(a)及び(b)のいずれにおいても図示しないガスを
吸引するためのポンプに接続されている。さらに、反応
容器10には、反応容器10内に発生する粉体を除去す
るための循環ライン19が設けられている。この循環ラ
イン19は、ガス排気ライン18の途中から分岐して、
反応容器10内と連通しており、循環ライン19には、
粉体除去フィルタ20及び循環ポンプ21が、ガス排気
ライン18側からこの順に設けられている。
【0035】この循環ライン19では、循環ポンプ21
を駆動させて反応容器10のガスを吸引して、反応容器
10内におけるプラズマ空間内に発生するパーティクル
を原料ガスとともに循環させて、粉体除去フィルタ20
にて捕獲するようになっており、これにより、基板15
に形成される薄膜中にパーティクルが取り込まれること
を防止している。
【0036】このような構成の円筒型回転電極を用いた
プラズマCVD装置によって基板15上に薄膜を形成す
る場合、まず、ガス排気ライン18によって反応容器1
0内を十分排気した後、ガス導入ライン17から所望の
原料ガスを導入し、同時に、循環ライン19の循環ポン
プ21を始動する。そして、円筒型回転電極11の回転
速度、円筒型回転電極11と基板ステージ13上に載置
された基板15との間隔、基板ステージ13の水平方向
のスライド速度及びスライド方向、基板ステージ13に
内蔵された加熱ヒーター14の設定温度等の各種の成膜
条件を設定した後、高周波電源16から高周波電力を円
筒型回転電極11に印加する。この高周波電力が円筒型
回転電極11に印加されると、円筒型回転電極11と基
板ステージ13とのギャップにプラズマが発生し、図2
(b)の点線で示されるようなプラズマ空間22が形成
される。このような状態で、図2(b)に示すように、
基板ステージ13に載置された基板15を円筒型回転電
極11の下部表面方向に沿ってスライドさせる。これに
より、基板ステージ13上の基板15に所望の薄膜が形
成される。
【0037】円筒型回転電極11を有するプラズマCV
D装置では、原料ガスが、その粘性によって、高速回転
する円筒型回転電極11に追従してプラズマ空間22に
導かれるため、プラズマ空間22に対して原料ガスを均
一に供給することができる。その結果、大気圧下で薄膜
形成を行う場合であっても、薄膜形成を高速化できると
共に、形成される薄膜の品質を向上させることができ
る。さらに、円筒型回転電極11を有するプラズマCV
D装置では、円筒型回転電極11と基板ステージ13上
の基板15との間隙を小さくすることができるため、原
料ガスの利用効率を高めることができること、また、円
筒型回転電極11の高速回転に基づく自己冷却作用によ
り、円筒型回転電極11の表面を十分に冷却することが
できるために、円筒型回転電極11に大きな電力を与え
ることができ、薄膜の成膜速度及び薄膜の均質性を大幅
に向上させることができること等、多くの利点を有して
いる。
【0038】次いで、上記構成の円筒型回転電極を有す
るプラズマCVD装置を用いて成膜した場合に、解離エ
ネルギーが互いに異なる2種類以上のガスを主反応ガス
として供給することにより、膜厚方向に組成分布を有す
る薄膜を形成するメカニズムについて説明する。図3
は、円筒型回転電極11を有するプラズマCVD装置を
用いて膜厚方向に傾斜組成を有する薄膜を形成するメカ
ニズムを説明する概略図である。
【0039】円筒型回転電極11が図3の矢印Cに示す
方向に回転されると、その回転に追従して、反応容器1
0中の原料ガスが、円筒型回転電極11と基板ステージ
13上の基板15との間に形成されたプラズマ空間22
に導入される。この際、主反応ガスの解離エネルギーの
差によって、図3に示すプラズマ空間22の上流部22
aにおいては、解離エネルギーが小さい主反応ガスが主
として分解されることになるが、解離エネルギーが大き
い主反応ガスは、分解量が少なく、薄膜の形成に寄与で
