JP2002363757A - 傾斜機能薄膜の形成方法 - Google Patents

傾斜機能薄膜の形成方法

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JP2002363757A
JP2002363757A JP2001168886A JP2001168886A JP2002363757A JP 2002363757 A JP2002363757 A JP 2002363757A JP 2001168886 A JP2001168886 A JP 2001168886A JP 2001168886 A JP2001168886 A JP 2001168886A JP 2002363757 A JP2002363757 A JP 2002363757A
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rotary electrode
forming
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Koji Nakahama
康治 中▲濱▼
Tatsushi Yamamoto
達志 山本
Yuzo Mori
勇▲蔵▼ 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜の厚み方向に濃度勾配が形成された傾斜
機能薄膜を簡便な方法により得ることができる。 【解決手段】 円筒型回転電極プラズマCVD装置10
に、解離エネルギーが異なる2種類以上の原料ガスを導
入する。プラズマCVD装置10内に形成されるプラズ
マ空間22において、原料ガスの解離エネルギーの差に
よって、プラズマ空間22の上流部22aにおいては、
解離エネルギーが小さい原料ガスをソースとする元素が
多く含まれる膜が形成され、プラズマ空間22の下流部
22bにおいては、解離エネルギーが大きい元素ガスを
ソースとする元素が多く含まれる膜が形成される。そし
て、基板15を、プラズマ空間22の上流側から下流側
に沿った方向、または、下流側から上流側に沿った方向
に走査することにより、薄膜の厚み方向に濃度勾配を形
成した傾斜機能薄膜を簡便に形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プラズマCVD
法を用いて基板の表面に傾斜機能を有する化合物薄膜を
形成する傾斜機能薄膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は、基板の表面に薄膜を形成するプ
ラズマCVD法に用いられる一般的なプラズマCVD装
置の概略を示す断面図である。
【0003】このプラズマCVD装置は、薄膜の原料と
なる原料ガスが充填されて薄膜形成の反応場となる内部
空間が設けられた反応容器1を有している。この反応容
器1の内部には、一対の平行平板型電極2及び3が相互
に平行な状態で対向するように上下にそれぞれ設けられ
ている。
【0004】反応容器1の上側に配置された第1平行平
板型電極2は、反応容器1の外部に設けられた高周波電
源6に接続されており、反応容器1内の下側に配置され
た第2平行平板型電極3は、接地されている。また、反
応容器1の下側に配置された第2平行平板型電極3は、
薄膜を形成する基板5を載置する載置板として用いら
れ、その内部には、載置された基板5を加熱するための
加熱ヒーター4が設けられている。
【0005】反応容器1の一方の側部には、薄膜の原料
となる原料ガスを導入するためのガス導入ライン7が設
けられており、ガス導入ライン7は、図1において図示
しない原料ガスボンベ等に接続されている。また、反応
容器1の他方の側部には、反応容器1内に存在するガス
を排出するガス排気ライン8が設けられており、ガス排
気ライン8は、図1において図示しないガスを吸引する
ためのポンプに接続されている。
【0006】このプラズマCVD装置を用いて基板5の
表面に薄膜を形成する場合には、反応容器1の第2平行
平板型電極3上に、薄膜が形成される基板5を載置した
後、ガス導入ライン7及びガス排出ライン8によって、
原料ガスの導入及び排出を調整して、反応容器1内に所
