JP2003253005A - (メタ)アクリル系ブロック共重合体ペレットのブロッキング防止方法 - Google Patents

(メタ)アクリル系ブロック共重合体ペレットのブロッキング防止方法

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JP2003253005A JP2002057802A JP2002057802A JP2003253005A JP 2003253005 A JP2003253005 A JP 2003253005A JP 2002057802 A JP2002057802 A JP 2002057802A JP 2002057802 A JP2002057802 A JP 2002057802A JP 2003253005 A JP2003253005 A JP 2003253005A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (メタ)アクリル系ブロック共重合体ペレッ
トの製造、輸送及び加工の際に生ずるブロッキングに対
し、その防止方法を提供する。 【解決手段】 アクリレート系単量体及びメタアクリレ
ート系単量体を重合してなる(メタ)アクリル系ブロッ
ク共重合体のペレットに炭酸カルシウム、タルク、カオ
リン、二酸化珪素、アルミナ、水酸化アルミナ、脂肪酸
アミドあるいは脂肪酸エステルなどの滑剤を添加する。
また、滑剤添加方法としてストランド表面に滑剤を付着
させることを特徴とする(メタ)アクリル系ブロック共
重合体ペレットのブロッキング防止方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリレート系単
量体及びメタアクリレート系単量体を重合してなる(メ
タ)アクリル系ブロック共重合体ペレットのブロッキン
グ防止方法及びその成型体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性エラストマーは溶融成形可能な
ゴム状物質であり、射出成形、押出し成形、カレンダー
成形等、通常熱可塑性樹脂で用いられる成形法により成
形することができる。また、具体的用途としてはエラス
トマー材料、樹脂、ゴム、アスファルト等の改質剤、制
振剤、粘着剤のベースポリマー、樹脂改質剤の成分とし
て用いることができる。
【0003】このように優れた性質、加工性を有する熱
可塑性エラストマーであるが、その反面、軟化点の低さ
から室温付近でも樹脂同士の付着、すなわちブロッキン
グが発生しやすい。このブロッキングは樹脂のペレット
化、乾燥、梱包、成形に至るまで、あらゆる場面におい
て取り扱いの困難な状況を発生させる。具体的には、樹
脂をペレットに成形する段階においては、ペレット同士
あるいはペレットが加工設備へ付着することにより運転
の支障になる。また、ホッパー内部でペレットが凝集
し、払出が不能になることも良く知られた事実である。
【0004】アクリル系のブロック体は、スチレン系や
オレフィン系熱可塑性エラストマーに比較し柔軟性が高
く、特にブロッキングが激しい傾向にあった。
【0005】このような熱可塑性エラストマーのブロッ
キングを改善する方法として、特開平7−171828
のように熱可塑性エラストマーに結晶性ポリオレフィン
を付与する方法、特開平8−34019のように塩化ビ
ニル系ペーストレジンを付与する方法が開示されてい
る。また、特開2000−43201のように熱可塑性
樹脂シートのように熱可塑性エラストマーに対して親水
性高分子化合物、脂肪酸金属塩、界面活性剤、導電性高
分子を含有する制電層を積層する方法も開示されてい
る。
【0006】これらは樹脂をペレット形状に成形する前
に配合物を混錬する方法、あるいは成形シートのブロッ
キング防止方法である。ペレットのブロッキング防止の
ために添加する配合物、高分子成分によっては、エラス
トマーの物性自体を変化させる懸念も考えられる。また
芯鞘型複合押出ダイなどのように専用設備が必要とな
り、簡便な解決方法とは言いがたい。
【0007】以上の問題点を解決した上で、(メタ)ア
クリル系ブロック共重合体ペレットに適用可能なブロッ
キング防止方法の確立が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、(メ
タ)アクリル系ブロック共重合体ペレットの製造、輸送
及び加工の際に生ずるブロッキングに対し、その防止方
法を提供することにある。加えて、本発明はブロッキン
グを防止したペレットを用いて成型した、成型品に関す
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、(メタ)ア
クリル系ブロック共重合体ペレットのブロッキング防止
方法について検討し、本発明を完成した。
【0010】すなわち本発明は、アクリレート系単量体
を主体とする重合体ブロックとメタアクリレート系単量
体を主体とする重合体ブロックを含有する(メタ)アク
リル系ブロック共重合体のペレットに滑剤を添加するこ
とを特徴とする(メタ)アクリル系ブロック共重合体ペ
レットのブロッキング防止方法(請求項1)、滑剤とし
て、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪素、
アルミナ、水酸化アルミ、脂肪酸アミド、脂肪酸エステ
ル、金属石鹸、アクリル系高分子微粒子からなる群より
選ばれるいずれか1種または2種以上を用いることを特
徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル系ブロック共
重合体ペレットのブロッキング防止方法(請求項2)、
滑剤を含有する溶剤中に重合体ペレットを分散させ、そ
の後ペレット表面の溶剤を除去することを特徴とする請
求項1または2記載の(メタ)アクリル系ブロック共重
合体ペレットのブロッキング防止方法(請求項3)、溶
剤が水であることを特徴とする請求項1〜3記載の(メ
タ)アクリル系ブロック共重合体ペレットのブロッキン
グ防止方法(請求項4)、アンダーウォーターカット方
式で(メタ)アクリル系ブロック共重合体ペレットを製
造するときに、用いる冷却水に滑剤を含有する水を使用
することを特徴とする請求項1〜4記載の(メタ)アク
リル系ブロック共重合体ペレットのブロッキング防止方
法(請求項5)、ストランドカット方式で(メタ)アク
リル系ブロック共重合体ペレットを製造するときに、用
いる冷却水に滑剤を含有する水を使用することを特徴と
する請求項1〜2記載の(メタ)アクリル系ブロック共
重合体ペレットのブロッキング防止方法(請求項6)、
滑剤と重合体ペレットを直接混合させることにより表面
塗布することを特徴とする請求項1または2記載の(メ
タ)アクリル系ブロック共重合体ペレットのブロッキン
グ防止方法(請求項7)、滑剤の付着量が(メタ)アク
リル系ブロック共重合体ペレット100重量部あたり、
0.001〜0.5部であることを特徴とする請求項1
〜7記載の(メタ)アクリル系ブロック共重合体ペレッ
トのブロッキング防止方法(請求項8)及び請求項1〜
8記載の方法によりブロッキング防止を施された(メ
タ)アクリル系ブロック共重合体ペレットを成型するこ
とによって得られる成型体(請求項9)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明に用いる(メタ)アクリル系ブロッ
ク共重合体(a)は、メタアクリル系単量体を主成分と
する重合体ブロック(A)とアクリル系単量体を主成分
とする重合体ブロック(B)とをそれぞれ少なくとも1
つ含有するブロック共重合体である。前記ブロック共重
合体は、線状ブロック共重合体(a1)および分岐状
(星状)ブロック共重合体(a2)からなる群より選ば
れた少なくとも1種のブロック共重合体である。
【0013】線状ブロック共重合体(a1)は、A−B
型のジブロック共重合体、A−B−A型のトリブロック
共重合体、B−A−B型のトリブロック共重合体、(−
A−B−)n型のマルチブロック共重合体である。分岐
状(星状)ブロック共重合体(a2)は、前記の線状ブ
ロック共重合体(a1)を基本構造とする分岐状(星
状)ブロック共重合体である。これらの中でも、組成物
の物理的性質の点から、A−B−A型のトリブロック共
重合体、A−B型のジブロック共重合体、または、これ
らの混合物が好ましい。
【0014】ブロック共重合体(a)の数平均分子量は
特に限定されないが、好ましくは30000〜5000
00、さらに好ましくは50000〜400000であ
る。数平均分子量が小さいと粘度が低く、また、数平均
分子量が大きいと粘度が高くなる傾向があるので、必要
とする加工特性に応じて設定される。
【0015】前記ブロック共重合体のゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)も特に
限定されないが、好ましくは1.8以下、さらに好まし
くは1.5以下である。Mw/Mnが1.8を超えると
ブロック共重合体の均一性が低下する傾向がある。
【0016】ブロック共重合体(a)のメタアクリル系
重合体ブロック(A)とアクリル系重合体ブロック
(B)の組成比は、ブロック(A)が5〜90重量%、
ブロック(B)が95〜10重量%である。成型時の形
状の保持およびエラストマーとしての弾性の観点から、
組成比の好ましい範囲は、(A)が10〜80重量%、
(B)が90〜20重量%であり、さらに好ましくは、
(A)が20〜50重量%、(B)が80〜50重量%
である。(A)の割合が5重量%より少ないと成形時に
形状が保持されにくい傾向があり、(B)の割合が10
重量%より少ないとエラストマーとしての弾性が低下す
る傾向がある。
【0017】エラストマー組成物の硬度の観点からは、
(A)の割合が少ないと硬度が低くなり、また、(A)
の割合が多いと硬度が高くなる傾向があるため、エラス
トマー組成物の必要とされる硬度に応じて設定すること
ができる。また加工の観点からは、(A)の割合が少な
いと粘度が低く、また、(A)の割合が多いと粘度が高
くなる傾向があるので、必要とする加工特性に応じて設
定することができる。
【0018】メタアクリル系重合体ブロック(A)は、
メタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合し