きる活性種の生成量が少ない。したがって、プラズマ空
間22の上流部22aに対向する位置の基板15上に
は、解離エネルギーが小さい主反応ガスをソースとする
元素が多く含まれる膜が形成される。
【0040】一方、プラズマ空間22の下流部22bに
おいては、解離エネルギーが小さい主反応ガスは、プラ
ズマ空間22の上流部22aにおいて分解がすでに終了
しているために薄膜形成に寄与される活性種は減少し、
解離エネルギーが大きい主反応ガスは、薄膜形成に寄与
されるために十分な活性種が生成される。したがって、
プラズマ空間22の下流部22bに対向する位置の基板
15上には、解離エネルギーが大きい主反応ガスをソー
スとする元素が多く含まれる膜が形成される。さらに、
解離エネルギーが大きい主反応ガスの分解も終了してい
れば、プラズマ空間22の下流部22bにおいては、膜
がほとんど形成されないことになる。
【0041】また、プラズマ空間22に上流部22aと
下流部22bとの間では、上流部22aから下流部22
bに向けて主反応ガスの分解状態が連続的に変化するた
め、この領域では、解離エネルギーが小さい主反応ガス
をソースとする元素と解離エネルギーが大きい主反応ガ
スをソースとする元素との組成比が、上流部22aから
下流部22bに向けて、連続的に解離エネルギーが大き
い主反応ガスをソースとする元素の割合が多くなってい
く濃度勾配が形成される。
【0042】図4は、このようなプラズマ空間22が形
成された状態で、基板15を図3のAで示すようにプラ
ズマ空間22の上流部22aから下流部22bの方向に
走査した場合と、図3のBで示すようにプラズマ空間2
2の下流部22bから上流部22aの方向に走査した場
合に、基板15上に形成される薄膜の元素組成をそれぞ
れ示している。
【0043】基板15を図3のAで示す方向に走査する
と、まず、プラズマ空間22の上流部22aに存在する
活性種により薄膜が形成され、基板15が走査されるに
したがって、プラズマ空間22の下流部22b側に存在
する活性種により薄膜が形成される。そのため、図4に
示すように、基板15の下部側には、プラズマ空間22
の上流部22aに多く存在する解離エネルギーが小さい
主反応ガスをソースとする元素を多く含む膜となり、基
板15の上部側になるにしたがって解離エネルギーが大
きい主反応ガスをソースとする元素を多く含む膜が形成
され、結果として、薄膜の膜厚方向に元素組成が連続的
に変化する傾斜薄膜が形成される。
【0044】また、基板15を図3のBで示す方向に走
査すると、まず、プラズマ空間22の下流部22bに存
在する活性種により薄膜が形成され、基板15が走査さ
れるにしたがって、プラズマ空間22の上流部22aに
存在する活性種により薄膜が形成される。その結果、基
板15の下部側には、プラズマ空間22の下流部22b
に多く存在する解離エネルギーが大きい主反応ガスをソ
ースとする元素を多く含む膜となり、基板15の上部側
になるにしたがって、解離エネルギーが小さい主反応ガ
スをソースとする元素を多く含む膜が形成され、結果と
して、薄膜の膜厚方向に元素組成が連続的に変化する傾
斜薄膜が形成される。
【0045】一方、円筒型回転電極11を有するプラズ
マ装置の反応容器10内に、解離エネルギーが同程度の
2種類以上のガスを主反応ガスとして供給した場合に
は、プラズマ空間22の上流部22aから下流部22b
へ向けて、主反応ガスの分解状態が変化することはな
く、プラズマ空間22内のどの場所においても主反応ガ
スの分解状態が等しくなる。このため、このような解離
エネルギーが同程度の2種類以上のガスを主反応ガスと
して用いた場合には、基板15を図3のAで示す方向に
走査しても、図3のBの方向に走査しても、膜厚方向に
一定の均質な元素組成の薄膜が得られることになる。
【0046】しかし、解離エネルギーが互いに同程度で
