JP3559163B2 - バイオマスと化石燃料を用いたガス化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオマスをガス化して化学製品用の合成ガスや発電用の燃料を製造する方法に係わり、特に、高効率でガス化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
木材、植物、農耕副産物等、いわゆるバイオマスはそれ自身炭素元素、水素元素を含むこと、石炭等の化石燃料より燃焼し易い上に、灰分が少ないので燃焼器での灰障害が少ない等、クリーンな未利用エネルギーと見なされ、これを燃焼して発電する試みがなされている。
【0003】
またガス化してCH4、CO、H2等のガスを得、これをガスタービン/蒸気タービン複合発電システムに供することがJournal of Engineering for Gas Turbines and Power.Vol.118,July 1996に記載されている。これによれば、流動層反応器(Fluidized−Bed)を用いてガス化することが記載されている。
【0004】
ガス化方式には、バイオマスを酸素または空気と直接接触させて反応させる方式(直接ガス化)と、外から熱を与えてガス化する方式(間接ガス化)がある。間接ガス化法については、熱分解用流動層と、ここで得られる熱分解残渣を燃焼して熱分解に必要な熱源を発生する燃焼炉を併用する方式が試みられている。ガス化の温度は流動層の操作に適するよう、約850〜1000℃となっている。
【0005】
一方、石炭や重質残渣等の化石燃料を単独でガス化する技術には多くの方法があり、いくつかは商用水準に至っている。典型的には固定層法(400〜1200℃)、流動層法(800〜950℃)、気流層法(1200〜1600℃)がある。固定層法では低温部があるので、タール等が副生される。流動層法ではある程度のCH4や原料によってはC2成分の炭化水素ガスが生成する。気流層法ではH2、COが主要成分である。
【0006】
なお、バイオマスの使用に当っては、微粉炭ボイラや流動層ボイラに石炭の一部または全部を置き換えて燃焼させることが、Proceedings of 2nd. Internatinal Workshop on Corrosion in Advanced Power Plant Tampa,FL,March 1997にある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
バイオマスは、石炭よりガス化効率が高くなり易いが、従来のガス化法では、バイオマス自身の最適ガス化条件で操作されていないと云う課題がある。ガス化性能を評価する指標には下式で示される2つがあり、いずれもその値が高いことが望ましい。
【0008】
【数1】
【0009】
これらの性能を、図3に原料に供給される酸化剤の量との関係で示した。酸素供給量と原料供給量の比率(以下酸素比と称す)を増すと、炭素ガス化率(ηc)と冷ガス効率(ηg)は共に増大し、ある量で炭素ガス化率は100%に、冷ガス効率は最大値に達する。
【0010】
さらに酸素比を増大すると炭素ガス化率が100%に維持されたまま、冷ガス効率は低下する。ガス化では冷ガス効率が最大となる酸素比でガス化することが望ましい。
【0011】
上記の最適条件は、主に原料の元素組成から定まり、熱力学的に理想的な酸素比(以下、最小酸素比と称す)は、例えば、図3のa値である。しかし、バイオマスの場合は、ガス化の最小酸素比で操作すると、その時の温度が極めて低くなるためガス化反応が十分に進行せず、実際のガス化特性は図3の実線で示したように、理想的な特性からずれる。反応を十分進行する温度まで上げるため酸素比はb値まで増やすことが必要で、その結果、得られる冷ガス効率は理想的な値より、低いものとなってしまう。
【0012】
また、水分を含んだままガス化する場合には、温度を確保するためにさらに酸素が必要となり、冷ガス効率もさらに低下する。
【0013】
このため、酸素比はa値に近い所で操作し、温度を高めるために外部から熱源を与えることも考えられている(上記、間接ガス化方法)。しかし、この場合にはその熱源としてバイオマス自身、または他の燃料を燃焼して得た熱を供与しているため、この加熱用燃料のエネルギーまで含めた総合的な冷ガス効率は高くない。
【0014】
