JP2012240041A - バイオマス廃棄物処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バイオマス廃棄物の燃焼熱を効率よくプラント駆動源として用いて、バイオマス廃棄物より水素を分離する。
【解決手段】バイオマス廃棄物を粒状に加工し、粒状に加工されたバイオマス廃棄物を残留炭素の燃焼熱を用いて乾燥させ、乾燥されたバイオマス廃棄物を乾留して揮発性物質としての炭化水素と不揮発性物質としての残留炭素とに分離し、分離された残留炭素を燃焼し、残留炭素の燃焼熱を用いて分離された炭化水素を圧縮しかつ加熱することにより炭素と水素に分離し、分離された水素を回収する。
【選択図】図1

Description

本発明は、バイオマス廃棄物より水素を分離するバイオマス廃棄物処理方法に関する。
バイオマス廃棄物は有機物であるため、燃焼させると二酸化炭素が排出される。しかしこれに含まれる炭素は、そのバイオマス廃棄物が成長過程で光合成により大気中から吸収した二酸化炭素に由来する。そのため、バイオマス廃棄物を使用しても全体として見れば大気中の二酸化炭素量を増加させていないと考えてよいとされる。このようなバイオマス廃棄物の性質(カーボンニュートラル)により、バイオマス廃棄物の乾溜ガス化発電を用いたエネルギー利用が脚光を浴びている。
バイオマス廃棄物の乾溜ガス化発電を用いたエネルギー利用において、次に示す技術的な課題がある。すなわち、バイオマス廃棄物の燃焼熱を効率よくプラント駆動源として用いて、水素の分離に必要な温度を保つため、(1)バイオマス廃棄物を休み無く連続的にプラントへ供給し続ける、(2)水素の分離に妨げとなる水分を効率良く除去する、つまりエネルギー効率よくバイオマス廃棄物を乾燥させる、という課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、バイオマス廃棄物の燃焼熱を効率よくプラント駆動源として用いて、バイオマス廃棄物より水素を分離する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の特徴は、バイオマス廃棄物を粒状に加工する第1の工程と、粒状に加工されたバイオマス廃棄物を残留炭素の燃焼熱を用いて乾燥させる第2の工程と、乾燥されたバイオマス廃棄物を乾留して、揮発性物質としての炭化水素と不揮発性物質としての残留炭素とに分離する第3の工程と、分離された残留炭素を燃焼する第4の工程と、残留炭素の燃焼熱を用いて分離された炭化水素を圧縮しかつ加熱することにより、炭素と水素に分離する第4の工程と、分離された水素を回収する第5の工程と、を備えるバイオマス廃棄物処理方法であることを要旨とする。
本発明によれば、粒状に加工されたバイオマス廃棄物を残留炭素の燃焼熱を用いて乾燥させることにより、バイオマス廃棄物を休み無く連続的にプラントへ供給し続けることができ、かつ、水素の分離に妨げとなる水分を効率良く除去する、つまりエネルギー効率よくバイオマス廃棄物を乾燥させることができる。
図1は、チップ状のバイオマス廃棄物(木材、植物全般)から水分を取り除く乾燥ユニット(低温部)の具体的な構成を示す正面図である。 図2は、図1の乾燥ユニットにより乾燥されたバイオマス廃棄物を乾留して燃焼する乾留燃焼処理ユニット(高温部)の具体的な構成を示す正面図である。
実施例にかかわるバイオマス廃棄物処理システムは、チップ状のバイオマス廃棄物(木材、植物全般)から水分を取り除く乾燥ユニット(図1参照)と、乾燥したバイオマス廃棄物を乾留して燃焼する乾留燃焼処理ユニット(図2参照)とを有する。
「バイオマス廃棄物」には、廃棄物系バイオマスと、未利用バイオマスとが含まれる。廃棄物系バイオマスには、たとえば、紙、家畜糞尿、食品廃棄物、建設廃材、下水汚泥、生ゴミなどが含まれる。未利用バイオマスには、たとえば、稲わら、麦わら、籾殻、林地残材、資源作物、飼料作物、でんぷん系作物などが含まれる。
図1に示すように、乾燥ユニットは、ステンレスからなる筒状の容器(ステンレス管)からなる外筒容器と、この外筒容器の内側に配置されたアルミニウムからなる筒状の容器(Al管)からなる内筒容器と、内筒容器の下部に配置され、かつ内筒容器の内側に沿って移動可能なピストンとを備える。内筒容器は、バイオマス廃棄物の燃焼熱を利用して、約200℃程度の温度まで加熱される。また、ピストンは、バイオマス廃棄物の燃焼熱を利用して上下方向に駆動される。あらかじめ、チップ状(粒状)に加工されたバイオマス廃棄物を、内筒容器の下部から導入し、ピストンを継続して上下方向に駆動する。