定量の原料ガスが充填された状態に維持する。そして、
所定量の原料ガスが充填された反応容器1内に、高周波
電源6から第1平行平板型電極2に高周波電圧を印加し
て、第1平行平板型電極2と第2平行平板型電極3との
間に電場を形成する。第1平行平板型電極2及び第2平
行平板型電極3の間の電場に供給された原料ガスは、こ
の電場において分解及び励起が促進されてプラズマ状態
となり、図1に点線で示すプラズマ空間9が形成され
る。そして、プラズマ空間9にて形成されたプラズマに
より基板5の表面上に所望の薄膜が形成される。
【0007】しかし、このように、一対の平行平板型電
極2及び3を有するプラズマCVD装置を用いた薄膜形
成方法では、均質な薄膜を基板5上に形成するために、
プラズマ空間9に対して原料ガスを均一に供給すること
が必須条件となるが、薄膜を形成する基板5が大面積に
なった場合にこの条件を満たすことは容易ではない。反
応容器1内の原料ガスの圧力が高くなると、プラズマ空
間9内に供給される原料ガスの不均一の度合いはさらに
顕著になるため、大面積の基板5に対して薄膜形成を行
う場合には、一般的に、反応容器1内が減圧される。し
かし、このように反応容器1内を減圧して薄膜形成をお
こなうと、成膜速度が遅くなるという問題が生じる。
【0008】また、このような平行平板型電極2及び3
を有するプラズマCVD装置を用いて、厚み方向に元素
組成の濃度勾配が形成された傾斜機能薄膜を形成する方
法が提案されている。
【0009】例えば、特開2000−192246号公
報には、プラズマ空間中に2種以上の異なる反応ガス
を、混合比率を連続的に変化させながら供給することに
より、傾斜機能薄膜を形成する方法が開示されている。
特開平7−169697号公報には、キャリアガスの流
量を変化させることによって、また、特開2000−1
44434号公報には、薄膜形成処理中における高周波
電力源から印加される印加電圧又は周波数を連続的に変
化させることによって、さらに、特開2000−204
475号公報には、基板の温度を連続的に変化させるこ
とによって、それぞれ、厚み方向に濃度勾配が形成され
た傾斜機能薄膜を形成する方法が記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
のように、薄膜を形成するための成膜パラメータを制御
する方法では、これらの成膜パラメータを正確に制御す
ることが容易ではなく、また、薄膜形成中において、成
膜パラメータの変化に追従する薄膜の膜質変化に時間遅
れが生じ、形成される薄膜の膜質にばらつきが生じると
いう問題がある。
【0011】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、薄膜の厚み方向に濃度勾配が形成され
た傾斜機能薄膜を簡便な方法により得ることができる傾
斜機能薄膜形成方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の傾斜機能薄膜の形成方法は、薄膜が形成さ
れる基板に対向して、高周波電力が印加された状態で回
転する円筒型回転電極が配置された反応容器内に、解離
エネルギーが異なる2種類以上の原料ガスを導入して、
高周波電力が印加された円筒型回転電極を回転させつ
つ、基板を所定方向に走査して、該円筒型回転電極と基
板との間にプラズマを形成することを特徴とするもので
ある。
【0013】上記本発明の傾斜機能薄膜の形成方法にお
いて、前記基板が、前記円筒型回転電極と基板との間の
プラズマが形成されるプラズマ空間において、該円筒型
回転電極の回転方向に沿って走査されることが好まし
い。
【0014】上記本発明の傾斜機能薄膜の形成方法にお
いて、前記基板が、前記円筒型回転電極と基板との間の
プラズマが形成されるプラズマ空間において、該円筒型
回転電極の回転方向と反対方向に走査されることが好ま
しい。
【0015】上記本発明の傾斜機能薄膜の形成方法にお
いて、前記基板に薄膜を形成する際の成膜条件が、成膜
開始から終了まで一定であることが好ましい。
【0016】上記本発明の傾斜機能薄膜の形成方法にお
いて、前記成膜条件は、前記反応容器内の原料ガスのガ