また、通常、バイオマスのガス化装置と加熱源の発生装置を別個に設けるため、装置の運転,制御が複雑であったり、設備費が高くなると云う問題があった。
【0015】
バイオマスのこのようなガス化特性は、バイオマスの元素組成に由来する。代表的なバイオマスである木材の組成の一例を代表的な化石燃料である石炭と比較して表1に示す。表1のように石炭に比べて酸素元素が多いのが特徴であり、その結果、発熱量が小さく、ガス化(または燃焼)温度が低くなる。
【0016】
【表1】
【0017】
本発明の目的は、バイオマスのガス化に当り、簡便な装置で、かつ、理想に近いガス化条件で高効率にガス化できるバイオマスと化石燃料を用いたガス化方法の提供にある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、バイオマスをできるだけ最小酸素比でガス化する一方、反応を促進させる温度の維持のため、石炭のガス化ガスを利用するようにしたものである。
【0019】
化石燃料はバイオマスより発熱量が大きいので、それ自身の最小酸素量でガス化した場合に高温度を得易い。またガス化したガスのエネルギーを加熱用に用いるため、総合的な冷ガス効率は従来の間接加熱法よりも優れている。
【0020】
バイオマスのガス化を推進するためには、石炭ガス化火炎とよく接触させることが重要であり、このため、従来のようにバイオマスガス化炉と加熱用熱源発生炉を別個に設けるのではなく、一つの反応容器内でこれを実現する。即ち、木材、植物、農耕副産物等のバイオマスと、石炭、重質油、重質残渣油、オイルコークス等の化石燃料を、同一のガス化炉内に別々の位置から供給し、それぞれの原料に適切な量の酸化剤を加えて、一旦、それぞれのガス化火炎を形成した後、ガスの流れを利用してそれぞれの火炎を混合させるようにした。
【0021】
また、化石燃料のガス化火炎は、同原料およびバイオマス原料中に含まれる灰分が溶融するような温度とし、また、混合後の火炎はガス化炉出口における生成ガスの組成に、少なくともC2成分のガスが含まれないような温度とするようにした。
【0022】
これを実現するガス化装置としては、溶融灰の出口と生成ガスの出口を有し、生成ガス出口径はガス化炉の径より小さくし、バイオマスおよび化石燃料の供給孔をそれぞれ生成ガス出口および溶融灰出口に近い位置で、かつ、ガス化炉の接線方向に向けて配置し、ガス化炉内に旋回流れを形成するようにした。
【0023】
【発明の実施の形態】
バイオマス火炎と石炭ガス化火炎を特定温度以上で十分に接触・混合させることが重要である。バイオマスや化石燃料のガス化反応は通常次式で表わされる。
【0024】
【数2】
【0025】
このうち、(1)式の熱分解反応、(5),(6)式のガス化反応は、吸熱反応で(2)、(3)および(4)式の燃焼反応が発熱反応である。
【0026】
バイオマスの細胞は主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンより構成され、酸素の多くは−CH2OH、=OH、−CH3Oの形態で存在する。また、石炭中の酸素は多くが−COOH、−CHOと云う形態で存在する。バイオマスや化石燃料がガス化炉内でまず(1)式の熱分解反応を受けると、これらの分子の多くは直ちCO2、H2O、H2、COや、CH4、C2H4、C2H2の炭化水素ガスに転化する。
【0027】
また、同時にチャー(C)や、温度によっては油状物(Tar)が生成する。続いてまたは併行して、(2)、(3)、(4)式に従って酸素と反応する。この反応で生成したCO2やH2Oが(5)式および(6)式のガス化反応に供され、チャーを完全にガス化し、COやH2を多量に発生させる。即ち、前記炭素ガス化率と冷ガス効率を高めるには、次の2点が重要である。
【0028】
(i) (5)式および(6)式のガス化に供するC量を確保するため、(2)式でのCの燃焼量を過大にしない、即ち、(2)式に与える酸素量を適切にする。
【0029】
(ii) (5)式および(6)式の反応を進めるため、CO2とH2Oガスの温度は一定以上高くする。
【0030】
表1のようにバイオマスは石炭に比べ著しく酸素元素が多いので、(1)式で発生するCO2やH2Oの量は化石燃料より多い。逆に(2)式で燃焼の対象となるC(チャー)の発生量が少ない。上記(i)の観点から、(2)式に供する酸素を与え過ぎない様にすると、燃焼による発熱量が少ないため、(2)式および(4)式で生成するCO2ガスおよび(3)式によるH2Oガスの温度が低くなる。このため、(5)式および(6)式の反応が進まないのである。