あっても、実際には、解離エネルギーが同一ではないの
で、成膜条件を適切に設定しなければ、単に主反応ガス
として互いに解離エネルギーが同程度のガスを用いただ
けでは、膜厚方向の組成に傾斜分布が生じる。
【0047】以下、円筒型回転電極を有するプラズマC
VD装置を用い、その反応容器内に解離エネルギーが同
程度の主反応ガスを供給して薄膜形成した場合に、均質
な薄膜を得るための最適な成膜条件を設定するための実
験を行ったので、以下、その結果について、説明する。
【0048】(実施例1)以下の実施例では、円筒回転
型回転電極を有するプラズマCVD装置を用い、その反
応容器に、原料ガスとして、主反応ガスであるSiH4
ガス、NH3ガスと、反応を促進するためのH2ガスと、
キャリアガスであるHeガスとを供給し、圧力条件を大
気圧として、SiNx膜の成膜を行った。
【0049】主反応ガスであるSiH4ガス、NH3ガス
のそれぞれの解離エネルギーを表1に示す。なお、この
表1には、参考として、N2ガスの解離エネルギーの値
も記載している。
【0050】
【表1】 表1を参照して明らかなように、SiNx膜を成膜する
ための主反応ガスの組み合わせとして知られているSi
4ガスとNH3ガスとを組み合わせた場合には、同じ
く、SiNx膜を成膜するための主反応ガスの組み合わ
せとして知られているSiH4ガスとN2ガスとを組み合
わせた場合に比較して、解離エネルギーの差は小さくな
っている。
【0051】しかし、このSiH4ガスとNH3ガスとを
組み合わせた場合にも、実際には、0.7eVの解離エ
ネルギーの差があるために、プラズマ空間における円筒
型回転電極の回転方向の上流側から下流側にかけて、主
反応ガスの分解状態が異なり、この状態のプラズマ空間
に対して基板を走査して成膜を行うと、膜厚方向に組成
分布が生じることになる。
【0052】本実施例1では、まず、この膜厚方向の組
成分布について、基板を静止状態にして成膜を行うこと
により膜質の評価を行った。このように基板を静止状態
にして成膜を行うことにより、膜厚方向の組成分布が生
じる代わりに、形成される薄膜の円筒型回転電極の回転
方向の上流側から下流側に対向する場所の組成分布とし
て現れるので、膜質の分布を評価しやすいものとするこ
とができる。
【0053】まず、比較例として、下記の表2に示す成
膜条件として、基板静止状態における成膜を行って、成
膜された薄膜の膜質を評価した。
【0054】
【表2】 この膜質は、基板を静止状態にして得られた薄膜のプラ
ズマ空間22の上流部22aに対向する位置からプラズ
マ空間22の下流部22bに対向する位置にかけた複数
箇所について、赤外線吸収係数を計測し、特に、Si−
N結合を示す吸収係数に注目することにより、評価し
た。その測定結果のグラフを図5に示す。このグラフに
おいて、縦軸は、Si−N結合の吸収係数を示し、横軸
は、基板上の測定位置を示している。横軸の0mmは、
円筒型回転電極の回転軸の直下であり、マイナス型がプ
ラズマ空間の上流側、プラス側がプラズマ空間の下流側
を示している。
【0055】このグラフを参照すると、プラズマ空間の
上流側からプラズマ空間の下流側にかけて、Si−N結
合の吸収係数は一定になっていないことが明らかになっ
ている。したがって、表2で示す成膜条件で、基板を円
筒型回転電極の回転方向に沿って、または逆方向に走査
して成膜した場合には、膜厚方向に組成分布を有する薄
膜が形成されることになる。
【0056】ここで、本願明細書の記載において、基板
静止状態で得られた薄膜の複数箇所におけるSi−N結
合の吸収係数のばらつき度合いとして、下記の指標を導
入して膜質の評価を行った。
【0057】ばらつき度合い=(吸収係数最大値−吸収
係数最小値)/吸収係数最大値このばらつき度合いの値
が大きい場合(例えば、上記の比較例の場合、(ばらつ
き度合い)=0.66である)には、基板を走査して形