てなるブロックであり、メタアクリル酸エステル50〜
100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体
0〜50重量%とからなることが好ましい。
【0019】(A)を構成するメタアクリル酸エステル
としては、たとえば、メタアクリル酸メチル、メタアク
リル酸エチル、メタアクリル酸−n−プロピル、メタア
クリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、
メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−t−ブチ
ル、メタアクリル酸−n−ペンチル、メタアクリル酸−
n−ヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタア
クリル酸−n−ヘプチル、メタアクリル酸−n−オクチ
ル、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリ
ル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ド
デシル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トル
イル、メタアクリル酸ベンジル、メタアクリル酸イソボ
ルニル、メタアクリル酸−2−メトキシエチル、メタア
クリル酸−3−メトキシブチル、メタアクリル酸−2−
ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプ
ロピル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸グ
リシジル、メタアクリル酸2−アミノエチル、γ−(メ
タクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ
−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチル
シラン、メタアクリル酸のエチレンオキサイド付加物、
メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリ
ル酸−2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸
−2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸−2
−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチ
ル、メタアクリル酸−2−パーフルオロエチル、メタア
クリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフ
ルオロメチルメチル、メタアクリル酸−2−パーフルオ
ロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリ
ル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル
酸−2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸−
2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどをあげること
ができる。
【0020】これらは単独でまたは2種以上を組み合わ
せて用いることができる。これらの中でも、加工性、コ
ストおよび入手しやすさの点で、メタアクリル酸メチル
が好ましい。また、メタアクリル酸イソボルニル、メタ
アクリル酸シクロヘキシルなどを共重合させることによ
って、ガラス転移点を高くすることができる。
【0021】(A)を構成するメタアクリル酸エステル
と共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、ア
クリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、共役ジエ
ン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不
飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステ
ル化合物、マレイミド化合物などをあげることができ
る。
【0022】アクリル酸エステルとしては、たとえば、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n
−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n
−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブ
チル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸−n−ヘ
キシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−n−
ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2
−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシ
ル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリ
ル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボ
ルニル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸
−3−メトキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエ
チル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル
酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−
アミノエチル、アクリル酸のエチレンオキサイド付加
物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸
2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸−2−パー
フルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエ
チル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−
パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、
アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸−
2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチ
ル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、ア
クリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸−
2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどをあげること
ができる。
【0023】芳香族アルケニル化合物としては、たとえ
ば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。
【0024】シアン化ビニル化合物としては、たとえ
ば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげ
ることができる。
【0025】共役ジエン系化合物としては、たとえば、
ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。
【0026】ハロゲン含有不飽和化合物としては、たと
えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチ
レン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなど
をあげることができる。
【0027】ケイ素含有不飽和化合物としては、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどを
あげることができる。
【0028】不飽和時カルボン酸化合物としては、たと
えば、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノ
アルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル
酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキル
エステルなどをあげることができる。
【0029】ビニルエステル化合物としては、たとえ
ば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることが
できる。
【0030】マレイミド系化合物としては、たとえば、
マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プ
ロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイ
ミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステ
アリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシ
ルマレイミドなどをあげることができる。
【0031】これらは単独でまたは2種以上を組み合わ
せて用いることができる。これらのビニル系単量体は、
ブロック(A)に要求されるガラス転移温度の調整、ア
クリル系重合体ブロック(B)との相容性などの観点か