【0031】
一方、化石燃料の場合は、表1のように酸素元素が少ないので、(1)式で発生するC(チャー)量がバイオマスより多いので、(2)式に供給できる酸素量はバイオマスより多くでき、その結果として生成ガスの温度は高くなる。それゆえ、バイオマス火炎を石炭ガス化火炎と十分接触,混合することで、バイオマスの反応で生じたCO2、H2Oを高温にし、(5)式および(6)式を促進できる。
【0032】
十分な接触がない場合は、化石燃料の方は必要にして十分な温度が確保されるのでガス化反応は進むが、バイオマスの方は進まない。このため、例えば、石炭とバイオマスをガス化炉の別々の個所に供給しても、それぞれ単独の反応が進行するだけで、効率向上にはならない。
【0033】
反応の進行に必要な温度は最低でも800℃程度で、これ以上高くする必要はない。そこで、適正酸素量を添加した石炭ガス化火炎の中に、バイオマスの適正酸素量を添加したガスを接触させると、バイオマスは例えば900℃の温度場で反応が進行する。このため、バイオマスをガス化するための最小酸素比で高い効率を維持できる。
【0034】
次に本発明におけるバイオマス火炎と化石燃料ガス化火炎の接触方法について説明する。この方法はガス化する前にバイオマスと化石燃料とを混合しておき、一つの原料としてガス化する方法と、別々に供給し、ガス化炉内のガス流れを利用して接触させる方法がある。後者の場合はそれぞれの原料を異なる供給手段でガス化炉に供給して着火した後、次の二つの方法がある。
【0035】
(a) 両火炎を衝突させる方法
(b) 旋回流等を利用して混合させる方法
予め両原料を混合して供給する方法は、火炎の接触効率を高めると云う観点では好ましいが、原料供給量の制御がたいへんしにくいと云う欠点がある。化石燃料は通常、数mm程度または100μm程度の微粉であり、ガス化炉への供給は回転式やスクリュー式のフィーダであったり、気流搬送であったりする。
【0036】
ガス化は加圧で行なうので、原料の搬送管は細くなる傾向にある。バイオマスの場合は粉砕して微粒にできるが、細い管内を安定に搬送するには適さない。従って、両者ともフィーダから直接ガス化炉へ供給するような場合は事前に混合して送れるが、それ以外の場合は別々の方法で供給する方が制御がし易く、従って予め混合する方法は好ましくない。
【0037】
一方、別々に供給した後接触させる方法には、上記(a),(b)の方法があるが、(a)の方法は混合原料と同様、火炎の温度が均一になる。火炎の温度はガス化反応の促進を第一に選ぶが、一方で、燃料中の灰分を溶融する、または溶融しないと云う観点が重要である。
【0038】
溶融させた場合は灰はガラス状で回収できるので、その後の取扱いや環境保全性の点で優れる。このため、ガス化炉内はガス化に適当な温度と、灰溶融に適当な温度を形成することが望ましく、上記(a)ではこれの実現が難しい。よって、本発明では(b)の方法を採用する。
【0039】
【実施例】
本発明の一実施例を図1により説明する。バイオマス1は通常水分を多く含むので、供給装置10に導入する前に乾燥する。この乾燥方法としては、別途乾燥工程を設け、ガス化生成ガスの熱を利用したり、別の熱源を利用して乾燥する。
【0040】
また、輸送やガス化をし易くするために、適当な大きさに粉砕する必要がある。ここでは数mm程度の粉末を用いる。これを供給ホッパ10に供給する。ガス化は加圧下で行なうので、原料を加圧する必要がある。この方法はいわゆるロックホッパ方式による。これによって加圧下に置かれたバイオマスを定量供給する。
【0041】
定量器11は回転式やスクリュー式のフィーダであり、本発明ではいづれの方式でも可能である。ここで定量されたバイオマスをガス化炉に輸送する。この手段としては、気流搬送と重力による落下法とがある。バイオマスを粉砕したものは、石炭等と異なり、一つの粉砕粉の形状は不定型であったり、表面が粗かったりする。このため、搬送過程で機器や管にひっかかり易く、供給の不安定要因となる。搬送ではこのことに留意する必要があり、このため、気流搬送は好ましくない。本発明では、定量器11から排出されたバイオマスは若干の補助的なガス(例えば窒素ガス3)と共に自由落下に近い形でガス化炉30に投入する。