成された薄膜は、膜厚方向に組成分布を有し、この値が
小さければ、基板を走査して形成された薄膜は、膜厚方
向の組成分布が小さくなる。このばらつき度合いの値
は、小さい程、基板を走査して形成された薄膜の膜厚方
向の組成分布は均一分布に近くなる。
【0058】次いで、基板静止状態で成膜した場合に得
られる薄膜について、複数箇所の赤外吸収係数を計測し
て得られる(ばらつき度合い)を膜質評価の基準値とし
て、成膜条件の最適条件を求める実験を行った。以下の
実験では、薄膜を形成するための成膜条件について、円
筒型回転電極表面の周速度、円筒型回転電極表面と基板
との間隔、投入電力密度、基板加熱温度の各条件につい
て、順次、変化させて、(ばらつき度合い)が0.4未
満になる条件を均質な膜質を得るための最適条件とする
評価を行い、成膜条件の最適化を行った。円筒型回転電
極表面の周速度等の各成膜条件は、下記の表3に示す通
りとした。
【表3】
【0059】・成膜条件の最適化(円筒型回転電極表
面の周速度について) 図6に、円筒型回転電極表面の周速度と、成膜された薄
膜の吸収係数のばらつき度合いとの関係を示している。
【0060】この図6のグラフを参照すると、円筒型回
転電極表面の周速度を高速化することにより、吸収係数
のばらつき度合いが低減されており、吸収係数のばらつ
き度合いを0.4未満にするためには、円筒型回転電極
表面の周速度を、60m/s以上にする必要がある。一
方、円筒型回転電極表面の周速度が80m/sを超える
と、吸収係数のばらつき度合いが一定せず、0.40以
上のばらつき度合いが生じる場合もあることから、回転
型円筒電極の周速度は、80m/s以下であることが好
ましい。以上により、円筒型回転電極表面の周速度は、
60〜80m/sの範囲であることが望ましい。
【0061】・成膜条件の最適化(円筒型回転電極表
面と基板との間隔について) 図7に、円筒型回転電極表面と基板との間隔と、吸収係
数のばらつき度合いとの関係を示している。なお、図7
では、上記成膜条件の最適化の最適条件を満たしてい
る、円筒型回転電極表面の周速度が60m/s以上にし
て得られた結果については、黒塗りの三角(▲)で表
し、成膜条件の最適化の最適条件を満たさない条件で
得られた結果については、白塗りの三角(△)で表して
いる。
【0062】この図7のグラフを参照すると、円筒型回
転電極表面と基板との間隔を広げることにより、吸収係
数のばらつき度合いが低減されており、吸収係数のばら
つき度合いを0.4未満にするためには、円筒型回転電
極表面と基板との間隔を、600μm以上にする必要が
ある。一方、円筒型回転電極表面と基板との間隔が10
00μmを超えると、この間隙でのプラズマ発生が困難
になるため、吸収係数のばらつき度合いが一定せず、
0.40以上の吸収係数のばらつき度合いが生じる場合
もあることから、円筒型回転電極表面と基板との間隔
は、1000μm以下であることが好ましい。以上によ
り、円筒型回転電極表面と基板との間隔は、600〜1
000μmの範囲であることが望ましい。
【0063】また、図7の黒塗りの三角(▲)と白塗り
の三角(△)とを比較することにより、円筒型回転電極
表面の周速度の最適条件を満たしているほうが、吸収係
数のばらつき度合いに好ましい結果が得られることが示
されている。
【0064】・成膜条件の最適化(投入電力密度につ
いて) 図8には、投入電力密度と、吸収係数のばらつき度合い
との関係を示している。なお、図8では、上記成膜条件
の最適化及びの最適条件を満たして得られた結果に
ついて(即ち、円筒型回転電極表面の周速度60m/s
以上、且つ、円筒型回転電極表面と基板との間隔が60
0μm以上)は、黒塗りの丸(●)で表し、それ以外の
条件として得られた結果については、白塗りの丸(○)
で表している。
【0065】この図8のグラフを参照すると、投入電力
密度を高くすることにより、吸収係数のばらつき度合い
