JP2005200556A - スラッシュ成形用パウダーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 パウダースラッシュ成形に好適な熱可塑性エラストマー組成物、特にアクリル系ブロック共重合体を含む組成物からなるパウダーの簡便な製造方法を提供すること。
【解決手段】 熱可塑性エラストマー組成物からなるスラッシュ成形用パウダーの製造方法であって、孔径が500μm以下のダイスを有する水中カットペレタイザーを用い、ダイス通過温度における熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度が特定の式で示される粘度以下であることを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、パウダースラッシュ成形に好適な熱可塑性エラストマー、特にアクリル系ブロック共重合体パウダーの製造方法に関するものである。
メタアクリル酸メチルなどをハードセグメント、アクリル酸ブチルなどをソフトセグメントに有するアクリル系ブロック共重合体は、熱可塑性エラストマーとして使用可能であることが知られている。たとえば、特許文献1には、イニファーター法で製造したメタアクリルブロックとアクリルブロックを有するアクリル系ブロック共重合体の機械特性が開示されている。
アクリル系ブロック共重合体は、耐候性、耐熱性、耐久性および耐油性に優れるという特徴を有している。また、ブロック体を構成する成分を適宜選択することで、スチレン系ブロック体などの他の熱可塑性エラストマーに比べて極めて柔軟なエラストマーを与えることが可能である。
このようなアクリル系ブロック共重合体の特性を活かした用途として、自動車の内装部品の表皮材としての展開が期待されている。これら表皮材の成形方法は、原料となる樹脂パウダーを金型に流し込み、ある一定時間経過後に溶融成形された表皮を取り出す方法が主流である。この様な成形方法で得られる表皮材は、原料樹脂パウダーの流動性、粒子径、粒子径分布などの条件によってはピンホールの発生や気泡の混入を認めることがある。
粉末成形に好適なパウダーを製造する技術として、水中カット方式により、球換算平均粒子径700μm以下の熱可塑性エラストマー組成物パウダーを製造する方法が開示されている(例えば先行特許文献2)。ダイス温度は230〜350℃が規定されているが、本温度範囲ではメタアクリル系重合体ブロックの熱分解が発生しやすい。
粉末成形に好適なパウダーを製造する技術として、液体窒素を用いた冷凍粉砕によりパウダーを製造する方法が開示されている(例えば先行特許文献3)。軟質なエラストマーを粉砕する場合、極低温において粉砕を行うことは有効な方法である。しかしながら、工業的な規模での生産を考えた場合、コスト的には不利な面が多い。また、機械的な粉砕により得られたパウダーは一般的に不定形であり、流動性を重視する粉末成形用途への適用のためには粒子径を微細なものにする必要性が生じる。
粉砕品の粒子形状を改善する方法として、粉砕で得られたパウダーを貧溶媒、もしくは乳化剤水溶液系で溶融温度以上に加熱し、球状化する方法が開示されている(例えば先行特許文献4)。しかしながら、溶融温度以上の状態におけるパウダーの互着防止に用いる乳化剤水溶液の排水処理設備、パウダーの脱水・乾燥処理設備など、設備的には複雑となり実用化には課題が多い。
その他、樹脂の有機溶媒溶液と乳化剤水溶液の混合溶液を加熱し、溶媒成分と水の共沸現象を利用して樹脂パウダーを製造する方法が開示されている(例えば先行特許文献5)。しかしながら設備的には複雑な方法であり、上記同様にコスト的な課題を抱えている。
水中カット方式は古くから存在する技術であるが、近年のスラッシュ成形用パウダー製造技術の需要に対し、各社で技術開発が進められている。例えば水中カット方式を用いたスラッシュ成形用パウダーの製造技術が公開されている(非特許文献1)。ダイス径0.25mmのノズルを高精度で製作する技術を用い、かつ、水中で造粒することにより流動性の良い球状粒を製造できることが記載されている。しかしながら、パウダー粒子径は概ね500μm以上であり、ダイス径に比較して約2倍以上の粒子径である。一般的にダイス径に比較してパウダー粒子径が大きくなることはよく認められる現象であるが、押出条件の改善により更なる小粒子径化が必要なレベルである。
特許第2553134号公報 特開2002−166417 特開平5−005050 特開平8−225654 特開平11−256032 プラスチックスプロセシングテクノロジー・ニュースレター、2000年10月10日、2ページ(株)日本製鋼所
本発明はパウダースラッシュ成形に好適な熱可塑性エラストマー組成物、特にアクリル系ブロック共重合体組成物からなるパウダーの簡便な製造方法を提供することにある。
本発明者らは熱可塑性エラストマー組成物からなるパウダーの製造方法について鋭意検討した結果、水中カット方式が有用であり、条件を選定することにより安定した生産が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、熱可塑性エラストマー組成物からなるスラッシュ成形用パウダーの製造方法であって、孔径が500μm以下のダイスを有する水中カットペレタイザーを用い、かつダイス通過温度における熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度が下式(1)、
η=1600×γ-0.325 (1)
η:キャピログラフにより測定した溶融粘度(Pa・s)
γ:剪断速度(s-1
で示される粘度以下であることを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法に関する。
好適な実施態様としては、熱可塑性エラストマー組成物がアクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物であることを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法に関する。
好適な実施態様としては、アクリル系ブロック共重合体(A)が50〜90重量%のアクリル系重合体ブロック(a)および50〜10重量%のメタアクリル系重合体ブロック(b)からなるブロック共重合体であることを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法に関する。