バイオマス廃棄物は、内筒容器の内部を上方に向かって移動し、内筒容器の上端から排出されるまでの間に、内筒容器(200℃)からの熱を吸収して十分に乾燥し、つまり、水素の分離に妨げとなる水分が十分に除去される。これにより、チップ状のバイオマス廃棄物を休み無く連続的に乾燥ユニットへ供給し続けることができ、かつ水素の分離に妨げとなる水分を効率良く除去する、つまりエネルギー効率よくバイオマス廃棄物を乾燥させることができる。
内筒容器の上端から排出されたバイオマス廃棄物は、外筒容器と内側でありかつ内筒容器の外側を落下して、外筒容器の下端において回収され、図2に示す乾留燃焼処理ユニットに供給される。
図2に示すように、乾留燃焼処理ユニット(高温部)は、筒状の容器からなる外筒容器と、この外筒容器の内側に配置され、側面に複数の孔が形成された筒状の容器からなる内筒と、外筒容器の下端に回転可能に配置されたファンと、外筒容器の内部に酸素を供給する手段と、外筒容器の内部に供給されたバイオマス廃棄物を加熱する手段と、内筒の下部に配置され、かつ内筒の内側に沿って移動可能なピストンと、を備える。外筒容器は、鉄(Fe)からなる乾留域部と、乾留域部の上部に連結された、セラミックスからなる燃焼域部とからなる。外筒容器は、バイオマス廃棄物の燃焼熱を利用して加熱され、燃焼域部は800℃以上の温度、望ましくは約1000℃程度の温度まで加熱され、乾留域部は300℃〜800℃の温度まで加熱される。また、ファンは、バイオマス廃棄物の燃焼熱を利用して回転駆動される。乾燥されたバイオマス廃棄物を外筒容器の下部から導入し、ファンを継続して回転駆動する。これにより、乾燥されたバイオマス廃棄物を休み無く連続的に乾留燃焼処理ユニットへ供給し続けることができる。
乾燥されたバイオマス廃棄物は、外筒容器の内部を上方に向かって移動し、乾留域を通過する間に、外筒容器(300℃〜800℃)からの熱を吸収することにより乾留されて、揮発性物質としての炭化水素と不揮発性物質としての残留炭素とに分離される。
乾留(かんりゅう)とは、不揮発性の固体有機物を空気を断ったまま強熱して熱分解すると同時にその分解生成物を揮発性物質と不揮発性物質に分けることである。
空気を断つことによって自然発火を抑え、熱分解反応を進行させる。熱分解の結果、水や二酸化炭素、可燃性ガス、揮発性の有機物などが生成して留出し、炭素や炭酸塩が残る。
分離された炭化水素は、内筒の下部に配置されたピストンを内筒の内側に沿って下方に移動させることにより、内筒の側面に形成された複数の孔から内筒の内部に吸引される。その後、ピストンを内筒の内側に沿って上方に移動させることにより、内筒の内部に吸引された炭化水素を内筒の上端に配置された分離室へ移動し、同時にピストンの圧力によって圧縮する。分離室内で圧縮された炭化水素は、後で述べる残留炭素の燃焼熱により加熱される。揮発分は、この加圧及び加熱により水素(H)と炭素(C)に分離する。分離された水素は、一般的な方法によりボンベなどに回収される。分離された炭素は、燃焼域部の内部に噴射し、分離された残留炭素とともに燃焼される。
一方、分離された残留炭素は、ファンの回転によって乾留域部から燃焼域部へ移動し、外筒容器の燃焼域部に供給される酸素と結合して燃焼する。残留炭素が燃焼した後に残る灰は、燃焼域部の上端の外周部に沿って配置された灰だまりに一時的に回収され、一般的な手段によりプラント外部に排出され、ゴミとして処分される。残留炭素の燃焼熱は、後で述べる吸熱部及び水蒸気発生部を用いて、前述した、乾燥ユニットが備えるピストンの駆動源、乾燥ユニットが備える内筒容器の熱源、乾留燃焼処理ユニットが備えるファン及びピストンの駆動源として利用される。
吸熱部は残留炭素の燃焼熱を吸熱し、水蒸気発生部は吸熱部が吸収した熱により水蒸気を発生させる。水蒸気の圧力は、上記した乾燥ユニット及び乾留燃焼処理ユニットにおける駆動源及び熱源として利用される。これにより、バイオマス廃棄物を休み無く連続的にバイオマス廃棄物処理システムへ供給し続けることができ、かつ、水素の分離に妨げとなる水分を効率良く除去する、つまりエネルギー効率よくバイオマス廃棄物を乾燥させることができる。

Claims (1)

  1. バイオマス廃棄物を粒状に加工する工程と、
    粒状に加工されたバイオマス廃棄物を残留炭素の燃焼熱を用いて乾燥させる工程と、
    乾燥されたバイオマス廃棄物を乾留して、揮発性物質としての炭化水素と不揮発性物質としての残留炭素とに分離する工程と、
    分離された残留炭素を燃焼する工程と、
    残留炭素の燃焼熱を用いて分離された炭化水素を圧縮しかつ加熱することにより、炭素と水素に分離する工程と、
    分離された水素を回収する工程と、
    を備えるバイオマス廃棄物処理方法。
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