が低減されており、吸収係数のばらつき度合いを0.4
未満にするためには、投入電力密度を、100W/cm
2以上にする必要がある。一方、供給される電力が過多
になるおそれを避けるため、投入電力密度は、250W
/cm2以下にすることが好ましい。以上により、投入
電力密度は、100〜250W/cm2の範囲であるこ
とが望ましい。
【0066】また、図8の黒塗りの丸(●)と白塗りの
丸(○)とを比較することにより、最適条件及びを
満たしているほうが、吸収係数のばらつき度合いに好ま
しい結果が得られることが示されている。
【0067】・成膜条件の最適化(基板加熱温度につ
いて) 図9に、基板加熱温度と、吸収係数のばらつき度合いと
の関係を示している。なお、図9では、上記成膜条件の
最適化〜の最適条件を満たして得られた結果につい
て(即ち、円筒型回転電極表面の周速度60m/s以
上、且つ、円筒型回転電極表面と基板との間隔が600
μm以上、投入電力密度が100W/cm 2以上)は、
黒塗りの四角(■)で表し、それ以外の条件として得ら
れた結果については、白塗りの四角(□)で表してい
る。
【0068】この図9のグラフを参照すると、基板加熱
温度を上げることにより、吸収係数のばらつき度合いが
低減されており、吸収係数のばらつき度合いを0.4未
満にするためには、基板加熱温度を、200℃以上にす
る必要がある。さらに、吸収係数のばらつき度合いを低
減するためには、基板加熱温度は、300℃以上である
ことが望ましい。
【0069】また、図9の黒塗りの四角(■)と白塗り
の四角(□)とを比較することにより、最適条件〜
を満たしているほうが、吸収係数のばらつき度合いに好
ましい結果が得られることが示されている。
【0070】上記の各成膜条件を最適化するための実施
例の結果については、次のように考えられる。
【0071】まず、円筒型回転電極表面の周速度の高速
化し、または、円筒型回転電極表面と基板との間隔を大
きくすることによって、円筒型回転電極と基板との間に
形成されるプラズマ空間に、より多くの原料ガスを供給
することができる。プラズマ空間に対する原料ガスの供
給量が多くなれば、原料ガスの分子1個当たりに与えら
れるエネルギーが過剰にならず、プラズマ空間の上流部
において、解離エネルギーが小さい主反応ガスが急激に
分解され消費されることを回避することができるため、
プラズマ空間の上流部から下流部にかけて均質な膜が得
られたと考えられる。
【0072】また、投入電力については、プラズマを安
定に生成することができ、且つ、投入される電力が過剰
にならない範囲で投入することが適切である。基板加熱
温度については、基板または予め形成されている場合が
ある下地膜が熱損傷を受けない範囲内で、基板温度を設
定することが適切である。
【0073】(実施例2)本実施例2では、上記の各成
膜条件の最適化によって求めた条件に従って、実際に基
板に成膜を行った。その成膜条件について、表4に示
す。
【0074】
【表4】 サンプル1は、上記比較例と同一条件により成膜を行っ
た。サンプル2は、円筒型回転電極表面の周速度を、上
記最適化条件である60m/s以上である、78.5m
/sとした。他の成膜条件は、サンプル1と同一であ
る。サンプル3は、円筒型回線電極の周速度を、上記最
適条件である60m/sを満たす78.5m/sとする
と共に、円筒型回転電極表面と基板との間隔を、上記の
最適化条件である600μm以上である、800μmと
した。他の成膜条件は、サンプル1と同一である。
【0075】図10は、上記表4に示す各条件とした成
膜条件として、基板を静止状態にして成膜を行った結果
を示すグラフである。各サンプル1〜3のそれぞれの吸
収係数のばらつき度合いは、サンプル1〜3の順に、
0.56、0.55、0.26となった。
【0076】図10及び吸収係数のばらつき度合いの結
果を参照すると、円筒型回転電極表面の周速度に関する