好適な実施態様としては、アクリル系重合体ブロック(a)がアクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−メトキシエチル及びアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、メタアクリル系重合体ブロック(b)がメタアクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであることを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法に関する。
好適な実施態様としては、アクリル系ブロック共重合体(A)が制御ラジカル重合により製造されたことを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法に関する。
好適な実施態様としては、ダイス温度が160〜230℃、水中カットペレタイザーにより得られたパウダーを輸送する冷却水温度が20〜80℃であることを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法に関する。
好適な実施態様としては、水中カットペレタイザーにより得られたアクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物からなるパウダーの表面に、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪素、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加することを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法に関する。
好適な実施態様としては、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪素、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む冷却水にパウダーを分散させ、その後パウダー表面の水分を乾燥させることを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法に関する。
好適な実施態様としては、アクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物が、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、炭酸カルシウムを10〜100重量部配合されてなることを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法に関する。
好適な実施態様としては、アクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物が、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、シリコーンオイルを0.1〜10重量部配合されてなることを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法に関する。
本発明を用いることにより、パウダースラッシュ成形に好適な熱可塑性エラストマーからなるパウダー、特にアクリル系ブロック共重合体パウダーを簡便に製造することが可能になる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物を水中カット方式によりカットして得られるスラッシュ成形用パウダーの製造方法である。すなわち本発明は、熱可塑性エラストマー組成物からなるスラッシュ成形用パウダーの製造方法であって、孔径が500μm以下のダイスを有する水中カットペレタイザーを用い、かつダイス通過温度における熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度が下式(1)、
η=1600×γ-0.325 (1)
η:キャピログラフにより測定した溶融粘度(Pa・s)
γ:剪断速度(s-1
で示される粘度以下であることを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法である。
本発明に使用される熱可塑性エラストマー組成物として、アクリル系ブロック共重合体(A)単独、及びアクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物が好適に使用されるが、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアミド系、シリコーン系、及びフッ素ポリマー系の熱可塑性エラスマー、及びそれらの組成物も使用できる。
<アクリル系ブロック共重合体(A)>
ブロック共重合体(A)の構造は、線状ブロック共重合体であってもよく、分岐状(星状)ブロック共重合体であってもよく、これらの混合物であってもよい。ブロック共重合体(A)の構造は、必要とされるブロック共重合体(A)の物性に応じて使いわければよいが、コスト面や重合容易性の点から、線状ブロック共重合体であるのが好ましい。
前記線状ブロック共重合体は、いずれの線状ブロック構造のものであってもかまわないが、その物性または組成物にした場合の物性の点から、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するアクリル系重合体ブロック(a)(以下、いずれも重合体ブロック(a)またはブロック(a)ともいう)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)(以下、重合体ブロック(b)またはブロック(b)ともいう)が、一般式:(a−b)n、一般式:b−(a−b)n、一般式:(a−b)n−a(nは1〜3の整数)で表わされるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体であることが好ましい。これらの中でも、加工時の取扱い容易性や、組成物にした場合の物性の点から、a−b型のジブロック共重合体、b−a−b型のトリブロック共重合体またはこれらの混合物が好ましい。
ブロック共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量は特に限定されないが、好ましくは30000〜500000、さらに好ましくは50000〜400000である。数平均分子量が小さいと粘度が低く、また、数平均分子量が大きいと粘度が高くなる傾向があるので、必要とする加工特性に応じて設定される。
ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)も特に限定されないが、好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下である。Mw/Mnが1.8を超えるとブロック共重合体の均一性が低下する傾向がある。
ブロック共重合体(A)のメタアクリル系重合体ブロック(b)とアクリル系重合体ブロック(a)の組成比は、ブロック(b)が5〜90重量%、ブロック(a)が95〜10重量%である。成型時の形状の保持およびエラストマーとしての弾性の観点から、組成比の好ましい範囲は、(b)が10〜80重量%、(a)が90〜20重量%であり、さらに好ましくは、(b)が10〜50重量%、(a)が90〜50重量%である。(b)の割合が5重量%より少ないと成形時に形状が保持されにくい傾向があり、(a)の割合が10重量%より少ないとエラストマーとしての弾性および成形時の溶融性が低下する傾向がある。
エラストマー組成物の硬度の観点からは、(b)の割合が少ないと硬度が低くなり、また、(b)の割合が多いと硬度が高くなる傾向があるため、エラストマー組成物の必要とされる硬度に応じて設定することができる。また加工の観点からは、(b)の割合が少ないと粘度が低く、また、(b)の割合が多いと粘度が高くなる傾向があるので、必要とする加工特性に応じて設定することができる。
<アクリル系重合体ブロック(a)>
アクリル系重合体ブロック(a)は、アクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、アクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸−2−アミノエチル、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどをあげることができる。
これらは単独でまたはこれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ゴム弾性、低温特性およびコストのバランスの点で、アクリル酸−n−ブチルが好ましい。さらに低温特性と機械特性と圧縮永久歪が必要な場合は、アクリル酸−2−エチルヘキシルを共重合させればよい。耐油性と機械特性が必要な場合は、アクリル酸エチルが好ましい。また、低温特性と耐油性の付与、及び樹脂の表面タック性の改善が必要な場合は、アクリル酸−2−メトキシエチルが好ましい。また、耐油性および低温特性のバランスが必要な場合は、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルの組み合わせが好ましい。そして、耐熱性を上げる為に、酸無水物基を導入する際の前駆体として、アクリル酸−t−ブチルが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
メタアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸−n−プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−、メタアクリル酸−n−ペンチル、メタアクリル酸−n−ヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸−n−ヘプチル、メタアクリル酸−n−オクチル、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイル、メタアクリル酸ベンジル、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸−2−メトキシエチル、メタアクリル酸−3−メトキシブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸グリシジル、メタアクリル酸−2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタアクリル酸のエチレンオキサイド付加物、メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどをあげることができる。
芳香族アルケニル化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。シアン化ビニル化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげることができる。共役ジエン系化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどをあげることができる。ケイ素含有不飽和化合物としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどをあげることができる。不飽和ジカルボン酸化合物としては、たとえば、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステルなどをあげることができる。ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることができる。マレイミド系化合物としては、たとえば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどをあげることができる。
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、アクリル系重合体ブロック(a)に要求されるガラス転移温度および耐油性、メタアクリル系重合体ブロック(b)との相溶性などのバランスの観点から、好ましいものを選択することができる。
アクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度は、エラストマー組成物のゴム弾性の観点から、好ましくは25℃以下、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−20℃以下である。アクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度が、エラストマー組成物の使用される環境の温度より高いとゴム弾性が発現されにくいので不利である。