ス濃度、プラズマを発生させるために前記円筒型回転電
極に印加される電力、前記円筒型回転電極と基板とのギ
ャップ、前記円筒型回転電極の回転数、前記基板の温
度、及び、前記基板の走査速度であることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の傾斜機能薄膜の形
成方法について、図面を用いて、具体的に説明する。
【0018】本発明の傾斜機能薄膜の形成方法では、円
筒型回転電極を有するプラズマCVD装置を用いる。円
筒型回転電極を有するプラズマCVD装置は、図1に示
すような一対の平行平板型電極2及び3を有するプラズ
マCVD装置が有する課題を解消するプラズマCVD装
置として、例えば、特開平9−104985号公報に開
示されている。
【0019】図2(a)は、この円筒型回転電極を用い
たプラズマCVD装置の概略構成を示している。
【0020】このプラズマCVD装置は、反応容器10
の下側に水平状態に設けられた基板ステージ13を有し
ており、この基板ステージ13上に基板15が載置され
る。基板ステージ13の上側には、回転軸12が基板ス
テージ13に対して平行になるように円筒型回転電極1
1が設けられている。
【0021】円筒型回転電極11の回転軸12には、反
応容器10の外部に設けられた高周波電源16が、回転
軸12の回転を阻害することなく、接続されている。基
板ステージ13は、反応容器10の外部において接地さ
れている。また、基板ステージ13の内部には、基板ス
テージ13上に載置された基板15を加熱するための加
熱ヒーター14が設けられている。
【0022】基板ステージ13は、水平方向にスライド
可能に構成されていると共に、上下方向にも移動可能に
構成されており、上下方向に移動することにより、上方
の円筒型回転電極11との距離を適宜変更できるように
なっている。また、基板ステージ13には、基板15を
吸着固定するための真空チャックが設けられており、薄
膜形成処理中の基板15が、円筒型回転電極11または
基板ステージ13の移動によって、載置位置からずれな
いようになっている。
【0023】反応容器10の一方の側部には、薄膜形成
の原料となる原料ガスを導入するためのガス導入ライン
17が設けられており、ガス導入ライン17が、図2に
おいて図示しない原料ガスボンベ等に接続されている。
反応容器10の他方の側部には、反応容器10内のガス
を排出するガス排気ライン18が設けられており、ガス
排気ライン18が、図2において図示しないガスを吸引
するためのポンプに接続されている。さらに、反応容器
10には、反応容器10内に発生する粉体を除去するた
めの循環ライン19が設けられている。この循環ライン
19は、ガス排気ライン18の途中から分岐して、反応
容器10内と連通しており、循環ライン19には、粉体
除去フィルタ20及び循環ポンプ21が、ガス排気ライ
ン18側からこの順に設けられている。
【0024】この循環ライン19では、循環ポンプ21
を駆動させて反応容器10のガスを吸引して、反応容器
10内におけるプラズマ空間内に発生するパーティクル
を反応ガスとともに循環させて、粉体除去フィルタ20
にて捕獲するようになっており、これにより、基板15
に形成される薄膜中にパーティクルが取り込まれること
を防止している。
【0025】このような構成の円筒型回転電極を用いた
プラズマCVD装置によって基板15上に薄膜を形成す
る場合、まず、ガス排気ライン18によって反応容器1
0内を十分に排気した後、ガス導入ライン17から所望
の原料ガスを導入し、同時に、循環ライン19の循環ポ
ンプ21を始動する。そして、円筒型回転電極11の回
転速度、円筒型回転電極11と基板ステージ13上に載
置された基板15との間のギャップ、基板ステージ13
の水平方向のスライド速度及びスライド方向、基板ステ
ージ13に内蔵された加熱ヒーター14の設定温度等の
各種の成膜条件を設定した後、高周波電源16から高周
波電力を円筒型回転電極11に印加する。この高周波電
力が円筒型回転電極11に印加されると、円筒型回転電
極11と基板ステージ13とのギャップにプラズマが発
生し、図2(a)の点線で示されるようなプラズマ空間