【0042】
一方、化石燃料として本実施例では石炭2を考える。石炭は100μm程度以下に粉砕した後、周知の方法で供給ホッパ20に投入し、定量器21で計測した後、例えば、窒素ガス3で気流搬送する。ガス化剤4は酸素、空気またはこれらの混合物を用いる。本実施例では酸素とし、バイオマスと化石燃料それぞれに転化する。
【0043】
ガス化炉30は、バイオマス供給孔33、石炭供給孔34、ガス化反応領域39、ガス出口31と灰出口32および回収ダスト供給孔43で構成される。
【0044】
ここで、ガス化反応領域39の一部に、両原料中に含まれる灰分が溶融するような温度領域を形成すると共に、ガスの流れを利用してそれぞれの火炎を混合させ、バイオマスのガス化を促進する方法を説明する。
【0045】
ガス化出口31の径をガス化反応領域39の径より小さくし、バイオマス供給孔33をガス化反応領域39の上部に、石炭供給孔34をその下部にそれぞれ設ける。これらの供給孔の配置を図2の模式断面図に示す。どちらの供給孔もガス化炉の接線方向に向けるが、バイオマスは図2(a)のようにバイオマス供給孔33の一カ所から、石炭は石炭供給孔34の複数カ所から〔図2(b)の例では3ヵ所から〕、回収ダストは回収ダスト供給孔43の一カ所から、それぞれ供給する。
【0046】
図2に示すようにガス化炉30の接線方向に向けて供給することによりガス化反応領域に旋回流が形成される。このような配置にした上で、バイオマスには比較的少量の酸化剤を、石炭にはそれより多い量の酸化剤を供給する。このようにすると、ガス化反応領域に3つの温度領域が形成される。
【0047】
図1の領域Iは、主にバイオマス火炎に支配される温度領域である。この火炎は、供給孔の配置と旋回流れと云う特質から,比較的ガス化反応領域39の上部壁際に形成され、全体として下降する流れである。
【0048】
領域IIは、石炭火炎に支配される温度領域である。同様にガス化反応領域の下部全域に形成され、全体として上昇する流れである。
【0049】
上記領域Iの火炎は一旦下降するが、ある点で領域IIの火炎と衝突し、両者が混合した領域IIIが形成される。この領域IIIの温度は、上記の両ガス化火炎の平均的な値となる。
【0050】
溶融灰36は、ガス化反応領域の最下方に設けた灰出口32から抜き出す。生成ガス35はガス化炉30を出て、ダスト回収器40に入れる。回収器はサイクロンやフィルター等周知のものでよい。回収されたダスト42はガス化炉30の石炭供給孔34と同レベルに設けた回収ダスト供給孔43から供給する。ダスト回収後のガス41の冷却工程やガス精製工程は図示しないが、目的に合わせて、周知の方法で行う。
【0051】
この方式でバイオマス、石炭およびバイオマスと石炭を併用した場合のガス化成績を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
表2からは、バイオマス単独の場合、酸素比(=酸素供給量/原料供給量)が0.3の時、ガス化炉出口温度は940℃となり、冷ガス効率は83.7%となった。これより酸素比を小さくすると、炭素ガス化率が低くなり、それに伴って冷ガス効率も低下した。
【0054】
また石炭単独のガス化では、灰を溶融させる条件のもとで操作した結果、酸素比0.74でガス化炉出口温度は1330℃となり、冷ガス効率は80.1%となった。これより酸素比を小さくすると、炭素ガス化率が低くなり、それに伴って冷ガス効率も低下した。
【0055】
本発明によるバイオマスと石炭を併用したガス化では、それぞれの供給比率を変えた3例について示す。バイオマス30%の場合、バイオマスは酸素比0.17となるように、また、石炭は酸素比0.74となるように操作した。
【0056】
この時のガス化反応領域Iの温度は1350℃で、石炭中の灰を溶融させるに十分な温度である。また両領域から発生したガスの混合領域IIIの温度は1030℃であった。この時の冷ガス効率は84.4%で、単独の原料に比べて高い効率となった。これはバイオマスへの酸素供給量自体はバイオマス単独の場合よりも少なくし、先に述べた最小酸素量に近づける一方、領域IIIの温度が石炭ガス化ガスの熱量のために1030℃と高く維持できたためである。
【0057】