<メタアクリル系重合体ブロック(b)>
メタアクリル系重合体ブロック(b)は、メタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、メタアクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなることが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(b)を構成するメタアクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体として例示されたメタアクリル酸エステルと同様の単量体が挙げられる。
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、加工性、コストおよび入手しやすさの点で、メタアクリル酸メチルが好ましい。また、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸シクロヘキシルなどを共重合させることによって、ガラス転移点を高くすることができる。更には、耐熱性を上げる為に、酸無水物を導入する際の前駆体としてメタアクリル酸−t−ブチルが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(b)を構成するメタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、アクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド化合物などをあげることができる。
アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルとして例示されたアクリル酸エステルと同様の単量体が挙げられる。
芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物としては、アクリル系重合体ブロック(a)を構成する単量体として例示したものと同様の単量体をあげることができる。
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、メタアクリル系重合体ブロック(b)に要求されるガラス転移温度の調整、アクリル系重合体ブロック(a)との相溶性などの観点から好ましいものを選択することができる。
(b)のガラス転移温度は、エラストマー組成物の熱変形の観点から、好ましくは25℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。(b)のガラス転移温度がエラストマー組成物の使用される環境の温度より低いと、凝集力の低下により、熱変形しやすくなる場合がある。
<ブロック共重合体(A)の製造方法>
アクリル系ブロック共重合体(A)の製造方法としては、特に限定されないが、制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、リビングアニオン重合、連鎖移動剤を用いるラジカル重合および近年開発されたリビングラジカル重合をあげることができる。リビングラジカル重合がブロック共重合体の分子量および構造制御の点ならびに架橋性官能基を有する単量体を共重合できる点から好ましい。
リビング重合とは、狭義においては、末端が常に活性を持ち続ける重合のことを示すが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リビング重合も含まれ、本発明におけるリビングラジカル重合は、重合末端が活性化されたものと不活性化されたものが平衡状態で維持されるラジカル重合であり、近年様々なグループで積極的に研究がなされている。
その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(Journal of American Chemical Society,1994,116,7943)やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(Macromolecules,1994,27,7228)、有機ハロゲン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などをあげることができる。本発明において、これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、制御の容易さなどから原子移動ラジカル重合が好ましい。
原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として重合される(例えば、Matyjaszewskiら,Journal of American Chemical Society,1995,117,5614、Macromolecules,1995,28,7901、Science,1996,272,866、またはSawamotoら,Macromolecules,1995,28,1721)。
これらの方法によると一般的に非常に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどの停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭いMw/Mn=1.1〜1.5程度の重合体が得られ、分子量はモノマーと開始剤の仕込み時の比率によって自由にコントロールすることができる。
原子移動ラジカル重合法において、開始剤として用いられる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物としては、一官能性、二官能性、または、多官能性の化合物を使用できる。これらは目的に応じて使い分けることができる。ジブロック共重合体を製造する場合は、一官能性化合物が好ましい。a−b−a型のトリブロック共重合体、b−a−b型のトリブロック共重合体を製造する場合は二官能性化合物を使用することが好ましい。分岐状ブロック共重合体を製造する場合は多官能性化合物を使用することが好ましい。
前記原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としてはとくに限定はないが、好ましいものとして、1価および0価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄または2価のニッケルの錯体をあげることができる。これらの中でも、コストや反応制御の点から銅の錯体が好ましい。