22が形成される。このような状態で、図2(b)に示
すように、円筒型回転電極11を所定方向に回転させる
と共に、基板ステージ13を円筒型回転電極11の下部
表面方向に沿ってスライドさせる。これにより、基板ス
テージ13上の基板15に所望の薄膜が形成される。
【0026】円筒型回転電極11を有するプラズマCV
D装置では、原料ガスが、その粘性によって、高速回転
する円筒型回転電極11に追従してプラズマ空間22に
導かれるため、プラズマ空間22に対して原料ガスを均
一に供給することができる。その結果、大気圧下で薄膜
形成を行う場合であっても、薄膜形成を高速化すること
ができると共に、形成される薄膜の品質を向上させるこ
とができる。さらに、円筒型回転電極11を有するプラ
ズマCVD装置では、円筒型回転電極11と基板ステー
ジ13上の基板15とのギャップを小さくすることがで
きるため、原料ガスの利用効率を高めることができるこ
と、また、円筒型回転電極11の高速回転に基づく自己
冷却作用により、円筒型回転電極11の表面を十分に冷
却することができるために、円筒型回転電極11に大き
な電力を与えることができ、薄膜の成膜速度及び薄膜の
均質性を大幅に向上させることができること等、多くの
利点を有している。
【0027】図3は、円筒型回転電極を有するプラズマ
CVD装置において、厚み方向に濃度傾斜を有する薄膜
を形成するメカニズムを説明する概略図である。
【0028】本発明では、円筒型回転電極11を有する
プラズマCVD装置の反応容器10に、解離エネルギー
が互いに異なる2種類以上のガスが原料ガスとして供給
される。円筒型回転電極11が図3の矢印Cに示す方向
に回転されると、その回転に追従して、反応容器10中
の原料ガスが、円筒型回転電極11と基板ステージ13
上の基板15とのギャップに形成されたプラズマ空間2
2に導入される。この際、原料ガスの解離エネルギーの
差によって、図3に示すプラズマ空間22の上流部22
aにおいては、解離エネルギーが小さいガスが主として
分解されることになるが、解離エネルギーが大きいガス
は、分解量が少なく、薄膜の形成に寄与できる活性種の
生成量が少なくなる。したがって、プラズマ空間22の
上流部22aに対向する位置の基板15上には、解離エ
ネルギーが小さいガスをソースとする元素が多く含まれ
る膜が形成される。
【0029】一方、プラズマ空間22の下流部22bに
おいては、解離エネルギーが小さいガスは、プラズマ空
間22の上流部22aにおいて分解がすでに終了してい
るために薄膜形成に寄与される活性種は減少し、解離エ
ネルギーが大きいガスは、薄膜形成に寄与されるために
十分な活性種が生成される。したがって、プラズマ空間
22の下流部22bに対向する位置の基板15上には、
解離エネルギーが大きいガスをソースとする元素が多く
含まれる膜が形成される。さらに、解離エネルギーが大
きいガスの分解も終了していれば、プラズマ空間22の
下流部22bにおいては、膜がほとんど形成されないこ
とになる。
【0030】また、プラズマ空間22の上流部22aと
下流部22bとの間では、上流部22aから下流部22
bに向けて原料ガスの分解状態が連続的に変化するた
め、この領域では、解離エネルギーが小さい原料ガスを
ソースとする元素と解離エネルギーが大きい原料ガスを
ソースとする元素との組成比が、上流部22aから下流
部22bに向けて、連続的に解離エネルギーが大きい元
素の割合が多くなっていく濃度勾配が形成される。
【0031】図4は、このようなプラズマ空間22が形
成された状態で、基板15を図3のAで示すようにプラ
ズマ空間22の上流部22aから下流部22bの方向に
走査した場合と、図3のBで示すようにプラズマ空間2
2の下流部22bから上流部22aの方向に走査した場
合に基板15上に形成される薄膜の元素組成をそれぞれ
示している。
【0032】基板15を図3のAで示す方向に走査する
と、まず、プラズマ空間22の上流部22aに存在する
活性種により薄膜が形成され、基板15が走査されるに
したがって、プラズマ空間22の下流部22b側に存在
する活性種により薄膜が形成される。そのため、図4に
示すように、基板15の下部側には、プラズマ空間22