ら好ましいものを選択することができる。
【0032】(A)のガラス転移温度は、エラストマー
組成物の熱変形の観点から、好ましくは25℃以上、よ
り好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上
である。(A)のガラス転移温度がエラストマー組成物
の使用される環境の温度より低いと、凝集力の低下によ
り、熱変形しやすくなる傾向がある。
【0033】アクリル系重合体ブロック(B)は、アク
リル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブ
ロックであり、アクリル酸エステル50〜100重量%
およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量
%とからなることが好ましい。
【0034】(B)を構成するアクリル酸エステルとし
ては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、
アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、
アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシ
ル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オク
チル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノ
ニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリ
ル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸−2−メトキ
シエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル
酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキ
シプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシ
ジル、アクリル酸−2−アミノエチル、アクリル酸のエ
チレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチ
ルメチル、アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチ
ル、アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、アク
リル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブ
チルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アク
リル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロ
メチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロメチル−
2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸−2−パー
フルオロヘキシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオ
ロデシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキサ
デシルエチルなどをあげることができる。
【0035】これらは単独でまたはこれらの2種以上を
組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ゴ
ム弾性、低温特性およびコストのバランスの点で、アク
リル酸−n−ブチルが好ましい。さらに低温特性が必要
な場合は、アクリル酸−2−エチルヘキシルを共重合さ
せればよい。耐油性が必要な場合は、アクリル酸−n−
エチルが好ましい。耐油性および低温特性のバランスが
必要な場合は、アクリル酸−n−エチル、アクリル酸−
n−ブチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルの組
み合わせが好ましい。
【0036】ブロック(B)を構成するアクリル酸エス
テルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえ
ば、メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合
物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロ
ゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽
和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイ
ミド系化合物などをあげることができる。
【0037】メタアクリル酸エステルとしては、たとえ
ば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メ
タアクリル酸−n−プロピル、メタアクリル酸イソプロ
ピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イ
ソブチル、メタアクリル酸−t−ブチル、メタアクリル
酸−n−ペンチル、メタアクリル酸−n−ヘキシル、メ
タアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸−n−ヘ
プチル、メタアクリル酸−n−オクチル、メタアクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタ
アクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアク
リル酸フェニル、メタアクリル酸トルイル、メタアクリ
ル酸ベンジル、メタアクリル酸イソボルニル、メタアク
リル酸−2−メトキシエチル、メタアクリル酸−3−メ
トキシブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチ
ル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタア
クリル酸ステアリル、メタアクリル酸グリシジル、メタ
アクリル酸−2−アミノエチル、γ−(メタクリロイル
オキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリ
ロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタ
アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、メタアクリル
酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸−2−ト
リフルオロメチルエチル、メタアクリル酸−2−パーフ
ルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロ
エチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル
酸−2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフル
オロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチ
ル、メタアクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パ
ーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸−2−パーフ
ルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸−2−パーフル
オロデシルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロ
ヘキサデシルエチルなどをあげることができる。
【0038】芳香族アルケニル化合物としては、たとえ
ば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。
【0039】シアン化ビニル化合物としては、たとえ
ば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげ
ることができる。
【0040】共役ジエン系化合物としては、たとえば、
ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。
【0041】ハロゲン含有不飽和化合物としては、たと
えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチ
レン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなど
をあげることができる。
【0042】ケイ素含有不飽和化合物としては、たとえ
ば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ランなどをあげることができる。
【0043】不飽和ジカルボン酸化合物としては、たと
えば、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノ
アルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル
酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキル
エステルなどをあげることができる。
【0044】ビニルエステル化合物としては、たとえ
ば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることが
できる。
【0045】マレイミド系化合物としては、たとえば、
マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プ
ロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイ
ミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステ
アリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシ
ルマレイミドなどをあげることができる。
【0046】これらは単独でまたは2種以上を組み合わ
せて用いることができる。これらのビニル系単量体は、
ブロック(B)に要求されるガラス転移温度および耐油
性、メタアクリル系重合体ブロック(A)との相容性な
どのバランスの観点から、好ましいものを選択すること
ができる。
【0047】(B)のガラス転移温度は、エラストマー
組成物のゴム弾性の観点から、好ましくは25℃以下、
より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−20℃以
下である。(B)のガラス転移温度が、エラストマー組
成物の使用される環境の温度より高いとゴム弾性が発現
されにくいので不利である。
【0048】ブロック共重合体(a)の製造方法ブロッ
ク共重合体(a)の製造方法ては、とくに限定されない
が、制御重合を用いることが好ましい。制御重合として
は、リビングアニオン重合、連鎖移動剤を用いるラジカ
ル重合および近年開発されたリビングラジカル重合をあ
げることができる。リビングラジカル重合がブロック共
重合体の分子量および構造の制御の点ならびに架橋性官
能基を有する単量体を共重合できる点から好ましい。
【0049】リビングラジカル重合は、重合末端の活性
が失われることなく維持されるラジカル重合である。リ
ビング重合とは、狭義においては、末端が常に活性を持
ち続ける重合のことを示すが、一般には、末端が不活性
化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リ
ビング重合も含まれる。本発明における定義も後者であ
る。リビングラジカル重合は近年様々なグループで積極
的に研究がなされている。
【0050】その例としては、ポリスルフィドなどの連
鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(ジ
ャーナルオブアメリカンケミカルソサエティ(J. Am. C
hem.Soc.),1994,116,7943)やニトロキシド化合物な
どのラジカル捕捉剤を用いるもの(マクロモレキュール
ズ(Macromolecules),1994,27,7228)、有機ハロゲ
ン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子
移動ラジカル重合(アトムトランスファーラジカルポリ
メリゼーション(Atom Transfer Radical Polymerizati
on):ATRP)などをあげることができる。本発明に
おいて、これらのうちどの方法を使用するかはとくに制
約はないが、制御の容易さなどから原子移動ラジカル重
合が好ましい。
【0051】原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化
物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、周期
律表第8族、9族、10族、または11族元素を中心金
属とする金属錯体を触媒として重合される。たとえば、
マティヤスツェウスキー(Matyjaszewski)ら,ジャー
ナルオブアメリカンケミカルソサエティ(J. Am. Chem.
Soc.),1995,117,5614、マクロモレキュールズ(Ma
cromolecules),1995,28,7901、サイエンス(Scienc
e),1996,272,866、またはサワモト(Sawamoto)
ら,マクロモレキュールズ(Macromolecules),1995,
28,1721。
【0052】これらの方法によると一般的に非常に重合
速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどの停止反
応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリ
ビング的に進行し、分子量分布の狭いMw/Mn=1.
1〜1.5程度の重合体が得られ、分子量はモノマーと
開始剤の仕込み比によって自由にコントロールすること
ができる。
【0053】原子移動ラジカル重合法において、開始剤
として用いられる有機ハロゲン化物またはハロゲン化ス
ルホニル化合物としては、一官能性、二官能性、また
は、多官能性の化合物を使用できる。これらは目的に応
じて使い分けることができる。ジブロック共重合体を製
造する場合は、一官能性化合物が好ましい。A−B−A
型のトリブロック共重合体、B−A−B型のトリブロッ
ク共重合体を製造する場合は二官能性化合物を使用する
ことが好ましい。分岐状ブロック共重合体を製造する場
合は多官能性化合物を使用することが好ましい。
【0054】一官能性化合物としては、たとえば、以下
の化学式で示される化合物などをあげることができる。 C65−CH2X C65−CHX−CH365−C(CH32X R1−CHX−COOR21−C(CH3)X−COOR21−CHX−CO−R21−C(CH3)X−CO−R21−C64−SO2X 式中、C64はフェニレン基を表わす。フェニレン基
は、オルト置換、メタ置換およびパラ置換のいずれでも
よい。R1は水素原子または炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜2
0のアラルキル基を表わす。Xは塩素、臭素またはヨウ
素を表わす。R2は炭素数1〜20の一価の有機基を表
わす。
【0055】二官能性化合物としては、たとえば、以下
の化学式で示される化合物などをあげることができる。 X−CH2−C64−CH2−X X−CH(CH3)−C64−CH(CH3)−X X−C(CH32−C64−C(CH32−X X−CH(COOR3)−(CH2n−CH(COO
3)−X X−C(CH3)(COOR3)−(CH2n−C(CH
3)(COOR3)−X X−CH(COR3)−(CH2n−CH(COR3)−
X X−C(CH3)(COR3)−(CH2n−C(C
3)(COR3)−X X−CH2−CO−CH2−X X−CH(CH3)−CO−CH(CH3)−X X−C(CH32−CO−C(CH32X X−CH(C65)−CO−CH(C65)−X X−CH2−COO−(CH2n−OCO−CH2−X X−CH(CH3)−COO−(CH2n−OCO−C
H(CH3)−X X−C(CH32−COO−(CH2n−OCO−C
(CH32−X X−CH2−CO−CO−CH2−X X−CH(CH3)−CO−CO−CH(CH3)−X X−C(CH32−CO−CO−C(CH32−X X−CH2−COO−C64−OCO−CH2−X X−CH(CH3)−COO−C64−OCO−CH
(CH3)−X X−C(CH32−COO−C64−OCO−C(CH
32−X X−SO2−C64−SO2−X 式中、R3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜
20アリール基または炭素数7〜20アラルキル基を表
わす。C64はフェニレン基を表わす。フェニレン基
は、オルト置換、メタ置換およびパラ置換のいずれでも
よい。C65はフェニル基を表わす。nは0〜20の整
数を表わす。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表わす。
【0056】多官能性化合物としては、たとえば、以下
の化学式で示される化合物などをあげることができる。 C63(CH2X)363(CH(CH3)−X)363(C(CH32−X)363(OCO−CH2X)3 C6H3(OCO−CH(CH3)−X)3 C6H3(OCO−C(CH32−X)363(SO2X)3 式中、C6H3は三置換フェニル基を表わす。三置換フ
ェニル基は、置換基の位置は1位〜6位のいずれでもよ
い。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表わす。
【0057】これらの開始剤として用いられうる有機ハ
ロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物は、ハロ
ゲンが結合している炭素がカルボニル基、フェニル基な
どと結合しており、炭素−ハロゲン結合が活性化されて
重合が開始する。使用する開始剤の量は、必要とするブ
ロック共重合体の分子量に合わせて、単量体との比から
決定すればよい。すなわち、開始剤1分子あたり、何分
子の単量体を使用するかによって、ブロック共重合体の
分子量を制御することができる。
【0058】前記原子移動ラジカル重合の触媒として用
いられる遷移金属錯体としてはとくに限定はないが、好
ましいものとして、1価および0価の銅、2価のルテニ
ウム、2価の鉄または2価のニッケルの錯体をあげるこ
とができる。これらの中でも、コストや反応制御の点か
ら銅の錯体が好ましい。
【0059】1価の銅化合物としては、たとえば、塩化
第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、
酸化第一銅、過塩素酸第一銅などをあげることができ
る。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために、
2,2′−ビピリジルおよびその誘導体、1,10−フ
ェナントロリンおよびその誘導体、テトラメチルエチレ
ンジアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレント
リアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンな
どのポリアミンなどを配位子として添加することもでき
る。2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフ
ィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒として好ま
しい。
【0060】ルテニウム化合物を触媒として用いる場合
は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加
することもできる。さらに、2価の鉄のビストリフェニ
ルホスフィン錯体(FeCl2(PPh32)、2価の
ニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl
2(PPh32)、および、2価のニッケルのビストリ
ブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu32)も、
触媒として好ましい。使用する触媒、配位子および活性
化剤の量は、特に限定されないが、使用する開始剤、単
量体および溶媒の量と必要とする反応速度の関係から適
宜決定することができる。
【0061】前記原子移動ラジカル重合は、無溶媒(塊
状重合)または各種の溶媒中で行なうことができる。前
記溶媒としては、たとえば、炭化水素系溶媒、ハロゲン
化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、
ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒
などをあげることができる。
【0062】炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トル
エンなどをあげることができる。エーテル系溶媒として
は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどをあげ
ることができる。ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、
塩化メチレン、クロロホルムなどをあげることができ
る。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンなどをあげることができ
る。
【0063】アルコール系溶媒としては、メタノール、
エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブ
タノール、t−ブタノールなどをあげることができる。
ニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニ
トリル、ベンゾニトリルなどをあげることができる。エ
ステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチルなどを
あげることができる。カーボネート系溶媒としては、エ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどをあ
げることができる。これらは、単独でまたは2種以上を
混合して用いることができる。
【0064】無溶媒で実施する場合は塊状重合となる。
一方、溶媒を使用する場合、その使用量は、系全体の粘
度と必要とする撹拌効率(すなわち、反応速度)の関係
から適宜決定することができる。
【0065】また、前記原子移動ラジカル重合は、好ま
しくは室温〜200℃、より好ましくは50〜150℃
の範囲で行なわせることができる。
【0066】前記原子移動ラジカル重合により、ブロッ
ク共重合体を製造する方法としては、単量体を逐次添加
する方法、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤と
してつぎのブロックを重合する方法、別々に重合した重
合体を反応により結合する方法などをあげることができ
る。これらの方法は、目的に応じて使い分けることがで
きる。製造工程の簡便性の点から、単量体の逐次添加に
よる方法が好ましい。
【0067】重合によって得られた反応液は、重合体と
金属錯体の混合物を含んでおり、有機酸を添加して金属
錯体を除去する。引き続き、吸着処理により不純物を除
去することで、(メタ)アクリル系ブロック共重合体を
含んでなる(メタ)アクリル系ブロック共重合体樹脂溶
液を得ることができる。
【0068】使用することができる有機酸は、特に限定
されないが、カルボン酸基、もしくは、スルホン酸基を
含有する有機物であることが好ましい。
【0069】使用することができる有機カルボン酸、す
なわちカルボン酸基を含有する有機物としては、特に限
定されないが、たとえば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、
酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、4
−メチル吉草酸、ヘプタン酸、ウンデカン酸、イコサン
酸などの飽和脂肪族の一官能性のカルボン酸、モノクロ
ロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸などのハロゲン
を含有する飽和脂肪族の一官能性のカルボン酸、アセト
キシコハク酸、アセト酢酸、エトキシ酢酸、4−オキソ
吉草酸、グリコール酸、グリシド酸、グリセリン酸、2
−オキソ酪酸、グルタル酸などの置換基を含有する飽和
脂肪族の一官能性のカルボン酸、プロピオル酸、アクリ
ル酸、クロトン酸、4−ペンテン酸、アリルマロン酸、
イタコン酸、オキサロ酢酸などの脂肪族不飽和の一官能
性のカルボン酸、安息香酸、アセチル安息香酸、アセチ
ルサリチル酸、アトロパ酸、アニス酸、ケイ皮酸、サリ
チル酸などの芳香環あるいは不飽和結合のα位にカルボ
ン酸の炭素が結合した一官能性のカルボン酸、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、3−オキソグル
タル酸、アゼライン酸、エチルマロン酸、4−オキソヘ
プタン2酸、3−オキソグルタル酸などの飽和脂肪族の
二官能性のカルボン酸、アセチレンジカルボン酸などの
不飽和脂肪族の二官能性のカルボン酸、イソフタル酸な
どの芳香族の二官能性のカルボン酸、アニコット酸、イ
ソカンホロン酸などのトリカルボン酸、アミノ酪酸、ア
ラニンなどのアミノ酸、などがあげられる。これらの2
以上を併用してもかまわない。これらの中では、有機溶
媒への分散しやすさ、酸と金属錯体の反応との生成物の
性状、入手しやすさなどから、シュウ酸が好ましい。本
発明で使用することができる有機スルホン酸、すなわち
スルホン酸基を含有する有機物としては、特に限定され
ないが、たとえば、メタンスルホン酸、エタンスルホン
酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタン
スルホン酸などの飽和脂肪族の一官能性のスルホン酸、
1,2−エタンスルホン酸、1,3−プロパンスルホン
酸、1,4−ブタンスルホン酸、1,5−ペンタンスル
ホン酸などの飽和脂肪族の二官能性のスルホン酸、ベン
ゼンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエ
ンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスル
ホン酸、ナフチルアミンスルホン酸、アミノフェノール
スルホン酸などの芳香族の一官能性のスルホン酸、など
があげられる。これらの2以上を併用してもかまわな
い。これらの中では、有機溶媒への分散しやすさ、酸と
金属錯体の反応との生成物の性状、入手しやすさなどか
ら、ベンゼンスルホン酸もしくはその誘導体が好まし
く、それらの中ではp−トルエンスルホン酸がより好ま
しい。
【0070】好適に使用可能な有機酸の選定に当たり、
条件を詳細に説明する。第一に、その有機酸が、除去し
たい銅を中心とする金属錯体と、金属塩を生成すること
である。第二に、生成した金属塩が、重合体の溶液ある
いは融液から分離可能であることである。第三に、有機
酸が、重合体に致命的な影響を与えないことである。有
機酸はそれ自体が液体あるいは固体の場合があるが、上
の条件を満たせばいずれであってもかまわない。
【0071】これらの条件をさらに詳細に説明する。
【0072】第一に、有機酸が、除去したい銅を中心と
する金属錯体と金属塩を生成するためには、有機酸が、
ある程度以上の酸性度を有する必要がある。酸性度の指
標として有機化合物の水溶液中の解離定数を用いるなら
ば、第1解離段の酸解離定数の逆数の対数値(pKa)
が、6.0以下であることが好ましく、5.5以下であ
ることがより好ましく、5.0以下であることがさらに
好ましい。この解離定数については、たとえば、化学便
覧(改訂3版、日本化学会編、1984)基礎編II、3
39ページの表10.11などを参考にすることが出来
る。たとえば、酢酸のpKaは4.56、安息香酸のp
Kaは4.20、シュウ酸のpKaは1.04(第1
段)、3.82(第2段)である。上表にはベンゼンス
ルホン酸、p−トルエンスルホン酸の値が記載されてい
ないが、いずれも水に可溶であり、ベンゼンスルホン酸
のpKaは−2.7(有機化合物辞典942ページ、有
機合成化学協会編、1985)、また、p−トルエンス
ルホン酸は塩酸や硫酸と同程度の強酸であるとされてい
ることから(有機化合物辞典645ページ、有機合成化
学協会編、1985)そのpKaは大きくとも2程度で
あるとすることができる。水に溶けない有機酸の場合
は、その誘導体で水溶性の有機酸や、他の酸との強弱関
係から類推することができる。
【0073】第二に、生成した金属塩が、重合体の溶液
あるいは融液から分離可能であるためには、生成した金
属塩の溶媒に対する溶解度が小さいことが好ましく、難
溶であることがさらに好ましく、不溶であることが最も
好ましい。金属塩の溶解度を事前に予測することは難し
いが、金属錯体の溶媒に対する溶解度、用いる有機酸の
溶媒に対する溶解度を参考にすることが出来る。
【0074】第三に、有機酸が、重合体に致命的な影響
を与えないためには、重合体の主鎖や側鎖が酸によって
分解されない構造であること、重合体に酸と反応する官
能基がないことが好ましい。好ましい場合に該当しない
場合は、反応させる有機酸の量や濃度、反応温度、反応
時間、溶媒などを調整する必要がある。ただし、重合体
の官能基を酸と反応させることで所望の官能基に変換さ
