JP2003253274A - バイオマスガス化装置および発電システム - Google Patents

バイオマスガス化装置および発電システム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バイオマスの熱分解によって生成されるガス
を、高カロリーかつクリーンな燃料として、ガスタービ
ンなどの高効率機関に適用する。 【解決手段】 乾燥したバイオマス4を加熱熱分解して
熱分解ガスおよびチャーを生成する炭火ドラム2と、熱
分解ガス6中のタール分をガスタービン15の廃熱回収
蒸気10で水性ガス化する改質ドラム3とを、熱風炉1
内に具備し、炭化ドラム2と改質ドラム3とを、熱分解
ガス6とチャー7を分離する分離装置8を介して連通さ
せた。これにより熱分解ガス中のタール分が低減した高
カロリーの改質ガスが生成され、ガスタービンの燃料に
有効利用される。さらに、ガスタービンの排ガス17と
チャー7を燃焼して熱風炉1の熱源にできる。また、熱
風炉1からの排気ガス20でバイオマスを予め乾燥する
熱源に利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はバイオマスガス化装
置および発電システムに係り、特に、高湿潤のバイオマ
ス(例えば、木質系、汚泥、糞尿、食物残渣、食品廃棄
物、籾殻、ビールかす等の有機性廃棄物)を熱分解し、
その熱分解生成物を発電システムに有効利用する技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、バイオマスを熱分解すると、熱分
解ガス、チャー、およびタールなどが発生することが知
られている。これらは、加熱に基づくガス化装置の操作
温度によって、それぞれの生成量や成分が異なる。
【0003】特開平10−330760号公報に、有機
物の連続炭化装置が記載されている。この装置の構造
は、主として、乾燥炉、炭火炉、脱臭ドラム、ホッパ
ー、およびスクリューフィーダ等で構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例では、乾燥
炉で発生する蒸気は乾燥物とともに炭化炉ヘ送給され、
炭化炉で生成するガスと混合されて、最終的に利用され
る生成ガスは脱臭炉の熱源として利用されるに過ぎなか
った。
【0005】すなわち、低カロリーガスで、かつダスト
およびタール等を含んだダーティーな燃料なるが故に、
ガスエンジンやガスタービン等の高効率熱機関の燃料と
しては不適であった。
【0006】他方、従来の汽力発電は、発電効率の低さ
(湿潤物質が原因でせいぜい20%以下)に由来してバ
イオマス発電は成立が困難であった。そのため、熱分解
によった生成ガスを、ガスタービンやガスエンジンなど
の高効率機関の燃料とすることが望まれていた。
【0007】本発明の目的は、バイオマスの熱分解によ
って生成されるガスを、高カロリーでかつクリーンな燃
料として、ガスタービンなどの高効率機関に適用するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のバイオマスガス化装置は、バイオマスを熱
分解して熱分解ガスおよびチャーを生成する炭火ドラム
と、該炭火ドラムの後段に配置され、前記熱分解ガスに
含まれるタール分に蒸気を賦活して水性ガス化する改質
ドラムとからなり、該改質ドラムで生成した改質ガスを
燃料としてガスタービンもしくはガスエンジンに供給す
ることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明のバイオマスガス化発電シス
テムは、バイオマスを予め乾燥する乾燥装置と、該乾燥
装置で乾燥させたバイオマスを加熱熱分解して熱分解ガ
スおよびチャーを生成する炭火ドラムと、該炭化ドラム
で生成した熱分解ガスとチャーとを分離する分離装置
と、該分離装置で分離させた熱分解ガス中のタール分を
蒸気によって水性ガス化して改質ガスを生成する改質ド
ラムと、該改質ドラムおよび前記炭火ドラムを加熱する
ための熱風炉と、前記改質ドラムで生成した改質ガスを