の上流部22aに多く存在する解離エネルギーが小さい
ガスをソースとする元素を多く含む膜となり、基板15
の上部側になるにしたがって解離エネルギーが大きいガ
スをソースとする元素を多く含む膜が形成され、結果と
して、薄膜の厚み方向に元素組成が連続的に変化する傾
斜薄膜が形成される。
【0033】また、基板15を図3のBに示す方向に走
査すると、まず、プラズマ空間22の下流部22bに存
在する活性種により薄膜が形成され、基板15が走査さ
れるにしたがって、プラズマ空間22の上流部22bに
存在する活性種により薄膜が形成される。その結果、基
板15の下部側には、プラズマ空間22の下流部22b
に多く存在する解離エネルギーが大きいガスをソースと
する元素を多く含む膜となり、基板15の上部側になる
にしたがって解離エネルギーが小さいガスをソースとす
る元素を多く含む膜が形成され、結果として、薄膜の厚
み方向に元素組成が連続的に変化する傾斜薄膜が形成さ
れる。
【0034】このように、本発明の傾斜機能薄膜の形成
方法では、反応容器10中に供給される原料ガスの濃度
を変化させる、キャリアガスの流速を変化させる、印加
電圧を変化させる、高周波電力の周波数を変化させる、
基板温度を変化させる等の成膜パラメータを制御する必
要がなく、成膜条件を一定として傾斜機能薄膜を形成す
ることができる。
【0035】(実施例)本発明に関する円筒型回転電極
を有する大気圧プラズマCVD装置を用いた実施例につ
いて説明する。
【0036】この実施例では、原料ガスとして、SiH
4ガス、N2ガス、H2ガス、キャリアガスとしてHeガ
スを用い、圧力条件を大気圧として、SiNxを成膜し
た場合について説明する。原料ガスであるSiH4及び
2ガスの解離エネルギー、成膜条件はそれぞれ下表の
とおりである。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】 上記のガスおよび成膜条件により、基板であるシリコン
ウエハー上に成膜を行った。得られた薄膜について、オ
ージェ電子分光法により膜厚方向の組成分析を行った。
図5は、その組成分析を行った結果を示しており、図5
(a)は、基板を図3Aに示す方向に走査して成膜を行
った試料Aについての分析結果、図5(b)は、基板を
図3Bに示す方向に走査して成膜を行った試料Bについ
ての分析結果をそれぞれ示している。
【0039】図5(a)及び(b)を参照すると、試料
A及びBのそれぞれについて、薄膜の表面側からシリコ
ン基板の界面側に向けて、元素組成の濃度勾配が形成さ
れていることを確認することができる。また、基板の走
査方向を逆方向にすることにより、濃度勾配が逆転した
傾斜薄膜を形成することが明らかとなった。
【0040】以上説明したように、円筒型回転電極を有
するプラズマCVD装置を用い、解離エネルギーがそれ
ぞれ異なる2種類以上の原料ガスをこのプラズマCVD
装置に導入することにより、薄膜の厚み方向に元素組成
の濃度勾配が形成された傾斜機能薄膜を形成することが
できる。この方法は、膜形成のための成膜パラメータを
一定とする簡便な方法により、容易に傾斜機能を薄膜を
形成することができる。
【0041】
【発明の効果】本発明の傾斜機能薄膜の形成方法は、円
筒型回転電極を有するプラズマCVD装置を用い、該円
筒型回転電極プラズマCVD装置に、解離エネルギーが
異なる2種類以上の原料ガスを導入するため、プラズマ
CVD装置内に形成されるプラズマ空間において、原料
ガスの解離エネルギーの差によって、そのプラズマ空間
の上流側においては、解離エネルギーが小さい原料ガス
をソースとする元素が多く含まれる膜が形成され、プラ
ズマ空間の下流側においては、解離エネルギーが大きい
元素ガスをソースとする元素が多く含まれる膜が形成さ
れることとなる。このようなプラズマ空間に対して基板
を、プラズマ空間の上流側から下流側に沿った方向、ま
たは、下流側から上流側に沿った方向に走査することに
より、薄膜の厚み方向に濃度勾配を形成した傾斜機能薄
膜を簡便に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平行平板型電極を有するプラズマCVD装置を