せる場合や、官能基が酸と反応しても化学的手段などで
元の状態に戻せる場合などは除く。
【0075】有機酸の作用により金属錯体が一部分解し
てしまう場合を想定して、遊離した配位子をも除去でき
ることが好ましい。すなわち、遊離した配位子が溶媒に
不溶であるか、配位子と有機酸との反応により溶媒に不
溶な有機塩が生成することが好ましい。この塩の溶解度
を事前に予測することは難しいが、配位子の溶媒に対す
る溶解度、用いる有機酸の溶媒に対する溶解度を参考に
することが出来る。有機酸をそのまま使用するか、水溶
液として使用するか、有機溶媒の溶液として使用するか
については、特に制限はないが、上の条件を満たせばい
ずれであってもかまわない。
【0076】除去する金属錯体は、特に制限されない
が、ハロゲン化銅と、窒素を含有する配位子との反応に
より生成したものである金属錯体であってもかまわな
い。また、ここであげる窒素を含有する配位子が、2以
上の配位座を有するキレート配位子であってもかまわな
い。これは、前記原子移動ラジカル重合の触媒として好
ましく用いられる金属錯体は、1価の銅を中心金属とす
る金属錯体であり、1価の銅化合物としては、たとえば
塩化第一銅、臭化第一銅などのハロゲン化銅があげら
れ、さらに、触媒活性を高めるために窒素を含有する配
位子、たとえば、2,2′−ビピリジル、その誘導体
(たとえばたとえば4,4′−ジノリル−2,2′−ビ
ピリジル、4,4′−ジ(5−ノリル)−2,2′−ビ
ピリジルなど)などの2,2′−ビピリジル系化合物、
1,10−フェナントロリン、その誘導体(たとえば
4,7−ジノリル−1,10−フェナントロリン、5,
6−ジノリル−1,10−フェナントロリンなど)など
の1,10−フェナントロリン系化合物、テトラメチル
ジエチレントリアミン(TMEDA)、ペンタメチルジ
エチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチ
ル)アミンなどのポリアミン、などの2以上の配位座を
有するキレート配位子が添加される場合があるためであ
る。もちろん、本発明で除去することが可能な金属錯体
は、前記原子移動ラジカル重合の触媒に限定されず、触
媒機能を持たない金属錯体であってもかまわない。
【0077】本発明で使用する有機酸の量は、銅を中心
とする金属錯体に含有される銅1mol当たり、有機酸
1mol以上であることが好ましい。また、配位子の配
位座1mol当たり、有機酸0.5molであることが
好ましく、有機酸1.0mol以上であることがより好
ましい。有機酸の量を増やすと反応時間は短縮される
が、コストの観点、余剰の有機酸を除く必要の観点など
から、反応時間を勘案した必要量に抑えることが望まし
い。
【0078】本発明の、有機酸を添加する反応は、無溶
媒(ポリマーの融液)または各種の溶媒中で行うことが
できる。
【0079】前記溶媒としては、たとえばベンゼン、ト
ルエンなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;塩化メチレン、
クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど
のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノー
ルなどのアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオ
ニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒;酢酸
エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;エチレンカ
ーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネー
ト系溶媒などがあげられる。これらは、単独で用いても
よく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0080】溶媒を使用する場合、その使用量は、系全
体の粘度と必要とする撹拌効率、および反応速度の関係
から適宜決定すればよい。
【0081】前記反応は、0℃〜200℃の範囲、好ま
しくは室温〜150℃の範囲で行うことができる。
【0082】反応の結果生成した金属塩を除去する方法
は特に制限されないが、必要に応じて、フィルタープレ
スなどの濾過、デカンテーション、遠心沈降など公知の
方法を使用することが出来る。また、必要に応じて、金
属塩を除去せずに、次の中和工程に進むことも可能であ
る場合がある。しかしこの場合でも、中和工程終了後に
は金属塩を除去しなければならない。金属塩が固体状
(メタ)アクリル系ブロック共重合体に残存した場合、
減圧押出機による揮発成分除去中の重合体劣化や、成形
体の物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0083】重合体と、銅を中心金属とする金属錯体を
含有する混合物に、有機酸を添加することで金属錯体を
除去した後、系が酸性側に寄ることがあり、それが問題
になる場合がある。そのために、系を中和させる工程が
必要になる場合がある。系を中和させる方法としては既
知の方法を使用することができ、特に制限がないが、た
とえば、塩基性の固体を使用する方法があげられる。塩
基性の固体の例としては、塩基性活性アルミナ、塩基性
吸着剤、固体無機酸、陰イオン交換樹脂、セルロース陰
イオン交換体などをあげることができる。塩基性吸着剤
としては、キョーワード500SH(協和化学製)など
をあげることができる。固体無機酸としては、Na
2O、K2O、MgO、CaOなどをあげることができ
る。陰イオン交換樹脂としては、スチレン系強塩基性陰
イオン交換樹脂、スチレン系弱塩基性陰イオン交換樹
脂、アクリル系弱塩基型陰イオン交換樹脂などをあげる
ことができる。
【0084】中和工程時に添加した吸着剤を除去する方
法は特に制限されないが、必要に応じて、フィルタープ
レスなどの濾過、デカンテーション、遠心沈降など公知
の方法を使用することが出来る。
【0085】本発明における溶液状(メタ)アクリル系
ブロック共重合体とは、(メタ)アクリル系ブロック共
重合体が有機溶媒に溶解した溶液を含むものであれば特
に限定はされず、公知の溶液重合法や上記の種々の制御
重合法により合成された重合体溶液の他に、重合中に固
体状重合体が一部析出したものであってもよいし、重合
が終了した溶液に沈殿剤を添加して重合体を沈殿させた
ものであってもよい。その中でも、重合後の反応液を処
理することによって得られたものが好ましく、この場合
には、(メタ)アクリル系ブロック共重合体を溶解させ
た有機溶媒は、重合反応に用いられた反応溶媒及び重合
反応における未反応の残存モノマーからなる。
【0086】このようにして得られた重合体溶液は、引
き続き、蒸発操作により重合溶媒及び未反応モノマーを
除去して(メタ)アクリル系ブロック共重合体を単離す
る。蒸発方式としては薄膜蒸発方式、フラッシュ蒸発方
式、押出しスクリューを備えた横形蒸発方式などを用い
ることができる。(メタ)アクリル系ブロック共重合体
は粘着性を有するため、上記蒸発方式の中でも押出しス
クリューを備えた横形蒸発方式単独、あるいは他の蒸発
方式と組み合わせることにより効率的な蒸発が可能であ
る。
【0087】蒸発操作により溶剤を除去した重合体は、
引き続き、押出し機に供給されペレット化される。押出
し機出口は直径2mm〜8mm程度の単一または複数の
孔をもつダイスで構成し、押出された樹脂はストランド
状で冷却され、その後カットすることにより円柱状のペ
レットとなる。もしくはホットカット方式又はアンダー
ウォーターカット方式に代表されるように、ダイス表面
を高速回転するカッターを併用して球状ペレットを製造
することも可能である。粒度のそろったペレットを安定
して製造するにあたってはホットカット方式又はアンダ
ーウォーターカット方式が好ましい。
【0088】ホットカット方式又はアンダーウォーター
カット方式のペレット化は樹脂が溶融状態で行われるた
め、樹脂温度は通常160℃〜230℃である。これ以
下の温度では樹脂の粘性が上がり、安定したペレット化
ができない。また230℃を超える温度範囲においては
重合体の熱劣化が懸念されるため、押出し機側の温度調
整により対応が必要となる。
【0089】溶融状態においては、樹脂は強い粘着性を
有しており、カットされたペレット同士の付着が発生す
る。更にこれらのペレットがダイス、カッター付近に凝
集すると運転上大きな支障をきたすことになる。
【0090】本発明ではこれらホットカット方式又はア
ンダーウォーターカット方式のペレットに滑剤を付与す
ることによりブロッキング性を改善することが可能にな
った。本発明にいう滑剤とは樹脂加工時に樹脂に滑性を
付与するための滑剤や成形体を金型などから取り出しや
すくするための離型剤などを例示できる。滑剤の具体例
としては炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪
素、アルミナ、水酸化アルミ、脂肪酸アミド、脂肪酸エ
ステル、金属石鹸、アクリル系高分子微粒子などをあげ
ることができる。これらの群より選ばれる1種または2
種以上が好ましい。
【0091】炭酸カルシウムの例としては、平均粒子径
0.5〜15μmの軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カル
シウムのような単体の他、これに飽和脂肪酸あるいは界
面活性剤により処理を加えたもの、あるいはマグネシウ
ム、シリケート等を配合したものを挙げることができ
る。
【0092】タルクは平均粒子径2.5〜3.0μmの
タルクLMR、カオリンは平均粒子径0.4μmのAS
P200番等を挙げることができる。
【0093】二酸化珪素の例としては、粉末状の乾式シ
リカ、湿式シリカなどを挙げることができる。これらの
中でも、粒子径が7〜40nmと細かい煙霧質シリカ、
シリカ表面の水酸基をモノメチルトリクロロシランまた
はジメチルジクロロシラン等と反応させた疎水性の無水
無定型シリカが好ましい。煙霧質シリカの市販品として
は、日本アエロジル株式会社のR972およびR974