成膜条件を最適化したサンプル2は、サンプル1よりも
ばらつき度合いが低減され、円筒型回転電極表面の周速
度及び円筒型回転電極表面と基板との間隔に関する成膜
条件を最適化したサンプル3では、サンプル2よりもさ
らに吸収係数のばらつき度合いが低減されていることが
明らかになっている。
【0077】次に、最も吸収係数のばらつき度合いが低
減されたサンプル3と同一の条件を用いて、基板を5m
m/sの速さで、円筒型回転電極の回転方向に沿う方向
に、走査して成膜を行った。
【0078】この条件で成膜された薄膜について、膜厚
方向の組成について、オージェ電子分光法により分析し
た。その分析結果を図11に示す。図11を参照する
と、最表面から基板との界面まで、ほぼ一定の組成を有
する薄膜が成膜されることが明らかになっている。
【0079】以上説明したように、本発明の薄膜形成方
法は、高周波電力が印加された状態で回転する円筒型回
転電極を反応容器に配置したプラズマCVD装置を用い
て、この反応容器内に、解離エネルギーが同程度である
2種類以上の主反応ガスを導入して、円筒型回転電極と
基板との間隙にプラズマ空間を形成し、基板に薄膜を形
成する場合に、膜厚方向に組成分布が生じない均一な薄
膜を形成するための成膜条件により、成膜を行う方法で
あり、その成膜条件は、 円筒型回転電極表面の周速度について、60m/s以
上、より好ましくは、60〜80m/s 円筒型回転電極表面と基板との間隔について、600
μm以上、より好ましくは、600〜1000μm 投入電力密度について、100W/cm2以上、より
好ましくは、100〜250W/cm2 基板の加熱温度について、200℃以上、より好まし
くは、300℃以上 のいずれかを満たすような成膜条件により成膜を行え
ば、吸収係数のばらつき度合いが低減され、膜厚方向に
組成分布のない均一な薄膜を得ることができる。
【0080】さらに、本発明では、上記の成膜条件〜
の2つ以上を組み合わせれば、さらに、吸収係数のば
らつき度合いを低減することができることを明らかに
し、より好ましくは、上記成膜条件〜の全てを組み
合わせた条件により薄膜を成膜すれば、最も吸収係数の
ばらつき度合いが低減された薄膜を得ることができるこ
とを明らかにした。
【0081】以上説明した本発明の薄膜形成方法は、主
反応ガスとして、SiH4とNH3を用いて、SiNx
を膜厚方向に元素組成を均質に形成することができる場
合について説明した。本発明の薄膜形成方法は、円筒型
回転電極を用いて薄膜を形成しているので、大気圧下で
高速に薄膜を形成することが可能である。本発明の薄膜
形成方法を用いて得られたSiNx膜は、種々の用途に
適用することができ、例えば、パッシベーション膜等と
しての用途が考えられる。
【0082】
【発明の効果】本発明の薄膜形成方法は、高周波電力が
印加された状態で回転する円筒型回転電極を反応容器に
配置したプラズマCVD装置を用いて、この反応容器内
に、解離エネルギーが同程度である2種類以上の主反応
ガスを導入して、円筒型回転電極表面と基板との間隙に
プラズマ空間を形成し、基板に薄膜を形成する場合に、
膜厚方向に組成分布が生じない均一な薄膜を形成するた
めの成膜条件により、成膜を行う方法であり、その成膜
条件は、 円筒型回転電極表面の周速度について、60m/s以
上、より好ましくは、60〜80m/s 円筒型回転電極表面と基板との間隔について、600
μm以上、より好ましくは、600〜1000μm 投入電力密度について、100W/cm2以上、より
好ましくは、100〜250W/cm2 基板の加熱温度について、200℃以上、より好まし
くは、300℃以上のいずれかを満たすような成膜条件
により成膜を行えば、吸収係数のばらつき度合いが低減
され、膜厚方向に組成分布のない均一な薄膜を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平行平板型電極を有するプラズマCVD装置を