示す概略図である。
【図2】円筒型回転電極を用いたプラズマCVD装置の
概略構成を示しており、(a)は、全体の構成を示す概
略図、(b)は、要部を説明する斜視図を、それぞれ示
している。
【図3】円筒型回転電極を有するプラズマCVD装置に
おいて、薄膜の厚み方向に濃度傾斜を有する薄膜を形成
するメカニズムを説明する概略図である。
【図4】本発明の傾斜機能薄膜の形成方法において、基
板を走査する方向と形成される薄膜の厚み方向の濃度勾
配との関係を説明する図である。
【図5】本発明の傾斜機能薄膜の形成方法を実施する実
施例について、形成された膜のオージェ電子分光法によ
る組成分析結果を示すグラフであり、(a)は、基板の
走査方向が図3に示す矢印Aの場合、(b)は、基板の
走査方向が図3に示す矢印Bの場合をそれぞれ示してい
る。
【符号の説明】
1 反応容器 2 第1平行平板型電極 3 第2平行平板型電極 4 加熱ヒーター 5 基板 6 高周波電源 7 ガス供給ライン 8 ガス排気ライン 9 プラズマ空間 10 反応容器 11 円筒型回転電極 12 回転軸 13 基板ステージ 14 加熱ヒーター 15 基板 16 高周波電源 17 ガス供給ライン 18 ガス排気ライン 19 循環ライン 20 粉体除去フィルター 21 循環ポンプ 22 プラズマ空間 22a 上流部 22b 下流部
フロントページの続き (72)発明者 山本 達志 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 森 勇▲蔵▼ 大阪府交野市私市8丁目16番19号 Fターム(参考) 4K030 AA06 AA17 AA18 BA40 CA04 CA12 FA03 JA00 JA03 JA06 JA08 JA10 JA12 JA16 KA16 KA30 5F045 AA08 AB33 AC01 AC15 AD07 AF03 BB04 DC56 EB02 EH12 EH19 EM10 5F058 BA20 BC08 BF07 BF23 BF30 BF39 BG01 BG04 BJ01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜が形成される基板に対向して、高周
    波電力が印加された状態で回転する円筒型回転電極が配
    置された反応容器内に、解離エネルギーが異なる2種類
    以上の原料ガスを導入して、高周波電力が印加された円
    筒型回転電極を回転させつつ、基板を所定方向に走査し
    て、該円筒型回転電極と基板との間にプラズマを形成す
    ることを特徴とする傾斜機能薄膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記基板が、前記円筒型回転電極と基板
    との間のプラズマが形成されるプラズマ空間において、
    該円筒型回転電極の回転方向に沿って走査される、請求
    項1に記載の傾斜機能薄膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記基板が、前記円筒型回転電極と基板
    との間のプラズマが形成されるプラズマ空間において、
    該円筒型回転電極の回転方向と反対方向に走査される、
    請求項1に記載の傾斜機能薄膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 前記基板に薄膜を形成する際の成膜条件
    が、成膜開始から終了まで一定である、請求項1〜3の
    いずれかに記載の傾斜機能薄膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記成膜条件は、前記反応容器内の原料
    ガスのガス濃度、プラズマを発生させるために前記円筒
    型回転電極に印加される電力、前記円筒型回転電極と基
    板とのギャップ、前記円筒型回転電極の回転数、前記基
    板の温度、及び、前記基板の走査速度である、請求項4
    に記載の傾斜機能薄膜の形成方法。
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