洗浄する洗浄装置と、該洗浄装置で洗浄した改質ガスを
燃料とするガスタービンおよびガスエンジンと、前記ガ
スタービンもしくはガスエンジンの廃熱によって生成さ
せた蒸気を前記改質ドラムに供給する蒸気配管と、前記
ガスタービンもしくはガスエンジンの排ガスを前記熱風
炉ヘ供給する排ガス配管と、前記熱風炉の排気ガスを前
記乾燥装置に供給する排気ガス配管とを備えたことを特
徴とするものである。
【0010】以下、本発明の作用を説明する。バイオマ
スを熱分解すると、次の化学反応式(1)〜(6)に示
すような種々の反応の組み合せにより、CO、CO
および、Hガスが発生する。
【0011】C+O⇔CO ………(1) C+CO⇔2CO ………(2) 2C+O⇔2CO ………(3) C+2HO⇔CO+2H ………(4) C+HO⇔CO+H ………(5) CO+HO⇔CO+H ………(6)
【0012】上記化学式は、必ずしも一方向に進行する
とは限らず、水分、温度、燃料種、滞留時間等の複雑な
要素が絡み合う。しかし、ガス中のHOの存在が、極
めて重要であることを示している。
【0013】したがって、炭化ドラムにおける炭化熱分
解ゾーンでは、HOが関与することが極小になって、
生成ガス中の水素の生成が阻害されるため高カロリーの
ガスを得られなくなる恐れがある。
【0014】一方、炭化ドラム内の熱分解は、150℃
近辺で始まり、炭化水素を主成分とするガス、タールお
よびチャーが生成し、300℃付近で急激に熱分解が始
まる。タールは冷却すると高粘度の液体となり粘着性を
持つことから、一般にはそのガスをガスタービンやガス
エンジンの燃料とすることはできない。
【0015】この炭化ドラムから排出されたタール分が
含有されている熱分解ガスは、改質ドラム内で、タール
分を構成する高分子物質がベーパーとなっている時点
で、炭化熱分解中に蒸気(ガスタービン廃熱を回収した
蒸気)を供給し、蒸気賦活することによって炉内から発
生するガス中タール分を極力抑え、かつ、高カロリーガ
スを取り出すことが可能となり、後流のガス洗浄負荷を
低減できる。
【0016】少しのタールであっても、後流の機器へ流
れると、累積して機器の運転が困難となる。そこで、タ
ールを洗浄によって洗い落とし、改質した分解生成ガス
をクリーン化して、高効率機関へクリーンで高カロリー
なガスを燃料として供給できるように構成したものであ
る。
【0017】これにより、従来不可能とされたバイオマ
ス熱分解ガスを改質して、ガスタービンなどの高効率機
関を適用することを可能とし、高効率発電を実施するこ
とが可能となった。
【0018】さらに、本発明の発電システムでは、ガス
タービンもしくはガスエンジンの排ガスを熱風炉ヘ供給
し、これにより炭化ドラムや改質ドラムを加熱する。ま
た、熱風炉の排気ガスを利用してバイオマスを予め乾燥
する。こうすることにより、システム内の熱源を有効利
用してシステム効率を向上させている。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態の概要は、バイ
オマスを熱分解して生成する熱分解ガスを、ガスタービ
ン等の高効率機関の燃料として有効利用するために、熱
分解ガスを生成する炭化ドラムの後段に改質ドラムを配
置し、改質ドラムにガスタービンから廃熱回収した蒸気
を賦活して、熱分解ガス中に生じるタール分を極力抑
え、低タールで高カロリーな改質ガスを生成するもので
ある。なお、炭化ドラムおよび改質ドラムは必ずしもド
ラム型である必要はない。
【0020】以下、本発明の実施形態を、図面を参照し
て説明する。図1に、本発明のバイオマスガス化装置、
および発電システムの一構成例を示す。図1において、
熱風炉1に炭化ドラム2および改質ドラム3が具備され
ている。
【0021】炭化ドラム2は熱風炉1によって加熱され
(400〜450℃)、ホッパー9から供給されるバイ
オマス4を、スクリューフィーダ5の回転で後流側に送
りながらバイオマス4を炭化熱分解し、熱分解ガス6や
チャー7を生成する。
【0022】炭化ドラム2と改質ドラム3とは固気分離
器8を介して連通し、炭化ドラム2から排出された熱分