前記原子移動ラジカル重合は、無溶媒(塊状重合)または各種溶媒中で行なうことができる。また、溶媒を使用する場合、その使用量は、系全体の粘度と必要とする攪拌効率の関係から適宜決定することができる。
また、前記原子移動ラジカル重合は、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは50〜150℃の範囲で行なわせることができる。前記原子移動ラジカル重合温度が室温より低いと粘度が高くなり過ぎて反応速度が遅くなる場合があるし、200℃を超えると安価な重合溶媒を使用できない場合がある。
重合によって得られた反応液は重合体と金属錯体の混合物を含んでおり、例えば有機酸を添加して金属錯体を除去することができる。引き続き、吸着処理により不純物を除去することで、アクリル系ブロック共重合体を含んでなるアクリル系ブロック共重合体溶液を得ることができる。本発明で使用することができる有機酸は、特に限定されないが、カルボン酸基、もしくは、スルホン酸基を含有する有機物であることが好ましい。
アクリル系ブロック共重合体溶液から有機溶剤成分を蒸発分離するに際しては、重合体溶液の液膜を加熱することにより揮発分を除去、すなわち蒸発、脱揮等させる種々の形式の薄膜蒸発機が適用可能である。その他、単軸もしくは2軸スクリューと脱揮口を有する押出機による蒸発も可能である。
樹脂中の残存溶剤量としては、10000ppm以下であることが望ましい。残存溶剤量が10000ppmを超えると、溶剤の臭気の問題により作業環境が悪化するとともに環境への負荷がかかるため望ましくない。
<パウダーの製造>
このように有機溶媒を蒸発分離したアクリル系ブロック共重合体(A)は、引き続きパウダー状に加工を行う。パウダー化方式としては所望の孔径を有するダイスより樹脂を押出し、ダイス並びにダイス直近で高速回転する回転刃を水中に配置し、重合体を冷却水中でカットしパウダー状に加工する水中カット方式が挙げられる。その他の方式としては、前記ダイス並びに回転刃を冷風中に配置するホットカット方式、重合体をストランド状の溶融状態で押出し、冷却水槽もしくはスチールコンベアで冷却後カットしてパウダー形状に加工するストランドカット方式も挙げられる。
本発明では、パウダー形状としては成形時の流動性を確保するために球状が好ましいこと、ダイス径変更による粒子径設定の自由度、またパウダーの互着防止対策の容易さから、孔径が500μm以下のダイスを有する水中カットペレタイザーが必須である。500μmを超えるダイス径においては、パウダー粒子径が大きいために成形時の原料パウダーが形成する空隙が大きく、成形後の表皮に気泡の混入を発生する恐れがある。
ダイスを経由した押出しにおいては、単軸あるいは2軸のスクリューを有する押出し機、もしくはギヤポンプを推進力とすることができる。薄膜蒸発機等の蒸発機の排出口と2軸押出し機、もしくはギヤポンプを連結する方法は種々考えられるが、重合体の流動性を損なわないためには可能な限り直近に配置することが好ましい。またプロセスコスト、重合体への熱履歴の低減の観点からはギヤポンプによる樹脂の移送、押出しが好ましい。一方、単軸もしくは2軸押出機での蒸発を実施する場合は、押出機最後尾にダイス、並びにカッターを設置することでパウダー化が可能である。
一般に押出による成形、パウダー化においては、ダイス径よりも樹脂の径が大きくなる現象、スウェルが発生することが認められている。微細なパウダーを得るためにはダイス孔径を小さくすることは当然のことながら、スウェルを極力抑制することが重要である。また、ノズル詰まりを発生しない安定的な押出を達成するためには、ダイス通過時の樹脂の溶融粘度をコントロール必要がある。
本発明では上記のスウェル低減、並びにノズル詰まりを回避するため、ダイス通過温度における樹脂の粘度を下式(1)、
η=1600×γ-0.325 (1)
η:キャピログラフにより測定した溶融粘度(Pa・s)
γ:剪断速度(s-1
で示される粘度以下にする必要がある。
溶融粘度は樹脂の組成、押出温度により変化する。本発明では樹脂組成としては各種の熱可塑性エラストマー組成物を使用することができるが、前記アクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物を使用した場合に効果的である。
また、同一分子量においても分子量分布が狭い方が粘性を低下させることが可能であり、アクリル系ブロック共重合体(A)の製造法としては制御ラジカル重合が好ましい。
樹脂温度はダイス温度により決定され、アクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物を使用した場合、ダイス温度が160〜230℃であることが好ましい。160℃未満では樹脂の粘度が(1)式を超えるため安定生産が難しくなる。230℃を超えた温度では、樹脂溶融粘度は低下するものの、樹脂の熱分解が発生しやすくなる。
水中カット方式はダイスが常に循環冷却水に晒されている状況であるため、ダイス温度及び冷却水温度の設定が非常に重要である。特に500μm以下のダイスは樹脂の流動抵抗が大きく、温度設定によっては樹脂の粘性が高くなり、ダイスを詰まらせる可能性が高くなる。
ダイスからの樹脂の吐出圧としては、5〜25MPaが好ましい。5MPa未満では樹脂の線速度が小さいため、カッターを低回転で運転することとなる。カッターの高速回転による水流で樹脂の互着を防止する一面もあるため、低回転領域では樹脂の凝集が発生しやすくなる。25MPaを超えるとダイスの機械強度など、設計が難しくなる。
水中カットペレタイザーにより得られたパウダーを輸送する冷却水温度はアクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物を使用した場合、20〜80℃が好ましい。20℃未満ではダイスとの温度差が非常に大きく、ダイス温度を均一に保持することが困難になる。80℃を超える場合、樹脂の軟化点に近づくため、パウダー同士の互着が発生しやすくなる。