この時の石炭の酸素比は0.52で、石炭単独の場合よりも小さくできた。バイオマスの割合を50%、70%にした場合も、同様な考えで酸素供給量を決めた結果、冷ガス効率はいづれも単独の原料より高くなった。石炭70%の場合は54%の場合に比べてやや小さくなった。これはバイオマスの割合を増やすほど、加熱源としての石炭量が減るので、領域IIIの温度を維持するためにバイオマスへの酸素量を増やさねばならず、その結果、最小酸素比からずれてくるためである。
【0058】
このように図1に示す方法でバイオマスと石炭を混合してガス化した結果、その相乗効果が現われた。
【0059】
バイオマスへの酸素量を上記実施例より低くすると、炭素ガス化率が低くなると共に、生成ガス中にC2以上の炭化水素ガスが発生した。目的とするガスは化学合成用や発電用燃料とするので、できるだけH2,COが多いものが好ましい。酸素量が適切かどうかは、発生するガスの組成で推定でき、C2以上の成分が検出されたことは、酸素が少ないか、または、温度が低いことを示した。
【0060】
一方石炭に供給する酸素が上記より低いと炭素ガス化率が低下する。また多いと冷ガス効率が低下すると共に、火炎温度が必要以上に高くなり、ガス化炉材料への負担が大きくなる。
【0061】
本実施例では化石燃料として石炭を用いたが、その他に重質油、重質残渣油、オイルコークス等でも同様に用いることができる。
【0062】
化石燃料中の灰分が実質的に無視し得る場合は、領域IIの温度は灰溶融条件からは外れるが、バイオマスガス化の加熱用に必要な温度には維持する必要がある。
【0063】
一方、上記原料は発熱量が高いので、最適ガス化条件でガス化すれば、ほぼ1400〜1800℃程度の温度になるので、ガス化反応領域の温度は結果的に上記石炭の場合と同様なプロファイルとなる。
【0064】
【発明の効果】
バイオマスと化石燃料の混合燃料を2段反応法でガス化することにより、表2のごとく石炭単独より酸素使用量を16〜21%減少できる。このことはガス化プラントにおける酸素消費量を減らせることから、酸素プラントの設備費や酸素製造の動力を少なくできる。
【0065】
このガス化方式をガス化複合発電プラントに適用した場合、バイオマス単独または石炭単独に比べて冷ガス効率の向上を図ることができるので、発電端効率が向上する。
【0066】
また、石炭単独に比べ、冷ガス効率向上と酸素消費量低減が同時に図ることができるので、前者により発電端効率向上が、また後者により所内動力割合の低減がもたらされ、これらの2重の効果により、送電端効率を著しく向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるバイオマスと化石燃料を用いたガス化方法の構成図である。
【図2】図1のガス化炉の燃料供給孔の配置を示す模式断面図である。
【図3】本発明の一実施例の効率に対する酸素供給量(対燃料重量比)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…バイオマス、2…化石燃料、3…酸化剤、4…燃料搬送ガス、10,20…原料加圧ホッパ、11,21…原料定量装置、30…ガス化炉、33…バイオマス供給孔、34…石炭供給孔、39…ガス化反応領域、31…ガス出口、32…灰出口32、43…回収ダスト供給孔、35…生成ガス、40…ダスト回収器、42…回収ダスト。
Claims (1)
- 溶融灰の出口と生成ガスの出口とを備え、生成ガスの出口径はガス化炉の径よりも小さく、バイオマス供給孔を生成ガス出口側に、化石燃料供給孔を溶融灰出口側に備え、上記入り口及び出口をその接線方向で内部に向けて配置したガス化炉を用いて、バイオマスを上記バイオマス供給孔から供給し、化石燃料を上記化石燃料供給孔から供給し、該ガス化炉内に該化石燃料に対して対燃料重量比で、該バイオマスに対するよりも多くの酸化剤を加えて、それぞれのガス化火炎を形成した後、ガスの旋回流を利用してそれぞれの火炎を混合させガス化を行う方法であって、該化石燃料のガス化火炎を、該化石燃料およびバイオマス中に含まれる灰分が溶融する温度とし、混合後の火炎はガス化炉出口における生成ガス中にC2以上の炭化水素ガスが形成されない温度になるように酸化剤量を制御することを特徴とするバイオマスと化石燃料を用いたガス化方法。
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