など、また無水無定型シリカの市販品は、株式会社トク
ヤマ製の“レオロシール”MT−10,DM−10,D
M−20,DM−30およびDM−30Sなどが知られ
ている。
【0094】アルミナの例としては、ローソーダアルミ
ナ、超微粒子酸化アルミニウム、高純度アルミナなどを
挙げることが出来る。
【0095】水酸化アルミニウムの例としては、中心粒
子径0.5〜3μmの超微粒水酸化アルミなどを挙げる
ことが出来る。
【0096】脂肪酸アミドの例としては、ステアリン酸
アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エルカ酸ア
ミド、エチレンビスエルカ酸アミド、オレイン酸アミ
ド、エチレンビスオレイン酸アミド、ベヘニン酸アミ
ド、エチレンビスラウリン酸アミドなどを挙げることが
できる。
【0097】脂肪酸エステルの例としては、ラウリン酸
メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ス
テアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチ
ル、ベヘニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン
酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イ
ソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オク
チルなどを挙げることができる。
【0098】金属石鹸の例としてはカリウム、ナトリウ
ム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、
バリウム等を用いた各金属石鹸を挙げることができる。
【0099】アクリル系高分子微粒子の例としては粒子
径が0.1〜15μmのポリメタクリル酸メチル樹脂粉
末などが挙げられ、このうち、粒子径が0.1〜1.5
μmに制御された球状の超微粒子体が好ましい。ポリメ
タクリル酸メチル樹脂粉末の市販品として総研化学株式
会社製のケミスノーMXシリーズ、MPシリーズなどが
挙げることができる。
【0100】特に(メタ)アクリル系ブロック共重合体
におけるメタアクリレート重合体ブロックがメタクリル
酸メチルを主成分として用いた場合には、ポリメタクリ
ル酸メチル樹脂粉末を滑剤として用いたことで、滑剤添
加による製品物性の影響がほとんど考えられないことか
ら好ましい。
【0101】本発明においてペレットに滑剤を付与する
方法としては、滑剤なしにペレットを製造し、得られた
ペレットに滑剤を塗布する方法とペレット製造工程時に
同時に塗布する方法とが挙げられる。
【0102】滑剤なしにペレットを製造し、得られたペ
レットに滑剤を塗布する手法として、滑剤を含有する溶
剤中に重合体ペレットを分散させ、その後ペレット表面
の溶剤を除去する方法が挙げられる。
【0103】溶剤を用いて滑剤を塗布する方法として
は、溶剤への滑剤の合計添加量を、0.05重量%〜1
重量%とした液を調整し、これをペレットに噴霧する
か、溶剤液中にペレットを投入し、処理する方法が挙げ
られる。
【0104】滑剤を添加した溶剤を噴霧することで、滑
剤をペレットに塗布する方法として例えば、コンベアな
どの移送装置上にペレットを並べ、噴霧器内を通過させ
る際に滑剤液を連続的に噴霧する方法などが挙げられ
る。
【0105】溶剤液中にペレットを投入し、滑剤をペレ
ットに塗布する方法としては、通常知られている方法
で、実施可能であり、例えば、攪拌機を備えた混合槽に
滑剤を添加した溶剤およびペレットを投入し、0℃〜溶
剤の沸点以下の温度にて、所定時間混合を行い、濾過等
の方法で、ペレットおよび液を分離する。
【0106】次に、送風あるいは必要に応じて熱風を与
えることにより溶剤を乾燥させる。この際、滑剤は揮発
しないため、そのままペレット表面に残留する。従って
乾燥後はブロッキングを抑制する効果をペレットに付与
することが可能となる。
【0107】溶剤としては、通常用いられる溶剤を用い
ることが可能であり、 (メタ)アクリル系ブロック共重
合体の組成により、溶剤への共重合体の溶解が無いまた
はほとんど観察されないものを用いることが好ましい。
このような溶剤としては先に示した溶剤などのほかに、
水を挙げることが出来る。好ましい溶剤としては、乾燥
工程の効率および作業性のよさから、常圧における沸点
が30℃〜150℃の溶剤が好ましく、コスト及び安全
性を考えると水が特に好ましい。
【0108】ペレット製造工程時に同時に塗布する手法
の一つとしてとして、アンダーウォーターカット方式が
挙げられる。アンダーウォーターカット方式によるペレ
ット製造においては、ダイス及びカッター近傍のペレッ
トのブロッキングを防止することが必要な場合がある。
この場合、重合体のカットが循環冷却水中で行われるた
め、この循環冷却水中に滑剤を1種または2種以上を添
加することよりブロッキング性を改善できる。水に難溶
性、もしくは不溶性の粉末状の滑剤は、界面活性剤を併
用することにより水中への分散が容易となる。この方法
によれば滑剤は水中に分散あるいは溶解しているため、
これらの粉末を重合体ペレットに直接付与する場合に比
較して、より簡便に、また均一に付着して水中でのブロ
ッキングを効率的に防止できる。また水によるペレット
の冷却も同時に行われるため、より効果が期待できる。
【0109】次の乾燥工程においては、樹脂の自熱ある
いは熱風を与えることにより水分を乾燥させる。ただ
し、滑剤は揮発しないため、そのままペレット表面に付
着、残留する。従って表面水の存在しない状態でもブロ
ッキングを抑制する効果を持続させることが可能であ
り、その後の貯槽、再加工時でも取扱の容易なペレット
となり得る。
【0110】また、上記アンダーウォーターカット方式
を用いないストランドカット方式でのブロッキング対策
として、ストランドカット方式では、ダイスから払い出
された樹脂は高温であり、ストランドを水相にて冷却
し、樹脂を固化させた後カッティングする方法が一般的
であるが、その水相中に予め滑剤を添加、分散させてお
き、ストランドを水相中に浸漬させることにより表面に
滑剤を付着させることでペレットのブロッキング防止効
果を発現することも可能である。
【0111】アンダーウォーターカット方式およびスト
ランドカット方式でペレットに滑剤を塗布する際の、冷
却水中への滑剤の合計添加量は、好ましくは水相濃度で
0.05重量%〜0.5重量%である。0.05重量%
未満では、水中でのブロッキング性については防止効果
があるものの、乾燥後のペレット表面水がない状態では
ブロッキングを起こし易い傾向がある。一方、0.5重
量%を超える濃度で使用した場合、ブロッキング防止効
果に変わりはないため、それ以上使用することによる利
点は見出せない。
【0112】ペレット化設備の一態様を具体的に説明す
る。重合体は蒸発操作終了後の溶融状態のまま押出し機
を経由してダイスから押出される。ダイス面には高速で
回転するカッターが密着しており、ダイス及びカッター
は水中に位置する構造となっている。循環冷却水は冷却
水タンクから循環ポンプにより循環する。冷却水タンク
4には滑剤を含有しておき、運転中は濃度管理を行い適
宜追加する。循環冷却水は途中熱交換器を経由すること
により適宜温調される。
【0113】カットされたペレットは循環冷却水中を分
散したスラリー状態で脱水乾燥機へ送られる。脱水乾燥
機ではペレットと循環冷却水が分離され、かつペレット
表面水の乾燥が行われる。乾燥ペレットは乾燥機上部の
開口部より系外に排出される。分離された循環冷却水は
脱水乾燥機から再度冷却水タンクに戻され再利用され
る。
【0114】ペレットに滑剤を塗布するもう一つの方法
として、ペレット及び滑剤を直接混合することで処理す
ることも有効である。本法においては、ペレットに滑剤
を塗布した後の乾燥等の工程を省略することが可能であ
ることから、ホットカット方式などの水との接触を伴わ
ない、ペレット製造法においては特に有効である。ペレ
ット及び滑剤を直接混合する装置としては、例えば水平
円筒型混合機、V型混合機、二重円錐型混合機、リボン
型混合機、円錐型スクリュー混合機、高速流動型混合
機、回転円盤型混合機、気流攪拌型混合機、重力落下型
混合機、攪拌型混合機などが挙げられる。
【0115】本発明において用いられる滑剤の付着量
は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体ペレット10
0重量部あたり、0.001〜0.5部であることが好
ましく、さらに好ましくは0.05重量%〜0.3重量
%である。0.01重量%未満では、多少のブロッキン
グ防止効果があるものの、高温貯蔵時等に充分なブロッ
キング防止の効果が観察されない場合がある。一方、付
着量が0.5重量%を超える濃度で使用した場合、ブロ
ッキング防止効果に変わりはないが、表面に過剰の滑剤
が付着しているため、得られる組成物の物性が著しく低
下したり、(メタ)アクリル系ブロック共重合体ペレッ
トから付着している粉体が脱落飛散して作業環境に悪影
響を与えることになるため好ましくない。
【0116】本発明で得られる(メタ)アクリル系ブロ
ック共重合体ペレットは射出成形、押出し成形、カレン
ダー成形等、通常熱可塑性樹脂で用いられる成形法によ
り成形することができる。また、エラストマー材料、樹
脂、ゴム、アスファルト等の改質剤、制振剤、粘着剤の
ベースポリマー、樹脂改質剤の成分として用いることが
できる。
【0117】
【実施例】つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに詳
細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0118】本実施例に示す分子量は以下に示すGPC
分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリ
スチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオ
ーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、