このようなパウダー同士の互着を防止するため、必要に応じ各種互着防止剤を付与することができる。互着防止剤の種類としては炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪素、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸など汎用の無機粉末、滑剤を使用することができる。なお、これらは複数を併用しても構わない。また添加方法も特に制約はなく、重合体とパウダーをブレンダーで混合する方式、移送における気流中で添加する方式、水中カットの冷却水中に溶解、混合する方式などが挙げられる。なかでも樹脂温度の高いダイス近傍での互着を防止する観点から、水中カットの冷却水中に溶解、混合する方式が好ましい。例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪素、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む冷却水にパウダーを分散させ、その後パウダー表面の水分を乾燥させることにより添加することができる。
前記互着防止剤を冷却水中に溶解、混合して添加する場合、添加量は冷却水に対する濃度で規定することができる。本発明では、添加濃度としては冷却循環水100重量部に対し0.02〜2重量部が好ましい。0.02重量部未満では互着防止効果が低く、パウダーの互着が発生しやすい。2重量部を超えた場合、互着防止効果は充分認められるものの、基材であるウレタンへの接着性の低下を引き起こす。
炭酸カルシウムの例としては、平均粒子径0.5〜15μmの軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムのような単体の他、これに飽和脂肪酸あるいは界面活性剤により処理を加えたもの、あるいはマグネシウム、シリケート等を配合したものを挙げることができる。
脂肪酸アミドの例としては、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミドなどを挙げることができる。
脂肪酸エステルの例としては、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチルなどを挙げることができる。
金属石鹸の例としてはカリウム、ナトリウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、バリウム等を用いた各金属石鹸を挙げることができる。
また、パウダーの互着防止手段として、上記添加剤をパウダー表面に付与する以外に、樹脂中に無機充填材を配合することにより改質する方法も挙げられる。無機充填材としては酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、シリカ、雲母粉、アルミナ、ガラス繊維、金属繊維、チタン酸カリウィスカー、アスベスト、ウォラストナイト、マイカ、タルク、ガラスフレーク、ミルドファイバー、金属粉末などがあげられるが、これらに限定されるものではない。この中でもコスト、配合物の物性バランスの理由から炭酸カルシウムが好ましい。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
これら無機充填材の添加量としては、ブロック共重合体100重量部に対して10〜100重量部が好ましい。10重量部未満では互着防止の為の効果が不十分となる。100重量部を超えた場合は、組成物の溶融粘度が増加し、安定的な押出ができなくなる恐れがある。
これら以外に、基材であるウレタンとの接着性を改善する方法として、シリコーンオイルを添加することもできる。シリコーンオイルの添加量はアクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部未満では添加することによる接着性の改善効果が小さい。10重量部を超えた場合、それ以上の接着性改善効果は低くコスト的にバランスが悪くなる。
シリコーンオイルとしては特に限定されないが、25℃における粘度が50〜50,000mm2/sの範囲にあることが好ましい。粘度が50mm2/sに満たない場合には、揮発分が多いことや引火点が低いことが問題になることがあり、粘度が50,000mm2/sを越える場合には、基材であるウレタンとの接着性が劣る場合がある。
シリコーンオイルの具体例として、TSF451(ジメチルシリコーンオイル;GE東芝シリコーン(株)製、以下同じ)、TSF410(高級脂肪酸変性シリコーンオイル)、TSF4427(アルキルアラルキル変性シリコーンオイル)、TSF4421(アルキル変性シリコーンオイル)、TSF484(メチルハイドロジェンシリコーンオイル)、TSF431(メチルフェニルシリコーンオイル)、TSF4440(ポリエーテル変性シリコーンオイル)、TSF4700(アミノ変性シリコーンオイル)、XF42−B0970(カルビノール変性シリコーンオイル)、TSF4730(エポキシ変性シリコーンオイル)、TSF4770(カルボキシル変性シリコーンオイル)などを挙げることが出来る。この中では、コストや取り扱いやすさの観点から、ジメチルシリコーンオイルが好ましい。
これまで述べてきた重合体溶液の蒸発、押出機での溶融時の熱履歴による品質低下抑制手段として、樹脂溶液から脱揮操作を行う際に酸化防止剤を存在させることもできる。これらの酸化防止剤は、ラジカル連鎖禁止剤としての機能を有するものであることが好ましい。このようなものとしては特に限定されず、例えば、フェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤等を挙げることができる。
本発明の製造方法によるパウダーはスラッシュ成形による自動車内装部品以外に、家電OA機器の表皮や粉体塗料、ペースト、シーラント等に使用できる。
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<分子量測定法>
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムに、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いた。
<重合反応の転化率測定法>
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示す分析装置、条件で測定した。
使用機器:島津製作所(株)製ガスクロマトグラフィーGC−14B
分離カラム:J&W SCIENTIFIC INC製、キャピラリーカラムSupelcowax−10、0.35mmφ×30m
分離条件:初期温度60℃、3.5分間保持
昇温速度40℃/min
最終温度140℃、1.5分間保持
インジェクション温度250℃
ディテクター温度250℃