示す概略図である。
【図2】円筒型回転電極を用いたプラズマCVD装置の
概略構成を示しており、(a)は、要部を説明する斜視
図、(b)は、全体の構成を示す概略図を、それぞれ示
している。
【図3】円筒型回転電極を有するプラズマCVD装置に
おいて、薄膜の厚み方向に濃度傾斜を有する薄膜を形成
するメカニズムを説明する概略図である。
【図4】円筒型回転電極を有するプラズマCVD装置に
おいて、基板を走査する方向と形成される薄膜の厚み方
向の濃度勾配との関係を説明する図である。
【図5】円筒型回転電極と有するプラズマCVD装置に
おいて、基板静止状態で成膜を行い、得られた膜の複数
箇所について、Si−N結合の吸収係数を測定した一例
を示すグラフである。
【図6】円筒型回転電極表面の周速度と、成膜された薄
膜の吸収係数のばらつき度合いとの関係を示すグラフで
ある。
【図7】円筒型回転電極表面と基板との間隔と、吸収係
数のばらつき度合いとの関係を示すグラフである。
【図8】投入電力密度と、吸収係数のばらつき度合いと
の関係を示すグラフである。
【図9】基板加熱温度と、吸収係数のばらつき度合いと
の関係を示すグラフである。
【図10】表4に示す各条件とした成膜条件として、基
板を静止状態にして成膜を行った結果を示すグラフであ
る。
【図11】サンプル3と同条件で基板を走査して成膜さ
れた薄膜について、膜厚方向の組成について、オージェ
電子分光法により分析した分析結果を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 反応容器 2 第1平行平板型電極 3 第2平行平板型電極 4 加熱ヒーター 5 基板 6 高周波電源 7 ガス供給ライン 8 ガス排気ライン 9 プラズマ空間 10 反応容器 11 円筒型回転電極 12 回転軸 13 基板ステージ 14 加熱ヒーター 15 基板 16 高周波電源 17 ガス供給ライン 18 ガス排気ライン 19 循環ライン 20 粉体除去フィルタ 21 循環ポンプ 22 プラズマ空間 22a 上流部 22b 下流部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 達志 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 森 勇▲蔵▼ 大阪府交野市私市8丁目16番19号 Fターム(参考) 4K030 AA06 AA13 BA40 FA03 JA03 JA10 JA12 JA16 KA16 5F045 AA08 AB33 AC01 AC12 AD06 AD07 DP04 DP27 EB02 EH04 EH19

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波電力が印加された状態で回転する
    円筒型回転電極が設けられた反応容器内に、該円筒型回
    転電極に対向して薄膜が形成される基板を配置し、該反
    応容器内に解離エネルギーが同程度の2種類以上の主反
    応ガスを導入して、高周波電力が印加された円筒型回転
    電極を回転させつつ、該基板を所定方向に走査して、該
    円筒型回転電極と基板との間に発生したプラズマによっ
    て基板上に薄膜を形成する薄膜形成方法であって、 該円筒型回転電極表面の周速度を60m/s以上とする
    ことを特徴とする薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記円筒型回転電極表面の周速度は、8
    0m/s以下である、請求項1に記載の薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】 高周波電力が印加された状態で回転する
    円筒型回転電極が設けられた反応容器内に、該円筒型回