カラムに、昭和電工株式会社製Shodex K−80
4(ポリスチレンゲル)を用いた。
【0119】製造例1 MMA−BA−MMA型ブロッ
ク共重合体(組成比MMA/BA=3/7)の合成 50L反応機に臭化第一銅112.56gを仕込み、反
応機内を窒素置換した。アセトニトリル627.44g
およびアクリル酸ブチル1072.8gを予め混合して
おいた溶液を、反応機内を減圧にした状態で仕込み、6
5℃に昇温して30分間攪拌した。その後、2、5−ジ
ブロモアジピン酸ジエチル56.50gをアクリル酸ブ
チル6973.2gおよび酢酸ブチル158.76gに
溶解させた溶液、並びにアセトニトリル784.30g
を仕込み、85℃に昇温しつつ、さらに30分間攪拌を
行った。ペンタメチルジエチレントリアミン16mlを
加えて、第一ブロックとなるアクリル酸ブチルの重合を
開始した。転化率が95%に到達したところで、トルエ
ン14228.8g、塩化第一銅77.68g、メタク
リル酸メチル5182.5gを仕込み、ペンタメチルジ
エチレントリアミン16mlを加えて、第二ブロックと
なるメタクリル酸メチルの重合を開始した。転化率が5
6%に到達したところで、トルエン8660gを加えて
反応溶液を希釈すると共に反応機を冷却して重合を停止
させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行っ
たところ、数平均分子量Mn107000が、分子量分
布Mw/Mnが1.46であった。また、NMRによる
組成分析を行ったところ、MMA/BA=29/71
(重量%)であった。得られたブロック共重合体溶液に
対しトルエンを加えて重合体濃度を14.6重量%と
し、及びp−トルエンスルホン酸を32g加え、反応機
内を窒素置換し、室温で3時間撹拌した。反応液をサン
プリングし、溶液が無色透明になっていることを確認し
て反応を停止させた。その後溶液を払い出し、分離板型
遠心沈降機を用いて固形分を除去した。このブロック共
重合体溶液50Lに対し、キョーワード500SH15
0gを加え、反応機内を窒素置換し、室温で3時間撹拌
した。反応液をサンプリングし、溶液が中性になってい
ることを確認して反応を停止させた。その後溶液を払い
出し、固液分離を行って吸着剤を除去した。
【0120】上記重合体溶液をベント口付き横形蒸発機
に供給し溶媒及び未反応モノマーの蒸発を行うことで、
重合体を単離した。蒸発機の胴部ジャケット及びスクリ
ューは熱媒で200℃に温度調節し、蒸発機内部は真空
ポンプにより約0.01MPa以下の減圧状態を保持し
た。
【0121】(実施例1)製造例1で単離した重合体を
先述の装置でペレット化した。押出し機は単軸、スクリ
ュー径50mm、温度160℃、樹脂供給速度12kg
/時とした。ダイス部分は孔径2.4mm×2穴、4枚
刃のカッターを使用した。循環冷却水中にステアリル酸
アミドを0.3重量%添加し、循環冷却水は流量260
L/分、熱交換器出口での設定温度34℃として処理を
行った。この装置により直径3mm程度の球状ペレット
が得られた。このとき、ダイス部あるいは脱水乾燥機内
部でのブロッキングによる樹脂詰まりなどは観察されな
かった。
【0122】(比較例1)実施例1における循環冷却水
中に、滑剤を添加しない以外は同様に実施した。この
際、ダイス部での樹脂付着などは観察されなかったが、
脱水乾燥機内部で樹脂がブロッキングが観察され、連続
的に樹脂を排出していくと、経時とともに樹脂の排出が
困難となり、最終的には全く排出されなくなった。
【0123】(実施例2)比較例1で得られたペレット
10.0gおよび滑剤として日本アエロジル株式会社製
の煙霧質シリカR972を0.10g秤量し、それぞれ
をポリ袋(17cm×12cm)にて、成分の流出が無
いように口をしっかりと塞いだ状態で充分にハンドブレ
ンドすることで、混合した。
【0124】(実施例3)用いた滑剤量を0.25gと
した以外は実施例2と同様に行った。
【0125】(実施例4)用いた滑剤種を白石工業株式
会社製の膠質炭酸カルシウム(脂肪酸処理品)CCRとし
た以外は実施例3と同様に行った。
【0126】(実施例5)用いた滑剤種を綜研化学株式
会社製のポリメタクリル酸メチル樹脂粉末ケミスノーM
X−1000シリーズとした以外は実施例3と同様に行
った。
【0127】(比較例2)用いた滑剤量を0.8gとし
た以外は実施例4と同様に行った。
【0128】(ペレットのブロッキング性評価方法)実
施例及び比較例で得られたペレットのブロッキングの割
合は、次の方法で測定した。 1.耐熱塗装合板上に内径36mmの紙製筒を垂直に立
て、これにペレット10gを入れペレット表面を平らに
ならす。 2.仕込んだペレット上に410gの円柱状錘(円柱径
33mm)を乗せ、23℃で30分放置する。 3.錘を取り除きペレットのブロッキング状態を観察
し、3個以上のペレット個体がブロッキングして塊状に
なっているものの重量%を計測した。
【0129】(ペレットの汚染性)実施例及び比較例で
得られたペレットの汚染性は、ブロッキング性評価試験
後の、耐熱塗装合板上の汚れの有無を観察し、汚染が認
められないものを良好、汚染が認められたものを不良と
した。
【0130】(滑剤総合評価)ブロッキングの割合が1
0%未満で、かつ、汚染性が良好なものを○とした。
【0131】ブロッキングの割合が10%以上、また
は、汚染性が不良なものを×とした。
【0132】評価結果を表1に示した。
【0133】
【表1】 試験の結果、滑剤を用いない場合はブロッキングが観察
されるのに対し、ペレットに滑剤を塗布することで、ブ
ロッキングが抑制されることが明らかである。さらに、
過剰のブロッキング剤の塗布は汚染が観察されることか
ら、好ましくないことも認められた。
【0134】(比較例3)比較例1で得られたペレット
を用い、2mm厚のプレス成型シートを作成した。作成
はプレス温度190℃、プレス圧50気圧で行った。
尚、サンプル作成時にペレットのブロッキングが激しい
ため、ペレットを一度ほぐしてからプレス盤にサンプル
を並べることが必要であった。
【0135】(実施例6)実施例1で得られたペレット
を用いた以外は比較例3と同様の方法で、プレスシート
を作成した。得られたシートは、比較例3と比較して、
透明性、シート均一性とも遜色なく、外観上は差異が認
められなかった。プレス作業時、比較例3とは異なり、
ペレットのブロッキングが認められず、良好な作業性で
あった。
【0136】(成型体引っ張り特性評価)シートサンプ
ルから2(1/3)号型ダンベルを打ち抜き、試験サン
プルを作成した。引張試験は、温度23℃、湿度605
%の恒温室中、引張速度500mm/分の条件で、島津
オートグラフAG−2000Aを用いて行った。結果を
表2に示した。
【0137】
【表2】 試験の結果、滑剤を塗布した場合でも、機械特性、外観
等の物性の低下を生じることなく成型体を与えた。加え
て、滑剤で処理したペレットはブロッキングがなく、作
業性も良好であることが認められた。
【0138】
【発明の効果】本発明の方法を用いることにより、アク
リレート系単量体及びメタアクリレート系単量体を重合
してなる(メタ)アクリル系ブロック共重合体ペレット
のブロッキングを防止することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリレート系単量体を主体とする重合
    体ブロックとメタアクリレート系単量体を主体とする重
    合体ブロックを含有する(メタ)アクリル系ブロック共
    重合体のペレットに滑剤を添加することを特徴とする
    (メタ)アクリル系ブロック共重合体ペレットのブロッ
    キング防止方法。
  2. 【請求項2】 滑剤として、炭酸カルシウム、タルク、
    カオリン、二酸化珪素、アルミナ、水酸化アルミ、脂肪
    酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸、アクリル系高分
    子微粒子からなる群より選ばれるいずれか1種または2
    種以上を用いることを特徴とする請求項1記載の(メ
    タ)アクリル系ブロック共重合体ペレットのブロッキン
    グ防止方法。
  3. 【請求項3】滑剤を含有する溶剤中に重合体ペレットを
    分散させ、その後ペレット表面の溶剤を除去することを
    特徴とする請求項1または2記載の(メタ)アクリル系
    ブロック共重合体ペレットのブロッキング防止方法。
  4. 【請求項4】溶剤が水であることを特徴とする請求項1
    〜3記載の(メタ)アクリル系ブロック共重合体ペレッ
    トのブロッキング防止方法。
  5. 【請求項5】アンダーウォーターカット方式で(メタ)
    アクリル系ブロック共重合体ペレットを製造するとき
    に、用いる冷却水に滑剤を含有する水を使用することを
    特徴とする請求項1〜4記載の(メタ)アクリル系ブロ
    ック共重合体ペレットのブロッキング防止方法。
  6. 【請求項6】ストランドカット方式で(メタ)アクリル
    系ブロック共重合体ペレットを製造するときに、用いる
    冷却水に滑剤を含有する水を使用することを特徴とする
    請求項1〜2記載の(メタ)アクリル系ブロック共重合
    体ペレットのブロッキング防止方法。
  7. 【請求項7】 滑剤と重合体ペレットを直接混合させる
    ことにより表面塗布することを特徴とする請求項1また
    は2記載の(メタ)アクリル系ブロック共重合体ペレッ
    トのブロッキング防止方法。
  8. 【請求項8】 滑剤の付着量が(メタ)アクリル系ブロ
    ック共重合体ペレット100重量部あたり、0.001
    〜0.5部であることを特徴とする請求項1〜7記載の
    (メタ)アクリル系ブロック共重合体ペレットのブロッ
    キング防止方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8記載の方法によりブロッキ
    ング防止を施された(メタ)アクリル系ブロック共重合
    体ペレットを成型することによって得られる成型体。
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