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約3倍に希釈し、酢酸ブチルを内部標準物質とした。
<樹脂の溶融粘度測定>
本実施例に示す樹脂の溶融粘度は以下に示す分析装置で測定した。
使用機器:(株)東洋精機製作所製キャピログラフ
測定条件:190℃
<パウダーの粉体特性評価>
本実施例に示すパウダーの各粉体特性値は以下に示す分析装置で測定した。
使用機器:ホソカワミクロン(株)製パウダテスタPT−R
<パウダーの溶融特性評価>
本実施例に示すパウダーの溶融特性は以下に示す方法で評価した。
使用機器:皮シボ付金属板(板厚4.5mm、シボ深さ80%)
加熱条件:250℃
加熱時間:1分
冷却時間:5分(空気中で空冷)
評価指標:シボ転写性(目視) ○(良好)、×(シボ形成不良個所あり)
表皮厚み均一性(目視) ○(均一)、×(不均一、パウダー残存あり)
ピンホール/気泡の有無(目視) ○(無し)、×(有り)
(製造例1)
窒素置換した500L反応機にアクリル酸ブチル53.7kg、アクリル酸−2−メトキシエチル27.2kg、及び臭化第一銅0.649kgを仕込み、攪拌を開始した。引き続きジャケットに温水を通水し、内溶液を70℃に昇温して30分間保持した。その後、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル0.905kgをアセトニトリル6.82kgに溶解させた溶液を仕込み、75℃に昇温を開始した。内温が75℃に到達した時点でペンタメチルジエチレントリアミン94.5mLを加えて、第一ブロックの重合を開始した。
転化率が95%に到達したところで、トルエン79.1kg、塩化第一銅0.448kg、メタアクリル酸メチル43.5kg、及びペンタメチルジエチレントリアミン94.5mLを加えて、第二ブロックの重合を開始した。転化率が90%に到達したところで、トルエン104kgを加えて反応溶液を希釈すると共に反応機を冷却して重合を停止させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnが67152、分子量分布Mw/Mnが1.37であった。
得られたブロック共重合体溶液に対しトルエン160kgを加えて重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸を1.29kg加え、反応機内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業製ラヂオライト#3000を2.39kg添加した。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固体分を分離した。
濾過後のブロック共重合体溶液約478kgに対し、キョーワード500SH1.79kgを加え反応機内を窒素置換し、30℃で1時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固体分を分離し、重合体溶液を得た。
引き続き重合体溶液から溶媒成分を蒸発した。蒸発機は株式会社栗本鐵工所製SCP100(伝熱面積1m2)を用いた。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を90Torr、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hに設定し重合体溶液の蒸発を実施した。重合体はφ4mmのダイスを通してストランドとし、水槽で冷却後ペレタイザーにより円柱状のペレットを得た(重合体ペレット1)。
(製造例2)
製造例1で得られた重合体ペレット1を重炭酸カルシウム(備北粉化工業製、ソフトン3200)、カーボンブラック(旭カーボン(株)製、旭#15)によりコンパウンド処理した。押出機として日本製鋼所製LABOTEXを使用した。ペレット100重量部に対し、炭酸カルシウム43重量部、カーボンブラック0.3重量部の比率で原料を供給し、シリンダー温度80〜100℃、スクリュー回転数100rpmでストランドとして排出し、引き続きペレタイザーにより円柱状のペレットとした。得られたペレットにはシリカ粉末(株式会社龍森製、マイクロ結晶性ソフトシリカA−10)を0.3重量部ドライブレンドした(重合体ペレット2)。
(実施例1)
製造例1で得られた重合体ペレット1を用い、水中カット試験を実施した。試験設備の概略を図1に示す。原料ペレットはホッパー1を経由して、単軸押出機2(φ=50mm)によりダイス3(孔径300μm×736穴、10枚刃)へ送られる。パウダーは循環冷却水中に分散され遠心脱水機4により水と分離され回収される。冷却水は循環ポンプ5により循環され、途中、熱交換器6により温度調節される。
装置の各設定値としては、単軸押出機のスクリュー回転数100rpm、押出機シリンダー温度を原料入口120℃、出口180℃、ダイス温度200℃、カッター回転数4500rpm、冷却水温60℃とした。日本油脂製アルフローH−50ES(エチレンビスステアリン酸アミド43重量%懸濁液)を冷却循環水100重量部に対して0.5重量部(エチレンビスステアリン酸アミドとして0.22重量部)となるように添加した。約10分間処理を継続しパウダーをサンプリングした。
得られたパウダーを用いて粉体特性評価を実施した。また、パウダーの溶融特性を評価するためにシボ付金属板を用い250℃で表皮を作成し、表皮の欠肉、気泡の有無を観察した。結果を表1にまとめる。また、試験に用いた樹脂のキャピログラフによる溶融粘度測定結果を図2にまとめる。
(実施例2)
単軸押出機のスクリュー回転数を50rpm、冷却循環水100重量部に対しアルフローH−50ESを2重量部(エチレンビスステアリン酸アミドとして0.86重量部)添加した以外は実施例1と同様の方法で実験を実施した。結果を表1にまとめる。
(実施例3)
単軸押出機のスクリュー回転数を150rpmにした以外は実施例2と同様の方法で実験を実施した。結果を表1にまとめる。
(実施例4)
図1に示す試験設備のダイス3を孔径200μm×2247穴、カッター8枚刃に変更して試験を実施した。装置の各設定値としては、単軸押出機のスクリュー回転数140rpm、押出機シリンダー温度を原料入口160℃、出口200℃、ダイス温度200℃、カッター回転数3560rpm、冷却水温60℃とした。約10分間処理を継続しパウダーをサンプリングした。ほぼ球状のパウダーが得られたが、一部樹脂のブロッキングが確認された。得られたパウダーを用いて粒子径測定及び粉体特性評価を実施した。また、パウダーの溶融特性を評価するためにシボ付金属板を用い250℃で表皮を作成し、表皮の欠肉、気泡の有無を観察した。結果を表1にまとめる。