解ガス6とチャー7などの炭化物とが固気分離器8で分
離され、熱分解ガス6が改質ドラム3に送給される。
【0023】改質ドラム3(400〜450℃)には廃
熱回収蒸気10の配管が接続され、ノズル(図示せず)
から所要量の蒸気を改質ドラム内に噴射して、タールベ
ーパを含む熱分解ガスに蒸気10を賦活することによ
り、水性ガス化反応作用が積極的に行なわれるように構
成されている。
【0024】特に、前述の化学反応式(1)〜(6)の
うち、式(4)〜(6)を積極的に進行させることによ
り、タールの減少も同時に達成され、高カロリーガスの
生成に寄与する効果がある。
【0025】改質ドラム3で生成された改質ガス11
は、高カロリーガスとなって、かつ、タール分の生成量
が抑制されて排出ノズル(図示せず)から排出される。
この改質ガス11は、周囲から冷却されない状態で配管
を通り、吸引機13により洗浄装置12に導出される。
洗浄装置12ではガス中のダストやタール分が冷媒に溶
解し洗い落とされ、同時に減温される。
【0026】こうして高カロリーでクリーンな燃料ガス
となった改質ガスは、混合機14で都市ガスと混合さ
れ、ガスタービン15に供給されて発電に供される。本
例では、このガスタービンの廃熱ボイラ16によって前
述のガスタービン廃熱回収蒸気10を生成する。この蒸
気10は反応に要する蒸気量だけで十分なので、余剰分
は改質ドラムの熱源の一部として利用することが可能で
ある。
【0027】そして、本実施形態では、ガスタービン1
5の排ガス17の配管を熱風炉1に接続し、排ガス17
(400〜500℃)を熱風炉1の熱源として利用して
いる。また、熱風炉1では、固気分離器8で分離したチ
ャー7を燃焼させて熱源として有効利用できるようにし
ている。こうして熱風炉1は800〜850℃に保たれ
る。
【0028】さらに、本実施形態では、熱風炉1で炭化
ドラム2および改質ドラム3を加熱した後の排気ガス2
0(500〜600℃)を利用して、バイオマスを予め
乾燥する熱源として有効利用するようにした。
【0029】すなわち、熱風炉1内の炭化ドラム2およ
び改質ドラム3に必要なエネルギーの殆どは、反応に基
づくエネルギーが大半を占めることから、乾燥に基づく
エネルギーを要しないため、熱風炉から排出される廃熱
は比較的高温(例えば500〜600℃)であり、乾燥
装置の熱源として適当である。
【0030】そこで、熱風炉1の排気ガス20を乾燥装
置の熱風炉21に送給し、これに原料投入口22からバ
イオマスを投入し、ケージミル23で裁断した後、乾燥
管24で気流乾燥し、サイクロン25のロータリーバル
ブ26を適宜開いて、前述の炭化ドラム2のホッパー9
に乾燥したバイオマス4を供給するようにした。
【0031】本実施形態によれば、多量に廃棄されるバ
イオマスを原料として、炭化ドラムにおける炭化熱分解
行程、および改質ドラムにおける改質行程を経て生成さ
れた改質ガスは、ガス洗浄装置を介してガスタービン等
の高効率機関に適用することによって、従来にない高効
率発電が可能となる。
【0032】
【発明の効果】上述のとおり本発明によれば、バイオマ
スの熱分解によって生成されるガスを、高カロリーでか
つクリーンな燃料として、ガスタービンなどの高効率機
関に適用することと相俟って、高効率かつ高出力発電が
可能となる優れた効果がある。しかも、高効率機関の廃
熱をバイオマスの熱分解や乾燥に有効利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になるバイオマスガス化装置および発電
システムの一実施形態の構成を示した図である。
【符号の説明】