    転電極に対向して薄膜が形成される基板を配置し、該反
    応容器内に解離エネルギーが同程度の2種類以上の主反
    応ガスを導入して、高周波電力が印加された円筒型回転
    電極を回転させつつ、該基板を所定方向に走査して、該
    円筒型回転電極と基板との間に発生したプラズマによっ
    て基板上に薄膜を形成する薄膜形成方法であって、 該円筒型回転電極表面と該基板との間隔を、600μm
    以上とすることを特徴とする薄膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記円筒型回転電極表面と前記基板との
    間隔は、1000μm以下である、請求項3に記載の薄
    膜形成方法。
  5. 【請求項5】 高周波電力が印加された状態で回転する
    円筒型回転電極が設けられた反応容器内に、該円筒型回
    転電極に対向して薄膜が形成される基板を配置し、該反
    応容器内に解離エネルギーが同程度の2種類以上の主反
    応ガスを導入して、高周波電力が印加された円筒型回転
    電極を回転させつつ、該基板を所定方向に走査して、該
    円筒型回転電極と基板との間に発生したプラズマによっ
    て基板上に薄膜を形成する薄膜形成方法であって、 該高周波電力の電力密度を、100W/cm2以上とす
    ることを特徴とする薄膜形成方法。
  6. 【請求項6】 前記高周波電力の電力密度は、250W
    /cm2以下である、請求項5に記載の薄膜形成方法。
  7. 【請求項7】 高周波電力が印加された状態で回転する
    円筒型回転電極が設けられた反応容器内に、該円筒型回
    転電極に対向して薄膜が形成される基板を配置し、該反
    応容器内に解離エネルギーが同程度の2種類以上の主反
    応ガスを導入して、高周波電力が印加された円筒型回転
    電極を回転させつつ、該基板を所定方向に走査して、該
    円筒型回転電極と基板との間に発生したプラズマによっ
    て基板上に薄膜を形成する薄膜形成方法であって、 該基板の加熱温度を、200℃以上とすることを特徴と
    する薄膜形成方法。
  8. 【請求項8】 前記基板の加熱温度は、300℃以上で
    ある、請求項7に記載の薄膜形成方法。
  9. 【請求項9】 高周波電力が印加された状態で回転する
    円筒型回転電極が設けられた反応容器内に、該円筒型回
    転電極に対向して薄膜が形成される基板を配置し、該反
    応容器内に解離エネルギーが同程度の2種類以上の主反
    応ガスを導入して、高周波電力が印加された円筒型回転
    電極を回転させつつ、該基板を所定方向に走査して、該
    円筒型回転電極と基板との間に発生したプラズマによっ
    て基板上に薄膜を形成する薄膜形成方法であって、 成膜条件 円筒型回転電極表面の周速度:80m/s以下 該円筒型回転電極表面と該基板との間隔:1000μm
    以下 高周波電力の電力密度:250W/cm2以下 該基板の加熱温度:200℃以上 の少なくとも2つを組み合わせて成膜することを特徴と
    する薄膜形成方法。
  10. 【請求項10】 前記成膜条件は、 円筒型回転電極表面の周速度:60m/s以上 該円筒型回転電極表面と該基板との間隔:600μm以
    上 高周波電力の電力密度:100W/cm2以上 該基板の加熱温度:300℃以上 の少なくとも1つの条件をさらに満たす、請求項9に記
    載の薄膜形成方法。
  11. 【請求項11】 前記反応容器内に導入される主反応ガ
    スは、SiH4とNH3とを含み、前記基板上には、Si
    x膜が形成される、請求項1〜10のいずれかに記載
    の薄膜形成方法。
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