(実施例5)
日本油脂製アルフローH−50ESを冷却循環水100重量部に対して0.5重量部(エチレンビスステアリン酸アミドとして0.22重量部)添加し、カッター回転数を4500rpmにした以外は実施例4と同様の方法で実験を実施した。実施例4に比較してブロッキングは改善された。
(実施例6)
単軸押出機のスクリュー回転数を200rpmにした以外は実施例5と同様の方法で実験を実施した。
(比較例1)
製造例1で得られたペレットを用い凍結粉砕処理を実施した。ペレットを液体窒素で充分に冷却後、粉砕機により粉砕物を得た。粉砕物は室温では若干凝集が発生していた。この粉砕物を実施例1と同様の方法でシボ付金属板を用い250℃で表皮を作成し、表皮の欠肉、気泡の有無を観察した。結果を表1にまとめる。
(実施例7)
製造例2で得られた重合体ペレット2を用い、実施例1と同様の設備を用いて水中カット試験を実施した。
装置の各設定値としては、単軸押出機のスクリュー回転数50rpm、押出機シリンダー温度を原料入口160℃、出口220℃、ダイス温度220℃、カッター回転数3560rpm、冷却水温60℃とした。日本油脂製アルフローH−50ES(エチレンビスステアリン酸アミド43重量%懸濁液)を冷却循環水100重量部に対して0.5重量部(エチレンビスステアリン酸アミドとして0.22重量部)添加した。約10分間処理を継続しパウダーをサンプリングした。
得られたパウダーを用いて粉体特性評価を実施した。また、パウダーの溶融特性を評価するためにシボ付金属板を用い250℃で表皮を作成し、表皮の欠肉、気泡の有無を観察した。結果を表1にまとめる。また、試験に用いた製造例1、2の樹脂のキャピログラフによる溶融粘度測定結果を図2に示す。また、式(1)η=1600×γ-0.325より算出した溶融粘度を実線で示す。図より、製造例1、2の樹脂は式(1)以下の粘度を示していることが分かる。
Figure 2005200556
本発明に用いた水中カット設備の概略図である。 キャピログラフによる溶融粘度測定結果のグラフである。
符号の説明
1 原料ホッパー
2 単軸押出機
3 ダイス
4 遠心脱水機
5 循環ポンプ
6 熱交換器

Claims (10)

  1. 熱可塑性エラストマー組成物からなるスラッシュ成形用パウダーの製造方法であって、孔径が500μm以下のダイスを有する水中カットペレタイザーを用い、かつダイス通過温度における熱可塑性エラストマー組成物の溶融粘度が下式(1)、
    η=1600×γ-0.325 (1)
    η:キャピログラフにより測定した溶融粘度(Pa・s)
    γ:剪断速度(s-1
    で示される粘度以下であることを特徴とするスラッシュ成形用パウダーの製造方法。
  2. 熱可塑性エラストマー組成物がアクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物であることを特徴とする請求項1に記載のスラッシュ成形用パウダーの製造方法。
  3. アクリル系ブロック共重合体(A)が50〜90重量%のアクリル系重合体ブロック(a)および50〜10重量%のメタアクリル系重合体ブロック(b)からなるブロック共重合体であることを特徴とする請求項2に記載のスラッシュ成形用パウダーの製造方法。
  4. アクリル系重合体ブロック(a)がアクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−メトキシエチル及びアクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、メタアクリル系重合体ブロック(b)がメタアクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであることを特徴とする請求項3に記載のスラッシュ成形用パウダーの製造方法。
  5. アクリル系ブロック共重合体(A)が制御ラジカル重合により製造されたことを特徴とする請求項2から4の何れかに記載のスラッシュ成形用パウダーの製造方法。
  6. ダイス温度が160〜230℃、水中カットペレタイザーにより得られたパウダーを輸送する冷却水温度が20〜80℃であることを特徴とする請求項2から5の何れかに記載のスラッシュ成形用パウダーの製造方法。
  7. 水中カットペレタイザーにより得られたアクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物からなるパウダーの表面に、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪素、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加することを特徴とする請求項2から6の何れかに記載のスラッシュ成形用パウダーの製造方法。
  8. 炭酸カルシウム、タルク、カオリン、二酸化珪素、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む冷却水にパウダーを分散させ、その後パウダー表面の水分を乾燥させることを特徴とする請求項2から7の何れかに記載のスラッシュ成形用パウダーの製造方法。
  9. アクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物が、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、炭酸カルシウムを10〜100重量部配合されてなることを特徴とする請求項2から8の何れかに記載のスラッシュ成形用パウダーの製造方法。
  10. アクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物が、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、シリコーンオイルを0.1〜10重量部配合されてなることを特徴とする請求項2から9の何れかに記載のスラッシュ成形用パウダーの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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