1 熱風炉 2 炭化ドラム 3 改質ドラム 4 バイオマス 5 スクリューフィーダ 6 熱分解ガス 7 チャー 8 固気分離器 9 ホッパー 10 蒸気 11 改質ガス 12 洗浄装置 13 吸引機 14 混合機 15 ガスタービン 16 廃熱ボイラ 17 排ガス 20 排気ガス 21 熱風炉 22 原料投入口 23 ケージミル 24 乾燥管 25 サイクロン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02P 9/04 H02P 9/04 P Fターム(参考) 4D004 AA02 AA03 AA04 AC04 BA03 CA12 CA26 CA28 CA34 CA40 CA42 CB04 CB09 CB34 CB36 CB42 CC03 4D059 AA01 AA07 BB01 BB05 BB06 BB14 BD01 BD31 CA05 CA10 CA11 CA12 CA27 DA70 5H590 AA02 CA07 CA08 CA09 CA21 CA26 CE02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バイオマスを熱分解して熱分解ガスおよ
    びチャーを生成する炭火ドラムと、該炭火ドラムの後段
    に配置され、前記熱分解ガスに含まれるタール分に蒸気
    を賦活して水性ガス化する改質ドラムとからなり、該改
    質ドラムで生成した改質ガスを燃料としてガスタービン
    もしくはガスエンジンに供給することを特徴とするバイ
    オマスガス化装置。
  2. 【請求項2】 前記改質ドラムに供給される蒸気は、前
    記ガスタービンもしくはガスエンジンの廃熱を利用して
    生成されることを特徴とする請求項1に記載のバイオマ
    スガス化装置。
  3. 【請求項3】 前記炭化ドラムと前記改質ドラムとは、
    該炭化ドラムから排出される熱分解ガスとチャーとを分
    離する分離装置を介して連通していることを特徴とする
    請求項1〜2のうちいずれか1項に記載のバイオマスガ
    ス化装置。
  4. 【請求項4】 前記炭火ドラムは内部にスクリューフィ
    ーダを有し、前記改質ドラムはスクリューフィーダを有
    しないことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1
    項に記載のバイオマスガス化装置。
  5. 【請求項5】 前記炭火ドラムおよび前記改質ドラムは
    熱風炉内に具備され、該熱風炉は前記ガスタービンもし
    くはガスエンジンの排ガスが供給されることを特徴とす
    る請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のバイオマス
    ガス化装置。
  6. 【請求項6】 前記炭化ドラムから排出されるチャーを
    燃焼して、前記熱風炉の熱源とすることを特徴とする請
    求項1〜5のうちいずれか1項に記載のバイオマスガス
    化装置。
  7. 【請求項7】 前記熱風炉からの排気ガスを用いて、前
    記炭火ドラムに送給するバイオマスを予め乾燥すること
    を特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の
    バイオマスガス化装置。
  8. 【請求項8】 バイオマスを予め乾燥する乾燥装置と、
    該乾燥装置で乾燥させたバイオマスを加熱熱分解して熱
    分解ガスおよびチャーを生成する炭火ドラムと、該炭化
    ドラムで生成した熱分解ガスとチャーとを分離する分離
    装置と、該分離装置で分離した熱分解ガス中のタール分
    を蒸気によって水性ガス化して改質ガスを生成する改質
    ドラムと、該改質ドラムおよび前記炭火ドラムを加熱す
    るための熱風炉と、前記改質ドラムで生成した改質ガス
    を洗浄する洗浄装置と、該洗浄装置で洗浄した改質ガス
    を燃料とするガスタービンもしくはガスエンジンと、前
    記ガスタービンもしくはガスエンジンの廃熱によって生
    成させた蒸気を前記改質ドラムに供給する蒸気配管と、
    前記ガスタービンもしくはガスエンジンからの排ガスを
    前記熱風炉ヘ供給する排ガス配管と、前記熱風炉からの
    排気ガスを前記乾燥装置に供給する排気ガス配管とを備
    えたことを特徴とするバイオマスガス化発電システム。
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